説明

プッシャゲーム機

【課題】本発明の課題は、新しい態様のプッシャ台を備え、また、プレイ領域内のスペースを有効に利用でき、さらに、ゲーム要素が入賞した場合に抽選をわかりやすくしたプッシャゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、メダルMを載置する上部固定テーブル11と、上部固定テーブル11上を往復移動して上部固定テーブル11上のメダルMを押し出す上部往復テーブル12とを有する上部プッシャ台10と、上部プッシャ台10よりも下段であって上部プッシャ台10がメダルMを押し出す方向に配置され、上部プッシャ台10によって押し出され落下したメダルMが載置される下部固定テーブル21,31と、下部固定テーブル21,31上を往復移動して下部固定テーブル21,31上のメダルMを押し出す下部往復テーブル22,32とを有する下部プッシャ台20,30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイ領域内に配置されたゲーム要素を移動するプッシャゲーム機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プッシャゲーム機には、複数の押し出しテーブルを備えるものがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のプッシャゲーム機は、以下の問題があった。
(1)従来のプッシャゲーム機は、上側から下側にメダルを移動していく形態が単純であった。
(2)従来のプッシャゲーム機は、プッシャ台がプレイ領域の中央に位置しているので、プッシャ台以外の装置を、うまく配置することができなかった。
(3)従来のプッシャゲーム機は、メダルの大量払い出し等の抽選を行うものには、プレイ領域内にメダルの入賞孔が設けられていた。しかし、入賞後の抽選は、内部の制御装置が行うものであり、抽選の過程をプレイヤが視認できるものではなかった。
【特許文献1】特開2007−130218号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、新しい態様のプッシャ台を備え、また、プレイ領域内のスペースを有効に利用でき、さらに、ゲーム要素が入賞するときの抽選をわかりやすくしたプッシャゲーム機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下のような解決手段により、課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。但し、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【0005】
請求項1の発明は、ゲーム要素(M)を載置する上部固定テーブル(11)と、前記上部固定テーブル上を往復移動して前記上部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す上部往復テーブル(12)とを有する上部プッシャ台(10)と、前記上部プッシャ台よりも下段であって前記上部プッシャ台が前記ゲーム要素を押し出す方向に配置され、前記上部プッシャ台によって押し出され落下した前記ゲーム要素が載置される下部固定テーブル(21,31)と、前記下部固定テーブル上を往復移動して前記下部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す下部往復テーブル(22,32)とを有する下部プッシャ台(20,30)と、を備えるプッシャゲーム機である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のプッシャゲーム機において、前記複数の下部往復テーブル(22,32)は、プレイ領域(F)を上側から見たときに、前記下部往復テーブル(22,32)の往復移動の方向が前記上部プッシャ台(10)から放射状に延びる方向になるように、配置されていること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のプッシャゲーム機において、前記複数の下部往復テーブル(22,32)を兼用して往復移動する駆動部(60)を備えること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のプッシャゲーム機において、前記下部プッシャ台(20,30)の間に配置され、前記上部プッシャ台(10)から落下した前記ゲーム要素(M)が入賞する入賞部(50)を備えること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
