説明

プラント監視制御システムの表示装置、及び、その表示画面の作成方法

【課題】監視制御情報を表示する表示画面の制作と、保守とが容易に行えるプラント監視制御システムの表示装置を提供することを目的とする
【解決手段】描画データを記憶する記憶部22と、表示画面を作成して表示させる表示処理部21とを備え、描画データは、表示オブジェクトファイルと、データに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルと、表示位置とその表示サイズとを指定する複数のグリッドパターンファイルと、表示オブジェクト及びタグ番号の表示位置とサイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブルとで構成され、表示処理部は、グリッドパターンと、表示オブジェクトを抽出し、グリッドパターン上に表示オブジェクトを重ねて表示して、表示位置とサイズとを求め、表示オブジェクトを表示画面に表示させるとともに、対応する表示オブジェクト・グループテーブルを作成するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント監視制御システムの表示装置、及びその表示画面の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントの監視制御を行うプラント監視制御システムには、監視制御する監視制御情報を表示する表示装置を備えている。この表示装置で表示する表示画面は、監視・制御しているシステム系統の全体、及び一部の監視制御状態を1つの画面にして、システムの運転者に分かりやすく表示するものである。
【0003】
従来の表示画面は、各種の表示オブジェクト予め登録しておき、その表示オブジェクトを適宜組み合わせて画面を作成することで構成される。
【0004】
例えば、図12は、タンクの水位を制御しているプラントの監視制御画面で、その表示オブジェクトは、図12(a)に示す、予め登録されたタンク内の水位の監視制御システムの構成全体を示すグラフィックオブジェクトと、図12(b)に示す、水位のトレンドデータオブジェクト、及び、図12(c)に示す、水位を制御する計器オブジェクトから成る。
【0005】
そして、この水位制御システムで監視制御するデータは、タグ番号として、夫々の表示オブジェクトに対応付けして予め登録しておき、例えば、タンクの水位は、タグ番号1「88.00m」の様に文字表示し、水位の上限設定値は、タグ番号2「PH90.00m」のように文字表示する。
【0006】
また、タンクの水位データ等の時系列データは、トレンドデータとして図13(b)のグラフのように表示し、タンクに流入する流量を制御する制御機器の設定値や、非制御量はタグ番号3に示すように文字表示したり、バーグラフとして表示させたりして、夫々の表示オブジェクトに関連付けして、予め登録しておく。
【0007】
これらのタグ番号で指定されるデータは、表示画面の文字や、所定の位置をクリックしてデータの表示を要求し、要求されたタグ番号のデータが対応するプロセス監視制御システムから送信される。
【0008】
例えば、図12(c)に示す計器画面においては、先ず、予め定めるa点をクリックして計器画面を表示させ、さらに、計器画面に表記されるタグ番号3をクリックすると、バータグが表示されたり、そのトレンドデータが表示されたりする。
【0009】
このようなプラント監視制御システムの表示画面には、グラフィック画面、トレンド画面、計器画面を有するプラントの総合計装オペレータステーションにおいて、画面作成をユーザに開放するため、トレンド画面と計器画面のいずれか一方を表示単位画面とし、製品開発や、画面毎の作成の自由度が高まるとされる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
また、プラント監視装置において、描画データを予め記憶して置き、予め設定されるスケーリングの指示に基づいて、縮尺により描画が崩れない計器図のビットマップを選択するとともに、フォントを選択して、描画データに対して縮尺計算を行う表示処理部を備え、監視画面に、複数の計器図の大きさを自由に設定できるようにした計器図表示装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−175221号公報
【特許文献2】特許第3350923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した特許文献には、複数の異なる表示オブジェクトのサイズと表示位置とを任意に、且つ、容易に設定できる表示装置について、これを示唆する技術や記述は開示されていない。
【0013】
例えば、図13に示すように、図12に示した複数の表示画面を1つの画面として作成する場合、複数の表示オブジェクトと表示データの表示位置や表示サイズを都度変更して、図や文字の重なりを適宜処理する必要がある。
【0014】
このような画像処理は、システムの規模が大きくなり、多数の監視画面を備える場合においては、新規に監視画面を作成する場合だけでなく、システムの変更の場合の監視画面の作製においても、多大の手間が掛かかり、その品質を確保することが負担となっていた。
