説明

ブラシロール及びブラシユニット

【課題】安価な構成で、確実に洗浄を行うことができるブラシロールを提供する。
【解決手段】筒状ロール(図示せず)の外周面に着脱自在に取り付けられるチャンネルブラシ1は、ブラシ片2と、帯状体3と、芯線8とを備え、帯状体3は、断面略コ字状であって、帯状体3を上面から視た場合に、長手方向の中心線に対して略対称となるように、長板状の両側面部が波状に屈曲されて凸部3aと凹部3bとが長手方向に対して交互に連続して形成されると共に、凹部3bの最下点は、少なくとも帯状体3の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状に形成され、ブラシ片2を上面から視た場合に、ブラシ片2の集合密度の高いブラシ片密集部2cが、チャンネルブラシ1の長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、ブラシ片密集部2cの周囲に、ブラシ片2の集合密度が低いブラシ片散在部2dが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状ロールの外周面の軸方向に、多数本のチャンネルブラシを着脱自在に取付けたブラシロール及びこのブラシロールに使用されるブラシユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の、鋼板やアルミ板等の研磨仕上げに使用されるこの種のブラシロールとして、筒状ロールと、その筒状ロールの外周面の軸方向に着脱自在に設けられた多数本のチャンネルブラシとで構成され、それぞれのチャンネルブラシを、金属製で横断面形状が略コ字形をした直線状の長尺の帯状体をベース部材とし、芯線を押し付けてU字形に2つ折りした毛材を、前記帯状体の溝内の全長に亘って嵌め込んだ構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の従来のブラシロールとして、筒状ロールと、その筒状ロールの外周面に巻きつけられたチャンネルブラシで構成し、そのチャンネルブラシを、金属製の帯状体と、その帯状体に嵌め込まれた毛材で構成すると共に、毛材に巾の広い部分と狭い部分とを交互に形成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、他の従来のブラシロールとして、筒状ロールと、その筒状ロールの外周面に巻きつけられたチャンネルブラシで構成し、そのチャンネルブラシを、金属製の帯状体と、その帯状体に嵌め込まれた毛材で構成すると共に、毛材の毛丈をカットした部分とカットしない部分とを交互に形成したものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−245531号公報
【特許文献2】実願昭61−156471号(実開昭63−61926号)のマイクロフイルム
【特許文献3】実願昭62−106212号(実開昭64−10227号)のマイクロフイルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来のブラシロールでは、隣り合うチャンネルブラシ間に隙間が発生するので、被洗浄面に対して均一な力で洗浄を行うことが難しかった。また、上記特許文献2及び3に記載された従来のブラシロールの構成では、チャンネルブラシを筒状ロールに巻きつけるものであるため、毛材の先端部が広がり、金属製の帯状体も変形する。そのため、毛材の先端部での密度が低くなると共に、製造コストが高くなるという課題があった。特に、上記特許文献3に記載されたチャンネルブラシは、毛材をカットするのに手間がかかり、製造コストが更に高くなるといった課題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、毛材の密度を高く保ちつつ、被洗浄面に対して均一な力を加えながら確実に洗浄を行うことができると共に、製造コストを低減できるブラシロール及びブラシユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明のブラシロールは、筒状ロールの外周面に、その軸方向と略並列状に、多数本の棒状のチャンネルブラシを着脱自在に取り付けたブラシロールにおいて、前記チャンネルブラシは、ブラシ片と、帯状体と、芯線とを備え、前記帯状体は、断面略コ字状であって、前記帯状体を上面から視た場合に、前記芯線が配設される長手方向の中心線に対して略対称となるように、長板状の両側面部が波状に屈曲されて凸部と凹部とが長手方向に対して交互に連続して形成されると共に、前記凹部の最下点は、少なくとも前記帯状体の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状に形成され、前記ブラシ片を上面から視た場合に、前記ブラシ片の集合密度の高いブラシ片密集部が、前記チャンネルブラシの長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部の周囲に、前記ブラシ片の集合密度が低いブラシ片散在部が形成されているもので、複数のチャンネルブラシを互いのチャンネルブラシの凸部と凹部とが接触するよう並列に配置させた場合に、毛材の密度を高く保ちつつ被洗浄面に対して均一な洗浄を行うことができる。また、凹部の最下点が帯状体の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状となっている為、ブラシ片がチャンネルブラシの長手方向にずれる事が無く、ブラシ片を高い密度にてチャンネルブラシの長手方向の凹部と凹部との間に形成できる。