ブリスターカバー
【課題】 本発明は、収納凹部を潰しやすく且つ潰した後の復元量が比較的小さいブリスターカバーを提供する。
【解決手段】 本発明のブリスターカバー1は、4つの起立面部41,…を有する略四角筒状の周壁4と前記周壁4の頂部に接続された天面部5とを有する収納凹部2と、前記周壁4の基部から外側に延設されたフランジ部3と、を有し、前記周壁4の頂部近傍における周壁4の厚みが、前記周壁4の基部近傍における周壁4の厚みよりも薄く、隣接する起立面部41,…の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部6が形成されていると共に、前記コーナー面部6が、周壁4の基部から頂部の間の折り線7において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
【解決手段】 本発明のブリスターカバー1は、4つの起立面部41,…を有する略四角筒状の周壁4と前記周壁4の頂部に接続された天面部5とを有する収納凹部2と、前記周壁4の基部から外側に延設されたフランジ部3と、を有し、前記周壁4の頂部近傍における周壁4の厚みが、前記周壁4の基部近傍における周壁4の厚みよりも薄く、隣接する起立面部41,…の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部6が形成されていると共に、前記コーナー面部6が、周壁4の基部から頂部の間の折り線7において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター容器に使用されるブリスターカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品などの各種商品を包装する容器として、ブリスター容器が知られている。
ブリスター容器は、商品を収納可能な収納凹部が形成されたブリスターカバーと、前記ブリスターカバーの収納凹部に対応する開口を塞ぐ閉塞シートと、を有する(例えば、特許文献1)。
前記ブリスターカバーは、4つの起立面部を有する四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記収納凹部の周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有する。かかるブリスターカバーは、通常、合成樹脂製の透明なシート材の一部分をシート成形法によって凸状に成形することによって形成される。
【0003】
ところで、ブリスター容器から商品を取り出した後には、閉塞シート及びブリスターカバーは、廃棄される(又は、リサイクルされる)。
ブリスターカバーの収納凹部は容量が大きいため、一般に、収納凹部を潰した後でブリスターカバーは廃棄される。
【0004】
しかしながら、ブリスターカバーは、合成樹脂製のシート材の成形品からなるので、収納凹部に荷重を加えても収納凹部が略扁平状に潰れ難い。一方、これを潰した後に解放(荷重を解除)すると、収納凹部の形状が復元し易い。つまり、収納凹部を略扁平状に潰した後に解放すると、収納凹部は略扁平状から元の形状に戻ろうとして嵩高くなるけれども、従来のブリスターカバーの収納凹部は、解放後に嵩高くなる程度(本明細書において、復元量という)が大きい。
特に、特許文献1のように、補強のためのリブが周壁に設けられている場合、収納凹部を潰し難く、さらに、このリブによって、収納凹部の復元量が特に大きくなると推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−12260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、収納凹部を潰しやすく且つ潰した後の復元量が比較的小さいブリスターカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブリスターカバーは、4つの起立面部を有する略四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有し、前記周壁の頂部近傍における周壁の厚みが、前記周壁の基部近傍における周壁の厚みよりも薄く、隣接する起立面部の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部が形成されていると共に、前記コーナー面部が、周壁の基部から頂部の間の折り線において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
【0008】
本発明の好ましいブリスターカバーは、前記4つの起立面部の少なくとも1つには、周壁の基部から頂部方向に延び且つ起立面部から外側又は内側に突出されたリブが1つ以上設けられており、前記リブの先端部が前記折り線と同じ高さに位置している。
また、本発明の他の好ましいブリスターカバーは、前記コーナー面部が、第1面部と第2面部とを有し、前記第1面部と第2面部が、前記折り線において鈍角状に接続されており、前記第1面部及び第2面部が、前記折り線を底辺とする略三角形状にそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブリスターカバーによれば、比較的小さな荷重で収納凹部を潰すことができ、さらに、荷重を解除した後、収納凹部の復元量が比較的小さい。従って、廃棄時に嵩張らないブリスターカバーを提供できる。
本発明の好ましいブリスターカバーによれば、上述のように潰し易く且つ復元量が小さいだけでなく、流通過程において収納凹部が変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの実施形態に係るブリスターカバーの正面図。
【図2】同右側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同底面図。
【図5】図1のV−V線断面図。
【図6】図1のVI−VI線端面図。
【図7】同斜視図。
【図8】ブリスターカバーの成形工程の参考図。
【図9】実施例において作製したブリスターカバーの寸法を表示した正面図。
【図10】同右側面図。
【図11】比較例において作製したブリスターカバーの斜視図。
【図12】比較例において作製したブリスターカバーの寸法を表示した正面図。
