ブリスター包装体
【課題】 封止シートの一部分をミシン線から比較的逸れないで切り取って剥離でき、剥離した封止シートの一部分によって収納凹部を再封できる、ブリスター包装体を提供する。
【解決手段】 収納凹部2と複数のフランジ部3とを有するカバー部材4と、フランジ部3に貼付される封止シート5と、を有し、封止シート5にミシン線6が形成され、フランジ部3がミシン対応フランジ部Aと捲り対応フランジ部Bとを有し、封止シート5のミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度が次の関係を満たしている。封止シート5と捲り対応フランジ部Bとの間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aとの間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aとの間の付着強度。
【解決手段】 収納凹部2と複数のフランジ部3とを有するカバー部材4と、フランジ部3に貼付される封止シート5と、を有し、封止シート5にミシン線6が形成され、フランジ部3がミシン対応フランジ部Aと捲り対応フランジ部Bとを有し、封止シート5のミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度が次の関係を満たしている。封止シート5と捲り対応フランジ部Bとの間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aとの間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aとの間の付着強度。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止シートの一部分を開閉し、収納された物品を出入れできるブリスター包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、乾電池、口腔衛生用品、化粧品、ネジなどの機械部品、お菓子などの食品、玩具などの各種物品を包装する形態として、ブリスター包装体が知られている。
ブリスター包装体は、一般的に、合成樹脂製シートの成形品からなるカバー部材と、封止シートと、を有する。カバー部材は、その一部分に物品収納用の収納凹部が形成され、且つ該収納凹部の端縁からフランジ部が延設されている。封止シートは、前記収納凹部の開口側を閉塞するように、前記フランジ部の裏面に接着される。
【0003】
また、常温で粘着性を示す粘着剤を介して封止シートがカバー部材のフランジ部に貼付されている包装体も知られている。かかる包装体は、封止シートの一部分をミシン線に沿って切り取って収納凹部を開口し、収納凹部から物品を取り出した後、再度、切り取った封止シートの一部分を前記粘着剤によって元の位置に接着して前記収納凹部を閉塞できる。
【0004】
例えば、特許文献1には、成型シート4にシールシート7を貼り合わせて収容部6を個別密封したブリスター包装体2と、このブリスター包装体2を覆うカバーケース3と、からなり、収容部6と対向する部位ごとに開封部14を形成し、この開封部14にジッパー形式のミシン線15を形成し、開封部14の内面とシールシート7とを再接着可能な粘着剤で接着したカバーケース付きブリスター包装体が開示されている。
かかる特許文献1のカバーケース付きブリスター包装体は、開封部14の一部分を摘んでミシン線15に沿って切り取ることにより、開封した収容部6から物品を取り出すことができる。また、開封部14の内面の粘着剤は再接着可能であるので、切り取った開封部14にて収容部6を再封することができる。
【0005】
しかしながら、粘着剤を介して貼付された封止シートの一部分をミシン線に沿って切り取ろうとしても、ミシン線に沿って封止シートが切れない場合がある。
具体的には、ミシン線は、貫通孔、非貫通部、貫通孔、非貫通部というように、貫通孔が切り取り方向に断続的に形成された線からなるが、封止シートの一部分を摘んで引き出したときに、切り取りによって生じる切断線が、非貫通部とそれに隣接する貫通孔へと進まず、ミシン線の途中で貫通孔から逸れてしまう場合がある。
【0006】
この原因の1つとしては、封止シートが粘着剤を介してフランジ部に強く接着されていることが考えられる。それ故、粘着性の低い粘着剤を使用することにより、封止シートをミシン線に沿って切り取ることができるようになると考えられる。
しかしながら、粘着性の低い粘着剤を用いると、保管・運搬中に、異物に接触して封止シートの端部が捲れるおそれがある。さらに、封止シートの一部分を切り取ってフランジ部から剥がした後、その一部分をフランジ部に再貼付させ難く、収納凹部を再封し難いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−46468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、封止シートの一部分をミシン線から比較的逸れないように切り取って剥離でき、剥離した封止シートの一部分によって収納凹部を再封できる、ブリスター包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブリスター包装体は、収納凹部と前記収納凹部の端縁から延設され且つ前記収納凹部の周囲に設けられたフランジ部とを有するカバー部材と、前記フランジ部の被貼付面に貼付され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有し、前記封止シートの面内に、ミシン線が形成されており、前記封止シートが、前記フランジ部の被貼付面に剥離可能で且つ再貼付可能に貼付されており、前記フランジ部が、前記封止シートのうちミシン線が形成された領域が貼付されるミシン対応フランジ部と、前記ミシン対応フランジ部の一方側に位置し且つ前記封止シートのうちシート捲り始端縁を含む領域が貼付される捲り対応フランジ部と、を有し、前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が下記の関係を満たしている。
前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度。
例えば、前記封止シートのミシン線近傍領域は、ミシン対応フランジ部の被貼付面に対して、弱く付着していてもよいし、前記ミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面とが非接着であってもよい。
【0010】
上記本発明のブリスター包装体は、封止シートと捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度が、封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度よりも大きい。かかるブリスター包装体は、その保管・運搬中に、封止シートが捲り対応フランジ部から不用意に剥がれ難く、開封時に一旦、シート捲り始端縁から封止シートを人為的に剥離すれば、ミシン線近傍領域がミシン対応フランジ部から簡単に離反してミシン線から比較的逸れずに、封止シートの一部分をミシン線に沿って容易に切り取ることができる。また、剥離した封止シートの一部分を元のように貼り合わすことによって、収納凹部をしっかりと再封することもできる。
【0011】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記記封止シートが、基材と、前記基材の一方面に積層され且つ常温で粘着性を示す粘着層と、前記粘着層の一方面に積層され且つ粘着層の粘着性を弱める弱化層と、を有し、前記弱化層が前記封止シートのミシン線近傍領域に積層されている。
【0012】
上記好ましいブリスター包装体は、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域が、粘着層を介してミシン対応フランジ部の被貼付面に対して比較的強く付着し、他方、封止シートのミシン線近傍領域が、弱化層を介してミシン対応フランジ部の被貼付面に対して比較的弱く付着又は非接着となる。このため、ミシン線から比較的逸れずに、封止シートの一部分をミシン線に沿って容易に切り取ることができ、剥離した封止シートの一部分を元のように貼り合わすことによって、収納凹部をしっかりと再封することもできる。
【0013】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記ミシン対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされている。
かかる好ましいブリスター包装体は、封止シートの剥離を容易に行える。
【0014】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記フランジ部が、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部を、さらに有し、前記下方対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされ、前記下方対応フランジ部の被貼付面に貼付される封止シートの下方領域が粘着層の一方面が露出した粘着面とされている。
【0015】
かかる好ましいブリスター包装体は、封止シートの下方領域の粘着面が下方対応フランジ部の被貼付面(難付着性の面)に付着するので、封止シートの下方領域を安定的に貼付でき、又、封止シートの一部分を剥離する際には、その下方領域も比較的容易に剥離する。
【0016】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が、前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度、の関係を満たしている。
【0017】
上記好ましいブリスター包装体は、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度が、捲り対応フランジ部の付着強度とミシン対応フランジ部の付着強度の中間とされている。このため、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付したときに、封止シートが不用意に剥がれることを確実に防止できる。つまり、本発明においては、ミシン線に沿って封止シートを切れるようにするために、ミシン線近傍領域のミシン対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度を小さくしている又は付着強度を零(非接着)としているが、そうすると、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付した際には、その領域における封止シートとミシン対応フランジ部を十分に貼付できない。この点、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度を、封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度よりも大きくすることにより、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付した際に、両者が剥がれることなく、封止シートの一部分によって収納凹部を確実に再封できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブリスター包装体は、封止シートが捲り対応フランジ部から不用意に剥がれ難いという機能を有しつつ、封止シートの一部分をミシン線から比較的逸れないように切り取って剥離できる機能を併有し、さらに、剥離した封止シートの一部分を元に戻し、収納凹部を再封することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】1つの実施形態に係るブリスター包装体の正面図。
【図2】同ブリスター包装体の背面図。
【図3】図1のIII−III線概略断面図。
【図4】図1のIV−IV線概略断面図。
【図5】図3のV部拡大断面図。
【図6】1つの実施形態に係るカバー部材の背面図。
【図7】1つの実施形態に係る封止シートの正面図。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図。
【図9】図7のIX−IX線断面図。
【図10】1つの変形例に係るブリスター包装体の背面図。
【図11】他の変形例に係るブリスター包装体について、図3のV部と同様な箇所での拡大断面図。
【図12】他の実施形態に係るカバー部材の背面図。
【図13】他の実施形態に係る封止シートの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
なお、各部の用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣などを意味しない。
また、方向性を示す用語として、上、下、左、右などを使用するが、これらは、ブリスター包装体を吊り下げた状態を基準にして(吊り下げないタイプのブリスター包装体にあっては、任意の位置で吊り下げたと仮想して)、その封止シートの面に対して直交する方向から見たときの方向を指す。
本明細書において、「AAA〜BBB」という表記は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0021】
図1乃至図5において、ブリスター包装体1は、収納凹部2とフランジ部3を有するカバー部材4と、前記収納凹部2の開口側を閉塞する封止シート5と、を有する。封止シート5の面内には、ミシン線6が形成されている。
カバー部材4には、収納凹部2が形成され、収納凹部2の端縁からフランジ部3が延設されている。
収納凹部2は、物品を収納する凹状の空間部分である。カバー部材4には、1つの収納凹部2が形成されていてもよいし、2以上の収納凹部2が形成されていてもよい。
カバー部材4が2以上の収納凹部2を有する場合には、各収納凹部2が所定間隔を開けて形成される。
【0022】
本実施形態では、図6にも示すように、カバー部材4には3つの収納凹部2が形成されている。3つの収納凹部2は、上下に所定間隔をあけて並設されており、それぞれ独立している。以下、3つの収納凹部2を区別して説明する場合には、それらを上から順に、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23という。
