説明

プラネタリウムの制御方法およびプラネタリウム制御システム

【課題】恒星投影機がどのような動きであっても恒星から投影される恒星像とプロジェクタから投影される映像の位置関係が所定の関係に正確に保たれ、あたかも一体のシステムであるかのように扱えるプラネタリウムの制御方法およびプラネタリウム制御システムを提供する。
【解決手段】恒星投影機9からの日周回転および緯度回転の角位置情報がプロジェクタ10に伝達される。プロジェクタ10はドームスクリーンの所定位置に映像を投影するように設置されており、入力される角位置情報を参照して映像を生成する。これにより恒星投影機から投影される恒星像とプロジェクタ10からの投影映像の位置関係が変わることはなく維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラネタリウムにおいて恒星を投影天の川,星雲,星団などの天体(以降、「星」と総称する)を投影する恒星投影機と、映像を投影するプロジェクタを用いたプラネタリウムの制御方法およびプラネタリウム制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来プラネタリウムでは、ドームスクリーンの中心に星空を投影する恒星投影機を設置し、恒星を投影することにより本物の夜空同様の星空をドームスクリーンに再現していた。また、実際の夜空には恒星以外の天体、たとえば太陽や月,惑星などが存在するが、これらの天体を投影するための補助投影装置が恒星投影機に搭載されるか、または恒星投影機とは別に投影機を設置し恒星投影機と連動して投影像の位置を制御することにより、星を再現することが行われていた。
【0003】
また、任意の映像を生成できるコンピュータや、コンピュータの映像を投影するプロジェクタを用いて従来のプラネタリウムでは再現できなかった動画や任意の画像をドームスクリーン内に投影し、演出効果を高めることが行われてきた。上記プロジェクタは1台または複数台を用い、ドームスクリーン内の一部または全面に映像を投影できるように構築され、プロジェクタの映像は恒星投影機から投影される恒星像と重ね合わせられることにより、恒星投影機から投影される星像に、プロジェクタから投影される星座線を重ね合わせて投影していた。これにより教育的効果を高めたり、惑星の軌跡を表示したりして演出や教育的効果を高めていた。
【0004】
さらに恒星投影機とプロジェクタの映像を重ねてスクリーンに投影するものとして、プラネタリウム投影機とプラネタリウム用投影装置を有し、投影機および投影装置の投影像をスクリーン投影する際、コンピュータによりプラネタリウム用投影装置のビデオプロジェクタの映像の投影位置を調整するプラネタリウムも提案されている(引用文献1)。
これはスクリーン上に映し出された星空との位置関係を保ちながら画像を映し出すことを容易することを目的とするものである。
【特許文献1】特開平10−228235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術はそれぞれ以下のような問題点を有していた。
恒星投影機に太陽や惑星を投影する専用の装置を搭載するものは、恒星投影機自体の大型化に繋がり、観客の視界を妨げる要因となり、またコストアップや保守性悪化を招いていた。さらに恒星投影機と独立して設置する投影機では、これら投影機が占有するスペースや装置制作コストに問題が生じていた。また当然ながらこれらの装置では、あらかじめ決められた天体しか再現できなかった。
【0006】
また、プロジェクタを用いた映像投影方法では、プロジェクタによって任意の演出効果を得られるものの、恒星投影機から投影される星空とプロジェクタから投影される映像の位置を合わせて投影するには、映像の位置を恒星像に正確に合わせる作業が必要であり、演出プログラミングの手間やコストの増大を招いていた。
さらにプロジェクタに接続する映像生成装置に、リアルタイムで任意の映像を生成できるコンピュータを使い、任意に運動できる恒星投影機への角度指令値に合わせて映像を生成する手段を用いれば、恒星像とプロジェクタの映像を合わせることは可能であるが、実際には恒星投影機の回転運動に機械的な遅延があって、加速時や減速時などの過渡期に恒星像とプロジェクタから投影される映像の間にずれを生じる問題点があった。