【図13】同右側面図。
【図14】実施例及び比較例のブリスターカバーについて行った圧縮試験の参考図。
【図15】厚み0.4mmのシート成形品からなる実施例及び比較例のブリスターカバーの圧縮強度の変化を示すグラフ図。
【図16】厚み0.3mmのシート成形品からなる実施例及び比較例のブリスターカバーの圧縮強度の変化を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図7において、1は、本発明のブリスターカバーを示す。
ブリスターカバー1は、商品を収納できるように凹状に形成された収納凹部2と、閉塞シートが取り付けられるフランジ部3と、を有する。
【0012】
ブリスターカバー1のフランジ部3の裏面には、図2の二点鎖線で示すような、閉塞シート10が取り付けられる。収納凹部2の内部に商品を入れた状態で、この収納凹部2の開口を塞ぐように閉塞シート10をフランジ部3に取り付ることによって、ブリスター容器が構成される。
閉塞シート10は、一般に、粘着剤又は接着剤を介して、フランジ部3に貼着される。
もっとも、閉塞シート10は、粘着剤などを介してフランジ部3の裏面に貼着する方法に限られず、その他の方法でフランジ部3に取り付けることもできる。その他の方法としては、例えば、(1)フランジ部の裏面に閉塞シートを重ねた後、粘着テープで両者を留める、(2)フランジ部の両側縁を180度(ヘアピン状に)折り曲げることによって挿入溝部を形成し、その挿入溝部に閉塞シートを挿入する、(3)熱融着可能なヒートシール層を介して閉塞シートをフランジ部に接着する、などが挙げられる(何れも図示せず)。
【0013】
ブリスターカバー1は、例えば、合成樹脂製のシート材から形成されている。このシート材の面内の一部分を凸状に変形させる方法(シート成形法)によって、ブリスターカバー1を作製できる。
前記合成樹脂製のシート材の材質は熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどが挙げられる。前記ブリスターカバー1は、透明性に優れたシート材から形成されていることが好ましいが、透明性が損なわれない範囲で、着色されていてもよい。また、ブリスターカバー1の表面又は裏面の一部には、所望の印刷が施されていてもよいし、或いは、表示ラベルが貼付されていてもよい。
前記シート材の厚みは特に限定されない。通常、厚み200μm〜1000μm程度のシート材が用いられる。
【0014】
ブリスターカバー1の収納凹部2は、4つの起立面部41,42,43,44を有する略四角筒状の周壁4と、前記周壁4の頂部に接続された天面部5と、を有する。フランジ部3は、前記周壁4の基部から外側に延設された実質的に平坦状な面部分である。
4つの起立面部41,42,43,44の各接続角部は面取りされており、この面取りによって、4つの接続角部にコーナー面部6がそれぞれ形成されている。
この各コーナー面部6は、周壁4の基部から頂部の間の折り線7において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
さらに、前記周壁4の頂部近傍4aにおける周壁4の厚みは、前記周壁4の基部近傍4bにおける周壁4の厚みよりも薄い。
【0015】
具体的には、周壁4は、主として4つの起立面部41,42,43,44(以下、4つの起立面部を区別して説明する必要がある場合に、上面部41、下面部42、右側面部43及び左側面部44という)の側部がそれぞれ略直交するように接続された基本的態様からなり、隣接する起立面部41,42,43,44(上面部41と右側面部43、右側面部43と下面部42、下面部42と左側面部44、左側面部44と上面部41)の各接続部分に生じる略直角状の角部を面取りするようにコーナー面部6が形成された、略四角状である。
つまり、上面部41の両側部と右側面部43及び左側面部44の各一側部とがコーナー面部6を介してそれぞれ接続され、且つ、下面部42の両側部と右側面部43及び左側面部44の他側部とがコーナー面部6を介してそれぞれ接続されている。
このコーナー面部6の面積は、各起立面部41,42,43,44の面積よりも小さいことが好ましい。また、コーナー面部6の幅(周壁4の周囲に対応する方向におけるコーナー面部6の長さ)は、各起立面部41,42,43,44の幅(周壁4の周囲に対応する方向における起立面部41,42,43,44の長さ)よりも短いことが好ましい。
各コーナー面部6は、各起立面部41,42,43,44に対して110度〜160度、好ましくは約135度の内角を以て一体的に接続されている。
【0016】
各コーナー面部6の面内には、折り線7が形成されており、その折り線7においてコーナー面部6は内側(収納凹部2の内部方向)に折り曲げられている。
従って、コーナー面部6は、折り線7を境界として、2つの領域(第1面部61及び第2面部62)に区画されている。この第1面部61と第2面部62が、前記折り線7において鈍角状に接続されている。鈍角状に接続とは、第1面部61の表面が第2面部62の表面との成す角度が鈍角となるように、第1面部61及び第2面部62が形成されているという意味である。
図6に示すように、第1面部61と第2面部62の成す角度D1は、特に限定されないが、150度以上180度未満であり、好ましくは150度以上170度以下である。前記範囲よりも小さいと、シート成形時において、成形された収納凹部2が金型から抜けないおそれがある。一方、第1面部61と第2面部62の成す角度が180度に近いと、本発明の効果を十分に奏しないおそれがある。
なお、第1面部61と天面部5との内角D2は、90度以上100度以下が好ましい。
もっとも、成形された収納凹部2が金型から抜けるように金型を設計すれば、前記内角D2を60度以上90度未満とし且つ前記角度D1を120度以上150度未満としてもよい。前記角度D1が120度以上150度未満であれば、より小さな荷重で収納凹部2を潰すことができる。
【0017】
第1面部61及び第2面部62の形状は、特に限定されないが、第1面部61及び第2面部62は、それぞれ前記折り線7を底辺とする略三角形状であることが好ましい。荷重を加えたときに、その荷重が折り線7の部分に作用し、折り線7において第1面部61と第2面部62が内側に折れ曲がることによって、周壁4が潰れ易くなるからである。