【0015】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、プラントの監視制御を行うプラント監視制御システムの監視制御情報を表示する表示装置において、監視制御情報を表示する表示画面の制作と、保守とが容易に行えるプラント監視制御システムの表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明によるプラント監視制御システムの表示装置は、プラント監視制御システムの表示装置であって、前記表示装置は、表示画面を生成する描画データを記憶する記憶部と、前記描画データを処理し、前記表示画面を作成して表示させる表示処理部と、を備え、前記描画データは、表示する複数の表示オブジェクトから成る表示オブジェクトファイルと、前記表示オブジェクトと前記プラント監視制御システムで監視制御するデータに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルと、前記表示画面に表示する複数の前記表示オブジェクトの表示位置とその表示サイズとを指定するための複数のグリッドパターンファイルと、前記グリッドパターン上にレイアウトして、前記表示画面に表示させる前記表示オブジェクト及び前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブルと、で構成され、前記表示処理部は、指定された前記グリッドパターンを前記記憶部から抽出して表示し、さらに、前記表示オブジェクトファイルから指定された前記表示オブジェクトを抽出し、抽出した前記グリッドパターン上に指定された前記表示オブジェクトを重ねて表示して、指定された表示位置と表示サイズとを求め、さらに、前記表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルを参照して、指定された前記表示オブジェクトと対応付けて表示する前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを求め、前記表示オブジェクトと前記タグ番号とを前記表示画面に表示させるとともに、当該表示画面に対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルを作成するようにしたことを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明によるプラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法は、プラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法であって、前記表示装置は、表示画面を生成する描画データを記憶する記憶部と、前記描画データを処理し、前記表示画面を作成して表示させる表示処理部と、を備え、前記描画データは、表示するオブジェクトの表示オブジェクトファイルと、前記表示オブジェクト前記プラント監視制御システムで監視制御するデータに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルと、前記表示画面に表示する複数の前記表示オブジェクトの表示位置とその表示サイズとを指定するための複数のグリッドパターンと、前記グリッドパターン上にレイアウトして、前記表示画面に表示させる前記表示オブジェクト及び前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブルと、で構成され、前記グリッドパターンから指定するサイズのグリッドパターンを抽出して表示させるステップと、前記表示オブジェクトファイルから指定する前記表示オブジェクトを抽出し、前記グリッドパターン上に重ねて表示させ、前記表示オブジェクトの表示位置と表示サイズとを指定するステップと、前記表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルを参照して、表示させた前記表示オブジェクトと対応付けて表示させる前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定するステップと、指定された前記表示オブジェクトと前記タグ番号とを前記表示画面に表示させるとともに、当該表示画面に対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルを作成するステップと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プラントの監視制御を行うプラント監視制御システムの監視制御情報を表示する表示装置において、監視制御情報を表示する表示画面の制作と、保守とが容易に行えるプラント監視制御システムの表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のプラント監視制御システム及び表示装置の構成図。