また、引用文献1ではプラネタリウム用投影装置にプロジェクタと可動式光学系を備え、この可動式光学系に中継光学系,固定プリズム,サーボモータ,像補正回転機構,投影レンズを含み、コンピュータで制御されるビデオプロジエクタからのビデオ信号の光を任意の方向に投影するようにした構成であるので、装置規模が大きくなり、星空に対し映像の投影は一体的には行うことができないことが考えられる。
【0007】
本発明は上記諸問題を解決するもので、その目的は、恒星投影機をどのように動かしても、恒星から投影される恒星像とプロジェクタから投影される映像の位置関係が所定の関係に正確に保たれ、あたかも一体のシステムであるかのように扱えるプラネタリウムの制御方法およびプラネタリウム制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために本発明の請求項1の制御方法は、複数の回動軸の回転により投影姿勢を変えることが可能であり、ドームスクリーン内に恒星や天の川,星雲星団などを投影する恒星投影機と、前記ドームスクリーン内に映像を投影可能なプロジェクタと、前記プロジェクタで投影するための映像信号を生成する映像生成装置を有し、前記映像生成装置は、前記恒星投影機の姿勢を示す前記回動軸の回転角位置情報を参照して前記プロジェクタが投影する前記図形や画像の映像を生成することにより、前記恒星投影機から投影される恒星像と、前記プロジェクタから投影される映像の図形や画像とを所定の位置関係に維持することを特徴とする。
本発明の請求項2の制御方法は、請求項1記載の制御方法において前記恒星投影機の複数の回動軸は、日周回動軸および緯度回動軸、または日周回動軸および緯度回動軸に方位回動軸を加えたものであること特徴とする。
本発明の請求項3の制御方法は、請求項1または2記載の制御方法において、前記恒星投影機は、前記恒星投影機を駆動するモータの回転数を検出するロータリーエンコーダと、前記ロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を計数するカウンタとを含んで構成される回転角位置情報検出手段を有し、前記回転角位置情報を出力することを特徴とする。
本発明の請求項4の制御方法は、請求項1または2記載の制御方法において、前記恒星投影機は、前記恒星投影機を駆動するステッピングモータと、前記ステッピングモータの駆動パルス信号を計数するカウンタとを含んで構成される回転角位置情報検出手段を有し、前記回転角位置情報を出力することを特徴とする。
本発明の請求項5のプラネタリウム制御システムは、複数の回動軸の回転により投影姿勢を変えることが可能であり、ドームスクリーン内に恒星や天の川,星雲星団などを投影する恒星投影機と、前記ドームスクリーン内に映像を投影可能なプロジェクタと、前記プロジェクタで投影するための映像信号を生成する映像生成装置を有し、前記映像生成装置は、前記恒星投影機の姿勢を示す前記回動軸の回転角位置情報を参照して前記プロジェクタが投影する前記図形や画像の映像を生成することにより、前記恒星投影機から投影される恒星像と、前記プロジェクタから投影される映像の図形や画像とを所定の位置関係に維持することを特徴とする。
すなわち、本発明は恒星投影機から恒星を投影し、それ以外のさまざまな天体や物体をプロジェクタから投影する際、恒星投影機から、各軸の機械的な角位置を取得し、これを映像生成装置に入力して、この情報をもとに映像を生成させることによって、恒星投影機をどのように動かしても、恒星から投影される恒星像とプロジェクタから投影される映像の位置関係が所定の関係に正確に保たれ、あたかも一体のシステムであるかのように扱えるものである。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、恒星投影機から投影される恒星像に、常に恒星像と正確な位置関係を維持してさまざまな図形や物体を投影できることにより、シンプルな恒星投影機とシンプルなプロジェクタにより、星座に任意の線を描くことをはじめ、美しい星空を再現できながら、任意の映像を投影でき演出効果の幅の広いプラネタリウムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は本発明によるプラネタリウムの制御方法を採用した恒星投影機の実施の形態を示す図である。
