プラズマディスプレイパネル
【課題】本発明は、高精細で高輝度の表示性能を備え、かつ低消費電力を可能とするプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とするものである。
【解決手段】上記の目的を達成するため、本発明におけるプラズマディスプレイパネルは、表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されているものである。
【解決手段】上記の目的を達成するため、本発明におけるプラズマディスプレイパネルは、表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されているものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPにおいては、従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上の高精細テレビへの適用が進められており、エネルギー問題に対応してさらなる消費電力低減への取り組みや、環境問題に配慮した鉛成分を含まないPDPへの要求なども高まっている。
【0003】
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法により製造された硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。
【0004】
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色及び青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
【0005】
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にネオン(Ne)−キセノン(Xe)の放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
【0006】
また、このようなPDPの駆動方法としては、書き込みをしやすい状態に壁電荷を調整する初期化期間と、入力画像信号に応じて書き込み放電を行う書き込み期間と、書き込みが行われた放電空間で維持放電を生じさせることによって表示を行う維持期間を有する駆動方法が一般的に用いられている。これらの各期間を組み合わせた期間(サブフィールド)が、画像の1コマに相当する期間(1フィールド)内で複数回繰り返されることによってPDPの階調表示を行っている。
【0007】
このようなPDPにおいて、前面板の誘電体層上に形成される保護層の役割としては、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護すること、アドレス放電を発生させるための初期電子を放出することなどがあげられる。イオン衝撃から誘電体層を保護することは、放電電圧の上昇を防ぐ重要な役割であり、またアドレス放電を発生させるための初期電子を放出することは、画像のちらつきの原因となるアドレス放電ミスを防ぐ重要な役割である。
【0008】
保護層からの初期電子の放出数を増加させて画像のちらつきを低減するために、例えば、針状、あるいはテトラポッド状の酸化亜鉛(ZnO)粒子を酸化マグネシウム(MgO)保護層上に形成した例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−352730号公報
【特許文献2】特開2004−335406号公報
【特許文献3】国際公開第2005/045872号
【特許文献4】特開2007−103150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、テレビは高精細化が進んでおり、市場では低コスト・低消費電力・高輝度のフルHD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プログレッシブ表示)PDPが要求されている。保護層からの電子放出特性はPDPの画質を決定するため、電子放出特性を制御することが非常に重要である。
【0011】
すなわち、高精細化された画像を表示するためには、1フィールドの時間が一定にもかかわらず書き込みを行う画素の数が増えるため、サブフィールド中の書き込み期間において、アドレス電極へ印加するパルスの幅を狭くする必要が生じる。しかしながら、電圧パルスの立ち上がりから放電空間内で放電が発生するまでには放電遅れと呼ばれるタイムラグの存在があるため、パルスの幅が狭くなれば書き込み期間内で放電が終了できる確率が低くなってしまう。その結果、点灯不良が生じ、ちらつきといった画質性能の低下という問題も生じてしまう。
【0012】
また、消費電力低減のために放電による発光効率を向上させることを目的として、蛍光体の発光に寄与する放電ガスの一成分であるキセノン(Xe)の放電ガス全体における含有率をあげると、やはり放電電圧が高くなるとともに、放電遅れが大きくなって点灯不良などの画質低下が発生するという問題が生じてしまう。
【0013】
このようにPDPの高精細化や低消費電力化を進めるにあたっては、放電電圧が高くならないようにすることと、さらに、点灯不良を低減して画質を向上させることを、同時に実現させなければならないという課題があった。
【0014】
保護層に不純物を混在させることで電子放出特性を改善しようとする試みが行われている。しかしながら、保護層に不純物を混在させて電子放出特性を改善した場合には、保護層表面に電荷を蓄積させてメモリー機能として使用しようとする際に、電荷が時間とともに減少する減衰率が大きくなってしまうため、これを抑えるための印加電圧を大きくする必要があるなどの対策が必要になる。
【0015】
一方、針状、あるいはテトラポッド状の酸化亜鉛(ZnO)粒子を酸化マグネシウム(MgO)保護層上に形成した例では、放電遅れを小さくして点灯不良を低減することは可能であるが、放電によるスパッタリングにより針状、あるいはテトラポッド状の先端が磨耗され、放電遅れの低減効果を長時間維持できないといった課題を有していた。
【0016】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能なPDPを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されているものである。
【0018】
このような構成によれば、保護層における二次電子放出特性を向上させ、輝度を高めるために放電ガスのキセノン(Xe)ガス分圧を大きくした場合でも放電開始電圧を低減し、さらに、放電遅れを低減して高精細画像表示でも点灯不良など発生しない、表示性能に優れたPDPを実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高精細画像でも高輝度で低電圧駆動が可能なPDPを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図
【図2】同PDPの前面板の構成を示す断面図
【図3】同PDPの下地膜におけるX線回折結果を示す図
【図4】同PDPの他の構成の下地膜におけるX線回折結果を示す図
【図5】同PDPの核粒子と被覆膜を説明するための図
【図6】同PDPの核粒子と被覆粒子を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態におけるPDP1の構造を示す斜視図である。PDP1の基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、キセノン(Xe)とネオン(Ne)などの放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
