説明

プラズマディスプレイパネルとその製造方法

【課題】放電に直接寄与しない無効電力を低減し、かつ、耐電圧が高く、絶縁破壊しにくい、信頼性の高いプラズマディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【解決手段】放電空間を挟んで対向配置された前面板2と背面板3と、前記前面板2におけるガラス基板10の内面に形成された複数の表示電極対4と、前記表示電極対4を覆って形成された誘電体層17を少なくとも有するプラズマディスプレイパネルであって、少なくとも前記前面板の誘電体層は二層以上存在し、前記ガラス基板10の表面を覆っている誘電体層18の比誘電率は前記ガラス基板10の比誘電率よりも小さく、前記ガラス基板10の表面を覆っている誘電体層18に表示電極対4の少なくとも一部を埋め込むように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体放電からの放射を利用したプラズマディスプレイ(気体放電表示)パネルとその製造方法に係わり、特に消費電力を減少することが出来る前面板の構成とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の気体放電からの放射を利用した平面表示装置としてプラズマディスプレイ装置あるいはプラズマディスプレイパネル(以下PDPと記す)の商品化が図られている。PDPには直流型(DC型)と交流型(AC型)があるが、大型表示装置として、現時点ではAC型PDPがより高い技術的ポテンシャルを持つ。さらに、AC型の内でも特に寿命特性のすぐれた面放電型PDPが商品としての主流になりつつある。
【0003】
図7は、従来の面放電型AC型PDPの放電単位である放電セル構造を示す断面概念図である。図7(b)は、図7(a)において、x−yで示した面で切断した断面概念図である。以下に、従来のプラズマディスプレイパネルについて、図7の放電セル71を使って説明する。前面板2のガラス基板10の表面に、透明導電性材料からなる表示電極4としての走査(スキャン)電極5と維持(サステイン)電極6が対をなして例えばストライプ状に形成され、これらの電極対を覆うように誘電体層7および保護膜8が積層された構造となるように形成されている。上記対をなす表示電極4は、ITO(インジュウム錫酸化膜)などによる電気抵抗が比較的高い膜厚約1000Åの透明電極75、76であり、それらの上に電力を供給するために通常、細い幅で膜厚約5μmの金属電極であるバス電極9がAgペーストを印刷焼成する厚膜プロセスなどにより形成されている。前面板2において、壁電荷を蓄積するための誘電体層7は、鉛系ガラス材料による低融点ガラス層が膜厚約40μmで形成されたものであり、AC型PDP特有の電流制限機能を有するようにしている。また、誘電体層7、保護膜8は、放電によって発生した高エネルギーのイオンによって上記電極対の表面がスパッタリングされ劣化するのを防止する働きをする。保護膜8は、薄膜プロセス、または印刷法で形成された電気絶縁性で透明な膜厚数千ÅのMgO膜が通常使用され、上記電極面を保護する働きと共に、放電セル内に2次電子を効率よく放出し、放電開始電圧を低下させる働きをする。
【0004】
背面板3のガラス基板11上には、画像データを書き込むためのデータ電極12がストライプ状に形成され、さらにデータ電極12を覆うように背面側の誘電体層13が積層される。隣接する放電セル(図示省略)との間の誘電体層13上には、所定の高さの隔壁14がストライプ状や井桁状(図示省略)などに形成され、さらに誘電体層13の表面と隔壁14の側壁には、蛍光体層15が塗布された構造となっている。
【0005】
上記のように構成した前面板2と背面板3は、加工面を対向させて、かつ走査電極5および維持電極6と、データ電極12とが互いに直交するように配置されて封着され、パネル内の大気や不純物ガスを排気した後、放電用ガスとして、希ガスのキセノン・ネオンあるいはキセノン・ヘリウムなどの混合ガスが封入され、封止される。
【0006】
ここで、表示するために直接発光させるのは、前面板2上の走査電極5と維持電極6によってであり、データ電極12は、放電表示単位である放電セル71を選択するための電極であり表示発光には直接寄与していない。放電単位である放電セル71を複数個マトリックス状に配列してプラズマディスプレイパネルとし、プラズマディスプレイ装置を完成させる。プラズマディスプレイ装置には、図には省略しているが、プラズマディスプレイパネルにおける放電セルをマトリックス状に駆動する駆動回路や、これらを制御する制御回路などが備わっている。
【0007】
上記AC型PDPは、3つの動作期間(図示省略)、つまり(1)全表示セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セルをアドレスし、各セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくデータ書き込み期間、(3)表示状態にある放電セルを表示発光させる維持放電期間、とから構成されるアドレス・表示分離駆動方式により、駆動表示されている。
【0008】
上記(1)の初期化期間において、走査電極5とデータ電極12との間には、400〜600Vの高電圧が印加され、全表示セルの壁電荷の量が初期化状態のレベルになる。
【0009】
上記(2)のデータ書き込み期間において、背面板3のデータ電極12を使って書き込みデータが入力され、対向する前面板2の誘電体層7,保護膜8の表面に壁電荷が形成される。上記(3)の維持放電期間において、上記壁電荷が存在する放電セルで、対をなす表示電極4の走査電極5および維持電極6のそれぞれに電極電圧パルス約200Vの矩形波電圧が互いに位相が異なるように印加される。すなわち上記電極対間に交流電圧を印加することにより、表示状態が書き込まれた放電セルに、電圧極性が変化するたびにパルス放電を発生せしめる。この維持放電により、表示発光は、放電空間の励起キセノン原子からは147nmの真空紫外輝線スペクトルが、励起キセノン分子からは173nm主体の真空紫外線が放射され、次いで上記紫外放射を背面板3に設けた蛍光体層15で可視放射に変換することにより得られる。誘電体層7,保護膜8に壁電荷が書き込まれていない放電セルでは、維持放電が発生せず表示状態は黒表示となる。なお、AC型PDPの表示画素単位は、それぞれに赤、緑及び青発光の蛍光体層を設けた3つの表示放電単位である放電セルから構成される。保護膜8の表面は放電空間に露出していて、誘電体層7を放電時のイオン衝撃から保護するとともに、2次電子を効率よく放出することにより、放電開始電圧を下げる働きをする。中でも、金属酸化物であるMgO(酸化マグネシウム)は2次電子放出係数γが大きな材料であるとともに、耐スパッタ性も高く光学的な透明材料であるので、保護膜8の材料として広く用いられている。