恒星投影球3には、複数の投影ユニット3a〜3nが装着され、各投影ユニット3a〜3nはそれぞれ予め天球上の決められた範囲の星野を投影するように組み付けられている。
この恒星投影球3は、日周ベース4に回転可能に取り付けられている。すなわち、日周ベース4に一体形成された日周ベース軸4aにベアリング3cを介して日周回動軸3bが取り付けられている。日周回動軸3bは恒星投影球3の内部中央で、恒星投影球3に固定されている。このような構成により恒星投影球3で投影される星空は、実際の夜空でいう日周運動さながらの運動を再現することができる。
日周ベース4は、架台5の上に緯度回動軸6で支えられており、緯度回動軸6は架台5の軸支持部5aの間に回転可能に支持されている。恒星投影機9の回転中心となる日周回動中心線1と、恒星投影機と北の地平線上を結ぶ線(以下北方水平線)とのなす角Lat を、観測地の緯度と合わせることにより、その観測地の星空を再現することができる。
【0011】
また、日周回動中心線1および緯度回動中心線2にそれぞれに直交する線(以下、「赤道子午線)という)に対し、恒星投影球上で赤経0度に相当する春分点8までのなす角Diurは、実際の星空でいう恒星時に相当し、Diurを変えることにより、任意の恒星時、すなわち任意の季節と時間の星空を再現することができる。
恒星投影機の緯度回動軸6および日周回動軸3bの回転は、図示はしないモータ、例えばサーボモータやステッピングモータなどで回転駆動され、所望の角位置を設定することができるようになっている。
【0012】
図2は、本発明による制御方法の実施の形態を示す図で、恒星投影機と単一のプロジェクタを用いて星空と映像を重ね合わせて投影できることを可能にしたプラネタリウム制御システムである。
恒星投影機9と、その横にプロジェクタ10が設置されている。プロジェクタ10の先端には魚眼レンズ17が装着されており、ドームスクリーン全面に映像を投影可能になっている。これにより、恒星投影機から投影された像と、プロジェクタから投影され映像が一体になるように重ね合わされてドームスクリーンに投影される。
【0013】
図3は、本発明による制御方法の他の実施の形態を示す図で、複数のプロジェクタと恒星投影機により星空と映像を重ね合わせて投影できることを可能にしたプラネタリウムシステムである。
恒星投影機9を囲むドーム周囲に、プロジェクタ10a〜10eが等間隔にドーム中心方向に向けて設置されている。これらの複数のプロジェクタ10a〜10eが投影する映像はドーム18のスクリーン上でつながり、一つの映像となって恒星投影機9から投影される恒星像と重なって投影される。
各プロジェクタ10a〜10eにはそれぞれ映像を生成する映像ジェネレータ11a〜11eが接続され、各映像ジェネレータ11a〜11eは複数のプロジェクタの画面を連動させるための制御を行うマスタコントローラ12に接続されている。
【0014】
つぎに図2および図3を用いて実際に恒星投影機から投影される恒星像とプロジェクタから投影される映像の位置関係を維持するための方法を説明する。
まず、恒星投影機の機械的角位置とそれを求める手段を説明する。
プラネタリウム上映では、所定の日時や場所の星空を投影するため、恒星投影球の日周回動軸と緯度回動軸を制御し所望の角位置になるようにしている。ある日時と場所が与えられたとき、恒星投影球の日周回動軸と緯度回動軸の回転角位置(Diur0,lat0)をどのようにすれば良いかは、位置天文学の初歩的な知識で解決でき公知であるため省略する。
このDiur0 とLat0は、恒星投影機に対する指令値である。
【0015】
図5は、この指令値をもとに実際に恒星投影機を駆動制御する装置の実施の形態を示すブロック図である。ここでは簡易のため2軸に対する制御のうち1軸分に対してのみの回路構成を示している。
