説明

ブラシコポリマー

(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、一般に、ブラシコポリマー、及び、表面の少なくとも一部の上にブラシコポリマーコーティングを有する眼科レンズなどのバイオメディカルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術の説明
シリコーン含有材料などから作られる眼科レンズなどのメディカルデバイスは長年にわたって研究されてきた。このような材料は、一般に、2つの主なクラス、すなわち、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルに細分できる。ヒドロゲルは水を吸収しそして平衡状態で水を保持するが、一方、非ヒドロゲルは評価可能な量の水を吸収しない。含水量に関係なく、ヒドロゲル及び非ヒドロゲルシリコーンメディカルデバイスは脂質に対する親和性が高い、比較的に疎水性で、非湿潤性である表面を有する傾向がある。この問題はコンタクトレンズで特に懸念される。
【0003】
このようなシリコーンコンタクトレンズが目に適合性となるようにレンズの表面を改質する必要性は当業者によって長年にわたって認識されてきた。レンズ表面の親水性を高めると、コンタクトレンズの湿潤性を改良することが知られている。このことは、次に、コンタクトレンズの装着快適性を改良することに繋がる。さらに、レンズの表面は、レンズの付着の受けやすさ、特に、レンズ装着の間に涙液から生じるタンパク質及び脂質の付着の受けやすさに影響を及ぼすことがある。蓄積した付着物は目の不快感又はさらには炎症まで生じさせることがある。長期装着レンズ(すなわち、就寝前に毎日レンズを外すことをしないで使用するレンズ)の場合には、表面は特に重要である。というのは、長期装着レンズは長時間にわたる高い快適性基準及び生体適合性を求めて設計しなければならないからである。
【0004】
シリコーンレンズは、その表面特性を改良するためにプラズマ表面処理を受けており、たとえば、表面がより親水性にされ、耐付着性にされ、耐スクラッチ性にされ、又は、別のやり方で変性されている。以前に開示されているプラズマ表面処理の例としてはコンタクトレンズの表面を不活性ガス又は酸素(たとえば、米国特許第4,055,378号明細書、同第4,122,942号明細書及び同第4,214,014号明細書を参照されたい)、種々の炭化水素モノマー(たとえば、米国特許第4,143,949号明細書を参照されたい)、及び、水及びエタノールなどの酸化剤及び炭化水素の組み合わせ(たとえば、国際公開第WO95/04609号明細書及び米国特許第4,632,844号明細書を参照されたい)を含むプラズマに付すことが挙げられる。米国特許第4,312,575号明細書はレンズを最初に炭化水素雰囲気に付し、次いで、レンズをフロー放電の間に酸素に付し、それにより、レンズ表面の親水性を増加させることにより行う電気グロー放電(プラズマ)法にレンズを付すことにより、シリコーン又はポリウレタンレンズ上にバリアコーティングを提供する方法を開示している。
【0005】
米国特許第6,582,752号明細書(‘754号特許明細書)は(a)表面に官能基を有する有機バルク材料を提供すること、(b)そのバルク材料の表面上の官能基を第一の化合物の第一の反応性基と反応させることによって、そのバルク材料の表面に第一の反応性基及びエチレン系不飽和二重結合を有する第一の化合物の層を共有結合させること、(c)そのバルク材料の表面上で、第二の反応性基を含むモノマー及び第一の親水性モノマーを共重合させて、第一の化合物を介して表面に共有結合された複数の一次ポリマー鎖を含むコーティングを形成すること、ここで、各一次ポリマー鎖は第二の反応性基を含む、(d)その一次ポリマー鎖の第二の反応性基を、第二の反応性基と共反応性である第三の反応性基及びエチレン系不飽和二重結合を含む第二の化合物と反応させて、一次ポリマー鎖に第二の化合物を共有結合させること、及び、(e)第二の親水性モノマーをグラフト重合させて、バルク材料の表面上に枝分かれ親水性コーティングを得ること、ここで、その枝分かれ親水性コーティングは複数の一次ポリマー鎖及び複数の二次鎖を含み、その各々は第二の化合物を介して一次鎖の1つに共有結合されている、の工程を含む、材料の表面をコーティングする方法を開示している。‘754号特許明細書に開示されている方法は基材上にコーティングを製造するのに複数の工程が関与しそして多くの試薬を使用するので時間がかかる。
【0006】
ブリスターパック及びガラスバイアルは顧客への販売のための各ソフトコンタクトレンズを個々にパッケージするのに通常に使用されている。コンタクトレンズのパッケージ及び製造に関連する種々の特許において言及されているとおり、パッケージ中でレンズを貯蔵するために一般に塩類溶液又は脱イオン水を使用する。レンズ材料はそれ自体及びレンズパッケージに付着する傾向があるので、ブリスターパックのためのパッケージ溶液は時々、レンズの折り返し及び付着性を減じ又は無くすように配合されてきた。パッケージ溶液はコンタクトレンズの快適性を改良するためのポリマーを含むことができる。ポリビニルアルコール(PVA)はコンタクトレンズパッケージ溶液中に使用されてきた。さらに、米国特許第6,440,366号明細書はポリエチレンオキシド(PEO)/ポリプロピレンオキシド(PPO)ブロックコポリマー、特に、ポロキサマー及びポロキサミンを含むコンタクトレンズパッケージ溶液を開示している。
【0007】
本願の譲受人であるBausch & Lomb Incorportedに共通して譲渡された米国特許出願公開第20080151181号明細書(‘181号出願明細書)は、内側層及び外側層でコーティングされた表面を有するコンタクトレンズであって、その内側層はボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を含むポリマーを含み、その外側層はジオールを含むものを開示している。‘181号出願明細書は、また、ジオール末端ポリビニルピロリジノン、ジオール末端ポリアクリルアミド、ジオール末端ポリエチレンオキシド及びジオール末端ポリエチレンオキシド(PEO)/ポリプロピレンオキシド(PPO)ブロックコポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種のジオール末端ポリマー成分を含むことを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
デバイスがより生体適合性となる光学的に透明で親水性のコーティングを表面上に有する、表面改質されたバイオメディカルデバイスを提供することが望ましいであろう。さらに、レンズの表面への微生物の付着を阻害しながら、親水性及び潤滑性が改良されたコンタクトレンズ上のコーティングを形成し、このため、レンズの長時間装着をより快適にすることも望ましいであろう。このようにして、生体適合化されたレンズは角膜に対して有害効果を伴わずに、夜通しで、好ましくは一週間以上連続装着することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明の1つの実施形態によると、(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーが提供される。
【0010】
本発明の第二の実施形態によると、ポリマーの主鎖に1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を含み、エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位のブリスルを含む、ブラシコポリマーが提供される。
【0011】
本発明の第三の実施形態によると、(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーを含むコーティングを表面の少なくとも一部の上に有するバイオメディカルデバイスが提供される。
【0012】
本発明の第四の実施形態によると、(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含む1種以上のブラシコポリマーに、複数のバイオメディカルデバイス表面官能基を有するバイオメディカルデバイスを暴露し、それにより、該バイオメディカルデバイス上に生体適合性表面を形成させることを含む、バイオメディカルデバイスの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第五の実施形態によると、(a)(i)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(ii)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーを含むコーティングを表面の少なくとも一部の上に有するバイオメディカルデバイスを提供すること、及び、(b)前記バイオメディカルデバイスを患者の目に挿入することを含む、バイオメディカルデバイスの表面に細菌が付着するのを阻害する方法が提供される。
【0014】
本発明のブラシコポリマーの主鎖にあるボロン酸部分はバイオメディカルデバイスの表面上のバイオメディカルデバイス表面官能基に結合し、一方、エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位のブリスルは親水性もしくは潤滑性(又はその両方)を表面に提供する。したがって、本発明のブラシコポリマーは、有利なことに、その親水性もしくは潤滑性(又はその両方)の表面のために、高レベルの性能品質及び/又は使用者に対する快適性を示す、改良された表面処理されたバイオメディカルデバイスを提供する。コンタクトレンズなどのここでのバイオメディカルデバイスの親水性及び/又は潤滑性表面は、涙の脂質及びタンパク質のレンズ上での吸着そして最終的にはレンズ内への吸収を実質的に阻害し又は制限し、このため、コンタクトレンズの透明性を維持する。これは、次いで、その性能品質を維持し、それにより、高レベルの快適性を使用者に提供する。さらに、本発明のブラシコポリマーはバイオメディカルデバイスの表面をより細菌付着耐性とするものと信じられる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明は体組織又は体液と直接的に接触することが意図されたメディカルデバイスの表面を処理するのに有用なブラシコポリマーに関する。一般に、「ポリマーブラシ」はポリマー鎖を含み、その1つの末端は表面に直接又は間接的に拘束されており、そのもう一つの末端は表面から延びて自由になっており、ブラシのブリスル(毛)と幾分か類似している。本発明のブラシコポリマーは少なくとも1つ又はそれ以上のタイプのボロン酸ポリマー鎖を有し、そのポリマー鎖はバイオメディカルデバイスの表面上のバイオメディカルデバイス表面官能基に結合しており、そして1つ以上のタイプの親水性マクロモノマーポリマー鎖を有し、そのポリマー鎖はバイオメディカルデバイスの表面上のバイオメディカルデバイス表面官能基に結合していない。本明細書中で使用されるときに、用語「結合している」、「結合性である」又は類似の趣旨の用語は、デバイスとブラシコポリマーコーティングとの結合をもたらす、デバイスの表面上の少なくとも1種の官能基とブラシコポリマーとの静電気、イオン的、錯体形成、水素結合又は他の相互作用などの種々の化学相互作用を指す。1つの実施形態において、本発明のブラシコポリマーは、(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を少なくとも含む。
【0016】
1個以上のボロン酸部分を含む適切なエチレン系不飽和モノマーの代表的な例としては、エチレン系不飽和含有アルキルボロン酸、エチレン系不飽和含有シクロアルキルボロン酸、エチレン系不飽和含有アリールボロン酸など及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい1個以上のボロン酸部分を有するエチレン系不飽和モノマーとしては4−ビニルフェニルボロン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、3−アクリルアミドフェニルボロン酸及びそれらの混合物が挙げられる。
【0017】
ここでの使用のためのアルキル基の代表的な例としては、たとえば、分子の残りの部分に対して、1〜約18個の炭素原子で、炭素原子と水素原子を含み、不飽和を含む又は含まない直鎖又は枝分かれ鎖炭化水素鎖基が挙げられ、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(イソプロピル)、n−ブチル、n−ペンチルなどが挙げられる。
【0018】
ここでの使用のためのシクロアルキル基の代表的な例としては、たとえば、約3〜約24個の炭素原子の置換もしくは未置換の非芳香族単環系もしくは多環系、たとえば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ペルヒドロナフチル、アダマンチル及びノルボルニル基橋架け環式基又はスピロ二環式基、たとえば、スピロ−(4,4)−ノン−2−イルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNを含むものなどが挙げられる。
【0019】
ここでの使用のためのアリール基の代表的な例としては、たとえば、約5〜約30個の炭素原子を含む、置換もしくは未置換の単環芳香族もしくは多環芳香族基、たとえば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、ビフェニルなどであって、場合により1つ以上のヘテロ原子、たとえば、O及びNを含むものなどが挙げられる。
【0020】
エチレン系不飽和モノマーのエチレン系不飽和部分の代表的な例としては、たとえば、(メタ)アクリレート含有基、(メタ)アクリルアミド含有基、ビニルカーボネート含有基、ビニルカルバメート含有基、スチレン含有基、イタコネート含有基、ビニル含有基、ビニルオキシ含有基、フマレート含有基、マレイミド含有基、ビニルスルホニル基などが挙げられる。本明細書中に使用されるときに、用語「(メタ)」は随意に存在しうるメチル置換基を表す。このため、たとえば、用語「(メタ)アクリレート」はメタクリレート又はアクリレートを表し、「(メタ)アクリルアミド」はメタクリルアミド又はアクリルアミドを表す。
【0021】
1つの実施形態において、エチレン系不飽和ボロン酸含有モノマーのエチレン系不飽和部分は下記一般式
【化1】

