説明

ブーツ着用補助具及びそれが取り付けられた提げ紐

【課題】ロングブーツのスライドファスナを容易に閉めることができるようにする。
【解決手段】ロングブーツ100のスライドファスナ200を閉める際、スライダ220の引手222の孔部223にブーツ着用補助具(以下、補助具と称する)1を取り付ける。補助具1は、着用者の指を貫入させて引っ掛け可能な引張部2と、引張部2の支持部2bと共に輪形状を成すように引張部2と一体に形成された第1腕部3a及び第2腕部3bを有する引掛部3とを有している。引手222の孔部223に第1腕部3aを貫入させて引手222に引掛部3を引っ掛け、引張部2に引っ掛けた指により引張部2に上方への力を加えることにより、引手222にスライダ220をスライドさせる力を加えることができる。引手222が小さくても、容易にスライドファスナ200を閉めてロングブーツ100を着用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引手に孔部が設けられているスライドファスナ付きのロングブーツを着用する際に利用可能なブーツ着用補助具及びそれが取り付けられた提げ紐に関する。
【背景技術】
【0002】
脚部にスライドファスナ(以下、ファスナと称する)が設けられたロングブーツ(以下、ブーツと称する)は、ファスナを開状態として足をブーツ内に納めた後、足もとにあるファスナの引手を上方に引っ張りスライダをスライドさせることによりファスナを閉状態にし、容易に着用することができる。このようなブーツにおいて、ファスナは、ブーツのデザイン上の都合等から、外部から目立たないようにして配置され、スライダの引手も小さめとされていることが多い。
【0003】
ところで、ブーツの着用者は、足もとにあるファスナの引手を引っ張ってブーツを着用しなければならないため、ブーツを着用しにくいという問題がある。特に、引手が小さい場合、ユーザ(着用者)の爪が長い場合、また、着用者がいわゆるスカルプチュアやつけ爪を施している場合等には、着用者は、引手をしっかりと摘むことができず、スライダをスライドさせる力を加えにくい。このようなブーツのファスナについての問題は、例えば、着用者の体型や、浮腫等の発生により、着用者の脛部の周囲長が、ブーツ内部の脛部の周囲長と同じである場合やそれより長い場合に特に顕著である。着用者の脛部の周囲長が大きい場合には、ファスナを閉めるためにスライダの引手を引っ張る力を通常よりもより強くする必要があり、ファスナを完全に閉めることができなかったり、着用者の爪に負担がかかってしまったりする。
【0004】
ここで、特許文献1には、スライダの引手に、テープ部と拡幅部とを有し引手に着脱可能な引手延長具を取付け、引手を掴み易くすることが開示されている。しかしながら、この引手延長具は、専ら引手に取り付けたままにして用いられるものであり、特に着用状態の外観が重視されるブーツに取り付けるものとしてはふさわしくない場合がある。また、引手延長具を、ファスナを閉めるときのみに引手に着脱するのは非常に手間がかかる。
【特許文献1】特開2003‐9914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、容易にロングブーツのスライドファスナを閉めることができるようにし、ロングブーツを容易に着用できるようにするブーツ着用補助具及びそれが取り付けられた提げ紐を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、スライダの引手に孔部が設けられているスライドファスナが脚部に配されたロングブーツを着用する際に使用可能なブーツ着用補助具であって、前記孔部に貫入可能な引掛部と、ユーザにより力が加えられる引張部とを有し、前記引掛部を前記孔部に貫入させ、前記引手に引っ掛けた状態で、前記引張部に力を加えることにより、ユーザが、当該ブーツ着用補助具を介して引手を引っ張り、前記スライダをスライドさせることができるように構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記引張部は、略輪形状に形成されているものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記引張部は、ユーザが指を引っ掛け可能に形成されているものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の発明において、前記引掛部は、前記引張部とそれぞれ一体に形成された第1腕部及び第2腕部を有しており、前記第1腕部及び第2腕部は、それぞれの先端近傍部が互いに近接し、前記引張部の一部と共に略輪形状を成すように構成されているものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記引張部は、全体として略同一平面上に位置するように形成されており、前記引掛部は、その先端部が前記引張部が位置する平面から離れた位置に突出するように、前記引張部と一体に、前記引張部から延設されて形成されているものである。