【図2】記憶部に備えるファイル及びテーブルの構成図。
【図3】実施例1のグリッドパターンの例。
【図4】実施例1の表示オブジェクト・タグ対応テーブルの例。
【図5】実施例1の初期画面を作成する場合の表示装置の動作フロー図。
【図6】実施例1の画面変更をする場合の表示装置の動作フロー図。
【図7】実施例1で作成された表示画面の例。
【図8】実施例1の表示オブジェクト・グループテーブルの例。
【図9】実施例2の表示オブジェクト優先表示テーブルの例。
【図10】実施例2の表示装置の動作フロー図。
【図11】実施例2の表示オブジェクト・グループテーブルの例。
【図12】従来の監視制御システムの表示画面。
【図13】従来の監視制御システムの表示画面の作成時の問題点を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0021】
図1乃至図8を参照して、実施例1を説明する。図1は、実施例1のプラント監視制御システム100とその表示装置2の構成を説明する図である。図1において、実施例1のプラント監視制御システム100の構成は、制御対象であるプラント3の監視制御装置1とその表示装置2とからなり、表示装置2は、表示する描画データを記憶する記憶部22と、描画データ及び監視制御装置1の監視制御データとから監視制御する表示画面を生成する表示処理部21とを備える。
【0022】
次に、図2を参照して、記憶部22に記憶しておく描画データの詳細について説明する。描画データは、表示画面に表示する複数の表示オブジェクトの表示位置とその表示サイズ(以後、サイズと大きさとは同義語とし使用する)とを指定するための複数のグリッドパターンファイル22aと、複数の表示オブジェクトから成る表示オブジェクトファイル22bと、表示オブジェクトに対して、プラント監視制御システム100で監視制御するデータに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブル22cと、グリッドパターン上にレイアウトして、表示画面に表示させる表示オブジェクト、及びタグ番号の表示位置と表示サイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブル22dとで構成される。
【0023】
次に、これらの描画データを使用して表示画面を生成する表示処理部21は、記憶部22に備える描画データと、監視制御装置1で生成しタグ番号と対応付けられる監視制御データとを処理する処理部21aと、その操作端末である操作部21bと、処理部21aで生成した描画データを表示させる表示部21cとを備える。
【0024】
次に、記憶部22に記憶されるファイル,テーブルの詳細について説明する。図3は、グリッドパターンの一例で、図3(a)は均等サイズの8区画からなる格子状パターンを示し、図3(b)は、2行×8列の16区画からなる格子状パターンを示す。
【0025】
このグリッドパターンは表示画面の背景にグリッド線として表示するもので、そのサイズは、表示部21cの表示画面の表示分解能(縦×横)に対応する。
【0026】
このグリッドパターンの1区画は、予め記憶される表示オブジェクトの位置と大きさとを指定する最小区画(画面)となる。
【0027】
そのため、表示画面に表示される表示オブジェクトは、グリッドパターン上に表示させる区画の分解能とその表示位置が指定されると、処理部21aでは、表示画面の縦横、夫々について、縮小、または拡大処理を行って表示させる。
【0028】
したがって、表示オブジェクトファイル22bは、表示オブジェクト毎に、どのような分解能とサイズで記憶しておくかを予め設定してファイルしておき、また、グリッドパターンファイル22aは、グリッドパターンの区画数を表示部21cの異なる解像度の表示画面に対応できるように、予め複数用意しておくことが望ましい。
【0029】
また、表示オブジェクトの分解能は、各種の表示分解能に対応できるものを用意しておき、指定された大きさに圧縮して表示させるようにしておく。
【0030】
また、表示オブジェクトの種類は、一般に、図12で説明したように、プラント監視制御システムが監視制御するプラントの系統を示すグラフックオブジェクト、プラント監視制御システムの制御装置を示す計器オブジェクト、及びこの制御装置が監視制御するデータを示す文字、バーグラフ、及びデータのトレンドを示すトレンドオブジェクトから構成される。
【0031】
尚、監視制御する各種のデータは、タグ番号と対応付けられ文字やバーグラフ、トレンドグラフ等で表示される。
【0032】
次に、図4を参照して、表示オブジェクト・タグ番号対応テーブル22cについて、説明する。表示オブジェクト・タグ番号対応テーブル22cは、予め記憶部22に記憶された、表示オブジェクトとその表示オブジェクトに対応付けて登録されたタグ番号の一覧をテーブルとして記述したもので、名称や、文字数は適宜設定できる。
【0033】
最初の表示画面を作成する場合、図示しない画面メニューからこの表示オブジェクト・タグ番号対応テーブル22c選択して、表示させたい表示オブジェクトを指定する場合に使用する。このテーブルは、図4(a)グラフィック、図4(b)トレンドのように、表オブジェクトの種類単位のテーブルとしても良い。