【0022】
(上式中、Rは水素又は1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、たとえば、メチルであり、各Rは独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又は−CO−Y−R’”基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、R’”は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは結合基(たとえば、1〜約12個の炭素原子を有する二価のアルケニル基)であり、Bは−O−又は−NH−であり、Zは−CO−、−OCO−又は−COO−であり、Arは6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、wは0〜6であり、aは0又は1であり、bは0又は1であり、そしてcは0又は1である)によって表される。エチレン系不飽和含有部分はペンダント基、末端基又はそれら両方の基として、ボロン酸含有モノマーに結合できる。
【0023】
ブラシコポリマーはエチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む。本明細書中で使用されるときに、用語「マクロモノマー」はフリーラジカル重合又は制御ラジカル重合により調製される高分子量ポリマーを表す。一般に、親水性マクロモノマーは数平均分子量が約500〜約200,000であり、そして好ましくは約500〜約20,000である。親水性基は親水性モノマーから誘導され、その親水性モノマーは、たとえば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのアクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルアセトアミドなどのアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミドなどのホルムアミドなど、N−ビニル−2−ピロリドンなどの環式ラクタム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル化アルコール、(メタ)アクリル化ポリ(エチレングリコール)など及びそれらの混合物である。エチレン系不飽和含有部分は上記で議論したエチレン系不飽和含有部分のいずれかであることができる。当業者が容易に評価するように、エチレン系不飽和含有部分はペンダント基、末端基、又はその両方として親水性モノマーに結合されうる。
【0024】
1つの実施形態において、親水性マクロモノマーは制御ラジカル重合を用いて、すなわち、原子移動ラジカル重合(ATRP)又は可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合により、迅速に重合されうる。RAFT重合は十分に決められた分子量分布及び狭い多分散を有する親水性マクロモノマーの製造を可能にする連鎖移動剤を使用する。RAFT重合は様々なビニルモノマーと適合性があるので特に好ましい。たとえば、ヒドロキシ官能化キサンテートRAFT剤、たとえば、2−ヒドロキシエチル2−(エトキシキサンチル)プロピオネート(HEEXP)はNVPなどのモノマーとともに使用でき(スキームA)、カルボキシレート官能性トリチオカーボネートRAFT剤、たとえば、2−メチル2−(ドデシルチオカルボニルチオ)プロパン酸(MDTCTPA)はDMAなどのより反応性のモノマーとともにうまく機能する(スキームB)。ジチオカルバメート及び脂肪族もしくは芳香族ジチオエステルなどの他のRAFT剤タイプも使用されるビニルモノマーのタイプによって使用できる。スキームA、B及びCに例示されるとおりの、適切な末端基官能性を有するRAFT剤を使用して、本発明のブラシコポリマーを形成するのに使用される親水性マクロモノマーを調製することができる。
【0025】
スキームA
【化2】

