説明

プラズマディスプレイパネル

【課題】プラズマディスプレイパネルを提供する。
【解決手段】所定の間隔ほど離隔されて、互いに対向して配置される第1及び第2基板、第1基板と第2基板との間に配置され、複数個の放電セルを区画する隔壁、放電セルを横切って延びるアドレス電極、アドレス電極と交差して延び、放電を起こす複数対の維持電極、維持電極を覆う第1誘電体層、アドレス電極を覆う第2誘電体層、放電セル内に配置される蛍光体層、及び放電セル内に配置される放電ガスを備え、維持電極は、アドレス電極と交差する複数個の電極部、及び電極部を電気的に連結する連結部を備え、一電極部の線幅Bに対する一連結部の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)に係り、特に製造が容易であり、輝度が向上し、消費電力が低減したPDPに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、従来の陰極線管ディスプレイ装置を代替するものとして注目されているPDPは、複数個の電極が形成された二基板の間に放電ガスが封入された後に放電電圧が加えられ、これにより発生する紫外線により所定のパターンで形成された蛍光体が励起されて所望の画像を得る装置である。
【0003】
一般的な交流型のPDP 10は、図1に示したように、ユーザーに画像を見せる上板50及びそれと平行に結合される下板60を備える。上板50の前面基板11には、X電極31及びY電極32が対をなす維持電極対12が配置されており、前面基板11の維持電極対12が配置された面に対向する下板60の背面基板21には、アドレス電極22が前面基板11の電極31,32と交差して配置されている。維持電極対12が備えられた前面基板11、及びアドレス電極22が備えられた背面基板21の各面には、各電極を埋め込むようにそれぞれ第1誘電体層15及び第2誘電体層25が形成されている。第1誘電体層15の背面には、通常MgOからなる保護層16が形成され、第2誘電体層25の前面には、放電距離を維持し、放電セル間の電気的光学的クロストークを防止する隔壁30が形成されている。この隔壁30の両側面及び隔壁30が形成されていない第1誘電体層25の前面には、赤色、緑色、青色発光蛍光体26が塗布されている。
【0004】
X電極31及びY電極32それぞれは、透明電極31a,32a及びバス電極31b,32bを備える。このように配置された一対のX電極31及びY電極32、それと交差するアドレス電極22によりなる空間が単位放電セル70として一つの放電部を形成する。透明電極31a,32aは、放電を起こしうる導電体であり、かつ蛍光体層26から放出される光が前面基板11に進むことを妨害しない透明な材料で形成されるが、このような材料としては、ITO(Indium Tin Oxide)などがある。しかし、前記ITOのような透明な導電体は、一般的にその抵抗が高く、透明電極でのみ放電維持電極を形成すれば、その長手方向への電圧降下が大きくて駆動電力が多く消費され、応答速度が遅くなるので、それを改善するために、前記透明電極上には、金属材質からなり、かつ狭い線幅で形成されるバス電極31b,32bが配置される。
【0005】
しかし、バス電極及び透明電極が備えられた維持電極では、透明電極の価格が高く、バス電極及び透明電極をそれぞれ形成する工程が要求されるため、高コスト及び製造時間が長くなるという問題点がある。
【0006】
これを解決するために、バス電極のみで維持電極を形成する技術が開発されている。しかし、一般的な形状のバス電極のみでは放電が円滑に発生しないため、輝度が低下し、消費電力が増加するという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記のような問題点を解決するために、製造が容易な構造を有するPDPを提供するところにある。
【0008】
本発明の他の目的は、輝度が向上し、消費電力が低減するPDPを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、所定の間隔ほど離隔されて、互いに対向して配置される第1及び第2基板、及び前記第1基板と第2基板との間に配置され、放電を起こす複数対の維持電極を備え、前記維持電極は、複数個の電極部及び前記電極部を電気的に連結する連結部を備え、前記一電極部の線幅Bに対する前記一連結部の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることを特徴とするPDPを提供する。
【0010】
本発明の他の側面によれば、本発明は、所定の間隔ほど離隔されて、互いに対向して配置される第1及び第2基板、前記第1基板と第2基板との間に配置され、複数個の放電セルを区画する隔壁、前記放電セルを横切って延びるアドレス電極、前記アドレス電極と交差して延び、放電を起こす複数対の維持電極、前記放電セル内に配置される蛍光体層、及び前記放電セル内に配置される放電ガスを備え、前記維持電極は、前記アドレス電極と交差する複数個の電極部、及び前記電極部を電気的に連結する連結部を備え、前記一電極部の線幅Bに対する前記一連結部の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることを特徴とするPDPを提供する。
【0011】
本発明において、望ましくは、前記一維持電極の電極部は、互いに平行に延びる。
【0012】