【0023】
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4及び維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うように電荷を保持してコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその上に保護層9が形成されている。
【0024】
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4及び維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝ごとに、紫外線によって赤色、緑色及び青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4及び維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電空間が形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電空間がカラー表示のための画素になる。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態におけるPDP1の前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6と遮光層7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
【0026】
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bと遮光層7を覆って設けた第1誘電体層81と、第1誘電体層81上に形成された第2誘電体層82の少なくとも2層構成とし、さらに第2誘電体層82上に保護層9が形成されている。
【0027】
保護層9は、誘電体層8に形成した下地膜91と、下地膜91上に金属酸化物で被覆された粒子92とにより構成している。下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成され、さらに下地膜91上に金属酸化物で被覆された粒子92を付着形成している。
【0028】
次に、このようなPDP1の製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4及び維持電極5と遮光層7とを形成する。走査電極4と維持電極5とを構成する透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
【0029】
次に、走査電極4、維持電極5及び遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト(誘電体材料)層を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5及び遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダ及び溶剤を含む塗料である。図2中では誘電体層8は第1誘電体層81、第2誘電体層82で構成されているが、これに限らず1層構造でもよい。
【0030】
次に、誘電体層8上に下地膜91を形成する。本発明の実施の形態においては、下地膜91を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成している。
【0031】
下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の単独材料のペレットや、それらの材料を混合したペレットを用いて薄膜成膜方法によって形成される。薄膜成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を適用できる。一例として、スパッタリング法では1Pa、蒸着法の一例である電子ビーム蒸着法では0.1Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。
【0032】
また、下地膜91の成膜時の雰囲気としては、水分付着や不純物の吸着を防止するために外部と遮断された密閉状態で、成膜時の雰囲気を調整することにより、所定の電子放出特性を有する金属酸化物よりなる下地膜91を形成することができる。
【0033】
次に、下地膜91上に付着形成する粒子92について述べる。この粒子92は、核となる核粒子92aと、前記核粒子92aを被覆する金属酸化物層から構成されている。
【0034】
核粒子92aは、針状、テトラポッド状、多角錐、多面体のいずれかの形状であることが望ましい。核粒子92aの大きさは、数μmから数十μm程度であることが望ましい。このような形状を有する核粒子92aとしては、株式会社アドテック製のパナテトラなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
金属酸化物層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物が望ましい。金属酸化物層の形態としては、図5および図6にそれぞれ示すように、被覆膜92bと、被覆粒子92cの2種類が考えられる。被覆膜92bの膜厚、および被覆粒子92cの直径は数μm以下であることが望ましい。被覆膜92bの被覆方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが適用できる。また、被覆粒子92cの被覆方法としては、酸化マグネシウムの場合を例に挙げると、以下に示す気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで実現することができる。
【0036】
気相合成法では、核粒子92aを不活性ガスが満たされた雰囲気内に導入し、その雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム金属材料を加熱し、さらに、雰囲気に酸素を少量導入することによって、マグネシウムを直接酸化させることで、酸化マグネシウム(MgO)が被覆粒子92cである粒子92を作製することができる。
【0037】
一方、前駆体焼成法では、以下の方法によって核粒子92aを作製することができる。硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)を所定量の濃度で水又はアルカリ水溶液中に溶解する。その溶解液中に核粒子92aを投入して混合液を作製し、攪拌する。この混合液を濾過、乾燥する。その後、この乾燥物を空気中において400℃〜800℃で焼成することでMgOが表面にコートされた核粒子92aを作製する。MgOは核粒子92aの表面が露呈しないよう、核粒子92aの表面を均一に被覆している状態が好ましい。なお、核粒子92aの表面上にMgOを被覆する方法は上述した方法に限らない。また、被覆粒子92cの材料としてMgOを例に挙げたが、これに限定されるものではない。
【0038】
上記いずれかの方法で得られた粒子92を、溶媒に分散させ、その分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、静電塗布法などによって下地膜91の表面に分散散布させる。その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、粒子92を下地膜91の表面に定着させることができる。