上式中、nは5〜約200であり、好ましくは5〜約20である。
【0026】
スキームB
【化3】

nは上記の意味である。
【0027】
スキームC
【化4】

nは上記の意味である。
【0028】
別の実施形態において、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーは、まず、(1)親水性モノマーと適切な連鎖移動剤を混合し、(2)重合開始剤を添加し、そして(3)モノマー/開始剤混合物を熱源に付すことにより得ることができる。適切な連鎖移動剤としては、限定するわけではないが、チオグリコール酸、メルカプトエタノールなどが挙げられる。典型的な開始剤としては、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、コプリリルペルオキシド(coprylyl peroxide)、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシピバレート、ナトリウムペルカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)によって例示されるタイプのフリーラジカル生成性重合開始剤が挙げられる。使用される開始剤のレベルはモノマーの混合物の0.01〜2質量%の範囲であろう。通常、上記のモノマーの混合物はフリーラジカル生成剤とともに温められる。
【0029】
反応は約50℃〜約70℃の温度で約12時間〜約72時間行うことができる。反応は適切な溶剤の存在下に行うことができる。適切な溶剤は、原則的に、使用されるモノマーを溶解させるすべての溶剤であり、たとえば、ジメチルホルムアミドなどのカルボキサミド、ジメチルスルホキシドなどの極性非プロトン性溶剤、アセトン又はシクロヘキサノンなどのケトン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル、及びトルエンなどの炭化水素などである。
【0030】
次に、エチレン系不飽和含有部分は過剰量のアクリロイル又はメタクリロイルクロリドのいずれかを用いて、トリエチルアミンなどのアミン掃去剤の存在下に導入される。反応は室温にて行うことができる。1つの実施形態において、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーは下記のスキームD及びEに概して示されている方法により調製されうる。
【0031】
【化5】

【0032】
ブラシコポリマーはポリマー主鎖に第三級アミン末端部分を含むモノマー単位をさらに含むことができる。ボロン酸モノマー及び親水性マクロモノマーと共重合されうる適切なモノマーは第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーである。代表的な例としては、限定するわけではないが、2−(N,N−ジメチル)エチルアミノ(メタ)アクリレート、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル](メタ)アクリルアミド、N−[(3−ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリレート、N−[(3−ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルベンジル−N,N−ジメチルアミンなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0033】
本発明のブラシコポリマーはポリマー主鎖に親水性部分を含むモノマー単位をさらに含んでよい。代表的な例としては、限定するわけではないが、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなど、N−ビニル−N−メチルアセトアミド及びN−ビニルアセトアミドなどのアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド及びN−ビニル−ホルムアミドなどのホルムアミド、N−ビニル−2−ピロリドンなどの環式ラクタム、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル化アルコール、(メタ)アクリル化ポリ(エチレングリコール)など及びそれらの混合物が挙げられる。ポリマー鎖中の親水性モノマー単位は、使用されるときに、コポリマーが水溶性となることを確保し、それにより、レンズ表面にポリマーを適用するときに、有機溶剤中にコポリマーを溶解させる必要がない。
【0034】
1つのクラスのブラシコポリマーは(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位、(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位、(c)第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(d)コポリマーを水溶性とするのに十分な量のエチレン系不飽和親水性モノマーから誘導されるモノマー単位を含むコポリマーである。このクラスのコポリマーはボロン酸含有モノマー単位を約1〜約20モル%、好ましくは約2〜約10モル%、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、好ましくは約2〜約10モル%、第三級アミン含有モノマー単位を約1〜約20モル%、好ましくは約2〜約10モル%、及び、親水性モノマー単位を約40〜約90モル%、好ましくは約50〜約80モル%含む。
【0035】
本発明のブラシコポリマーは当業者に慣用されている重合反応によって得ることができる。通常、ポリマー又は鎖はモノマー/光開始剤混合物を紫外線又は化学線光源及び/又は高温に付しそして混合物を硬化させることにより形成されうる。典型的な重合開始剤としては、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、カプリリルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシピバレート、ナトリウムペルカーボネート、tert-ブチルペルオクトエート及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのフリーラジカル生成性重合開始剤が挙げられる。ジエトキシアセトフェノンなどの典型的な紫外線フリーラジカル開始剤も使用できる。硬化プロセスは、もちろん、使用される開始剤及び粘度などのモノマー又はモノマー混合物の物性によるであろう。いずれの場合にも、使用される開始剤のレベルはモノマーの混合物の約0.001〜約2質量%の範囲であろう。
【0036】
得られるブラシポリマーを形成するための重合は溶剤の存在下又は非存在下で行うことができる。適切な溶剤は、原則として、モノマー混合物中に存在するモノマーのすべてを溶解することができる溶剤である。好ましい実施形態において、適切な溶剤は極性溶剤、たとえば、水、低級アルカノール、たとえば、メタノール及びメタノールなどのアルコールなどである。
【0037】
本発明の別の実施形態において、表面に本発明のブラシコポリマーを含むバイオメディカルデバイスが提供される。ブラシコポリマーはバイオメディカルデバイスの全表面にわたり又はバイオメディカルデバイス表面の一部分のみにわたり提供されうる。本明細書中で使用されるときに、用語「バイオメディカルデバイス」は哺乳類の組織又は体液の上又は中で、好ましくはヒトの組織又は体液の上又は中で使用されるように設計される任意の製品を意味するものと理解されるであろう。バイオメディカルデバイスの代表的な例としては、限定するわけではないが、人工尿管、横隔膜、子宮内デバイス、心臓弁、カテーテル、義歯ライナー、プロテーゼデバイス、レンズが目の中又はその上に直接的に配置されることが意図された眼科レンズアプリケーション、たとえば、眼内デバイス及びコンタクトレンズが挙げられる。好ましいバイオメディカルデバイスは眼科デバイス、特にコンタクトレンズであり、最も特には、シリコーンヒドロゲルから作られたコンタクトレンズである。
【0038】
本明細書中で使用されるときに、用語「眼科デバイス」は目の中又はその上に配置されるデバイスを指す。これらのデバイスは光学補正、創傷ケア、ドラッグデリバリー、診断機能性もしくは美容向上もしくは効果又はこれらの特性の組み合わせを提供することができる。有用な眼科デバイスとしては、限定するわけではないが、眼科レンズ、たとえば、ソフトヒドロゲルレンズ、ソフト非ヒドロゲルレンズなどのソフトコンタクトレンズ、ハード通気性レンズ材料などのハードコンタクトレンズ、眼内レンズ、オーバーレイレンズ、眼科インサート、光学インサートなどが挙げられる。当業者に理解されるとおり、もし破損することなくレンズ自体を折り返すことができるならば、レンズはソフトであると考えられる。
【0039】