さらにまた、ブラシロールは、チャンネルブラシにおける、両側面部を凸部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片の毛腰が、両側面部を凹部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片の毛腰よりも大である為、従来の一律のチャンネルブラシよりも、より密集度が大なブラシ片密集部を形成できると共に、被洗浄面から受けた応力を、ブラシ片散在部に分散させる事ができ、より洗浄力がアップする。さらに、洗浄時において、両側面部を凸部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片は、被洗浄面からの応力を、両側面部を凹部にて囲まれたブラシ片が形成された帯状体の領域内に分散させる事ができる為、被洗浄面にブラシマークを発生させる事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【0009】
また、ブラシ片のブラシ片密集部が、長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部の周囲に、ブラシ片散在部が形成されているので、洗浄時において、ブラシ片のブラシ片密集部が被洗浄面から受けた応力を、ブラシ片散在部に分散させる事ができ、被洗浄面にブラシマークを付ける事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【0010】
また、本発明のブラシユニットは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状ロールの外周面に取り付けられるブラシユニットであって、並列に配置された複数のチャンネルブラシの帯状体同士を、取り付け部材を介して一体的に連結させて構成したもので、複数のチャンネルブラシの筒状ロールの外周面への取り付け、取り外しが容易である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のブラシロールは、ブラシ片の密度を高くすることができ、被洗浄面にブラシマークを発生させる事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができると共に、チャンネルブラシの製造が容易なことから、ブラシロールの製造コストを低減させることができる。また、チャンネルブラシを筒状ロールに巻きつけるものではないため、ブラシ部の先端部が広がることはなく、チャンネルブラシの帯状体も変形することはないことから、ブラシ片の密度が低くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1(a)は、本発明のブラシロールに使用するチャンネルブラシの斜視図、図1(b)は、同チャンネルブラシの断面図である。(実施例1)
【図2】図2(a)〜(c)は、同チャンネルブラシの他の例を示す断面図である。(実施例1)
【図3】図3(a)は、ブラシロールに使用するチャンネルブラシの部分斜視図、図3(b)は、同チャンネルブラシの断面図、図3(c)、(d)は、チャンネルブラシの他の例を示す断面図である。(実施例2)
【図4】図4(a)は、ブラシロールに使用するチャンネルブラシの部分斜視図、図4(b)は、同チャンネルブラシの帯状体の部分平面図である。(実施例3)
【図5】図5は、ブラシロールに使用するブラシユニットの平面図である。(実施例4)
【図6】図6は、チャンネルブラシの製作方法を示す図である。(実施例4)
【図7】図7は、チャンネルブラシを用いて製造したブラシロールの端面図である。(実施例4)
【図8】図8は、同ブラシロールの縦断面図である。(実施例4)
【図9】図9は、同ブラシロールのブラシ片を拡大した図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、筒状ロールの外周面に、その軸方向と略並列状に、多数本の棒状のチャンネルブラシを着脱自在に取り付けたブラシロールにおいて、前記チャンネルブラシは、ブラシ片と、帯状体と、芯線とを備え、前記帯状体は、断面略コ字状であって、前記帯状体を上面から視た場合に、前記芯線が配設される長手方向の中心線に対して略対称となるように、長板状の両側面部が波状に屈曲されて凸部と凹部とが長手方向に対して交互に連続して形成されると共に、前記凹部の最下点は、少なくとも前記帯状体の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状に形成され、前記ブラシ片を上面から視た場合に、前記ブラシ片の集合密度の高いブラシ片密集部が、前記チャンネルブラシの長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部の周囲に、前記ブラシ片の集合密度が低いブラシ片散在部が形成されているもので、複数のチャンネルブラシを互いのチャンネルブラシの凸部と凹部とが接触するよう並列に配置させた場合に、毛材の密度を高く保ちつつ被洗浄面に対して均一な洗浄を行うことができる。また、凹部の最下点が帯状体の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状となっている為、ブラシ片がチャンネルブラシの長手方向にずれる事が無く、ブラシ片を高い密度にてチャンネルブラシの長手方向の凹部と凹部との間に形成できる。さらにまた、ブラシロールは、チャンネルブラシにおける、両側面部を凸部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片の毛腰が、両側面部を凹部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片の毛腰よりも大である為、従来の一律のチャンネルブラシよりも、より洗浄力がアップする。さらに、洗浄時において、両側面部を凸部にて囲まれた帯状体の領域内に形成されたブラシ片は、被洗浄面からの応力を、両側面部を凹部にて囲まれたブラシ片が形成された帯状体の領域内に分散させる事ができる為、被洗浄面にブラシマークを発生させる事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【0014】