【0018】
折り線7の形成位置は、周壁4の基部から周壁4の頂部までの間(周壁4の基部から周壁4の頂部までの間は、天面部5とフランジ部3の間に相当する)であれば特に限定されない。収納凹部2を潰し易く且つ復元量も小さくなる点から、折り線7の位置は、周壁4の基部から周壁4の頂部の略中間であることが好ましい。
【0019】
起立面部41,42,43,44の面内には、前記コーナー面部6の折り線7と同じ高さ位置に、起立面折り線74が形成されている。起立面部41,42,43,44は、前記起立面折り線74において外側に若干折り曲げられている。
【0020】
さらに、上記起立面部41,…の面内には、収納凹部2の補強のためのリブ8が形成されている。リブ8を形成することによって、ブリスターカバー1(ブリスター容器)の流通過程において、収納凹部2が変形することを防止できる。
本実施形態では、リブ8は、上面部41、右側面部43及び左側面部44にそれぞれ形成され、且つ下面部42には形成されていない。特に図示しないが、前記リブ8は、右側面部43及び左側面部44だけに形成されていてもよいし、或いは、4つの起立面部41,42,43,44の全てに形成されていてもよい。リブ8は、少なくとも1つの起立面部41,…に形成されていればよい。
【0021】
リブ8は、1つの起立面部当たり、1箇所でも良いが、図示したように、所定間隔を開けて複数形成されていることが好ましい。本実施形態では、上面部41には、所定間隔を開けた3箇所にリブ8が形成され、右側面部43及び左側面部44には、所定間隔を開けた5箇所にリブ8が形成されている。
これらのリブ8は、起立面部41,…から外側又は内側に突設されており、好ましくは、図示したように、起立面部41,…から外側に半円弧状に突設されている。
また、リブ8は、周壁4の基部から頂部方向に延びているが、その先端部8aは、起立面折り線74に位置している(コーナー面部6の折り線7と同じ高さ位置している)。リブ8の先端部8aを折り線7と同じ高さまで設けることにより、荷重を加えたときに、その荷重が起立面折り線74の部分に作用し、起立面折り線74において起立面部41,…が潰れ易くなる。
【0022】
なお、本実施形態では、下面部42には、上記リブ8が形成されていないが、その代わりに自立用面部84が突設されている。この自立用面部84は、下面部42から外側に突出した部分であり、自立用面部84の表面は、フランジ部3に対して略直交する面を含む平坦面とされている。自立用面部84は、上記リブ8と同様に下面部42の変形を防止する作用もあるが、主としてブリスター容器を安定的に自立させる作用を有する。すなわち、ブリスター容器を陳列する際、下面部42を下にすると、自立用面部84の表面が陳列台上に載るので、ブリスター容器を安定的に自立させることができる。
【0023】
天面部5は、周壁4の頂部全体(上面部41、下面部42、右側面部43及び左側面部44の各頂部)に接続されている。
天面部5は、フランジ部3と平行な平坦面である。平坦な天面部5は、潰した後に復元し難いので好ましい。もっとも、天面部5は、平坦面に限られず、凹凸(例えば半球凸状)を一部に有していてもよい。
【0024】
フランジ部3は、周壁4の基部全体から外側に延設されている。もっとも、フランジ部3は、周壁4の基部全体から延設されている場合に限られず、例えば、周壁4の一部の基部(例えば、上面部41、右側面部43及び左側面部44の各基部)から外側に延設されていてもよい。
【0025】
前記周壁4の頂部近傍4aにおける周壁4の厚みは、前記周壁4の基部近傍4bにおける周壁4の厚みよりも薄く形成されている。好ましくは、上面部41の頂部近傍における上面部41の厚み、下面部42の頂部近傍における下面部42の厚み、右側面部43の頂部近傍における右側面部43の厚み、及び左側面部44の頂部近傍における左側面部44の厚みは、それぞれに対応する基部近傍における厚みよりも薄くなっている。より好ましくは、周壁4の厚みは、その基部から頂部に向かうに従って徐々に薄くなっている。
なお、周壁4の頂部近傍4a及び基部近傍4bについては、図5の丸囲いで指している。
このように周壁4の頂部近傍4aにおける厚みを薄く形成することにより、荷重を加えたときに周壁4が潰れ易く且つ復元量が比較的小さいブリスターカバー1が得られ得る。
【0026】
上記周壁4の頂部近傍4aにおける厚みが薄いブリスターカバー1は、例えば、加熱したシート材を凹型金型の内面に密着させるシート成形法によって容易に製造できる。このようなシート成形法としては、真空成形、圧空成形、プレス成形などが挙げられる。
具体的には、図8(a)に示すように、加熱したシート材Aを凹型金型Bの表面上に当て、同図(b)に示すように、シート材Aと凹型金型Bの間の空間を真空状態にすることにより、シート材Aを金型Bの凹み部B1に密着させてシート材Aを成形する。成形後のシート材Aを金型Bから抜くことによって、上記ブリスターカバー1が得られる。
かかるシート成形法においては、金型Bの凹み部B1にシート材Aが密着するときに該シート材Aが引き延ばされる。前記金型Bの凹み部B1に密着したシート材Aの部分は収納凹部2となるので、上記成形法によれば、周壁4の頂部近傍4aにおける厚みが基部近傍4bよりも薄いブリスターカバー1を容易に作製できる。なお、この成形法で作製した場合、通常、周壁4の厚みは、その基部から頂部に向かうに従って徐々に薄くなるように形成される。
【0027】
本発明のブリスターカバー1は、その収納凹部2の内部に商品を入れた後、フランジ部3に閉塞シートを取り付けて使用される。
収納凹部2から商品を取り出した後、ブリスターカバー1は、廃棄又はリサイクルされる。その際、例えば、ブリスターカバー1の天面部5に対して略直交する方向から天面部5に荷重を加えることにより、ブリスターカバー1の収納凹部2を押し潰すことができる。大きな荷重を加えていくと、収納凹部2を略扁平状に押し潰すことも可能である。
本発明のブリスターカバー1は、上記構成からなるので、比較的小さな荷重で収納凹部2を潰すことができ、さらに、潰した後に解放しても、収納凹部2の復元量が比較的小さい。
従って、本発明によれば、従来のブリスターカバー1に比して、廃棄時に嵩張らないブリスターカバー1を提供できる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるわけではない。
