説明

ブラシ体、歯ブラシ、およびブラシ体の製造方法

【課題】ブリスル束の周囲または複数のフィラメント同士の隙間を介してブラシヘッドの内部に水分が浸入することを抑制することのできるブラシ体、歯ブラシ、およびブラシ体の製造方法を提供する。
【解決手段】この電動歯ブラシは、各別に形成された歯ブラシ本体とブラシ体20とを有する。ブラシ体20は、複数のフィラメント50の束であるブリスル束40、およびこのブリスル束40が植えられたブラシヘッド21を有する。ブリスル束40には、ブリスル束40のうちのブラシヘッド21の内部に設けられている植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間、および植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間を閉塞する閉塞部材60が設けられている。また、閉塞部材60が非導電性材料により形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のフィラメントの束であるブリスル束、およびこのブリスル束が植えられたブラシヘッドを含むブラシ体、これを備える歯ブラシ、およびブラシ体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記歯ブラシとして、特許文献1〜4に記載のものが知られている。
特許文献1には、歯とブラシ毛とを含む電気回路に電流を流すことにより、歯垢などを歯面から除去しやすくすることをねらいとした歯ブラシが記載されている。この歯ブラシのブラシヘッド近傍には、口腔内の電極としての支軸を露出するための連通孔が設けられている。また、歯ブラシの本体には、支軸に接続されて使用者の手に接触する電極が設けられている。
【0003】
上記歯ブラシの使用にともないブラシヘッドが口腔内に挿入されたとき、使用者の手と歯ブラシの本体の電極との接触、および口腔内の水分(唾液または水)とブラシヘッド近傍の電極との接触により電気回路が構成される。そして、この電気回路を電流が流れることにより、ブラッシングにともない歯垢などが除去されやすくなる。
【0004】
特許文献2には、歯垢およびステインの分解に加えて、pHの低下に起因した歯の脱灰の原因となる乳酸等の有機酸を分解することにより、虫歯および歯槽膿漏の原因となる細菌の殺菌を行うことをねらいとした歯ブラシが記載されている。この歯ブラシも特許文献1の歯ブラシと同様に、ブラシヘッドが口腔内に挿入されたとき、使用者の手と歯ブラシの本体の電極との接触、および口腔中の水分とブラシヘッド近傍の電極との接触により電気回路が構成される。また、実施例の一つとして、ブリスル束を構成するフィラメントの表面に金属チタンを蒸着し、この金属チタンの表面を酸化することにより薄い膜厚のアナターゼ型の二酸化チタン層を形成するものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、口腔内の塩化物イオンを電気分解して塩素を発生させることにより、口腔内において有効塩素を効率的に殺菌に用いることをねらいとした歯ブラシが記載されている。この歯ブラシの植毛面には、2つの電極が露出して設けられている。また、実施例の一つとして、導電性材料により形成されたブラシ毛を用いるとともに、このブラシ毛を電極に接触させるものが記載されている。
【0006】
上記歯ブラシの使用にともないブラシヘッドが口腔内に挿入された状態において、電源により各電極に電流が供給されたとき、口腔内の塩化物イオンが電気分解される。これにより有効塩素が発生するため、口腔内において有効塩素が効率的に殺菌に用いられる。なお、特許文献4においても特許文献3の歯ブラシに類似する構造の歯ブラシが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−249507号
【特許文献2】特開平6−90824号
【特許文献3】特開2006−102095号
【特許文献4】特開2006−180953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の各歯ブラシにおいては、ブリスル束のうちのブラシヘッドの内部にある部分(植込部分)とブラシヘッドの壁面との間に隙間が形成されている。また、ブリスル束の植込部分においては複数のフィラメント同士の間にも隙間が形成されている。
【0009】
このため、使用者が歯ブラシを使用しているときには、水分が上記の各隙間を介してブラシヘッドの内部に浸入する。歯ブラシの構造上、ブラシヘッドの内部に浸入した水分は外部に排出されにくいため、ブラシの使用後もブラシヘッドの内部が濡れた状態に保たれやすい。そしてこのときには、濡れていることに起因してブラシヘッドに多量の埃等が付着するおそれがある。
【0010】
また、歯ブラシとしては、ブリスル束のフィラメントとして芯鞘構造のフィラメントを用いるものも提案されている。芯鞘構造においては、内側の材料として導電性材料が用いられ、外側の材料として非導電性材料が用いられる。
【0011】
上記歯ブラシによれば、導電性材料のフィラメントに電流を流すことにより、口腔内の塩化物イオンを有効塩素に変化させて殺菌を行うことができる。また、歯磨剤および洗口剤等に含まれる薬効イオン成分をイオン導入により、口腔内の組織または歯垢等のバイオフィルム内部に供給することもできる。
【0012】
しかし、この歯ブラシにおいてブリスル束とブラシヘッドとの隙間または複数のフィラメント同士の隙間を介してブラシヘッドの内部に水分が浸入したときには、フィラメントを介することなくブラシヘッド内部の導電部材と口腔内の組織との間で電流が流れる。そしてこの場合には、フィラメント先端から口腔内の組織への局所的な通電が行われないため、上述した殺菌効果等が低下する。
【0013】
このように、芯鞘構造を有していないブリスル束を含む歯ブラシ、および芯鞘構造を有するブリスル束を含む歯ブラシのいずれにおいても、ブラシヘッドの内部に水分が浸入することに起因した問題が存在している。しかし、この点についての検討および対策は先行技術文献のいずれにも開示ないし示唆されていない。
【0014】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ブリスル束の周囲または複数のフィラメント同士の隙間を介してブラシヘッドの内部に水分が浸入することを抑制することのできるブラシ体、歯ブラシ、およびブラシ体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明のブラシ体は、複数のフィラメントの束であるブリスル束、およびこのブリスル束が植えられたブラシヘッドを含むブラシ体において、前記ブリスル束のうちの前記ブラシヘッドの内部にある部分を植込部分として、この植込部分においての前記複数のフィラメント同士の隙間、および前記植込部分の周囲の隙間の少なくとも一方を閉塞する閉塞部材が設けられていることを特徴としている。
【0016】
・このブラシ体においては、前記複数のフィラメントの少なくとも1つが芯鞘構造を有すること、前記芯鞘構造において、内側の材料として導電性材料が用いられ、外側の材料として非導電性材料が用いられていること、ならびに、前記閉塞部材が非導電性材料により構成されていることが好ましい。
【0017】
・このブラシ体においては、前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること、前記植込部分においての前記複数のフィラメント同士の隙間、および前記植毛穴の壁面と前記植込部分との間の隙間の少なくとも一方を閉塞する部材として前記閉塞部材が設けられていること、ならびに、前記ブリスルガイドと前記閉塞部材とが互いに異なる材料により構成されていることが好ましい。
【0018】
・このブラシ体においては、前記閉塞部材の非導電性材料として弾性材料が用いられていることが好ましい。
・このブラシ体においては、前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること、前記ブリスルガイドには前記植毛穴により形成される凹部が設けられていること、ならびに、前記閉塞部材の表面により前記凹部の底面が形成されていることが好ましい。
【0019】
・このブラシ体においては、前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること前記複数のフィラメントが前記閉塞部材により束ねられていること、ならびに、前記閉塞部材が前記植毛穴に嵌め込まれていることが好ましい。