また、ブラシ片のブラシ片密集部が、長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部の周囲に、ブラシ片散在部が形成されているので、洗浄時において、ブラシ片のブラシ片密集部が被洗浄面から受けた応力を、ブラシ片散在部に分散させる事ができ、被洗浄面にブラシマークを付ける事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明のチャンネルブラシの帯状体の側面部には、芯線の中央部より上方にカシメ部が形成されたもので、ブラシ片を形成する毛材の折り曲げた部分に入れられた芯線がカシメ部より下方に位置するので、帯状体のカシメが確実になり、ブラシロールの回転時或いは、使用時に、ブラシ片が帯状体から抜けたりするのを確実に防止することができる。
【0016】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の帯状体の側面部に形成された凸部と凹部が交互に嵌り込むように、複数の前記帯状体を筒状ロールの外周に取り付けるもので、複数のチャンネルブラシを筒状ロールの外周に並列に配置したとき、ブラシロールの回転表面にブラシ片密集部が均一に配されるようになるので、被洗浄面を均一に洗浄することが出来る。
【0017】
第4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状ロールの外周面に取り付けられるブラシユニットであって、並列に配置された複数のチャンネルブラシの帯状体同士を、取り付け部材を介して一体的に連結させて構成したもので、複数のチャンネルブラシの筒状ロールの外周面への取り付け、取り外しが容易になるので、製造コストを低減させると共に、ブラシ片が磨り減ったときのチャンネルブラシの交換が極めて容易である。
【0018】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0019】
図1(a)は、本発明の実施例1におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシの斜視図、図1(b)は、同チャンネルブラシの断面図である。
図1において、本実施例におけるブラシロールのチャンネルブラシ1は、ブラシ片2と、帯状体3及び芯線8により形成されている。チャンネルブラシ1は、ブラシ片2を中央部から折り込んで、芯線8及び帯状体3にて、挟み付けるようにして形成されてあり、帯状体3は、断面略コ字状であって、帯状体3を上面から視た場合に、芯線8が配設される長手方向の中心線に対して略対称となるように、長板状の両側面部が波状に屈曲されて、凸部3aと凹部3bとが長手方向において交互に連続して形成されている。
【0020】
また、凸部3aの最上点はR形状となっていると共に、凹部3bの最下点3cは、帯状体3の高さ方向の上端部から底部に至る略V溝形状となっている。ここで、凸部3aと凹部3bを形成する面は、略平面にて形成されてある。
【0021】
尚、凸部3a及び凹部3bは、図2(a)に示すように、角部を有するV字形状の形態も可能であり、凸部3a及び凹部3bを形成する面のほぼ全面が平面にて形成された形態も本発明に含まれる。更には、図2(b)に示すようにブラシ片2の断面形状が略卵形に、或いは、図2(c)に示すようにブラシ片2の断面形状が矩形になるように、帯状体3の左右の凹部3bが当接するぐらいまで、帯状体3の両側面を絞り込むようにすれば、ブラシ片密集部2cの洗浄力を更に向上させることもできる。
【0022】
また、本実施例では、ブラシ片2を上面から視た場合に、図1に示すように、ブラシ片2を構成する毛材の集合密度の高いブラシ片密集部2cが、チャンネルブラシ1の長手方向に沿って飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部2cの周囲には、毛材の集合密度が低いブラシ片散在部2dが形成されている。
【0023】
本実施例におけるブラシロールのチャンネルブラシ1は、以上のように構成されているので、複数のチャンネルブラシ1を互いのチャンネルブラシ1の凸部3aと凹部3bとが接触するよう並列に配置させた場合に、毛材の密度を高く保ちつつ被洗浄面に対して均一な洗浄を行うことができる。
【0024】
また、凹部3bの最下点が帯状体3の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状となっている為、ブラシ片2がチャンネルブラシ1の長手方向にずれる事が無く、ブラシ片2を高い密度にてチャンネルブラシ1の長手方向の凹部3bと凸部3aとの間に形成できる。さらにまた、ブラシロールは、チャンネルブラシ1における、両側面部を凸部3aにて囲まれた帯状体3の領域内に形成されたブラシ片2の毛腰が、両側面部を凹部3bにて囲まれた帯状体3の領域内に形成されたブラシ片2の毛腰よりも大である為、従来の一律のチャンネルブラシ1よりも、より洗浄威力がアップする。
【0025】