【0010】
しかし、上記従来のPDPにおいて、表示電極4の走査電極5および維持電極6のそれぞれに電極電圧パルスが互いに位相が異なるように印加されるのでこれらの電極間の静電容量を充電するように変位電流が流れる。この変位電流は画像の表示には直接は寄与しないために無効電力となり、走査電極5や維持電極6の抵抗性分や制御回路に損失を発生させ、無効電力が生じる。
【0011】
このような電力損失を低減するためにガラス基板上に比誘電率の小さな誘電体を形成し、その誘電体上に複数の表示電極対を形成することにより、無効電力を低減している(例えば、特特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−197110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながらこのような構成にすると、誘電体層が二層になるために前面板の厚みが増す。そこで、厚みの増加を低減させるためには表示電極を覆っている誘電体層を薄くする必要があるが、誘電体層の厚みを薄くすると、印刷から形成されるAg電極からなるバス電極は膜厚が約5μmと厚いために、その上に形成する誘電体層の厚さはバス電極の部分のみ誘電体層に数μm以上の膜厚の差が生じ、特に膜厚の薄い部分において耐電圧が低下して、パネルの耐電圧を低下させるという課題がある。
【0013】
本発明はこのような問題に鑑みなされたもので、PDPの少なくとも前面板として、そのガラス基板の表面を覆っている誘電体層に表示電極対の少なくとも一部が埋め込まれていることにより、耐電圧性の高く、かつ、より消費電力低減効果のあるプラズマディスプレイパネルとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
【0015】
すなわち、本発明のプラズマディスプレイパネルは、前面板と背面板とが,放電空間を挟んで対向配置されてなるプラズマディスプレイパネルであって、前記前面板には少なくとも二層以上の誘電体層が存在し、前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の比誘電率は前記ガラス基板の比誘電率よりも小さく、複数の表示電極対が少なくとも一部を前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれた状態で配設され,かつ、前記表示電極は前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層により前記ガラス基板から隔離されるように構成したことを要旨とするものである。
【0016】
これにより、放電空間に面している誘電体層の膜厚の差が減少するので耐電圧が良好なプラズマディスプレイとする事ができる。また、表示電極の少なくとも一部が比誘電率の小さい、誘電体層に埋め込まれるので、無効電力低減効果に優れたプラズマディスプレイとすることが出来る。
【0017】
また、具体的には、誘電体層の誘電率はガラス基板の表面を覆っている誘電体層の比誘電率が放電空間に面している誘電体層の比誘電率より小さいことを特徴とする。
【0018】
また、表示電極は、透明電極とそれよりも幅狭のバス電極から構成され、具体的には、バス電極はガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれ、透明電極は、バス電極および、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の少なくとも一部とを覆うように配設されていることを特徴とする。また、別に具体的には、透明電極とバス電極は、共にガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に少なくとも一部は埋め込まれるように構成されていることを特徴とする。また、別に具体的には、バス電極はガラス基板の表面を覆っている誘電体層に一部埋め込まれ、透明電極は、バス電極の横に配列形成されていることを特徴とする。また、別に具体的には透明電極はガラス基板の表面を覆っている誘電体層に少なくとも一部は埋め込まれ、バス電極は透明電極上に形成され、バス電極は透明電極により、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層から隔離された構造を有することを特徴とする。なお、ここでは表示電極対として透明電極とそれよりも幅狭バス電極とからなる構成に関して述べているが、透明電極を用いずに例えばAgのみを用いた表示電極対などでも本発明は適用可能である。
【0019】
また、詳細にはガラス基板の表面を覆っている誘電体層の厚みが放電空間に面している誘電体層の厚みよりも小さいことを特徴とする。また、好ましくはガラス基板の表面を覆っている誘電体層の厚みがバス電極をガラス基板から隔離するためには少なくとも1μmは必要であり、またこの誘電体層の厚みが厚すぎると前面板自体が厚くなってしまい、われなどの問題が生じるので15μmまでが妥当であり、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の厚みは1〜15μmの範囲が良い。放電空間に面している誘電体層の厚みは耐電圧性の観点から少なくとも10μmは必要であり、あまり厚すぎるとやはりわれの問題や光取り出し効率の観点から良くないので、50μmまでが妥当である。よって放電空間表面に面している誘電体層の厚みは10〜50μmの範囲が良い。また、別に好ましくはガラス基板の表面を覆っている誘電体層の比誘電率が1〜5であり、放電空間に面している誘電体層の比誘電率が5〜15であることを特徴とする。