各収納凹部21,22,23は、上下に規則的に整列させて配置されているが、不規則に配置されていてもよい。
なお、符号4aは、第1収納凹部21と第2収納凹部22、及び、第2収納凹部22と第3収納凹部23の間のフランジ部3の厚み方向に刻まれた略V字状の切込み部である。
本発明のブリスター包装体1は、封止シート5の一部分をミシン線6に沿って切り取り、これをカバー部材4から完全に剥離した後、前記切込み部4aを利用して、カバー部材4の1つの収納凹部2を分割することもできる。
【0023】
各収納凹部2は、それぞれ、正面壁と、前記正面壁の周端縁から正面壁に対して略直交して延設された周面壁と、を有し、前記周面壁の端縁で囲われた部分に、物品を出し入れするための開口部が形成されている。
収納凹部2の形状は、特に限定されず、物品の形状などに応じて適宜設計できる。本実施形態では、各収納凹部2の正面壁は、正面視略矩形状に形成され、且つ、各収納凹部2の開口部も、同様に正面視略矩形状に形成されている。従って、各収納凹部2の周面壁は、正面壁の左右の側端縁から正面壁に対して略直交して延設された一対の側面壁と、正面壁の上下端縁から正面壁に対して略直交して延設された上下面壁と、から構成されている。
本明細書において、正面視形状は、封止シート5の一方面に対して直交する方向から見たときの形状をいう。
【0024】
さらに、各収納凹部2の端縁(周面壁の端縁)から、フランジ部3が外側へ延設されている。
フランジ部3は、封止シート5を貼付する被貼付面を構成する部分であると共に、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23を区画する部分でもある。
フランジ部3は、各収納凹部2の四方全体から延設されている。
以下、収納凹部2の四方に設けられたフランジ部3を、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34という(フランジ部3は、収納凹部2の四方に順に設けられた第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の総称である)。なお、便宜上、捲り対応フランジ部を第1フランジ部と仮定して、図1のブリスター包装体の正面から見た反時計回りに、第1フランジ部31、第2フランジ部32、第3フランジ部33及び第4フランジ部34とする。
【0025】
図1のようにブリスター包装体の正面から見て、第1フランジ部31は、収納凹部2の周面壁の左側端縁から外側に延設され、第2フランジ部32は、収納凹部2の周面壁の下端縁から外側に延設され、第3フランジ部33は、収納凹部2の周面壁の右側端縁から外側に延設され、第4フランジ部34は、収納凹部2の周面壁の上端縁から外側に延設されている。第1フランジ部31と第3フランジ部33は、互いに対向し、第2フランジ部32と第4フランジ部34は、互いに対向している。
第1乃至第4フランジ部34は、何れも同一平面状に延設されている。
【0026】
なお、本実施形態では、3つの収納凹部2が形成されている。この第1乃至第3収納凹部21,22,23の四方に何れにも前記第1乃至第4フランジ部31,32,33,34が形成されている。
ただし、第1収納凹部21と第2収納凹部22、及び、第2収納凹部22と第3収納凹部23は、それぞれ上下に隣り合って並んでいるので、第1収納凹部21及び第2収納凹部22の下端縁から延設された各第2フランジ部32は、第2収納凹部22及び第3収納凹部23の上端縁から延設された各第4フランジ部34と兼用されている。
また、第1収納凹部21(最上方の収納凹部)の上端縁から延設された第4フランジ部34の上端縁、及び、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32の下端縁は、それぞれ、カバー部材4のフランジ部3の周縁を構成している。
【0027】
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32は、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部Cに相当する。
この下方対応フランジ部Cは、第3収納凹部23を挟んで、ミシン対応フランジ部Aである第4フランジ部34と向かい合って設けられている。
【0028】
本実施形態では、第1フランジ部31と第3フランジ部33は略平行に帯状に延び、第2フランジ部32と第4フランジ部34も略平行に帯状に延びている。また、本実施形態では、第1フランジ部31と第3フランジ部33は、第2フランジ部32と第4フランジ部34に対して略直交する方向に延びている。
【0029】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各幅は、特に限定されないが、それらが余りに短いと封止シート5を十分に貼付できないおそれがある。かかる観点から、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各幅は、2mm以上が好ましく、さらに、3mm以上がより好ましい。特に、ミシン対応フランジ部であって隣接する第4フランジ部34も兼用している第2フランジ部32は、3mm以上が好ましく、さらに、5mm以上が好ましい。
なお、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の幅は、それらフランジ部が延びる方向に対して直交する方向における長さをいう。第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の延びる方向においてその幅が一定でない場合には、前記第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の幅は、最も小さい箇所の長さをいう。
【0030】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各一方面(収納凹部2が突出した側の面とは反対側の面)は、封止シート5を貼付するための被貼付面である。
本実施形態においては、封止シート5の貼付面のうち、ミシン線6が形成された領域が、第1収納凹部21の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付される。同様に、ミシン線6が形成された領域が、第2収納凹部22の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付され、第3収納凹部23の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付される。本実施形態では、これらの各収納凹部2の上下端縁から延設された第2フランジ部32及び第4フランジ部34が、ミシン対応フランジ部Aに相当する。
【0031】
各収納凹部2において、第1フランジ部31は、前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の一方側に位置しており、第3フランジ部33は、前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の他方側に位置している。本実施形態では、第1フランジ部31側から封止シート5の一部分が捲り取られるように、封止シート5をフランジ部3の被貼付面に貼付する。このため、第1フランジ部31が捲り対応フランジ部Bに相当する。
【0032】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の被貼付面は、同じ性質及び表面形状の面から構成されていてもよい。
好ましくは、第1フランジ部31の被貼付面及び第3フランジ部33の被貼付面は、何れもカバー部材の形成材料からなる面であって平坦状の面とされ、ミシン対応フランジ部Aである第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面は、難付着性を有する面とされている。なお、本実施形態では、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32は、ミシン対応フランジ部ではなく、下方対応フランジ部Cであるが、この第2フランジ部32も難付着性を有する面とされている。
【0033】
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面を難付着性の面とする手段としては、例えば、(1)第2フランジ部32及び第4フランジ部34の表面に、ワックス、滑剤、シリコーンなどの易剥離剤を含むコーティング層を形成すること、(2)第2フランジ部32及び第4フランジ部34の表面の形状を凹凸状に形成すること(被貼付面を凹凸面とすること)、などが挙げられる。
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面が難付着性の面とされていることにより、後述する弱化層と協働して、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面に対する封止シート5の付着強度を所定の関係とすることができる。
【0034】
なお、下方対応フランジ部Cである第3収納凹部23から延設された第2フランジ部32に対しては、封止シート5の粘着層の粘着面が貼付される。
本実施形態では、第1フランジ部31の被貼付面及び第3フランジ部33の被貼付面は、何れも平坦状の面とされ、ミシン対応フランジ部Aである第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面は、凹凸面とされている。
図6に、凹凸面が形成された範囲を薄墨塗りで示し、図5に、凹凸面の詳細を断面で示している。
【0035】
凹凸面は、複数の微細な凸部及び凹部が規則的に又は無秩序に形成された面である。この凹凸面に公知の粘着テープを貼付したときには、その粘着テープの面と凹凸面の凹部との間に僅かな隙間を生じ得る。そのため、凹凸面は、平坦面状の面に比して一般的な粘着面が付着し難いという、難付着性を有する。
凹凸面の凹凸の程度は、例えば、凹凸面に公知の粘着テープを貼付したときに、その粘着テープの付着面積が20%〜80%であり、好ましくは30%〜70%である。
前記付着面積は、{(粘着テープの面積−粘着テープのうち凹凸面に付着していない面積)/粘着テープの面積}×100で求められる。
【0036】
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面の全体が凹凸面(つまり、難付着性の面)とされていてもよいが、封止シート5の不用意な剥離を防止するために、凹凸面は、第2フランジ部32及び第4フランジ部34のうち、第1フランジ部31及び第3フランジ部33と交差した各隅部を除いた範囲に形成されていることが好ましい。つまり、捲り対応フランジ部Bの被貼付面には、凹凸面が形成されておらず、捲り対応フランジ部Bの被貼付面は、難付着性の面よりも一般的な粘着面が付着し易い面(例えば、平坦状の面)であることが好ましい。
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32についても、その両隅部を除いて、凹凸面が形成されている。
【0037】
凹凸面の形成方法は、特に限定されず、例えば、エンボス加工、微粒子の付着などが挙げられる。
微粒子の付着は、第2フランジ部32及び第4フランジ部34の一方面に、シリカや酸化チタンなどの無機微粒子を付着させて凹凸面を形成する方法である。
カバー部材4の成形加工時に凹凸面を形成できることから、エンボス加工が好ましい。
【0038】
上記カバー部材4の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂が挙げられる。カバー部材4は、収納された物品を透視するため、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。
カバー部材4は、射出成形法によって形成することもできるが、通常、シート成形法によって形成される。前記シート成形法に用いるシートとしては、合成樹脂製シート、複数の合成樹脂製シートが積層された積層シートなどが挙げられる。
カバー部材4の厚みは、0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。
【0039】
次に、封止シート5は、各収納凹部2の開口部を閉塞するために、フランジ部3の被貼付面に貼付されている。
各収納凹部2を覆う前記封止シート5は、その面内に形成されたミシン線6に従って分割可能である。
【0040】
封止シート5は、図7〜図9にも示すように、基材51と、前記基材51の一方面に積層された粘着層52と、前記粘着層52の一方面の一部分に積層された弱化層53と、前記粘着層52の一方面の他の部分に積層された隠蔽層54と、を有する層構造である。
なお、図7において、これらを分かりやすくするために、粘着層52の一方面が露出した範囲を網掛けで、弱化層53の一方面が露出した範囲を縦縞で、隠蔽層54の一方面が露出した範囲を薄墨塗りで、基材51の一方面が露出した範囲を無地で、それぞれ示している。
【0041】
前記粘着層52は、常温で粘着性を示す粘着剤からなる層である。
前記弱化層53は、粘着層52の一方面(基材に積層された面とは反対側の面)の粘着性を弱めるための層である。以下、粘着層52の一方面を粘着面という場合がある。
前記隠蔽層54は、粘着層52の粘着面の粘着性を実質的に隠蔽するための層である。
粘着面は、常温で粘着性を示し、フランジ部3の被貼付面に剥離可能に貼付でき且つ剥離後に再貼付可能なものである。
【0042】
基材51は、特に限定されず、合成紙、合成樹脂製フィルム、紙などの各種シート、これらの積層シート、及びこれらシートに金属蒸着層などの他の機能層が積層された積層シートなどを用いることができる。
好ましくは、基材51として、合成紙、合成樹脂製フィルム、又はこれらの積層シートが用いられる。
基材51の厚みは、特に限定されないが、0.05mm〜1.0mmであり、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0043】
基材51の正面視形状は、特に限定されず、適宜な形状に形成できる。本実施形態では、封止シート5の周縁とカバー部材4のフランジ部3の周縁とが略一致するように、基材51は正面視略矩形状に形成されている。
封止シート5をカバー部材4のフランジ部3に貼付した際に、ミシン対応フランジ部Aに面する基材51の一領域であって、収納凹部2の端縁に重ならずにその端縁から間隔を有した位置に、ミシン線6が形成されている(ミシン線6の全体が、フランジ部3に面して形成されている)。