【0020】
・このブラシ体においては、前記ブリスル束において前記ブラシヘッドの外側に位置する端部を先端部とし、前記ブリスル束において前記先端部とは反対側の端部を基端部として、前記ブリスル束のうちの前記閉塞部材よりも前記基端部側の部分が一体化されていることが好ましい。
【0021】
・本発明の歯ブラシにおいては、ブリスル束を有するブラシ体と、このブラシ体の取り付けおよび取り外しが可能な本体と、前記ブリスル束に電流を供給するための回路部とを含み、前記ブラシ体として上記のいずれかに記載のブラシ体が設けられていることが好ましい。
【0022】
・この歯ブラシにおいては、前記ブラシヘッドを振動させるためのアクチュエータを含むことが好ましい。
・本発明のブラシ体の製造方法においては、前記複数のフィラメントを前記閉塞部材により束ねて前記ブリスル束を形成する工程A1と、前記ブリスル束が挿入される植毛穴を含むブリスルガイドを形成する工程A2と、前記工程A1および前記工程A2の後において、前記閉塞部材を前記植毛穴に嵌め込む工程A3とを含むことが好ましい。
【0023】
・このブラシ体の製造方法においては、前記ブリスル束の端部のうちの前記ブラシヘッドの外側に位置する端部を先端部とし、前記ブリスル束の端部のうちの前記先端部とは反対側の端部を基端部として、前記工程A1において、前記ブリスル束のうちの前記閉塞部材よりも前記基端部側の部分を一体化すること、ならびに、前記工程A3において、前記ブラシヘッドの内部に設けられた導電部材の穴に前記ブリスル束の一体化された部分を嵌め込むことが好ましい。
【0024】
・本発明の歯ブラシの製造方法においては、前記ブリスル束が挿入される植毛穴を含むブリスルガイドを形成する工程B1と、前記工程B1の後において、前記ブリスル束を前記植毛穴に挿入する工程B2と、前記工程B2の後において、前記閉塞部材を形成するための溶融状態の材料を前記植毛穴に供給する工程B3とを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ブリスル束の周囲または複数のフィラメント同士の隙間を介してブラシヘッドの内部に水分が浸入することを抑制することのできるブラシ体、歯ブラシ、およびブラシ体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の電動歯ブラシについて、(a)その全体構成を模式的に示す模式図、(b)はブラシ体の平面構造を示す平面図、(c)はブリスル束の平面構造を示す平面図。
【図2】同実施形態の電動歯ブラシについて、図1(b)のX2−X2線に沿うブラシ体の断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)はブリスル束を形成する工程を示す工程図、(b)は同ブリスル束の外周に液状の熱硬化性樹脂を塗布する工程を示す工程図、(c)は同ブリスル束を金属バンドにより束ねる工程を示す工程図、(d)は閉塞部材を形成する工程を示す工程図。
【図4】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)はブリスルガイドを形成する工程を示す工程図、(b)はガイド孔にブリスル束を圧入する工程を示す工程図、(c)はブリスル束の芯部を溶融する工程を示す工程図。
【図5】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)は導電固定部を形成する工程を示す工程図、(b)はヘッド本体およびネック本体の双方を形成する工程を示す工程図。
【図6】本発明の第2実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)はブリスルガイドを形成する工程を示す工程図、(b)はブリスル束をガイド孔に挿入する工程を示す工程図、(c)はブリスル束の芯部を溶融する工程を示す工程図。
【図7】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)は導電固定部を形成する工程を示す工程図、(b)はヘッド本体およびネック本体の双方を形成する工程を示す工程図、(c)は閉塞部材を形成する工程を示す工程図。
【図8】本発明の第3実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)はブリスルガイドを形成する工程を示す工程図、(b)は各ブリスル束をガイド孔に挿入する工程を示す工程図。
【図9】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)は導電固定部を形成する工程を示す工程図、(b)はヘッド本体およびネック本体の双方を形成する工程を示す工程図。
【図10】同実施形態の電動歯ブラシについて、(a)はブリスル束に外力が加えられていない状態においての同ブリスル束とブリスルガイドとの関係を示す模式図、(b)はブリスル束に外力が加えられた状態においての同ブリスル束とブリスルガイドとの関係を示す模式図。
【図11】同実施形態の電動歯ブラシに対する比較例としての仮想歯ブラシについて、(a)はブリスル束に外力が加えられていない状態においての同ブリスル束とブリスルガイドとの関係を示す模式図、(b)はブリスル束に外力が加えられた状態においての同ブリスル束とブリスルガイドとの関係を示す模式図。
【図12】本発明の第4実施形態の電動歯ブラシについて、閉塞部材により束ねられたブリスル束の斜視構造を示す斜視図。
【図13】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)は導電固定部を形成する工程を示す工程図、(b)はヘッド本体およびネック本体の双方を形成する工程を示す工程図、(c)はヘッド本体にブリスル束を圧入する工程を示す工程図。
【図14】本発明の第5実施形態の電動歯ブラシについて、(a)はブリスル束を形成する工程を示す工程図、(b)は同ブリスル束に閉塞部材を形成する工程を示す工程図、(c)は同ブリスル束をU字形状に折り曲げる工程を示す工程図、(d)は同ブリスル束と平栓とを組み合わせる工程を示す工程図。
【図15】同実施形態の電動歯ブラシの製造工程について、(a)は導電固定部を形成する工程を示す工程図、(b)はヘッド本体およびネック本体の双方を形成する工程を示す工程図、(c)はヘッド本体にブリスル束を圧入する工程を示す工程図。
【図16】本発明の第6実施形態の歯ブラシについて、ブラシヘッドの断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
図1に示されるように、電動歯ブラシ1には、使用者が把持するための歯ブラシ本体10と、歯ブラシ本体10への取り付けおよび歯ブラシ本体10からの取り外しが可能なブラシ体20とが設けられている。
【0028】
歯ブラシ本体10には、使用者が把持するためのケース11と、使用者の手に接触する本体電極16と、電源12のオンおよびオフを切り替える操作部17とが設けられている。本体電極16は、ケース11の外周面において使用者により把持される部分に固定されている。
【0029】
ケース11の内部には、ブラシ体20に振動を付与するアクチュエータ14と、アクチュエータ14に電力を供給する電源12と、アクチュエータ14への電力の供給等を制御する回路部13とが設けられている。電源12としては1次電池が用いられている。
【0030】
アクチュエータ14には、導電性材料により形成されたシャフト15が接続されている。シャフト15には、アクチュエータ14の駆動にともないアクチュエータ14から振動が付与される。
【0031】
ブラシ体20には、歯を清掃するためのブラシヘッド21と、ブラシ体20を歯ブラシ本体10に固定するためのブラシネック24と、複数のフィラメント50の集合体として形成された複数のブリスル束40とが設けられている。
【0032】
ブラシヘッド21には、複数のブリスル束40を支持するブリスルガイド30と、ブリスル束40が固定される導電固定部23と、導電固定部23の周囲を覆いブラシヘッド21の本体を形成するヘッド本体22とが設けられている。
【0033】
ブリスルガイド30には、ブリスル束40を挿入するための複数のガイド孔31が形成されている。また、ガイド孔31の開口部が形成されている植毛面33から突き出るようにブリスル束40が植えられている。
【0034】