【0020】
本発明のプラズマディスプレイの製造方法は,前面板と背面板とが放電空間を挟んで対向配置されてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記前面板を形成する工程は、前記前面板に誘電体層を少なくとも二層以上形成する工程と、前記ガラス基板を覆っている前記誘電体層に複数の表示電極の少なくとも一部を埋め込んだ状態で形成する工程とを、少なくとも有することを特徴とするものである。
【0021】
これにより、無効電力を低減する効果を有し、かつ誘電体層の放電空間側の厚さ分布が小さくなるので、耐電圧を向上させて絶縁破壊を防止する効果を有するプラズマディスプレイパネルを製造することが出来る。
【0022】
また、透明電極とそれよりも幅狭のバス電極から形成される表示電極対を形成する工程は、具体的にはバス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込む工程と、透明電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれたバス電極およびガラス基板の表面を覆っている誘電体層の少なくとも一部とを覆うように形成する工程を含むことを特徴とするものである。また、別に具体的には、透明電極とバス電極を共にガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込み形成する工程を含むことを特徴とするものである。また、別に具体的には、バス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層へ一部埋め込む工程と、透明電極をバス電極の横に配列形成する工程を含むことを特徴とするものである。また、別に具体的には、透明電極の少なくとも一部をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込み、バス電極を透明電極上に形成し、透明電極により、バス電極はガラス基板の表面を覆っている誘電体層と隔離された構造となるように形成する工程を含むことを特徴とするものである。また、好ましくは、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に表示電極の少なくとも一部を埋め込む工程は、サンドブラスト法、エッチング法、レーザ加工法の内の少なくとも1種の方法によりガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に溝を形成する工程を少なくとも含むことを特徴とするものである。また、好ましくは、バス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層の溝部に埋め込む工程は、スクリーン印刷法、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、CVD法の内の少なくとも1種の方法を含む工程であることを特徴とするものである。また、別に好ましくは、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層にバス電極を埋め込む工程は、ガラス基板の表面を覆うように誘電体層を形成し、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層上にバス電極をスクリーン印刷法によりペーストを塗布し、焼成することにより、バス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込む工程を有することを特徴とするものである。
【0023】
なお、銀の誘電体中への拡散のためにおこる黄変の改善のためにバス電極をガラス基板中へ埋め込むという考えが開示されている(例えば特開2001−143610)が、本発明ではガラス基板上の誘電体層に電極を埋め込むことで製造を容易に行うことが出来るという利点がある。
【0024】
なお、以上に述べた各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように本発明のプラズマディスプレイパネルによれば、表示電極対の少なくとも一部はガラス基板の比誘電率より小さい比誘電率を有するガラス基板を覆っている誘電体層の中に埋め込まれているので放電に直接は寄与しない無効電力を低減する効果を有し、かつ放電空間側の誘電体の膜厚の差が小さくなるので、耐電圧が高くて信頼性が高いプラズマディスプレイパネルを容易に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDPの放電セルの構成を示す断面概念図である。図1(a)は、隔壁14に垂直な面で切断した断面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるx−yで示した面で切断した断面図である。図7と同じ構成のものは、同じ参照番号を付与している。なお、図1ではセルが1つだけ表示されているが、赤,緑,青の各色を発光するセルが多数配列されてPDPパネルが少なくとも構成される。
【0028】
図1において、放電セル1における前面板2側のガラス基板10の内面上に、少なくとも二層以上の誘電体層が形成されており、ガラス基板10の内表面を覆っている誘電体層18の比誘電率はガラス基板10の比誘電率よりも小さく、かつ、表示電極対4の少なくとも一部(ここではバス電極19)がガラス基板のない表面を覆っている誘電体層18に埋め込まれている。誘電体層18はガラス基板10よりも比誘電率の小さい透明性のガラス材料をペースト状としたものをスクリーン印刷、あるいはシート状のものをラミネートするシートラミネート方式などでガラス基板10上の所定の場所に形成し、所定の温度で焼成することにより形成する。バス電極19をガラス基板10の内表面を覆っている誘電体層18に埋め込む方法としては、例えば誘電体層18の内面上に少なくともバス電極19を埋め込むことが出来る深さ数μmの形状を有し、平行に配列するストライプ状の溝が、サンドブラスト法などの方法により少なくとも2本形成して設けられる。図示しないが詳細には以下のとおり形成される。誘電体層18を洗浄した後、感光性被覆層として厚さ約50μmのネガ型ドライフィルムレジストを誘電体層18の内面上にラミネートして形成する。このドライフィルムにフォトマスクを用いて開口幅約100μmのストライプ状のレジストパターン穴を形成する。その上一面に、シリカ粒子やアルミナ粒子などを一様に吹き付けるサンドブラスト法により、レジストパターン穴下の硬い誘電体層18表面にはストライプ状の溝が掘られ、柔らかいフィルムは粒子により掘られることなく残る。溝の深さや精度は使用する粒子材料やその粒径、吹き付ける条件により調節することができる。その後、基板を剥離液に浸水することにより表面のドライフィルムを剥がし、さらに洗浄して上記粒子を洗い流して、溝を内面に有した誘電体層18が形成される。