【0044】
本実施形態では、左右方向に延びるミシン線6が、上下に間隔を開けて3本形成されている。具体的には、基材51の、第1収納凹部21の第4フランジ部34に対応する領域、第1収納凹部21の第2フランジ部32(第2収納凹部22の第4フランジ部34)に対応する領域、及び、第2収納凹部22の第2フランジ部32(第3収納凹部23の第4フランジ部34)に対応する領域に、それぞれミシン線6が形成されている。
第3収納凹部23の第2フランジ部32の被貼付面に貼付される領域(封止シート5の下方領域)には、ミシン線6は形成されていない。
【0045】
各ミシン線6は、基材51(封止シート5)の一側縁から他側縁まで、前記ミシン対応フランジ部Aの延びる方向と略平行に形成されている。従って、各ミシン線6は、基材51の一側縁の延びる方向に対して略直交方向に延びている。かかるミシン線6が形成された封止シート5をカバー部材4に貼付した際には、ミシン線6は、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交して延びる。
【0046】
各ミシン線6は、基材51の厚み方向に貫通する貫通孔と基材51を貫通しない非貫通部が交互に配列された線である。前記貫通孔の正面視形状は、特に限定されず、円状、楕円状、三角形などの多角形状、直線状、略V字状、略Y字状などが挙げられる。図示例では、ミシン線6の各貫通孔は略Y字状とされている。
【0047】
前記粘着層52は、基材51の一方面の略全体に、常温で粘着性を示す粘着剤(感圧型粘着剤)を実質的にベタ状に塗工することによって形成できる。なお、実質的にベタ状とは、格子状、網目状、無数の点が集まった形状などを含む意味である。
ただし、本実施形態では、基材51の一側端部における上下方向の帯状領域には、粘着層52が形成されていない。この基材51(封止シート5)の一側端部は、各収納凹部2の捲り対応フランジ部Bの縁部に対応する部分である。
粘着層52の厚みは、3μm〜50μm程度であり、好ましくは10μm〜30μm程度である。
【0048】
前記粘着剤の形態としては、溶剤系、無溶剤系、水系、ホットメルト系(このホットメルト系とは、加熱して塗工した後に、常温で粘着性を示す形態の粘着剤を指す)、UV系などが挙げられる。
粘着層52の粘着面の剥離強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、さらに、5〜15N/25mmがより好ましい。
前記粘着面の剥離強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、粘着層52を形成した合成樹脂製フィルム(試験片)を100mm×25mmに形成し、これをポリエチレンテレフタレート製の被着体に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、その試験片が剥離したときの最大応力値をいう。
【0049】
前記弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める又は粘着面の粘着性を隠蔽するための層である。弱化層53の一方面(粘着面に積層された面とは反対側の面)は、粘着性を有するが、前記粘着面よりも剥離強度が弱くなっているか、又は、粘着性を示さない。以下、弱化層53の一方面を弱化面という場合がある。
好ましくは、弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層とされ、弱化面は、粘着性を有するが、前記粘着面よりも剥離強度が弱くなっている。
前記弱化層53が粘着面の粘着性を隠蔽する場合には、前記弱化面は、実質的に接着性を有さない。
前記弱化層53が粘着面の粘着性を弱める場合には、前記弱化面の剥離強度は、前記粘着面の剥離強度の0倍を超え0.8倍以下であることが好ましく、さらに、0.1倍〜0.75倍がより好ましく、0.3倍〜0.7倍が特に好ましい。
弱化層53の弱化面の剥離強度は、前記粘着面の剥離強度と同様にして測定できる。
【0050】
前記弱化層53は、粘着面のうち、封止シート5のミシン線近傍領域に積層されている。具体的には、粘着面のミシン線6を含む所定幅の帯状領域に、弱化層53が積層されている。換言すると、ミシン線6は、弱化層53が設けられた範囲に形成されている。この弱化層53の幅(本実施形態では、幅は、上下方向長さである。以下同じ)は、ミシン線6の幅を越え、且つミシン対応フランジ部Aの幅よりも短い。
なお、下方対応フランジ部Cの被貼付面に貼付される領域(封止シート5の下方領域)には、前記弱化層53は設けられておらず、粘着層の粘着面が露出している。
【0051】
封止シート5をカバー部材4のフランジ部3に貼付したときに、各収納凹部2の端縁と弱化層53の縁との間に粘着面が帯状に生じるように、弱化層53は、ミシン対応フランジ部Aの幅よりも短く形成されている。
弱化層53の幅は、ミシン対応フランジ部Aの幅などにもよるが、例えば、1mm〜7mm程度、好ましくは、2mm〜5mmである。
【0052】
弱化層53は、例えば、粘着層52の一方面にマスキング剤を塗布することによって形成されている。マスキング剤としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型インキなどを用いることができる。
マスキング剤の種類、塗布面積、及び塗布厚を適宜調整することにより、粘着性を有しつつ前記粘着面よりも剥離強度が弱い弱化面又は接着性を有さない弱化面を形成できる。
例えば、紫外線硬化型インキなどのマスキング剤を塗布する場合には、その塗布面積を20%〜100%とすることが好ましく、さらに、25%〜90%がより好ましく、30%〜70%が特に好ましく、その厚みは、0.2μm〜3.0μmが好ましい。弱化層53の形成面積や厚みをこのような範囲とすることにより、上記範囲の剥離強度を有する弱化面を形成できる。
【0053】
前記隠蔽層54は、粘着層52の一方面の粘着性を実質的に隠蔽するための層である。
従って、隠蔽層54の一方面は、カバー部材4や物品などに接着しない、非粘着面となっている。以下、隠蔽層54の一方面を非粘着面という場合がある。
隠蔽層54は、封止シート5をカバー部材4に貼付したときに、各収納凹部2の開口部に対応する領域に設けられている。本実施形態では、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23の各周面壁の端縁で囲われる領域に対応して、3つの隠蔽層54が設けられている。
従って、封止シート5によって各収納凹部2の開口部を閉塞したときに、収納凹部2に収納された物品が封止シート5に接着することを防止できる。
【0054】
隠蔽層54(非粘着面)の縁と弱化層53(弱化面)の縁の間には、粘着面が帯状に露出している。
【0055】
隠蔽層54は、例えば、粘着層52の一方面に薄い合成樹脂製フィルムを貼付することによって形成されている。
薄い合成樹脂製フィルムを粘着面に貼付することにより、粘着剤が滲み出ることなく、隠蔽層54が設けられた領域を非粘着面とすることができる。
なお、隠蔽層54の形成方法として、上記マスキング剤を隠蔽層形成領域に肉厚状に塗布する方法を採用してもよい。例えば、上記マスキング剤を厚み5μm〜30μm程度に塗布することにより、その塗布部分において粘着面の粘着性を隠蔽した隠蔽層54を形成できる。
【0056】
なお、上記カバー部材4及び封止シート5の上方部には、それらを貫通する吊下げ用孔55が穿設されている。
【0057】
上記カバー部材4の各収納凹部2に所望の物品を入れ、カバー部材4のフランジ部3の被貼付面に、封止シート5を貼付することにより、本発明のブリスター包装体1が得られる。
本発明のブリスター包装体1は、各収納凹部2の開口部が封止シート5によって閉塞されている。なお、封止シート5の非粘着面が各収納凹部2の開口部に面しているので、収納された物品が封止シート5に接着することはない。
【0058】
封止シート5の弱化面は、凹凸面とされたミシン対応フランジ部Aに貼付されている。
封止シート5の粘着面は、捲り対応フランジ部Bを含むミシン対応フランジ部A以外のフランジ部3、及び、ミシン対応フランジ部Aの中の前記弱化面が貼付された部分を除いたミシン対応フランジ部Aに、貼付されている。
従って、凹凸面とされたミシン対応フランジ部Aに、封止シート5の弱化面と粘着面の双方が面して貼付されている。
なお、ミシン対応フランジ部A以外のフランジ部には、上記下方対応フランジ部Cが含まれる。
【0059】
凹凸面と弱化面との間の付着強度は、平坦面に弱化面を貼付したときの両面間の付着強度に比して小さくなる。
同様に、凹凸面と粘着面との間の付着強度は、平坦面に粘着面を貼付したときの両面間の付着強度に比して小さくなる。
【0060】
このため、本発明のブリスター包装体1は、封止シート5の前記ミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度が下記の関係式Xを満たしている。
関係式X:封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度。
好ましくは、下記の関係式Yを満たしている。
関係式Y:封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(1)という)>封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(2)という)>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(3)という)。
これらの付着強度の差は、封止シート5を180度剥離したときの剥がし難さで判別できる。
なお、前記付着強度(2)には、封止シート5の下方領域と下方対応フランジ部Cの被貼付面との間の付着強度が含まれる。
【0061】
封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、さらに、5〜15N/25mmがより好ましい。
封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度は、1〜12N/25mmであることが好ましく、さらに、3〜9N/25mmがより好ましい。
【0062】
封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度は、0〜8N/25mmであることが好ましく、さらに、0.3〜5N/25mmがより好ましい。なお、前記付着強度が0とは、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面とが、非接着であることを意味する。
これらの付着強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、試験対象となる封止シート5(試験片)を100mm×25mmに形成し、これを試験対象のフランジ部3に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、その試験片が剥離したときの最大応力値をいう。なお、測定時に、幅25mmの試験片を準備できない場合には、出来るだけ幅25mmに近い試験片を用いて測定し、その結果を幅25mmに換算するものとする。
【0063】
本発明のブリスター包装体1は、封止シート5のシート捲り始端縁5aから封止シート5の一部分を引き剥がしていくことにより、収納凹部2の開口部を開放できる。
封止シート5の一側端部の帯状領域には粘着層52が設けられておらず、封止シート5の一側端部と各収納凹部2の捲り対応フランジ部B(第1フランジ部31)の縁部とは、非接着であるので、この封止シート5のシート捲り始端縁5aを簡単に摘んで封止シート5の一部分を引き剥がすことができる。
【0064】
封止シート5の一部分のシート捲り始端縁5a、例えば、第1収納凹部21に対応する封止シート5のシート捲り始端縁5aを摘んで引っ張ると、ミシン線6に沿って封止シート5が切れ始める。そして、このミシン線6で区画された、第1収納凹部21に対応する封止シート5の一部分の貼付面が捲り対応フランジ部B(第1フランジ部31)の被貼付面から剥離され、ミシン線6に沿った切り取りと同時に、封止シート5のミシン線近傍領域、及び、その領域以外の領域であって第1収納凹部21の端縁とミシン線近傍領域の縁との間の領域が、ミシン対応フランジ部Aから剥離される。
このようにして封止シート5の一部分を剥離することにより、収納凹部2を開封して物品を出入れできる。また、剥離した封止シート5の一部分を元のように、各フランジ部3に再貼付することにより、収納凹部2をしっかりと再封できる。
【0065】
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)を開放する際には、第2収納凹部22と第3収納凹部23の間に対応するミシン線6に沿って封止シート5の一部分が切り取られる。上述のように、第3収納凹部23の下端縁から延設された第2フランジ部32(下方対応フランジ部C)は難付着性の面とされているので、封止シート5の下方領域も下方対応フランジ部Cから比較的容易に剥離する。
【0066】
本発明のブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間が最も強く付着している。このため、ブリスター包装体1の保管・運搬中に、封止シート5が不用意に剥がれることを防止でき、再封後には、封止シート5の一部分をしっかりと封止できる。
なお、封止シート5の下方領域と下方対応フランジ部Cとの関係においても、封止シート5の下方領域が不用意に剥がれることを防止でき、再封後には、封止シート5の下方領域をしっかりと封止できる。
特に、上記ブリスター包装体1は、捲り対応フランジ部Bである第1フランジ部31に対向する第3フランジ部33の被貼付面に対しても、封止シート5が同様に最も強く付着している。このため、封止シート5の不用意な剥離を確実に防止できる。
【0067】
さらに、上記ブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間が最も弱く付着している。このため、封止シート5の一部分の剥離に伴い、ミシン線近傍領域がミシン対応フランジ部Aから簡単に離反する。よって、ミシン線6から比較的逸れることなく、封止シート5の一部分をミシン線6に沿って容易に切り取ることができる。
【0068】