【0034】
次に、図5乃至図8を参照し、グリッドパターンを使用して表示画面を作成し、この表示画面に対応する表示オブジェクト・グループテーブル2dを作成する場合の表示装置2の動作について説明する。
【0035】
先ず、図12で説明したようなグラフィック、トレンド、計器の3つの表示オブジェックを、図3(b)に示す16区画のグリッドパターンを使用して、図7に示す状態にレイアウトされた表示画面を生成する場合について、表示装置2の動作を図5のフロー図を参照して説明する。
【0036】
先ず、図示しない複数のグリッドパターンメニューから16区画のグリッドパターンを選択して表示させる(s1)。
【0037】
次に、対象となるプラントの図示しない表示オブジェクトのメニューからグラフィックオブジェクトを選択してグリッドパターン上に重ねて表示させる。この処理は、処理部21aにおいて、作成者が操作部21bを操作し、処理部21aが指定されたグラフィックオブジェクトを記憶部22から抽出し、処理部21aに備える表示バッファメモリに一時記憶し、さらに、一時記憶した画像データを表示部21cのフレームメモリに転送し、フレーム信号として表示画面に表示する。
【0038】
この時、表示されたグラフィックオブジェクトの表示位置は、予め設定した画面の位置で、表示されたサイズは、予め記憶された表示オブジェクトの分解能で、または、予め設定された初期分解能に変換して表示される。
【0039】
この時、表示される表示オブジェクトの分解能は、選択した表示オブジェクトの内容が視認できる分解能のものであれば良い。
【0040】
次に、この表示されたグラフィックオブジェクトの表示位置とサイズを表示グリッドパターン上で指定して再表示させる。この表示位置と表示サイズの指定方法は種々可能であるが、例えば、図7に示すようにグリッドパターンの2角(点P1、点P2)を指定する方法でも良い(s2)。
【0041】
すると、処理部21aは、指定された表示位置と指定された表示サイズとから、表示オブジェクトの画像の圧縮変換を行い、表示バッファメモリに一時記憶する(s3)。
【0042】
この縮尺率は、表示(分解能)サイズ/記憶部22に予め記憶した元(分解能)サイズで、表示画像の縦横で、夫々の異なる縮尺率となる場合もある。通常、表示画面の分解能が不足しないように、元画像サイズを高分解能で記憶しておくが、そうでない場合には拡大される場合もある。
【0043】
そして、圧縮画像は、グリットパターンで指定されたサイズの画面サイズで表示される。表示された画面のサイズ、位置を視認して、良ければ、次の処理に移るが、そうでなければさらにその表示位置とサイズとを変更する(s4)。
【0044】
次に、このグラフィックオブジェクトに対応するデータ、即ち、タグ番号を設定する。例えば、図7のタグ番号L00を選択して、水位の上限値を設定する(s6)。設定されたタグ番号は、アクティブ状態となり、例えば、監視制御装置1からのデータを受信すれば表示できる状態となる。
【0045】
このタグ番号による監視制御データの表示状態の設定は、全ての表示オブジェクトを設定した後、まとめて設定するようにしても良い。
【0046】
1つの表示オブジェクトの設定が完了すると、次の表示オブジェクトの設定に移る。全ての表示の設定が完了し、さらにそのレイアウトを変更したい場合には、この表示位置とサイズの設定操作を繰り返し(s2〜s8)、その結果、図7に示すような適切にレイアウトされた表示画面の作成が完了する。
【0047】
次に、この表示画面の登録を指令すると、表示バッファメモリに一時記憶した図7の表示画面から、図8に示すような表示オブジェクト・グループテーブルを生成し、記憶部22に記憶する(s8)。
【0048】
次に、この表示オブジェクト・グループテーブルについて、図8を参照して説明する。
【0049】
この表示オブジェクト・グループテーブルの各列は、複数の表示画面についてグループ名称、及びそのグリッドパターン区画数を付して表示し、各行は、夫々のグループ名称(画面)毎のグリッドパターン区画数毎の仕様を記述し、複数の表示画面を一覧表にして記述するものである。
【0050】
作成されたグレープ名称毎の表示画面は、この表示オブジェクト・グループテーブルとして登録することが出来る。登録されたグループテーブルは、そのグループ名称を指定して、表示部21cに画面表示させることが出来る。
【0051】
また、後述するように、最初にこの表示オブジェクト・グループテーブルの1つのグループ名称の各列の仕様を作成して、表示画面を作成することも出来る。
【0052】
次に、この表示オブジェクト・グループテーブルの記述例について説明する。例えば、16区画のグリッドパターンを使用したグループ2の表示画面においては、区画数、16区画(縦×横=2×8)、その先頭の区画1には、大きさ:2×1区画で、表示オブジェクト名称=タンクレベルA、タグ番号=L00が記述されている。
【0053】
また、区画2には、大きさ:2×4区画で、表示オブジェクト名称=タンクB、タグ番号=なしが記述されている。