【0039】
このような一連の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成されて前面板2が完成する。
【0040】
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などにより、アドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダ及び溶剤を含んだ塗料である。
【0041】
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布し、所定の形状にパターニングすることにより隔壁材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。そして、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上及び隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
【0042】
所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置し、その周囲をガラスフリットで封着して放電空間16にキセノン(Xe)とネオン(Ne)などを含む放電ガスを封入してPDP1が完成する。
【0043】
次に本発明の実施の形態における保護層9の詳細について説明する。
【0044】
本発明の実施の形態におけるPDPでは、図2に示すように、保護層9は、誘電体層8に形成した下地膜91と、下地膜91上に付着させた酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子92aが複数個凝集した凝集粒子92とにより構成されている。また、下地膜91を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成する。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態におけるPDP1の保護層9を構成する下地膜91面におけるX線回折結果を示す図である。また、図3中には、酸化マグネシウム(MgO)単体、酸化カルシウム(CaO)単体、酸化ストロンチウム(SrO)単体、及び酸化バリウム(BaO)単体のX線回折分析の結果も示す。
【0046】
図3において、横軸はブラッグの回折角(2θ)であり、縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示し、強度は任意単位(arbitrary unit)で示している。図3中には特定方位面である結晶方位面を括弧付けで示している。図3に示すように、結晶方位面の(111)では、酸化カルシウム(CaO)単体では回折角32.2度、酸化マグネシウム(MgO)単体では回折角36.9度、酸化ストロンチウム(SrO)単体では回折角30.0度、酸化バリウム(BaO)単体では回折角27.9度にピークを有していることがわかる。
【0047】
本発明の実施の形態におけるPDP1では、保護層9の下地膜91として、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成している。
【0048】
図3には、下地膜91を構成する単体成分が2成分の場合についてのX線回折結果を示している。すなわち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をA点、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をB点、さらに、酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をC点で示している。
【0049】
すなわち、A点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化カルシウム(CaO)単体の回折角32.2度との間である回折角36.1度にピークが存在している。同様に、B点、C点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の35.7度、35.4度にピークが存在している。
【0050】
また、図4には、図3と同様に、下地膜91を構成する単体成分が3成分以上の場合のX線回折結果を示している。すなわち、図4には、単体成分として酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)を用いた場合の結果をD点、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をE点、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をF点で示している。
【0051】
すなわち、D点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化ストロンチウム(SrO)単体の回折角30.0度との間である回折角33.4度にピークが存在している。同様に、E点、F点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の32.8度、30.2度にピークが存在している。
【0052】
したがって、本発明の実施の形態におけるPDP1の下地膜91は、単体成分として2成分であれ、3成分であれ、下地膜91を構成する金属酸化物の下地膜91面のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。
【0053】
なお、上記の説明では特定方位面としての結晶方位面として(111)を対象として説明したが、他の結晶方位面を対象とした場合も金属酸化物のピークの位置が上記と同様である。
【0054】
酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の真空準位からの深さは酸化マグネシウム(MgO)と比較して浅い領域に存在する。そのため、PDP1を駆動する場合において、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)のエネルギー準位に存在する電子がキセノン(Xe)イオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0055】
また、上述のように、本発明の実施の形態における下地膜91は、金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。X線回折分析の結果が、図3及び図4に示す特徴を有する金属酸化物はそのエネルギー準位もそれらを構成する単体の酸化物の間に存在する。したがって、下地膜91のエネルギー準位も単体の酸化物の間に存在し、オージェ効果により放出される電子数が酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0056】
その結果、下地膜91では、酸化マグネシウム(MgO)単体と比較して、良好な二次電子放出特性を発揮することができ、結果として、放電維持電圧を低減することができる。そのため、特に輝度を高めるために放電ガスとしてのキセノン(Xe)分圧を高めた場合に、放電電圧を低減し、低電圧でなおかつ高輝度のPDPを実現することが可能となる。