また、上記ブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間が中間的な強さで付着している。このため、剥離した封止シート5の一部分を再びフランジ部3に貼付したときに、封止シート5が不用意に剥がれることを防止できる。
具体的には、封止シート5のミシン線近傍領域の、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面に対する付着強度を小さく又は付着強度を零にすれば、ミシン線6から比較的逸れないで封止シート5を容易に切り取ることができる。しかしながら、切り取った後の封止シート5の一部分を再びフランジ部3に貼付しても、封止シート5の一部分をミシン対応フランジ部Aに十分な付着強度で貼付できないおそれがある。
【0069】
この点、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(2)を、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(3)よりも大きくすることにより、ミシン線6に沿って切り取り易い効果を有しつつ、剥離した封止シート5の一部分を再びフランジ部3に十分な付着強度で貼付できる。
【0070】
本発明のブリスター包装体は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で適宜変更できる。以下、本発明のブリスター包装体の変形例を説明するが、上記実施形態と同様な構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0071】
上記実施形態におけるブリスター包装体1は、封止シート5のミシン線6が、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交する方向に延びているが、例えば、図10に示すように、封止シート5のミシン線6が、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して鈍角(又は鋭角)な方向に延びるように形成されていてもよい。なお、図10のミシン線6は、貫通孔が略Y字状でなく、直線状である。
この場合、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aも捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して鈍角(又は鋭角)な方向に延びるように形成されていてもよいし、上記実施形態のように、ミシン対応フランジ部Aが捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交する方向に延びるように形成されていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態におけるブリスター包装体1は、収納凹部2が複数設けられたカバー部材4を有するが、図10に示すように、収納凹部2が1つ設けられたカバー部材4を用いてもよい。この場合、封止シート5のミシン線6は、上記実施形態と同様に、収納凹部2の端縁から間隔を置いた位置に形成される。
【0073】
上記実施形態における封止シート5は、基材51の一方面の略全体に粘着層52を積層し、このうち、各収納凹部2の開口部に対応する領域を非粘着面とするために、隠蔽層54が積層されているが、これに限定されない。例えば、基材51の一方面のうち、各収納凹部2の開口部に対応する領域を除いて、粘着層52を積層してもよい(図示せず)。この場合には、各収納凹部2の開口部に対応する領域に基材51の一方面が露出するので、上記隠蔽層54を設ける必要性はない。
【0074】
さらに、上記実施形態における封止シート5は、ミシン線近傍領域を弱化面とするために、粘着層52の上に弱化層53を積層しているが、これに限定されない。例えば、ミシン線近傍領域に上記粘着層52を積層せず、その代わりに、ミシン線近傍領域に、粘着層52を構成する粘着剤よりも粘着性の低い弱粘着剤を積層してもよい(図示せず)。もっとも、この場合には、通常の粘着剤及びそれよりも粘着性の低い弱粘着剤を、塗り分けしなければならず、その塗布作業が繁雑であるため、上記実施形態のように粘着層52に弱化層53を積層した構造が好ましい。
【0075】
また、上記実施形態におけるブリスター包装体1は、封止シート5のミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度(1)、(2)及び(3)を上記の関係式Yとするために、封止シート5に粘着面及び弱化面を設け且つフランジ部3に凹凸面を形成しているが、本発明においては、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式X又は関係式Yを満たすことを条件として、上記実施形態に限定されない。
【0076】
例えば、カバー部材4のフランジ部3の被貼付面の全てを平坦状とし、次のような層構成の封止シート5を用いることにより、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1を構成することも可能である。
この変形例の付着シートは、図11に示すように、基材51と、前記基材51の一方面に積層された粘着層52と、前記粘着層52の一方面の一部分に積層された弱化層53と、前記弱化層53の一方面に積層された第2弱化層56と、を有する層構造である。
【0077】
この変形例に係る弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層であり、上記実施形態で示したような所定厚に塗布されたマスキング剤から形成できる。変形例に係る弱化層53は、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面の全体に対応して設けられる。
この変形例に係る第2弱化層56は、例えば、弱化層53の上にさらにマスキング剤を重ね塗りすることによって形成できる。この第2弱化層56は、ミシン線近傍領域に積層される。第2弱化層56が設けられた領域は、弱化層53によって被覆された領域の粘着性(弱化面の粘着性)よりも、粘着性が低い又は実質的に粘着性がなくなる。
この変形例のように、3種類の粘着性を有する領域が形成された封止シート5を用いた場合には、カバー部材4のフランジ部3(ミシン対応フランジ部Aを含んだフランジ部3)の被貼付面の全てを平坦状とした場合でも、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1が得られる。
【0078】
また、例えば、封止シート5に粘着層52のみを設け(弱化層53や第2弱化層56を積層しない。ただし、収納凹部2の開口部に対応した領域には、上述のように隠蔽層54を設けるか、又は、粘着層52を設けない)、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aに2種類の凹凸面を形成することにより、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1を構成することも可能である(図示せず)。
【0079】
このカバー部材4は、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面を凹凸面としている。ただし、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面を、封止シート5のミシン線近傍領域が貼付される部分と、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域が貼付される部分と、に分け、ミシン線近傍領域が貼付される部分の凹凸面を、ミシン線近傍領域以外の領域が貼付される部分の凹凸面よりも、さらに粗面化している(表面粗さを粗くしている)。
この変形例のように、2種類の凹凸面が形成されたミシン対応フランジ部Aを有するカバー部材4を用いた場合には、封止シート5の貼付面を粘着層52のみとした場合でも、各付着強度が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1が得られる。
【0080】
また、本発明のブリスター包装体1は、付着強度(1)、(2)及び(3)が関係式Yの関係を満たしていることが好ましいが、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たしているものであればよい。
また、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1は、上記実施形態に限られず、様々な態様を適用できる。
【0081】
例えば、上記封止シート5に粘着層52のみを設け(弱化層53や第2弱化層56を積層しない。ただし、収納凹部2の開口部に対応した領域には、上述のように隠蔽層54を設けるか、又は、粘着層52を設けない)、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aのみを凹凸面に形成することにより、上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。また、封止シート5のミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層し、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aを平坦面に形成することにより、上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。その他、本発明の意図する範囲の様々な構成によって上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
【0082】
さらに、上記実施形態では、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面が難付着性を有する面とされているが、ミシン対応フランジ部Aが難付着性の面とされていなくてもよい。すなわち、ミシン対応フランジ部Aがカバー部材の形成材料からなる面であって平坦状の面とされていてもよい。
図12のカバー部材4は、下方対応フランジ部Cの被貼付面が難付着性の面とされ(但し、第1フランジ部31及び第3フランジ部33と交差した各隅部を除く)、それ以外のフランジ部の被貼付面が、難付着性の面とされていない。図12において、難付着性の面とされた範囲を薄墨塗りで示す。
かかるカバー部材4に、上記実施形態で例示した封止シート5(例えば、図7及び図8に示す封止シート)を同様に貼付することにより、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
【0083】
また、上記実施形態では、弱化層53は封止シート5のミシン線近傍領域に積層されているが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、弱化層53がミシン対応フランジ部Aと同幅に設けられていてもよい。図13において、粘着層52の一方面が露出した範囲を網掛けで、弱化層53の一方面が露出した範囲を縦縞で、隠蔽層54の一方面が露出した範囲を薄墨塗りで、基材51の一方面が露出した範囲を無地で、それぞれ示している。
この場合の弱化層53は、粘着面の粘着性を隠蔽するような層ではなく、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層とされる。
かかる封止シート5を、上記実施形態で例示したカバー部材4(例えば、図6に示すカバー部材)に同様に貼付することにより、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
また、かかる封止シート5を、図12に示すようなカバー部材4に貼付して本発明のブリスター包装体1を構成することも可能である。
【0084】
上記関係式X又は関係式Yの関係を満たすように、各付着強度(1)乃至(3)を設定する手段としては、封止シート5のミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層することが好ましい。粘着層52は比較的柔らかく、弱化層53は、これよりも硬い。このため、ミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層することにより、ミシン線に沿って封止シート5を切り取った際に、粘着剤の糸引き現象を抑制でき、ミシン線に沿って封止シート5を切り取り易くなる。
【符号の説明】
【0085】
1…ブリスター包装体、2…収納凹部、3…フランジ部、4…カバー部材、5…封止シート、51…基材、52…粘着層、53…弱化層、54…隠蔽層、6…ミシン線、A…ミシン対応フランジ部、B…捲り対応フランジ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止シートの一部分を開閉し、収納された物品を出入れできるブリスター包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医薬品、乾電池、口腔衛生用品、化粧品、ネジなどの機械部品、お菓子などの食品、玩具などの各種物品を包装する形態として、ブリスター包装体が知られている。
ブリスター包装体は、一般的に、合成樹脂製シートの成形品からなるカバー部材と、封止シートと、を有する。カバー部材は、その一部分に物品収納用の収納凹部が形成され、且つ該収納凹部の端縁からフランジ部が延設されている。封止シートは、前記収納凹部の開口側を閉塞するように、前記フランジ部の裏面に接着される。
【0003】
また、常温で粘着性を示す粘着剤を介して封止シートがカバー部材のフランジ部に貼付されている包装体も知られている。かかる包装体は、封止シートの一部分をミシン線に沿って切り取って収納凹部を開口し、収納凹部から物品を取り出した後、再度、切り取った封止シートの一部分を前記粘着剤によって元の位置に接着して前記収納凹部を閉塞できる。
【0004】
例えば、特許文献1には、成型シート4にシールシート7を貼り合わせて収容部6を個別密封したブリスター包装体2と、このブリスター包装体2を覆うカバーケース3と、からなり、収容部6と対向する部位ごとに開封部14を形成し、この開封部14にジッパー形式のミシン線15を形成し、開封部14の内面とシールシート7とを再接着可能な粘着剤で接着したカバーケース付きブリスター包装体が開示されている。