【0054】
以下同様にして、最終の区画16には、大きさ:1×1区画で、ブジェクト名称=計器、タグ番号3=F1211が記述される。
【0055】
即ち、複数の区画に跨って表示させる表示オブジェックトは、その先頭の区画に表示する大きさを指定することで、図7に示すような表示オブジェクトの表示位置と表示サイズとが、さらに、夫々の表示オブジェクトに対応するタグ番号の仕様が設定できる。
【0056】
次に、図6を参照して、予め設定された表示オブジェクト・グループテーブルの1つのグループの表示画面を変更する場合の動作について説明する。
【0057】
先ず、表示オブジェクト・グループテーブルを参照して、変更するグループを表示画面に表示させる(s11)。
【0058】
次に、変更したい1つのグループについて、対象の表示オブジェクトについてその区画サイズと位置との変更値を記述する(s12)。
【0059】
次に、変更した表示オブジェクト・グループテーブルを指定して、その縮尺演算と表示位置の変更を行い表示画面に表示させる(s13、s14)。その結果、表示された画面の良否を視認し、さらに変更する場合は同様の操作を繰り返す(s12〜s15)。
【0060】
ここで、変更した表示画面について、そのタグ番号の設定を変更したい場合には、タグ番号を指定して、設定を変更する(s16、s17)。さらに、全ての変更が完了したら、その表示オブジェクト・グループテーブルを更新する(s18)。
【0061】
以上説明したように、本実施例の表示装置2は、指定されたグリッドパターンを記憶部2から抽出して表示し、その上に表示オブジェクトファイルから指定された表示オブジェクトを抽出して表示オブジェクトを重ねて表示して、指定された表示位置と表示サイズとを求め、さらに、表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルを参照して、表示オブジェクトと対応付けて表示するタグ番号の表示位置と表示サイズとを求める。
【0062】
そして、表示示オブジェクトとタグ番号とを表示画面に表示させるとともに、表示画面に対応する表示オブジェクト・グループテーブルを作成するようにした。
【0063】
また、作成された表示画面を変更する場合、この表示オブジェクト・グループテーブルを表示し、表示オブジェクトの表示位置、表示サイズを変更する。
【0064】
同様に、タグ番号の設定を変更する場合には、表示画面に表示されたタグ番号の設定を変更し、プラント監視制御システムからデータを受信して表示させる内容を変更する。
【0065】
このように構成された実施例1に拠れば、グリッドパターンと、高解像度で登録された表示オブジェクトを表示させて、表示位置と表示サイズとを容易に指定することが出来るとともに、その表示画面を視認して画目の良否を確認できる。
【0066】
さらに、この画面を表示オブジェクト・グループテーブルとして登録可能であるので、初期画面の制作のみならず、変更する場合でも表示オブジェクト・グループテーブルの表示仕様を書き換えることで容易に更新できる。
【0067】
したがって、保守作業が容易で、且つ、保守履歴も明確になるので品質も向上する。
【実施例2】
【0068】
次に、図9乃至図11を参照して、実施例2のプラント監視制御システムの表示装置、及びその表示画面の作成方法について説明する。実施例2の各部について図1に示す実施例1の各部と同一部分は同一符号で示しその説明を省略する。
【0069】
実施例2が、実施例1と異なる点は、実施例2においては、実施例1の構成において、さらに、記憶部22に表示オブジェクト優先表示テーブル22eを備え、表示されている表示オブジェクト・グループテーブル22dの1つのグループ名称の表示画面に対して、新たな表示オブジェクトを重ねて表示させ、レイアウト可能な空きスペース(区画)があるか否かを自動的に求めることを可能としたことにある。
【0070】
この表示オブジェクト優先表示テーブル22eの例を図9に示す。このテーブルには、作成済みのグループ名称の表示画面に追加したい表示オブジェクトを予め登録しておく。
【0071】
グループ名称がグループ1の表示画面には、1つの表示オブジェクトが、また、グループ名称がグループ2の表示画面2には、2つの表示オブジェクトの表示仕様が記述されている例を記述している。
【0072】
この表示オブジェクト優先表示テーブル22eの各列は、対象とするループ名の表示画面毎に、表示させたい表示オブジェクトの表示優先順位とその表示仕様が記述される。
【0073】
表示仕様は、表示オブジェクト・グループテーブル22dの仕様記述欄と同一仕様で、表示位置(先頭の区画番号)、大きさ、表示オブジェクト名称、及びタグ番号が記述される。
【0074】
そして、この表示オブジェクト優先表示テーブル22eの表示オブジェクトを記述しておき、優先表示の要求をすると、図11に示すように、表示オブジェクト・グループテーブル22dには、追加表示させたいグループ名称に対する表示オブジェクトの追加表示仕様が、AUTO1、AUTO2に示すようなグループ名称で、各列の対応する区画欄に表示仕様が表示される。
