説明

プラント運転支援装置

【課題】各種の監視機能と、それに関連する文書ファイルとの関係を迅速に表示する。
【解決手段】実施形態は、プラント3から送信されるプラントデータを保存する。オペレータの要求により、グラフや帳表、系統図、一覧などのプラントの状態を表示装置4に表示する。表示している画面の関連付けを要求する関連付け要求手段13と、関連付けの情報を保存する関連付けデータベース14と、関連付けされた画面のURLを記憶するクリップボード12を有する。文書ファイル編集手段11は、クリップボード12に記録されたURLを、文書ファイルにハイパーテキスト形式で貼り付ける。文書ファイルを指定や編集すると、関連付け画面表示手段15が起動する。関連付け画面表示手段15は、文書ファイルに貼り付けたURLを実行して、関連付けデータベースを元に、プラント監視機能の登録時と最新時の画面とその説明を表示装置4に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、文書ファイルの関連付けを可能としたプラント運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、オペレータがプラントの運転状態の正常・異常などの判断を行うために、プラント運転支援装置(以下、支援装置という)が使用されている。この支援装置は、プラントからリアルタイムに送信されるセンサ値などのプラントデータを、ネットワーク等の通信手段を介してプラントデータ収集部により受信し、サーバ内のプラントデータとして長期間保存する。
【0003】
サーバ内に保存されたプラントデータは、オペレータの要求により、グラフや帳表、系統図あるいは一覧などに加工され、ネットワーク等の通信手段によりユーザ端末に送信され、ユーザ端末上の表示装置に表示される。
【0004】
プラントが有するセンサの点数と保存期間によっては、サーバ内に保存されるプラントデータが非常に膨大になる場合がある。そのため、支援装置は、膨大なプラントデータの中から表示対象となるセンサ、その表示スパンあるいは表示周期などの表示条件を、予めグループ情報として登録しておき、これを自由に呼び出すことができる機能を有する。オペレータは、この登録されたグループ情報を指定することで、目的に応じたデータを画面に表示することができる。
【0005】
また、支援装置では、プラントから送信されるプラントデータ以外に、プラントを構成する設備や機器の情報、これらの設備や機器の点検種別や点検結果などの情報を設備データとして登録する場合もある。その場合、既に登録されている設備データに対して、新たな点検結果などの情報を追加したり、追加した点検結果などを表示装置に出力する。
【0006】
このように支援装置は、プラントの運転や保守に関わる有用な情報を表示することや、日々の点検結果を入力あるいは表示することで、プラントを安全に運転するための装置として活用されている。
【0007】
一方、プラントの運転や保守を誰でも同じ基準で行えるようにするために、プラントの運転マニュアル、プラントを構成する機器の保守マニュアル、あるいは機器の保守を行うための点検シートを用意する場合がある。このような文書の多くは汎用の文書作成プログラムで作成されており、オペレータは文書の内容を確認し、その内容に応じて前記支援装置を使用して、プラントの運転状況の監視や分析を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−18142号公報
【特許文献2】特開平5−307692号公報
【0009】
ところで、前記マニュアルなどの文書には、プラント自体の運転や点検の手順などは記載されていても、支援装置の具体的な操作手順までは記載されていない場合が多い。その場合、オペレータは、プラントの監視項目に応じて、支援装置の各種機能から目的に応じたセンサを探し出して登録グループを作成したり、または既に登録してある登録グループを探し出してそのプラント情報を表示して、プラントの状況を判断する必要があった。そのため、この種の従来技術では、マニュアルの記載内容に応じた的確なプラントの情報を表示し、さらに表示された結果を元にプラントの正常・異常などの判断を行うには、オペレータの熟練が必要であった。
【0010】
これに対して、プラント異常などのイベントと運転マニュアルなどとを、予め支援装置の情報データベースにリンクして登録する技術も提案されている。この従来技術によれば、表示装置に表示されたイベントのうち、イベントの発生原因となる候補を、オペレータがリンク情報を使用してデータベース中から取り出し、取り出された各イベントの発生原因に関連付けられた運転マニュアルを表示装置に表示できる。その結果、プラント異常などの状態変化に応じた支援装置の操作手順を容易に認識することができ、プラントの異常などに対してオペレータが迅速に対応することができる。
【0011】