【0029】
[実施例1]
厚み0.4mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を真空成形機を用いて凹型金型の凹み部に密着させて成形し、上記図1〜図7に示すようなブリスターカバーを作製した。
なお、このブリスターカバーの詳細な寸法(mm表示)は、図9及び図10の通りである。このブリスターカバーの第1面部と第2面部の成す角度(図6のD1で示す角度)は、約160度であり、第1面部と天面部との内角(図6のD2で示す角度)は、約90度である。また、シート材を凹型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが薄くなっている。
【0030】
[実施例2]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のブリスターカバーを作製した。
【0031】
[比較例1]
厚み0.4mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を真空成形機を用いて凹型金型の凹み部(ただし、実施例1とは金型の凹み部の形状が異なっている)に密着させて成形し、図11に示すようなブリスターカバーを作製した。
このブリスターカバーの寸法(mm表示)は、図12及び図13の通りである。このブリスターカバーは、図示したように、上記コーナー面部、折り線、リブが形成されていない。また、シート材を凹型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが薄くなっている。
【0032】
[比較例2]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のブリスターカバーを作製した。
【0033】
[比較例3]
凸型金型を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例1と同形のブリスターカバーを作製した。なお、凸型金型を用いた真空成形法は、加熱したシート材を、凸型金型の凸部に押し付けてシート成形を行う方法である。
このブリスターカバーの形状及び寸法は、比較例1と同様である。また、シート材を凸型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが厚くなっている。
【0034】
[比較例4]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4のブリスターカバーを作製した。
【0035】
[圧縮試験]
各実施例及び各比較例のブリスターカバーについて、収納凹部を押し潰し、そのときに必要な力(圧縮強度)を測定した。
具体的には、図14(a)に示すように、ブリスターカバーのフランジ部を平坦な作業台の上に置き、収納凹部の天面部の上から金属製の円柱状の厚板(直径110mm)を下方に移動させ、天面部に対して略直交する方向に荷重を加えた。なお、厚板の移動速度は100mm/分とした。
厚板にはオートグラフが接続されており、オートグラフによって収納凹部を押し潰している間の圧縮強度を測定した。
圧縮試験は、同図(b)に示すように、収納凹部の高さが10mm(収納凹部が略扁平状)になるまで行った。なお、圧縮前の収納凹部の高さは47mmである(図10及び図13参照)。
圧縮試験の結果を、図15及び図16のグラフに示す。
【0036】
[圧縮後の観察]
上記圧縮試験において、収納凹部の高さが10mmになったときに厚板を外し、収納凹部の荷重を解放した。
解放後、30秒間放置した後、図14(c)に示すように、収納凹部の最大高さを測定した。
その結果を、表1に示す。
なお、表1の圧縮率は、式:(解放後の収納凹部の最大高さ/圧縮前の収納凹部の高さ)×100、によって求められる。
従って、圧縮率が小さいほど、復元量がより小さい(押し潰すことによって、収納凹部の容積がより小さくなる)ことを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
[評価]
図15及び図16のグラフから明らかなように、比較例3及び4のブリスターカバーは、圧縮の初期時に大きな力が必要であり、押し潰し難いことが判る。これは、比較例3及び4のブリスターカバーの周壁の厚みが、周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に厚くなっていることに起因すると推定される。
また、表1から明らかなように、実施例1及び2のブリスターカバーは、対応する比較例1及び3並びに比較例2及び4に比して、圧縮率が小さかった。すなわち、実施例1及び2のブリスターカバーは、復元量が小さかった。これは、実施例1及び2のブリスターカバーが、コーナー面部を有し、且つリブの先端部が折り線に略一致していることに起因すると推定される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のブリスターカバーは、様々な商品を収納して陳列販売するブリスター容器に使用できる。
【符号の説明】
【0040】
1…ブリスターカバー、2…収納凹部、3…フランジ部、4…周壁、4a…周壁の頂部近傍、4b…周壁の基部近傍、41,42,43,44…起立面部(上面部、下面部、右側面部、左側面部)、5…天面部、6…コーナー面部、61…第1面部、62…第2面部、7…折り線、74…起立面折り線、8…リブ、8a…リブの先端部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスター容器に使用されるブリスターカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧品などの各種商品を包装する容器として、ブリスター容器が知られている。
ブリスター容器は、商品を収納可能な収納凹部が形成されたブリスターカバーと、前記ブリスターカバーの収納凹部に対応する開口を塞ぐ閉塞シートと、を有する(例えば、特許文献1)。