【0075】
さらに、夫々の転記を要求すると、優先順位順に空き区画の有無を判定し、空き区画があれば、対応するグループ名称の各列、グループ1の列、グループ2の列に自動的に転記されてAUTO1、AUTO2の欄は消去され、空き区画がなければその表示は残る。
【0076】
空きが無いと判定された場合には、表示オブジェクト優先表示テーブル22eの記述を消去、または表示オブジェクト優先表示テーブル22eの追加表示仕様を再設定して空き区画の有無を要求する。
【0077】
この表示オブジェクト優先表示テーブル22eの登録、消去、転記等の表示操作機能は、適宜変更しても良い。
【0078】
次に、このような表示オブジェクト優先表示テーブル22eを備えた表示装置2の動作について図10を参照して説明する。
【0079】
表示されているグループ名称の画面において、図示しない画面メニューから優先表示を要求すると、処理部21aは、表示オブジェクト優先表示テーブル22eを検索して(s21)、該当する表示オブジェクトの空きスペース(区画)があるか否かをチェックする(s22)。
【0080】
要求の空き区画が有れば、その内容を表示オブジェクト・グループテーブル22dに登録する(s23)。空き区画がなければ、次の優先表示順位の有無を確認する(s22)。
【0081】
表示オブジェクト優先表示テーブル22eに記述された表示オブジェクトがなければ、空き区画の有無を求め(s23)、表示オブジェクト優先表示テーブル22eのグリッドパターン区画数を記述、表示する(s24)。
【0082】
そして、表示された空き区画に対して、新たな表示を追加したい場合には、この表示仕様を記述して、表示オブジェクト優先表示テーブル22eを更新する(s25)。
【0083】
このように構成された実施例2の表示装置2に拠れば、追加したい表示オブジェクトの表示が可能か否か、また、空き区画がある場合の新たな表示オブジェクトの登録が容易に行える。
【0084】
尚、本発明は上述したような実施例に何ら限定されるものでなく、グリットパターンの形状や大きさ、また、表示オブジェクト・グループテーブルの記述仕様は、適用される監視制御システムの構成や監視制御データによって適宜変更しても良く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 監視制御装置
2 表示装置
3 プラント
21 表示示処理部
21a 処理部
21b 操作部
21c 表示部
22 記憶部
22a グリッドパターン
22b 表示オブジェクトファイル
22c 表示オブジェクト・タグ番号対応テーブル
22d 表示オブジェクト・グループテーブル
22e 表示オブジェクト優先表示テーブル
100 プラント監視制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント監視制御システムの表示装置であって、
前記表示装置は、表示画面を生成する描画データを記憶する記憶部と、
前記描画データを処理し、前記表示画面を作成して表示させる表示処理部と、
を備え、
前記描画データは、表示する複数の表示オブジェクトから成る表示オブジェクトファイルと、
前記表示オブジェクトと前記プラント監視制御システムで監視制御するデータに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルと、
前記表示画面に表示する複数の前記表示オブジェクトの表示位置とその表示サイズとを指定するための複数のグリッドパターンファイルと、
前記グリッドパターン上にレイアウトして、前記表示画面に表示させる前記表示オブジェクト及び前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブルと、で構成され、
前記表示処理部は、指定された前記グリッドパターンを前記記憶部から抽出して表示し、
さらに、前記表示オブジェクトファイルから指定された前記表示オブジェクトを抽出し、抽出した前記グリッドパターン上に指定された前記表示オブジェクトを重ねて表示して、指定された表示位置と表示サイズとを求め、
さらに、前記表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルを参照して、指定された前記表示オブジェクトと対応付けて表示する前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを求め、
前記表示オブジェクトと前記タグ番号とを前記表示画面に表示させるとともに、当該表示画面に対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルを作成するようにしたことを特徴とするプラント監視制御システムの表示装置。
【請求項2】
前記表示処理部は、指定された前記表示オブジェクト・グループテーブルを表示し、
指定された前記表示オブジェクトと及び前記タグ番号とが更新された場合、当該表示オブジェクト・グループテーブルに対応する前記表示画面を作成して表示させる請求項1に記載のプラント監視制御システムの表示装置。
【請求項3】
