説明

ブレーキランプスイッチ

【課題】操作状態の検出のばらつきを抑えることができるブレーキランプスイッチを提供する。
【解決手段】実施の形態に係るブレーキランプスイッチ3は、ブレーキ操作に伴うブレーキペダル20の第1の操作位置において、ブレーキ信号を出力する第1のセンサ34と、ブレーキペダル20の初期位置を基点とし、第1の操作位置よりも離れた第2の操作位置において、クルーズキャンセル信号を出力する第2のセンサ35と、を備える。ブレーキランプスイッチ3は、非接触で移動部材31の位置を検出する第1のセンサ34および第2のセンサ35がオフセットして配置され、この2つのセンサの出力から算出された操作速度に基づいて操作状態を判定することができるので、踏み込む力に基づいて操作状態が判定される場合と比べて、踏み込む力の個人差に起因する、操作状態の検出のばらつきを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキランプスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、ブレーキペダルに対する踏込み状態を検出する踏力検出装置を備えたブレーキ装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この踏力検出装置は、ブレーキペダルを踏み込む力(踏力)の大きさに応じた量で変位する変位部材と、この変位部材によりスイッチング制御される2接点式の踏力スイッチとを備えている。この構成においては、所定の第1踏力以上の踏力でブレーキペダルが踏まれた場合と、第1踏力よりも大きな所定の第2踏力以上の踏力でブレーキペダルが踏まれた場合とを検出することができ、その検出結果から踏み込み状態を精度よく検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−168532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来のブレーキ装置の場合、通常操作や緊急操作といった操作状態の検出は、ブレーキペダルを踏み込む力の大きさに依存するが、この踏み込み力に個人差があることから、操作状態の検出にばらつきが生じる問題があった。
【0006】
従って、本発明の目的は、操作状態の検出のばらつきを抑えることができるブレーキランプスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ブレーキ操作に伴うブレーキペダルの第1の操作位置において、第1の信号を出力する第1のセンサと、ブレーキペダルの初期位置を基点とし、第1の操作位置よりも離れた第2の操作位置において、第2の信号を出力する第2のセンサと、を備えたブレーキランプスイッチを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作状態の検出のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態に係るブレーキランプスイッチを備えたブレーキ装置が搭載された車両の車両システムのブロック図である。
【図2】図2(a)は、実施の形態に係るブレーキランプスイッチの要部断面図であり、(b)は、ブレーキランプスイッチのブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態に係る第1のセンサと第2のセンサから出力される信号の切り替わりについて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るブレーキランプスイッチは、ブレーキ操作に伴うブレーキペダルの第1の操作位置において、第1の信号を出力する第1のセンサと、ブレーキペダルの初期位置を基点とし、第1の操作位置よりも離れた第2の操作位置において、第2の信号を出力する第2のセンサと、を備える。
【0011】
[実施の形態]
(車両システム1の構成)
図1は、実施の形態に係るブレーキランプスイッチを備えたブレーキ装置が搭載された車両の車両システムのブロック図である。この車両システム1は、主に、ブレーキ操作に伴うブレーキペダル20の第1の操作位置において出力された、第1の信号に基づいてブレーキランプ70を点灯させたり、ブレーキペダル20の初期位置を基点とし、第1の操作位置よりも離れた第2の操作位置において出力された、第2の信号に基づいてクルーズコントロール機能を停止させたりするものである。
【0012】
車両システム1は、例えば、ブレーキ装置2と、イグニッションスイッチ4と、クルーズコントロールスイッチ5と、バッテリ6と、ブレーキランプ部7と、駆動部8と、クルーズ制御部9と、車速センサ9aと、車両ECU(Electric control unit)10と、を備えて概略構成されている。