【0057】
表1には、本発明の実施の形態におけるPDPにおいて、450Torrのキセノン(Xe)及びネオン(Ne)の混合ガス(Xe、15%)を封入した場合の放電維持電圧の結果で、下地膜91の構成を変えた場合の、PDPの結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1の放電維持電圧は比較例を100とした場合の相対値で表している。サンプルAの下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)による金属酸化物、サンプルBの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)による金属酸化物、サンプルCの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)による金属酸化物、サンプルDの下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)による金属酸化物、サンプルEの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)による金属酸化物によって構成されている。また、比較例は、下地膜91が酸化マグネシウム(MgO)単体である場合について示している。
【0060】
放電ガスのキセノン(Xe)の分圧を10%から15%に高めた場合には輝度が約30%上昇するが、下地膜91が酸化マグネシウム(MgO)単体の場合の比較例では、放電維持電圧が約10%上昇する。
【0061】
一方、本発明の実施の形態におけるPDPでは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEいずれも、放電維持電圧を比較例に比較して約10%〜20%低減することができる。そのため、通常動作範囲内の放電開始電圧とすることができ、高輝度で低電圧駆動のPDPを実現することができる。
【0062】
なお、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)は、単体では反応性が高いため不純物と反応しやすく、そのために電子放出性能が低下してしまうという課題を有していた。しかしながら、本発明の実施の形態においては、それらの金属酸化物の構成とすることにより、反応性を低減し、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成されている。そのため、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、低電圧駆動と二次電子放出性能の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書き込み期間において書き込み不良を防止して確実な書き込み放電を行う上で有効である。
【0063】
次に、本発明の実施の形態における下地膜91上に設けた、金属酸化物で被覆されている粒子92について説明する。粒子92の散布効果として、放電電圧が低減する効果、書き込み放電における放電遅れを抑制する効果、放電遅れの温度依存性を改善する効果などが挙げられる。これは、粒子92内の核粒子92aの先端に電界集中が起こり、電界電子放出によって電子放出特性が向上したためであると考えられる。この効果を得るためには核粒子92aの先端が先鋭である必要があるが、放電によるスパッタリングにより先端が徐々に磨耗され、電界電子放出特性が悪化することが考えられる。その結果、長時間にわたって放電電圧の低下を維持し、かつ放電遅れを抑制することが困難となる。しかし、核粒子92aを被覆膜92b、または被覆粒子92cで被覆することにより、放電によるスパッタリングから核粒子92aの先端をガードし磨耗を抑制することで、長時間にわたって放電電圧の低下を維持し、かつ放電遅れを抑制することが可能となる。
【0064】
以上のように本発明によるPDPによれば、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能で放電遅れの小さいPDPを実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように本発明は、高画質の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現する上で有用な発明である。
【符号の説明】
【0066】
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
91 下地膜
92 粒子
92a 核粒子
92b 被覆膜
92c 被覆粒子
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示デバイスなどに用いるプラズマディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)は、高精細化、大画面化の実現が可能であることから、100インチクラスのテレビなどが製品化されている。近年、PDPにおいては、従来のNTSC方式に比べて走査線数が2倍以上の高精細テレビへの適用が進められており、エネルギー問題に対応してさらなる消費電力低減への取り組みや、環境問題に配慮した鉛成分を含まないPDPへの要求なども高まっている。
【0003】
PDPは、基本的には、前面板と背面板とで構成されている。前面板は、フロート法により製造された硼硅酸ナトリウム系ガラスのガラス基板と、ガラス基板の一方の主面上に形成されたストライプ状の透明電極とバス電極とで構成される表示電極と、表示電極を覆ってコンデンサとしての働きをする誘電体層と、誘電体層上に形成された酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層とで構成されている。
【0004】
一方、背面板は、ガラス基板と、その一方の主面上に形成されたストライプ状のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成された隔壁と、各隔壁間に形成された赤色、緑色及び青色それぞれに発光する蛍光体層とで構成されている。
【0005】
前面板と背面板とはその電極形成面側を対向させて気密封着され、隔壁によって仕切られた放電空間にネオン(Ne)−キセノン(Xe)の放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。PDPは、表示電極に映像信号電圧を選択的に印加することによって放電させ、その放電によって発生した紫外線が各色蛍光体層を励起して赤色、緑色、青色の発光をさせてカラー画像表示を実現している。
【0006】
また、このようなPDPの駆動方法としては、書き込みをしやすい状態に壁電荷を調整する初期化期間と、入力画像信号に応じて書き込み放電を行う書き込み期間と、書き込みが行われた放電空間で維持放電を生じさせることによって表示を行う維持期間を有する駆動方法が一般的に用いられている。これらの各期間を組み合わせた期間(サブフィールド)が、画像の1コマに相当する期間(1フィールド)内で複数回繰り返されることによってPDPの階調表示を行っている。
【0007】
このようなPDPにおいて、前面板の誘電体層上に形成される保護層の役割としては、放電によるイオン衝撃から誘電体層を保護すること、アドレス放電を発生させるための初期電子を放出することなどがあげられる。イオン衝撃から誘電体層を保護することは、放電電圧の上昇を防ぐ重要な役割であり、またアドレス放電を発生させるための初期電子を放出することは、画像のちらつきの原因となるアドレス放電ミスを防ぐ重要な役割である。