【0029】
次に、電気抵抗を下げるためのバス電極19が抵抗の低い銀やアルミニウムや銅などの単膜構成膜、あるいはクロムと銅の二層構成、クロムと銅とクロムの3層構成などの積層構成膜を、印刷・焼成方式やスパッタリングなどの薄膜形成技術で誘電体層18に形成された溝に形成される。
【0030】
また、誘電体層18にバス電極19を埋め込む別の方法として、バス電極材料をペースト状にしたものをスクリーン印刷、露光、現像により誘電体層18上の所定の場所に形成し、所定の温度で焼成することにより、誘電体層18とバス電極19との融点や質量の違いにより、誘電体層18に溝を形成することなく、バス電極19を誘電体層18に埋め込むことができる。
【0031】
次に、図1に示すように、表示電極4としての走査(スキャン)電極5と維持(サステイン)電極6である透明電極151、161が対をなして、誘電体層18の表面と平坦になるように誘電体層18に埋め込まれた各バス電極19が形成された表面と誘電体層18の表面の少なくとも一部とを覆うように配設される。このように、バス電極と透明電極は、透明電極の放電空間側表面と誘電体層表面とがほぼ平坦になるように配設されるので、この後に形成される放電空間側の誘電体層17の膜厚の差を低減することができ、誘電体層としての耐電圧を向上させ、絶縁破壊を防止することができるようになる。
【0032】
透明電極151、161は、ITO(インジュウム錫酸化膜)、SnO(酸化錫)、ZnO(酸化亜鉛)系材料などを含み、スパッタリング法や蒸着成膜技術で成膜され、フォトリソグラフィ技術により幅広の例えばストライプ状に、前面板2側のガラス基板10の内面上で一定の間隔(放電ギャップ)を挟んで向かい合って形成されて配置される。
【0033】
次に、誘電体層18に埋め込まれたバス電極19と、バス電極19と誘電体層18の表面上の少なくとも一部に形成された透明電極151、161からなる対の表示電極4を覆うように、誘電体層17がスクリーン印刷などにより塗布焼成される。次に、誘電体層17の上に、金属酸化物であるMgO(酸化マグネシウム)を含む保護膜8が形成される。保護膜8の材料やその膜厚は適切に選択され設計される。
【0034】
他方の背面板3側のガラス基板11の内表面には、各放電セル1つ当たり、上記前面板2に設けた走査電極5および維持電極6に直交して、Cr−Cu−CrやAgなどから形成した第3の電極であるデータ(アドレス)電極12がフォトリソグラフィ技術や印刷技術により形成配列される。なお、上記電極には、電極材料として、Au(金)、Ag(銀)、Cr(クロム)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Pt(白金)や、これらの組み合わせも必要に応じて使用できる。
【0035】
さらに、背面板3のガラス基板11の内表面には、データ電極12を覆って、誘電体層13が印刷形成され、さらにほぼ一定の高さを有する隔壁14が形成配置される。放電セルの複数個の配列を列方向にストライプ状あるいは井桁状(図示省略)などに仕切る所定のパターンで、サンドブラスト法やフォトリソグラフィ法などによりリブ形状に形成される。そして、赤、緑、青発光の各蛍光体層15として、(Y、Gd)BO:Eu、ZnSiO:MnおよびBaMgAl1424:Euなどの蛍光体が使用される。隔壁14をパターン状に形成した背面板3に対して、上記蛍光体色毎に印刷塗布、焼成工程を通し、隔壁14の側面、誘電体層13の表面に、蛍光体層15が形成される。
【0036】
そして、詳細な説明は省略するが、上記各種電極などを備えた前面板2と、隔壁14や蛍光体層15などを備えた背面板3とを対向させ、その周囲をシールし貼り合わせて封着し、高真空に排気した後、発光板容囲器(図示省略)の内部に放電ガスとして、希ガスのキセノン・ネオンを含む混合ガスを約60kPaの圧力で封入し、封止される。上記の蛍光体材料やガス、その圧力は上記に特定するものではなく、AC型PDPで通常使用できる材料、条件が適用できる。
【0037】
図1の実施の形態1のAC型PDPにおいて、複数個の放電セル1を形成配列し、図示しないが、マトリックス状に駆動する駆動回路やこれらを制御する制御回路を備える。上記PDPを、3つの動作期間(図示省略)、つまり(1)全表示セルを初期化状態にする初期化期間、(2)各放電セル1をアドレスし、各セルへ入力データに対応した表示状態を選択・入力していくデータ書き込み期間、(3)表示状態にある放電セル1を表示発光させる維持放電期間、とから構成したアドレス・表示分離駆動方式により、駆動発光表示させる。上項(3)の維持放電期間において、対をなす走査電極5および維持電極6のそれぞれに電極電圧パルスの矩形波電圧を互いに位相が異なるように印加する。すなわち上記電極対間に交流電圧を印加し、表示状態データが書き込まれた放電セル1に、電圧極性が変化するたびにパルス放電を発生せしめる。この維持放電により、表示発光は、放電空間の励起キセノン原子からは147nmの真空紫外輝線スペクトルが、励起キセノン分子からは173nm主体の真空紫外線が放射され、次いで上記紫外放射を背面板3に設けた蛍光体層15で可視放射に変換することによりPDPの表示が得られる。
【実施例】
【0038】
以下に本発明の具体例を述べる。
【0039】