【0011】
請求項6の発明は、携帯機器に結着して用いられる提げ紐であって、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブーツ着用補助具がその一部に取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、ユーザは、ブーツ着用補助具を引手に引っ掛けて、ブーツ着用補助具を介して引手を引っ張ることができるので、引手が小型であっても、スライダをスライドさせる力を容易に加えることができ、また、ユーザの爪に負担が掛かることもない。従って、素手で引手を掴んだ場合にはロングブーツのスライドファスナを閉めにくい場合であっても、ブーツ着用補助具を用いて容易にスライドファスナを閉めることができるようになり、ロングブーツを容易に着用することができる。ブーツ着用補助具は、ロングブーツを着用した後には引手から容易に抜脱することができるので、着用状態のロングブーツの外観には何ら影響を及ぼすことがない。ブーツ着用補助具は、小型に形成可能であるので、容易に携帯することが可能であり、ロングブーツを着用する際にはどこでも便利に使用することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、引張部の輪形状の部分に、例えば紐等を結着し、それを用いて引張部に力を加えることができるので、より容易にスライドファスナのスライダをスライドさせる力を加えることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、ユーザが引張部に指を引っ掛けて引張部に力を加えることができるので、ブーツ着用補助具を用いてさらに容易にスライドファスナを閉めることができ、ロングブーツをさらに容易に着用することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、引手の孔部に第1腕部又は第2腕部を貫入させることにより、引掛部の略輪形状を引手の孔部に貫通させた状態で、ブーツ着用補助具を引手に引っ掛けることができる。従って、ブーツ着用時に、ブーツ着用補助具を引手に引っ掛けたままで保持することができるので、さらに容易に用いることができる。引張部と引掛部とは一体に形成されているので、ブーツ着用補助具の製造コストを低減することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、引掛部を引手の孔部に容易に貫入させることができるので、ブーツ着用補助具を引手に容易に引っ掛けることができ、さらに容易にブーツ着用補助具を用いてスライドファスナを閉めることができる。引張部と引手部とは一体に形成されているので、ブーツ着用補助具の製造コストを低減することができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、ユーザは、提げ紐の一部に取り付けられているブーツ着用補助具を用いることにより、スライドファスナを容易に閉めることができる。提げ紐は携帯機器に結着して用いることができるので、ブーツ着用補助具の紛失を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
始めに、本発明に係るブーツ着用補助具(以下、補助具と称する)を用いることができるスライドファスナ(以下、ファスナと称する)が配されたロングブーツ(以下、ブーツと称する)について、図1を参照しつつ説明する。
【0019】
ブーツ100は、着用者(ユーザ)の足先、かかと等を覆う部位である足部110と、その足部110の上部で着用者の例えば膝下あたりまでを覆う脚部120とを有している。脚部120には、脚部120に上下方向に配され脚部120を開閉可能にするファスナ200が設けられている。ファスナ200は、互いに噛み合う2列のエレメント210と、エレメント210上でスライドすることにより2列のエレメント210を互いに噛み合わせるスライダ胴体221及びスライダ胴体221に取り付けられた引手222等で構成されるスライダ220等を有している。引手222の先端部には、引手222を貫通するように孔部223が形成されている。着用者は、足部110に足を収めた状態で、引手222を摘んでスライダ220を上方にスライドさせ、脚部120のファスナ200を閉状態とすることにより、ブーツ100を着用することができる。