請求項5の発明は、請求項4に記載のプッシャゲーム機において、前記入賞部(50)は、複数の入賞孔(51)と、前記複数の入賞孔に前記ゲーム要素(M)が入賞したことを検出する検出部(52)とを備え、前記検出部の出力に応じて、前記ゲーム要素が入賞した入賞孔に対応したプレイ進行を行う制御部(76)を備えること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
請求項6の発明は、請求項5に記載のプッシャゲーム機において、前記入賞部(50)は、プレイ領域(F)を上から見たときに、前記複数の入賞孔(51)が同一の円周上に配置されており、前記入賞部を前記円周の中心回りに回転する駆動部を備えること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
請求項7の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載のプッシャゲーム機において、前記入賞部(50)は、プレイ領域(F)の略中央に配置され、前記下部プッシャ台(20,30)は、少なくとも2つが前記入賞部を挟んで配置されていること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
【0006】
請求項8の発明は、ゲーム要素(M)を載置する上部固定テーブル(11)と、前記上部固定テーブル上を往復移動して前記上部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す上部往復テーブル(12)とを有する上部プッシャ台(10)と、プレイ領域(F)の略中央に配置され、前記上部プッシャ台から落下した前記ゲーム要素が入賞する入賞部(50)と、を備えるプッシャゲーム機である。
請求項9の発明は、請求項8に記載のプッシャゲーム機において、前記上部プッシャ台(10)によって押し出され落下した前記ゲーム要素(M)が載置される下部固定テーブル(21,31)と、前記下部固定テーブル上を往復移動して前記下部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す下部往復テーブル(22,32)とを有し、前記入賞部(50)を挟んで配置された少なくとも2つの下部プッシャ台(20,30)を備えること、を特徴とするプッシャゲーム機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、上部プッシャ台と複数の下部プッシャ台を備えているので、ゲーム要素を、上部プッシャ台から押し出して、複数の下部プッシャ台のいずれかに落下させて、さらにその下部プッシャ台で押し出すといった新しい態様のゲーム機を提供することができる。
(2)本発明は、複数の下部プッシャ台の移動方向が、上部プッシャ台から放射状に延びる方向になるように配置されているので、プレイ領域のスペースを有効に利用することができる。
【0008】
(3)本発明は、複数の下部プッシャ台を兼用して駆動する駆動部を備えるので、複数の下部プッシャ台を備えていても、コストを抑えることができる。
(4)本発明は、上部プッシャ台から落下したゲーム要素が入賞する入賞部を備えるので、上部プッシャ台上のゲーム要素を、下部プッシャ台に落とすだけではなく、入賞部に入賞するように、プレイヤに狙わせてプレイさせ、面白さを向上することができる。
(5)本発明は、ゲーム要素が入賞した入賞孔に応じてプレイ進行するので、プレイヤは、ゲーム要素が入賞孔に入賞する過程を視認することによって、抽選過程を確認することができる。
【0009】
(6)本発明は、入賞部が回転するので、どの入賞孔に入賞するかが、ゲーム要素が上部プッシャ台から落下するタイミングによって変わり、プレイの面白さを向上することができる。
(7)本発明は、入賞部がプレイ領域の略中央に配置されているので、プッシャ台とは異なる装置である入賞部を目立つ態様で配置して、プレイ領域のスペースを有効利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、新しい態様のプッシャ台を備え、また、プレイ領域内のスペースを有効に利用でき、さらに、ゲーム要素が入賞した場合に抽選をわかりやすくしたプッシャゲーム機を提供するという課題を、ゲーム機は、メダルを載置する上部固定テーブルと、上部固定テーブル上を往復移動して上部固定テーブル上のメダルを押し出す上部往復テーブルとを有する上部プッシャ台と、上部プッシャ台よりも下段であって上部プッシャ台がメダルを押し出す方向に配置され、上部プッシャ台によって押し出され落下したメダルが載置される下部固定テーブルと、下部固定テーブル上を往復移動して下部固定テーブル上のメダルを押し出す下部往復テーブルとを有する複数の下部プッシャ台とを備えることによって実現した。
【0011】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のゲーム機1の斜視図である。