しかしながら、この従来技術は、プラント異常などのイベントを予め支援装置に登録することが必要であり、イベントとして捉えるための判断基準が難しい設備の経年劣化や、異常となる兆候などを捉える必要がある点検業務などのように、イベントとして認識し難い事象を監視する目的には適していなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のような従来技術の支援装置は、プラントの運転や保守にかかわる様々な監視機能を有しているものの、マニュアルなどの文書の内容に応じて必要なプラント監視機能の画面を即座に表示することや、設備の経年劣化や異常となる兆候を含めたプラントの正常・異常などの状態を判断することはできないという問題があった。
【0013】
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、プラントの運転や保守に必要とされる種々の場面において、各場面に応じたプラント監視機能の画面を迅速に表示し、プラントの正常・異常などの判断を的確に行うことを可能としたプラント運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を解決するための手段として、本実施形態のプラント運転支援装置は、以下の構成を有する。
(a) プラントから送信されるプラントデータを保存するデータ記憶部と、オペレータの要求により、前記プラントデータに基づいてプラントの状態を示す画面を表示装置に表示させるプラント監視手段。
(b) プラントの状態を示す画面に対して、関連付けを行う文書ファイルの記憶部。
(c) プラントの状態を示す画面と文書ファイルとの関連付けを要求する関連付け要求手段。
(d) プラントの状態を示す画面と文書ファイルの関連付けの情報を保存する関連付けデータベース。
(e) 関連付けされた画面の呼び出し情報を文書ファイルに貼り付け、文書ファイルの指定時に前記呼び出し情報を実行する編集手段。
(g) 文書ファイルの指定時に前記呼び出し情報を実行して、関連付けデータベースを検索し、指定された文書ファイルに関連付けられたプラントの状態を示す画面を表示する関連付け画面表示手段。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態を示す機能ブロック図
【図2】第1実施形態の関連付け要求操作の画面例を示す図
【図3】第1実施形態の関連付け内容の表示画面例を示す図
【図4】第1実施形態のプラント監視状態の各画面例を示す図
【図5】第1実施形態の監視機能の起動パラメータによる画面表示処理を示すフローチャート
【図6】第1実施形態の監視機能の呼び出し処理を示すフローチャート
【図7】第2実施形態を示す機能ブロック図
【図8】第2実施形態の設備データを示す機能ブロック図
【図9】第2実施形態の関連先登録の画面例を示す図
【図10】第2実施形態の関連先登録後の関連付け表示の画面例を示す図
【図11】第3実施形態のエラー画面と確認画面の画面例を示す図
【図12】第4実施形態を示す機能ブロック図
【図13】第4実施形態の点検結果入力画面の画面例を示す図
【図14】第4実施形態のプラント監視機能の起動パラメータによる画面表示フローの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
1.第1実施形態
[構成]
(1)プラント監視機能
図1は、第1実施形態の支援装置示す機能ブロック図である。図1において、1はユーザ端末、2はこれにネットワーク等の通信手段で接続されたサーバ、3は監視対象となるプラントである。
【0017】
サーバ2には、プラント3の監視手段4が設けられ、この監視手段4がユーザ端末1に設けられた表示装置5にネットワーク等の通信手段を介して接続されている。なお、表示装置5はモニタなどの表示装置であり、マウスやタッチモニタなどの入力装置も含む。
【0018】
監視手段4には、プラントデータ記憶部6、設備データ記憶部7及び登録グループ情報記憶部8が接続されている。プラントデータ記憶部6は、サーバ2内に設けられたプラントデータの収集部9に接続されている。この収集部9は、プラント3に設けられた各種のセンサにネットワークを介して接続され、各センサからのプラントデータを収集し、収集したデータをプラントデータ記憶部6内に記録する。
【0019】
監視手段4は、ユーザ端末1の表示装置5からの要求に従い、プラントデータ記憶部6に記憶されているプラントデータを、グラフや帳表、系統図、一覧などの種々の表示様式に加工して出力する機能(本実施形態では、帳票作成機能と呼ぶ)を有する。
【0020】
(2)文書ファイル関連付け機能
ユーザ端末1には、文書ファイルの記憶部10が設けられている。この記憶部10に保存される文書ファイルとしては、プラントの運転マニュアル、プラントを構成する機器の保守マニュアル、あるいは機器の保守を行うための点検シートなどがある。文書ファイルの記憶部10は、文書ファイルの編集手段11と接続されている。
【0021】
編集手段11は、文書ファイルを表示し作成するための手段である。編集手段11は、