かかる特許文献1のカバーケース付きブリスター包装体は、開封部14の一部分を摘んでミシン線15に沿って切り取ることにより、開封した収容部6から物品を取り出すことができる。また、開封部14の内面の粘着剤は再接着可能であるので、切り取った開封部14にて収容部6を再封することができる。
【0005】
しかしながら、粘着剤を介して貼付された封止シートの一部分をミシン線に沿って切り取ろうとしても、ミシン線に沿って封止シートが切れない場合がある。
具体的には、ミシン線は、貫通孔、非貫通部、貫通孔、非貫通部というように、貫通孔が切り取り方向に断続的に形成された線からなるが、封止シートの一部分を摘んで引き出したときに、切り取りによって生じる切断線が、非貫通部とそれに隣接する貫通孔へと進まず、ミシン線の途中で貫通孔から逸れてしまう場合がある。
【0006】
この原因の1つとしては、封止シートが粘着剤を介してフランジ部に強く接着されていることが考えられる。それ故、粘着性の低い粘着剤を使用することにより、封止シートをミシン線に沿って切り取ることができるようになると考えられる。
しかしながら、粘着性の低い粘着剤を用いると、保管・運搬中に、異物に接触して封止シートの端部が捲れるおそれがある。さらに、封止シートの一部分を切り取ってフランジ部から剥がした後、その一部分をフランジ部に再貼付させ難く、収納凹部を再封し難いという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−46468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、封止シートの一部分をミシン線から比較的逸れないように切り取って剥離でき、剥離した封止シートの一部分によって収納凹部を再封できる、ブリスター包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のブリスター包装体は、収納凹部と前記収納凹部の端縁から延設され且つ前記収納凹部の周囲に設けられたフランジ部とを有するカバー部材と、前記フランジ部の被貼付面に貼付され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有し、前記封止シートの面内に、ミシン線が形成されており、前記封止シートが、前記フランジ部の被貼付面に剥離可能で且つ再貼付可能に貼付されており、前記フランジ部が、前記封止シートのうちミシン線が形成された領域が貼付されるミシン対応フランジ部と、前記ミシン対応フランジ部の一方側に位置し且つ前記封止シートのうちシート捲り始端縁を含む領域が貼付される捲り対応フランジ部と、を有し、前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が下記の関係を満たしている。
前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度。
例えば、前記封止シートのミシン線近傍領域は、ミシン対応フランジ部の被貼付面に対して、弱く付着していてもよいし、前記ミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面とが非接着であってもよい。
【0010】
上記本発明のブリスター包装体は、封止シートと捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度が、封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度よりも大きい。かかるブリスター包装体は、その保管・運搬中に、封止シートが捲り対応フランジ部から不用意に剥がれ難く、開封時に一旦、シート捲り始端縁から封止シートを人為的に剥離すれば、ミシン線近傍領域がミシン対応フランジ部から簡単に離反してミシン線から比較的逸れずに、封止シートの一部分をミシン線に沿って容易に切り取ることができる。また、剥離した封止シートの一部分を元のように貼り合わすことによって、収納凹部をしっかりと再封することもできる。
【0011】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記記封止シートが、基材と、前記基材の一方面に積層され且つ常温で粘着性を示す粘着層と、前記粘着層の一方面に積層され且つ粘着層の粘着性を弱める弱化層と、を有し、前記弱化層が前記封止シートのミシン線近傍領域に積層されている。
【0012】
上記好ましいブリスター包装体は、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域が、粘着層を介してミシン対応フランジ部の被貼付面に対して比較的強く付着し、他方、封止シートのミシン線近傍領域が、弱化層を介してミシン対応フランジ部の被貼付面に対して比較的弱く付着又は非接着となる。このため、ミシン線から比較的逸れずに、封止シートの一部分をミシン線に沿って容易に切り取ることができ、剥離した封止シートの一部分を元のように貼り合わすことによって、収納凹部をしっかりと再封することもできる。
【0013】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記ミシン対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされている。
かかる好ましいブリスター包装体は、封止シートの剥離を容易に行える。
【0014】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記フランジ部が、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部を、さらに有し、前記下方対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされ、前記下方対応フランジ部の被貼付面に貼付される封止シートの下方領域が粘着層の一方面が露出した粘着面とされている。
【0015】
かかる好ましいブリスター包装体は、封止シートの下方領域の粘着面が下方対応フランジ部の被貼付面(難付着性の面)に付着するので、封止シートの下方領域を安定的に貼付でき、又、封止シートの一部分を剥離する際には、その下方領域も比較的容易に剥離する。
【0016】
本発明の好ましいブリスター包装体は、前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が、前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度、の関係を満たしている。
【0017】
上記好ましいブリスター包装体は、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度が、捲り対応フランジ部の付着強度とミシン対応フランジ部の付着強度の中間とされている。このため、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付したときに、封止シートが不用意に剥がれることを確実に防止できる。つまり、本発明においては、ミシン線に沿って封止シートを切れるようにするために、ミシン線近傍領域のミシン対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度を小さくしている又は付着強度を零(非接着)としているが、そうすると、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付した際には、その領域における封止シートとミシン対応フランジ部を十分に貼付できない。この点、封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度を、封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度よりも大きくすることにより、剥離した封止シートの一部分を再びフランジ部に貼付した際に、両者が剥がれることなく、封止シートの一部分によって収納凹部を確実に再封できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブリスター包装体は、封止シートが捲り対応フランジ部から不用意に剥がれ難いという機能を有しつつ、封止シートの一部分をミシン線から比較的逸れないように切り取って剥離できる機能を併有し、さらに、剥離した封止シートの一部分を元に戻し、収納凹部を再封することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】1つの実施形態に係るブリスター包装体の正面図。
【図2】同ブリスター包装体の背面図。
【図3】図1のIII−III線概略断面図。
【図4】図1のIV−IV線概略断面図。
【図5】図3のV部拡大断面図。
【図6】1つの実施形態に係るカバー部材の背面図。
【図7】1つの実施形態に係る封止シートの正面図。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図。
【図9】図7のIX−IX線断面図。
【図10】1つの変形例に係るブリスター包装体の背面図。
【図11】他の変形例に係るブリスター包装体について、図3のV部と同様な箇所での拡大断面図。
【図12】他の実施形態に係るカバー部材の背面図。
【図13】他の実施形態に係る封止シートの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施態様について適宜図面を参照しつつ説明する。
なお、各部の用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣などを意味しない。
また、方向性を示す用語として、上、下、左、右などを使用するが、これらは、ブリスター包装体を吊り下げた状態を基準にして(吊り下げないタイプのブリスター包装体にあっては、任意の位置で吊り下げたと仮想して)、その封止シートの面に対して直交する方向から見たときの方向を指す。
本明細書において、「AAA〜BBB」という表記は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0021】
図1乃至図5において、ブリスター包装体1は、収納凹部2とフランジ部3を有するカバー部材4と、前記収納凹部2の開口側を閉塞する封止シート5と、を有する。封止シート5の面内には、ミシン線6が形成されている。
カバー部材4には、収納凹部2が形成され、収納凹部2の端縁からフランジ部3が延設されている。
収納凹部2は、物品を収納する凹状の空間部分である。カバー部材4には、1つの収納凹部2が形成されていてもよいし、2以上の収納凹部2が形成されていてもよい。
カバー部材4が2以上の収納凹部2を有する場合には、各収納凹部2が所定間隔を開けて形成される。
【0022】
本実施形態では、図6にも示すように、カバー部材4には3つの収納凹部2が形成されている。3つの収納凹部2は、上下に所定間隔をあけて並設されており、それぞれ独立している。以下、3つの収納凹部2を区別して説明する場合には、それらを上から順に、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23という。
各収納凹部21,22,23は、上下に規則的に整列させて配置されているが、不規則に配置されていてもよい。
なお、符号4aは、第1収納凹部21と第2収納凹部22、及び、第2収納凹部22と第3収納凹部23の間のフランジ部3の厚み方向に刻まれた略V字状の切込み部である。
本発明のブリスター包装体1は、封止シート5の一部分をミシン線6に沿って切り取り、これをカバー部材4から完全に剥離した後、前記切込み部4aを利用して、カバー部材4の1つの収納凹部2を分割することもできる。
【0023】
各収納凹部2は、それぞれ、正面壁と、前記正面壁の周端縁から正面壁に対して略直交して延設された周面壁と、を有し、前記周面壁の端縁で囲われた部分に、物品を出し入れするための開口部が形成されている。
収納凹部2の形状は、特に限定されず、物品の形状などに応じて適宜設計できる。本実施形態では、各収納凹部2の正面壁は、正面視略矩形状に形成され、且つ、各収納凹部2の開口部も、同様に正面視略矩形状に形成されている。従って、各収納凹部2の周面壁は、正面壁の左右の側端縁から正面壁に対して略直交して延設された一対の側面壁と、正面壁の上下端縁から正面壁に対して略直交して延設された上下面壁と、から構成されている。
本明細書において、正面視形状は、封止シート5の一方面に対して直交する方向から見たときの形状をいう。
【0024】
さらに、各収納凹部2の端縁(周面壁の端縁)から、フランジ部3が外側へ延設されている。
フランジ部3は、封止シート5を貼付する被貼付面を構成する部分であると共に、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23を区画する部分でもある。
フランジ部3は、各収納凹部2の四方全体から延設されている。
以下、収納凹部2の四方に設けられたフランジ部3を、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34という(フランジ部3は、収納凹部2の四方に順に設けられた第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の総称である)。なお、便宜上、捲り対応フランジ部を第1フランジ部と仮定して、図1のブリスター包装体の正面から見た反時計回りに、第1フランジ部31、第2フランジ部32、第3フランジ部33及び第4フランジ部34とする。
【0025】
図1のようにブリスター包装体の正面から見て、第1フランジ部31は、収納凹部2の周面壁の左側端縁から外側に延設され、第2フランジ部32は、収納凹部2の周面壁の下端縁から外側に延設され、第3フランジ部33は、収納凹部2の周面壁の右側端縁から外側に延設され、第4フランジ部34は、収納凹部2の周面壁の上端縁から外側に延設されている。第1フランジ部31と第3フランジ部33は、互いに対向し、第2フランジ部32と第4フランジ部34は、互いに対向している。
第1乃至第4フランジ部34は、何れも同一平面状に延設されている。
【0026】
なお、本実施形態では、3つの収納凹部2が形成されている。この第1乃至第3収納凹部21,22,23の四方に何れにも前記第1乃至第4フランジ部31,32,33,34が形成されている。
ただし、第1収納凹部21と第2収納凹部22、及び、第2収納凹部22と第3収納凹部23は、それぞれ上下に隣り合って並んでいるので、第1収納凹部21及び第2収納凹部22の下端縁から延設された各第2フランジ部32は、第2収納凹部22及び第3収納凹部23の上端縁から延設された各第4フランジ部34と兼用されている。