図1に示すように、ゲーム機1(プッシャゲーム機)は、ゲームセンタ等に設置される、左右方向Xの幅1m程度、奥行方向Yの長さ1.5m程度、鉛直方向Zの高さ2m程度の大型の装置であり、内部にプレイ領域Fが設けられている。
プレイ領域Fとは、各プッシャ台10,20,30、入賞部50等の装置が配置され、メダルM(ゲーム要素)を移動させるプレイが実際に行われる領域をいう。
【0012】
最初に、ゲーム機1でのゲームの概要を説明する。
プレイヤが操作パネル2aの左右に設けられたメダル投入装置4L,4RにメダルMを投入すると、ゲーム盤5上側のメダル射出孔5a,5bからメダルMが射出され、メダルMが上部プッシャ台10に落下する。
そして、上部プッシャ台10のメダルMが、入賞部50の入賞孔51に落下した場合には、複数のメダルMがメダル放出孔5dから放出される。
一方、上部プッシャ台10のメダルMが、下部プッシャ台20,30上に落下し、さらに下部プッシャ台20,30のメダルMがメダル落下孔40に落下した場合には、そのメダルMがメダル払い出し口41に払い出される。
【0013】
次に、図1〜図4を参照して、プレイ領域Fの構成について説明する。
図2は、本実施形態のプレイ領域Fの斜視図である。
図3は、本実施形態のプレイ領域Fの斜視図であり、上部往復テーブル12及び下部往復テーブル22,32の移動位置が図2とは異なる状態を示す。
図4は、本実施形態のプレイ領域Fを上側から見た図(プレイ領域Fを鉛直方向上側から見た図。以下「平面形状」という)である。
【0014】
図1に示すように、ゲーム機1は、ケース2と、ウィンドウ3と、メダル投入装置4L,4Rと、プレイ領域Fに設けられたゲーム盤5と、上部プッシャ台10と、2台の下部プッシャ台20,30と、メダル落下孔40と、メダル払い出し口41と、入賞部50とを備えている。
ケース2は、ゲーム機1の筐体である。
ウィンドウ3は、ゲーム機1内部のプレイ領域Fとゲーム機1の外部とを仕切る部材である。ウィンドウ3は、ゲーム機1の手前側Y1に設けられている。ウィンドウ3は、外部からプレイ領域Fを視認できるように、透明な材料(例えばアクリル樹脂等)により形成される。
メダル投入装置4L,4Rは、メダル射出孔5a,5bからメダルMを射出するために、プレイヤがメダルMを投入する装置である。メダル投入装置4L,4Rは、ケース2の操作パネル2aの左右にそれぞれ設けられている。
【0015】
ゲーム盤5は、メダル射出孔5a,5bと、複数のピン5cと、メダル放出孔5dとを備えている。
メダル射出孔5a,5bは、メダルMを射出するために、ゲーム盤5内の上側の左右に設けられた開口孔である。
ピン5cは、メダル射出孔5a,5bから射出されたメダルMの落下する方向を不規則に変化させるために、ゲーム盤5に打ち付けられている。
メダル放出孔5dは、ゲーム盤5内の下側の範囲に設けられた開口孔であり、入賞部50へのメダルMの入賞に応じて、複数枚のメダルMをプレイ領域Fに放出する。
【0016】
図2に示すように、上部プッシャ台10は、プレイ領域Fの奥側Y2に配置されている。上部プッシャ台10は、上部固定テーブル11と、上部往復テーブル12とを備えている。
上部固定テーブル11は、天面11aと、正面斜面11eと、2つのメダルガイド11fと、左側斜面11gと、右側斜面11hとを有している。
天面11aは、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを受け止め載置する部分である。天面11aは、法線方向が上側になるようにプレイ領域Fに配置されている。天面11aは、辺11bと、斜辺11c,11dとを有している。
辺11bは、天面11aの手前側Y1の辺であり、左右方向Xに平行である。
斜辺11c,11dは、辺11bの両端から左右方向X外側に至るに従って奥側Y2に至る辺である。斜辺11c,11dは、左右対称の形状である。
【0017】
正面斜面11eは、天面11aの辺11bから手前側Y1に至るに従って下側に傾斜する斜面である。
メダルガイド11fは、正面斜面11eを滑落してきたメダルMを入賞部50へと導く部材である。メダルガイド11fは、正面斜面11eに設けられている。
左側斜面11gは、天面11aの斜辺11cから斜辺11cに対して直交する方向Aの手前側A1に至るに従って下側に傾斜する斜面である。
右側斜面11hは、左側斜面11gと左右対称の形状であり、天面11aの斜辺11dから斜辺11dに対して直交する方向Bの手前側B1に至るに従って下側に傾斜する斜面である。
【0018】
上部往復テーブル12は、上部固定テーブル11上を奥行方向Yに往復移動して、上部固定テーブル11上のメダルMを押し出すテーブルである。上部往復テーブル12は、駆動機構(図示せず)によって駆動される。