また、本発明において、前記一維持電極は、一方向に延びる2個ないし4個の電極部を備えることが望ましい。
【0013】
また、本発明において、前記連結部及び前記電極部は、互いに垂直に延びることが望ましい。
【0014】
また、本発明において、前記電極部の線幅は、20ないし150μmであることが望ましい。
【0015】
また、本発明において、前記一維持電極の連結部及び電極部は、一体に形成されることが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるPDPは、次のような効果を有する。
【0017】
第1に、維持電極の連結部と電極部との線幅が最適化されているため、輝度が向上し、消費電力が低減される。
【0018】
第2に、維持電極を、同じ素材を利用して一体に形成できるので、コストが低減され、工程が単純化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付された図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
図2ないし図4は、本発明の望ましい一実施形態によるPDP 100が示されている。ここで、図2は、PDP 100の部分切開分離斜視図であり、図3は、図2のIII−III線の断面図であり、図4は、図2で放電セル170、隔壁130、維持電極対112及びアドレス電極122の配置を概略的に示した平面図である。
【0021】
本発明によるPDP 100は、第1基板111、第2基板121、維持電極対112、アドレス電極122、隔壁130、保護層116、蛍光体層126、第1誘電体層115、第2誘電体層125及び放電ガス(図示せず)を備える。
【0022】
第1基板111は、通常的にガラスを主成分とする透光性に優れた素材で製造される。ただし、反射輝度を低下させることによって名実コントラストを向上させるために、第1基板111を着色してもよい。また、第2基板121は、第1基板111から所定の間隔ほど離隔されて対向して配置されるが、ガラスのように透光性に優れた材料で製造される。第2基板121の場合も、第1基板111と類似に着色されうる。本発明では、放電セル170で生成された可視光が第1基板111及び/または第2基板121を通じて外部に出射されうる。ただし、本実施形態では、放電セルで生成された可視光が第1基板111を通じて外部に出射される。
【0023】
第1基板111と第2基板121との間には、放電現象が発生する複数個の放電セル170を区画する隔壁130が配置されている。隔壁130は、放電セル170間の光学的及び電気的クロストークを防止する機能を行う。本実施形態において、隔壁130は、後述するアドレス電極122が延びる方向(y方向)に配置される第1隔壁部130a、及び第1隔壁部130aと交差する方向(x方向)の第2隔壁部130bを備え、放電セル170が四角形の横断面を有するように形成される。ただし、隔壁の形状は、これに限定されるものではなく、複数の放電空間を形成できる限り、多様なパターンの隔壁、例えばストライプのような開放型隔壁はもとより、ワッフル、マトリックス、デルタのような閉鎖型隔壁になりうる。また、閉鎖型隔壁は、放電空間の横断面が、本実施形態のような四角形以外にも、三角形、五角形などの多角形、または円形、楕円形などに形成されうる。
【0024】
第2基板121に対向する第1基板111上には、維持電極対112が所定の間隔ほど平行に配置されている。各維持電極対112は、X電極180及びY電極190を備え、前記X電極180及びY電極190は、前記放電セル170でプラズマ放電を起こす。
【0025】
各X電極180は、第1電極部181、第2電極部182、第3電極部183及び連結部184を備える。ここで、第1電極部181、第2電極部182及び第3電極部183は、所定の間隔ほど離隔されて互いに平行に配置され、アドレス電極122と交差する方向(x方向)に延びる。このとき、放電セル170の中心でエッジから第1電極部181、第2電極部182、第3電極部183の順に配置される。
【0026】
本実施形態において、各X電極180は、3個の電極部181,182,183を有するが、本発明はこれに限定されていない。すなわち、X電極180は、複数個の電極部を備えればよく、望ましくは、2ないし4個の電極部を備える。
【0027】
連結部184は、第1電極部181、第2電極部182、第3電極部183を電気的に連結するように配置される。本実施形態において、各X電極の連結部184は、各放電セル170ごとに一つずつ配置されており、第1、第2、第3電極部181,182,183に実質的に垂直方向(y方向)に配置されている。しかし、本発明が前述した配置構造に限定されるものではない。
【0028】
前記X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184は、多様な導電性素材を利用して形成され、望ましくは、金属物質またはセラミック物質を含む素材で形成される。金属物質としては、Ag,Pt,Pd,Ni,Cuなどがあり、セラミック物質としては、ITO、ATO(Antimony Tin Oxide)などがある。また、二次電子の放出を増加させるために、前記X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184は、炭素ナノチューブを含む素材を利用して形成されてもよい。
【0029】