また、第1収納凹部21(最上方の収納凹部)の上端縁から延設された第4フランジ部34の上端縁、及び、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32の下端縁は、それぞれ、カバー部材4のフランジ部3の周縁を構成している。
【0027】
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32は、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部Cに相当する。
この下方対応フランジ部Cは、第3収納凹部23を挟んで、ミシン対応フランジ部Aである第4フランジ部34と向かい合って設けられている。
【0028】
本実施形態では、第1フランジ部31と第3フランジ部33は略平行に帯状に延び、第2フランジ部32と第4フランジ部34も略平行に帯状に延びている。また、本実施形態では、第1フランジ部31と第3フランジ部33は、第2フランジ部32と第4フランジ部34に対して略直交する方向に延びている。
【0029】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各幅は、特に限定されないが、それらが余りに短いと封止シート5を十分に貼付できないおそれがある。かかる観点から、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各幅は、2mm以上が好ましく、さらに、3mm以上がより好ましい。特に、ミシン対応フランジ部であって隣接する第4フランジ部34も兼用している第2フランジ部32は、3mm以上が好ましく、さらに、5mm以上が好ましい。
なお、第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の幅は、それらフランジ部が延びる方向に対して直交する方向における長さをいう。第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の延びる方向においてその幅が一定でない場合には、前記第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の幅は、最も小さい箇所の長さをいう。
【0030】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の各一方面(収納凹部2が突出した側の面とは反対側の面)は、封止シート5を貼付するための被貼付面である。
本実施形態においては、封止シート5の貼付面のうち、ミシン線6が形成された領域が、第1収納凹部21の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付される。同様に、ミシン線6が形成された領域が、第2収納凹部22の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付され、第3収納凹部23の第2フランジ部32及び第4フランジ部34の各被貼付面に貼付される。本実施形態では、これらの各収納凹部2の上下端縁から延設された第2フランジ部32及び第4フランジ部34が、ミシン対応フランジ部Aに相当する。
【0031】
各収納凹部2において、第1フランジ部31は、前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の一方側に位置しており、第3フランジ部33は、前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の他方側に位置している。本実施形態では、第1フランジ部31側から封止シート5の一部分が捲り取られるように、封止シート5をフランジ部3の被貼付面に貼付する。このため、第1フランジ部31が捲り対応フランジ部Bに相当する。
【0032】
第1乃至第4フランジ部31,32,33,34の被貼付面は、同じ性質及び表面形状の面から構成されていてもよい。
好ましくは、第1フランジ部31の被貼付面及び第3フランジ部33の被貼付面は、何れもカバー部材の形成材料からなる面であって平坦状の面とされ、ミシン対応フランジ部Aである第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面は、難付着性を有する面とされている。なお、本実施形態では、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32は、ミシン対応フランジ部ではなく、下方対応フランジ部Cであるが、この第2フランジ部32も難付着性を有する面とされている。
【0033】
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面を難付着性の面とする手段としては、例えば、(1)第2フランジ部32及び第4フランジ部34の表面に、ワックス、滑剤、シリコーンなどの易剥離剤を含むコーティング層を形成すること、(2)第2フランジ部32及び第4フランジ部34の表面の形状を凹凸状に形成すること(被貼付面を凹凸面とすること)、などが挙げられる。
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面が難付着性の面とされていることにより、後述する弱化層と協働して、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面に対する封止シート5の付着強度を所定の関係とすることができる。
【0034】
なお、下方対応フランジ部Cである第3収納凹部23から延設された第2フランジ部32に対しては、封止シート5の粘着層の粘着面が貼付される。
本実施形態では、第1フランジ部31の被貼付面及び第3フランジ部33の被貼付面は、何れも平坦状の面とされ、ミシン対応フランジ部Aである第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面は、凹凸面とされている。
図6に、凹凸面が形成された範囲を薄墨塗りで示し、図5に、凹凸面の詳細を断面で示している。
【0035】
凹凸面は、複数の微細な凸部及び凹部が規則的に又は無秩序に形成された面である。この凹凸面に公知の粘着テープを貼付したときには、その粘着テープの面と凹凸面の凹部との間に僅かな隙間を生じ得る。そのため、凹凸面は、平坦面状の面に比して一般的な粘着面が付着し難いという、難付着性を有する。
凹凸面の凹凸の程度は、例えば、凹凸面に公知の粘着テープを貼付したときに、その粘着テープの付着面積が20%〜80%であり、好ましくは30%〜70%である。
前記付着面積は、{(粘着テープの面積−粘着テープのうち凹凸面に付着していない面積)/粘着テープの面積}×100で求められる。
【0036】
前記第2フランジ部32及び第4フランジ部34の被貼付面の全体が凹凸面(つまり、難付着性の面)とされていてもよいが、封止シート5の不用意な剥離を防止するために、凹凸面は、第2フランジ部32及び第4フランジ部34のうち、第1フランジ部31及び第3フランジ部33と交差した各隅部を除いた範囲に形成されていることが好ましい。つまり、捲り対応フランジ部Bの被貼付面には、凹凸面が形成されておらず、捲り対応フランジ部Bの被貼付面は、難付着性の面よりも一般的な粘着面が付着し易い面(例えば、平坦状の面)であることが好ましい。
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)の下端縁から延設された第2フランジ部32についても、その両隅部を除いて、凹凸面が形成されている。
【0037】
凹凸面の形成方法は、特に限定されず、例えば、エンボス加工、微粒子の付着などが挙げられる。
微粒子の付着は、第2フランジ部32及び第4フランジ部34の一方面に、シリカや酸化チタンなどの無機微粒子を付着させて凹凸面を形成する方法である。
カバー部材4の成形加工時に凹凸面を形成できることから、エンボス加工が好ましい。
【0038】
上記カバー部材4の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂が挙げられる。カバー部材4は、収納された物品を透視するため、透明又は半透明であることが好ましいが、非透明な材質を用いてもよい。
カバー部材4は、射出成形法によって形成することもできるが、通常、シート成形法によって形成される。前記シート成形法に用いるシートとしては、合成樹脂製シート、複数の合成樹脂製シートが積層された積層シートなどが挙げられる。
カバー部材4の厚みは、0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。
【0039】
次に、封止シート5は、各収納凹部2の開口部を閉塞するために、フランジ部3の被貼付面に貼付されている。
各収納凹部2を覆う前記封止シート5は、その面内に形成されたミシン線6に従って分割可能である。
【0040】
封止シート5は、図7〜図9にも示すように、基材51と、前記基材51の一方面に積層された粘着層52と、前記粘着層52の一方面の一部分に積層された弱化層53と、前記粘着層52の一方面の他の部分に積層された隠蔽層54と、を有する層構造である。
なお、図7において、これらを分かりやすくするために、粘着層52の一方面が露出した範囲を網掛けで、弱化層53の一方面が露出した範囲を縦縞で、隠蔽層54の一方面が露出した範囲を薄墨塗りで、基材51の一方面が露出した範囲を無地で、それぞれ示している。
【0041】
前記粘着層52は、常温で粘着性を示す粘着剤からなる層である。
前記弱化層53は、粘着層52の一方面(基材に積層された面とは反対側の面)の粘着性を弱めるための層である。以下、粘着層52の一方面を粘着面という場合がある。
前記隠蔽層54は、粘着層52の粘着面の粘着性を実質的に隠蔽するための層である。
粘着面は、常温で粘着性を示し、フランジ部3の被貼付面に剥離可能に貼付でき且つ剥離後に再貼付可能なものである。
【0042】
基材51は、特に限定されず、合成紙、合成樹脂製フィルム、紙などの各種シート、これらの積層シート、及びこれらシートに金属蒸着層などの他の機能層が積層された積層シートなどを用いることができる。
好ましくは、基材51として、合成紙、合成樹脂製フィルム、又はこれらの積層シートが用いられる。
基材51の厚みは、特に限定されないが、0.05mm〜1.0mmであり、好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
【0043】
基材51の正面視形状は、特に限定されず、適宜な形状に形成できる。本実施形態では、封止シート5の周縁とカバー部材4のフランジ部3の周縁とが略一致するように、基材51は正面視略矩形状に形成されている。
封止シート5をカバー部材4のフランジ部3に貼付した際に、ミシン対応フランジ部Aに面する基材51の一領域であって、収納凹部2の端縁に重ならずにその端縁から間隔を有した位置に、ミシン線6が形成されている(ミシン線6の全体が、フランジ部3に面して形成されている)。
【0044】
本実施形態では、左右方向に延びるミシン線6が、上下に間隔を開けて3本形成されている。具体的には、基材51の、第1収納凹部21の第4フランジ部34に対応する領域、第1収納凹部21の第2フランジ部32(第2収納凹部22の第4フランジ部34)に対応する領域、及び、第2収納凹部22の第2フランジ部32(第3収納凹部23の第4フランジ部34)に対応する領域に、それぞれミシン線6が形成されている。
第3収納凹部23の第2フランジ部32の被貼付面に貼付される領域(封止シート5の下方領域)には、ミシン線6は形成されていない。
【0045】
各ミシン線6は、基材51(封止シート5)の一側縁から他側縁まで、前記ミシン対応フランジ部Aの延びる方向と略平行に形成されている。従って、各ミシン線6は、基材51の一側縁の延びる方向に対して略直交方向に延びている。かかるミシン線6が形成された封止シート5をカバー部材4に貼付した際には、ミシン線6は、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交して延びる。
【0046】
各ミシン線6は、基材51の厚み方向に貫通する貫通孔と基材51を貫通しない非貫通部が交互に配列された線である。前記貫通孔の正面視形状は、特に限定されず、円状、楕円状、三角形などの多角形状、直線状、略V字状、略Y字状などが挙げられる。図示例では、ミシン線6の各貫通孔は略Y字状とされている。
【0047】
前記粘着層52は、基材51の一方面の略全体に、常温で粘着性を示す粘着剤(感圧型粘着剤)を実質的にベタ状に塗工することによって形成できる。なお、実質的にベタ状とは、格子状、網目状、無数の点が集まった形状などを含む意味である。
ただし、本実施形態では、基材51の一側端部における上下方向の帯状領域には、粘着層52が形成されていない。この基材51(封止シート5)の一側端部は、各収納凹部2の捲り対応フランジ部Bの縁部に対応する部分である。
粘着層52の厚みは、3μm〜50μm程度であり、好ましくは10μm〜30μm程度である。
【0048】
前記粘着剤の形態としては、溶剤系、無溶剤系、水系、ホットメルト系(このホットメルト系とは、加熱して塗工した後に、常温で粘着性を示す形態の粘着剤を指す)、UV系などが挙げられる。
粘着層52の粘着面の剥離強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、さらに、5〜15N/25mmがより好ましい。
前記粘着面の剥離強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、粘着層52を形成した合成樹脂製フィルム(試験片)を100mm×25mmに形成し、これをポリエチレンテレフタレート製の被着体に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、その試験片が剥離したときの最大応力値をいう。
【0049】
前記弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める又は粘着面の粘着性を隠蔽するための層である。弱化層53の一方面(粘着面に積層された面とは反対側の面)は、粘着性を有するが、前記粘着面よりも剥離強度が弱くなっているか、又は、粘着性を示さない。以下、弱化層53の一方面を弱化面という場合がある。
好ましくは、弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層とされ、弱化面は、粘着性を有するが、前記粘着面よりも剥離強度が弱くなっている。