【0013】
ブレーキ装置2は、例えば、乗員の足により操作される、車両に搭載されたフットブレーキである。ブレーキ装置2は、例えば、乗員の足により操作されるブレーキペダル20と、操作によるブレーキペダル20の移動距離に応じた信号を出力するブレーキランプスイッチ3と、を備えて概略構成されている。このブレーキペダル20は、例えば、一方端部が車両に回転可能に支持され、他方端部が乗員の方向に屈曲し、この他方端部には、足を乗せるプレートが設けられている。ブレーキランプスイッチ3については、後述する。
【0014】
イグニッションスイッチ4は、例えば、鍵をシリンダに差し込んで回転させることにより、OFF(電源をオフする操作位置)、ACC(一部の電子機器が使える操作位置)、ON(全ての電子機器が使える操作位置)、START(エンジンを始動させる操作位置)等の操作位置に応じたイグニッション信号を出力するものである。
【0015】
クルーズコントロールスイッチ5は、例えば、車両に搭載されたクルーズコントロール機能をON状態またはOFF状態にするスイッチである。このクルーズコントロール機能とは、例えば、アクセルペダルを操作することなく、車両を予め設定された速度に保つように駆動部8を制御する機能である。
【0016】
バッテリ6は、車両の電子機器等に電力を供給するものである。車両システム1は、例えば、イグニッションスイッチ4がOFF状態にあるとき以外の操作位置に操作されている間、バッテリ6から供給される電力により動作を行う。なお、車両システム1は、イグニッションスイッチ4の操作位置に関わらず、ブレーキ装置2が操作されたときは、ブレーキランプ70を点灯するように構成されている。
【0017】
ブレーキランプ部7は、例えば、ブレーキ装置2の操作に応じて車両の前後に配置されたブレーキランプ70を点灯または消灯させるように構成されている。
【0018】
駆動部8は、例えば、駆動力を発生するエンジンと、エンジンの駆動力を所定の比率に変換して車輪に伝達する変速機等を含んで構成されている。駆動部8は、例えば、車両ECU10およびクルーズ制御部9により制御される。
【0019】
クルーズ制御部9は、例えば、クルーズコントロール機能を実施するため、駆動部8を制御するように構成されている。このクルーズ制御部9は、例えば、クルーズコントロールスイッチ5が操作されることにより出力されるクルーズ信号に基づいて、予め定められた速度を維持するように駆動部8を制御する駆動信号を出力する。
【0020】
車速センサ9aは、例えば、車両の速度を検出し、速度に応じた車速情報を車両ECU10に出力するように構成されている。
【0021】
車両ECU10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)100、RAM(Random Access Memory)101およびROM(Read Only Memory)102等を含んで構成されている。CPU100は、例えば、ROM102に格納されたプログラムを読出し、これを実行することにより所定の処理を行う半導体素子である。RAM101は、例えば、CPU100により行われる所定の処理において、一時的に演算結果等を格納する半導体素子である。ROM102は、例えば、CPU100によって実行されるプログラム等が格納された半導体素子である。
【0022】
(ブレーキランプスイッチ3の構成)
図2(a)は、実施の形態に係るブレーキランプスイッチの要部断面図であり、(b)は、ブレーキランプスイッチのブロック図である。図3は、実施の形態に係る第1のセンサと第2のセンサから出力される信号の切り替わりについて示した図である。なお、図2(a)は、例えば、ブレーキランプスイッチ3の移動部材31が本体30側に押し込まれている状態、すなわち、ブレーキペダル20が操作される前の移動部材31の初期位置を示している。
【0023】
このブレーキランプスイッチ3は、例えば、移動部材31の先端部311がブレーキペダル20に接触するように、車両に取り付けられている。また、ブレーキランプスイッチ3は、例えば、乗員の操作による、ブレーキペダル20の移動に伴ってブレーキランプスイッチ3の移動部材31が、図2(a)に示す紙面の右側から左側、すなわち、矢印A方向に移動し、ブレーキランプ70を点灯させるように構成されている。さらに、ブレーキランプスイッチ3は、例えば、ブレーキペダル20から矢印A方向の反対方向の力が付加されている。
【0024】
