説明

ブックエンド

【課題】 書籍等の出し入れに際して、底板相互の凹凸列の噛み合わせが外れてしまうことがないとともに側板および底板からなるスタンドの水平面内での回転ずれを起こすことのないまた、スタンドの多個連結の可能なブックエンドを提供すること。
【解決手段】 一方のスタンドは平面視凹形となる一対の底板をもち少なくともその片側の内側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、他方のスタンドは平面視凸形となる一つの底板をもち前記凹凸列に対応する外側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、前記一対のスタンドの底板の内外側部に並ぶ凹凸列相互が噛み合い両スタンドが係合状態となるよう構成してなるブックエンド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍や書類ファイル等を鉛直姿勢で整然と保持するためのブックエンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ブックエンドは、書籍等を鉛直姿勢で整然と保持するために用いられる。従来、側板と水平方向に延在する底板とを一体的に形成した、正面視L形状或いは逆L形状の一対のスタンドからなるブックエンドが用いられてきた。しかし、このブックエンドは、本を立てかけ側板に本が斜めに寄りかかるような場合、ブックエンドが書籍の厚み方向に移動し、本が倒れる問題があった。
【0003】
このような従来のブックエンドにおける問題を解決すべく、ブックエンドに本が寄りかかっても側板が書籍の厚み方向に移動しないようにしたブックエンドが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平05−031012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記先行技術は、収蔵する書籍等の厚さ方向に水平に延在する底板の片面に刻設した台形状凹凸の一対の底板相互の噛み合わせによって側板および底板からなるスタンドの水平方向の移動を抑止するようにしている。しかしながら、この先行技術によるときは、1)書籍等の出し入れに際して、底板相互の凹凸列の噛み合わせが外れてしまう。また、このことに起因して書籍等わけても奥行き方向に厚さの異なる書類ファイル等の出し入れに際して平面内でのスタンドの回転ずれを招く。2)底板の、書籍等の出し入れ方向における寸法(幅)は側板の同じ方向の寸法よりも短寸であるため、書籍等の収蔵領域内で机上面との間で段差若しくは隙間を生じてしまい、書籍等が前後方向に傾いてしまう。 といった問題がある。
【0005】
本発明は、狭い間隔から広い間隔まで自在に側板の固定間隔を設定できるとともに、書籍等の出し入れに際して、底板相互の凹凸列の噛み合わせが外れてしまうことがないとともに側板および底板からなるスタンドの水平面内での回転ずれを起こすことのないまた、スタンドの多個連結の可能なブックエンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、側板に対し水平方向に延在する底板を一体的に有する正面視L形状又は逆L形状となる一対のスタンドからなり、一方のスタンドは平面視凹形となる一対の底板をもち少なくともその片側の内側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、他方のスタンドは平面視凸形となる一つの底板をもち前記凹凸列に対応する外側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、前記一対のスタンドの底板の内外側部に並ぶ凹凸列相互が噛み合い両スタンドが係合状態となるよう構成してなるブックエンドである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、側板に対し水平方向に延在する底板を一体的に有する正面視L形状又は逆L形状となる一対のスタンドからなり、一方のスタンドは平面視凹形となる一対の底板をもちその両内側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、他方のスタンドは平面視凸形となる一つの底板をもちその両外側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、前記一対のスタンドの両底板の内外側部に並ぶ凹凸列相互が噛み合い両スタンドが係合状態となるよう構成してなるブックエンドである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、一方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向中央部において、他方のスタンドの底板を一方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用凹部を形成するとともに、他方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向両側部において、前記一方のスタンドの底板を他方