説明

プライズゲーム機における可動景品陳列台

【課題】陳列される景品が従来にない陳列形態で上方向または下方向に動き、しかも陳列する景品の数をゲーム機筐体のサイズを大きくすることなく容易に増加させることができ、サイズの異なる景品も比較的自由にレイアウトして配置することができるプライズゲーム機における可動景品陳列台を提供する。
【解決手段】プライズゲーム機の景品フロア4に設置されている可動景品陳列台10は、左右に略小判形に回転するタイミングベルトに多数の陳列棒が水平に掛け渡れて構成されている。景品は各陳列棒に吊り下げ具によって陳列される。多数の景品が陳列された陳列棒は水平状態で上から下に向かって移動する。この移動する景品を狙って弾を発射し当てることにより景品を落下させ獲得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤが発射する弾を景品に当てることにより景品を獲得するプライズゲーム機の可動景品陳列台に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームセンタなどに、陳列台に陳列された景品を弾を当てるなどの操作をして落とし獲得する、いわゆるプライズゲーム機が設置されている。
この種のプライズゲーム機の景品陳列方法として景品落としゲーム機が提案されている(特許文献1)。これはゲーム機筐体の中心に、数段に渡って景品を外周部に引っかけた回転体を回転させるものであり、回転体の側方に位置して昇降可能であるとともに上下方向に沿う軸線の回りで回動される引掛けバーをプレイヤが操作し景品を吊持フックから外して落下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−131458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の回転体は、円周に多数の景品を引っ掛けたものを数段重ねて円形に回転させるもので疑似円筒形状の回転体である。これは上から見た場合、ゲーム機筐体中を真円で配置され、円の大きさによって円周の長さが決まるため、例えば比較的大きな景品などは陳列する景品の数が制限される。陳列される景品の数を多くするためには円の直径を大きくする必要があり、ゲーム機筐体の外形を大きくしなければならない。
【0005】
また、回転体の他の形状として無端走行体が示されており、チェ−ン,ベルトまたは紐に景品を吊るした段を複数設け、複数段を一体にして引掛けバーが設置されている透明窓に対し左右方向に水平に回転させるものである。この例は景品の移動する方向が右から左または左から右であり、移動方向自体が目新しいものではない。
また、段は予め決めた間隔であり、その間隔より小さい景品であるならば、その段に吊り下げることができるが、所定以上のサイズの景品は吊るすことができない。これは、多種類の大きさの景品を陳列するには不便であり、陳列のレイアウトに制約が生じる。
【0006】
本発明の目的は、上記問題点を解決するもので、陳列される景品が従来にない陳列形態で上方向または下方向に動き、しかも陳列する景品の数をゲーム機筐体のサイズを大きくすることなく容易に増加させることができ、サイズの異なる景品も比較的自由にレイアウトして配置することができるプライズゲーム機における可動景品陳列台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、垂直方向に立設された左右の支持フレームと、左右の支持フレームに交差するように取り付けられた複数の内部ガイド板と、各内部ガイド板の両端に設けた案内回転部材と、駆動部と、前記左右の支持フレームに取り付けられた各内部ガイド板の案内回転部材間に掛け渡され、前記駆動部の回転出力が伝達される閉ループ形状の左右の回転長尺部材と、前記回転長尺部材に複数の陳列棒を係止する複数の係止部とを備え、
左右の前記回転長尺部材の間に水平に適宜陳列棒を掛け渡して景品を吊り下げ、前記駆動部を駆動し前記回転長尺部材に回転力を伝えることにより、前記陳列棒を上方向または下方向に回転させ景品を上方向または下方向に移動させることを特徴とする。
本発明の請求項2は請求項1記載の発明において前記案内回転部材はベルト回転ガイドギアであり、前記回転長尺部材は前記ベルト回転ガイドギアに噛合する歯を有するタイミングベルトであることを特徴とする。
本発明の請求項3は請求項1または2記載の発明において前記駆動部はゲーム待機状態から可動景品陳列台を駆動していることを特徴とする。
本発明の請求項4は請求項1,2または3記載の発明において前記回転長尺部材が掛け渡されて作る閉形状は、略小判形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記構成によれば、景品陳列は平面や円形だけの吊り下げに比較し、より多くの景品を陳列できるため、遊技者に景品の多さをアピールできるだけでなく運営側も頻繁に景品を補充する必要がない。内部ガイド板の取り付け位置や寸法の異なる内部ガイド板を取り付けることにより、狙うタイミングが自由で変速的な回転を実現でき、遊技者に一層の興趣性を与えることかできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明によるプライズゲーム機における可動景品陳列台を用いたプライズゲーム機の外観斜視図である。