実験として、上述したPDPの作成技術を用いて、実施の形態1の放電セルによるPDPを作成した。放電セル1の前面板として、少なくともガラス基板上に[B−ZnO−SiO]材料を含む低比誘電率の誘電体層18を厚さ約10μmで、スクリーン印刷法により塗布焼成して形成し、Agからなる、バス電極材料をペースト化したものをスクリーン印刷方法で誘電体層18上の所定の場所に形成し、所定の温度で焼成することにより、バス電極19を誘電体層18に埋め込み、埋め込んだバス電極19の表面の少なくとも一部と誘電体層18の表面の少なくとも一部を覆うように、ITOからなる膜厚約1000Åの透明電極151、161を形成した。次にその上に[SiO−Bi−B]材料を含む膜厚約30μmの誘電体層17を塗布焼成して形成し、次に金属酸化膜であるMgOを含む保護膜8を約6000Åの膜厚で形成した。
【0040】
その結果、本発明によるPDPでは、放電に直接的には寄与しない無効電力を低減することができ、また、放電空間側の誘電体層17の膜厚の差が低減されるので、薄い膜厚の誘電体層を形成したとしても、PDPの駆動時において絶縁破壊の問題が低減され、耐電圧が向上した。
【0041】
図2は本発明の実施の形態1における放電セルの前面板における別の構成を示す断面概念図である。図2(a)における前面板2の断面構成図は、図1(b)の前面板と上下を逆にして示している。図1(b)と同じものには同じ参照番号を付与していて、簡略のために一部省略している。図2(a)が図1と異なるのは、透明電極が、バス電極を覆ってバス電極と共にガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれ、透明電極の放電空間側表面と誘電体層182の表面とが平坦になっていることである。図2(a)において、対の表示電極4である透明電極152、162は、バス電極192を覆ってバス電極と共に誘電体層182に埋め込まれ、透明電極152、162の放電空間側表面と誘電体層182の表面とが平坦になるように配設される。そして、平坦になるように形成された透明電極152、162と誘電体層182の表面上に、誘電体層17と保護膜8が順に形成される。ここで形成される誘電体層17の膜厚分布はほぼ均一となる。また、図2(b)が図2(a)と異なるのは、透明電極が、バス電極と共に溝に埋め込まれ、透明電極の放電空間側表面、バス電極の表面および誘電体層182の表面とが平坦になっていることである。図2(b)において、対の表示電極4である透明電極152、162は、バス電極192と一緒に共に誘電体層182に埋め込まれ、透明電極152、162の放電空間側表面と、バス電極192の表面と、誘電体層182の表面とが平坦になるように配設される。そして、平坦になるように形成された透明電極152、162とバス電極192と誘電体層182とが並んだ表面に、誘電体層17と保護膜8が順に形成される。これにより、形成される誘電体層の膜厚分布はほぼ無くなり、誘電体層の膜厚はほぼ均一となる。
【0042】
このように、透明電極が、膜厚の厚いバス電極と共に溝に埋め込まれ、透明電極の放電空間側表面と誘電体層182表面とがほぼ平坦になるように配設されることにより、膜厚分布が無くなるので、膜厚が薄い誘電体層はほぼ平坦となって耐電圧を向上させ絶縁破壊を防止することができる。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態1における放電セルの前面板におけるさらに別の実施例の構成を示す断面概念図である。図3における前面板2の断面構成図は、図1(b)の前面板と上下を逆にして示している。図1(b)と同じものには同じ参照番号を付与していて、簡略のために一部省略している。図3が図1、2と異なるのは、透明電極が、バス電極の横に配列形成されて、透明電極の放電空間側表面とバス電極の表面が、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の表面の少なくとも一部とほぼ平坦になるように配設されることである。図3において、対の表示電極4の透明電極153、163は、誘電体層183に一部埋め込まれたバス電極193の埋め込まれていない電極部分の横に配列形成されて、透明電極153、163の放電空間側表面とバス電極193の表面が、ガラス基板10の表面とほぼ平坦になるように配設される。そして、ほぼ平坦に形成された透明電極153、163とバス電極193と誘電体層183の表面上に、誘電体層17と保護膜8が順に形成される。ここで形成される誘電体層の膜厚の差は、透明電極の膜厚の差程度の小さいものとなる。
【0044】
このように、透明電極が、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に一部埋め込まれた膜厚が厚いバス電極の横に配列形成されて、透明電極の放電空間側表面とバス電極の表面とが、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の表面とほぼ平坦になるように配設されることにより膜厚分布がほぼ無くなるので、膜厚が薄い誘電体層はほぼ平坦となって耐電圧を向上させ絶縁破壊を防止することができる。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態1における放電セルの前面板におけるさらに別の構成を示す断面概念図である。図4における前面板2の断面構成図は、図1(b)の前面板と上下を逆にして示している。図1(b)と同じものには同じ参照番号を付与していて、簡略のために一部省略している。図4が図1〜図3と異なるのは、透明電極の一部が、溝の両側の側壁および底辺に設けられ、バス電極の少なくとも一部が透明電極溝部に積載するように配設されており、バス電極は透明電極により、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層から隔離された構造を有することである。図4において、対の表示電極4である透明電極154、164の一部が、誘電体層184の両側の側壁および底辺に設けられ、バス電極194が透明電極溝部254、264に積載されるように配設され、バス電極194は誘電体層184から透明電極154、164により隔離される。そして、透明電極154、164とバス電極194と誘電体層184の表面上に、誘電体層17と保護膜8が順に形成される。
【0046】