【0020】
次に、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図2(a)、(b)、(c)は、本実施形態に係るブーツ着用補助具(以下、補助具と称する)の一例を示す。補助具1は、例えば、鉄等を用いて、製造コストの低い鋳造等の方法により一体に成形されている。補助具1は、略D字形状の引張部2と、引張部2に接続され略輪形状を成すように形成された引掛部3とを有している。この補助具1では、引張部2及び引掛部3は、ファスナ200のスライダ220の引手222の孔部223に貫入可能な程度の大きさの断面を有する線状に構成されている。図に示すように、引張部2及び引掛部3は、その大部分が略同一平面上に位置するように構成されており、補助具1は、平面視で略楕円形の外形を有するように形成されている。
【0021】
引張部2は、略半円形状の湾曲部2aと、湾曲部2aの両端に接続され湾曲部2aより曲率が小さい支持部2bとを有し、湾曲部2a及び支持部2bで囲まれた部位が指掛孔2cとなる略輪形状に形成されている。本実施形態において、引張部2は、指掛孔2cの内部に着用者(ユーザ)の指を貫入させ、その指を湾曲部2aに引っ掛けることができるように形成されている。
【0022】
引掛部3は、引張部2のうち湾曲部2aと支持部2bとが互いに接続する2箇所からそれぞれ延設された第1腕部3a及び第2腕部3bを有している。図2(b)に示すように、第1腕部3aは、引張部2から、先端部3cが第2腕部3b側に近づくように略J字形状に延設されており、第2腕部3bは、第1腕部3aよりも短い長さで、先端部3dが第1腕部3a側に近づくように延設されている。引掛部3は、第1腕部3aの先端部3cの近傍部位が第2腕部3bの先端部3dの近傍部位に近接するように形成されている。引掛部3は、第1腕部3aと、第2腕部3bと、引張部2の支持部2bとで、略輪形状を成すように構成されている。本実施形態において、第1腕部3aの先端部3cの近傍部位は、第2腕部3bよりも、上記略輪形状の部分の中心側(内側)に位置している。図2(c)に示すように、第1腕部3aの先端部3c及び第2腕部3bの先端部3dは、それぞれ、互いに引張部2及び引掛部3の大部分が位置する平面よりも上方、下方に僅かに突出するように構成されている。第1腕部3aは、第2腕部3bよりも長く形成されており、図2(b)に示すように、互いの先端部3c,3dの近傍部位同士が近接する部位は、補助具1のオーバル形左右中央(図に一点鎖線CLで示す)よりも第2腕部3b側にずれて位置するように構成されている。すなわち、第1腕部3a及び第2腕部3bの先端部3c,3dの近傍部位同士が近接する部位は、引掛部3のうち引張部2から最も離れた部位から、若干ずれた場所に位置し、後述のようにファスナ200を閉める際に、引手222は、第1腕部3aに引っ掛かるように構成されている。
【0023】
着用者は、ブーツ100の着用時に上記の補助具1を用いることができる。図3(a)、(b)を参照しつつ、補助具1を用いて行うファスナ200を閉める方法の一例について説明する。
【0024】
着用者は、ファスナ200が開いている状態で、ブーツ100に足を収めると、先ず、引手222の孔部223に、第1腕部3aを、先端部3cから貫入させる。このとき、先端部3cは上記のように引張部2等が位置する平面から上方に僅かに突出しているため、着用者は、先端部3cが孔部223に貫入するように補助具1を摘む等して案内することを容易に行うことができる。孔部223に第1腕部3aを貫入させると、図3(a)に示すように、補助具1を、引手222に引っ掛けた状態のまま保持することができる。なお、このとき、第1腕部3aの先端部3cの近傍部位と第2腕部3bとは互いに近接しているが、第1腕部3a及び第2腕部3bをそれぞれ若干量弾性変形させつつ、孔部223に第1腕部3aを先端部3cから貫入させればよい。
【0025】
次に、着用者は、補助具1を引手222に引っ掛けた状態で、指を指掛孔2cに通し、湾曲部2aに引っ掛ける。そして、図3(b)に矢印Fで示すように、指を上方に移動させて引張部2に力を加え、補助具1を介して引手222を上方に引っ張る。引手222が補助具1を介して上方に引っ張られるので、スライダ胴体221に上方にスライドさせる力が加えられ、スライダ220が上方に移動する。このように、着用者は、指をかけた引張部2を上方に引っ張ることにより、スライダ220を上方にスライドさせてファスナ200を閉め、ブーツ100を着用することができる。ファスナ200を閉めた後、着用者は、引っ掛ける際とは逆に、引手222から第1腕部3aを抜き、引手222から補助具1を外し、ブーツ100の他方についても同様に、その補助具1を用いて着用することができる。