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用切欠き部を形成してなる請求項1又は請求項2に記載のブックエンドである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、書籍や書類ファイルの数量にかかわらず側板間隔の設定が自在にでき、一方のスタンドの、平面視凹形の、水平方向に延在する一対の底板の両内側部に刻設されている凹凸列と、他方のスタンドの、平面視凹形の、水平方向に延在する一対の底板の両外側部に刻設されている凹凸列が噛み合い係合するから、書籍等の厚み方向にずれることなくまた、スタンドが回転ずれを書籍等の出し入れに際して底板相互の凹凸列の噛み合わせが外れてしまうことがなく、スタンドの位置が水平面内で回転ずれを起こすことがない。さらに、係合状態における底板の、書籍等の出し入れ方向における寸法(幅)は側板の同じ方向の寸法と等しいから、書籍等の収蔵領域内で机上面との間で段差若しくは隙間を生じることなく、書籍等が前後方向に傾くといった問題を生じない。
【0010】
また、スタンドの対面組み合わせ、同方向組み合わせ、多個連結が自在にでき、書籍のほか書類ファイル、CD、掛け軸などの整理用具としても利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のブックエンドは、平面視凹形の、それぞれの内側部に刻設される凹凸列を有する一対の底板と側板とが正面視L形状に一体的に形成された一方のスタンドと、平面視凸形のその両側部に刻設された凹凸列を有する一つの底板と側板とが正面視L形状に一体的に形成された他方のスタンドの、前記底板の凹凸列相互が噛み合い安定した係合を構成する。
【0012】
本発明にあって、側板と底板はL形或いは逆L形に一体的に形成され、一方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向中央部において、他方のスタンドの底板を一方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用凹部を有するとともに、他方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向両側部において、前記一方のスタンドの底板を他方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用切欠き部が形成されている。
【0013】
一方のスタンドの一対の底板のそれぞれの内側部に刻設される凹凸列および他方のスタンドの底板の両側部に刻設される凹凸列の平面形状は、三角形、方形、台形、半円形のほかあり溝嵌合形状(dove tail)など種々の噛み合わせ形状を採ることができる。
【0014】
本発明のブックエンドの材質としては、ブックエンドとしての剛性、強度を有し、プレスによる成型、打ち抜き加工による底板の形成、底板の内側面、両外側面に形成する凹凸列の形成の容易さなどから、銅、黄銅(真鍮)、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属を好ましく適用することができる。これら金属の板を素材として用いる。その厚さは、1mm〜4mm程度である。また、プラスチックの射出成形によって製造することもできる。
【0015】
本発明の他の実施形態として、一方のスタンドの、平面視凹形の一対の底板の片方の内側部のみに凹凸列を刻設し、他方のスタンドの平面視凸形の底板の前記凹凸列に対応する外側部のみに凹凸列を刻設して係合可能に構成し、前記一方のスタンドの底板の他の内側面はフラットとし、この面に対応する他方のスタンドの底板の外側部もフラットとして、面同士を衝合させる態様を採ることもできる。
【実施例1】
【0016】
図1および図2に、本発明の一実施例に係るブックエンドを示す。図1および図2において、はブックエンドであって、一方のスタンドAおよび他方のスタンドBからなる。2Aおよび2Bはそれぞれ一方のスタンドAの側板および他方のスタンドBの側板である。3Aおよび3Bは底板であり、一方のスタンドAの底板3Aは平面視凹形で側板の板面に垂直な方向(水平方向)に、側板2Aの下端部から屈曲して延在している。而して、側板2Aと底板3Aは一体的に形成されており、他方のスタンドBの側板2Bと底板3Bも同様に一体的に形成されている。
【0017】
一対の底板3Aそれぞれの内側部には、凹凸列、この実施例においては、鋸歯状(三角形)の凹凸列4Aが刻設されている。また、底板3Bの両外側部には、前記凹凸列に噛み合う凹凸列、この実施例においては、鋸歯状(三角形)の凹凸列4Bが刻設されている。底板3Aおよび3Bを係合するには、底板3Aおよび3B相互を鉛直方向に変位させて凹凸列4Aおよび4Bを噛み合わせ、係合状態とする。
【0018】
底板3Aおよび3Bの幅方向寸法は、この実施例においては、図2に示すように、一方のスタンドAの一対の底板3Aそれぞれの幅Wの2倍が他方のスタンドBの底板3Bの幅Wとなるようにしている。この実施例においては、2W+Wが側板2A又は2Bの幅と等しくなる。而して、書籍等の出し入れに際し、スタンドが回転ずれを生じ難くするとともに、段差等に起因する書籍等の奥行き方向における傾きを生じることもない。また、一方のスタンドAの一対の底板3Aそれぞれの幅Wの2倍が他方のスタンドBの底板3Bの幅Wとなるように、即ちW=2Wの関係とすることによって、図3に示すように、スタンドの多個連結が可能となる。