前記X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184は、単層構造を有することもできるが、望ましくは、複層構造を有する。もし、前記X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184が複層構造を有する場合、各層は、異なる物質を利用して形成されうる。
【0030】
製造工程の単純化のために、各X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184は、一体に形成されることが望ましい。例えば、各X電極を、感光性ペーストを利用した印刷法で厚膜に形成するか、またはスパッタリング、蒸発法などを利用して薄膜に形成する。このとき、前記第1、第2、第3電極部181,182,183は、同じ線幅Bに形成することが望ましい。また、輝度を向上させ、消費電力を低減させるために、前記第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅Bに対する前記連結部184の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることが望ましく、このとき、前記第1、第2、第3電極部の線幅Bは、20ないし150μmであることが望ましい。前記第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅B及び連結部184の線幅Sについての事項は後述する。
【0031】
各Y電極190も、第1電極部191、第2電極部192、第3電極部193及び連結部194を備える。前記Y電極190は、各放電セル170で前記X電極180に対称する形状を有することが放電の均一化のために望ましい。前記Y電極の第1、第2、第3電極部191,192,193及び連結部194の構造、作用及び材質に関する事項は、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及び連結部184と類似しているので、ここでは省略する。
【0032】
隣接する維持電極対112の間には、光吸収層140が配置されている。これをさらに詳細に説明すれば、光吸収層140は、第2隔壁部130bに対応する第1基板111上に配置されている。光吸収層140は、外部から入射される可視光を吸収して反射輝度を低下させることによって、コントラストを向上させる機能を行う。本実施形態において、光吸収層140は、ストライプ状を有する。また、光吸収層140は、X電極180及びY電極190と同じ素材を利用して形成する場合、X電極180及びY電極190を形成する工程で同時に形成できるため、工程が単純化されるという長所を有する。光吸収層140の線幅Cは、50ないし200μmであることが望ましい。
【0033】
前面基板111上には、X電極180及びY電極190を埋め込むように第1誘電体層115が形成されている。第1誘電体層115は、放電時に隣接したX電極180とY電極190との間に直接通電されることを防止し、陽イオンまたは電子がX電極180及びY電極190に直接衝突してX電極180及びY電極190を損傷させることを防止する。また、前記第1誘電体層115は、電荷を誘導して壁電荷を蓄積できる誘電体で形成されるが、このような誘電体としては、PbO,B,SiOなどがある。
【0034】
また、第1誘電体層115上には、通常MgOからなる保護層116が形成されている。かかる保護層116は、放電時に陽イオンと電子とが第1誘電体層115に衝突して第1誘電体層115が損傷されることを防止し、透光性に優れ、放電時に2次電子を多く放出する。特に、保護層116は、主にスパッタリング、電子ビーム蒸着法などを利用して薄膜に形成される。
【0035】
第1基板111に対向する第2基板121上には、アドレス電極122がX電極180及びY電極190と交差して配置されている。アドレス電極122は、X電極180とY電極190との間の維持放電をさらに容易にするためのアドレス放電を起こすためのものであって、さらに具体的には、維持放電が起きるための電圧を低める役割を行う。アドレス放電は、Y電極190とアドレス電極122との間に起きる放電であって、アドレス放電が終了すれば、Y電極190側に陽イオンが蓄積され、X電極180側に電子が蓄積され、これにより、X電極180とY電極190との間の維持放電がさらに容易になる。
【0036】
背面基板121上には、アドレス電極122を埋め込むように第2誘電体層125が形成されている。第2誘電体層125は、放電時に陽イオンまたは電子がアドレス電極122に衝突してアドレス電極122を損傷させることを防止し、かつ電荷を誘導できる誘電体として形成されるが、このような誘電体としては、PbO,B,SiOなどがある。
【0037】
放電セル170を区画する隔壁130の間の第2誘電体層125、及び隔壁130の側面には、赤色発光、緑色発光、青色発光蛍光体層126が形成されている。かかる蛍光体層126は、紫外線を受けて可視光線を発生させる成分を有するが、赤色放電セルに形成された赤色発光蛍光体層は、Y(V,P)O:Euのような蛍光体を含み、緑色放電セルに形成された緑色発光蛍光体層は、ZnSiO:Mnのような蛍光体を含み、青色放電セルに形成された青色発光蛍光体層は、BAM:Euのような蛍光体を含む。
【0038】