ホストPC30は、あらかじめ与えられた日時と場所(経度,緯度)の情報をもとに恒星投影機9の回転角指令値(角度指令値)を算出する。この回転角指令値は、サーボコントローラ31に入力される。誤差算出器32は、回転角指令値とパルスカウンタ35が示す現在位置を比較し、誤差を算出する。算出された誤差は、D/Aコンバータ33でアナログ電圧に変換され、アンプ34で増幅されて恒星投影機9内のサーボモータ36を駆動する。サーボモータ36の回転駆動力はギヤなどの伝導機構43を介して恒星投影機9の駆動軸38に伝達され、恒星投影機9の回転を制御する。サーボモータ36の回転は、伝達機構を介してロータリーエンコーダ37にも伝達され、ロータリーエンコーダ37から出力されたパルスがパルスカウンタ35で計数されて現在角位置情報となる。
【0016】
図6は、本発明による制御方法に用いる制御回路の他の実施の形態を示す回路ブロック図で、ステッピングモータを用いたオープンループ制御の例である。
ステッピングモータ44は、指令パルスに比例した回転をするため回転数検出器(ロータリーエンコーダ)を設けることなく、モータに供給されるパルス信号をカウントするだけで回転角位置を検出可能である。しかしステッピングモータ44にはある一定以上の速度や加速度が加わると脱調して指令パルスと回転角位置の間に不整合が起きるおそれがある。そのためステッピングモータ44に供給するパルス周波数は、脱調を起こさないように制御しなければならない。そこで、図5の実施の形態で用いた、角度指令値とパルスカウンタの値を比較して誤差を算出する構成と同様な回路構成を用いている。
【0017】
パルスコントローラ45は誤差算出器32,パルス発生器39およびパルスカウンタ35のフィードバック回路で構成され、パルス発生器39のパルスをステッピングモータドライバ40に入力している。誤差算出器32はホストPC30からの角度指令値とパルスカウンタ35からパルスカウント値を比較し、その差対応の誤差信号を出力する。パルス発生器39は誤差信号をもとに誤差信号の大きさに比例する周波数のパルスを発生する。パルス発生器39のパルス数はパルスカウンタによってカウントされ、そのカウント値が誤差算出器32にフィードバックされる。もし誤差が大きすぎてパルス周波数が一定の値以上に大きくなりそうなときは、誤差算出器32に入力するパルス周波数は大きくなるため、それを抑えるためにその誤差信号を小さくして出力パルス周波数を一定の範囲に収めるよう制御している。すなわちパルス周波数リミッタとして動作させている。
またパルスの加速度が大きすぎるときも同様に制御し加速度が一定の範囲に収まるような動作(パルス加速度リミット動作)を行う。
【0018】
よって指令値によっては、指令値と実際の角位置の間に、瞬間的に大きな誤差が生じるが、上記パルスコントローラ45によって、その誤差をなるべく短時間で短縮するようにモータは制御される。このような脱調を防止する制御により、指令パルスをカウントするだけで正確な角位置を取得することができる。
図5,図6のいずれの実施の形態においても、回転角位置情報は映像ジェネレータ41に供給される。映像ジェネレータ41は回転角位置情報を参照して映像を生成し、生成した映像はプロジェクタ45によって投影される。
【0019】
つぎに、恒星投影機の回転角位置情報をもとに、恒星投影機から投影される恒星像とプロジェクタで投影される画像を一致させて投影する方法を説明する。
図2および図3のプロジェクタで映像を表示する際は、プロジェクタ画面上のXY座標に相当する画素(x,y) が、ドームスクリーン上の座標(azm,alt) に投影されることなる。ドームスクリーン上の座標とは、すなわち本物の夜空でいうところの地平座標と同一である。地平座標(azm,alt) とプロジェクタ画面上座標(x,y) の座標変換は、ドーム曲率半径、プロジェクタの設置位置、プロジェクタの姿勢角, プロジェクタの投影レンズの焦点距離や歪み特性などをもとに算出可能である。また、本件発明者が提案した映像投影システム(特願2005−161780)の方法などを用いて取得することができる。
【0020】
プロジェクタとドームスクリーンが共に固定されていれば、x0,y0 とazm0,alt0 の関係は常に一定である。
図4は、プロジェクタ画面上で、地平座標の目盛りを表示した例である。