上記、図1〜図4に示した前面板の構成により、少なくともバス電極はガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれるため、無効電力を低減することができ、バス電極と透明電極は、透明電極の放電空間側表面とガラス基板の表面を覆っている誘電体層とが平坦またはほぼ平坦になるように配設されるので、誘電体層の膜厚分布を低減することができ、誘電体層として耐電圧を向上させ、絶縁破壊を防止することができる。
【0047】
以上、本実施の形態1の構成により、つまり前面板として、そのガラス基板の表面を覆っている誘電体層に少なくともバス電極を埋め込むことにより、放電に直接寄与しない無効電力を低減することができ、かつ、膜厚が厚いバス電極の少なくとも一部がガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれているために誘電体層の膜厚分布が低減するので、耐電圧を向上させて絶縁破壊を防止する効果を有するプラズマディスプレイパネルとすることができる。
【0048】
なお、上記実施例において、表面ガラス基板を覆っている誘電体層の膜厚を約10μmとして説明したが、バス電極の少なくとも一部を埋め込むことができ、放電空間側の膜圧よりも小さい膜厚であれば良く、1μmより小さい膜厚では無効電力の低減効果が小さく、15μmより大きい膜厚では放電空間側の誘電体層の膜厚とあわせて、膜厚が大きくなりすぎ、誘電体層の割れやうねりなどの問題が発生する。望ましくは3〜12μmの範囲が好ましく、この範囲において無効電力、耐電圧、壁電荷量、印加電圧はさらに適正な範囲として設定できる。
【0049】
また、上記実施例において、誘電体層18を[B−ZnO−SiO]材料を含む非鉛系の低融点ガラスからなり、誘電体層17を[SiO−Bi−B]材料からなる非鉛系の低融点ガラスからなると説明したが、一般的にPDPに使われているソーダライムガラスを用いても同様に実施可能である。しかし、B、ZnOおよびBiの内の少なくとも1種の材料を含む非鉛系ガラス材料から形成したほうが環境汚染を低減する意味から好ましい。また、図1に図示した構造ではバス電極19は誘電体層17と透明電極により隔離されているのでアルカリ含有非鉛系ガラス材料から形成しても良い。同様に図4に図示した構造ではバス電極194は誘電体層184と透明電極により隔離されているので、アルカリ含有非鉛系ガラス材料から形成しても良い。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態2においては、実施の形態1の図1から4の前面板を形成する製造方法を各種記述する。
【0051】
図5は本発明の実施の形態2のPDPに関わる放電セルの前面板を形成する工程を示す断面概念図である。図5に示す前面板2の作成工程を示す断面概念図は、図1(b)の前面板と上下を逆にして示している。図1(b)と同じものには同じ参照番号を付与していて、簡略のために一部省略している。
【0052】
図5(a)は前面板のガラス基板の表面であり、図5(b)に示すように、ガラス基板のない表面上に、ガラス基板10よりも比誘電率の小さい、例えば[B−ZnO−SiO]などの材料を含む透明性のガラス材料をペースト状としたものをスクリーン印刷でガラス基板10上の所定の場所に形成し、所定の温度で焼成することにより誘電体層18を形成する。
【0053】
図5(c)において、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の表面上に、バス電極材料をペースト化したものをスクリーン印刷方法で誘電体層18上の所定の場所に形成する。そして、バス電極材料のペーストに含有される有機溶媒などをとばすために、所定の温度で焼成する。
【0054】
図5(d)は焼成後の前面板を表したものであり、バス電極材料はガラス基板の表面を覆っている誘電体層に溝などを形成することなく、埋め込まれる。
【0055】
次に図5(e)において、誘電体層18に埋め込まれたバス電極19の表面の少なくとも一部と誘電体層18の表面の少なくとも一部の上にITOなどからなる透明電極151、161を約1000Åの膜厚で成膜し、フォトリソグラフィ法により放電ギャップを有する対の表示電極4として形成する。そして、[SiO−Bi−B]などの材料を含む非鉛系ガラス粉末をエチルセルロースやバインダーなどと共に分散混練してガラスペーストを作る。作成されたガラスペーストをダイコート法あるいはコータ印刷法やスクリーン印刷法で、表示電極4を覆うように一定の厚みを塗布して焼成して形成する。次に誘電体層17の上に金属酸化膜であるMgOを含む保護膜8を電子ビーム蒸着法やスパッタリング法で形成する。
【0056】
図5ではバス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込む方法をスクリーン印刷と焼成だけで実現する方法を説明したが、別の方法を図6を使って説明する。
【0057】
図6(a)において誘電体層18を塗布焼成して形成した後、誘電体層18の表面上に、フォトリソグラフィ法によって所定幅のストライプ穴51をあけたレジストパターン50を形成する。そして、図6(b)においてフッ酸を含んだ混合エッチング液(図示省略)によってガラス基板表面をエッチングし、ストライプ穴51の部分に溝を形成する。エッチング時間やエッチング液濃度などの調整により所定の溝深さを得ることが出来る。
【0058】
次に図6(c)において形成した溝部にバス電極材料のペーストを印刷し、図6(d)において、リストオフ法によってレジストパターンを剥離することにより、誘電体層18の溝部にはバス電極19だけが残る。
【0059】
図6において、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の内面に溝を形成する工程としてエッチング法を使用して説明したが、実施の形態1におけるサンドブラスト法や上記エッチング法およびレーザビーム加工法などの方法やこれらを組み合わせた方法により、変形した溝形状なども形成することも可能である。
【0060】