前記弱化層53が粘着面の粘着性を隠蔽する場合には、前記弱化面は、実質的に接着性を有さない。
前記弱化層53が粘着面の粘着性を弱める場合には、前記弱化面の剥離強度は、前記粘着面の剥離強度の0倍を超え0.8倍以下であることが好ましく、さらに、0.1倍〜0.75倍がより好ましく、0.3倍〜0.7倍が特に好ましい。
弱化層53の弱化面の剥離強度は、前記粘着面の剥離強度と同様にして測定できる。
【0050】
前記弱化層53は、粘着面のうち、封止シート5のミシン線近傍領域に積層されている。具体的には、粘着面のミシン線6を含む所定幅の帯状領域に、弱化層53が積層されている。換言すると、ミシン線6は、弱化層53が設けられた範囲に形成されている。この弱化層53の幅(本実施形態では、幅は、上下方向長さである。以下同じ)は、ミシン線6の幅を越え、且つミシン対応フランジ部Aの幅よりも短い。
なお、下方対応フランジ部Cの被貼付面に貼付される領域(封止シート5の下方領域)には、前記弱化層53は設けられておらず、粘着層の粘着面が露出している。
【0051】
封止シート5をカバー部材4のフランジ部3に貼付したときに、各収納凹部2の端縁と弱化層53の縁との間に粘着面が帯状に生じるように、弱化層53は、ミシン対応フランジ部Aの幅よりも短く形成されている。
弱化層53の幅は、ミシン対応フランジ部Aの幅などにもよるが、例えば、1mm〜7mm程度、好ましくは、2mm〜5mmである。
【0052】
弱化層53は、例えば、粘着層52の一方面にマスキング剤を塗布することによって形成されている。マスキング剤としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型インキなどを用いることができる。
マスキング剤の種類、塗布面積、及び塗布厚を適宜調整することにより、粘着性を有しつつ前記粘着面よりも剥離強度が弱い弱化面又は接着性を有さない弱化面を形成できる。
例えば、紫外線硬化型インキなどのマスキング剤を塗布する場合には、その塗布面積を20%〜100%とすることが好ましく、さらに、25%〜90%がより好ましく、30%〜70%が特に好ましく、その厚みは、0.2μm〜3.0μmが好ましい。弱化層53の形成面積や厚みをこのような範囲とすることにより、上記範囲の剥離強度を有する弱化面を形成できる。
【0053】
前記隠蔽層54は、粘着層52の一方面の粘着性を実質的に隠蔽するための層である。
従って、隠蔽層54の一方面は、カバー部材4や物品などに接着しない、非粘着面となっている。以下、隠蔽層54の一方面を非粘着面という場合がある。
隠蔽層54は、封止シート5をカバー部材4に貼付したときに、各収納凹部2の開口部に対応する領域に設けられている。本実施形態では、第1収納凹部21、第2収納凹部22及び第3収納凹部23の各周面壁の端縁で囲われる領域に対応して、3つの隠蔽層54が設けられている。
従って、封止シート5によって各収納凹部2の開口部を閉塞したときに、収納凹部2に収納された物品が封止シート5に接着することを防止できる。
【0054】
隠蔽層54(非粘着面)の縁と弱化層53(弱化面)の縁の間には、粘着面が帯状に露出している。
【0055】
隠蔽層54は、例えば、粘着層52の一方面に薄い合成樹脂製フィルムを貼付することによって形成されている。
薄い合成樹脂製フィルムを粘着面に貼付することにより、粘着剤が滲み出ることなく、隠蔽層54が設けられた領域を非粘着面とすることができる。
なお、隠蔽層54の形成方法として、上記マスキング剤を隠蔽層形成領域に肉厚状に塗布する方法を採用してもよい。例えば、上記マスキング剤を厚み5μm〜30μm程度に塗布することにより、その塗布部分において粘着面の粘着性を隠蔽した隠蔽層54を形成できる。
【0056】
なお、上記カバー部材4及び封止シート5の上方部には、それらを貫通する吊下げ用孔55が穿設されている。
【0057】
上記カバー部材4の各収納凹部2に所望の物品を入れ、カバー部材4のフランジ部3の被貼付面に、封止シート5を貼付することにより、本発明のブリスター包装体1が得られる。
本発明のブリスター包装体1は、各収納凹部2の開口部が封止シート5によって閉塞されている。なお、封止シート5の非粘着面が各収納凹部2の開口部に面しているので、収納された物品が封止シート5に接着することはない。
【0058】
封止シート5の弱化面は、凹凸面とされたミシン対応フランジ部Aに貼付されている。
封止シート5の粘着面は、捲り対応フランジ部Bを含むミシン対応フランジ部A以外のフランジ部3、及び、ミシン対応フランジ部Aの中の前記弱化面が貼付された部分を除いたミシン対応フランジ部Aに、貼付されている。
従って、凹凸面とされたミシン対応フランジ部Aに、封止シート5の弱化面と粘着面の双方が面して貼付されている。
なお、ミシン対応フランジ部A以外のフランジ部には、上記下方対応フランジ部Cが含まれる。
【0059】
凹凸面と弱化面との間の付着強度は、平坦面に弱化面を貼付したときの両面間の付着強度に比して小さくなる。
同様に、凹凸面と粘着面との間の付着強度は、平坦面に粘着面を貼付したときの両面間の付着強度に比して小さくなる。
【0060】
このため、本発明のブリスター包装体1は、封止シート5の前記ミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度が下記の関係式Xを満たしている。
関係式X:封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度。
好ましくは、下記の関係式Yを満たしている。
関係式Y:封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(1)という)>封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(2)という)>封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(以下、付着強度(3)という)。
これらの付着強度の差は、封止シート5を180度剥離したときの剥がし難さで判別できる。
なお、前記付着強度(2)には、封止シート5の下方領域と下方対応フランジ部Cの被貼付面との間の付着強度が含まれる。
【0061】
封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間の付着強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、さらに、5〜15N/25mmがより好ましい。
封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度は、1〜12N/25mmであることが好ましく、さらに、3〜9N/25mmがより好ましい。
【0062】
封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度は、0〜8N/25mmであることが好ましく、さらに、0.3〜5N/25mmがより好ましい。なお、前記付着強度が0とは、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面とが、非接着であることを意味する。
これらの付着強度は、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値をいう。具体的には、試験対象となる封止シート5(試験片)を100mm×25mmに形成し、これを試験対象のフランジ部3に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、その試験片が剥離したときの最大応力値をいう。なお、測定時に、幅25mmの試験片を準備できない場合には、出来るだけ幅25mmに近い試験片を用いて測定し、その結果を幅25mmに換算するものとする。
【0063】
本発明のブリスター包装体1は、封止シート5のシート捲り始端縁5aから封止シート5の一部分を引き剥がしていくことにより、収納凹部2の開口部を開放できる。
封止シート5の一側端部の帯状領域には粘着層52が設けられておらず、封止シート5の一側端部と各収納凹部2の捲り対応フランジ部B(第1フランジ部31)の縁部とは、非接着であるので、この封止シート5のシート捲り始端縁5aを簡単に摘んで封止シート5の一部分を引き剥がすことができる。
【0064】
封止シート5の一部分のシート捲り始端縁5a、例えば、第1収納凹部21に対応する封止シート5のシート捲り始端縁5aを摘んで引っ張ると、ミシン線6に沿って封止シート5が切れ始める。そして、このミシン線6で区画された、第1収納凹部21に対応する封止シート5の一部分の貼付面が捲り対応フランジ部B(第1フランジ部31)の被貼付面から剥離され、ミシン線6に沿った切り取りと同時に、封止シート5のミシン線近傍領域、及び、その領域以外の領域であって第1収納凹部21の端縁とミシン線近傍領域の縁との間の領域が、ミシン対応フランジ部Aから剥離される。
このようにして封止シート5の一部分を剥離することにより、収納凹部2を開封して物品を出入れできる。また、剥離した封止シート5の一部分を元のように、各フランジ部3に再貼付することにより、収納凹部2をしっかりと再封できる。
【0065】
なお、第3収納凹部23(最下方の収納凹部)を開放する際には、第2収納凹部22と第3収納凹部23の間に対応するミシン線6に沿って封止シート5の一部分が切り取られる。上述のように、第3収納凹部23の下端縁から延設された第2フランジ部32(下方対応フランジ部C)は難付着性の面とされているので、封止シート5の下方領域も下方対応フランジ部Cから比較的容易に剥離する。
【0066】
本発明のブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5と捲り対応フランジ部Bの被貼付面との間が最も強く付着している。このため、ブリスター包装体1の保管・運搬中に、封止シート5が不用意に剥がれることを防止でき、再封後には、封止シート5の一部分をしっかりと封止できる。
なお、封止シート5の下方領域と下方対応フランジ部Cとの関係においても、封止シート5の下方領域が不用意に剥がれることを防止でき、再封後には、封止シート5の下方領域をしっかりと封止できる。
特に、上記ブリスター包装体1は、捲り対応フランジ部Bである第1フランジ部31に対向する第3フランジ部33の被貼付面に対しても、封止シート5が同様に最も強く付着している。このため、封止シート5の不用意な剥離を確実に防止できる。
【0067】
さらに、上記ブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間が最も弱く付着している。このため、封止シート5の一部分の剥離に伴い、ミシン線近傍領域がミシン対応フランジ部Aから簡単に離反する。よって、ミシン線6から比較的逸れることなく、封止シート5の一部分をミシン線6に沿って容易に切り取ることができる。
【0068】
また、上記ブリスター包装体1は、付着強度(1)乃至付着強度(3)との関係において、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間が中間的な強さで付着している。このため、剥離した封止シート5の一部分を再びフランジ部3に貼付したときに、封止シート5が不用意に剥がれることを防止できる。
具体的には、封止シート5のミシン線近傍領域の、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面に対する付着強度を小さく又は付着強度を零にすれば、ミシン線6から比較的逸れないで封止シート5を容易に切り取ることができる。しかしながら、切り取った後の封止シート5の一部分を再びフランジ部3に貼付しても、封止シート5の一部分をミシン対応フランジ部Aに十分な付着強度で貼付できないおそれがある。
【0069】
この点、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(2)を、封止シート5のミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部Aの被貼付面との間の付着強度(3)よりも大きくすることにより、ミシン線6に沿って切り取り易い効果を有しつつ、剥離した封止シート5の一部分を再びフランジ部3に十分な付着強度で貼付できる。
【0070】
本発明のブリスター包装体は、上記実施形態に限られず、本発明の意図する範囲で適宜変更できる。以下、本発明のブリスター包装体の変形例を説明するが、上記実施形態と同様な構成及び効果については、その説明を省略し、用語及び符号をそのまま援用する場合がある。
【0071】
上記実施形態におけるブリスター包装体1は、封止シート5のミシン線6が、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交する方向に延びているが、例えば、図10に示すように、封止シート5のミシン線6が、捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して鈍角(又は鋭角)な方向に延びるように形成されていてもよい。なお、図10のミシン線6は、貫通孔が略Y字状でなく、直線状である。
この場合、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aも捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して鈍角(又は鋭角)な方向に延びるように形成されていてもよいし、上記実施形態のように、ミシン対応フランジ部Aが捲り対応フランジ部Bの延びる方向に対して略直交する方向に延びるように形成されていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態におけるブリスター包装体1は、収納凹部2が複数設けられたカバー部材4を有するが、図10に示すように、収納凹部2が1つ設けられたカバー部材4を用いてもよい。この場合、封止シート5のミシン線6は、上記実施形態と同様に、収納凹部2の端縁から間隔を置いた位置に形成される。
【0073】
上記実施形態における封止シート5は、基材51の一方面の略全体に粘着層52を積層し、このうち、各収納凹部2の開口部に対応する領域を非粘着面とするために、隠蔽層54が積層されているが、これに限定されない。例えば、基材51の一方面のうち、各収納凹部2の開口部に対応する領域を除いて、粘着層52を積層してもよい(図示せず)。この場合には、各収納凹部2の開口部に対応する領域に基材51の一方面が露出するので、上記隠蔽層54を設ける必要性はない。