本発明により表面改質されるバイオメディカルデバイスは上記のとおりのバイオメディカルデバイスを形成することができる当該技術分野において知られた任意の材料であることができる。1つの実施形態において、バイオメディカルデバイスとしては、それ自体が親水性でない材料から形成されたデバイスが挙げられる。このようなデバイスは当該技術分野において知られた材料から形成され、そして、たとえば、ポリシロキサン、ペルフルオロポリエーテル、フッ素化ポリ(メタ)アクリレート又は、たとえば、他の重合性カルボン酸から誘導される同様のフッ素化ポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート又は他の重合性カルボン酸から誘導される同様のアルキルエステルポリマー、又は、フッ素化ポリオレフィン、たとえば、フッ素化エチレンプロピレンポリマーもしくはテトラフルオロエチレンで、好ましくはジオキソールとの組み合わせのもの、たとえば、ペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソールが挙げられる。適切なバルク材料の代表的な例として、限定するわけではないが、ロトラフィルコンA(Lotrafilcon A)、ネオフォコン(Neofocon)、パシフォコン(Pasifocon)、テレフォコン(Telefocon)、シラフォコン(Silafocon)、フルオルシルフォコン(Fluorsilfocon)、パフルフォコン(Paflufocon)、シラフォコン(Silafocon)、エラストフィルコン(Elastofilcon)、フルオロフォコン(Fluorofocon)又はテフロン(登録商標)AF(Teflon AF)材料が挙げられ、たとえば、テフロン(登録商標)AF 1600又はテフロン(登録商標)AF2400であり、それらは約63〜約73モル%のペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール及び約37〜約27モル%のテトラフルオロエチレン又は約80〜約90モル%のペルフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール及び約20〜約10モル%のテトラフルオロエチレンのコポリマーである。
【0040】
別の実施形態において、バイオメディカルデバイスとしては、それ自体が親水性である材料から形成されるデバイスが挙げられる。というのは、カルボキシ基、カルバモイル基、スルフェート基、スルホネート基、ホスフェート基、アミン基、アンモニウム基又はヒドロキシ基などの反応性基は材料中に生来的に存在し、そしてそれゆえ、それから製造されるバイオメディカルデバイスの表面に存在するからである。このようなデバイスは当該技術分野において知られている材料から形成され、そして、たとえば、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド(DMA)、ポリビニルアルコールなど、及びそのコポリマー、たとえば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルアルコールなどから選ばれる2種以上のモノマーから得られるコポリマーが挙げられる。適切なバルク材料の代表的な例としては、限定するわけではないが、ポリマコン(Polymacon)、テフィルコン(Tefilcon)、メタフィルコン(Methafilcon)、デルタフィルコン(Deltafilcon)、ブフィルコン(Bufilcon)、フェムフィルコン(Phemfilcon)、オキュフィルコン(Ocufilcon)、フォコフィルコン(Focofilcon)、エタフィルコン(Etafilcon)、ヘフィルコン(Hefilcon)、ビフィルコン(Vifilcon)、テトラフィルコン(Tetrafilcon)、ペルフィルコン(Perfilcon)、ドロキシフィルコン(Droxifilcon)、ジメフィルコン(Dimefilcon)、イソフィルコン(Isofilcon)、マフィルコン(Mafilcon)、ネルフィルコン(Nelfilcon)、アタフィルコン(Atlafilcon)などが挙げられる。他の適切なバルク材料の例としては、バラフィルコンA(balafilcon A)、ヒラフィルコンA(Hilafilcon A)、アルファフィルコンA(Alphafilcon A)、ビラフィルコンB(Bilafilcon B)などが挙げられる。
【0041】
別の実施形態において、本発明により表面改質されるバイオメディカルデバイスとしては、少なくとも1つの疎水性セグメント及び少なくとも1つの親水性セグメントを含み、それらのセグメントが結合又は橋かけ部分によって結合されている両親媒性セグメント化コポリマーである材料から形成されたデバイスが挙げられる。
【0042】
コンタクトレンズを含む眼科デバイスのために一般に使用される軟質及び剛性材料の両方を含む生体適合性材料をここで使用することは特に有用である。一般に、非ヒドロゲル材料は平衡状態で水を含まない疎水性ポリマー材料である。典型的な非ヒドロゲル材料はシリコーンアクリル、たとえば、嵩高シリコーンモノマー(たとえば、一般にTRISモノマーとして一般に知られるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート)、メタクリレートエンドキャップされたポリ(ジメチルシロキサン)プレポリマー、又は、フルオロアルキル側基を有するシリコーン(ポリシロキサンは一般にシリコーンポリマーとしても知られる)から形成されたものを含む。
【0043】
他方、ヒドロゲル材料は、平衡状態で水を含有する、水和された架橋したポリマー系を含む。ヒドロゲル材料は約5質量%以上(たとえば、約80質量%以下)の水を含む。好ましいヒドロゲル材料としては、シリコーンヒドロゲル材料が挙げられる。1つの実施形態において、材料としては、親水性モノマーと共重合したビニル官能化ポリジメチルシロキサン、ならびに、親水性モノマーと共重合したフッ素化メタクリレート及びメタクリレート官能化フッ素化ポリエチレンオキシドが挙げられる。ここでの使用に適する材料の代表的な例としては、米国特許第5,310,779号明細書、同第5,387,662号明細書、同第5,449,729号明細書、同第5,512,205号明細書、同第5,610,252号明細書、同第5,616,757号明細書、同第5,708,094号明細書、同第5,710,302号明細書、同第5,714,557号明細書及び同第5,908,906号明細書に開示されているものが挙げられ、その内容を参照により本明細書中に取り込む。
【0044】
1つの実施形態において、コンタクトレンズなどのバイオメディカルデバイスのためのヒドロゲル材料は1種以上の不飽和カルボン酸、ビニルラクタム、アミド、重合性アミン、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、オキサゾロンモノマーなどの親水性モノマー、そのコポリマー及びそれらの混合物を含むことができる。有用なアミドとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジメチルメタクリルアミドなどのアミドが挙げられる。有用なビニルラクタムとしては、N−ビニル−2−ピロリドンなどの環状ラクタムが挙げられる。他の親水性モノマーの例としては、重合性基により官能化されたポリ(アルキレングリコール)などの親水性プレポリマーが挙げられる。有用な官能化ポリ(アルキレングリコール)の例としては、モノメタクリレート又はジメタクリレートエンドキャップを含む様々な鎖長のポリ(ジエチレングリコール)が挙げられる。好ましい実施形態において、ポリ(アルケングリコール)ポリマーは少なくとも2つのアルケングリコールモノマー単位を含む。なおもさらなる例は米国特許第5,070,215号明細書に開示されている親水性ビニルカーボネートもしくはビニルカルバメートモノマー及び米国特許第4,910,277号明細書に開示されている親水性オキサゾロンモノマーである。他の適切な親水性モノマーは当業者に明らかであろう。別の実施形態において、ヒドロゲル材料はシロキサン含有モノマー及び少なくとも1種の上記の親水性モノマー及び/又はプレポリマーを含むことができる。
【0045】
疎水性モノマーの限定しない例はC〜C20アルキル及びC〜C20シクロアルキル(メタ)アクリレート、置換及び未置換アリール(メタ)アクリレート(ここで、アリール基は6〜36個の炭素原子を含む)、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、低級アルキルスチレン、低級アルキルビニルエーテル及びC〜C10ペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート及び対応する部分的にフッ素化された(メタ)アクリレートである。
【0046】
広範な材料がここでは使用されてよく、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ材料は特に好ましい。シリコーンヒドロゲルは一般に含水率が約5質量%を超え、より一般的には、約10〜約80質量%である。このような材料は、通常、少なくとも1種のシリコーン含有モノマー及び少なくとも1種の親水性モノマーを含む混合物を重合することにより調製される。通常、シリコーン含有モノマー又は親水性モノマーのいずれかは架橋剤(架橋剤は複数の重合性官能基を有するモノマーとして定義される)として機能するか、又は、別の架橋剤が使用されることができる。シリコーンヒドロゲルの形成に使用される応用可能なシリコーン含有モノマーは当該技術分野においてよく知られており、そして多くの例は、米国特許第4,136,250号明細書、同第4,153,641号明細書、同第4,740,533号明細書、同第5,034,461号明細書、同第5,070,215号明細書、同第5,260,000号明細書、同第5,310,779号明細書及び同第5,358,995号明細書に提供されている。
【0047】
応用可能なシリコーン含有モノマーの代表的な例として、嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。嵩高なポリシロキサニルアルキル(メタ)アクリルモノマーの例は下記式Iの構造で表される。
【0048】
【化6】