【0019】
図1および図2において、5Aは挿通凹部であって、スタンドAの側板2Aの幅方向中央部の下端屈曲部に形成される。挿通凹部5Aは、底板3A、3B相互を鉛直方向に変位させて離脱させ底板長手方向に移動させ、底板3Bを挿通凹部5Aに挿通させて側板2A、2Bの間隔を縮小或いは拡大するときに用いる。而して、挿通凹部5Aの鉛直方向寸法hは、底板の厚さtの少なくとも2倍である。5Bは挿通用切り欠き部であり、スタンドBの側板2Bの幅方向両部の下端屈曲部に形成される。挿通切り欠き部5Bは、底板3A、3B相互を鉛直方向に変位させて離脱させ底板長手方向に移動させ、底板3Aを挿通切り欠き部5Bに挿通させて側板2A、2Bの間隔を縮小或いは拡大するときに用いる。而して、挿通切り欠き部5Bの鉛直方向寸法hは、少なくとも底板の厚さtと等しい。
【0020】
次に、実施例1のブックエンドの用い方について説明する。
図3(a)、(b)、(c)、(d)、および(e)に、本発明の実施例1に示すブックエンドを構成するスタンドA、Bの係合の仕方の幾つかを示す。図3(a)に示すのは、スタンドAおよびスタンドBの対面係合であり、図1および図2に示すと同じ係合状態である。
【0021】
図3(b)に示すのは、スタンドAおよびスタンドBの同方向係合である。図3(c)に示すのは、横方向多個連結の態様である。この態様は、種類の異なる書籍や書類ファイルを分類して整理、収蔵する場合や書籍と書類ファイルを分けて整理、収蔵する場合等に適している。
【0022】
図3(d)に示すのは、縦方向多個連結の態様である。この態様は、奥行き方向に大きな寸法を有する書類ファイルや巻き状態の掛け軸等を整理、収蔵する場合に適している。図3(e)に示すのは、縦横方向多個連結の態様である。この態様は、奥行き方向に大きな寸法を有する書類ファイルや巻き状態の掛け軸等を幾つかに分類して整理、収蔵する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施例に係るブックエンドの斜視図
【図2】本発明の一実施例に係るブックエンドの各部の寸法関係を示す斜視図
【図3】本発明の一実施例に係るブックエンドの使用態様を示す斜視図 (a)は対面係合 (b)は同方向係合 (c)は横方向多連結 (d)は縦方向多連結 (e)は縦横方向多連結の態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
ブックエンド
A 一方のスタンド
B 他方のスタンド
2A 側板
2B 側板
3A 底板
3B 底板
4A 凹凸列
4B 凹凸列
5A 挿通用凹部
5B 挿通用切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板に対し水平方向に延在する底板を一体的に有する正面視L形状又は逆L形状となる一対のスタンドからなり、一方のスタンドは平面視凹形となる一対の底板をもち少なくともその片側の内側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、他方のスタンドは平面視凸形となる一つの底板をもち前記凹凸列に対応する外側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、前記一対のスタンドの底板の内外側部に並ぶ凹凸列相互が噛み合い両スタンドが係合状態となるよう構成してなるブックエンド。
【請求項2】
側板に対し水平方向に延在する底板を一体的に有する正面視L形状又は逆L形状となる一対のスタンドからなり、一方のスタンドは平面視凹形となる一対の底板をもちその両内側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、他方のスタンドは平面視凸形となる一つの底板をもちその両外側部に底板長さ方向に並ぶ凹凸列を刻設され、前記一対のスタンドの両底板の内外側部に並ぶ凹凸列相互が噛み合い両スタンドが係合状態となるよう構成してなるブックエンド。
【請求項3】
一方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向中央部において、他方のスタンドの底板を一方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用凹部を形成するとともに、他方のスタンドの側板下部の屈曲部幅方向両側部において、前記一方のスタンドの底板を他方のスタンドの底板から鉛直方向に変位離脱させて底板長さ方向に移動させるための挿通用切欠き部を形成してなる請求項1に記載のブックエンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−11733(P2009−11733A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180012(P2007−180012)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)