説明

ブラシ用毛材

【課題】複雑な加工工程を省略することによって、コストダウンを図ることができるブラシ用毛材を提供することを目的とするものである。
【解決手段】洗浄、清掃、研削、塗布等に使用される各種加工ブラシに用いられるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材1は、長尺の繊維束を蛇行状に折曲させて仮止め糸13、33により帯状に連ねた帯板状体2を有し、該帯板状体2の長手方向には芯線4が挟み込まれて保持されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄、清掃、研削、塗布等に使用される各種加工ブラシに用いられるブラシ用毛材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブラシ用毛材としては、1種類のブラシ用毛材をU字形に2つ折りしながら長尺チャンネルの溝に押し込んでチャンネルブラシとして使用するものがある(特許文献1)。
また、あらかじめ長尺チャンネルの溝に接着材が含浸され、この溝に1種類のブラシ用毛材を芯線でU字形に2つ折りしながら、芯線と共に長尺チャンネルの溝に押し込んで接着してチャンネルブラシとして使用するものがある(特許文献2)。
さらに、1種類のブラシ用毛材をU字形に2つ折りしながら長尺チャンネルの溝に押し込んだ後、ブラシ用毛材の側面に所定幅の接着層を形成してチャンネルブラシとして使用するものがある(特許文献3)。
また、長尺な繊維束を蛇行状に折り曲げて所定幅の帯板状体を形成させ、この帯板状体は、その長手方向の両縁部を仮止め糸で固定したうえで、幅方向の中央で2分割してブラシ用毛材として使用するものがある(特許文献4)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−275025号公報
【特許文献2】特開平8−38255号公報
【特許文献3】特開2004−33685号公報
【特許文献4】特開2001−161611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、ブラシ用毛材をチャンネルブラシとして使用する場合の他の製造方法としては、図9に示すように、先ず、長尺の帯状体15に対して、ブラシ用毛材1の中心にある溶着部6が帯状体15の上部になるように重ね合わせて設置し、縦ロール19を使用して芯線16にてブラシ用毛材1を挟み付けると共に、芯線16を帯状体15の溝部17に押し込む。次に、帯状体15の両側に形成された横ロール18、18を使用して帯状体15を両側からかしめて完成させるものがある。
これら従来の製造方法は、いずれも複雑な加工工程を必要としている。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、複雑な加工工程を省略することによって、コストダウンを図ることができるブラシ用毛材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、洗浄、清掃、研削、塗布等に使用される各種加工ブラシに用いられるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は、長尺の繊維束を蛇行状に折曲させて仮止め糸により帯状に連ねた帯板状体を有し、該帯板状体の長手方向には芯線が挟み込まれて保持されていることに特徴を有する。したがって、芯線が予めブラシ用毛材に挟み込まれていることから、各種加工ブラシの製造工程においてブラシ用毛材に芯線を挟み付ける工程を必要としない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、芯線は帯板状体の短手方向の略中央部に保持されていることに特徴を有する。したがって、芯線の両側の帯板状体を折り曲げることによって容易にチャンネルブラシを製造することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、芯線は帯板状体の短手方向の端部に保持されていることに特徴を有する。したがって、芯線が保持されている端部をコ字状の帯状体で挟みつけ、他方の端部の長手方向を切断することによって容易にチャンネルブラシを製造することができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、各種加工ブラシに用いられるブラシ用毛材において、予め芯線をブラシ用毛材に挟み込むことによって、製造コストを低減することができる。また、請求項2及び3の発明では、芯線をブラシ用毛材の短手方向の中央部又は端部で保持させることによって、チャンネルブラシの製造が容易となり、さらに製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第一実施形態を示す説明図である。先ず、所望の太さにまとめた長尺の繊維束を、蛇行状に折曲させて、ブラシの背丈の略2倍の横幅寸法の帯板状体2とする。次に、両縁部を仮止め糸13、33によって固定する。次に、中央部の繊維束の中に一端から他端に亘って芯線4を挿入するのである。そして、挿入された芯線4の両側の帯板状体2を仮止め糸3、3によって縫い、芯線4を中央部に固定するのである。これによって、蛇行状に折曲させられた長尺な繊維束は解けることがなくなると共に、中央部に芯線4が保持された帯板状体2がブラシ用毛材1となるのである。
【0011】
図2は、図1で説明した本発明のブラシ用毛材1をチャンネルブラシ14に適用した状態を示す斜視図である。この図に示すように、チャンネルブラシ14は、ブラシ用毛材1、帯状体15及び芯線4より構成されている。帯状体15は概コ字状の溝部17を有する長尺形状に形成されており、ブラシ用毛材1は芯線4が保持されている両側を折り曲げて、帯状体15にて挟みつけて形成されている。ここで、チャンネルブラシ14はブラシ用毛材1が帯状体15にて挟み付けられてあると共に、芯線4の両側が仮止め糸3、3により縫ってある為、ブラシ用毛材1は毛抜けをすることが無い。尚、仮止め糸3は使用目的に応じて抜くことも可能である。