ブレーキランプスイッチ3は、例えば、図2(a)に示すように、箱形状を有する本体30と、本体30に対して移動可能に設けられた移動部材31と、移動部材31に設けられた磁場発生部材としての磁石32と、移動部材31に弾性力を付加する弾性部材33と、本体30内に設けられた第1のセンサ34および第2のセンサ35と、コネクタ部36と、を備えて概略構成されている。
【0025】
本体30は、例えば、一方端部に円筒部301、他方端部にコネクタ部36が形成されている。また、本体30は、例えば、移動部材31の移動方向(矢印A方向)に直交する面を形成する仕切部302を本体30内に有し、本体30の内とコネクタ部36とを仕切っている。
【0026】
円筒部301は、例えば、貫通孔を有し、その貫通孔には、移動部材31のロッド310が挿入され、円筒部301の先端からロッド310の先端部311が突出している。このロッド310は、ブレーキペダル20と接触しており、ブレーキペダル20の操作位置に応じて移動する。
【0027】
移動部材31は、例えば、円筒部301の貫通孔の形状に応じた形状を有する上記のロッド310と、ロッド310の端部に形成されたストッパ312と、を備えて概略構成されている。
【0028】
ストッパ312は、例えば、移動の際に第1のセンサ34および第2のセンサ35に接触せず、また、円筒部301の貫通孔よりも大きくなるような形状を備えている。このストッパ312のロッド310が形成された面の反対側の面には、例えば、磁石32が取り付けられている。また、この反対側の面と仕切部302の間には、例えば、弾性部材33が設けられている。従って、移動部材31は、例えば、図2(a)の紙面の右側から左側方向(矢印A方向)の弾性部材33による弾性力を受けている。つまり、乗員がブレーキ操作を行ったとき、ブレーキペダル20の移動に伴って、移動部材31が、弾性部材33の弾性力によって矢印A方向に移動する。また、乗員がブレーキ操作を終了した後、矢印A方向とは反対方向のブレーキペダル20の移動に伴って、移動部材31は、図2(a)に示す初期位置に復帰するように構成されている。
【0029】
磁石32は、例えば、フェライト、ネオジム等の永久磁石である。なお、磁石32は、電磁石であっても良い。また、弾性部材33は、例えば、コイルばねである。
【0030】
第1のセンサ34および第2のセンサ35は、例えば、磁石32により生じる磁場の変化を信号として出力する磁気センサである。つまり、ブレーキランプスイッチ3は、ブレーキペダル20と共に移動する移動部材31の移動を、非接触で検出することが可能である。この磁気センサとしては、例えば、磁気抵抗センサ(MagneticResistance Sensor)、ホールセンサ等が用いられる。本実施の形態に係る第1のセンサ34および第2のセンサ35は、MRセンサを用いるものとする。なお、第1のセンサ34および第2のセンサ35は、磁気センサに限定されず、光センサや機械式スイッチ等の所定の操作位置においてON状態およびOFF状態が切り替わるものであれば良い。
【0031】
第1のセンサ34および第2のセンサ35は、例えば、本体30内に設けられた基板37上に設けられている。
【0032】
第1のセンサ34および第2のセンサ35は、図2(a)に示すように、ブレーキペダル20、移動部材31を介して磁石32が移動する方向にオフセットされて配置される。
【0033】
第1のセンサ34は、例えば、第2のセンサ35よりも、ブレーキペダル20が操作されていない初期位置に位置する磁石32に近く配置され、移動部材31に取り付けられた磁石32の移動距離Lに対応する第1のセンサ34の中央直上から、図2(a)の紙面左側に磁石32が位置するとき、ブレーキランプ70を点灯させるためのブレーキ信号を出力するように構成されている。従って第1のセンサ34は、図3に示すように、磁石32の初期位置から移動距離Lの操作位置においてブレーキランプ70をOFF状態からON状態とするブレーキ信号を出力する。つまり、第1のセンサ34は、例えば、ブレーキランプ70を点灯させる際には、ブレーキ信号としてHi(第1の信号)を出力し、ブレーキランプ70を消灯させる際には、ブレーキ信号としてLoを出力するように構成されている。ここで、図3に示すブレーキ信号のOFFとは、ブレーキランプ70をOFF状態にするLoのブレーキ信号が出力されていることを示し、ONとは、ブレーキランプ70をON状態にするHiのブレーキ信号が出力されていることを示している。
【0034】
なお、移動距離Lは、ブレーキペダル20が、ブレーキランプ70を点灯させるために必要な第1の操作位置に操作されたとき、磁石32が初期位置から移動した距離(図3に示す磁石位置)を示している。また、後述する移動距離Lは、ブレーキペダル20が、クルーズコントロール機能を停止させるために必要な第2の操作位置に操作されたとき、磁石32が初期位置から移動した距離を示している。