【0008】
保護層からの初期電子の放出数を増加させて画像のちらつきを低減するために、例えば、針状、あるいはテトラポッド状の酸化亜鉛(ZnO)粒子を酸化マグネシウム(MgO)保護層上に形成した例が開示されている(例えば、特許文献1、2、3、4など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−352730号公報
【特許文献2】特開2004−335406号公報
【特許文献3】国際公開第2005/045872号
【特許文献4】特開2007−103150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年、テレビは高精細化が進んでおり、市場では低コスト・低消費電力・高輝度のフルHD(ハイ・ディフィニション)(1920×1080画素:プログレッシブ表示)PDPが要求されている。保護層からの電子放出特性はPDPの画質を決定するため、電子放出特性を制御することが非常に重要である。
【0011】
すなわち、高精細化された画像を表示するためには、1フィールドの時間が一定にもかかわらず書き込みを行う画素の数が増えるため、サブフィールド中の書き込み期間において、アドレス電極へ印加するパルスの幅を狭くする必要が生じる。しかしながら、電圧パルスの立ち上がりから放電空間内で放電が発生するまでには放電遅れと呼ばれるタイムラグの存在があるため、パルスの幅が狭くなれば書き込み期間内で放電が終了できる確率が低くなってしまう。その結果、点灯不良が生じ、ちらつきといった画質性能の低下という問題も生じてしまう。
【0012】
また、消費電力低減のために放電による発光効率を向上させることを目的として、蛍光体の発光に寄与する放電ガスの一成分であるキセノン(Xe)の放電ガス全体における含有率をあげると、やはり放電電圧が高くなるとともに、放電遅れが大きくなって点灯不良などの画質低下が発生するという問題が生じてしまう。
【0013】
このようにPDPの高精細化や低消費電力化を進めるにあたっては、放電電圧が高くならないようにすることと、さらに、点灯不良を低減して画質を向上させることを、同時に実現させなければならないという課題があった。
【0014】
保護層に不純物を混在させることで電子放出特性を改善しようとする試みが行われている。しかしながら、保護層に不純物を混在させて電子放出特性を改善した場合には、保護層表面に電荷を蓄積させてメモリー機能として使用しようとする際に、電荷が時間とともに減少する減衰率が大きくなってしまうため、これを抑えるための印加電圧を大きくする必要があるなどの対策が必要になる。
【0015】
一方、針状、あるいはテトラポッド状の酸化亜鉛(ZnO)粒子を酸化マグネシウム(MgO)保護層上に形成した例では、放電遅れを小さくして点灯不良を低減することは可能であるが、放電によるスパッタリングにより針状、あるいはテトラポッド状の先端が磨耗され、放電遅れの低減効果を長時間維持できないといった課題を有していた。
【0016】
本発明はこのような課題に鑑みなされたもので、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能なPDPを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明のPDPは、表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されているものである。
【0018】
このような構成によれば、保護層における二次電子放出特性を向上させ、輝度を高めるために放電ガスのキセノン(Xe)ガス分圧を大きくした場合でも放電開始電圧を低減し、さらに、放電遅れを低減して高精細画像表示でも点灯不良など発生しない、表示性能に優れたPDPを実現することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高精細画像でも高輝度で低電圧駆動が可能なPDPを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態におけるPDPの構造を示す斜視図
【図2】同PDPの前面板の構成を示す断面図
【図3】同PDPの下地膜におけるX線回折結果を示す図
【図4】同PDPの他の構成の下地膜におけるX線回折結果を示す図
【図5】同PDPの核粒子と被覆膜を説明するための図
【図6】同PDPの核粒子と被覆粒子を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態におけるPDPについて図面を用いて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態におけるPDP1の構造を示す斜視図である。PDP1の基本構造は、一般的な交流面放電型PDPと同様である。図1に示すように、PDP1は前面ガラス基板3などよりなる前面板2と、背面ガラス基板11などよりなる背面板10とが対向して配置され、その外周部をガラスフリットなどからなる封着材によって気密封着されている。封着されたPDP1内部の放電空間16には、キセノン(Xe)とネオン(Ne)などの放電ガスが400Torr〜600Torrの圧力で封入されている。
【0023】
前面板2の前面ガラス基板3上には、走査電極4及び維持電極5よりなる一対の帯状の表示電極6とブラックストライプ(遮光層)7が互いに平行にそれぞれ複数列配置されている。前面ガラス基板3上には表示電極6と遮光層7とを覆うように電荷を保持してコンデンサとしての働きをする誘電体層8が形成され、さらにその上に保護層9が形成されている。
【0024】
また、背面板10の背面ガラス基板11上には、前面板2の走査電極4及び維持電極5と直交する方向に、複数の帯状のアドレス電極12が互いに平行に配置され、これを下地誘電体層13が被覆している。さらに、アドレス電極12間の下地誘電体層13上には放電空間16を区切る所定の高さの隔壁14が形成されている。隔壁14間の溝ごとに、紫外線によって赤色、緑色及び青色にそれぞれ発光する蛍光体層15が順次塗布して形成されている。走査電極4及び維持電極5とアドレス電極12とが交差する位置に放電空間が形成され、表示電極6方向に並んだ赤色、緑色、青色の蛍光体層15を有する放電空間がカラー表示のための画素になる。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態におけるPDP1の前面板2の構成を示す断面図であり、図2は図1と上下反転させて示している。図2に示すように、フロート法などにより製造された前面ガラス基板3に、走査電極4と維持電極5よりなる表示電極6と遮光層7がパターン形成されている。走査電極4と維持電極5はそれぞれインジウムスズ酸化物(ITO)や酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極4a、5aと、透明電極4a、5a上に形成された金属バス電極4b、5bとにより構成されている。金属バス電極4b、5bは透明電極4a、5aの長手方向に導電性を付与する目的として用いられ、銀(Ag)材料を主成分とする導電性材料によって形成されている。
【0026】
誘電体層8は、前面ガラス基板3上に形成されたこれらの透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bと遮光層7を覆って設けた第1誘電体層81と、第1誘電体層81上に形成された第2誘電体層82の少なくとも2層構成とし、さらに第2誘電体層82上に保護層9が形成されている。