また、前記放電セル180には、Ne、Xeなどが混合された放電ガスが充填され、前記のように放電ガスが充填された状態で、第1基板111及び第2基板121のエッジに形成されたフリットガラスのような密封部材により、第1基板111及び第2基板121が互いに封合されて結合される。
【0039】
前述したように構成された本発明によるPDP 100の作動を説明すれば、次の通りである。
【0040】
アドレス電極122とY電極190との間にアドレス電圧が印加されることによってアドレス放電が起き、このアドレス放電の結果として維持放電が起きる放電セル170が選択される。次いで、前記選択された放電セル170のX電極180とY電極190との間に維持電圧が印加されれば、Y電極190側に蓄積されていた陽イオンと、X電極180側に蓄積されていた電子とが衝突して維持放電を起こし、次いで、X電極180及びY電極190に印加される電圧パルスが交番されつつ、放電が発生し続ける。かかるX電極180とY電極190との間の維持放電において、放電ギャップが最も狭いX電極の第3電極部183とY電極の第3電極部193との間で放電が開始され、次いで、第2電極部182,192及び第1電極部181,191に連続的に放電が拡散される。
【0041】
このように、維持放電時に励起された放電ガスのエネルギー準位が低くなりつつ、紫外線が放出される。そして、この紫外線が放電セル170内に塗布された蛍光体126を励起させるが、この励起された蛍光体126のエネルギー準位が低くなりつつ可視光が放出され、この放出された可視光が画像を構成する。
【0042】
しかし、前記X電極180及びY電極190は、維持放電を起こす機能を行うが、放電セル170で生成される可視光が第1基板111を通過して外部に出射されることを防ぐという短所を有する。すなわち、X電極180及びY電極190の電極面積が増大する場合、放電がさらに円滑に発生して可視光生成量が増加しうるが、過度に電極面積を増大させれば、開口率を低めて全体的に輝度が低下し、不要に消費電力を増加させる原因となる。したがって、X電極180及びY電極190の構造が最適化されねばならない。
【0043】
これを詳細に説明すれば、次の通りである。X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183及びY電極の第1、第2、第3電極部191,192,193は、互いに平行に配置されて対向する電極面積が大きいため、プラズマ放電を起こす主要な部分である。しかし、X電極の連結部184及びY電極の連結部194は、互いに対向する電極面積が小さいだけでなく、放電が多く発生する放電セルの中間部分に沿って配置されているため、放電セル170で発生した可視光を大きく遮蔽するという短所を有する。ただし、X電極の連結部184は、前記短所を有しているが、放電を円滑に拡散させ、X電極の第3電極部183と第2電極部182との間及び第2電極部182と第1電極部181との間の空間でも放電を発生させる機能を行う。また、Y電極の連結部194も、放電を円滑に拡散させ、Y電極の第3電極部193と第2電極部192との間及び第2電極部192と第1電極部191との間の空間でも放電を発生させる機能を行う。したがって、連結部184,194は、X電極180及びY電極190において非常に重要な構成要素である。連結部184,194の作用をさらに詳細に説明すれば、次の通りである。もし、放電が拡散されるときに連結部184,194がないならば、第3電極部183,193と第2電極部182,192との間及び第2電極部182,192と第1電極部181,191との間に電極が存在しないため、壁電荷が蓄積される量が非常に少なく、この部分に空間電荷の量も減少する。すなわち、放電が円滑に伝播され難くなって、全体的に輝度が低下する。
【0044】
前記の検討事項に基づいて、本発明では、輝度を向上させ、消費電力を低減させるために、X電極及びY電極の第1、第2、第3電極部181,182,183,191,192,193の幾何尺度である線幅Bと、X電極及びY電極の連結部184,194の幾何尺度である線幅Sとがパラメータとして導出される。すなわち、X電極180を基準とすれば、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の一定した線幅Bに対して、最適の輝度及び消費電力を有させるX電極の連結部184の線幅Sの相対比S/Bが無次元パラメータとして導出される。これと同様に、Y電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の一定した線幅Bに対して、最適の輝度及び消費電力を有させるY電極の連結部194の線幅Sの相対比S/Bが無次元パラメータとして導出される。
【0045】
図5及び図6は、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅Bに対する連結部184の線幅Sの相対比S/B(または、Y電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の線幅Bに対する連結部の線幅Sの相対比S/B)を変化させつつ、それぞれ1%ピーク白色輝度及び消費電力を測定した実験結果を示した図面である。前記で1%ピーク白色輝度は、全体のPDPのうち実質的にディスプレイされる面積を100%としたとき、1%に該当する部分のみ放電セルを放電させて白色光を発生させ、残りの99%に該当する部分は、放電セルをオフにした状態での輝度として定義される。
【0046】