導電固定部23は、導電性材料が混合された樹脂により形成されている。この樹脂としては、例えば繊維状カーボンが混合されたABS(アクリルブチルスチレン)樹脂を用いることができる。
【0035】
ブラシネック24には、シャフト15と導電固定部23とを電気的に接続するリード板26と、リード板26の周囲を覆いブラシネック24の本体を形成するネック本体25とが設けられている。リード板26は、導電性を有する金属材料により形成されている。ヘッド本体22とネック本体25とは、非導電性の樹脂により一体的に形成されている。この樹脂としては、例えばABS樹脂を用いることができる。
【0036】
図2に示されるように、ブリスル束40は、複数のフィラメント50(例えば40本)の集合体として構成されている。また、ブリスル束40の先端部40Aすなわち各フィラメント50の先端部50Aがブラシヘッド21の外部に位置し、かつブリスル束40の基端部40Bすなわち各フィラメント50の基端部50Bがブラシヘッド21の内部に位置する状態でブラシヘッド21に植えられている。
【0037】
ブリスル束40を構成する複数のフィラメント50は、非導電性の閉塞部材60により束ねられている。閉塞部材60は、非導電性かつ高弾性の材料により形成されている。同材料としては例えば、シリコーン樹脂、RTVゴムまたはウレタンゴムを用いることができる。
【0038】
フィラメント50としては、芯鞘構造を有するモノフィラメントが用いられている。すなわちフィラメント50は、径方向の中心部分に位置する芯部52と、芯部52の外周を取り囲む鞘部51とにより形成されている。芯部52は、導電性微粒子を含む導電性材料により形成されている。鞘部51は、導電性微粒子を含まない非導電性材料により形成されている。フィラメント50の先端部50Aおよび基端部50Bのそれぞれにおいては、芯部52が鞘部51から突出している。
【0039】
フィラメント50は下記の(a)〜(e)の条件を満たすように形成されている。なお、「面積比率」は径方向に沿うフィラメント50の断面においての芯部52の断面積と鞘部51の断面積との比率(芯部の断面積/鞘部の断面積)を示す。また、「単繊維比抵抗値」は1本のフィラメント50としての比抵抗値を示す。また、「導電性微粒子含有率」は芯部52においての導電性微粒子の含有率を示す。また、「鞘部抵抗値」および「芯部抵抗値」は、それぞれ鞘部51の体積固有抵抗値および芯部52の体積固有抵抗値を示す。また、体積固有抵抗値は物体の体積固有抵抗、すなわち物体の表面の電気抵抗率ではなく物体の内部の電気抵抗率を示す。
【0040】
(a)面積比率が「15/85〜85/15」の範囲内にある。
(b)導電性微粒子含有率が「5〜50(質量%)」の範囲内にある。
(c)単繊維比抵抗値が「10〜10(Ω・cm)」の範囲内にある。
(d)鞘部抵抗値が「1×1010〜1×1018(Ω・cm)」の範囲内にある。
(e)芯部抵抗値が「1×10〜1×10(Ω・cm)」の範囲内にある。
【0041】
鞘部51を形成する樹脂としては、絶縁性の熱可塑性エラストマー樹脂を用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては例えば、ナイロンエラストマー、ポリエステルエラストマー、スチレンエラストマー、ウレタンエラストマーおよびオレフィンエラストマー等が挙げられる。また、鞘部51に含まれる導電性材料としては、カーボン粒子、カーボン長繊維、カーボン短繊維、網状カーボンおよび金属粒子(銀粒子等)等を用いることができる。
【0042】
フィラメント50は、熱可塑性エラストマー樹脂に対して導電性材料を所定の割合で混合することにより、絶縁性を有する鞘部51および導電性を有する芯部52からなる芯鞘フィラメントとして構成されている。
【0043】
図1を参照して、電動歯ブラシ1の電気回路の構成について説明する。
電動歯ブラシ1においては、電源12の陽極と本体電極16とが電気的に接続されている。また、電源12の陰極とシャフト15とが電気的に接続されている。また、電源12と回路部13とが電気的に接続されている。また、操作部17およびアクチュエータ14のそれぞれと回路部13とが電気的に接続されている。また、シャフト15と導電固定部23とがリード板26を介して電気的に接続されている。また、フィラメント50の芯部52と導電固定部23とが電気的に接続されている。
【0044】
図2を参照して、ブラシ体20のより詳細な構造について説明する。なお、図2において、ブリスル束40および閉塞部材60以外の部分については断面を図示し、ブリスル束40および閉塞部材60については外観を図示している。
【0045】
ブリスル束40においては、ブラシヘッド21の内部に設けられている部分である植込部分41に閉塞部材60が設けられている。より具体的には、植込部分41のうちのブリスルガイド30のガイド孔31に対応する部分に閉塞部材60が設けられている。ブリスル束40が閉塞部材60により束ねられていることにより、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞されている。
【0046】
ブリスルガイド30においては、植毛面33と閉塞部材60の端面61とが同じ平面上に設けられるように閉塞部材60がブラシヘッド21に圧入されている。また、閉塞部材60が圧入されていることにより、植込部分41の周囲とブリスルガイド30との隙間すなわち植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間が閉塞されている。なお、閉塞部材60が設けられていないブリスル束40がガイド孔31に挿入されたときには、植込部分41とガイド孔31の壁面32との間には隙間が形成される。また、植込部分41において複数のフィラメント50同士の間にも隙間が形成される。
【0047】
ブリスル束40の基端部40Bには、フィラメント50の芯部52が互いに溶着された部分としての溶融塊53が形成されている。溶融塊53が導電固定部23に溶着されていることにより、ブリスル束40の基端部40Bが導電固定部23に電気的に接続されている。
【0048】
図1を参照して、電動歯ブラシ1の動作について説明する。
操作部17の操作によりアクチュエータ14に電流が供給されたとき、アクチュエータ14の駆動にともないシャフト15が振動することにより、ブラシ体20の各ブリスル束40が振動する。また、電動歯ブラシ1の使用時においては、「電源12の陽極−本体電極16−使用者の手−使用者の口腔内の組織(歯茎等)−ブリスル束40−導電固定部23−リード板26−シャフト15−電源12の陰極」の順に接続された閉回路が形成される。この電気回路が形成されているとき、フィラメント50の芯部52を介して口腔内の組織に電流が供給される。
【0049】
図3〜図5を参照して、ブラシ体20の製造工程について説明する。
まず、以下の第1工程〜第4工程を経てブリスル束40を形成する。
図3(a)に示されるように、第1工程では、1つのブリスル束40を形成するための複数のフィラメント50を用意し、この複数のフィラメント50を集めて1つの集合体とすることによりブリスル束40を形成する。
【0050】
図3(b)に示されるように、第2工程では、第1工程で形成したブリスル束40の植込部分41に相当する部分に液状の熱硬化性樹脂を塗布する。なお、塗布の方法としては、例えば刷毛またはスプレーを用いた方法が挙げられる。
【0051】
図3(c)に示されるように、第3工程では、第2工程で熱硬化性樹脂を塗布した部分に金属バンド62を取り付け、この金属バンド62により複数のフィラメント50を束ねる。その後、金属バンド62により圧縮された状態の熱硬化性樹脂を所定の時間にわたり加熱する。
【0052】
図3(d)に示されるように、第4工程(工程A1)では、熱硬化性樹脂を所定時間にわたり加熱した後に金属バンド62を取り外す。これにより、硬化した熱硬化性樹脂としての閉塞部材60により複数のフィラメント50が束ねられたブリスル束40が形成される。
【0053】
次に、以下の第11工程〜第15工程を経てブラシ体20を形成する。
図4(a)に示されるように、第11工程(工程A2)では、ブリスルガイド30に対応した金型に溶融樹脂を注入することにより、ブリスルガイド30を形成する。
【0054】
図4(b)に示されるように、第12工程(工程A3)では、第11工程で形成したブリスルガイド30のガイド孔31に対してブリスル束40の閉塞部材60を圧入する。ここでは、植毛面33側からブリスル束40の基端部40Bをガイド孔31に挿入してガイド孔31に対するブリスル束40の圧入を行う。