また、ブラシ用毛材1の端部を図1で示した仮止め糸3の下で切断することによって、均一な毛丈のチャンネルブラシ14を製造することができる。
【0012】
図3は本発明の第二実施形態を示す説明図である。先ず、所望の太さにまとめた長尺の繊維束を、蛇行状に折曲させて、ブラシの背丈の略2倍の横幅寸法の帯板状体2とする。次に、両縁部を仮止め糸3、13によって固定する。次に、中央部の繊維束の中に一端から他端に亘って芯線4を挿入するのである。そして、中央部の芯線4を一方の端部に固定されてある仮止め糸3の近傍まで繊維束の中を移動させた後、芯線4の反対側の縁部を仮止め糸3によって固定し、ブラシ用毛材1aとなるのである。このブラシ用毛材1aをチャンネルブラシに使用する場合には、図2に示した帯状体15の溝部17に芯線4が保持された側のブラシ用毛材1aの端部を挿入して挟みつけ、ブラシ用毛材1aの他方の端部を仮止め糸13の下で切断することによって、チャンネルブラシを製造することができる。
【0013】
ここで、ブラシ用毛材及び芯線は使用する目的に応じて、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、ポリカーボネイト系繊維に代表されるポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリウレタン系繊維、ウレタンゴム系繊維、アクリル系繊維、熱可塑性ポリビニルアルコール系繊維、熱可塑性フッ素系樹脂繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等の材質の中から、選定して使用する。また、抗菌繊維、微生物分解性繊維、発色性繊維、蛍光繊維、蓄光繊維、高強度繊維、静電性繊維、制電性繊維、伸縮性繊維、熱融着繊維、弾性繊維等の材質の中から、選定して使用する。さらにまた、上記以外にも、例えば、アルミニウム、マグネシウム、鉄、ステンレス、セラミック等の繊維、前記材質の合金の繊維、天然繊維、化学繊維、天然樹脂発泡体、合成樹脂発泡体、天然樹脂、合成樹脂、天然ゴム、合成ゴムからなる繊維等の材質の中から、選定して使用できる。また、前記繊維は極細繊維の形態も設定できる。
【0014】
図4〜図8に、上記第一及び第二実施形態で示したブラシ用毛材1又は1aの各種ブラシへの適用例を示す。先ず、図4はブラシ用毛材1、を回転ロータ24に適用した場合の断面図である。この図に示すように、回転ロータ24の回転軸25の溝26の底にブラシ用毛材1の芯線4を押し込んで製作される。
【0015】
図5はブラシ用毛材1又は1aを洗浄ブラシ16に適用した場合である。この洗浄ブラシ16は、ブラシ用毛材1によって形成されたチャンネルブラシ17を螺旋状に回転軸18に巻き付けたものであり、洗車機用、一般洗浄用、液晶、ウェハ、ガラス等の基板洗浄用、掃除機用等に使用される。
【0016】
図6はブラシ用毛材1又は1aを洗浄ブラシ19に適用した場合である。この洗浄ブラシ19は室内清掃用、洗車機用等に使用される。
【0017】
図7はブラシ用毛材1又は1aを洗浄ブラシ20に適用した場合である。この洗浄ブラシ20は、回転軸21の溝部22にブラシ用毛材1にて形成されたチャンネルブラシ23を挿入し、捻ることによって製作される。この洗浄ブラシ20は、主に掃除機用床ノズル或いは空気調和機のフィルター清掃用の回転ロータとして使用される。
【0018】
図8はブラシ用毛材1又は1aをブラシロール27に適用した場合である。このブラシロール27は鉄鋼又は非鉄金属性の板材の表面の洗浄、清掃、研磨、研削及び表面処理に使用される。
【0019】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明のブラシ用毛材は洗浄、清掃、研削、塗布等に使用される各種加工ブラシを構成する一部品として使用する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態を示す図である。
【図2】チャンネルブラシの斜視図である。
【図3】本発明の第二実施形態を示す図である。
【図4】本発明のブラシ用毛材を回転ロータに適用した場合の図である。
【図5】本発明のブラシ用毛材を洗浄ブラシに適用した場合の図である。
【図6】本発明のブラシ用毛材を洗浄ブラシに適用した場合の図である。
【図7】本発明のブラシ用毛材を洗浄ブラシに適用した場合の図である。
【図8】本発明のブラシ用毛材をブラシロールに適用した場合の図である。
【図9】従来のチャンネルブラシの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
1、1a ブラシ用毛材
2 帯板状体
3、13、33 仮止め糸
4 芯線
6 溶着部
7 板材
8 締め付け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄、清掃、研削、塗布等に使用される各種加工ブラシに用いられるブラシ用毛材において、前記ブラシ用毛材は、長尺の繊維束を蛇行状に折曲させて仮止め糸により帯状に連ねた帯板状体を有し、該帯板状体の長手方向には芯線が挟み込まれて保持されていることを特徴とするブラシ用毛材。
【請求項2】
芯線は帯板状体の短手方向の略中央部に保持されていることを特徴とする請求項1に記載のブラシ用毛材。
【請求項3】
芯線は帯板状体の短手方向の端部に保持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のブラシ用毛材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−36044(P2008−36044A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212737(P2006−212737)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】