前記表示処理部は、前記表示画面に表示された前記タグ番号にアクセスし、前記プラント監視制御システムから前記データを受信して表示させるようにした請求項1に記載のプラント監視制御システムの表示装置。
【請求項4】
前記表示オブジェクトは、前記プラント監視制御システムが監視制御するプラントの系統を示すグラフックオブジェクト、前記プラント監視制御システムの制御装置を示す計器オブジェクト、当該制御装置が監視制御する前記データを示す文字、バーグラフ、及び前記データのトレンドを示すトレンドオブジェクとから構成される請求項1に記載のプラント監視制御システムの表示装置。
【請求項5】
前記記憶部は、予め作成された前記表示画面に対して、次に、優先的に表示させる前記表示オブジェクトを指定する表示オブジェクト優先表示テーブルを備え、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクト優先表示テーブルを起動して、表示された前記表示画面の空きスペースを求め、
前記前記表示オブジェクト優先表示テーブルに記載された表示オブジェクトが表示可能な場合、対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルに書き込み、前記表示オブジェクト・グループテーブルを更新するとともに、更新された前記表示オブジェクト・グループテーブルに対応する前記表示画面を表示するようにした請求項1に記載のプラント監視制御システムの表示装置。
【請求項6】
プラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法であって、
前記表示装置は、表示画面を生成する描画データを記憶する記憶部と、
前記描画データを処理し、前記表示画面を作成して表示させる表示処理部と、
を備え、
前記描画データは、表示するオブジェクトの表示オブジェクトファイルと、
前記表示オブジェクトと前記プラント監視制御システムで監視制御するデータに付与するタグ番号とを対応付けした表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルと、
前記表示画面に表示する複数の前記表示オブジェクトの表示位置とその表示サイズとを指定するための複数のグリッドパターンと、
前記グリッドパターン上にレイアウトして、前記表示画面に表示させる前記表示オブジェクト及び前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定する表示オブジェクト・グループテーブルと、で構成され、
前記グリッドパターンから指定するサイズのグリッドパターンを抽出して表示させるステップと、
前記表示オブジェクトファイルから指定する前記表示オブジェクトを抽出し、前記グリッドパターン上に重ねて表示させ、前記表示オブジェクトの表示位置と表示サイズとを指定するステップと、
前記表示オブジェクト・タグ番号対応テーブルを参照して、表示させた前記表示オブジェクトと対応付けて表示させる前記タグ番号の表示位置と表示サイズとを指定するステップと、
指定された前記表示オブジェクトと前記タグ番号とを前記表示画面に表示させるとともに、当該表示画面に対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルを作成するステップと、
を備えたことを特徴とするプラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法。
【請求項7】
さらに、作成された前記表示オブジェクト・グループテーブルを再表示させ、指定された前記表示オブジェクト及び前記タグ番号とを更新された場合、前記表示オブジェクト・グループテーブルに対応する前記表示画面を更新表示させるステップとから成る請求項6に記載のプラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法。
【請求項8】
前記記憶部は、予め作成された前記表示画面に対して、次に、優先的に表示させる前記表示オブジェクトを指定する表示オブジェクト優先表示テーブルを備え、
前記表示処理部は、前記表示オブジェクト優先表示テーブルを起動して、表示された前記表示画面の空きスペースを求め、
前記前記表示オブジェクト優先表示テーブルに記載された表示オブジェクトが表示可能な場合、対応する前記表示オブジェクト・グループテーブルに書き込み、前記表示オブジェクト・グループテーブルを更新するとともに、更新された前記表示オブジェクト・グループテーブルに対応する前記表示画面を表示するステップとから成る請求項6に記載のプラント監視制御システムの表示装置の表示画面の作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−103978(P2012−103978A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253135(P2010−253135)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】