【0055】
図4(c)に示されるように、第13工程では、第12工程で形成したブリスルガイド30等の集合体について、ブリスル束40の基端部40Bの芯部52を溶融して結合することにより、ブリスル束40に溶融塊53を形成する。
【0056】
図5(a)に示されるように、第14工程では、第13工程で形成したブリスルガイド30等の集合体およびリード板26を導電固定部23に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することにより導電固定部23を形成する。この工程により、ブリスルガイド30、溶融塊53およびリード板26がそれぞれ導電固定部23に固定される。
【0057】
図5(b)に示されるように、第15工程では、第14工程で形成したブリスルガイド30等の集合体をヘッド本体22およびネック本体25に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することによりヘッド本体22およびネック本体25を形成する。この工程により、ブリスルガイド30、導電固定部23およびリード板26がそれぞれヘッド本体22に固定される。また、リード板26がネック本体25に固定される。
【0058】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。
(1)電動歯ブラシ1においては、ブリスル束40の植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間、および植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間を閉塞する閉塞部材60が設けられている。
【0059】
ここで、閉塞部材60が設けられていない点を除いては電動歯ブラシ1と同じ構造を有するものを「仮想歯ブラシ」として、この仮想歯ブラシとの比較に基づいて電動歯ブラシ1により得られる効果について説明する。
【0060】
仮想歯ブラシにおいては、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の間および植込部分41とガイド孔31の壁面32との間に非常に微細な隙間が形成される。このため、毛細管現象により口腔内の水分(水および唾液)が同微細な隙間を介してブラシヘッド21の内部に浸入する。ブラシヘッド21の内部に水分が浸入したとき、フィラメント50を介することなく導電固定部23と口腔内の組織との間で電流が流れるため、フィラメント50の先端部から口腔内の組織への局所的な電流の供給が行われなくなる。このため、口腔内の塩化物イオンを有効塩素に変化させて殺菌を行う効果が低下する。また、歯磨剤および洗口剤等に含まれる殺菌有効成分(例えば、塩化セチルピリジニウム)をイオン導入により歯垢等のバイオフィルム内部に供給する効果も低下する。
【0061】
また、仮想歯ブラシにおいて、使用時にブラシヘッド21の内部に浸入した水分は外部に排出されにくいため、歯ブラシの使用後もブラシヘッド21の内部が濡れた状態に保たれやすい。そしてこのときには、濡れていることに起因してブラシヘッド21に多量の埃等が付着するおそれがある。
【0062】
このような仮想歯ブラシに対して、電動歯ブラシ1においては閉塞部材60が設けられているため、ガイド孔31を介してブラシヘッド21の内部に水分が浸入することが抑制される。このため、上述した殺菌効果の低下等が生じることが抑制される。また、ブラシの使用後において埃等が付着することが抑制される。また、歯垢等の異物がブラシヘッド21の内部に入り込むことが抑制される。
【0063】
(2)電動歯ブラシ1においては、芯鞘構造のフィラメント50によりブリスル束40が構成されている。また、芯鞘構造において、内側の芯部52の材料として導電性材料が用いられ、外側の鞘部51として非導電性材料が用いられている。また、閉塞部材60が非導電性材料により構成されている。
【0064】
この構成によれば、電動歯ブラシ1の使用時においてフィラメント50の芯部52を介して口腔内の組織に電流が供給されるため、電流が供給されない一般的な歯ブラシによりブラッシングを行う場合と比較して歯の清掃効果が高くなる。
【0065】
(3)閉塞部材60として非弾性材料が用いられた場合、ブッラシング時に生じるフィラメント50の応力がフィラメント50と閉塞部材60との境界部に集中する。このため、フィラメント50の折れ曲がり、または芯部52の断裂によるフィラメント50の断線等が生じるおそれがある。
【0066】
電動歯ブラシ1においては、閉塞部材60の非導電性材料として弾性材料が用いられている。このため、フィラメント50に生じる応力が弾性材料としての閉塞部材60に分散するため、上述したフィラメント50の破損が生じることを抑制することができる。
【0067】
(4)電動歯ブラシ1においては、複数のフィラメント50が閉塞部材60により束ねられている。また、閉塞部材60がブリスルガイド30のガイド孔31に圧入されることにより、ブリスル束40がブリスルガイド30に固定されている。
【0068】
この構成によれば、閉塞部材60をブリスルガイド30に圧入する作業により、ブリスル束40の植込部分41と壁面32との隙間を埋める作業、およびブリスル束40をブリスルガイド30に固定する作業が完了する。このため、ブリスル束40をブラシヘッド21に固定するために別途の固定部材を用いる場合と比較して、ブラシ体20の組み立てにかかる工程数を少なくすることができる。
【0069】
(5)電動歯ブラシ1においては、ブラシヘッド21を振動させるためのアクチュエータ14が設けられている。この構成によれば、フィラメント50から口腔内の組織への通電にともなう電気的な清掃効果の向上に加えて、ブラシヘッド21に微細な振動が付与されることにともなう物理的な清掃効果の向上も期待することができる。
【0070】
(6)ブリスルガイド30の導電固定部23側からブリスル束40を挿入する製造方法によれば、ブリスル束40を挿入した後にブリスル束40を基端部40B側から支持するための部材をブリスルガイド30に取り付ける等の作業が必要となる。すなわち、ブラシヘッド21の製造工程の途中にブリスル束40を挿入する工程を割り込ませる必要が生じる。
【0071】
本実施形態の電動歯ブラシ1の製造方法においては、ブリスル束40を植毛面33側からブリスルガイド30に圧入している。これにより、ブラシヘッド21の製造工程の途中にブリスル束40を圧入する工程を割り込ませる必要がないため、ブラシヘッド21を製造するときの作業効率が高められる。
【0072】
(7)電動歯ブラシ1の製造方法においては、閉塞部材60によりブリスル束40の各フィラメント50を束ねた後、このブリスル束40をブリスルガイド30のガイド孔31に圧入している。
【0073】
ブラシ体20において、ブリスル束40の植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間、および植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間を閉塞する別の製造方法としては、例えば次のものが考えられる。すなわち、閉塞部材60により束ねられていないブリスル束40をガイド孔31に挿入し、その後にガイド孔31に非導電性の溶融樹脂を注入して植込部分41に閉塞部材を形成することにより、上記の各隙間が閉塞されたブラシ体20を形成するものが挙げられる。
【0074】
しかしこの製造方法によれば、植込部分41において複数のフィラメント50同士の隙間に溶融樹脂を十分に供給するためには、設備の動作条件について高度な調整を行うことが要求される。また、製造されたブラシ体20において上記フィラメント50同士の隙間が適切に閉塞されているか否かの確認を行うことが難しい。
【0075】
これに対して本実施形態の電動歯ブラシ1の製造方法においては、ブリスル束40単体の状態において植込部分41に相当する部分に閉塞部材60を形成するため、上記で想定した製造方法に比べて閉塞部材60を形成する作業が容易になる。また、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞部材60により適切に閉塞されているか否かの確認作業も容易に行うことができる。
【0076】
(第2実施形態)