前記ブリスターカバーは、4つの起立面部を有する四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記収納凹部の周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有する。かかるブリスターカバーは、通常、合成樹脂製の透明なシート材の一部分をシート成形法によって凸状に成形することによって形成される。
【0003】
ところで、ブリスター容器から商品を取り出した後には、閉塞シート及びブリスターカバーは、廃棄される(又は、リサイクルされる)。
ブリスターカバーの収納凹部は容量が大きいため、一般に、収納凹部を潰した後でブリスターカバーは廃棄される。
【0004】
しかしながら、ブリスターカバーは、合成樹脂製のシート材の成形品からなるので、収納凹部に荷重を加えても収納凹部が略扁平状に潰れ難い。一方、これを潰した後に解放(荷重を解除)すると、収納凹部の形状が復元し易い。つまり、収納凹部を略扁平状に潰した後に解放すると、収納凹部は略扁平状から元の形状に戻ろうとして嵩高くなるけれども、従来のブリスターカバーの収納凹部は、解放後に嵩高くなる程度(本明細書において、復元量という)が大きい。
特に、特許文献1のように、補強のためのリブが周壁に設けられている場合、収納凹部を潰し難く、さらに、このリブによって、収納凹部の復元量が特に大きくなると推定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−12260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、収納凹部を潰しやすく且つ潰した後の復元量が比較的小さいブリスターカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のブリスターカバーは、4つの起立面部を有する略四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有し、前記周壁の頂部近傍における周壁の厚みが、前記周壁の基部近傍における周壁の厚みよりも薄く、隣接する起立面部の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部が形成されていると共に、前記コーナー面部が、周壁の基部から頂部の間の折り線において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
【0008】
本発明の好ましいブリスターカバーは、前記4つの起立面部の少なくとも1つには、周壁の基部から頂部方向に延び且つ起立面部から外側又は内側に突出されたリブが1つ以上設けられており、前記リブの先端部が前記折り線と同じ高さに位置している。
また、本発明の他の好ましいブリスターカバーは、前記コーナー面部が、第1面部と第2面部とを有し、前記第1面部と第2面部が、前記折り線において鈍角状に接続されており、前記第1面部及び第2面部が、前記折り線を底辺とする略三角形状にそれぞれ形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のブリスターカバーによれば、比較的小さな荷重で収納凹部を潰すことができ、さらに、荷重を解除した後、収納凹部の復元量が比較的小さい。従って、廃棄時に嵩張らないブリスターカバーを提供できる。
本発明の好ましいブリスターカバーによれば、上述のように潰し易く且つ復元量が小さいだけでなく、流通過程において収納凹部が変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】1つの実施形態に係るブリスターカバーの正面図。
【図2】同右側面図。
【図3】同平面図。
【図4】同底面図。
【図5】図1のV−V線断面図。
【図6】図1のVI−VI線端面図。
【図7】同斜視図。
【図8】ブリスターカバーの成形工程の参考図。
【図9】実施例において作製したブリスターカバーの寸法を表示した正面図。
【図10】同右側面図。
【図11】比較例において作製したブリスターカバーの斜視図。
【図12】比較例において作製したブリスターカバーの寸法を表示した正面図。
【図13】同右側面図。
【図14】実施例及び比較例のブリスターカバーについて行った圧縮試験の参考図。
【図15】厚み0.4mmのシート成形品からなる実施例及び比較例のブリスターカバーの圧縮強度の変化を示すグラフ図。
【図16】厚み0.3mmのシート成形品からなる実施例及び比較例のブリスターカバーの圧縮強度の変化を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図7において、1は、本発明のブリスターカバーを示す。
ブリスターカバー1は、商品を収納できるように凹状に形成された収納凹部2と、閉塞シートが取り付けられるフランジ部3と、を有する。
【0012】
ブリスターカバー1のフランジ部3の裏面には、図2の二点鎖線で示すような、閉塞シート10が取り付けられる。収納凹部2の内部に商品を入れた状態で、この収納凹部2の開口を塞ぐように閉塞シート10をフランジ部3に取り付ることによって、ブリスター容器が構成される。
閉塞シート10は、一般に、粘着剤又は接着剤を介して、フランジ部3に貼着される。
もっとも、閉塞シート10は、粘着剤などを介してフランジ部3の裏面に貼着する方法に限られず、その他の方法でフランジ部3に取り付けることもできる。その他の方法としては、例えば、(1)フランジ部の裏面に閉塞シートを重ねた後、粘着テープで両者を留める、(2)フランジ部の両側縁を180度(ヘアピン状に)折り曲げることによって挿入溝部を形成し、その挿入溝部に閉塞シートを挿入する、(3)熱融着可能なヒートシール層を介して閉塞シートをフランジ部に接着する、などが挙げられる(何れも図示せず)。
【0013】
ブリスターカバー1は、例えば、合成樹脂製のシート材から形成されている。このシート材の面内の一部分を凸状に変形させる方法(シート成形法)によって、ブリスターカバー1を作製できる。
前記合成樹脂製のシート材の材質は熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどが挙げられる。前記ブリスターカバー1は、透明性に優れたシート材から形成されていることが好ましいが、透明性が損なわれない範囲で、着色されていてもよい。また、ブリスターカバー1の表面又は裏面の一部には、所望の印刷が施されていてもよいし、或いは、表示ラベルが貼付されていてもよい。