【0026】
このように、着用者は、引張部2に指を引っ掛けて力を加え、引手222に引っ掛けた補助具1を介して引手222を引っ張ることができるので、引手222が小型であっても、スライダ220をスライドさせる力を容易に加えることができ、また、着用者の爪に負担が掛かることもない。従って、素手で引手222を掴んだ場合にはブーツ100のファスナ200を閉めにくい場合であっても、補助具1を用いて容易にファスナ200を閉めることができるようになり、ブーツ100を容易に着用することができる。引掛部3は略輪形状であるので、引掛部3を孔部223に貫通させた状態で、補助具1を引手222に引っ掛けたままで容易に保持することができる。従って、補助具1をさらに容易に用いて、ブーツ100を着用することができる。補助具1は、ブーツ100を着用した後には引手222から容易に抜脱することができるので、着用状態のブーツ100の外観には何ら影響を及ぼすことがない。補助具1は、小型に形成されているので、着用者は容易に補助具1を携帯することができ、ブーツ100を着用する際にはどこでも便利に補助具1を使用することができる。
【0027】
また、第1腕部3a及び第2腕部3bの先端部3c,3dの近傍部位同士が近接する部位は、第2腕部3b側にずれて位置しており、第1腕部3aの先端部3cの近傍部位は、第2腕部3bよりも内側に位置しているので、図3(b)に示すように第1腕部3aに引手222が引っ掛けられた状態で引張部2に上方への力が加えられたとき、第1腕部3aが、先端部3cが下方に変位するように変形しても、その第1腕部3aの先端部3cの近傍部位が第2腕部3bに当接し、第1腕部3aがそれ以上変形しにくいように第2腕部3bに支えられる。従って、ファスナ200を閉めるためにより強い力が必要な場合であっても、引張部2に力が加えられたときに第1腕部3aが大きく変形しにくく、確実にファスナ200を閉めることができる。さらにまた、補助具1は、全体の中央部に梁状に接続された支持部2bを有しているので、引手222を引くために引張部2に力が加えられても、支持部2bが無い場合と比較して補助具1の各部が変形しにくい。このように、補助具1の剛性が高いので、着用者は、ファスナ200を閉める際の感触をしっかりと感じることができ、ファスナ200を閉める力をより確実に加えることができる。
【0028】
なお、本実施形態において、例えば孔部223の大きさが比較的大きいとき等には、第2腕部3bをその先端部3dから孔部223に貫通させて引手222に補助具1を引っ掛けてもよい。その場合、例えば、第2腕部3bを貫通させたままで、孔部223に第2腕部3bと共に第1腕部3aをその先端部3cから貫通させ、図3(a)に示すように第1腕部3aに引手222が引っ掛かる状態にすればよい。
【0029】
図4は、本発明の第2実施形態に係る補助具を示す。以下に説明する各実施形態において、上述の実施形態と同様に構成されている部位には同一の符号を付し、上述の実施形態と相違する部分についてのみ説明する。補助具11は、例えば、引手222の孔部223に貫入可能な太さの鋼線部材を略楕円環状に曲げて略輪形状に構成されており、第1実施形態の補助具1の支持部2bに相当する部位を有していない点で第1実施形態と相違する。第2実施形態において、輪形状の鋼線部材は、着用者により力が加えられる引張部12と、引手222に引っ掛けられる引掛部3とを兼ねている。すなわち、鋼線部材の中央部付近には、例えば図に示すように紐500が結着され、着用者は、この紐500を引っ張ることにより引張部12に力を加えることができる。また、鋼線部材の両端近傍部は、補助具1の引掛部3と略同様に、第1腕部3a、第2腕部3bを成し、それぞれの先端部3c,3d同士は近接するように構成されている。なお、着用者は、略輪状を成す鋼線部材の内部に指を貫入させて、鋼線部材の一部に指を引っ掛け、引張部2に力を加えるようにしてもよい。
【0030】
第2実施形態において、ブーツ100を着用する際には、第1実施形態と略同様の方法で補助具11を用いることができる。すなわち、先ず、引掛部3を引手222の孔部223に貫入させて補助具11を引手222に引っ掛ける。そして、着用者は、例えば、図に示すように補助具11に紐500が結着されている場合には、その紐500を掴んで上方に引っ張ることにより、引張部12にスライダ220をスライドさせるための力を加え、ファスナ200を閉じることができる。なお、紐500を用いなくても、着用者は、例えば、上述のように指を鋼線部材に引っ掛けて補助具11を上方に引っ張り、ファスナ200を閉じることができる。