図6および図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の電動歯ブラシ1においては、ブリスルガイド30にブリスル束40が植えられた後に植込部分41の周囲の隙間および植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞部材60により閉塞された構造が採用されている。また、ブリスルガイド30としてガイド孔31に底壁34が設けられたものが用いられている。
【0077】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0078】
図6(a)に示されるように、ブリスルガイド30のガイド孔31において、導電固定部23側の開口部には底壁34が設けられている。この底壁34には、補助ガイド孔35が設けられている。補助ガイド孔35の径は、ブリスル束40を挿入することが可能な大きさに設定されている。
【0079】
図7(c)に示されるように、ブリスルガイド30においては、植毛面33と閉塞部材60の端面61とが同じ平面上に設けられるように閉塞部材60がガイド孔31内に形成されている。また、閉塞部材60が形成されていることにより、植込部分41の周囲とブリスルガイド30との隙間すなわち植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間が閉塞されている。なお、図7(c)においては、ブリスル束40および閉塞部材60以外の要素については断面を図示し、ブリスル束40については外観を図示している。また、閉塞部材60については、同断面上に存在する部分および同断面上では確認できないその他の部分を含めてドットにより図示している。
【0080】
図6および図7を参照して、ブラシ体20の製造工程について説明する。
まず、第1実施形態の第1工程と同じ工程を経てブリスル束40を形成する。すなわち、閉塞部材60により束ねられていない状態のブリスル束40を形成する。
【0081】
次に、以下の第21工程〜第26工程を経てブラシ体20を形成する。
図6(a)に示されるように、第21工程(工程B1)では、ブリスルガイド30に対応した金型に溶融樹脂を注入することにより、ブリスルガイド30を形成する。
【0082】
図6(b)に示されるように、第22工程(工程B2)では、第21工程で形成したブリスルガイド30のガイド孔31および補助ガイド孔35にブリスル束40を挿入する。ここでは、植毛面33側からブリスル束40の基端部40Bをガイド孔31に挿入する。
【0083】
図6(c)に示されるように、第23工程では、第22工程で形成したブリスルガイド30等の集合体について、ブリスル束40の基端部40Bの芯部52を溶融して結合することにより、ブリスル束40に溶融塊53を形成する。
【0084】
図7(a)に示されるように、第24工程では、第23工程で形成したブリスルガイド30等の集合体およびリード板26を導電固定部23に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することにより導電固定部23を形成する。この工程により、ブリスルガイド30、溶融塊53およびリード板26がそれぞれ導電固定部23に固定される。
【0085】
図7(b)に示されるように、第25工程では、第24工程で形成したブリスルガイド30等の集合体をヘッド本体22およびネック本体25に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することによりヘッド本体22およびネック本体25を形成する。この工程により、ブリスルガイド30、導電固定部23およびリード板26がそれぞれヘッド本体22に固定される。また、リード板26がネック本体25に固定される。
【0086】
図7(c)に示されるように、第26工程(工程B3)では、第25工程で形成したブラシヘッド21の植毛面33側からガイド孔31に液状の樹脂を注入する。そして、注入された樹脂が硬化することにより、ブリスル束40の植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間、および植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間を閉塞する閉塞部材60が形成される。
【0087】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。すなわち、第1実施形態の(1)〜(3)、(5)および(6)の効果と同様の効果に加えて、以下の(8)の効果が得られる。
【0088】
(8)電動歯ブラシ1においては、ブリスルガイド30に底壁34が設けられている。このため、ブラシ体20の製造工程において閉塞部材60の溶融樹脂をガイド孔31に注入したとき、溶融樹脂が導電固定部23に触れることが抑制される。
【0089】
(第3実施形態)
図8〜図11を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の電動歯ブラシ1においては、ブリスルガイド30のガイド孔31に小径部36および大径部37が設けられている。また、閉塞部材がヘッド本体22と一体化して構成されている。
【0090】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0091】
図8(a)に示されるように、ブリスルガイド30のガイド孔31は、植毛面33側の部分に設けられた小径部36と導電固定部23側の部分に設けられた大径部37とにより構成されている。小径部36の径は、ブリスル束40を挿入することのできる大きさに設定されている。
【0092】
図9(b)に示されるように、ヘッド本体22においてブリスル束40の植込部分41と対応する部分には、すなわちガイド孔31の小径部36の一部およびガイド孔31の大径部37と対応する部分には、閉塞部材としての閉塞部22Aが設けられている。なお、図9(b)においては、ブリスル束40以外の要素については断面を図示し、ブリスル束40については外観を図示している。また、閉塞部22Aについては同断面上に存在する部分をヘッド本体22と同一のハッチングにより図示し、同断面上では確認できないその他の部分をドットにより図示している。
【0093】
閉塞部22Aは、ヘッド本体22の他の部分と同じ非導電性の樹脂により同他の部分と一体化して形成されている。また、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間を埋めるように形成されている。また、閉塞部22A自体と植込部分41との間に隙間が生じないように形成されている。
【0094】
ブリスルガイド30においては、閉塞部22Aの端面22Bが植毛面33とは異なる位置、すなわちガイド孔31内に設けられている。これにより、ガイド孔31において開口部から小径部36の中間部分までの壁面32とブリスル束40の植込部分41との間には、隙間としての非充填部38が形成されている。
【0095】
このようにブリスルガイド30の植毛面33には、閉塞部22Aの端面22Bを底面とする凹部がガイド孔31により形成されている。なお、ブリスル束40がガイド孔31に挿入された状態においてヘッド本体22に閉塞部22Aが形成されていないときには、植込部分41とガイド孔31の壁面32全体との間に隙間が形成される。また、植込部分41において複数のフィラメント50同士の間にも隙間が形成される。
【0096】
図8および図9を参照して、ブラシ体20の製造工程について説明する。
まず、第1実施形態の第1工程と同じ工程を経てブリスル束40を形成する。すなわち、閉塞部材60により束ねられていない状態のブリスル束40を形成する。
【0097】
次に、以下の第31工程〜第34工程を経てブラシ体20を形成する。
図8(a)に示されるように、第31工程では、ブリスルガイド30に対応した金型に溶融樹脂を注入することにより、ブリスルガイド30を形成する。
【0098】
図8(b)に示されるように、第32工程では、第31工程で形成したブリスルガイド30のガイド孔31にブリスル束40を挿入する。ここでは、植毛面33側からブリスル束40の基端部40Bをガイド孔31に挿入する。
【0099】
図9(a)に示されるように、第33工程では、第32工程で形成したブリスルガイド30等の集合体、および別途の工程により用意されたリード板26を導電固定部23に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することにより導電固定部23を形成する。この工程により、ブリスルガイド30およびリード板26がそれぞれ導電固定部23に固定される。
