説明

ブリスター包装体

【課題】 本発明の課題は、封止シートが常温で粘着性を示す粘着剤を介してフランジ部に接着されており、該封止シートが不用意に剥がれ難いブリスター包装体を提供することである。
【解決手段】 本発明のブリスター包装体1は、収納凹部3の端縁からフランジ部5が延設されたカバー部材2と、前記フランジ部5に接着され且つ前記収納凹部5の開口側を閉塞する封止シート6と、を有し、前記封止シート6が、常温で粘着性を示す粘着剤612を介して前記フランジ部5に接着されており、前記フランジ部5が、前記封止シート6の端部よりも外側へ延出された延出部52を有し、前記延出部52が、前記封止シート6の端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シート6の端部の裏面よりも突出されている部分を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納して陳列するためのブリスター包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乾電池、化粧品、玩具などの各種物品を包装する形態として、ブリスター包装体が知られている。
該ブリスター包装体は、一般的に、合成樹脂製シートを成形したカバー部材と、封止シートと、を有する。カバー部材は、その一部分に物品収納用の収納凹部が形成され、且つ該収納凹部の端縁からフランジ部が延設されている。封止シートは、前記収納凹部の開口側を閉塞するように、前記フランジ部の裏面に接着される。
かかる封止シートは、感熱型接着剤又は熱溶着可能なシーラント層を介してカバー部材のフランジ部に接着されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−68876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記感熱型接着剤やシーラント層を用いて封止シートをカバー部材に接着する場合、次のような問題点がある。
第1に、感熱型接着剤等を加熱するため、熱によって変性し易い物品が損傷を受けることがある。第2に、加熱するため、封止シートやカバー部材に耐熱性が要求される。
かかる問題点を解消するため、上記封止シートを、常温で粘着性を示す粘着剤(以下、単に「粘着剤」という場合がある)を介してフランジ部に接着させることが考えられる。
【0004】
しかしながら、粘着剤を用いて封止シートを接着した場合、感熱型接着剤やシーラント層を用いた場合に比して、封止シートがフランジ部から剥がれる虞がある。
【0005】
具体的には、従来のブリスター包装体は、平坦状に延設されたフランジ部の裏面に封止シートが接着されているため、封止シートの端縁とフランジ部の端縁の間から、封止シートとフランジ部との接合部分が露出している(特許文献1の図3参照)。
かかるブリスター包装体は、複数個を梱包箱に詰めて流通に供されるが、その搬送中、第1のブリスター包装体の封止シートの端縁が、隣接する第2のブリスター包装体のフランジ部の端縁又は封止シートの端縁に衝突することによって、封止シートとフランジ部の接合部分に剥離力が作用する。
【0006】
感熱型接着剤やシーラント層は、加熱後、常温に戻る過程で固化するため、封止シートとフランジ部を感熱型接着剤などを介して接着した場合には、上記封止シートの剥がれの問題は生じない。
しかしながら、粘着剤は、接着後所定時間を経過しなければ十分な接着力を発揮しないため、封止シートとフランジ部を粘着剤を介して接着した場合には、搬送中などにおいて、第1の包装体の封止シートの端縁に、第2の包装体のフランジ部の端縁などが衝突することによって、封止シートが不用意に剥がれる虞がある。
【0007】
本発明の目的は、常温で粘着性を示す粘着剤を介してフランジ部に接着された封止シートが不用意に剥がれ難いブリスター包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のブリスター包装体は、収納凹部の端縁からフランジ部が延設されたカバー部材と、前記フランジ部に接着され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有し、前記封止シートが、常温で粘着性を示す粘着剤を介して前記フランジ部に接着されており、前記フランジ部が、前記封止シートの端縁よりも外側へ延出された延出部を有し、前記延出部が、前記封止シートの端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの端部の裏面よりも突出されている部分を有することを特徴とする。
【0009】
上記本発明のブリスター包装体は、封止シートとフランジ部を接着するために、常温で粘着性を示す粘着剤を用いているので、両者を接着する際に加熱する必要がない。