前記シート材の厚みは特に限定されない。通常、厚み200μm〜1000μm程度のシート材が用いられる。
【0014】
ブリスターカバー1の収納凹部2は、4つの起立面部41,42,43,44を有する略四角筒状の周壁4と、前記周壁4の頂部に接続された天面部5と、を有する。フランジ部3は、前記周壁4の基部から外側に延設された実質的に平坦状な面部分である。
4つの起立面部41,42,43,44の各接続角部は面取りされており、この面取りによって、4つの接続角部にコーナー面部6がそれぞれ形成されている。
この各コーナー面部6は、周壁4の基部から頂部の間の折り線7において、内側に鈍角状に折れ曲がっている。
さらに、前記周壁4の頂部近傍4aにおける周壁4の厚みは、前記周壁4の基部近傍4bにおける周壁4の厚みよりも薄い。
【0015】
具体的には、周壁4は、主として4つの起立面部41,42,43,44(以下、4つの起立面部を区別して説明する必要がある場合に、上面部41、下面部42、右側面部43及び左側面部44という)の側部がそれぞれ略直交するように接続された基本的態様からなり、隣接する起立面部41,42,43,44(上面部41と右側面部43、右側面部43と下面部42、下面部42と左側面部44、左側面部44と上面部41)の各接続部分に生じる略直角状の角部を面取りするようにコーナー面部6が形成された、略四角状である。
つまり、上面部41の両側部と右側面部43及び左側面部44の各一側部とがコーナー面部6を介してそれぞれ接続され、且つ、下面部42の両側部と右側面部43及び左側面部44の他側部とがコーナー面部6を介してそれぞれ接続されている。
このコーナー面部6の面積は、各起立面部41,42,43,44の面積よりも小さいことが好ましい。また、コーナー面部6の幅(周壁4の周囲に対応する方向におけるコーナー面部6の長さ)は、各起立面部41,42,43,44の幅(周壁4の周囲に対応する方向における起立面部41,42,43,44の長さ)よりも短いことが好ましい。
各コーナー面部6は、各起立面部41,42,43,44に対して110度〜160度、好ましくは約135度の内角を以て一体的に接続されている。
【0016】
各コーナー面部6の面内には、折り線7が形成されており、その折り線7においてコーナー面部6は内側(収納凹部2の内部方向)に折り曲げられている。
従って、コーナー面部6は、折り線7を境界として、2つの領域(第1面部61及び第2面部62)に区画されている。この第1面部61と第2面部62が、前記折り線7において鈍角状に接続されている。鈍角状に接続とは、第1面部61の表面が第2面部62の表面との成す角度が鈍角となるように、第1面部61及び第2面部62が形成されているという意味である。
図6に示すように、第1面部61と第2面部62の成す角度D1は、特に限定されないが、150度以上180度未満であり、好ましくは150度以上170度以下である。前記範囲よりも小さいと、シート成形時において、成形された収納凹部2が金型から抜けないおそれがある。一方、第1面部61と第2面部62の成す角度が180度に近いと、本発明の効果を十分に奏しないおそれがある。
なお、第1面部61と天面部5との内角D2は、90度以上100度以下が好ましい。
もっとも、成形された収納凹部2が金型から抜けるように金型を設計すれば、前記内角D2を60度以上90度未満とし且つ前記角度D1を120度以上150度未満としてもよい。前記角度D1が120度以上150度未満であれば、より小さな荷重で収納凹部2を潰すことができる。
【0017】
第1面部61及び第2面部62の形状は、特に限定されないが、第1面部61及び第2面部62は、それぞれ前記折り線7を底辺とする略三角形状であることが好ましい。荷重を加えたときに、その荷重が折り線7の部分に作用し、折り線7において第1面部61と第2面部62が内側に折れ曲がることによって、周壁4が潰れ易くなるからである。
【0018】
折り線7の形成位置は、周壁4の基部から周壁4の頂部までの間(周壁4の基部から周壁4の頂部までの間は、天面部5とフランジ部3の間に相当する)であれば特に限定されない。収納凹部2を潰し易く且つ復元量も小さくなる点から、折り線7の位置は、周壁4の基部から周壁4の頂部の略中間であることが好ましい。
【0019】
起立面部41,42,43,44の面内には、前記コーナー面部6の折り線7と同じ高さ位置に、起立面折り線74が形成されている。起立面部41,42,43,44は、前記起立面折り線74において外側に若干折り曲げられている。
【0020】
さらに、上記起立面部41,…の面内には、収納凹部2の補強のためのリブ8が形成されている。リブ8を形成することによって、ブリスターカバー1(ブリスター容器)の流通過程において、収納凹部2が変形することを防止できる。
本実施形態では、リブ8は、上面部41、右側面部43及び左側面部44にそれぞれ形成され、且つ下面部42には形成されていない。特に図示しないが、前記リブ8は、右側面部43及び左側面部44だけに形成されていてもよいし、或いは、4つの起立面部41,42,43,44の全てに形成されていてもよい。リブ8は、少なくとも1つの起立面部41,…に形成されていればよい。
【0021】
リブ8は、1つの起立面部当たり、1箇所でも良いが、図示したように、所定間隔を開けて複数形成されていることが好ましい。本実施形態では、上面部41には、所定間隔を開けた3箇所にリブ8が形成され、右側面部43及び左側面部44には、所定間隔を開けた5箇所にリブ8が形成されている。
これらのリブ8は、起立面部41,…から外側又は内側に突設されており、好ましくは、図示したように、起立面部41,…から外側に半円弧状に突設されている。
また、リブ8は、周壁4の基部から頂部方向に延びているが、その先端部8aは、起立面折り線74に位置している(コーナー面部6の折り線7と同じ高さ位置している)。リブ8の先端部8aを折り線7と同じ高さまで設けることにより、荷重を加えたときに、その荷重が起立面折り線74の部分に作用し、起立面折り線74において起立面部41,…が潰れ易くなる。
【0022】