【0100】
図9(b)に示されるように、第34工程では、第33工程で形成したブリスルガイド30等の集合体をヘッド本体22およびネック本体25に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することによりヘッド本体22およびネック本体25を形成する。この工程では、閉塞部22Aの端面22Bがガイド孔31内に形成されるように樹脂の充填量が調整される。
【0101】
第35工程により、ブリスルガイド30、導電固定部23およびリード板26がそれぞれヘッド本体22に固定される。また、リード板26がネック本体25に固定される。また、ブリスル束40の植込部分41と小径部36の一部および大径部37との隙間、および植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間を閉塞する閉塞部22Aが形成される。
【0102】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。すなわち、第1実施形態の(1)〜(3)、(5)および(6)の効果と同様の効果に加えて、以下の(9)の効果が得られる。
【0103】
(9)図11(a)に示されるように、ブリスルガイド30のガイド孔31に非充填部38が形成されていない構成によれば次の問題が生じる。すなわち、図11(b)に示されるように、ブラッシング時にフィラメント50に生じる応力がフィラメント50と閉塞部22Aとの境界部分に集中する。このため、ブラッシング時にフィラメント50に生じる応力に起因して、フィラメント50の折れ曲がりまたは芯部52の断裂が生じるおそれがある。
【0104】
これに対して本実施形態の電動歯ブラシ1においては、図10(a)に示されるように、ブリスル束40の植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間としての非充填部38がガイド孔31の小径部36に形成されている。このため、図10(b)に示されるように、ブラッシング時にはフィラメント50と閉塞部22Aとの境界部分およびガイド孔31の開口部において主にフィラメント50に応力が生じる。すなわち、ブラッシング時にフィラメント50に生じる応力が分散される。これにより、フィラメント50の折れ曲がり、または芯部52の断裂が生じることを抑制することができる。
【0105】
(第4実施形態)
図12および図13を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の電動歯ブラシ1においては、ブリスル束40の基端部40Bにおいて複数の芯部52が一体化されている。また、ブラシ体20に代えて、ヘッド本体22およびブリスルガイド30が同じ材料により一体のものとして形成されたブラシ体に相当するブラシ体70が設けられている。
【0106】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0107】
図12に示されるように、ブリスル束40は閉塞部材60により束ねられている。また、ブリスル束40において閉塞部材60よりも基端部40B側の部分には、複数の芯部52が互いに溶着された結合部40Cが形成されている。
【0108】
図13(c)に示されるように、ブラシ体70には、歯を清掃するためのブラシヘッド71と、ブラシ体70を歯ブラシ本体10に固定するためのブラシネック74と、複数のブリスル束40とが設けられている。
【0109】
ブラシヘッド71には、ブリスル束40が固定される導電固定部73と、導電固定部73の周囲を覆いブラシヘッド71の本体を形成するヘッド本体72とが設けられている。
ヘッド本体72には、ブリスル束40の閉塞部材60を固定するための複数の固定孔72Aが形成されている。すなわち、ヘッド本体72はブリスルガイドを含む部材として形成されている。
【0110】
導電固定部73には、ブリスル束40の結合部40Cおよび閉塞部材60を固定するための固定穴73Aが形成されている。固定穴73Aは、閉塞部材60に対応した径の大きい部分と結合部40Cに対応した径の小さい部分とにより構成されている。固定穴73Aに結合部40Cが圧入されることにより、ブリスル束40が導電固定部73と電気的に接続される。
【0111】
ブラシヘッド71においては、閉塞部材60の端面61が固定孔72A内に設けられるように閉塞部材60がヘッド本体72に圧入されている。これにより、ブラシヘッド71には端面61を底面とする凹部が固定孔72Aにより形成されている。また、閉塞部材60が圧入されていることにより、植込部分41の周囲とヘッド本体72との隙間すなわち植込部分41と固定孔72Aおよび固定穴73Aの壁面との隙間が閉塞されている。また、ブリスル束40が閉塞部材60により束ねられていることにより、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞されている。
【0112】
図12および図13を参照して、ブラシ体20の製造工程について説明する。
まず、第1実施形態の第1工程〜第4工程(工程A1)と同じ工程を経てブリスル束40を形成する。第4工程で形成したブリスル束40においては、閉塞部材60よりも基端部40B側の部分の全体が芯部52だけで構成されている。また、同部分の芯部52においては、結合部40Cを形成するために必要な長さが確保されている。このようなブリスル束40を形成するため、本実施形態の第1工程では、第1実施形態の第1工程で用いられるフィラメント50と比較して、基端部50B側において芯部52が露出している部分の長さが大きいものが用いられる。
【0113】
第4工程でブリスル束40を形成した後、その基端部40B側の芯部52を溶融する。これにより、閉塞部材60よりも基端部40B側の部分の芯部52同士が互いに溶着した部分として結合部40Cが形成される。
【0114】
次に、以下の第41工程〜第43工程を経てブラシ体20を形成する。
図13(a)に示されるように、第41工程では、別途の工程により用意されたリード板76を導電固定部73に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することにより導電固定部73を形成する。この工程により、リード板76が導電固定部73に固定される。
【0115】
図13(b)に示されるように、第42工程(工程A2)では、第41工程で形成した導電固定部73等の集合体をヘッド本体72およびネック本体75に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することによりヘッド本体72およびネック本体75を形成する。この工程により、導電固定部73およびリード板76がそれぞれヘッド本体72に固定される。また、リード板76がネック本体75に固定される。
【0116】
図13(c)に示されるように、第43工程(工程A3)では、第42工程で形成したヘッド本体72の固定孔72Aおよび導電固定部73の固定穴73Aに対してブリスル束40の閉塞部材60を圧入する。また、導電固定部73の固定穴73Aに対してブリスル束40の結合部40Cを圧入する。
【0117】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。すなわち、第1実施形態の(1)〜(3)、(5)および(6)の効果、ならびに第3実施形態の(9)の効果と同様の効果に加えて、以下の(10)の効果が得られる。
【0118】
(10)電動歯ブラシ1においては、ブリスル束40において閉塞部材60よりも基端部40B側の部分が一体化されている。すなわち同部分には、複数の芯部52が互いに溶着された結合部40Cが形成されている。
【0119】
この構成によれば、ブリスル束40において複数のフィラメント50同士の電気的な接続がより確実に得られるため、複数のフィラメント50の間においてそれぞれに流れる電流の大きさが過度に大きくばらつくことが抑制される。また、ブリスル束40の基端部40Bを導電固定部73に固定する作業を容易に行うことができる。
【0120】
(第5実施形態)
図14および図15を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の電動歯ブラシ1においては、フィラメント50の中間部分に芯部52が露出する部分が形成されている。また、ブラシ体20に代えて、ヘッド本体22およびブリスルガイド30が同じ材料により一体のものとして形成されたブラシ体に相当するブラシ体80が設けられている。