上部往復テーブル12は、天面12a(図3参照)と、斜面12bと、押し出し面12cとを有している。
図3に示すように、天面12aは、ゲーム盤5の下側に位置するように配置されている。天面12aは、上部往復テーブル12が最も奥側Y2に移動した状態では(図2の状態)、ゲーム盤5の下側に入り込み、一方、最も手前側Y1に移動した状態であっても(図3の状態)、プレイ領域Fに露出する部分がメダルMを載置できない程度の大きさである。このため、天面12aは、ゲーム盤5から落下してきたメダルMを載置することはなく、載置できたとしても、上部往復テーブル12が最も奥側Y2に移動した場合に、ゲーム盤5に押し出されて落下する。
【0019】
図2に示すように、斜面12bは、ゲーム盤5から落下したメダルMを滑落させて、上部固定テーブル11上に導く部分である。斜面12bは、天面12aから手前側Y1に至るに従って下側に傾斜する斜面である。
押し出し面12cは、上部固定テーブル11上のメダルMを実際に押し出す面である。押し出し面12cは、斜面12bの下側に連設され、法線方向が手前側Y1になるように配置されている。
【0020】
以上の構成によって、上部プッシャ台10は、上部往復テーブル12によって、上部固定テーブル11上のメダルMを押し出し、メダルMの玉突き現象によりメダルMを手前側Y1に移動する。そして、辺11bの範囲から押し出されたメダルMは、入賞部50へと導かれ、一方、斜辺11c,11dの範囲から押し出されたメダルMは、下部プッシャ台20,30へと導かれる。
【0021】
下部プッシャ台20,30は、上部プッシャ台10よりも下段に配置され、上部プッシャ台10がメダルMを押し出す方向に、上部プッシャ台10に連接するように設けられている。下部プッシャ台20は、左側斜面11gに連接し、下部プッシャ台30は、右側斜面11hに連接するように配置されている。
なお、各図面及び以下の説明において、下部プッシャ台30の部分のうち下部プッシャ台20と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0022】
下部プッシャ台20は、下部固定テーブル21と、下部往復テーブル22とを備えている。
下部固定テーブル21は、上部プッシャ台10に押し出されて左側斜面11gから落下してきたメダルMを受け止めて載置するテーブルである。下部固定テーブル21は、平面形状において、入賞部50の中心を中心とする円環の一部のような形状である(図4参照)。
下部往復テーブル22は、下部固定テーブル21上を、平面形状において方向Aに往復移動して下部固定テーブル21上のメダルMを押し出す。下部往復テーブル22は、斜面22aと、押し出し面22bとを備えている。
【0023】
斜面22aは、方向Aの手前側A1に至る程下側に傾斜する斜面である。斜面22aは、上部固定テーブル11が方向Aの手前側A1に最も移動した状態で、その上辺部が、上部固定テーブル11の左側斜面11gの下辺部に合致するように配置されている。このため、下部往復テーブル22は、メダルMを載置することはなく、上部プッシャ台10の左側斜面11gから落下してきたメダルMを下部固定テーブル21へと導く。
押し出し面22bは、下部固定テーブル21上のメダルMを実際に押し出す面である。押し出し面22bは、斜面22aの下側に連設され、法線方向が方向Aの手前側A1になるように配置されている。
【0024】
下部プッシャ台30は、下部プッシャ台20と、左右対称の構成である。下部プッシャ台30は、下部固定テーブル31と、下部往復テーブル32とを備え、上部プッシャ台10に押し出されて右側斜面11hから落下し、下部固定テーブル31に載置されたメダルMを、平面形状において上部固定テーブル11の斜辺11dに直交する方向Bに押し出す。
【0025】
メダル落下孔40は、下部固定テーブル21,31よりも手前側Y1に設けられた開口孔である。下部往復テーブル22,32によって押し出され、下部固定テーブル21,31からメダル落下孔40に落下したメダルMは、ゲーム機1内部の払い出しメダル搬送部74(後述する)によって、メダル払い出し口41に払い出され、プレイヤが獲得することができる。
メダル払い出し口41は、メダル落下孔40に落下したメダルMを外部に払い出す開口孔である。
【0026】
入賞部50は、上部固定テーブル11の正面斜面11eから落下してきたメダルMを入賞させる装置である。
図4に示すように、入賞部50は、平面形状において、下部プッシャ台20,30の間に挟まれ、下部プッシャ台20,30の間に配置される。入賞部50は、円盤状の部材であり、8個の入賞孔51と、入賞センサ52とを備えている。
【0027】
入賞孔51は、入賞部50の中心を中心とする円周53上に配置されている。