なお、本実施形態では、下面部42には、上記リブ8が形成されていないが、その代わりに自立用面部84が突設されている。この自立用面部84は、下面部42から外側に突出した部分であり、自立用面部84の表面は、フランジ部3に対して略直交する面を含む平坦面とされている。自立用面部84は、上記リブ8と同様に下面部42の変形を防止する作用もあるが、主としてブリスター容器を安定的に自立させる作用を有する。すなわち、ブリスター容器を陳列する際、下面部42を下にすると、自立用面部84の表面が陳列台上に載るので、ブリスター容器を安定的に自立させることができる。
【0023】
天面部5は、周壁4の頂部全体(上面部41、下面部42、右側面部43及び左側面部44の各頂部)に接続されている。
天面部5は、フランジ部3と平行な平坦面である。平坦な天面部5は、潰した後に復元し難いので好ましい。もっとも、天面部5は、平坦面に限られず、凹凸(例えば半球凸状)を一部に有していてもよい。
【0024】
フランジ部3は、周壁4の基部全体から外側に延設されている。もっとも、フランジ部3は、周壁4の基部全体から延設されている場合に限られず、例えば、周壁4の一部の基部(例えば、上面部41、右側面部43及び左側面部44の各基部)から外側に延設されていてもよい。
【0025】
前記周壁4の頂部近傍4aにおける周壁4の厚みは、前記周壁4の基部近傍4bにおける周壁4の厚みよりも薄く形成されている。好ましくは、上面部41の頂部近傍における上面部41の厚み、下面部42の頂部近傍における下面部42の厚み、右側面部43の頂部近傍における右側面部43の厚み、及び左側面部44の頂部近傍における左側面部44の厚みは、それぞれに対応する基部近傍における厚みよりも薄くなっている。より好ましくは、周壁4の厚みは、その基部から頂部に向かうに従って徐々に薄くなっている。
なお、周壁4の頂部近傍4a及び基部近傍4bについては、図5の丸囲いで指している。
このように周壁4の頂部近傍4aにおける厚みを薄く形成することにより、荷重を加えたときに周壁4が潰れ易く且つ復元量が比較的小さいブリスターカバー1が得られ得る。
【0026】
上記周壁4の頂部近傍4aにおける厚みが薄いブリスターカバー1は、例えば、加熱したシート材を凹型金型の内面に密着させるシート成形法によって容易に製造できる。このようなシート成形法としては、真空成形、圧空成形、プレス成形などが挙げられる。
具体的には、図8(a)に示すように、加熱したシート材Aを凹型金型Bの表面上に当て、同図(b)に示すように、シート材Aと凹型金型Bの間の空間を真空状態にすることにより、シート材Aを金型Bの凹み部B1に密着させてシート材Aを成形する。成形後のシート材Aを金型Bから抜くことによって、上記ブリスターカバー1が得られる。
かかるシート成形法においては、金型Bの凹み部B1にシート材Aが密着するときに該シート材Aが引き延ばされる。前記金型Bの凹み部B1に密着したシート材Aの部分は収納凹部2となるので、上記成形法によれば、周壁4の頂部近傍4aにおける厚みが基部近傍4bよりも薄いブリスターカバー1を容易に作製できる。なお、この成形法で作製した場合、通常、周壁4の厚みは、その基部から頂部に向かうに従って徐々に薄くなるように形成される。
【0027】
本発明のブリスターカバー1は、その収納凹部2の内部に商品を入れた後、フランジ部3に閉塞シートを取り付けて使用される。
収納凹部2から商品を取り出した後、ブリスターカバー1は、廃棄又はリサイクルされる。その際、例えば、ブリスターカバー1の天面部5に対して略直交する方向から天面部5に荷重を加えることにより、ブリスターカバー1の収納凹部2を押し潰すことができる。大きな荷重を加えていくと、収納凹部2を略扁平状に押し潰すことも可能である。
本発明のブリスターカバー1は、上記構成からなるので、比較的小さな荷重で収納凹部2を潰すことができ、さらに、潰した後に解放しても、収納凹部2の復元量が比較的小さい。
従って、本発明によれば、従来のブリスターカバー1に比して、廃棄時に嵩張らないブリスターカバー1を提供できる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、下記実施例に限定されるわけではない。
【0029】
[実施例1]
厚み0.4mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を真空成形機を用いて凹型金型の凹み部に密着させて成形し、上記図1〜図7に示すようなブリスターカバーを作製した。
なお、このブリスターカバーの詳細な寸法(mm表示)は、図9及び図10の通りである。このブリスターカバーの第1面部と第2面部の成す角度(図6のD1で示す角度)は、約160度であり、第1面部と天面部との内角(図6のD2で示す角度)は、約90度である。また、シート材を凹型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが薄くなっている。
【0030】
[実施例2]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のブリスターカバーを作製した。
【0031】
[比較例1]
厚み0.4mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を真空成形機を用いて凹型金型の凹み部(ただし、実施例1とは金型の凹み部の形状が異なっている)に密着させて成形し、図11に示すようなブリスターカバーを作製した。
このブリスターカバーの寸法(mm表示)は、図12及び図13の通りである。このブリスターカバーは、図示したように、上記コーナー面部、折り線、リブが形成されていない。また、シート材を凹型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが薄くなっている。
【0032】
[比較例2]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のブリスターカバーを作製した。
【0033】
[比較例3]
凸型金型を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、比較例1と同形のブリスターカバーを作製した。なお、凸型金型を用いた真空成形法は、加熱したシート材を、凸型金型の凸部に押し付けてシート成形を行う方法である。