さらに、上記ブリスター包装体は、フランジ部から外側へ延出された延出部が、封止シートの端部の裏面と略同一面上又は封止シートの端部の裏面よりも突出されている。このため、封止シートの端縁に異物が衝突したり、或いは、封止シートとフランジ部の接合部分に異物が進入することを防止できる。
よって、本発明によれば、搬送中などにおいて、封止シートが剥がれ難いブリスター包装体を提供できる。
【0010】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記封止シートが略矩形状であり、前記フランジ部が、前記略矩形状の封止シートの両方の側端縁よりも外側へそれぞれ延出されている側端延出部を有し、前記側端延出部が、前記封止シートの側端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの側端部の裏面よりも突出されている。
【0011】
また、本発明の好ましいブリスター包装体は、前記フランジ部が、前記略矩形状の封止シートの上端縁よりも外側へ延出されている上端延出部を有し、前記上端延出部が、前記封止シートの上端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの上端部の裏面よりも突出されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のブリスター包装体は、常温で粘着性を示す粘着剤を用いているので、加熱することなく封止シートをフランジ部に接着させることができる。
さらに、本発明のブリスター包装体は、封止シートが不用意に剥がれ難いので、物品の包装に適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
図1〜図4において、ブリスター包装体1は、収納凹部3を有するカバー部材2と、前記収納凹部3の開口側を閉塞する封止シート6と、を有する。
【0014】
カバー部材2には、収納凹部3が形成されている。収納凹部3は、物品4を収納する凹状の空間部分である。該収納凹部3は、正面壁31と、前記正面壁31の周端縁から正面壁31に対して略直交して延設された周面壁32と、を有し、前記周面壁32の端縁で囲われた部分に、物品4を出し入れするための開口部39が形成されている。
収納凹部3の形状は、物品4の形状などに応じて適宜設計される。本実施形態では、収納凹部3の正面壁31は、正面視略矩形状に形成されている。従って、収納凹部3の周面壁32は、正面壁31の両側端縁から正面壁31に対して略直交して延設された一対の側面壁33,33と、正面壁31の上下端縁から正面壁31に対して略直交して延設された上下面壁34,35と、から構成されている。
【0015】
さらに、上記収納凹部3の端縁(周面壁32の端縁)から、フランジ部5が外側へ延設されている。なお、本明細書において「外側」とは、収納凹部3の中心から離れる方向を指す。
上記フランジ部5は、封止シート6が接着される接着部51と、接着された封止シート6の端縁よりも外側へ延出された延出部52と、を有する。
フランジ部5の接着部51の裏面は、封止シート6が接着される部分である。該接着部51の裏面は、周面壁32に対して略直交して延設された平坦状の面から構成されている。
なお、本明細書において「裏面」とは、収納凹部3側に対して反対側の面を指す。
【0016】
フランジ部5の延出部52は、封止シート6の端縁を覆う部分である。延出部52は、接着部51の裏面に対して略直交して折れ曲がり且つ封止シート6の端縁に対向した段部と、該段部に対して略直交して外側へ延設された平坦部分と、を有する。
延出部52の平坦部分は、その裏面が前記接着部51の裏面に接着された封止シート6の端部の裏面と略同一面上、又は、前記封止シート6の端部の裏面よりも外側へ突出するように形成されている。
【0017】
上記フランジ部5は、収納凹部3の端縁の全体から延設されていてもよいが、本実施形態では、フランジ部5は、両側面壁33,33の端縁及び上面壁34の端縁から外側へ延設されている。
【0018】
従って、フランジ部5の接着部51は、側面壁33の端縁から側面壁33に対して略直交して外側へ延設された接着部511(以下、この接着部を側端接着部という)と、上面壁34の端縁から上面壁34に対して略直交して外側へ延設された接着部512(以下、この接着部を上端接着部という)と、から構成されている。
延出部52は、側端接着部511の端縁から延設された延出部521(以下、この延出部を側端延出部という)と、上端接着部512の端縁から外側へ延設された延出部522(以下、この延出部を上端延出部という)と、から構成されている。
【0019】