【0027】
保護層9は、誘電体層8に形成した下地膜91と、下地膜91上に金属酸化物で被覆された粒子92とにより構成している。下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成され、さらに下地膜91上に金属酸化物で被覆された粒子92を付着形成している。
【0028】
次に、このようなPDP1の製造方法について説明する。まず、前面ガラス基板3上に、走査電極4及び維持電極5と遮光層7とを形成する。走査電極4と維持電極5とを構成する透明電極4a、5aと金属バス電極4b、5bは、フォトリソグラフィ法などを用いてパターニングして形成される。透明電極4a、5aは薄膜プロセスなどを用いて形成され、金属バス電極4b、5bは銀(Ag)材料を含むペーストを所定の温度で焼成して固化している。また、遮光層7も同様に、黒色顔料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や黒色顔料をガラス基板の全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、焼成することにより形成される。
【0029】
次に、走査電極4、維持電極5及び遮光層7を覆うように前面ガラス基板3上に誘電体ペーストをダイコート法などにより塗布して誘電体ペースト(誘電体材料)層を形成する。誘電体ペーストを塗布した後、所定の時間放置することによって塗布された誘電体ペースト表面がレベリングされて平坦な表面になる。その後、誘電体ペースト層を焼成固化することにより、走査電極4、維持電極5及び遮光層7を覆う誘電体層8が形成される。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料、バインダ及び溶剤を含む塗料である。図2中では誘電体層8は第1誘電体層81、第2誘電体層82で構成されているが、これに限らず1層構造でもよい。
【0030】
次に、誘電体層8上に下地膜91を形成する。本発明の実施の形態においては、下地膜91を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成している。
【0031】
下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の単独材料のペレットや、それらの材料を混合したペレットを用いて薄膜成膜方法によって形成される。薄膜成膜方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法を適用できる。一例として、スパッタリング法では1Pa、蒸着法の一例である電子ビーム蒸着法では0.1Paが実際上取り得る圧力の上限と考えられる。
【0032】
また、下地膜91の成膜時の雰囲気としては、水分付着や不純物の吸着を防止するために外部と遮断された密閉状態で、成膜時の雰囲気を調整することにより、所定の電子放出特性を有する金属酸化物よりなる下地膜91を形成することができる。
【0033】
次に、下地膜91上に付着形成する粒子92について述べる。この粒子92は、核となる核粒子92aと、前記核粒子92aを被覆する金属酸化物層から構成されている。
【0034】
核粒子92aは、針状、テトラポッド状、多角錐、多面体のいずれかの形状であることが望ましい。核粒子92aの大きさは、数μmから数十μm程度であることが望ましい。このような形状を有する核粒子92aとしては、株式会社アドテック製のパナテトラなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
金属酸化物層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物が望ましい。金属酸化物層の形態としては、図5および図6にそれぞれ示すように、被覆膜92bと、被覆粒子92cの2種類が考えられる。被覆膜92bの膜厚、および被覆粒子92cの直径は数μm以下であることが望ましい。被覆膜92bの被覆方法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが適用できる。また、被覆粒子92cの被覆方法としては、酸化マグネシウムの場合を例に挙げると、以下に示す気相合成法または前駆体焼成法のいずれかで実現することができる。
【0036】
気相合成法では、核粒子92aを不活性ガスが満たされた雰囲気内に導入し、その雰囲気下で純度が99.9%以上のマグネシウム金属材料を加熱し、さらに、雰囲気に酸素を少量導入することによって、マグネシウムを直接酸化させることで、酸化マグネシウム(MgO)が被覆粒子92cである粒子92を作製することができる。
【0037】
一方、前駆体焼成法では、以下の方法によって核粒子92aを作製することができる。硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2)を所定量の濃度で水又はアルカリ水溶液中に溶解する。その溶解液中に核粒子92aを投入して混合液を作製し、攪拌する。この混合液を濾過、乾燥する。その後、この乾燥物を空気中において400℃〜800℃で焼成することでMgOが表面にコートされた核粒子92aを作製する。MgOは核粒子92aの表面が露呈しないよう、核粒子92aの表面を均一に被覆している状態が好ましい。なお、核粒子92aの表面上にMgOを被覆する方法は上述した方法に限らない。また、被覆粒子92cの材料としてMgOを例に挙げたが、これに限定されるものではない。
【0038】
上記いずれかの方法で得られた粒子92を、溶媒に分散させ、その分散液をスプレー法やスクリーン印刷法、静電塗布法などによって下地膜91の表面に分散散布させる。その後、乾燥・焼成工程を経て溶媒除去を図り、粒子92を下地膜91の表面に定着させることができる。
【0039】
このような一連の工程により前面ガラス基板3上に所定の構成物(走査電極4、維持電極5、遮光層7、誘電体層8、保護層9)が形成されて前面板2が完成する。
【0040】
一方、背面板10は次のようにして形成される。まず、背面ガラス基板11上に、銀(Ag)材料を含むペーストをスクリーン印刷する方法や、金属膜を全面に形成した後、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングする方法などによりアドレス電極12用の構成物となる材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することによりアドレス電極12を形成する。次に、アドレス電極12が形成された背面ガラス基板11上にダイコート法などにより、アドレス電極12を覆うように誘電体ペーストを塗布して誘電体ペースト層を形成する。その後、誘電体ペースト層を焼成することにより下地誘電体層13を形成する。なお、誘電体ペーストはガラス粉末などの誘電体材料とバインダ及び溶剤を含んだ塗料である。
【0041】
次に、下地誘電体層13上に隔壁材料を含む隔壁形成用ペーストを塗布し、所定の形状にパターニングすることにより隔壁材料層を形成する。その後、所定の温度で焼成することにより隔壁14を形成する。ここで、下地誘電体層13上に塗布した隔壁用ペーストをパターニングする方法としては、フォトリソグラフィ法やサンドブラスト法を用いることができる。そして、隣接する隔壁14間の下地誘電体層13上及び隔壁14の側面に蛍光体材料を含む蛍光体ペーストを塗布し、焼成することにより蛍光体層15が形成される。以上の工程により、背面ガラス基板11上に所定の構成部材を有する背面板10が完成する。