このブリスターカバーの形状及び寸法は、比較例1と同様である。また、シート材を凸型金型を用いて成形したので、このブリスターカバーにおいては、その周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に周壁の厚みが厚くなっている。
【0034】
[比較例4]
厚み0.4mmのシート材に代えて、厚み0.3mmの非晶質ポリエチレンテレフタレート製シート材(A−PET)を用いたこと以外は、比較例3と同様にして、比較例4のブリスターカバーを作製した。
【0035】
[圧縮試験]
各実施例及び各比較例のブリスターカバーについて、収納凹部を押し潰し、そのときに必要な力(圧縮強度)を測定した。
具体的には、図14(a)に示すように、ブリスターカバーのフランジ部を平坦な作業台の上に置き、収納凹部の天面部の上から金属製の円柱状の厚板(直径110mm)を下方に移動させ、天面部に対して略直交する方向に荷重を加えた。なお、厚板の移動速度は100mm/分とした。
厚板にはオートグラフが接続されており、オートグラフによって収納凹部を押し潰している間の圧縮強度を測定した。
圧縮試験は、同図(b)に示すように、収納凹部の高さが10mm(収納凹部が略扁平状)になるまで行った。なお、圧縮前の収納凹部の高さは47mmである(図10及び図13参照)。
圧縮試験の結果を、図15及び図16のグラフに示す。
【0036】
[圧縮後の観察]
上記圧縮試験において、収納凹部の高さが10mmになったときに厚板を外し、収納凹部の荷重を解放した。
解放後、30秒間放置した後、図14(c)に示すように、収納凹部の最大高さを測定した。
その結果を、表1に示す。
なお、表1の圧縮率は、式:(解放後の収納凹部の最大高さ/圧縮前の収納凹部の高さ)×100、によって求められる。
従って、圧縮率が小さいほど、復元量がより小さい(押し潰すことによって、収納凹部の容積がより小さくなる)ことを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
[評価]
図15及び図16のグラフから明らかなように、比較例3及び4のブリスターカバーは、圧縮の初期時に大きな力が必要であり、押し潰し難いことが判る。これは、比較例3及び4のブリスターカバーの周壁の厚みが、周壁の基部から周壁の頂部に向かうに従って徐々に厚くなっていることに起因すると推定される。
また、表1から明らかなように、実施例1及び2のブリスターカバーは、対応する比較例1及び3並びに比較例2及び4に比して、圧縮率が小さかった。すなわち、実施例1及び2のブリスターカバーは、復元量が小さかった。これは、実施例1及び2のブリスターカバーが、コーナー面部を有し、且つリブの先端部が折り線に略一致していることに起因すると推定される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のブリスターカバーは、様々な商品を収納して陳列販売するブリスター容器に使用できる。
【符号の説明】
【0040】
1…ブリスターカバー、2…収納凹部、3…フランジ部、4…周壁、4a…周壁の頂部近傍、4b…周壁の基部近傍、41,42,43,44…起立面部(上面部、下面部、右側面部、左側面部)、5…天面部、6…コーナー面部、61…第1面部、62…第2面部、7…折り線、74…起立面折り線、8…リブ、8a…リブの先端部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの起立面部を有する略四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有するブリスターカバーであって、
前記周壁の頂部近傍における周壁の厚みが、前記周壁の基部近傍における周壁の厚みよりも薄く、
隣接する起立面部の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部が形成されていると共に、
前記コーナー面部が、周壁の基部から頂部の間の折り線において、内側に鈍角状に折れ曲がっていることを特徴とするブリスターカバー。
【請求項2】
前記4つの起立面部の少なくとも1つには、周壁の基部から頂部方向に延び且つ起立面部から外側又は内側に突出されたリブが1つ以上設けられており、前記リブの先端部が前記折り線と同じ高さに位置している請求項1に記載のブリスターカバー。
【請求項3】
前記コーナー面部が、第1面部と第2面部とを有し、前記第1面部と第2面部が、前記折り線において鈍角状に接続されており、
前記第1面部及び第2面部が、前記折り線を底辺とする略三角形状にそれぞれ形成されている請求項1又は2に記載のブリスターカバー。
【請求項1】
4つの起立面部を有する略四角筒状の周壁と前記周壁の頂部に接続された天面部とを有する収納凹部と、前記周壁の基部から外側に延設されたフランジ部と、を有するブリスターカバーであって、
前記周壁の頂部近傍における周壁の厚みが、前記周壁の基部近傍における周壁の厚みよりも薄く、
隣接する起立面部の接続角部が面取りされ、この角部にコーナー面部が形成されていると共に、
前記コーナー面部が、周壁の基部から頂部の間の折り線において、内側に鈍角状に折れ曲がっていることを特徴とするブリスターカバー。
【請求項2】
前記4つの起立面部の少なくとも1つには、周壁の基部から頂部方向に延び且つ起立面部から外側又は内側に突出されたリブが1つ以上設けられており、前記リブの先端部が前記折り線と同じ高さに位置している請求項1に記載のブリスターカバー。
【請求項3】
前記コーナー面部が、第1面部と第2面部とを有し、前記第1面部と第2面部が、前記折り線において鈍角状に接続されており、
前記第1面部及び第2面部が、前記折り線を底辺とする略三角形状にそれぞれ形成されている請求項1又は2に記載のブリスターカバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−201568(P2011−201568A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71230(P2010−71230)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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