側端延出部521は、図3に示すように、側端接着部511の裏面に対して略直交して折れ曲がり且つ封止シート6の側端縁6aに対向した段部524と、該段部524に対して略直交して外側へ延設された平坦部分と、を有する。従って、側端延出部521の平坦部分の裏面521aは、側端接着部511の裏面よりも外側へ位置しており、側端延出部521の平坦部分の裏面521aと側端接着部511の裏面は、高低差Aを有する。
また、上端延出部522は、図4に示すように、上端接着部512の裏面に対して略直交して折れ曲がり且つ封止シート6の上端縁6bに対向した段部525と、該段部525に対して略直交して外側へ延設された平坦部分と、を有する。従って、上端延出部522の平坦部分の裏面522aは、上端接着部512の裏面よりも外側へ位置しており、上端延出部522の平坦部分の裏面522aと上端接着部512の裏面は、同様に、高低差Aを有する。
【0020】
前記高低差Aは、封止シート6の厚みに応じて適宜設計できる。高低差Aは、好ましくは、封止シート6の厚みの1倍〜5倍であり、より好ましくは1倍〜3倍であり、特に好ましくは1倍〜2倍である。
具体的な寸法では、高低差Aと封止シート6の厚みの差(高低差A−封止シート6の厚み)は、0〜1mmであり、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0021】
なお、高低差Aが封止シート6の厚みと同じ(封止シート6の厚みの1倍)である場合、延出部52(本実施形態の場合、側端延出部521及び上端延出部522)の平坦部分の裏面521a,522aが、接着部51(同、側端接着部511及び上端接着部512)の裏面に接着された封止シート6の端部(同、封止シート6の側端部及び上端部)の裏面と略同一面上となる。
一方、高低差Aが封止シート6の厚みよりも大きい場合には、延出部52(同、側端延出部521及び上端延出部522)の平坦部分の裏面521a,522aが、接着部51(同、側端接着部511及び上端接着部512)の裏面に接着された封止シート6の端部(同、封止シート6の側端部及び上端部)の裏面よりも突出する。
【0022】
上記側端延出部521の幅Bは、特に限定されない。ただし、カバー部材2がシート成形法によって形成される場合、側端延出部521の幅Bは、好ましくは0.5mm〜5mm程度であり、より好ましくは1mm〜3mm程度に形成される。シート成形法では、長尺状の原反シートを金型に当てることによって、その長手方向に複数のカバー部材が繋がった状態で成形されていき、この繋がったものを個々に切断することによって1つのカバー部材2が得られる。通常、カバー部材2は、両側端部が繋がった状態で成形されるので、段部524に沿って切断することが困難であり、その製造上、側端延出部521は、ある程度の幅が必要となるからである。
【0023】
また、上端延出部522の幅Cも特に限定されないが、上端延出部522は、包装体1のヘッダーとしても機能する。このヘッダーとして機能させるために、上端延出部522の幅Cは、好ましくは10mm〜50mm程度に形成される。
なお、接着部51(側端接着部511及び上端接着部512)の幅は、余りに短いと封止シート6の接着不良を起こす虞があるので、3mm以上、好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上に形成される。
【0024】
上記カバー部材2の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂が挙げられる。カバー部材2は、収納された物品4を透視するため、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。
カバー部材2は、射出成形法によって形成することもできるが、通常、シート成形法によって形成される。前記シートとしては、合成樹脂製シート、複数の合成樹脂製シートが積層された積層シートなどを用いることができる。
カバー部材2の厚みは、0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。
【0025】
次に、封止シート6は、収納凹部3の開口部39を閉塞するために、フランジ部5の接着部51の裏面に接着されている。
封止シート6の正面視形状は、特に限定されないが、収納凹部3が正面視略矩形状に形成されている場合には、通常、封止シート6も正面視略矩形状に形成される。
【0026】
本実施形態では、略矩形状の封止シート6の両側端部及び上端部が、フランジ部5の両方の側端接着部511,511の裏面及び上端接着部512の裏面に、粘着剤を介して接着されている。
フランジ部5の側端接着部511,511及び上端接着部512に接着された封止シート6は、その側端縁6a,6aの外側に段部524,524が対面し且つその上端縁6bの外側に段部525が対面している。