図4(a)は、図2の実施の形態の例で、魚眼レンズ17を用いて投影した場合の様子である。画面の中心付近に天頂16があり、それをほぼ同心円状に囲むように等高度線14が、放射状に等方位線15が刻まれている。地平線は13である。
【0021】
一方、図4(b)は、図3の実施の形態の例によるプロジェクタ画面上に地平座標の目盛りを表示した例で、複数のプロジェクタのうちの1台分の画面である。この場合、ドームスクリーン上の限られた一部分が1台のプロジェクタ画面内に含まれる。
ここで、恒星投影機から投影されている、ある恒星像に正確に一致して矢印状の図形(ポインター)を表示する方法を説明する。すなわち恒星投影機からの角位置情報を用いて映像を生成する方法である。
恒星の座標は赤経,赤緯で示される赤道座標で設定されており、基本的にこの値は不変である。この赤道座標を(α,δ)とする。
赤道座標を地平座標に変換する際に、恒星投影機から得られる角位置情報を用いる。すなわち、恒星投影機から日周回動軸の回転角位置Diur1 および緯度回動軸の回転角位置Lat1を取得する。この角位置情報を用いて座標変換を行う。
【0022】
まず、赤道座標α, δから、下記(1),(2)および(3)式より赤道方向余弦(A,B,C) に変換する。
A = cos α*cosδ ・・・(1)
B = sin α*cosδ ・・・(2)
C = sin δ ・・・(3)
つぎに赤道方向余弦を(4),(5)および(6)式により日周軸の回転角位置Diurで表す。
A1 = A*cos Diur1 + B * sin Diur1 ・・・(4)
B1 = -A*sin Diur1 + B * cos Diur1 ・・・(5)
C1 = C ・・・(6)
同様に赤道方向余弦を(7),(8)および(9)式により緯度軸の回転角位置Lat で表す。
A2 = A1 ・・・(7)
B2 = B1*cos Lat1 + C1*sin Lat1 ・・・(8)
C2 = -B1*sin Lat1 + C1*cos Lat1 ・・・(9)
【0023】
以上により恒星の地平方向余弦(A2,B2,C2)を取得することかできる。
よって恒星の方位角azm1, 高度alt1はそれぞれ(10)および(11)で算出することができる。
Azm1 = atan B2 / A2 ・・・(10)
Alt1 = asin C2 ・・・(11)
ここで求められた方位角と高度は、機械的なディレイも含めて実際に投影されている位置であるため、この方位角および高度に合わせて映像を投影すれば、その位置は恒星投影機から投影された恒星像の位置と極めてよく一致したものとなる。また、急な指令値の変化などによっても、常に実際の恒星投影機の角位置にもとづいた制御を行うため、恒星像と画像は相対的にずれることがほとんどない。
図5および図6において、映像ジェネレータ41は恒星投影機からの回転角位置Diur1 および緯度回動軸の回転角位置Lat1の角位置情報を得て対応の方位角および高度になるように投影する映像を生成する。プロジェクタ45はこの映像をドームスクリーンに投影する。これによりプロジェクタ画面上のXY座標に相当する画素(x,y) がドームスクリーン上の座標(azm,alt) に投影され、プロジェクタ画面の座標x0,y0 とドームスクリーン上のazm0,alt0 の関係は常に一定であるため恒星投影から投影される恒星とプロジェクタが投影する映像は常に一致するような関係を維持してドームスクリーンに投影される。
【0024】
以上の実施の形態は、映像ジェネレータが恒星投影機の日周回動軸および緯度回動軸に対する角度位置情報を参照して映像を生成する例について説明したが、恒星投影機に方位方向にも回動する回動軸を設け、角度位置情報に方位回動軸の角度位置を加えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
星を投影する恒星投影機と、映像を投影するプロジェクタを用いたプラネタリウムの制御方法およびプラネタリウム制御システムである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明によるプラネタリウムの制御方法を採用した恒星投影機の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明による制御方法の実施の形態を示すプラネタリウム制御システムの斜視図である。