入賞センサ52は、メダルMが入賞孔51に入賞したことを検出するために、各入賞孔51の内部に配置された光学センサ等である。入賞センサ52は、メダルMを検出すると、検出信号を制御部76(後述する)に出力する。これに応じて、制御部76は、入賞した入賞孔51に対応したゲームの進行を行う。
なお、入賞部50と下部固定テーブル21,31との間の隙間54に落下したメダルMは、払い出されることなく、ゲーム機1内部に回収される。
【0028】
入賞部50は、DCモータ等を備えた駆動部(図示せず)によって、その中心回りに回転駆動される。このため、入賞部50の回転位置に応じて、メダルMが入賞する入賞孔51が異なる。これによって、メダルMが上部プッシャ台10から落下するタイミングによって、入賞する入賞孔51が変わるので、プレイの面白さを向上することができる。
また、ゲーム機1は、上部プッシャ台10上のメダルMを、下部プッシャ台20,30に落とすだけではなく、入賞部50に入賞するようにプレイヤに狙わせることができ、面白さを向上することができる。
【0029】
ここで、従来のゲーム機は、往復テーブル上にも複数枚のメダルを載置できるように構成されている。そのため、従来のゲーム機1は、往復テーブル上のメダルを固定テーブルに落下させ、さらに、固定テーブル上のメダルを往復テーブルによって押し出すものであった。つまり、従来のゲーム機のプッシャ台は、往復テーブル上のメダルを移動させる分、ゲーム機1の各プッシャ台10,20,30よりも、メダルの移動量が小さかった。
【0030】
しかし、ゲーム機1のように、複数のプッシャ台10,20,30を備える場合には、各プッシャ台10,20,30のメダルMの移動量を少なくすると、プレイ領域F内でのメダルMの全体の移動量が一層小さくなってしまう。このため、ゲーム機1は、上部往復テーブル12にメダルMを載置できないようにして、各プッシャ台10,20,30のメダルMの移動量を大きくして、プレイ領域F内でのメダルMの移動量の低下を防止している。これによって、多段のプッシャ台10,20,30を備えている場合であっても、ゲーム機1は、メダル落下孔40にメダルMを落下しやすくして、従来のゲーム機と同様に、プレイヤがメダルMを獲得できるように構成されている。
また、ゲーム機1は、各プッシャ台10,20,30が各斜面11e,11g,11h,22a,32aを有しているので、多段構成であっても、メダルMの移動量をさらに大きくすることができる。
【0031】
さらに、以上の構成によって、図4に示すように平面形状において、ゲーム機1は、入賞部50が手前側Y1の中央の範囲に配置される。この範囲は、ゲーム機1外部から目立つ範囲であり、プレイをしようとしている人に、ゲーム機1に興味を持たせプレイ意欲を向上することができる。
【0032】
さらにまた、平面形状において、上部プッシャ台10が入賞部50の奥側Y2に配置され、2つの下部プッシャ台20,30は、下部往復テーブル22,32の往復移動の方向が、上部プッシャ台10から放射状に延びる方向になるように配置されている。このため、ゲーム機1は、入賞部50が手前側Y1の中央の範囲に配置されていても、下部往復テーブル22,32は、入賞部50に干渉することなく、下部プッシャ台20,30を配置することができる。
これによって、ゲーム機1は、その内部の限られたスペースであるプレイ領域Fを有効に利用することができ、さらに、従来のゲーム機とは異なる態様でプッシャ台10,20,30を配置し、新しい態様のプッシャゲームを提供することができる。
【0033】
ここで、プッシャゲーム機には、外形が直径3m程度の略円筒状に形成され、その円筒の周囲に複数(例えば10人程度)のプレイヤが同時にプレイできる大型のタイプがある。このような大型のプッシャゲーム機の場合、内部にプレイ領域のスペースが大きいので、プッシャ台や入賞部等を配置する十分なスペースを確保することができる。
これに対して、ゲーム機1は、複数の種類のゲーム機と一緒に並べて配置される場合が多いために外形が鉛直方向に細長く、また1人(又は2人)でプレイするタイプのものである。このタイプの場合、プレイ領域Fのスペースが小さい。しかし、前述したように、ゲーム機1は、この小さいプレイ領域Fを有効に利用して、プッシャ台10,20,30や入賞部50等をプレイヤが興味を引くように配置することができる。
【0034】
図5は、本実施形態の下部往復テーブル22,32の駆動部60を示す斜視図である。
駆動部60は、シャーシ61と、モータ62と、駆動力伝達部63,64と、被駆動部65,66とを備えている。
シャーシ61は、駆動部60のベースとなる部材であり、ゲーム機1内部に固定されている。
モータ62は、DCモータ等の駆動源であり、回転軸が鉛直方向Zになるように、シャーシ61に配置されている。回転軸の先端には、駆動ギア62aが設けられている。