【0035】
このブレーキ信号の切り替わりは、イグニッションスイッチ4がOFFであっても有効である。なぜなら、車両は、安全性の点から、イグニッションスイッチ4のON状態、OFF状態に関わらずブレーキ装置2が操作されたときは、ブレーキランプ70が点灯するように構成されているからである。
【0036】
第2のセンサ35は、例えば、移動距離Lに対応する第2のセンサ35の中央直上から、図2(a)の紙面左側に磁石32が位置するとき、クルーズコントロール機能を停止させるためのクルーズキャンセル信号(Lo)を出力するように構成されている。この移動距離Lは、移動距離Lよりも磁石32の初期位置から離れている。
【0037】
ここで、図3に示すクルーズキャンセル信号のONとは、クルーズコントロール機能がON状態であることを許容するHiのクルーズキャンセル信号が出力されていることを示し、OFFとは、クルーズコントロール機能をOFF状態にするLoのクルーズキャンセル信号が出力されていることを示している。また、イグニッションスイッチ4がOFFであるとき(図3においてIG=OFFで示す)、第2のセンサ35は、磁石32の位置に関わらずLoを出力するように構成されている。
【0038】
なお、クルーズコントロール機能がOFF状態であるとき、第2のセンサ35は、HiおよびLoのクルーズキャンセル信号を出力するが、この信号により、OFF状態にあるクルーズコントロール機能がON状態となることはない。
【0039】
また、図2(a)に示す一点鎖線は、移動部材31の移動方向と直交し、かつ、第1のセンサ34および第2のセンサ35のそれぞれ中心を通る直線を示している。第1のセンサ34および第2のセンサ35の移動部材31の移動方向のオフセット量は、ΔLで表すことができる。さらに、第1のセンサ34および第2のセンサ35は、例えば、ロッド310の中心線から等しい距離離れて配置される。
【0040】
第1のセンサ34および第2のセンサ35は、例えば、基板37を介してコネクタ部36の端子360に電気的に接続されている。第1のセンサ34および第2のセンサ35から出力されるブレーキ信号およびクルーズキャンセル信号は、このコネクタ部36を介して車両ECU10に出力される。
【0041】
基板37には、例えば、図2(b)に示すクロック370、および算出部としてのカウンタ371が配置されている。クロック370は、例えば、カウンタ371に所定の時間間隔でクロック信号を供給するように構成されている。
【0042】
カウンタ371には、例えば、第1のセンサ34から出力されたブレーキ信号、および第2のセンサ35から出力されたクルーズキャンセル信号が入力するように構成されている。また、カウンタ371は、例えば、しきい値371aを備えている。
【0043】
カウンタ371は、例えば、第1の信号および第2の信号の出力が開始された時間の差を算出するように構成されている。具体的には、カウンタ371は、例えば、クロック信号に基づいて第1のセンサ34から出力されたブレーキ信号がLoからHi(第1の信号)に切り替わる時点から、第2のセンサ35から出力されたクルーズキャンセル信号がHiからLo(第2の信号)に切り替わる時点までの経過時間を測定して操作速度を算出する。具体的には、カウンタ371は、第1のセンサ34のLoとHiの切り替わり位置と、第2のセンサ35のHiとLoの切り替わり位置と、の差(ΔL=L−L)と、経過時間と、に基づいてブレーキペダル20の操作速度を算出する。
【0044】
また、カウンタ371は、例えば、算出した操作速度と、予め定められたしきい値371aと、を比較した比較結果を操作速度信号として出力するように構成されている。カウンタ371は、例えば、操作速度がしきい値371aよりも大きいとき、Hiを示す操作速度信号を出力し、小さいとき、Loを示す操作速度信号を出力する。つまり、Hiを示す操作速度信号は、例えば、緊急操作が行われたことを示し、Loを示す操作速度信号は、例えば、通常操作が行われたことを示している。従って、車両ECU10は、例えば、Hiを示す操作速度信号が入力すると、短い距離で安全に停止するためのブレーキアシスト機能等の衝突回避動作を実施する。
【0045】
なお、カウンタ371は、しきい値371aを持たずに、カウンタ値を出力する構成でも良い。この構成では、車両ECU10がカウンタ値に基づいて操作状態を判定する。つまり、車両ECU10は、例えば、カウンタ値が予め定められたしきい値よりも少なければ、緊急操作が行われたと判定し、カウンタ値がしきい値以上であれば、通常操作が行われたと判定する。