従って、封止シート6の側端縁6aには、段部524を含む側端延出部521が被さっており、同様に、封止シート6の上端縁6bには、段部525を含む上端延出部522が被さっている。
【0027】
封止シート6の層構成は、図3及び図4に示すように、ベースシート61と、該ベースシート61に積層された粘着剤層62と、該粘着剤層62を部分的に覆うマスキング層63と、を有する。
【0028】
粘着剤層62は、常温で粘着性を示す粘着剤を含む層である。
マスキング層63は、粘着剤層62の粘着性を実質的に隠蔽するために設けられる層である。マスキング層63が設けられる領域は、収納凹部3の開口部39に対応する領域である。この領域にマスキング層63が設けられていることにより、封止シート6を接着して収納凹部3の開口部39を閉塞したときに、収納された物品4が封止シート6に接着することを防止できる。
【0029】
他方、マスキング層63が設けられていない領域(封止シート6の両側端部及び上端部)は、粘着剤層62が露出しており、封止シート6は、該粘着剤層62を介して、接着部51(側端接着部511及び上端接着部512)の裏面に接着されている。
封止シート6の厚みは、特に限定されないが、0.05mm〜1.0mmであり、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0030】
ベースシート61は、例えば、厚紙、合成紙、合成樹脂シートなどの各種シート、及びこれらの積層シート、及びこれらシートに金属蒸着層などの他の機能層が積層された積層シートなどを用いることができる。なお、本明細書において、シートとは、一般的にフィルムと呼ばれるものを含む意味である。
好ましくは、ベースシート61としては、合成樹脂製シート、2以上の合成樹脂製シートを積層した積層シート、及び合成樹脂シートを含む積層シートが用いられる。
【0031】
また、ベースシート61は、柔軟であることが好ましい。
柔軟なベースシート61を用いることにより、封止シート6が、カバー部材2のフランジ部5の形状に沿って適宜変形し得る。このため、封止シート6がフランジ部5の接着部51に確実に面接着して接着強度が増し、封止シート6が不用意に剥がれることを防止できる。更に、封止シート6の厚みを上記のような範囲に設定すれば、封止シート6が更に変形し易くなる。このため、封止シート6がフランジ部5の接着部51に対して更に面接着し易くなるので好ましい。
【0032】
なお、ベースシート61の裏面又は表面には、物品名、絵柄、物品説明などの任意の意匠印刷が施されていてもよい。
本発明においては、封止シート6が、常温で粘着性を示す粘着剤を用いてフランジ部5に接着されるため、上記ベースシート61やカバー部材2には、耐熱性が要求されない。そのため、ベースシート61やカバー部材2は、ポリエチレンやポリ乳酸などの耐熱性の低い合成樹脂製シートを用いることも可能である。
【0033】
粘着剤層62は、ベースフィルム61に、常温で粘着性を示す粘着剤を実質的にベタ状に塗工することによって形成できる。なお、「常温」とは、外気温に相当する温度を意味し、−10℃〜50℃の範囲を含み、好ましくは、0℃〜40℃の範囲を含む。また、「実質的にベタ状」とは、格子状、網目状、無数の点が集まった形状などを含む意味である。
粘着剤層62の厚みは、3μm〜50μm程度であり、好ましくは10μm〜30μm程度である。
【0034】
上記粘着剤としては、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などの感圧型粘着剤などが用いられる。
上記粘着剤の具体例としては、アクリル酸エチル等のアクリル酸アルキルエステルやメタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルエステルなどのアルキルエステルモノマーと、酢酸ビニル等の共重合性モノマーと、アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマーや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー等の極性基含有モノマーと、を共重合させた共重合体を含むアクリル系粘着剤(特に、水溶性アクリル系粘着剤)などが挙げられる。
また、上記粘着剤の形態としては、溶剤系、無溶剤系、水系、ホットメルト系(このホットメルト系とは、加熱して塗工した後に、常温で粘着性を示す形態の粘着剤を指す)などが挙げられる。
【0035】
マスキング層63は、粘着剤層62の所定領域(収納凹部3の開口部39に対応する領域)にマスキング剤を重ねて塗工することによって形成されている。