【0035】
駆動力伝達部63は、アイドルギア63a,63bと、被駆動ギア63cと、クランク63dと、カムフォロア63eとを備えている。
アイドルギア63a,63bと、被駆動ギア63cとは、回転軸が鉛直方向Zになるようにシャーシ61に配置されている。モータ62の駆動ギア62a、アイドルギア63a,63b、被駆動ギア63cは、この順に機械的に接続されている。
クランク63dは、一方の端部側が被駆動ギア63cに回転軸に固定されており、もう一方の端部側に、回転半径Lで回転するカムフォロア63eが設けられている。
【0036】
被駆動部65は、被駆動シャーシ65aと、カム65bとを備えている。
被駆動シャーシ65aは、8個のローラ65cと、ゲーム機1内部のガイド(図示せず)とによって、方向Aに移動可能に保持されている。また、被駆動シャーシ65aは、下部往復テーブル22が固定されている。
カム65bは、断面形状が上部に開口するコ字型なるように形成されている。カム65bは、方向Aとは直交する方向に細長く、その内側面にカムフォロア63eが係合している。
【0037】
駆動力伝達部63は、以上の構成によって、モータ62の駆動力が被駆動ギア63cに伝達されて、被駆動ギア63cが回転駆動して、最終的にカムフォロア63eが鉛直方向Zの軸回りに回転半径Lで回転する。そして、カムフォロア63e及びカム65bの作用によって、下部往復テーブル22が回転半径Lの2倍のストロークで方向Aに往復移動する。
【0038】
駆動力伝達部64は、駆動力伝達部63と左右対称な構成であり、また、被駆動部66は、被駆動部65と左右対称な構成である。
そして、駆動力伝達部64は、モータ62の駆動力が被駆動ギア64cに伝達されて、カムフォロア64e及びカム66bの作用によって、回転半径Lの2倍のストロークで、下部往復テーブル32を方向Bに移動する。
【0039】
このように、ゲーム機1は、駆動部60が2台の下部プッシャ台20,30を兼用して往復移動するので、複数の下部プッシャ台20,30を備えていても、コストを抑えることができる。
なお、図示するように、駆動力伝達部63,64は、位相が互いに半周期相違しており、例えば、下部往復テーブル22が方向Aの手前側A1に最前位置に位置するときに、下部往復テーブル32が方向Bの奥側B2に最後位置に位置するようになっている。これは、片方の往復テーブルが引き込んだときに、もう片方の往復テーブルが飛び出るように演出して、動作が単純にならないようにするためである。
【0040】
図6は、本実施形態のゲーム機1のブロック図である。
ゲーム機1は、前述した入賞センサ52等のハードウェアの他に、投入メダルセンサ71L,71Rと、投入メダル搬送部72と、落下メダルセンサ73と、払い出しメダル搬送部74と、記憶部75と、制御部76とを備えている。
【0041】
投入メダルセンサ71Lは、メダル投入装置4Lに設けられ、メダル投入装置4Lに投入されたメダルMを検出する検出部であり、例えば光学センサ等である。投入メダルセンサ71Lは、メダル投入装置4Lに投入されたメダルMを検出すると、検出信号を制御部76に出力する。
投入メダルセンサ71Rは、投入メダルセンサ71Lと同様な検出部であり、メダル投入装置4R内部に設けられ、投入されたメダルMを検出すると、検出信号を制御部76に出力する。
投入メダル搬送部72は、メダル貯留部(図示せず)内に貯留しているメダルMを、メダル射出孔5a,5bに搬送する搬送装置である。投入メダル搬送部72は、制御部76によって制御され、メダル射出孔5a,5bのいずれかからメダルMを射出するかを、切り替えることができる。
【0042】
落下メダルセンサ73は、下部固定テーブル21,31からメダル落下孔40へと落下したメダルMを検出する検出部であり、例えば光学センサ等である。落下メダルセンサ73は、メダル落下孔40内部に設けられ、落下したメダルMを検出すると、検出信号を制御部76に出力する。
払い出しメダル搬送部74は、メダル落下孔40に落下したメダルMを、メダル払い出し口41へと搬送する搬送装置である。
記憶部75は、ゲーム機1の動作に必要なゲ−ムプログラム75a、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
【0043】
制御部76は、ゲーム機1を統括的に制御し、またゲームの進行を統括的に制御する制御部である。制御部76は、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。
制御部76は、記憶部75に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0044】
次に、ゲーム機1の動作について説明する。