前記実験において、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅B及びY電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の線幅Bは55μmと一定にし、光吸収層140の線幅Cは75μmと一定にした。また、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の間の距離D1,D2を95μmと一定にし、Y電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の間の距離E1,E2も95μmと一定にした。また、X電極の第3電極部とY電極の第3電極部との間の距離Gを95μmと一定にし、X電極の第1電極部181と光吸収層140との間の距離F1、及びY電極の第1電極部191と光吸収層140との間の距離F2を115μmと一定にした。ただし、前記実験において、連結部184,194の線幅Sを変化させつつ、相対比S/Bを変化させた。
【0047】
図5において、相対比S/Bが0.00,0.10,0.20,0.31,0.40,0.52,0.61,0.72,0.84,0.92,1.02,1.16,1.31に増加するにつれて、1%ピーク白色輝度がそれぞれ980.00,1020.00,1090.00,1108.00,1120.00,1116.00,1107.62,1095.00,1095.56,1094.90,1091.37,1077.24,1090.00の値を有する。
【0048】
図5のグラフを分析して見れば、相対比S/Bが0.20を境界として、相対比S/Bが0.20より小さい場合、1%ピーク白色輝度が大きく低下するということが分かる。すなわち、相対比S/Bが0.20から0.10に減少する場合、1%ピーク白色輝度は約6.42%に大きく低下する。これは、相対比S/Bが減少しすぎる場合、連結部184,194の相対的な線幅Sが減少して、X電極の第3電極部183とY電極の第3電極部193で発生した放電がそれぞれ第2電極部182,192及び第1電極部181,191に円滑に拡散されないためである。相対比S/Bが0.20以上である場合、1%ピーク白色輝度は、1100cd/mを基準として所定の範囲内で維持されるということが分かる。相対比S/Bが0.40であるとき、1%ピーク白色輝度は1120cd/mの最大値を有する。したがって、輝度を考慮する場合、相対比S/Bは0.20以上であることが望ましい。
【0049】
図6において、相対比S/Bが0.00,0.10,0.20,0.31,0.40,0.52,0.61,0.72,0.84,0.92,0.95,1.02,1.16,1.31に増加するにつれて、消費電力がそれぞれ93.05,94.10,94.59,94.59,95.01,95.44,95.78,96.37,97.13,98.07,99.28,99.67,100.19,100.78の値を有する。
【0050】
図6のグラフを分析して見れば、相対比S/Bが増加するにつれて消費電力が増加する傾向を有するということが分かる。特に、相対比S/Bが0.92から0.95に増加しつつ、消費電力が非常に増加したということが分かる。これをさらに詳細に説明すれば、相対比S/Bが0.31ないし0.92で、相対比S/Bの増加率に対する消費電力の相対的な増加率が平均4.91Wであるのに比べて、相対比S/Bが0.92から0.95に増加する場合、前記増加率は40.3Wに達する。これは、相対比S/Bが0.92より小さいときに、消費電力が緩慢に増加することと比較して、非常に大きい増加幅(約8.21倍)を有するということが分かる。前記の原因は、X電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅B及びY電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の線幅Bより連結部184,194の線幅Sが小さい場合、連結部184,194が放電及び放電の拡散に補助的な役割を行って、消費電力の増加分が小さい。しかし、連結部184,194の線幅SがX電極の第1、第2、第3電極部181,182,183の線幅B及びY電極の第1、第2、第3電極部191,192,193の線幅Bより大きいか、または類似している場合、連結部184,194が放電の主経路となり、これにより、消費電流が非常に増加することによって、消費電力の増加をもたらすためである。したがって、消費電力を考慮する場合、相対比S/Bは0.92以下であることが望ましい。
【0051】
前記分析に基づいて、輝度及び消費電力を考慮する場合、相対比S/Bは、0.20ないし0.92であることが望ましい。
【0052】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想により決まらねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、PDP関連の技術分野に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】一般的なPDPの分離斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によるPDPの部分切開分離斜視図である。
【図3】図2のIII−III線の断面図である。
【図4】図2に示した放電セル及び維持電極の形状を示す平面図である。