【0031】
このように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブーツ100を着用する際に用いることにより、ブーツ100を容易に着用することができる。補助具11は、例えば鋼線を曲げて構成されているので、製造コストが安価である。また、引張部12は輪形状に構成されているので、図に示すように例えば引張部12に紐500等を結着し、その紐500等を用いて引張部12に力を加えることができる。従って、着用者は、より容易にファスナ200のスライダ220をスライドさせる力を加えることができ、より容易にブーツ100を着用することができる。
【0032】
図5(a)、(b)は、本発明の第3実施形態に係る補助具を示す。補助具21は、第1実施形態の補助具1と比較して、引掛部23が一本の腕部23aで構成されている点が相違し、略D字形状の引張部2等、その他の部分は補助具1と同様に構成されている。
【0033】
図5(a)に示すように、引掛部23の腕部23aは、引張部2の支持部2bのうち、湾曲部2aに接続された一端部から略J字形状をなすように鉤形に延設されている。引掛部23は、引張部2の大部分が位置する平面と同じ平面上に位置するように形成されており、補助具21は、全体として平らな形状に形成されている。腕部23aの先端部23cは、支持部2bのうち、腕部23aが接続された端部とは反対側の端部の近傍であって、引張部2との間に引手222の厚み以上の幅の空隙23eを空けた位置に位置している。補助具21は、例えば、鉄等を用いた鋳造や、曲げた鋼線部材を溶接すること等により、一体に形成されている。
【0034】
図5(b)に示すように、この補助具21を用いてブーツ100を着用する際には、引手222の孔部223に引掛部23の腕部23aをその先端部23cから貫入させ、引手222に補助具21を引っ掛ける。そして、着用者は、第1実施形態と同様に引張部2に引っ掛けた指により、スライダ220を上方にスライドさせる力を引張部2に加える。それにより、引掛部23が引っ掛けられた引手222が上方に引かれ、補助具21を介してファスナ200を閉め、ブーツ100を着用することができる。
【0035】
このように、第3実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、補助具21を用いることにより、引手222が小型であっても、スライダ220をスライドさせる力を容易に加えることができ、また、着用者の爪に負担が掛かることもなく、ブーツ100を容易に着用することができる。第3実施形態では、引掛部23が略J字形状であるので、引掛部23を容易に孔部223に貫通させることができ、容易にブーツ100を着用することができる。
【0036】
図6は、本発明の第4実施形態に係る補助具を示す。補助具31は、第3実施形態の補助具21のように、略輪形状の引張部32と、略J字形状の鉤形に形成された引掛部33とを有している。補助具31は、一本の鋼線部材を曲げて形成されている。その鋼線の一端部32bを丸めるように曲げることにより、引張部32が、着用者の指を貫入可能な程度の大きさの指掛孔32cを構成する略楕円輪形状に形成されている。また、引掛部33は、その鋼線の他端部33cが引張部32に近づく方向に丸められて、引張部32から略J字形状に延びるように構成されている。
【0037】
補助具31は、第3実施形態と同様に、ブーツ100の着用時に使用することができ、それにより、容易にファスナ200を閉めてブーツ100を着用することができる。補助具31は、一本の鋼線を曲げて形成されているので、製造コストを低くすることができる。
【0038】
図7(a)、(b)、(c)は、本発明の第5実施形態に係る補助具を示す。補助具41は、第3実施形態の補助具21と比較し、引掛部43が異なる位置に設けられているものである。図に示すように、引掛部43は、全体として、引張部2が位置する平面に略垂直に交わる平面上に、引張部2の支持部2bの一端部から略J字形状の腕部43aが延設されるように構成されており、腕部43aの先端部43cは、引張部2が位置する平面から離れた位置に突出している。
【0039】