【0042】
所定の構成部材を備えた前面板2と背面板10とを走査電極4とアドレス電極12とが直交するように対向配置し、その周囲をガラスフリットで封着して放電空間16にキセノン(Xe)とネオン(Ne)などを含む放電ガスを封入してPDP1が完成する。
【0043】
次に本発明の実施の形態における保護層9の詳細について説明する。
【0044】
本発明の実施の形態におけるPDPでは、図2に示すように、保護層9は、誘電体層8に形成した下地膜91と、下地膜91上に付着させた酸化マグネシウム(MgO)の結晶粒子92aが複数個凝集した凝集粒子92とにより構成されている。また、下地膜91を、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成する。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態におけるPDP1の保護層9を構成する下地膜91面におけるX線回折結果を示す図である。また、図3中には、酸化マグネシウム(MgO)単体、酸化カルシウム(CaO)単体、酸化ストロンチウム(SrO)単体、及び酸化バリウム(BaO)単体のX線回折分析の結果も示す。
【0046】
図3において、横軸はブラッグの回折角(2θ)であり、縦軸はX線回折波の強度である。回折角の単位は1周を360度とする度で示し、強度は任意単位(arbitrary unit)で示している。図3中には特定方位面である結晶方位面を括弧付けで示している。図3に示すように、結晶方位面の(111)では、酸化カルシウム(CaO)単体では回折角32.2度、酸化マグネシウム(MgO)単体では回折角36.9度、酸化ストロンチウム(SrO)単体では回折角30.0度、酸化バリウム(BaO)単体では回折角27.9度にピークを有していることがわかる。
【0047】
本発明の実施の形態におけるPDP1では、保護層9の下地膜91として、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)から選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成している。
【0048】
図3には、下地膜91を構成する単体成分が2成分の場合についてのX線回折結果を示している。すなわち、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をA点、酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をB点、さらに、酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)の単体を用いて形成した下地膜91のX線回折結果をC点で示している。
【0049】
すなわち、A点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化カルシウム(CaO)単体の回折角32.2度との間である回折角36.1度にピークが存在している。同様に、B点、C点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の35.7度、35.4度にピークが存在している。
【0050】
また、図4には、図3と同様に、下地膜91を構成する単体成分が3成分以上の場合のX線回折結果を示している。すなわち、図4には、単体成分として酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)を用いた場合の結果をD点、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をE点、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)及び酸化バリウム(BaO)を用いた場合の結果をF点で示している。
【0051】
すなわち、D点は特定方位面としての結晶方位面の(111)において、単体の酸化物の最大回折角となる酸化マグネシウム(MgO)単体の回折角36.9度と、最小回折角となる酸化ストロンチウム(SrO)単体の回折角30.0度との間である回折角33.4度にピークが存在している。同様に、E点、F点もそれぞれ最大回折角と最小回折角との間の32.8度、30.2度にピークが存在している。
【0052】
したがって、本発明の実施の形態におけるPDP1の下地膜91は、単体成分として2成分であれ、3成分であれ、下地膜91を構成する金属酸化物の下地膜91面のX線回折分析において、特定方位面の金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。
【0053】
なお、上記の説明では特定方位面としての結晶方位面として(111)を対象として説明したが、他の結晶方位面を対象とした場合も金属酸化物のピークの位置が上記と同様である。
【0054】
酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、及び酸化バリウム(BaO)の真空準位からの深さは酸化マグネシウム(MgO)と比較して浅い領域に存在する。そのため、PDP1を駆動する場合において、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)のエネルギー準位に存在する電子がキセノン(Xe)イオンの基底状態に遷移する際に、オージェ効果により放出される電子数が、酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0055】
また、上述のように、本発明の実施の形態における下地膜91は、金属酸化物を構成する酸化物の単体より発生するピークの最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するようにしている。X線回折分析の結果が、図3及び図4に示す特徴を有する金属酸化物はそのエネルギー準位もそれらを構成する単体の酸化物の間に存在する。したがって、下地膜91のエネルギー準位も単体の酸化物の間に存在し、オージェ効果により放出される電子数が酸化マグネシウム(MgO)のエネルギー準位から遷移する場合と比較して多くなると考えられる。
【0056】
その結果、下地膜91では、酸化マグネシウム(MgO)単体と比較して、良好な二次電子放出特性を発揮することができ、結果として、放電維持電圧を低減することができる。そのため、特に輝度を高めるために放電ガスとしてのキセノン(Xe)分圧を高めた場合に、放電電圧を低減し、低電圧でなおかつ高輝度のPDPを実現することが可能となる。
【0057】
表1には、本発明の実施の形態におけるPDPにおいて、450Torrのキセノン(Xe)及びネオン(Ne)の混合ガス(Xe、15%)を封入した場合の放電維持電圧の結果で、下地膜91の構成を変えた場合の、PDPの結果を示す。
【0058】
【表1】
【0059】