【0049】
上式中、Xは−O−又は−NR−であり、Rは水素又はC〜Cアルキルであり、各Rは独立に水素又はメチルであり、各Rは独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【0050】
【化7】

【0051】
であり、ここで、各R2’は独立に低級アルキル又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0052】
他の応用可能なシリコーン含有モノマーの代表的な例としては、限定するわけではないが、下記式Iaとして一般に記載される嵩高なポリシロキサニルアルキルカルバメートモノマーなどが挙げられる。
【0053】
【化8】

【0054】
上式中、Xは−NR−であり、ここで、Rは水素又はC〜Cアルキルであり、Rは水素又はメチルであり、各Rは独立に低級アルキル基、フェニル基又は下記式の基
【化9】

【0055】
により表される基であり、ここで、各R2’は独立に低級アルキル又はフェニル基であり、hは1〜10である。
【0056】
嵩高なモノマーの例は3−メタクリロイルオキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン又はしばしばTRISと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート及びしばしばTRIS−VCと呼ばれるトリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルビニルカルバメートなどならびにそれらの混合物である。
【0057】
このような嵩高なモノマーはシリコーンマクロモノマーと共重合することができ、そのシリコーンマクロモノマーは分子の2つ以上の末端において不飽和基によってキャッピングされたポリ(オルガノシロキサン)である。米国特許第4,153,641号明細書は、たとえば、アクリルオキシ基又はメタクリルオキシ基などの様々な不飽和基を開示している。
【0058】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、限定するわけではないが、シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマー、たとえば、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ)ブト−1−イル]テトラメチルジシロキサン、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル[トリス(トリメチルシロキシ)シラン]、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチルシロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネートなど及びそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
別のクラスのシリコーン含有モノマーとしては、ポリウレタン−ポリシロキサンマクロモノマー(時折、プレポリマーとも呼ぶ)が挙げられ、それは伝統的なウレタンエラストマーと同様のハード−ソフト−ハードブロックを有することができる。それはHEMAなどの親水性モノマーによりエンドキャッピングされていてよい。このようなシリコーンウレタンの例はLai, Yu-Chin, “The Role of Bulky Polysiloxanylalkyl Methacrylates in Polyurethane-Polysiloxane Hydrogels,”Journal of Applied Polymer Science, Vol. 60, 1193-1199(1996)を含む様々な文献中に開示されている。国際公開WO96/31792号明細書はこのようなモノマーの例を開示しており、その開示の全体を参照により本明細書中に取り込む。シリコーンウレタンモノマーのさらなる例は式II及びIIIによって表される。
E(G)E’ (II) 又は
E(A)E’ (III)
【0060】
上式中、Dは独立にアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、6〜約30個の炭素原子を有し、
Gは独立にアルキル二価基、シクロアルキル二価基、アルキルシクロアルキル二価基、アリール二価基又はアルキルアリール二価基であり、1〜約40個の炭素原子を有し、そしてそれは、エーテル、チオ又はアミン結合を主鎖に含むことができ、
*はウレタン又はウレイド結合であり、
aは少なくとも1であり、
Aは独立に式IVの二価ポリマー基であり、
【0061】
【化10】

【0062】
各Rは独立に1〜約10個の炭素原子を有するアルキル又はフルオロ置換アルキルであり、それは炭素原子の間にエーテル結合を含むことができ、m’は少なくとも1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、
各E及びE’は独立に式Vにより表される重合性不飽和有機基であり、
【0063】
【化11】

【0064】
上式中、Rは水素又はメチルであり、
は水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、又は、−CO−Y−R基であり、ここで、Yは−O−、−S−又は−NH−であり、
は1〜約10個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり、
は1〜約12個の炭素原子を有するアルキル基であり、
Xは−CO−又は−OCO−であり、
Zは−O−又は−NH−であり、
Arは約6〜約30個の炭素原子を有する芳香族基であり、
wは0〜6であり、xは0又は1であり、yは0又は1であり、zは0又は1である。
【0065】
好ましいシリコーン含有ウレタンモノマーは下記式VIにより表される。
【化12】

【0066】
上式中、mは少なくとも1であり、好ましくは3又は4であり、aは少なくとも1であり、好ましくは1であり、pは約400〜約10,000の部分分子量を提供する数であり、好ましくは少なくとも約30であり、Rはイソシアネート基を取り除いた後のジイソシアネートの二価基であり、たとえば、イソホロンジイソシアネートの二価基であり、各E”は下記の基である。
【0067】
【化13】