【0046】
また、カウンタ371は、操作速度を算出せずに、経過時間としきい値を比較することにより、HiおよびLoを判定する構成でも良い。つまり、カウンタ371は、例えば、経過時間がしきい値よりも短い時間であるとき、Hiを示す操作速度信号を出力し、経過時間がしきい値以上の時間であるとき、Loを示す操作速度信号を出力するように構成されても良い。
【0047】
以下に、本実施の形態に係るブレーキ装置の動作について各図を参照しながら説明する。主に、ブレーキランプスイッチ3の動作について説明する。
【0048】
(クルーズコントロール機能がOFF状態であるときについて)
乗員によるブレーキペダル20の操作が行われていないとき、または、ブレーキペダル20を介した磁石32の移動距離がL未満であるとき、第1のセンサ34は、Loとなるブレーキ信号を出力し、第2のセンサ35は、Hiとなるクルーズキャンセル信号を出力する。
【0049】
乗員により、ブレーキペダル20が押し込まれると、磁石32の移動距離がLとなる時点において、第1のセンサ34は、ブレーキ信号をLoからHiに切り替える。
【0050】
車両ECU10は、ブレーキ信号のLoからHiの切り替わりに基づいてランプ制御信号をブレーキランプ部7に出力し、ブレーキランプ部7は、入力したランプ制御信号に基づいてブレーキランプ70を点灯させる。
【0051】
続いて、乗員により、ブレーキペダル20が、さらに押し込まれると、ブレーキペダル20を介した磁石32の移動距離がLとなる時点において、第2のセンサ35は、クルーズキャンセル信号をHiからLoに切り替える。このとき、第1のセンサは、Hiとなるブレーキ信号を継続して出力している。
【0052】
カウンタ371は、切り替わり位置の差ΔLおよび経過時間に基づいて操作速度を算出し、算出した操作速度およびしきい値371aに基づいた操作速度信号を出力する。
【0053】
車両ECU10は、クルーズコントロール機能がOFF状態であることから、クルーズキャンセル信号がHiからLoに切り替わってもクルーズコントロール機能のOFF状態を保持する。また、車両ECU10は、例えば、取得した操作速度信号が緊急操作を示すとき、ブレーキアシスト機能等の衝突回避動作を実施する。
【0054】
次に、乗員によるブレーキペダル20の押し込みが解除されると、まず、磁石32の磁石位置がLとなる時点において、クルーズキャンセル信号がLoからHiに切り替わり、続いて、磁石位置がLとなる時点において、ブレーキ信号がHiからLoに切り替わる。
【0055】
車両ECU10は、ブレーキ信号がLoからHiに切り替わった時点で、ランプ制御信号をHiからLoに切り替え、このランプ制御信号(Lo)が入力したブレーキランプ部7は、ブレーキランプ70を消灯させる。
【0056】
(クルーズコントロール機能がON状態であるときについて)
乗員によるブレーキペダル20の操作が行われていないとき、または、ブレーキペダル20を介した磁石32の移動距離がL未満であるとき、第1のセンサ34は、Loとなるブレーキ信号を出力し、第2のセンサ35は、Hiとなるクルーズキャンセル信号を出力する。
【0057】
乗員により、ブレーキペダル20が押し込まれると、磁石32の移動距離がLとなる時点において、第1のセンサ34は、ブレーキ信号をLoからHiに切り替える。
【0058】
車両ECU10は、ブレーキランプスイッチ3から入力したブレーキ信号(Hi)に基づいてランプ制御信号をブレーキランプ部7に出力し、ブレーキランプ部7は、入力したランプ制御信号に基づいてブレーキランプ70を点灯させる。
【0059】
続いて、乗員により、ブレーキペダル20が、さらに押し込まれると、磁石32の移動距離がLとなる時点において、第2のセンサ35は、クルーズキャンセル信号をHiからLoに切り替える。
【0060】
カウンタ371は、切り替わり位置の差ΔLおよび経過時間に基づいて操作速度を算出し、算出した操作速度およびしきい値371aに基づいた操作速度信号を出力する。
【0061】
車両ECU10は、クルーズコントロール機能がON状態であることから、ブレーキランプスイッチ3から入力したクルーズキャンセル信号(Lo)に基づいてクルーズコントロール機能をOFF状態とするクルーズ信号を生成し、クルーズ制御部9は、このクルーズ信号に基づいてクルーズコントロール機能を停止するために駆動部8の制御を停止する。また、車両ECU10は、例えば、取得した操作速度信号が緊急操作を示すとき、ブレーキアシスト機能等の衝突回避動作を実施する。
【0062】
次に、乗員によるブレーキペダル20の押し込みが解除されると、まず、磁石32の磁石位置がLとなる時点において、クルーズキャンセル信号がLoからHiに切り替わり、磁石位置がLとなる時点において、ブレーキ信号がHiからLoに切り替わる。