【0121】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0122】
図14(b)に示されるように、フィラメント50の中間部分には、芯部52が鞘部51から露出した中間露出部54が形成されている。また、ブリスル束40において中間露出部54の近傍部分の両側には、それぞれ閉塞部材60が設けられている。
【0123】
図15(c)に示されるように、ブラシ体80には、歯を清掃するためのブラシヘッド81と、ブラシ体80を歯ブラシ本体10に固定するためのブラシネック84と、複数のブリスル束40とが設けられている。
【0124】
ブラシヘッド81には、ブリスル束40が固定される導電固定部83と、導電固定部83の周囲を覆いブラシヘッド81の本体を形成するヘッド本体82とが設けられている。
ヘッド本体82には、ブリスル束40の閉塞部材60を固定するための複数の固定孔82Aが形成されている。すなわち、ヘッド本体82はブリスルガイドを含む部材として形成されている。
【0125】
導電固定部83には、ブリスル束40の中間露出部54を配置するための導電穴83Aが形成されている。導電穴83Aに中間露出部54が配置されることにより、ブリスル束40が導電固定部83と電気的に接続される。
【0126】
ブラシヘッド81においては、閉塞部材60の端面61が固定孔82A内に設けられるように閉塞部材60がヘッド本体82に圧入されている。これにより、ブラシヘッド81には端面61を底面とする凹部が固定孔82Aにより形成されている。また、閉塞部材60が圧入されていることにより、植込部分41の周囲とヘッド本体82との隙間すなわち植込部分41と固定孔82Aの壁面との隙間が閉塞されている。また、ブリスル束40が閉塞部材60により束ねられていることにより、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞されている。
【0127】
図14および図15を参照して、ブラシ体20の製造工程について説明する。
まず、以下の第51工程〜第54工程を経てブリスル束40を形成する。
図14(a)に示されるように、第51工程では、中間露出部54が形成された複数のフィラメント50(例えば20〜30本)を用意し、この複数のフィラメント50を集めて1つの集合体とすることによりブリスル束40を形成する。
【0128】
図14(b)に示されるように、第52工程(工程A1)では、第1実施形態の第2工程〜第4工程と同じ工程により、第51工程で形成したブリスル束40に2つの閉塞部材60を形成する。
【0129】
図14(c)に示されるように、第53工程では、第52工程で形成したブリスル束40をU字形状に折り曲げる。
図14(d)に示されるように、第54工程では、第53工程で形成したブリスル束40において、一方の閉塞部材60と他方の閉塞部材60との間に平栓42を配置して圧入のための準備を整える。
【0130】
次に、以下の第55工程〜第57工程を経てブラシ体20を形成する。
図15(a)に示されるように、第55工程では、別途の工程により用意されたリード板26を導電固定部83に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することにより導電固定部83を形成する。この工程により、リード板26が導電固定部83に固定される。
【0131】
図15(b)に示されるように、第56工程(工程A2)では、第55工程で形成した導電固定部83等の集合体をヘッド本体82およびネック本体85に対応した金型にインサートし、溶融樹脂を注入することによりヘッド本体82およびネック本体85を形成する。この工程により、導電固定部83およびリード板26がそれぞれヘッド本体82に固定される。また、リード板26がネック本体85に固定される。
【0132】
図15(c)に示されるように、第57工程(工程A3)では、第56工程で形成したヘッド本体82の固定孔82Aに対して平栓42およびブリスル束40の閉塞部材60を圧入する。また、導電固定部83の導電穴83Aにブリスル束40の中間露出部54を挿入する。
【0133】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。すなわち、第1実施形態の(1)〜(7)、第3実施形態の(9)の効果、ならびに第4実施形態の(10)の効果と同様の効果に加えて、以下の(11)の効果が得られる。
【0134】
(11)電動歯ブラシ1においては、ブリスル束40に中間露出部54が形成されている。また、ブリスル束40が平栓42によりブラシヘッド81に固定されている。すなわち、ブリスル束40に中間露出部54を形成することにより、平栓42を用いたブリスル束40の固定を可能にしている。これにより、ブリスル束をブラシヘッドに固定するための従来の手法を利用してブラシ体20を製造することが可能になるため、作業の効率化を図ることができる。
【0135】
(第6実施形態)
図16を参照して、本発明の第6実施形態について説明する。
本実施形態の電動歯ブラシ1は、第1実施形態の電動歯ブラシ1の一部を次のように変更したものとして構成されている。すなわち、本実施形態の電動歯ブラシ1においては、閉塞部材60に代えてOリング90が設けられている。
【0136】
以下、この変更された部分についての詳細を示す。なお、その他の点については第1実施形態と同様の構成が採用されているため、共通する構成については同一の符号を付してその説明の一部または全部を適宜省略する。
【0137】
図16に示されるように、ブリスルガイド30においてガイド孔31の開口部にはOリング90が設けられている。また、ブリスル束40の植込部分41とガイド孔31の壁面32との隙間がOリング90により閉塞されている。また、Oリング90と対応する植込部分41がOリング90により圧縮されることにより、植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間が閉塞されている。
【0138】
(効果)
本実施形態によれば次の効果が得られる。すなわち、第1実施形態の(1)〜(3)、(5)および(6)の効果と同様の効果が得られる。
【0139】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0140】
・上記第1実施形態では、閉塞部材60をガイド孔31に圧入することによりブリスル束40とガイド孔31の壁面32との隙間が閉塞される構造を用いているが、同隙間を閉塞するための構造を次のように変更することもできる。すなわち、閉塞部材60をガイド孔31に挿入し、閉塞部材60の外周の全体と壁面32とを接着剤により互いに固定することにより、ブリスル束40と壁面32との間の隙間を閉塞することもできる。
【0141】
・上記第1実施形態では、導電固定部23に対してブリスル束40の芯部52を固定しているが、ブリスル束40の芯部52を固定するための構造を次のように変更することもできる。
(A)リード板26をブリスル束40に対応する部分まで延長する。このリード板26に対してブリスル束40の芯部52を固定する。
(B)リード板26とは各別に形成された導電性の部材をリード板26に取り付ける。この導電性の部材に対してブリスル束40の芯部52を固定する。
【0142】
・上記第1実施形態では、ブリスルガイド30の植毛面33と閉塞部材60の端面61とが同じ平面上に設けているが、閉塞部材60の端面61をガイド孔31内に設けることもできる。この場合には、ブラシヘッド21においてガイド孔31により凹部が形成されるため、上記第3実施形態の(9)の効果と同様の効果が得られる。
【0143】
・上記第2実施形態では、ブリスルガイド30に底壁34を設けているが、底壁34を省略してブリスルガイド30を形成することもできる。
・上記第4実施形態では、閉塞部材60よりも基端部40B側の部分が芯部52だけで構成されるブリスル束40を第4工程で形成した後、同部分の芯部52を溶融して結合部40Cを形成しているが、結合部40Cの構成を次のように変更することもできる。すなわち、第1実施形態と同様に閉塞部材60よりも基端部40B側の部分に鞘部51および芯部52を有するブリスル束40を第4工程で形成し、同部分を溶融して結合部40Cを形成することもできる。
【0144】