なお、表1の放電維持電圧は比較例を100とした場合の相対値で表している。サンプルAの下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)と酸化カルシウム(CaO)による金属酸化物、サンプルBの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)と酸化ストロンチウム(SrO)による金属酸化物、サンプルCの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)と酸化バリウム(BaO)による金属酸化物、サンプルDの下地膜91は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ストロンチウム(SrO)による金属酸化物、サンプルEの下地膜91は酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化バリウム(BaO)による金属酸化物によって構成されている。また、比較例は、下地膜91が酸化マグネシウム(MgO)単体である場合について示している。
【0060】
放電ガスのキセノン(Xe)の分圧を10%から15%に高めた場合には輝度が約30%上昇するが、下地膜91が酸化マグネシウム(MgO)単体の場合の比較例では、放電維持電圧が約10%上昇する。
【0061】
一方、本発明の実施の形態におけるPDPでは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD、サンプルEいずれも、放電維持電圧を比較例に比較して約10%〜20%低減することができる。そのため、通常動作範囲内の放電開始電圧とすることができ、高輝度で低電圧駆動のPDPを実現することができる。
【0062】
なお、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化バリウム(BaO)は、単体では反応性が高いため不純物と反応しやすく、そのために電子放出性能が低下してしまうという課題を有していた。しかしながら、本発明の実施の形態においては、それらの金属酸化物の構成とすることにより、反応性を低減し、不純物の混入や酸素欠損の少ない結晶構造で形成されている。そのため、PDPの駆動時に電子が過剰放出されるのが抑制され、低電圧駆動と二次電子放出性能の両立効果に加えて、適度な電子保持特性の効果も発揮される。この電荷保持特性は、特に初期化期間に貯めた壁電荷を保持しておき、書き込み期間において書き込み不良を防止して確実な書き込み放電を行う上で有効である。
【0063】
次に、本発明の実施の形態における下地膜91上に設けた、金属酸化物で被覆されている粒子92について説明する。粒子92の散布効果として、放電電圧が低減する効果、書き込み放電における放電遅れを抑制する効果、放電遅れの温度依存性を改善する効果などが挙げられる。これは、粒子92内の核粒子92aの先端に電界集中が起こり、電界電子放出によって電子放出特性が向上したためであると考えられる。この効果を得るためには核粒子92aの先端が先鋭である必要があるが、放電によるスパッタリングにより先端が徐々に磨耗され、電界電子放出特性が悪化することが考えられる。その結果、長時間にわたって放電電圧の低下を維持し、かつ放電遅れを抑制することが困難となる。しかし、核粒子92aを被覆膜92b、または被覆粒子92cで被覆することにより、放電によるスパッタリングから核粒子92aの先端をガードし磨耗を抑制することで、長時間にわたって放電電圧の低下を維持し、かつ放電遅れを抑制することが可能となる。
【0064】
以上のように本発明によるPDPによれば、高輝度の表示性能を備え、かつ低電圧駆動が可能で放電遅れの小さいPDPを実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上のように本発明は、高画質の表示性能を備え、かつ低消費電力のPDPを実現する上で有用な発明である。
【符号の説明】
【0066】
1 PDP
2 前面板
3 前面ガラス基板
4 走査電極
4a,5a 透明電極
4b,5b 金属バス電極
5 維持電極
6 表示電極
7 ブラックストライプ(遮光層)
8 誘電体層
9 保護層
10 背面板
11 背面ガラス基板
12 アドレス電極
13 下地誘電体層
14 隔壁
15 蛍光体層
16 放電空間
91 下地膜
92 粒子
92a 核粒子
92b 被覆膜
92c 被覆粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されている、プラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物である、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記粒子は、針状、テトラポッド状、多角錐、多面体、のいずれかの形状である、請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、セレン化亜鉛、炭化珪素、炭化チタン、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素を成分として含有している、請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記下地層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成し、前記金属酸化物は前記下地膜面のX線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項1】
表示電極および誘電体を有した前面板と背面板からなり、前記誘電体層上には保護膜を設け、前記保護膜は、下地層と、前記下地層上に粒子を有し、前記粒子は、金属酸化物で被覆されている、プラズマディスプレイパネル。
【請求項2】
前記金属酸化物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化ケイ素、及び酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1つ以上の酸化物である、請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項3】
前記粒子は、針状、テトラポッド状、多角錐、多面体、のいずれかの形状である、請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項4】
前記粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、セレン化亜鉛、炭化珪素、炭化チタン、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素を成分として含有している、請求項1から3のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【請求項5】
前記下地層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、及び酸化バリウムから選ばれる少なくとも2つ以上の酸化物からなる金属酸化物により形成し、前記金属酸化物は前記下地膜面のX線回折分析において、特定方位面の前記金属酸化物を構成する前記酸化物の単体より発生する最小回折角と最大回折角との間にピークが存在するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2013−51124(P2013−51124A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188408(P2011−188408)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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