(a) ユーザ端末1に設けられたクリップボード12に記録されたURLなどの呼び出し情報を、例えばハイパーテキスト形式のデータとして文書ファイルに貼り付けて、その文書ファイルを記憶部10に保存できる機能と、貼り付けられたハイパーテキストを実行してURLを呼び出すことができる機能を有するアプリケーション、
(b) ユーザ端末1に設けられたキーボードやマウスなどの入力装置、
とから構成される。
【0022】
編集手段11は、文書のみを扱うアプリケーションに特定されるものではなく、表計算ファイルやプレゼンテーション用ファイルや画像ファイルなどの表示および編集が可能な汎用アプリケーションも含まれる。また、前記呼び出し情報は、URLに限らず、表示画面と文書ファイルとの関連付けを可能とするものであれば、他の形式のものを使用することも可能である。また、呼び出し情報の貼り付け形式も、ハイパーテキスト形式に限らず、文書ファイルに貼り付けられた特定の呼び出し情報に従って、関連付けされた画面が起動できるものであれば、他の形式のものを利用できる。更に、一時的な記憶手段として、クリップボードを使用したが、必ずしも一時記憶手段を使用する必要はなく、文書ファイル記憶部などに、文書ファイルの管理情報として直接記憶することも可能である。
【0023】
ユーザ端末1には、文書ファイルとプラント監視装置との関連付け要求手段13が設けられている。この関連付け要求手段13は、表示装置5に図2(B)に示す関連付け要求画面が表示された場合に、関連付け要求画面の設定項目に入力されたデータをサーバ2内に設けられた関連付けデータベース14に登録する。
【0024】
すなわち、監視手段4が通常の監視状態において、表示装置5が表示する監視画面は、監視手段4の帳票作成機能によって作成された各種の帳票、例えば、図2(A)のようなグラフである。この監視画面は、リンクボタンB1を有しており、オペレータがリンクボタンB1をクリックした場合には関連付け要求手段13が起動される。
【0025】
この関連付け要求手段13は、画面の機能番号と登録グループ番号と画面に表示されているデータの日時(以降表示日時と記す)を引数として、図2(B)の関連付け要求画面を表示する。オペレータが関連付け要求手段13を起動する手段としては、リンクボタンB1以外にもプルダウンメニューやショートカットキーなどでも良い。
【0026】
関連付け要求画面は、一例として図2(B)に示す画面であり、引数として受け取った情報の表示項目と、プラント状態の選択と画面の説明を入力するための設定項目を有する。関連付け要求画面の表示項目と設定項目は、図示の例に限らず、関連付けデータベース14に登録する内容であれば種々のものを採用できる。例えば、登録者の氏名や所属などの情報を表示項目とすることが考えられる。
【0027】
関連付け要求画面は、OKボタンとキャンセルボタンを具備する。オペレータがOKボタンを選択した場合には、前記関連付け要求手段13は、関連付け要求画面が呼び出されたときの引数と関連付け要求画面で設定した情報を、ユニークなID番号(以下、リンクIDという)と共に、関連付けデータベース14に保存する。関連付け要求手段13は、オペレータがキャンセルボタンを選択した場合には、関連付けの処理は行わず、関連付け要求画面を終了する。
【0028】
図2(D)は、関連付け要求手段13が関連付けデータベース14に保存する各種データの構成例である。この例では、リンクID、機能番号、登録グループ番号、表示日時、プラント状態などが、リンクIDの順序に従ってテーブル形式で保存されている。
【0029】
関連付け要求手段13は、前記の各情報を関連付けデータベース14へ保存した後、サーバ2側に設けられた関連付け画面表示手段15を呼び出すためのURLと、URLの引数としてのリンクIDを、クリップボード12に記録する。関連付け画面表示手段15を呼び出す方法は、ハイパーテキスト形式でサーバ2にあるプログラムを実行するための方法であれば、URL以外の他の手段を用いても良い。
【0030】
図2(C)は、関連付け要求手段13の実行時に、クリップボード12に記録されるURLを示すテキストデータの一例であり、このURLがリンクIDと共にクリップボード12に記録されている。図3(A)は、図2(C)のような形でクリップボード12に記録されているURLとリンクIDを、前記編集手段11によってマニュアルなどの文書ファイルにハイパーテキスト形式のデータとして貼り付けた状態を示す。
【0031】
サーバ2には、関連付け画面表示手段15が設けられている。オペレータがユーザ端末1の編集手段12を用いて文書ファイルを指定、閲覧あるいは編集(総称して、指定という)すると、その文書ファイルに関連付けられたURLに従って、この関連付け画面表示手段15は起動する。起動した関連付け画面表示手段15は、URLの引数に指定されたリンクIDをキーとして関連付けデータベース14に登録された情報を読み込み、図3(B)に一例を示すような関連付け内容を示す画面(以下、関連付け画面という)を表示する。