補助具41を用いてブーツ100を着用する際には、着用者は、引掛部43の腕部43aを先端部43cから引手222の孔部223に貫入させ、補助具41を引手222に引っ掛け、指掛孔2cに貫入させて湾曲部2aに引っ掛けた指により上方に力を加えることにより、容易にファスナ200を閉めることができる。第5実施形態においては、先端部43cが引張部2が位置する平面から離れた位置に突出しており、補助具41を引手222に引っ掛けるときに孔部223に先端部43cを容易に貫入させることができるので、さらに容易にブーツ100を着用することができる。なお、引掛部の形状や、引張部2が位置する平面からの引掛部の先端部の突出方向は、これに限られるものではなく、他の形状、他の突出方向であっても、上記と同様に、容易に孔部223に引掛部を貫入させて引っ掛けることができる。
【0040】
図8(a)、(b)は、本発明の第6実施形態に係る補助具と、その補助具を取付けたストラップ(提げ紐)の一例を示す。先ず、図8(a)に示す補助具61について説明する。
【0041】
補助具61は、第1実施形態に係る補助具1と比較し、引張部62が小型に形成されている点が異なっている。引張部62は、湾曲部62aと湾曲部62aよりも曲率が小さい支持部62bとが接続されて輪形状に形成されている。引張部62は、その湾曲部62aと支持部62bとに囲まれた貫通孔62cが、後述するようにストラップの紐部91が貫通可能な程度の大きさになるように形成されている。引掛部3は、第1実施形態と同様に構成されており、第1腕部3aと第2腕部3bとがそれぞれ支持部62bの端部に接続されている。補助具61は、外形が、補助具1よりも若干小さい略楕円形を成すように形成されている。
【0042】
図8(b)に示すように、補助具61は、例えば、携帯機器等に取り付けられて用いられるストラップ90の一部に取り付けられて用いられる。ストラップ90は、輪状の紐部91と、紐部91の一部が取り付けられ保持されるホルダ92と、ホルダ92に取り付けられ、細い輪状に形成されており携帯機器等に結着される結着紐93とを有している。補助具61は、ストラップ90のうち、紐部91に取り付けられている。
【0043】
図9は、ストラップ90の構成を示す。図に示すように、ストラップ90の紐部91は、一本の紐部91の両端部を共にホルダ92に差し込んだ状態で、ねじ94を、紐部の両端近傍部位に形成された孔部91aに螺入してホルダ92に螺結することにより、輪状になるようにホルダ92に取り付けられる。このとき、紐部91を補助具61の貫通孔62cに貫通させたうえでホルダ92に取り付けることにより、補助具61を紐部91に取り付けることができる。また、その逆の手順で紐部91をホルダ92から取り外すことにより、紐部91から補助具61を取り外すことができる。なお、ストラップは、ホルダ92に紐部91を着脱可能に構成されていなくてもよく、予め紐部91を貫通孔62cに貫通させた状態で、紐部91の両端部をホルダ92に接着又は溶着する等して構成されていてもよい。
【0044】
このようなストラップ90を用いることにより、着用者は、ブーツ100を容易に着用することができる。すなわち、着用者は、ブーツ100の着用時に、まず、補助具61の引掛部3を、上述の第1実施形態と同様にファスナ200の引手222に引っ掛ける。そして、その状態で、紐部91等を掴んで上方へ引くことにより、紐部91を引く力が紐部91が貫通する引張部2に加えられ、補助具61を介して引手222を上方へ引っ張ることができる。ストラップ90を掴んでスライダ220をスライドさせる力を容易に加えることができるので、容易にファスナ200を閉めることができ、ブーツ100を容易に着用することができる。また、ストラップ90は、例えば携帯機器等に取り付けて用いられるので、小型の補助具61でも紛失を防止することができる。さらに、例えば日常持ち歩く携帯電話等と共に補助具61を持ち歩くことができるので、補助具61を持ち歩くことを特別に意識せずとも、どこでも補助具61を利用して容易にブーツ100を着用することができ、より便利に補助具61を使用することができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、補助具は、強度の大きい樹脂等により構成されていてもよい。また、補助具は、一体成型されたものでなくてもよく、例えば互いに別部材として構成された引張部と引掛部とを組み合わせて構成されていてもよい。
【0046】