【図2】本発明による可動景品陳列台の実施の形態を示す側面図である。
【図3】図2の各機構の詳細を説明するための図である。
【図4】可動景品陳列台の陳列棒に吊した各種景品の一例を説明するための図である。
【図5】回転体形状の他の例を示す図である。
【図6】プライズゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるプライズゲーム機における可動景品陳列台を用いたプライズゲーム機の外観斜視図である。
可動景品陳列台10は、景品フロア4内の中央部より若干後側に配置されている。景品を当てて落とすための弾発射装置はプライズゲーム機1の前部に設けられているが、この図では省略されている。プライズゲーム機1内部は周辺透明ウインドウ5によって外部と遮蔽され、プレイヤは各方向から内部を見ることができる。前面にコンパネ部2が配置され、その下に景品取出口3が設けられている。弾発射装置で発射された弾が可動景品陳列台10に陳列されている景品に当たり落下すれば、落下した景品は景品取出口3より取り出すことができる。
【0011】
可動景品陳列台10はプライズゲーム機の両側に支持フレーム11,11が立設され、支持フレーム11,11の上方および下方に交差するようにそれぞれ2つの内部ガイド板12,13が取り付けられている。
内部ガイド板12,13の両端にベルト回転ガイドギア(図2参照)が回動可能に設けられている。内部ガイド板12,13の両端のベルト回転ガイドギアの間にタイミングベルト14,14が掛け渡されている。タイミングベルト14,14の間に複数の陳列棒15が掛け渡され、この陳列棒15に各景品が吊り下げられる。
タイミングベルト14,14はプライズゲーム機1の筐体の上方向または下方向に回転させられ、それに従って景品も上方向または下方向に移動する。
【0012】
図2は本発明による可動景品陳列台の実施の形態を説明するための側面図である。
左側のタイミングベルト側の機構を示すもので、右側のタイミングベルト側の機構も向きが異なるだけで左側のタイミングベルト側の機構と同じ構成である。なお右側のタイミングベルト側の機構には駆動部分の機構が設置されていない。
支持フレーム11がプライズゲーム機1の筐体の左側に垂直方向に取り付けられている。支持フレーム11の上部と下部に水平方向に、両端にベルト回転ガイドギア20,20,21,21が回動可能に取り付けられた内部ガイド板12,13が取り付けられている。ベルト回転ガイドギア20,20,21,21の間に、内側に平歯が設けられているタイミングベルト14が掛け渡され、タイミングベルト14の平歯と各ベルト回転ガイドギア20,20,21,21が噛合し、小判形状の回転体が形成される。
【0013】
左右のタイミングベルト14,14に所定間隔で係止爪24が設けられ、係止爪24に陳列棒15の端部を差し込むことにより、多数の陳列棒15がタイミングベルト14,14間に水平に掛け渡される。(図3参照)
プライズゲーム機1の筐体に駆動ギア16が設けられ、駆動ギア16はタイミングベルト14の歯に噛合させられている。
【0014】
図3に図2の各機構部分の詳細を示す。
駆動ギア16の軸16aに伝達ギア29が固定され、伝達ギア29はギア17に噛合している。駆動部はプライズゲーム機1の筐体に固定され、モータ18,モータ18の出力を減速するギア群19およびギア群19の出力に取り付けられたギア17より構成されている。
タイミングベルト14に形成されている平歯14aにベルト回転ガイドギア20,20,21,21が噛合してタイミングベルト14の回転を案内する。
モータ18を一方向に回転させてギア17を反時計方向に回転させると、駆動ギア16は時計方向に回転するため、タイミングベルト14は矢印28に示すように回転し、景品陳列台の陳列棒はプレイヤに対し上から下へと動く。
【0015】
図4(a)に各種類の景品陳列の一例を示す。
可動景品陳列台10を構成する陳列棒15に各種類の景品が吊り下げられる。この例は2個の猫のぬいぐるみ22,人形23および犬のぬいぐるみ25が吊り下げられている。
各景品を吊り下げ具は図4(b)に示すようなものが使用される。
吊り下げ具26の引掛部26aは直線傾斜形状であり、景品が所定以上の圧力で押されると外れやすいものである。
吊り下げ具27の引掛部27aはU字形状であり、景品が所定以上の圧力で押され続けられないと、外れにくいものである。
吊り下げ具28の引掛部28aは波形状であり、景品を外すには最初から連続して所定以上の力が加わることが必要である。
吊り下げ具29の引掛部29aは山の字形状であり、上記形状のものに比較し、比較的弱い力でも簡単に外れるものである。
【0016】
図6はプライズゲーム機の回路の実施の形態を示すブロック図である。
CPU37は弾を発射し景品に当てて落下させることにより景品を獲得するゲーム機のソフトをROM38より読み出し実行することによりゲーム制御部37aが実現され、ゲーム制御部37aは待機状態で駆動回路を31を制御してモータ18を駆動している。モータ18の駆動により、可動景品陳列台10のプレイヤに向き合った部分はゲーム機の上から下に向けて移動をしている。コンパネ部2にコイン投入部33,操作部32および液晶表示部41が設置されている。