・上記各実施形態では、ブリスル束40の植込部分41においての複数のフィラメント50同士の隙間、および植込部分41とガイド孔31または固定孔72Aまたは固定孔82Aの壁面との隙間について、これら隙間が閉塞部材60により閉塞される構造を採用しているが、この構造を以下のように変更することもできる。
(A)上記各隙間のうちの前者のみが閉塞部材60により閉塞される構造に変更する。この場合、閉塞部材60が設けられていない歯ブラシと比較すると、複数のフィラメント50同士の隙間からブラシヘッド21の内部への水の浸入が抑制される。
(B)上記各隙間のうちの後者のみが閉塞部材60により閉塞される構造に変更する。この場合、閉塞部材60が設けられていない歯ブラシと比較すると、植込部分41と孔の壁面との隙間からブラシヘッド21の内部への水の浸入が抑制される。
【0145】
・上記各実施形態では、フィラメント50として先端部50Aにおいて芯部52が鞘部51から突出する芯鞘構造のものを用いているが、電動歯ブラシ1の使用時に口腔内の組織と芯部52との接触により電気回路が形成される構成であれば、先端部50Aにおいて芯部52が鞘部51から突出している必要はない。
【0146】
・上記各実施形態では、電源12として1次電池を用いているが、2次電池を電源12として用いることもできる。
・上記各実施形態では、ブリスル束40を構成する複数のフィラメント50の全部について芯鞘構造のものを用いているが、芯鞘構造を有するフィラメントおよび芯鞘構造を有していないフィラメントを含めてブリスル束40を構成することもできる。この場合、全てのブリスル束40において上記2種類のフィラメントを含める構成、および一部のブリスル束40において上記2種類のフィラメントを含める構成をそれぞれ採用することができる。
【0147】
・上記各実施形態では、ブリスル束40により口腔内に電流を供給する機能が設けられた歯ブラシに対して本発明が適用された場合の具体例を示したが、同機能が設けられていない歯ブラシに対して本発明を適用することもできる。この場合には、芯鞘構造のフィラメント50に代えて、非導電性材料により形成されたフィラメントにより各ブリスル束が構成される。また、各実施形態において上記機能を実現するための構成要素として設けられているもの、すなわち導電固定部23,73,83およびリード板26および本体電極16について、これらを電動歯ブラシ1から省略することができる。
【0148】
・上記各実施形態では、ブラシヘッド21を振動させる機能が設けられた歯ブラシに対して本発明が適用された場合の具体例を示したが、同機能が設けられていない歯ブラシに対して本発明を適用することもできる。この場合には、各実施形態において上記機能を実現するための構成要素として設けられているもの、すなわちアクチュエータ14およびシャフト15を電動歯ブラシ1から省略することもできる。
【符号の説明】
【0149】
1…電動歯ブラシ(歯ブラシ)、10…歯ブラシ本体(本体)、13…回路部、14…アクチュエータ、20…ブラシ体、21…ブラシヘッド、22A…閉塞部(閉塞部材)、22B…端面(凹部の底面)、30…ブリスルガイド、31…ガイド孔(植毛穴)、32…壁面、40…ブリスル束、40A…先端部、40B…基端部、41…植込部分、50…フィラメント、60…閉塞部材、73A…固定穴(導電部材の穴)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィラメントの束であるブリスル束、およびこのブリスル束が植えられたブラシヘッドを含むブラシ体において、
前記ブリスル束のうちの前記ブラシヘッドの内部にある部分を植込部分として、この植込部分においての前記複数のフィラメント同士の隙間、および前記植込部分の周囲の隙間の少なくとも一方を閉塞する閉塞部材が設けられていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシ体において、
前記複数のフィラメントの少なくとも1つが芯鞘構造を有すること、
前記芯鞘構造において、内側の材料として導電性材料が用いられ、外側の材料として非導電性材料が用いられていること、
ならびに、前記閉塞部材が非導電性材料により構成されていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のブラシ体において、
前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること、
前記植込部分においての前記複数のフィラメント同士の隙間、および前記植毛穴の壁面と前記植込部分との間の隙間の少なくとも一方を閉塞する部材として前記閉塞部材が設けられていること、
ならびに、前記ブリスルガイドと前記閉塞部材とが互いに異なる材料により構成されていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のブラシ体において、
前記閉塞部材の非導電性材料として弾性材料が用いられていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のブラシ体において、
前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること、
前記ブリスルガイドには前記植毛穴により形成される凹部が設けられていること、
ならびに、前記閉塞部材の表面により前記凹部の底面が形成されていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のブラシ体において、
前記ブラシヘッドには前記ブリスル束が挿入される植毛穴を有するブリスルガイドが設けられていること
前記複数のフィラメントが前記閉塞部材により束ねられていること、
ならびに、前記閉塞部材が前記植毛穴に嵌め込まれていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項7】
請求項6に記載のブラシ体において、
前記ブリスル束において前記ブラシヘッドの外側に位置する端部を先端部とし、前記ブリスル束において前記先端部とは反対側の端部を基端部として、前記ブリスル束のうちの前記閉塞部材よりも前記基端部側の部分が一体化されていること
を特徴とするブラシ体。
【請求項8】
ブリスル束を有するブラシ体と、このブラシ体の取り付けおよび取り外しが可能な本体と、前記ブリスル束に電流を供給するための回路部とを含む歯ブラシにおいて、
前記ブラシ体として請求項1〜7のいずれか一項に記載のブラシ体が設けられていること
を特徴とする歯ブラシ。
【請求項9】
請求項8に記載の歯ブラシにおいて、
前記ブラシヘッドを振動させるためのアクチュエータを含むこと
を特徴とする歯ブラシ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラシ体の製造方法において、
前記複数のフィラメントを前記閉塞部材により束ねて前記ブリスル束を形成する工程A1と、
前記ブリスル束が挿入される植毛穴を含むブリスルガイドを形成する工程A2と、
前記工程A1および前記工程A2の後において、前記閉塞部材を前記植毛穴に嵌め込む工程A3と
を含むことを特徴とするブラシ体の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載のブラシ体の製造方法において、
前記ブリスル束の端部のうちの前記ブラシヘッドの外側に位置する端部を先端部とし、前記ブリスル束の端部のうちの前記先端部とは反対側の端部を基端部として、
前記工程A1において、前記ブリスル束のうちの前記閉塞部材よりも前記基端部側の部分を一体化すること、
ならびに、前記工程A3において、前記ブラシヘッドの内部に設けられた導電部材の穴に前記ブリスル束の一体化された部分を嵌め込むこと
を特徴とするブラシ体の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のブラシ体の製造方法において、
前記ブリスル束が挿入される植毛穴を含むブリスルガイドを形成する工程B1と、
前記工程B1の後において、前記ブリスル束を前記植毛穴に挿入する工程B2と、
前記工程B2の後において、前記閉塞部材を形成するための溶融状態の材料を前記植毛穴に供給する工程B3と
を含むことを特徴とするブラシ体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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