マスキング剤としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型インキなどを用いることができる。
紫外線硬化型インキは、光重合性樹脂(プレポリマー及びモノマー)、光重合開始剤、着色剤、及び助剤などを含むが、本発明に用いられる紫外線硬化型インキは、顔料などの着色剤を含まない紫外線硬化型インキが好ましい(一般に、メジウムインキと呼ばれる)。着色剤を含まない紫外線硬化型インキを用いることで、無色透明なマスキング層63を形成できる。
なお、マスキング層63は、粘着剤層62の所定領域に、薄いフィルムを貼付することによって形成することもできる。
【0036】
マスキング層63の厚みは、2μm〜30μm程度であり、好ましくは3μm〜20μm程度である。
なお、マスキング層63の厚みを薄くすると、マスキング層63が積層された領域においても、粘着剤層62の粘着力が若干作用する。このため、収納凹部3に収納された物品4が、封止シート6(マスキング層63から染み出した粘着剤層62)に弱く接着し得る。このように物品4を封止シート6に弱く接着させることによって、物品4が収納凹部3内で揺れ動くことを防止できる。
【0037】
なお、ブリスター包装体1には、フック等に吊すための吊下げ用孔7が設けられていることが好ましい。該吊下げ用孔7は、フランジ部5の上端延出部522の面内に穴を穿設することによって形成されている。もっとも、吊下げ用孔7は、その他の部分に形成されていてもよい。
【0038】
本発明のブリスター包装体1は、接着部51から延出された側端延出部521及び上端延出部522の裏面が、封止シート6の側端部及び上端部の裏面と略同一面上又は前記側端部及び上端部の裏面よりも外側に突出されている。このため、封止シート6の側端縁6aに側端延出部521が被さり、且つ、封止シート6の上端縁6bに上端延出部522が被さっているので、封止シート6とフランジ部5の接合部分が露出しない。
かかるブリスター包装体1は、図5に示すように、第1のブリスター包装体1’の裏面側に、隣接する第2のブリスター包装体1”のフランジ部5が接触しても、第2のブリスター包装体1”のフランジ部5の端縁5aが、第1のブリスター包装体1’の封止シート6の端縁6aに衝突しない。
よって、上記ブリスター包装体1は、搬送中などにおいて、異物に接触することによって、封止シートが6不用意に剥がれることを防止できる。
【0039】
また、本発明のブリスター包装体1は、封止シート6が粘着剤を用いてフランジ部5に接着されているため、封止シート6及びカバー部材2に耐熱性が要求されず、又、収納する物品4が熱損傷を受けることもない。
【0040】
次に、本発明のブリスター包装体の他の実施形態を示す。ただし、他の実施形態の説明において、上記実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号を援用する場合がある。
【0041】
上記実施形態においては、フランジ部5が収納凹部3の側面壁33,33及び上面壁34の端縁から延設されているため、封止シート6が収納凹部3の下面壁35の端縁において接着せず、この非接着な部分(封止シート6の下端部)を起点として、封止シート6を容易に開封できる。
もっとも、フランジ部5は、収納凹部3の端縁全体から延設されていてもよい。この場合、封止シート6の端部の全体が、フランジ部5の接着部52に接着される。
【0042】
また、上記実施形態においては、延出部52は、封止シート6の両側端縁6a,6a及び上端縁6bよりも外側に延設されているが、例えば、延出部52は、封止シート6の両側端縁6a,6aにおいてのみ外側へ延設されていてもよい。さらに、延出部52は、封止シート6の端縁全体において外側へ延設されていてもよい。
【0043】
さらに、上記実施形態においては、延出部52は、接着部51に対して略直交して折れ曲がった段部と、該段部に対して略直交して外側に延設された平坦部分と、を有するが、例えば、図6に示すように、延出部52は、全体として外側へテーパ状に延設された傾斜面とされていてもよい。この場合、延出部52の端縁52aが、封止シート6の端部(例えば、封止シート6の側端部、封止シート6の上端部など)の裏面と略同一面上、又は前記封止シート6の端部の裏面よりも突出するように、延出部52が延設されていればよい。
【0044】
さらに、図7に示すように、延出部52は、接着部51に対して略直交して折れ曲がり且つ封止シート6の端縁に対面した段部のみから構成されていてもよい。この場合も、延出部52の端縁52aが、封止シート6の端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シート6の端部の裏面よりも突出するように、延出部52が延設されていればよい。