【0017】
プレイヤがコイン投入部33にコインを投入することによりコイン関連装置34は投入されたコインの数を検知し入出力処理装置23を介しコイン投入情報がゲーム制御部37aに送られる。バックアップメモリ36は投入されたコインの数などを記憶するものである。ゲーム制御部37aはコイン投入によりプレイできるゲームの回数などを液晶駆動部40を駆動することにより液晶表示部41に表示する。液晶表示部41にはプレイヤがゲームを行うに際し、必要な情報が表示される。
プレイヤは図示しない弾発射装置を動作させる操作部32を操作することにより、各種類の景品が吊り下げられている陳列棒が水平に上から下に向けて移動するように回転している可動景品陳列台10のいずれかの景品に狙いを定め、弾を発射させることができる。
可動景品陳列台10の陳列棒が上から下に移動しているためプレイヤは景品の動いている位置を考慮して狙いを定めタイミングを図って発射ボタンを押すという操作を行うこととなる。
【0018】
本発明は上記のように水平方向に掛け渡された陳列棒に景品を吊るしている吊り下げ具を挿入して景品を陳列し、陳列棒を多段に設置し上下方向に移動させる構成であるため、1つの陳列棒に密度を上げて多数の景品を陳列でき、必要に応じて一部の陳列棒を外すことにより、決められた陳列棒の間隔ではつっかえる大きい景品も陳列することが可能である。
また、この実施の形態ではタイミングベルトを小判形に回転させているが、上下の内部ガイド板12と13の長さを異なるようにすれば、例えば、図5(a)に示すような、なす型形状で回転させることができる。かかる場合には、陳列棒が下降するに従って手前に徐々に迫り出すような動きとなる。
さらに上下の内部ガイド板12と13の間にもう1本、ガイド板12,13より寸法が長い内部ガイド板を取り付ければ、タイミングベルトは図5(b)に示すように小判形の形状に中央部分が突出した形状で回転し、下降する陳列棒は中央部分に近づくと前方に少しずつ迫り出し、中央部分で最も突出し、さらに下降すると少しずつ後ろに移動し最下降部分に至る動きとなり、従来にない景品の動きを作ることができる。
さらには回転形状が楕円形になるように内部ガイド板を配置することにより楕円形で回転させることもできる。
【0019】
以上の実施の形態は、プライズゲーム機が待機状態のときから可動景品陳列台を繰り返し移動させている例について説明したが、待機状態で可動景品陳列台を停止させておき、コイン投入でゲーム開始時、可動景品陳列台を動かすようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0020】
イベント会場やゲームセンタに設置されるプライズゲーム機である。
【符号の説明】
【0021】
1 プライズゲーム機
2 コンパネ部
3 景品取出口
4 景品フロア
5 周辺透明ウインドウ
10 可動景品陳列台
11 支持フレーム
12,13 内部ガイド板
14 タイミングベルト
16 駆動ギア
17,29 ギア,
18 モータ
19 ギア群
20,21 ベルト回転ガイドギア
22 猫のぬいぐるみ
23 人形
25 犬のぬいぐるみ
26,27,28,29 景品吊り下げ具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に立設された左右の支持フレームと、
左右の支持フレームに交差するように取り付けられた複数の内部ガイド板と、
各内部ガイド板の両端に設けた案内回転部材と、
駆動部と、
前記左右の支持フレームに取り付けられた各内部ガイド板の案内回転部材間に掛け渡され、前記駆動部の回転出力が伝達される閉ループ形状の左右の回転長尺部材と、
前記回転長尺部材に複数の陳列棒を係止する複数の係止部と、
を備え、
左右の前記回転長尺部材の間に水平に適宜陳列棒を掛け渡して景品を吊り下げ、前記駆動部を駆動し前記回転長尺部材に回転力を伝えることにより、前記陳列棒を上方向または下方向に回転させ景品を上方向または下方向に移動させることを特徴とするプライズゲーム機における可動景品陳列台。
【請求項2】
前記案内回転部材はベルト回転ガイドギアであり、
前記回転長尺部材は前記ベルト回転ガイドギアに噛合する歯を有するタイミングベルトであることを特徴とする請求項1記載のプライズゲーム機における可動景品陳列台。
【請求項3】
前記駆動部はゲーム待機状態から可動景品陳列台を駆動していることを特徴とする請求項1または2記載のプライズゲーム機における可動景品陳列台。
【請求項4】
前記回転長尺部材が掛け渡されて作る閉形状は、略小判形であることを特徴とする請求項1,2または3記載のプライズゲーム機における可動景品陳列台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−259584(P2010−259584A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112075(P2009−112075)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(310009993)株式会社タイトー (207)