また、洗浄時において、両側面部を凸部3aにて囲まれた帯状体3の領域内に形成されたブラシ片2は、被洗浄面からの応力を、両側面部を凹部3bにて囲まれたブラシ片2が形成された帯状体3の領域内に分散させる事ができる為、被洗浄面にブラシマークを発生させる事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【0026】
また、ブラシ片2のブラシ片密集部2cが、長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部2cの周囲に、ブラシ片散在部2dが形成されているので、洗浄時において、ブラシ片2のブラシ片密集部2cが被洗浄面から受けた応力を、ブラシ片散在部2dに分散させる事ができ、被洗浄面にブラシマークを付ける事無く、均一かつ円滑な洗浄を行うことができる。
【実施例2】
【0027】
図3(a)は、本発明の実施例2におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシの部分斜視図、図3(b)は、同チャンネルブラシの断面図である。尚、上記実施例1におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシと同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0028】
図3(a)、(b)において、本実施例におけるチャンネルブラシ1aでは、帯状体3の両側面部の、芯線8の中央部より上方に位置する部分にカシメ部3dが形成されている。
本実施例におけるチャンネルブラシ1aは、以上のように構成されているので、ブラシ片2を形成する毛材の折り曲げた部分に入れられた芯線8がカシメ部3dより下方に位置するので、帯状体3のカシメが確実になり、ブラシロールの回転時或いは、使用時に、ブラシ片2が帯状体3から抜けたりするのを確実に防止することができる。
【0029】
尚、図3(c)や図3(d)に示すチャンネルブラシ1b、1cのように、カシメ部3e、3fの位置を、芯線8の中央部より上方に位置させた上で、カシメ部3e、3fの形状は様々なものがあり、適宜選択することができる。また、帯状体3の材質には、鋼板、SUS板、アルミ板等が使用されてある。
【実施例3】
【0030】
図4(a)は、本発明の実施例3におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシの部分斜視図、図4(b)は、同チャンネルブラシの帯状体の部分平面図である。尚、上記実施例におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシと同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図4において、本実施例におけるチャンネルブラシ1dでは、帯状体3の両側面部に、複数の爪部4が形成されている。この爪部4は、内側に折り曲げられて、ブラシ片2の内部に入り込んでいる。また、本実施例では、爪部4の先端は、芯線8より上方に位置している。
【0032】
本実施例は、上記構成により、爪部4により、芯線8が上方にずれるのを防止できると共に、ブラシ片2がチャンネルブラシ1dの長手方向にずれる事を確実に防止することができる。
【実施例4】
【0033】
図5は、本発明の実施例4におけるブラシロールに使用するブラシユニットの平面図である。尚、上記実施例におけるブラシロールに使用するチャンネルブラシと同一部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
図5において、本実施例におけるブラシロールに使用するブラシユニット50は、両端に取り付け穴5aが形成された取り付け部材5に、上記実施例で記載したチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)を2本並列に、かつ隣り合う帯状体3を当接させて取り付けて構成されたものである。取り付け金具5へのチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)の取り付け方法は、ネジ止め、引っ掛け方式又は、溶着など、作業性、生産性等を考慮して適宜決定すると良い。
【0035】
また、本実施例では、チャンネルブラシ1(又は1a〜1d)の側面側において、各々の帯状体3の凸部3aを形成する面の一部と凹部3bを形成する面の一部とが互いに接触するように配置されている。したがって、ブラシ片2の密度を高くすることができ、被洗浄面に対して均一な洗浄を行うことができる。
【0036】
また、以上のように構成されたブラシユニット50を、ブラシロールを形成する筒状ロール(図示せず)の外周に密接に配することにより、帯状体3の側面部に形成された凸部3aと凹部3bが交互に嵌り込むように、複数の帯状体3が筒状ロールの外周に配されることになり、その結果、ブラシロールの回転表面にブラシ片密集部2cが均一に配されるようになり、被洗浄面を均一に洗浄することが出来る。
【0037】
尚、上記実施例では、ブラシユニット50は、2本のチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)を並列に配置して構成したが、3本以上の複数のチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)を並列に配置する構成の形態も本発明に含まれる。
【0038】
図6は、上記実施の形態で述べたチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)の製作方法を示す図である。
【0039】