【図5】維持電極の電極部の線幅Bに対する連結部の線幅Sの相対比S/Bを変化させつつ、1%ピーク白色輝度を測定したグラフである。
【図6】維持電極の電極部の線幅Bに対する連結部の線幅Sの相対比S/Bを変化させつつ、消費電力を測定したグラフである。
【符号の説明】
【0055】
100 PDP
111 第1基板
112 維持電極対
115 第1誘電体層
116 保護層
121 第2基板
122 アドレス電極
125 第2誘電体層
126 蛍光体層
130 隔壁
130a 第1隔壁部
130b 第2隔壁部
140 光吸収層
170 放電セル
180 X電極
181,191 第1電極部
182,192 第2電極部
183,193 第3電極部
184,194 連結部
190 Y電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔ほど離隔されて、互いに対向して配置される第1及び第2基板と、
前記第1基板と第2基板との間に配置され、放電を起こす複数対の維持電極と、を備え、
前記維持電極は、複数個の電極部及び前記電極部を電気的に連結する連結部を備え、前記一電極部の線幅Bに対する前記一連結部の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記一維持電極の電極部は、互いに平行に延びることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記一維持電極は、一方向に延びる2個ないし4個の電極部を備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記連結部及び前記電極部は、互いに垂直に延びることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記電極部の線幅は、20ないし150μmであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項6】
前記一維持電極の複数個の電極部は、実質的に同じ線幅を有することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項7】
前記一維持電極の連結部及び電極部は、一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項8】
前記維持電極は、導電性の金属物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項9】
前記維持電極は、Ag,Pt,Pd,Ni及びCuからなる群から選択された少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項8に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項10】
前記維持電極は、導電性のセラミック物質を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項11】
前記維持電極は、ITO(Indium Tin Oxide)またはATO(Antimony Tin Oxide)を含むことを特徴とする請求項10に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項12】
前記維持電極は、炭素ナノチューブを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項13】
外部から入射される光を吸収するように配置される光吸収層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項14】
前記光吸収層は、隣接する維持電極対の間に配置されることを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項15】
前記光吸収層は、ストライプ状を有することを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項16】
前記光吸収層の線幅は、50ないし200μmであることを特徴とする請求項13に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項17】
所定の間隔ほど離隔されて、互いに対向して配置される第1及び第2基板と、
前記第1基板と第2基板との間に配置され、複数個の放電セルを区画する隔壁と、
前記放電セルを横切って延びるアドレス電極と、
前記アドレス電極と交差して延び、放電を起こす複数対の維持電極と、
前記維持電極を覆う第1誘電体層と、
前記アドレス電極を覆う第2誘電体層と、
前記放電セル内に配置される蛍光体層と、
前記放電セル内に配置される放電ガスと、を備え、
前記維持電極は、前記アドレス電極と交差する複数個の電極部、及び前記電極部を電気的に連結する連結部を備え、前記一電極部の線幅Bに対する前記一連結部の線幅Sの相対比S/Bは、0.20≦S/B≦0.92であることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−5297(P2007−5297A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165209(P2006−165209)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】