また、上記において、透明電極を形成する工程が、溝に埋め込まれたバス電極およびガラス基板の表面を覆っている誘電体層の少なくとも一部とを覆うように形成する工程を含む工程であるとして説明したが、透明電極を形成する工程が、図2に示すように、バス電極192を透明電極152、162と共に変形した形状の誘電体層182に埋め込み、透明電極152、162の放電空間側表面と誘電体層10の表面とが平坦になるように形成する工程を含んでいても同様に実施可能である。また、図3に示すように、バス電極193の一部を誘電体層183の中に埋め込み、バス電極193の埋め込まれていない電極部分の横に透明電極153、163を配列形成して、透明電極153、163の放電空間側表面とバス電極193の表面とが誘電体層183の表面とほぼ平坦になるように形成する工程を含んでいても同様に実施可能である。また、図4に示すように、対の表示電極4である透明電極154、164の一部が、誘電体層184の両側の側壁および底辺に設けられ、バス電極194が透明電極に積載されるように配設され、バス電極194は誘電体層184から透明電極154、164により隔離される。そして、透明電極154、164とバス電極194と誘電体層184の表面上に、誘電体層17と保護膜8が順に形成する工程を含んでいても同様に実施可能である。
【0061】
上記により、少なくともバス電極をガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込むことが出来るので放電に寄与しない無効電力の低減に有効であり、かつ、バス電極と透明電極を、透明電極の放電空間側表面とガラス基板表面とがほぼ平坦になるように形成するので、誘電体層の膜厚分布を低減させることができ、耐電圧を向上させ、絶縁破壊を防止する誘電体層を形成することができる。
【0062】
上記において、透明電極の膜厚を約1000Åとして説明したが、透明電極材料の種類によっても抵抗値が変化し、PDPの表示電極として可能であれば良く、100Å〜0.5μmの範囲でも同様に実施可能である。
【0063】
また、上記において、保護膜はMgO膜を使用するとして説明したが、BaO、CaO、SrO、MgNOおよびZnOなどの金属酸化物を使用しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明によるプラズマディスプレイパネルは、前面板として、誘電体層を少なくとも2層は有し、ガラス基板の内表面を覆っている誘電体層の比誘電率はガラス基板の比誘電率よりも小さく、ガラス基板の表面を覆っている誘電体層にバス電極を埋め込み形成することにより、放電に直接寄与しない無効電力の低減効果を有し、かつ、放電空間側の誘電体層の膜厚の差が低減されることにより、耐電圧を向上させて表示品質や信頼性を高めたプラズマディスプレイパネルを、大型のテレビジョンや高精細テレビジョンあるいは大型表示装置など、映像機器産業、宣伝機器産業、産業機器やその他の産業分野に利用することができ、その産業上の利用可能性は非常に広く且つ大きい。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1におけるPDPの放電セルの構成を示す断面概念図
【図2】本発明の実施の形態1における放電セルの前面板における別の構成を示す断面概念図
【図3】本発明の実施の形態1における放電セルの前面板におけるさらに別の構成を示す断面概念図
【図4】本発明の実施の形態1における放電セルの前面板におけるさらに別の構成を示す断面概念図
【図5】本発明の実施の形態2のPDPに係わる放電セルの前面板を形成する工程を示す断面概念図
【図6】本発明の実施の形態2のPDPに係わる放電セルの前面板を形成する別の工程を示す断面概念図
【図7】従来の面放電型AC型PDPの放電単位である放電セル構造を示す断面概念図
【符号の説明】
【0066】
1,71 放電セル
2 前面板
3 背面板
4 表示電極
5 走査電極
6 維持電極
7,13,17,18,182,183,184 誘電体層
8 保護膜
10,11 ガラス基板
12 データ電極
14 隔壁
15 蛍光体層
18,83,182,183,184 溝
9,19,192,193,194 バス電極
50,61 レジストパターン
51 ストライプ穴
75,76,151,152,153,154,161,162,163,164 透明電極
89 Ag電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面板と背面板とが,放電空間を挟んで対向配置されてなるプラズマディスプレイパネルであって、
前記前面板には少なくとも二層以上の誘電体層が存在し、
前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層の比誘電率は前記ガラス基板の比誘電率よりも小さく、
複数の表示電極対が少なくとも一部を前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に埋め込まれた状態で配設され、
かつ、前記表示電極は前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層により前記ガラス基板から隔離されるように構成したプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記誘電体層は前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の比誘電率が,放電空間に面している前記誘電体層の比誘電率より小さいことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記表示電極対は透明電極とそれよりも幅狭のバス電極から構成され、
前記バス電極は、前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に埋め込まれ、