【0068】
本発明の別の実施形態において、シリコーンヒドロゲル材料は(バルクで、すなわち、共重合されるモノマー混合物中に)、1種以上のシリコーンマクロモノマーを約5〜約50質量%、好ましくは約10〜約25質量%、1種以上のポリシロキサンニルアルキル(メタ)アクリレートモノマーを約5〜約75質量%、好ましくは約30〜約60質量%、及び、親水性モノマーを約10〜約50質量%、好ましくは約20〜約40質量%で含む。一般に、シリコーンマクロモノマーは分子の2つ以上の末端において不飽和基によってキャッピングされたポリ(オルガノシロキサン)である。上記の構造式中の末端基に加えて、米国特許第4,153,641号明細書は、たとえば、アクリルオキシ基又はメタクリルオキシ基を含む追加の不飽和基を開示している。米国特許第5,310,779号明細書、同第5,449,729号明細書及び同第5,512,205号明細書中に開示されているようなフマレート含有材料も本発明に係る有用な基材である。シランマクロモノマーはシリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメート、あるいは、1つ以上のハード−ソフト−ハードブロックを有しかつ親水性モノマーによりエンドキャッピングされたポリウレタン−ポリシロキサンであることができる。
【0069】
別のクラスの代表的なシリコーン含有モノマーとしては、フッ素化モノマーが挙げられる。このようなモノマーはフルオロシリコーンヒドロゲルの生成に使用されており、結果として、それから作られたコンタクトレンズ上の付着物の蓄積を抑制し、そのことは、たとえば、米国特許第4,954,587号明細書、同第5,010,141号明細書及び同第5,079,319号明細書に記載されるとおりである。特定のフッ素化側基、すなわち、−(CF)−Hを有するシリコーン含有モノマーの使用は、親水性モノマー単位とシリコーン含有モノマー単位との相容性を改良することが発見されている。たとえば、米国特許第5,321,108号明細書及び同第5,387,662号明細書を参照されたい。
【0070】
上記のシリコーン材料は単なる例示であり、そして本発明に係る親水性コーティング組成物によりコーティングされることで利益を受けることができ、様々な刊行物中に開示され、コンタクトレンズ及び他のメディカルデバイスにおける使用のために継続的に開発されている基材としての使用のための他の材料も、また、使用できる。たとえば、バイオメディカルデバイスは少なくとも1種のカチオン性モノマー、たとえば、カチオン性シリコーン含有モノマー又はカチオン性フッ素化シリコーン含有モノマーから形成されうる。
【0071】
本発明の応用のためのコンタクトレンズは所望の前方レンズ表面及び後方レンズ表面を有する成形品を生じるようにして種々の従来技術を用いて製造できる。スピンキャスティング法は米国特許第3,408,429号明細書及び同第3,660,545号明細書に開示されており、そして静的キャスティング法は米国特許第4,113,224号明細書、同第4,197,266号明細書及び同第5,271,876号明細書に開示されている。モノマー混合物を硬化させ、次いで、機械加工操作をし、所望の最終形態のコンタクトレンズを提供することができる。たとえば、米国特許第4,555,732号明細書は、前方レンズ表面及び比較的に大きい厚さを有する成形品を形成するモールド中にスピンキャスティングすることで過剰のモノマー混合物を硬化させる方法を開示している。次いで、その硬化したスピンキャスティングされた製品の後方表面を旋盤切削して、所望の厚さ及び後方レンズ表面を有するコンタクトレンズを提供する。縁仕上げ操作などのさらなる機械加工操作もレンズ表面の旋盤切削の後に行ってよい。
【0072】
通常、モノマー混合物の重合により製造される重合後の生成物の相分離を最少にし、そして反応しているポリマー混合物のガラス転移温度を下げるために初期モノマー混合物中に有機希釈剤を添加し、それにより、より効率的な硬化プロセスを可能にしそして最終的に、より均一に重合した生成物となることができる。初期モノマー混合物及び重合した生成物の十分な均一性はシリコーンヒドロゲルとって特に重要であり、そのことは親水性コモノマーから分離する傾向がありうるシリコーン含有モノマーを含んでいるからである。
【0073】
適切な有機希釈剤としては、たとえば、C〜C10直鎖脂肪族一価アルコールなどの一価アルコール、たとえば、n−ヘキサノール及びn−ノナノール、エチレングリコールなどのジオール、グリセリンなどのポリオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル、メチルエチルケトンなどのケトン、エナント酸メチルなどのエステル、及び、トルエンなどの炭化水素が挙げられる。好ましくは、有機希釈剤は十分に揮発性であり、それにより、周囲圧力又はその付近の圧力での蒸発によって硬化品から容易に除去される。
【0074】
一般に、希釈剤はモノマー混合物の約5〜約60質量%で含まれていてよく、約10〜約50質量%は特に好ましい。必要ならば、硬化したレンズは溶剤除去に付されてよく、その溶剤除去は周囲圧力もしくはその付近の圧力又は真空下に蒸発により行うことができる。希釈剤の蒸発に必要な時間を短縮するために高温を用いてもよい。
【0075】
有機希釈剤の除去に次いで、レンズを離型に付し、所望により、機械加工操作に付すことができる。機械加工工程は、たとえば、レンズの縁及び/又は表面をバフ研磨又はポリッシングすることを含む。一般に、このような機械加工プロセスはモールド部品から製品を解放する前又はその後に行われてよい。例として、真空ピンセットを用いてモールドからレンズを持ち上げることによってレンズをモールドから乾燥解放してよい。
【0076】
当業者が容易に理解するであろうように、本発明に係るバイオメディカルデバイスのバイオメディカルデバイス表面官能基はデバイスの表面に生来的に存在することができる。しかしながら、もし、バイオメディカルデバイスが少なすぎる官能基を含む又は官能基を含まないならば、デバイスの表面は、既知の技術、たとえば、プラズマ化学法(たとえば、WO94/06485を参照されたい)又は−OH又は−COHなどの基による従来の官能化によって変性されうる。適切なバイオメディカルデバイスのバイオメディカルデバイス表面官能基は当業者によく知られた広範な基を含む。このような官能基の代表的な例としては、限定するわけではないが、ヒドロキシ基、シス1,2−ジオール、シス1,3−ジオール、α−ヒドロキシ酸基(たとえば、シアル酸、サリチル酸)、カルボン酸、ジカルボン酸、カテコール、シラノール、シリケートなどが挙げられる。
【0077】
好ましい実施形態において、上記のバイオメディカルデバイスはコロナ放電又はプラズマ酸化などの酸化表面処理を受け、次いで、本発明に係るブラシコポリマーによる処理を受ける。たとえば、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)又はポリ(N−ビニルピロリジノン)などの親水性ポリマーを含むシリコーンヒドロゲル製剤などのバイオメディカルデバイスは酸化表面処理を受け、レンズの表面上に少なくともシリケートを生成し、その後、レンズを、本発明のブラシコポリマーを含む水溶液により処理し、潤滑性で、安定で、高度に湿潤性のブラシコポリマーをベースとする表面コーティングとする。錯体形成処理は有利にはオートクレーブ条件(滅菌条件)下に行われる。
【0078】
プラズマプロセス(「電気グロー放電プロセス」とも呼ぶ)などの標準法は、バイオメディカルデバイスの表面の少なくとも一部にブラシコポリマーを結合させる前に、バイオメディカルデバイス上に薄い耐久性の表面を提供する。このようなプラズマプロセスの例は米国特許第4,143,949号明細書、同第4,312,575号明細書及び同第5,464,667号明細書に提供されている。
【0079】
プラズマプロセスは一般に当該技術分野においてよく知られているが、下記に簡単な概要を示す。プラズマ表面処理は、低圧にてガスをとおして放電を行うことを含む。放電は無線周波数(通常、13.56MHz)であることができるが、マイクロ波及び他の周波数も使用してよい。放電は気体状態の原子及び分子によって吸収され、エネルギー電子及びイオン、原子(基底状態及び励起状態)、分子及びラジカルを生じることに加えて、紫外線(UV)を生じる。このように、プラズマは基底状態及び励起状態の原子及び分子の複雑な混合物であり、それは放電が開始された後に定常状態に達する。循環電界により、これらの励起原子及び分子が生じ、互いに衝突し、また、チャンバーに衝突し、そして処理される材料の表面に衝突する。
【0080】
材料の表面へのプラズマからのコーティングの堆積はスパッタの補助(スパッタアシスト堆積)を用いずに高エネルギープラズマから可能であることが示された。連続もしくはパルスプラズマを用いて、適切には約1000ワットという高い電力で、基材上に、低圧雰囲気(約0.005〜約5トール、好ましくは約0.001〜約1トール)でモノマーを気相から堆積させそして重合させることができる。たとえば、約100ミリ秒間オンとし、その後オフする変調プラズマを用いることができる。さらに、基材上に気相からの蒸気を凝縮させ、次いで、プラズマを用いてこれらの材料を基材と化学反応させるのに液体窒素冷却を用いてきた。しかし、プラズマは堆積を行うために外部冷却又は外部加熱を要求しない。低い又は高いワット数(たとえば、約5〜約1000、好ましくは約20〜約500ワット)のプラズマはシリコーンを含む、最も耐薬品性が高い基材に対してさえコーティングを行うことができる。
【0081】
低エネルギー放電による開始の後に、プラズマ中に存在するエネルギー自由電子間の衝突により、イオン、励起分子及びフリーラジカルが生じる。このような種は、一旦生成されると、気相中でそれら同士で反応し、また、さらに基底状態の分子とも反応することができる。プラズマ処理はエネルギーガス分子が関与するエネルギー依存性プロセスと理解できる。レンズの表面で起こる化学反応では、荷電状態の要求される種(元素又は分子)及び粒子エネルギーを必要とする。無線周波数プラズマは一般にエネルギー種の分布を生じさせる。通常、「粒子エネルギー」はエネルギー種の、いわゆるボルツマンスタイルエネルギー分布の平均を指す。低密度プラズマにおいて、電子エネルギー分布はプラズマを維持している電解強度/放電圧力の比(E/p)に関連されうる。プラズマ電力密度Pは当業者によって理解されるとおり、ワット数、圧力、ガスの流速などの関数である。プラズマ技術に関する背景情報は下記のものに含まれ、それを参照により本明細書中に取り込む:A. T Bell, Proc. Intl. Conf. Phenom. Ioniz. Gases, "Chemical Reaction in Nonequilibrium Plasmas", 19-33 (1977), J. M. Tibbitt, R. Jensen, A. T. Bell, M. Shen, Macromolecules, "A Model for the Kinetics of Plasma Polymerization", 3, 648-653 (1977); J. M. Tibbitt, M. Shen, A. T. Bell, J. Macromol. Sci.-Chem., "Structural Characterization of Plasma-Polymerized Hydrocarbons", AlO, 1623-1648 (1976); C. P. Ho, H. Yasuda, J. Biomed, Mater. Res., " Ultrathin coating of plasma polymer of methane applied on the surface of silicone contact lenses", 22, 919-937 (1988); H. Kobayashi, A. T. Bell, M. Shen, Macromolecules, "Plasma Polymerization of Saturated and Unsaturated Hydrocarbons", 3, 277-283 (1974); R. Y. Chen, 米国特許第4,143,949号、1979年3月13日、"Process for Putting a Hydrophilic Coating on a Hydrophobic Contact lens"; 及び、H. Yasuda, H. C. Marsh, M. O. Bumgarner, N. Morosoff, J. of Appl. Poly. Sci., "Polymerization of Organic Compounds in an Electroless Glow Discharge. VI. Acetylene with Unusual Co-monomers", 19, 2845-2858 (1975)。