【0074】
さらに、上記実施形態における封止シート5は、ミシン線近傍領域を弱化面とするために、粘着層52の上に弱化層53を積層しているが、これに限定されない。例えば、ミシン線近傍領域に上記粘着層52を積層せず、その代わりに、ミシン線近傍領域に、粘着層52を構成する粘着剤よりも粘着性の低い弱粘着剤を積層してもよい(図示せず)。もっとも、この場合には、通常の粘着剤及びそれよりも粘着性の低い弱粘着剤を、塗り分けしなければならず、その塗布作業が繁雑であるため、上記実施形態のように粘着層52に弱化層53を積層した構造が好ましい。
【0075】
また、上記実施形態におけるブリスター包装体1は、封止シート5のミシン対応フランジ部A及び捲り対応フランジ部Bの被貼付面に対する付着強度(1)、(2)及び(3)を上記の関係式Yとするために、封止シート5に粘着面及び弱化面を設け且つフランジ部3に凹凸面を形成しているが、本発明においては、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式X又は関係式Yを満たすことを条件として、上記実施形態に限定されない。
【0076】
例えば、カバー部材4のフランジ部3の被貼付面の全てを平坦状とし、次のような層構成の封止シート5を用いることにより、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1を構成することも可能である。
この変形例の付着シートは、図11に示すように、基材51と、前記基材51の一方面に積層された粘着層52と、前記粘着層52の一方面の一部分に積層された弱化層53と、前記弱化層53の一方面に積層された第2弱化層56と、を有する層構造である。
【0077】
この変形例に係る弱化層53は、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層であり、上記実施形態で示したような所定厚に塗布されたマスキング剤から形成できる。変形例に係る弱化層53は、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面の全体に対応して設けられる。
この変形例に係る第2弱化層56は、例えば、弱化層53の上にさらにマスキング剤を重ね塗りすることによって形成できる。この第2弱化層56は、ミシン線近傍領域に積層される。第2弱化層56が設けられた領域は、弱化層53によって被覆された領域の粘着性(弱化面の粘着性)よりも、粘着性が低い又は実質的に粘着性がなくなる。
この変形例のように、3種類の粘着性を有する領域が形成された封止シート5を用いた場合には、カバー部材4のフランジ部3(ミシン対応フランジ部Aを含んだフランジ部3)の被貼付面の全てを平坦状とした場合でも、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1が得られる。
【0078】
また、例えば、封止シート5に粘着層52のみを設け(弱化層53や第2弱化層56を積層しない。ただし、収納凹部2の開口部に対応した領域には、上述のように隠蔽層54を設けるか、又は、粘着層52を設けない)、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aに2種類の凹凸面を形成することにより、各付着強度(1)、(2)及び(3)が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1を構成することも可能である(図示せず)。
【0079】
このカバー部材4は、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面を凹凸面としている。ただし、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面を、封止シート5のミシン線近傍領域が貼付される部分と、封止シート5のミシン線近傍領域以外の領域が貼付される部分と、に分け、ミシン線近傍領域が貼付される部分の凹凸面を、ミシン線近傍領域以外の領域が貼付される部分の凹凸面よりも、さらに粗面化している(表面粗さを粗くしている)。
この変形例のように、2種類の凹凸面が形成されたミシン対応フランジ部Aを有するカバー部材4を用いた場合には、封止シート5の貼付面を粘着層52のみとした場合でも、各付着強度が上記関係式Yを満たすブリスター包装体1が得られる。
【0080】
また、本発明のブリスター包装体1は、付着強度(1)、(2)及び(3)が関係式Yの関係を満たしていることが好ましいが、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たしているものであればよい。
また、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1は、上記実施形態に限られず、様々な態様を適用できる。
【0081】
例えば、上記封止シート5に粘着層52のみを設け(弱化層53や第2弱化層56を積層しない。ただし、収納凹部2の開口部に対応した領域には、上述のように隠蔽層54を設けるか、又は、粘着層52を設けない)、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aのみを凹凸面に形成することにより、上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。また、封止シート5のミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層し、カバー部材4のミシン対応フランジ部Aを平坦面に形成することにより、上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。その他、本発明の意図する範囲の様々な構成によって上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
【0082】
さらに、上記実施形態では、ミシン対応フランジ部Aの被貼付面が難付着性を有する面とされているが、ミシン対応フランジ部Aが難付着性の面とされていなくてもよい。すなわち、ミシン対応フランジ部Aがカバー部材の形成材料からなる面であって平坦状の面とされていてもよい。
図12のカバー部材4は、下方対応フランジ部Cの被貼付面が難付着性の面とされ(但し、第1フランジ部31及び第3フランジ部33と交差した各隅部を除く)、それ以外のフランジ部の被貼付面が、難付着性の面とされていない。図12において、難付着性の面とされた範囲を薄墨塗りで示す。
かかるカバー部材4に、上記実施形態で例示した封止シート5(例えば、図7及び図8に示す封止シート)を同様に貼付することにより、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
【0083】
また、上記実施形態では、弱化層53は封止シート5のミシン線近傍領域に積層されているが、これに限定されず、例えば、図13に示すように、弱化層53がミシン対応フランジ部Aと同幅に設けられていてもよい。図13において、粘着層52の一方面が露出した範囲を網掛けで、弱化層53の一方面が露出した範囲を縦縞で、隠蔽層54の一方面が露出した範囲を薄墨塗りで、基材51の一方面が露出した範囲を無地で、それぞれ示している。
この場合の弱化層53は、粘着面の粘着性を隠蔽するような層ではなく、粘着層52の粘着面の粘着性を弱める層とされる。
かかる封止シート5を、上記実施形態で例示したカバー部材4(例えば、図6に示すカバー部材)に同様に貼付することにより、付着強度(1)及び(3)が上記関係式Xの関係を満たすブリスター包装体1が得られる。
また、かかる封止シート5を、図12に示すようなカバー部材4に貼付して本発明のブリスター包装体1を構成することも可能である。
【0084】
上記関係式X又は関係式Yの関係を満たすように、各付着強度(1)乃至(3)を設定する手段としては、封止シート5のミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層することが好ましい。粘着層52は比較的柔らかく、弱化層53は、これよりも硬い。このため、ミシン線近傍領域の粘着層52の上に弱化層53を積層することにより、ミシン線に沿って封止シート5を切り取った際に、粘着剤の糸引き現象を抑制でき、ミシン線に沿って封止シート5を切り取り易くなる。
【符号の説明】
【0085】
1…ブリスター包装体、2…収納凹部、3…フランジ部、4…カバー部材、5…封止シート、51…基材、52…粘着層、53…弱化層、54…隠蔽層、6…ミシン線、A…ミシン対応フランジ部、B…捲り対応フランジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納凹部と前記収納凹部の端縁から延設され且つ前記収納凹部の周囲に設けられたフランジ部とを有するカバー部材と、前記フランジ部の被貼付面に貼付され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有し、
前記封止シートの面内に、ミシン線が形成されており、
前記封止シートが、前記フランジ部の被貼付面に剥離可能で且つ再貼付可能に貼付されており、
前記フランジ部が、前記封止シートのうちミシン線が形成された領域が貼付されるミシン対応フランジ部と、前記ミシン対応フランジ部の一方側に位置し且つ前記封止シートのうちシート捲り始端縁を含む領域が貼付される捲り対応フランジ部と、を有し、
前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が下記の関係を満たしている、ブリスター包装体。
前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度。
【請求項2】
前記封止シートが、基材と、前記基材の一方面に積層され且つ常温で粘着性を示す粘着層と、前記粘着層の一方面に積層され且つ粘着層の粘着性を弱める弱化層と、を有し、
前記弱化層が前記封止シートのミシン線近傍領域に積層されている、請求項1に記載のブリスター包装体。
【請求項3】
前記ミシン対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされている、請求項2に記載のブリスター包装体。
【請求項4】
前記フランジ部が、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部を、さらに有し、
前記下方対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされ、前記下方対応フランジ部の被貼付面に貼付される封止シートの下方領域が粘着層の一方面が露出した粘着面とされている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブリスター包装体。
【請求項5】
前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が、前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度、の関係を満たしている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブリスター包装体。
【請求項1】
収納凹部と前記収納凹部の端縁から延設され且つ前記収納凹部の周囲に設けられたフランジ部とを有するカバー部材と、前記フランジ部の被貼付面に貼付され且つ前記収納凹部の開口側を閉塞する封止シートと、を有し、
前記封止シートの面内に、ミシン線が形成されており、
前記封止シートが、前記フランジ部の被貼付面に剥離可能で且つ再貼付可能に貼付されており、
前記フランジ部が、前記封止シートのうちミシン線が形成された領域が貼付されるミシン対応フランジ部と、前記ミシン対応フランジ部の一方側に位置し且つ前記封止シートのうちシート捲り始端縁を含む領域が貼付される捲り対応フランジ部と、を有し、
前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が下記の関係を満たしている、ブリスター包装体。
前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度。
【請求項2】
前記封止シートが、基材と、前記基材の一方面に積層され且つ常温で粘着性を示す粘着層と、前記粘着層の一方面に積層され且つ粘着層の粘着性を弱める弱化層と、を有し、
前記弱化層が前記封止シートのミシン線近傍領域に積層されている、請求項1に記載のブリスター包装体。
【請求項3】
前記ミシン対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされている、請求項2に記載のブリスター包装体。
【請求項4】
前記フランジ部が、封止シートの下方領域が貼付される下方対応フランジ部を、さらに有し、
前記下方対応フランジ部の被貼付面が難付着性の面とされ、前記下方対応フランジ部の被貼付面に貼付される封止シートの下方領域が粘着層の一方面が露出した粘着面とされている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のブリスター包装体。
【請求項5】
前記封止シートの前記ミシン対応フランジ部及び捲り対応フランジ部の被貼付面に対する付着強度が、前記封止シートと前記捲り対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域以外の領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度>前記封止シートのミシン線近傍領域とミシン対応フランジ部の被貼付面との間の付着強度、の関係を満たしている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のブリスター包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−67406(P2013−67406A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207265(P2011−207265)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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