【0045】
また、上記実施形態においては、フランジ部5の接着部51は、収納凹部3の周面壁32に対して略直交して延設されているが、例えば、図8に示すように、接着部51は、収納凹部3の周壁面32に対して外側へテーパ状に延設された傾斜面とされていてもよい。この場合、前記傾斜面とされた接着部51に沿って封止シート6の端部を僅かに曲げることによって、封止シート6が接着部51に接着される。
図8においては、傾斜面とされた延出部52を図示しているが、延出部52は、上記実施形態のように、段部を有する形状などに変更することもできる。
【0046】
なお、封止シート6が柔軟である場合、収納する物品4の大きさによって、図9に示すように、封止シート6の収納凹部3に対応する領域の中央部が外側に膨らむことがある。この場合、封止シート6の中央部裏面が延出部52の裏面よりも外側に突出することがある。本発明のブリスター包装体1は、延出部52の裏面が、封止シート6の端部の裏面と略同一面上、又はそれよりも突出されていればよいので、延出部52の裏面よりも封止シート6の中央部裏面が突出する場合も本発明に含まれる。
【0047】
また、上記実施形態においては、封止シート6は、正面視略矩形状に形成されているが、例えば、正面視略円形状、正面視略楕円形状、任意の不定形状などに形成されていてもよい。封止シート6が略矩形状でない場合、延出部52は、この非矩形状の封止シート6の端縁全体において外側へ延設されていることが好ましいが、延出部52は、この非矩形状の封止シート6の端縁の一部において外側へ延設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】1つの実施形態に係るブリスター包装体の正面図。
【図2】同背面図。
【図3】図1のIII−III線拡大断面図。
【図4】図1のIV−IV線拡大断面図。
【図5】2つのブリスター包装体のフランジ部が重なり合った状態を示す参考断面図(図1のIII−III線切断面と同じ方向で切断した参考断面図)。
【図6】他の実施形態に係るブリスター包装体の断面図(図1のIII−III線切断面と同じ方向で切断した断面図(ただし、封止シートの層構成は図示せず)。図7〜図9も同じ)。
【図7】更に他の実施形態に係るブリスター包装体の断面図。
【図8】更に他の実施形態に係るブリスター包装体の断面図。
【図9】更に他の実施形態に係るブリスター包装体の断面図。
【符号の説明】
【0049】
1…ブリスター包装体、2…カバー部材、3…収納凹部、39…収納凹部の開口部、4…物品、5…フランジ部、51…接着部、511…側端接着部、512…上端接着部、52…延出部、521…側端延出部、522…上端延出部、6…封止シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納凹部の端縁からフランジ部が延設されたカバー部材と、前記フランジ部に接着され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有するブリスター包装体であって、
前記封止シートが、常温で粘着性を示す粘着剤を介して前記フランジ部に接着されており、
前記フランジ部が、前記封止シートの端縁よりも外側へ延出された延出部を有し、
前記延出部が、前記封止シートの端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの端部の裏面よりも突出されている部分を有することを特徴とするブリスター包装体。
【請求項2】
前記封止シートが、略矩形状であり、
前記フランジ部が、前記略矩形状の封止シートの両方の側端縁よりも外側へそれぞれ延出されている側端延出部を有し、
前記側端延出部が、前記封止シートの側端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの側端部の裏面よりも突出されている請求項1に記載のブリスター包装体。
【請求項3】
前記フランジ部が、前記略矩形状の封止シートの上端縁よりも外側へ延出されている上端延出部を有し、
前記上端延出部が、前記封止シートの上端部の裏面と略同一面上、又は前記封止シートの上端部の裏面よりも突出されている請求項2に記載のブリスター包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−58835(P2010−58835A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−229182(P2008−229182)
【出願日】平成20年9月8日(2008.9.8)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】