図6において、19は、縦ロール、20は、基台、29は、一対の横ロールである。まず、断面が概コの字形状の長尺な帯状体3に対して、所定長さのブラシ片2を、その中央部が直交するように帯状体3の上部に設置し、縦ロール19を使用して、芯線8と共に、ブラシ片2を挟み付けると共に、芯線8を帯状体3の概コの字形状の内部に押し込む。次に、帯状体3の両側に形成された横ロール29を使用して、帯状体3を両側から加締める。その結果、中央部が、帯状体3と芯線8に挟み付けられて折り込まれたブラシ片2を有するチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)が形成される。
【0040】
さらに、図示しない凹凸部形成装置によって、帯状体3に前述した凸部3aと凹部3bとが形成され、図1〜4で示したチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)が製作されるのである。また、前記凹凸部形成装置を使用する事無く、横ロール29にて凸部3aと凹部3bとを形成する事も可能である。さらに、側面に予め凸部3aと凹部3bとが形成された帯状体3を製作した後、芯線8にてブラシ片2を挟み付け、芯線8を帯状体3の内部に押し込み、横ロール29にて帯状体3を両側から加締める形態により、図2に示す形状のチャンネルブラシ1を製作する事も可能である。
【0041】
図7は、上記実施例で述べたチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)を用いて製造したブラシロールの端面図、図8は、同ブラシロールの縦断面図である。
【0042】
本実施例におけるブラシロール100は、外周面に複数のブラシユニット50が並列に、かつ密接状態で取り付けられた筒状ロール101と、筒状ロール101の両端に各々取付けられた端面盤103と、端面盤103の回転中心部に組みつけられた回転軸102から構成されている。
【0043】
本実施例では、各ブラシユニット50は、回転軸102に対して約7度傾けた状態で、取り付け穴5aを通してネジやボルト(図示せず)で、筒状ロール101の外周面に着脱自在に取り付けられるようになっている。
【0044】
特に、本実施例では、二本又はそれ以上の本数のチャンネルブラシ1(又は1a〜1d)からなるブラシユニット50を用いているので、筒状ロール101の外周面への多数本のチャンネルブラシの着脱は、作業能率を向上させることができる。
【0045】
図9は、上述したブラシロール100のブラシ片2を拡大した図で、本実施例では、同図に示すように、個々のブラシ片2の先端部に、矢印で示すブラシロール100の回転方向に対して、前部2aが低く、後部2bが高くなるようにして傾斜面が形成されている。したがって、被洗浄面に対してブラシ片2の傾斜面が接触することになるので、接触面積が大きくなり、洗浄効果を増大させることができる。
【0046】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のブラシロールは、筒状ロールの外周面にチャンネルブラシを着脱自在に取付けたものであって、鋼板やアルミ板等の研磨仕上げ或いは樹脂板の表面仕上げに使用する。
【符号の説明】
【0048】
1、1a、1b、1c、1d チャンネルブラシ
2 ブラシ片
2a 前部
2b 後部
2c ブラシ片密集部
2d ブラシ片散在部
3 帯状体
3a 凸部
3b 凹部
3c 最下点
3d、3e、3f カシメ部
4 爪部
5 取り付け部材
5a 取り付け穴
8 芯線
19 縦ロール
20 基台
29 横ロール
50 ブラシユニット
100 ブラシロール
101 筒状ロール
102 回転軸
103 端面盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状ロールの外周面に、その軸方向と略並列状に、多数本の棒状のチャンネルブラシを着脱自在に取り付けたブラシロールにおいて、前記チャンネルブラシは、ブラシ片と、帯状体と、芯線とを備え、前記帯状体は、断面略コ字状であって、前記帯状体を上面から視た場合に、前記芯線が配設される長手方向の中心線に対して略対称となるように、長板状の両側面部が波状に屈曲されて凸部と凹部とが長手方向に対して交互に連続して形成されると共に、前記凹部の最下点は、少なくとも前記帯状体の上端部近傍から底部近傍に至る略V溝形状に形成され、前記ブラシ片を上面から視た場合に、前記ブラシ片の集合密度の高いブラシ片密集部が、前記チャンネルブラシの長手方向に飛び石状に連続して形成されると共に、前記ブラシ片密集部の周囲に、前記ブラシ片の集合密度が低いブラシ片散在部が形成されていることを特徴とするブラシロール。
【請求項2】
チャンネルブラシの帯状体の側面部には、芯線の中央部より上方にカシメ部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシロール。
【請求項3】
帯状体の側面部に形成された凸部と凹部が交互に嵌り込むように、複数の前記帯状体を筒状ロールの外周に取り付けることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシロール。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の筒状ロールの外周面に取り付けられるブラシユニットであって、並列に配置された複数のチャンネルブラシの帯状体同士を、取り付け部材を介して一体的に連結させて構成したことを特徴とするブラシユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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