【0082】
プラズマ技術の分野のこの以前の研究に基づいて、プラズマ改質の速度に対する圧力及び放電電力の変化の効果が理解できる。圧力が増加すると、速度は一般に減少する。このため、圧力が増加すると、プラズマを維持している電解強度/ガス圧力の比の値であるE/pは減少し、そして平均電子エネルギーの減少が起こる。代わりに、電子エネルギーの減少はすべての電子−分子衝突プロセスの速度係数の低下をもたらす。圧力の増加のさらなる結果として、電子密度の減少となる。圧力が一定に維持されるならば、電子密度と電力とは直線関係となるはずである。
【0083】
実際、コンタクトレンズは未水和状態でそれを電気グロー放電反応容器(たとえば、真空チャンバー)内に配置することにより表面処理される。このような反応容器は市販されている。レンズはアルミニウムトレイ(これは電極として作用する)上で又はレンズの位置を調節するように設計された他の支持デバイスで容器内に支持されうる。レンズの両面を表面処理することが可能となる特殊支持デバイスの使用は当該技術分野において知られており、ここで使用されうる。
【0084】
上記のとおり、シリコーンヒドロゲル連続装着レンズなどのレンズの表面は最初に処理され、たとえば、プラズマの使用により酸化され、それにより、続いて行うブラシコポリマーの表面堆積物をレンズに対してより付着性とする。レンズのこのようなプラズマ処理は適切な媒体、たとえば、酸素、空気、水、過酸化物、O(酸素ガス)など又はそれらの適切な組み合わせなどの酸化性媒体からなる雰囲気中で、通常、放電周波数約13.56Mhzで、好ましくは約20〜約500ワットで、約0.1〜約1.0トールの圧力で、好ましくは約10秒〜10分間又はそれ以上、より好ましくは約1〜約10分間行うことができる。比較的に「強い」プラズマをこの工程で用い、5%過酸化水素溶液をとおして引いた周囲空気を用いることが好ましい。当業者は次のブラシコポリマー層の結合のための付着性を改良し又は促進する他の方法を知っているであろう。
【0085】
バイオメディカルデバイスは、その後、本発明に係る表面処理を受ける。一般に、湿潤性シリコーンベースヒドロゲルレンズを、少なくとも1種又はそれ以上の本発明のブラシコポリマーを含む溶液と接触させ、それにより、ブラシコポリマーはバイオメディカルデバイスの表面上の複数のバイオメディカルデバイス表面官能基と錯体を形成する。バイオメディカルデバイスは直接的にモールドアセンブリー中で少なくともブラシコポリマーを含む溶液と接触するか、又は、バイオメディカルデバイスはモールドアセンブリーから解放され、その後に溶液と接触するかのいずれであってもよい。溶液はブラシコポリマーを含む水性溶液であって、潤滑性の安定な高度に湿潤性の表面を付与することができる。錯体形成処理は有利にはオートクレーブ条件下で行われる。
【0086】
1つの実施形態において、バイオメディカルデバイスは、本発明のブラシコポリマーを少なくとも含む緩衝塩類溶液を含む個々のレンズパッケージに移される。他の成分は当該技術分野において知られているとおりに溶液中に含まれてよく、たとえば、そのような成分は張度剤、キレート化剤、湿潤剤などである。塩類溶液はレンズの移送の前又は後のいずれでパッケージに添加されてもよい。適切なパッケージ設計及び材料は当該技術分野において知られている。プラスチックパッケージはフィルムにより剥離可能にシールされる。適切なシール用フィルムは当該技術分野において知られており、ホイル、ポリマーフィルム及びそれらの混合物が挙げられる。レンズを含むシール済パッケージを、その後、無菌製品となるように無菌化する。適切な無菌化手段及び条件は当該技術分野において知られており、たとえば、オートクレーブ処理が挙げられる。
【実施例】
【0087】
下記の実施例は当業者が本発明を実施することができるように提供されるものであって、本発明の単なる例示である。実施例は特許請求の範囲に記載されるとおりの発明の範囲を限定するものとして読まれるべきでない。
実施例において下記の略語を用いる。
PVP:ポリ(ビニルピロリドン)
DMA:N,N−ジメチルアクリルアミド
DMAPMA:N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド
NVP:N−ビニル−2−ピロリドン、
Vazo(登録商標)64:アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
THF:テトラヒドロフラン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
【0088】
例1
メタクリル化PVPマクロマーの調製
磁気攪拌棒、水冷凝縮器及び熱電対を含む1L3つ口丸底フラスコに、0.177gのAIBN(NVPの合計質量を基準として0.30wt%)、4.22gの2−メルカプトエタノール(NVPを基準として10モル%、Aldrich Cat. No.M2650)及び60gの蒸留NVP(Aldrich No.V3409)を添加した。フラスコに250mLの無水THFを添加することにより混合物を溶解させた。次に、溶液をアルゴンで少なくとも10分間スパージし、その後、60℃に徐々に加熱した。溶液が40〜45℃に到達したときにスパージングを止め、次いで、フラスコをアルゴン背圧下に維持した。72時間後に加熱を止め、その時点で、室温(RT)溶液を、硫酸カルシウム(Drierite)を含む乾燥チューブをとおした雰囲気に開放した。トリエチルアミン(8.65mL、メルカプトエタノールを基準に1.15当量、Aldrich Cat. No.471283)をフラスコに添加し、そのとき、溶解していたポリマーの一部が沈殿した。すべてのポリマーが再溶解するまで溶液をRTにて攪拌した。塩化メタクリロイル(5.75mL、1.10当量、Aldrich Cat. No.523216)を一度に添加し、そして溶液をRTにて一晩攪拌した。トリエチルアミン塩酸塩を真空ろ過により溶液から除去した。ろ過された溶液を6Lの機械攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えた。固形分を真空ろ過により回収し、そして生成物をRTにて最低18時間真空下に乾燥し、54gの白色顆粒を提供した。メタクリル化PVPの数平均分子量は1200ダルトンであると評価された。
【0089】
例2
PVPブラシポリマーの調製
磁気攪拌棒、水冷凝縮器及び熱電対を含む1L3つ口丸底フラスコに、0.152gのAIBN(モノマーの合計質量を基準として0.40wt%)、1.21gの3−メタクリルアミドフェニルボロン酸(4.24モル%、Combi−Blocks No.BB−3222)、25.0gの例1のメタクリル化PVPマクロマー(15モル%)、2.01gの脱阻害された蒸留されたDMAPMA(8.5モル%、Aldrich Cat. No.409472−1L)及び9.95gの蒸留DMA(72.25モル%、Aldrich Cat. No.274135−500ML)を添加した。フラスコに200mLのメタノールを添加することにより混合物を溶解させた。溶液をアルゴンで少なくとも10分間スパージし、その後、60℃に徐々に加熱した。溶液が40〜45℃に到達したときにスパージングを止め、次いで、フラスコをアルゴン背圧下に維持した。72時間後に加熱を止め、その時点で、冷却された溶液を、6Lの機械攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えた。その後、沈殿物を真空ろ過により分離した。固形分を95℃で最低18時間真空下に乾燥した。固形分を150mLのメタノール中に溶解させ、6Lの攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えることにより再沈殿させた。95℃で一定の質量になるまで真空乾燥した後に最終ポリマーの質量を決定した。
【0090】
例3
メタクリル化DMAマクロマーの調製
磁気攪拌棒、水冷凝縮器及び熱電対を含む1L3つ口丸底フラスコに、0.177gのAIBN(DMAの合計質量を基準として0.30wt%)、4.73gの2−メルカプトエタノール(DMAを基準として10モル%、Aldrich No.M2650)及び60gの蒸留DMA(Aldrich Cat. No.274135)を添加した。フラスコに250mLの無水THFを添加することにより混合物を溶解させた。次に、溶液をアルゴンで少なくとも10分間スパージし、その後、60℃に徐々に加熱した。溶液が40〜45℃に到達したときにスパージングを止め、次いで、フラスコをアルゴン背圧下に維持した。72時間後に加熱を止め、その時点で、RT溶液を、硫酸カルシウム(Drierite)を含む乾燥チューブをとおした雰囲気に開放した。トリエチルアミン(9.70mL、メルカプトエタノールを基準に1.15当量、Aldrich Cat. No.471283)をフラスコに添加し、そのとき、溶解していたポリマーの一部が沈殿した。すべてのポリマーが再溶解するまで溶液をRTにて攪拌した。塩化メタクリロイル(6.45mL、1.10当量、Aldrich Cat. No.523216)を一度に添加し、そして溶液をRTにて一晩攪拌した。トリエチルアミン塩酸塩を真空ろ過により溶液から除去した。ろ過された溶液を6Lの機械攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えた。固形分を真空ろ過により回収し、そして生成物をRTにて最低18時間真空下に乾燥した。メタクリル化DMAマクロマーの数平均分子量は1100ダルトンであると評価された。
【0091】
例4
DMAブラシポリマーの調製
磁気攪拌棒、水冷凝縮器及び熱電対を含む1L3つ口丸底フラスコに、0.132gのAIBN(モノマーの合計質量を基準として0.28wt%)、2.10gの3−メタクリルアミドフェニルボロン酸(4.5モル%、Combi−Blocks No.BB−3222)、25.0gの例3のメタクリル化DMAマクロマー(10モル%)、3.48gの脱阻害された蒸留されたDMAPMA(9.0モル%、Aldrich Cat. No.409472−1L)及び17.24gの蒸留DMA(76.5モル%、Aldrich Cat. No.274135−500ML)を添加した。フラスコに200mLのメタノールを添加することによりモノマー及び開始剤を溶解させた。溶液をアルゴンで少なくとも10分間スパージし、その後、60℃に徐々に加熱した。溶液が40〜45℃に到達したときにスパージングを止め、次いで、フラスコをアルゴン背圧下に維持した。72時間後に加熱を止め、その時点で、冷却された溶液を、6Lの機械攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えた。沈殿物を真空ろ過により分離した。固形分を95℃で最低18時間真空下に乾燥した。固形分を150mLのメタノール中に溶解させ、6Lの攪拌されているエチルエーテルに滴下して加えることにより再沈殿させた。95℃で一定の質量になるまで真空乾燥した後に最終ポリマーの質量を決定した。
【0092】
例5
バラフィルコンA(Balafilcon A)から作られるコンタクトレンズをキャスティングし、標準製造手順下に加工する。バラフィルコンAは3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ]−ブト−1−イル]ポリジメチルシロキサン及びN−ビニルオキシカルボニルアラニンを含むコポリマーである。すべてのバラフィルコンAレンズはブラシコポリマーに暴露する前に空気プラズマ処理される。
【0093】
例2のブラシコポリマーによるコーティングに関し、300ppmEDTAを含むホウ酸塩緩衝塩類溶液(BBS)中に溶解されたブラシコポリマーの100又は250ppm(w/v)溶液3.8mLを含むポリプロピレンブリスターパッケージ中に各レンズを入れる。ブリスターをホイル蓋材でシールし、121℃で30分間オートクレーブ処理する。
【0094】
例6