また、引張部は、輪状に形成されていなくてもよく、例えば、着用者が摘みやすいような平板形状等に形成されていてもよい。このような場合、着用者は、引張部を摘んで引っ張ることにより、補助具を介してスライダをスライドさせる力を容易に加えることができる。さらにまた、補助具は、例えば、いわゆるキーホルダの一部として用いられるものであってもよい。引掛部を引手に引っ掛けた状態で、引張部にチェーンなどを介して取り付けられた鍵等を引っ張ることにより、上述と同様に、容易にファスナ200を閉めることができ、ブーツ100を容易に着用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係るブーツ着用補助具を使用可能なロングブーツの一例を示す斜視図。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す斜視図、(b)は(a)の正面図、(c)は(a)の側面図。
【図3】(a)は引手に引っ掛けた状態の上記ブーツ着用補助具を示す斜視図、(b)は同ブーツ着用補助具の引張部を引っ張る動作を説明する斜視図。
【図4】本発明の第2実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す斜視図。
【図5】(a)は本発明の第3実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す平面図、(b)は(a)の斜視図。
【図6】本発明の第4実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す平面図。
【図7】(a)は本発明の第5実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す平面図、(b)は(a)を前方から見た斜視図、(c)は(a)を側方から見た斜視図。
【図8】(a)は本発明の第6実施形態に係るブーツ着用補助具の一例を示す斜視図、(b)は同ブーツ着用補助具が一部に取り付けられたストラップを示す斜視図。
【図9】上記ストラップの分解斜視図。
【符号の説明】
【0048】
1,11,21,31,41,61 ブーツ着用補助具
2,12,32,62 引張部
3,23,33,43 引掛部
3a 第1腕部
3b 第2腕部
90 ストラップ(提げ紐)
100 ロングブーツ
120 脚部
200 スライドファスナ
220 スライダ
222 引手
223 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライダの引手に孔部が設けられているスライドファスナが脚部に配されたロングブーツを着用する際に使用可能なブーツ着用補助具であって、
前記孔部に貫入可能な引掛部と、
ユーザにより力が加えられる引張部とを有し、
前記引掛部を前記孔部に貫入させ、前記引手に引っ掛けた状態で、前記引張部に力を加えることにより、ユーザが、当該ブーツ着用補助具を介して引手を引っ張り、前記スライダをスライドさせることができるように構成されていることを特徴とするブーツ着用補助具。
【請求項2】
前記引張部は、略輪形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のブーツ着用補助具。
【請求項3】
前記引張部は、ユーザが指を引っ掛け可能に形成されていることを特徴とする請求項2記載のブーツ着用補助具。
【請求項4】
前記引掛部は、前記引張部とそれぞれ一体に形成された第1腕部及び第2腕部を有しており、
前記第1腕部及び第2腕部は、それぞれの先端近傍部が互いに近接し、前記引張部の一部と共に略輪形状を成すように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のブーツ着用補助具。
【請求項5】
前記引張部は、全体として略同一平面上に位置するように形成されており、
前記引掛部は、その先端部が前記引張部が位置する平面から離れた位置に突出するように、前記引張部と一体に、前記引張部から延設されて形成されていることを特徴とする請求項3記載のブーツ着用補助具。
【請求項6】
携帯機器に結着して用いられる提げ紐であって、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のブーツ着用補助具がその一部に取り付けられていることを特徴とする提げ紐。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−89750(P2009−89750A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−260514(P2007−260514)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(507330257)
【出願人】(507330268)
【Fターム(参考)】