【0063】
車両ECU10は、ブレーキ信号がLoからHiに切り替わった時点で、ランプ制御信号を切り替え、このランプ制御信号が入力したブレーキランプ部7は、ブレーキランプ70を消灯させる。この際、クルーズコントロール機能は、OFF状態のままとなる。
【0064】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るブレーキランプスイッチ3は、非接触で移動部材31の位置を検出する第1のセンサ34および第2のセンサ35がオフセットして配置され、この2つのセンサの出力から算出された操作速度に基づいて操作状態を判定することができるので、踏み込む力に基づいて操作状態が判定される場合と比べて、踏み込む力の個人差に起因する、操作状態の検出のばらつきを抑えることができる。
【0065】
また、本実施の形態に係るブレーキランプスイッチ3によれば、2つの異なる操作位置に応じて、ブレーキ信号およびクルーズキャンセル信号を出力するので、例えば、クルーズコントロール機能がON状態にあって、ブレーキペダル20が操作されたとき、ブレーキペダル20を押し込む力を検出してクルーズコントロール機能を解除する場合と比べて、操作者によらずに精度良くクルーズコントロール機能の解除を行うことができる。
【0066】
さらに、本実施の形態に係るブレーキランプスイッチ3は、ブレーキペダル20の操作速度に基づいて操作状態を示す操作速度信号を出力することができるので、車両ECU10においてブレーキペダル20の操作状態に応じた車両の制御を行うことができる。
【0067】
またさらに、本実施の形態に係るブレーキランプスイッチ3によれば、例えば、ブレーキ信号、クルーズキャンセル信号、および操作速度信号を出力するので、ブレーキ信号のみを出力する場合に比べて、車両ECU10側での処理が少なくなり、また、異なる車両の車両ECUごとにソフトウェアを設計する必要がなくなり、車両の開発に必要な工程数が減少して車両の製造コストが減少する。
【0068】
なお、本実施の形態に係るブレーキ装置2は、ブレーキペダル20が操作されると、移動部材31が本体30から突出する構成であったがこれに限定されず、ブレーキランプスイッチ3の取付位置を変えて、ブレーキペダル20が操作されると、移動部材31が本体30内に移動する構成としても良い。
【0069】
以上、本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1…車両システム、2…ブレーキ装置、3…ブレーキランプスイッチ、4…イグニッションスイッチ、5…クルーズコントロールスイッチ、6…バッテリ、7…ブレーキランプ部、8…駆動部、9…クルーズ制御部、9a…車速センサ、10…車両ECU、20…ブレーキペダル、30…本体、31…移動部材、32…磁石、33…弾性部材、34…第1のセンサ、35…第2のセンサ、36…コネクタ部、37…基板、70…ブレーキランプ、100…CPU、101…RAM、102…ROM、301…円筒部、302…仕切部、310…ロッド、311…先端部、312…ストッパ、360…端子、370…クロック、371…カウンタ、371a…しきい値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキ操作に伴うブレーキペダルの第1の操作位置において、第1の信号を出力する第1のセンサと、
前記ブレーキペダルの初期位置を基点とし、前記第1の操作位置よりも離れた第2の操作位置において、第2の信号を出力する第2のセンサと、
を備えたブレーキランプスイッチ。
【請求項2】
前記第1の信号および前記第2の信号の出力が開始された時間の差を算出する算出部を備えた請求項1に記載のブレーキランプスイッチ。
【請求項3】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサが前記移動部材の移動方向にオフセットして配置された本体と、
前記ブレーキペダルの移動に応じて前記本体に対して移動する移動部材と、
前記移動部材に設けられた磁場発生部材と、
を備えた請求項2に記載のブレーキランプスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−14248(P2013−14248A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149072(P2011−149072)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)