図1に示すように、プレイヤがメダルMをメダル投入装置4L,4Rのいずれかに入れると、メダルMが投入されたメダル投入装置4L,4Rに設けられた投入メダルセンサ71L,71Rが、検出信号を制御部76に出力する。
このとき、プレイヤは、上部プッシャ台10からメダルMを落下させて、入賞部50に入賞させたい場合には、上部プッシャ台10上の中央に載置されているメダルMを押し出せるように、メダル投入装置4L,4RのいずれかにメダルMを投入するか決めたり、投入タイミングを決めなくてはならない。
一方、プレイヤは、上部プッシャ台10からメダルMを落下させて、下部プッシャ台20,30に落下させて、さらに下部プッシャ台20,30上のメダルMの獲得したい場合にも、上部プッシャ台10上の左側L又は右側Rに載置されているメダルMを押し出せるように、メダル投入装置4L,4RのいずれかにメダルMを投入するか決めたり、投入タイミングを決めなくてはならない。
【0045】
このように、ゲーム機1は、上部プッシャ台10からのメダルMの落下経路が複数あることによって、プレイヤにどの落下経路を選択させ、その落下経路に応じてメダルMを投入するメダル投入装置4L,4Rや、投入タイミングを決めさせることができ、プレイの面白さを向上することができる。
【0046】
メダルMが入賞部50のいずれかの入賞孔51に入賞した場合には、入賞した入賞孔51内部に設けられている入賞センサ52が検出信号を制御部76に出力する。制御部76は、プレイ進行に応じて、入賞孔51にメダルMが入賞し入賞センサ52から検出信号が出力されると、入賞孔51に対応したゲームの進行を行う。
例えば、制御部76は、図4に示す入賞孔51aにメダルMが入賞した場合には、払い出しメダル搬送部74を駆動して、メダル貯留部に貯留した100枚程度のメダルMを、メダル放出孔5dから放出する。また、制御部76は、入賞孔51bにメダルMが入賞した場合には、50枚程度のメダルMを、メダル放出孔5dから放出する。
【0047】
ここで、従来のゲーム機では、入賞孔にメダルが入賞した後は、制御装置等によってスロットを利用して抽選が行われ、プレイヤは、実際にどのように抽選処理が行われているかわからなかった。このため、プレイヤは、制御装置によって当たりの確率が調整されているのではないかと疑問を持ったりして、プレイ意欲が低下する場合があった。
これに対して、ゲーム機1は、どの入賞孔51にメダルMが入賞したかを視認できるので、プレイヤは、抽選過程を確認でき、そして、その結果どのようにプレイ進行するのかを理解できる。このため、ゲーム機1は、プレイヤが抽選処理に疑問を持つことがなく、プレイ意欲を向上することができる。
さらに、ゲーム機1は、入賞部50がプレイ領域Fの目立つ位置に配置されているので、抽選の過程を視認しやすく演出することができる。
【0048】
一方、メダルMが下部プッシャ台20の下部固定テーブル21に落下した場合には、下部往復テーブル22の往復移動にともなって、下部固定テーブル21上のメダルMが方向Aの手前側A1に移動する。そして、メダルMがメダル落下孔40に落下すると、落下メダルセンサ73が検出信号を制御部76に出力する。制御部76は、払い出しメダル搬送部74を駆動して、メダル払い出し口41にメダルMを払い出す。
メダルMが下部プッシャ台30の下部固定テーブル31に落下した場合にも同様に、下部固定テーブル31上のメダルMが方向Bの手前側B1側に移動し、メダル落下孔40にメダルMが落下すると、制御部76は、メダル払い出し口41にメダルMを払い出す。
【0049】
以上説明したように、ゲーム機1は、上部プッシャ台10よりも下段に段状に配置されている下部プッシャ台20,30を備えているので、メダルMを、上部プッシャ台10から下部プッシャ台20,30に落下させて、さらにその下部プッシャ台20,30で押し出すといった新しい態様のゲームを提供することができる。
また、ゲーム機1は、プレイ領域Fのスペースを有効に利用して、プレイヤが興味を引くように、プッシャ台10,20,30、入賞部50等を配置することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0051】
(変形形態)
(1)本実施形態において、ゲーム機は、外形が直方体であり、1人(又は2人)でプレイするタイプである例を示したが、これに限定されない。例えば、ゲーム機は、略円筒状であり、複数(例えば10人程度)のプレイヤがプレイする大型のタイプでもよい。
【0052】
(2)本実施形態において、各往復テーブルは、メダルが載置できない形態を説明したが、これに限定されない。各往復テーブルは、メダルを載置できる形態にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態のゲーム機の斜視図である。
【図2】本実施形態のプレイ領域の斜視図である。