【図3】本発明による制御方法の他の実施の形態を示すプラネタリウム制御システムの斜視図である。
【図4】プロジェクタ画面上で、地平座標の目盛りを表示した図である。
【図5】本発明による制御方法に用いる制御回路の実施の形態を示す回路ブロック図で、指令値をもとに実際に恒星投影機を駆動制御する装置構成の例である。
【図6】本発明による制御方法に用いる制御回路の他の実施の形態を示す回路ブロック図で、ステッピングモータを用いたオープンループ制御の例である。
【符号の説明】
【0027】
1 日周回動中心線
2 緯度回動中心線
3 恒星投影球
4 日周ベース
5 架台
6 緯度回動軸
7 北方水平線
8 春分点
9 恒星投影機
10,10a〜10e プロジェクタ
11a〜11e,41 映像ジェネレータ
12 マスタコントローラ
13 地平線
14 等高度線
15 等方位線
16 天頂
17 魚眼レンズ
30 ホストコンピュータ
31 サーボコントローラ
32 誤差算出器
33 D/Aコンバータ
34 アンプ
35 パルスカンウタ
36 サーボモータ
37 ロータリーエンコーダ
39 パルス発生器
40 ステッピングモータドライバ
43 伝導機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回動軸の回転により投影姿勢を変えることが可能であり、ドームスクリーン内に恒星や天の川,星雲星団などを投影する恒星投影機と、
前記ドームスクリーン内に映像を投影可能なプロジェクタと、
前記プロジェクタで投影するための映像信号を生成する映像生成装置を有し、
前記映像生成装置は、前記恒星投影機の姿勢を示す前記回動軸の回転角位置情報を参照して前記プロジェクタが投影する前記図形や画像の映像を生成することにより、前記恒星投影機から投影される恒星像と、前記プロジェクタから投影される映像の図形や画像とを所定の位置関係に維持することを特徴とするプラネタリウムの制御方法。
【請求項2】
前記恒星投影機の複数の回動軸は、日周回動軸および緯度回動軸、または日周回動軸および緯度回動軸に方位回動軸を加えたものであること特徴とする請求項1記載のプラネタリウムの制御方法。
【請求項3】
前記恒星投影機は、
前記恒星投影機を駆動するモータの回転数を検出するロータリーエンコーダと、
前記ロータリーエンコーダから出力されるパルス信号を計数するカウンタとを含んで構成される回転角位置情報検出手段を有し、
前記回転角位置情報を出力することを特徴とする請求項1または2記載のプラネタリウムの制御方法。
【請求項4】
前記恒星投影機は、
前記恒星投影機を駆動するステッピングモータと、
前記ステッピングモータの駆動パルス信号を計数するカウンタとを含んで構成される回転角位置情報検出手段を有し、
前記回転角位置情報を出力することを特徴とする請求項1または2記載のプラネタリウムの制御方法。
【請求項5】
複数の回動軸の回転により投影姿勢を変えることが可能であり、ドームスクリーン内に恒星や天の川,星雲星団などを投影する恒星投影機と、
前記ドームスクリーン内に映像を投影可能なプロジェクタと、
前記プロジェクタで投影するための映像信号を生成する映像生成装置を有し、
前記映像生成装置は、前記恒星投影機の姿勢を示す前記回動軸の回転角位置情報を参照して前記プロジェクタが投影する前記図形や画像の映像を生成することにより、前記恒星投影機から投影される恒星像と、前記プロジェクタから投影される映像の図形や画像とを所定の位置関係に維持することを特徴とするプラネタリウム制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−333870(P2007−333870A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163535(P2006−163535)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(599154906)
【Fターム(参考)】