前記透明電極は前記バス電極および前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の表面の少なくとも一部を覆うように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記透明電極と前記バス電極は、共に前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に少なくとも一部は埋め込まれるように形成している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記バス電極は、前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に一部埋め込まれ、前記透明電極は、前記バス電極の横に配列形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記透明電極は、前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に少なくとも一部は埋め込まれ、前記バス電極は前記透明電極上に形成され、前記バス電極は前記透明電極により、前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層と隔離された構造を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の厚みが放電空間に面している前記誘電体層の厚みよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の厚みが1〜15μmであり、放電空間に面している前記誘電体層の厚みが10〜50μmであることを特徴とする請求項7に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の比誘電率が1〜5であり、放電空間に面している前記誘電体層の比誘電率が5〜15であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前面板と背面板とが,放電空間を挟んで対向配置されてなるプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記前面板を形成する工程は、前記前面板に誘電体層を少なくとも二層以上形成する工程と、
前記ガラス基板を覆っている前記誘電体層に複数の表示電極の少なくとも一部を埋め込んだ状態で形成する工程とを、少なくとも有するプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項11】
前記表示電極を形成する工程が、前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に少なくとも一部を埋め込む工程を含み、
かつ、前記透明電極を形成する工程が、前記バス電極および前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の少なくとも一部とを覆うように形成する工程を含む請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項12】
前記表示電極と前記透明電極とを形成する工程は、バス電極とそれよりも幅狭の透明電極を共に前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に少なくとも一部を埋め込むように形成する工程を含む請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項13】
前記バス電極を形成する工程が、前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層に少なくとも一部を埋め込むように形成する工程を含み、
前記透明電極を形成する工程が前記バス電極の横に前記透明電極を配列形成して形成する工程を含む請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項14】
前記透明電極を形成する工程が、前記透明電極の少なくとも一部を前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に埋め込むように形成する工程を含み、
前記バス電極を形成する工程が、前記バス電極を前記透明電極上に形成し、前記バス電極が前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層と隔離された構造となるように形成する工程を含む請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項15】
前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に前記表示電極対の少なくとも一部を埋め込むように形成する工程は、サンドブラスト法、エッチング法、レーザ加工法の内の少なくとも1種の方法により前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に溝を形成する工程を含む請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項16】
前記表示電極対を前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層の溝部に埋め込むように形成する工程は、スクリーン印刷法、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、CVD法の内の少なくとも1種の方法を含む工程である請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
【請求項17】
前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に少なくとも前記バス電極を埋め込むように形成する工程は、前記ガラス基板の表面を覆うように前記誘電体層を形成し、前記ガラス基板の表面を覆っている誘電体層上に前記バス電極をスクリーン印刷法によりペーストを塗布し、焼成することにより、前記バス電極を前記ガラス基板の表面を覆っている前記誘電体層に埋め込むように形成する工程を有する請求項10に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−164526(P2006−164526A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−349342(P2004−349342)
【出願日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】