【図3】本実施形態のプレイ領域の斜視図である。
【図4】本実施形態のプレイ領域を上側から見た図である。
【図5】本実施形態の下部往復テーブルの駆動部を示す斜視図である。
【図6】本実施形態のゲーム機のブロック図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ゲーム機
10 上部プッシャ台
11 上部固定テーブル
12 上部往復テーブル
20,30 下部プッシャ台
21,31 下部固定テーブル
22,32 下部往復テーブル
31 下部固定テーブル
50 入賞部
51 入賞孔
60 駆動部
F プレイ領域
M メダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム要素を載置する上部固定テーブルと、前記上部固定テーブル上を往復移動して前記上部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す上部往復テーブルとを有する上部プッシャ台と、
前記上部プッシャ台よりも下段であって前記上部プッシャ台が前記ゲーム要素を押し出す方向に配置され、前記上部プッシャ台によって押し出され落下した前記ゲーム要素が載置される下部固定テーブルと、前記下部固定テーブル上を往復移動して前記下部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す下部往復テーブルとを有する複数の下部プッシャ台と、
を備えるプッシャゲーム機。
【請求項2】
請求項1に記載のプッシャゲーム機において、
前記複数の下部プッシャ台は、プレイ領域を上側から見たときに、前記下部往復テーブルの往復移動の方向が前記上部プッシャ台から放射状に延びる方向になるように、配置されていること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のプッシャゲーム機において、
前記複数の下部プッシャ台を兼用して往復移動する駆動部を備えること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のプッシャゲーム機において、
前記複数の下部プッシャ台の間に配置され、前記上部プッシャ台から落下した前記ゲーム要素が入賞する入賞部を備えること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項5】
請求項4に記載のプッシャゲーム機において、
前記入賞部は、
複数の入賞孔と、
前記複数の入賞孔に前記ゲーム要素が入賞したことを検出する検出部とを備え、
前記検出部の出力に応じて、前記ゲーム要素が入賞した入賞孔に対応したプレイ進行を行う制御部を備えること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項6】
請求項5に記載のプッシャゲーム機において、
前記入賞部は、プレイ領域を上から見たときに、前記複数の入賞孔が同一の円周上に配置されており、
前記入賞部を前記円周の中心回りに回転する駆動部を備えること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項7】
請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載のプッシャゲーム機において、
前記入賞部は、プレイ領域の略中央に配置され、
前記下部プッシャ台は、少なくとも2つが前記入賞部を挟んで配置されていること、
を特徴とするプッシャゲーム機。
【請求項8】
ゲーム要素を載置する上部固定テーブルと、前記上部固定テーブル上を往復移動して前記上部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す上部往復テーブルとを有する上部プッシャ台と、
プレイ領域の略中央に配置され、前記上部プッシャ台から落下した前記ゲーム要素が入賞する入賞部と、
を備えるプッシャゲーム機。
【請求項9】
請求項8に記載のプッシャゲーム機において、
前記上部プッシャ台によって押し出され落下した前記ゲーム要素が載置される下部固定テーブルと、前記下部固定テーブル上を往復移動して前記下部固定テーブル上の前記ゲーム要素を押し出す下部往復テーブルとを有し、前記入賞部を挟んで配置された少なくとも2つの下部プッシャ台を備えること、
を特徴とするプッシャゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−110440(P2010−110440A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284862(P2008−284862)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)