バラフィルコンA(Balafilcon A)から作られるコンタクトレンズをキャスティングし、標準製造手順下に加工する。バラフィルコンAは3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、1,3−ビス[4−ビニルオキシカルボニルオキシ]−ブト−1−イル]ポリジメチルシロキサン及びN−ビニルオキシカルボニルアラニンを含むコポリマーである。すべてのバラフィルコンAレンズはブラシコポリマーに暴露する前に空気プラズマ処理される。
【0095】
例4のブラシコポリマーによるコーティングに関し、300ppmEDTAを含むホウ酸塩緩衝塩類溶液(BBS)中に溶解されたブラシコポリマーの100又は250ppm(w/v)溶液3.8mLを含むポリプロピレンブリスターパッケージ中に各レンズを入れる。ブリスターをホイル蓋材でシールし、121℃で30分間オートクレーブ処理する。
【0096】
本明細書中に開示された実施形態に対して様々な変更がなされてよいことは理解されるであろう。それゆえ、上記の記載は限定するものとしてでなく、単なる好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。たとえば、上述した、本発明を実施するための最適な形態として実施した機能は例示の目的のみである。本発明の範囲及び精神から逸脱することなく当業者によって他の構成及び方法を実施することができる。さらに、当業者は本発明の特徴及びそれに付随する利点の範囲及び精神の範囲で他の変更を想起するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマー。
【請求項2】
1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位の主鎖及びエチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位のブリスルを有する、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項3】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーはエチレン系不飽和含有アリールボロン酸を含む、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項4】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーは4−ビニルフェニルボロン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、3−アクリルアミドフェニルボロン酸及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項5】
前記親水性マクロモノマーは不飽和カルボン酸、ビニルラクタム、アミド、重合性アミン、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、オキサゾロンモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから誘導される単位を含む、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項6】
前記親水性マクロモノマーは原子移動ラジカル重合(ATRP)又は可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を用いて製造される、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項7】
前記親水性マクロモノマーは数平均分子量が約500〜約200,000である、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項8】
第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項9】
前記ブラシコポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項10】
前記親水性部分はN−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから誘導される、請求項9記載のブラシコポリマー。
【請求項11】
前記主鎖は第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及びコポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項2記載のブラシコポリマー。
【請求項12】
ボロン酸含有モノマー単位を約1〜約20モル%、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、及び、コポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約40〜約90モル%含む、請求項1記載のブラシコポリマー。
【請求項13】
(a)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(b)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーを含むコーティングを表面上に有するバイオメディカルデバイス。
【請求項14】
前記ブラシコポリマーは1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位の主鎖及びエチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位のブリスルを有する、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項15】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーはエチレン系不飽和含有アリールボロン酸を含む、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項16】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーは4−ビニルフェニルボロン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、3−アクリルアミドフェニルボロン酸及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項17】
前記親水性マクロモノマーは不飽和カルボン酸、ビニルラクタム、アミド、重合性アミン、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、オキサゾロンモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから誘導される単位を含む、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項18】
前記親水性マクロモノマーはATRP又はRAFT重合を用いて製造される、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項19】
前記親水性マクロモノマーは数平均分子量が約500〜約200,000である、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項20】
前記ブラシコポリマーは第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項21】
前記ブラシコポリマーは該ブラシコポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項22】
前記親水性部分はN−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから誘導される、請求項21記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項23】
前記主鎖は第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及びコポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位をさらに含む、請求項14記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項24】
前記ブラシコポリマーはボロン酸含有モノマー単位を約1〜約20モル%、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、及び、コポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約40〜約90モル%含む、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項25】
前記バイオメディカルデバイスは眼科レンズである、請求項13記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項26】
前記眼科レンズはコンタクトレンズ又は眼内レンズである、請求項25記載のバイオメディカルデバイス。
【請求項27】
(a)(i)1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位及び(ii)エチレン系不飽和含有親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を含むブラシコポリマーを含むコーティングを表面の少なくとも一部の上に有するバイオメディカルデバイスを提供すること、及び、(b)前記バイオメディカルデバイスを患者の目に挿入することを含む、バイオメディカルデバイスの表面に細菌が付着するのを阻害する方法。
【請求項28】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーはエチレン系不飽和含有アリールボロン酸を含む、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記1個以上のボロン酸部分を含むエチレン系不飽和モノマーは4−ビニルフェニルボロン酸、3−メタクリルアミドフェニルボロン酸、3−アクリルアミドフェニルボロン酸及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記親水性マクロモノマーは不飽和カルボン酸、ビニルラクタム、アミド、重合性アミン、ビニルカーボネート、ビニルカルバメート、オキサゾロンモノマー及びそれらの混合物からなる群より選ばれる親水性モノマーから誘導される単位を含む、請求項27記載の方法。
【請求項31】
前記親水性マクロモノマーはATRP又はRAFT重合を用いて製造される、請求項27記載の方法。
【請求項32】
前記親水性マクロモノマーは数平均分子量が約500〜約200,000である、請求項27記載の方法。
【請求項33】
前記ブラシコポリマーはボロン酸含有モノマー単位を約1〜約20モル%、エチレン系不飽和親水性マクロモノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、第三級アミン部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約1〜約20モル%、及び、コポリマーに水溶性を付与することができる親水性部分を含むエチレン系不飽和モノマーから誘導されるモノマー単位を約40〜約90モル%含む、請求項27記載の方法。
【請求項34】
前記バイオメディカルデバイスは眼科レンズである、請求項27記載の方法。

【公表番号】特表2012−514114(P2012−514114A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544499(P2011−544499)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/069172
【国際公開番号】WO2010/078149
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】