【0032】
図3(B)の関連付け画面は、指定された文書ファイルに関連付けて登録された監視情報に関する最新値画面B2と、文書ファイルと監視情報の関連付けを登録された時点の画面(登録時画面)B3と、関連付け要求画面において関連付けデータベース14に保存した情報を表示する説明画面B4により構成される。
【0033】
[作用]
以上のような構成を有する本実施形態の作用を説明する。
(1)プラント監視機能
このような構成を有する本実施形態では、プラント3からリアルタイムに送信されるセンサ値などのプラントデータを、ネットワーク等の通信手段を介して収集部9により受信し、サーバ2内のプラントデータ記憶部6に長期間保存している。保存されたプラントデータは、オペレータの要求により、監視手段4が有する帳票作成機能を使用して、ユーザ端末上の表示装置5にグラフや帳表、系統図、一覧などの種々の表示様式で表示される。図4(A)〜(E)はプラント監視時の画面例である。
【0034】
すなわち、監視手段4は、ユーザ端末1の表示装置5に、図4(A)に示すようなメニュー画面を表示させる。オペレータがこのメニュー画面中のグラフ機能を選択すると、監視手段4は、表示装置5に、図4(B)の登録グループ選択画面を表示させる。更に、オペレータが登録グループ選択画面中の特定の登録グループを選択すると、監視手段4は選択された登録グループに対応する図4(C)のようなグラフ画面を、表示装置5に表示させる。
【0035】
一方、オペレータがこのメニュー画面中の設備点検を選択すると、監視手段4は、表示装置5に、図4(D)の機器情報選択画面を表示させる。更に、オペレータが機器情報選択画面中の特定の機器(図では、復水器)を選択すると、監視手段4は選択された復水器に対応する図4(E)のような点検結果入力画面を、表示装置5に表示させる。
【0036】
なお、図4(C)のグラフ画面の右上にリンクボタンB1が表示されているが、このリンクボタンB1については、次の文書ファイル関連付け機能において説明する。また、図4(E)の点検結果入力画面の右上にナレッジ参照ボタンB6が表示されているが、このナレッジ参照ボタンB6は、後述する第2実施形態において表示されるものであり、第1実施形態では表示されることはない。
【0037】
監視手段4が、前記図4に示す各監視画面の表示を行う場合のフローチャートの一例を、図5に示す。この場合、画面表示に使用するパラメータは、一例として、次のものである。
(1) 機能番号
(2) 登録グループ番号
(3) 表示日時
(4) 画面表示位置
(5) 画面表示サイズ
【0038】
監視手段4が実行された場合(図5のstart)に、オペレータが機能番号を指定していない場合には(ステップ1のNo)、監視手段4は図4(A)のメニュー画面を表示する(ステップ2)。オペレータは、このメニュー画面に表示されたメニューから機能を選択する。一方、オペレータが機能番号を指定しており(ステップ1のYes)、しかも、登録グループ番号を指定していない場合は(ステップ4のNo)、監視手段4は図4(B)の各機能の登録グループ選択画面を表示する(ステップ5)。
【0039】
オペレータは、この登録グループ選択画面に表示された登録グループから、所望の登録グループを選択する(ステップ6)。ステップ6においてオペレータが所望の登録グループを選択するか、オペレータが登録グループ番号を指定している場合は(ステップ4のYes)、監視手段4は、オペレータによる表示日時の指定の有無を確認する(ステップ7)。表示日時の指定がある場合には(ステップ7のYes)、表示日時を指定した日時に設定し、表示日時の指定がない場合には(ステップ7のNo)、表示日時を最新の日時に設定する。
【0040】
その後、監視手段4は、オペレータによる画面位置とサイズが指定されているか否かを確認する(ステップ8)。画面位置とサイズが指定されている場合には(ステップ8のYes)、画面の表示位置とサイズを指定された位置とサイズに設定し、画面位置とサイズが指定されていない場合には(ステップ8のNo)、画面の表示位置とサイズをデフォルトの位置とサイズに設定する。このようにして各パラメータの設定が終わった後、監視手段4は指定された条件の機能画面を表示する(ステップ9)。
【0041】
この図5のフローチャートに示すように、本実施形態においては、オペレータが各パラメータを指定することにより、例えば、図4(A)〜(E)に示すような種々の画面表示を行うことができる。
【0042】
(2)文書ファイル関連付け機能
監視手段4の実行中において、ユーザ端末1の表示装置5に表示した図2(A)の画面(図4(C)の画面と同一)から、オペレータがリンクボタンB1を選択すると、図2(B)の関連付け要求画面が表示される。オペレータが、関連付け要求画面に対してプラント状態及び画面の説明を入力すると、表示されている機能の画面番号と登録グループIDと関連付け要求画面に入力した情報が、関連付け要求手段13によって関連付けデータベース14に保存される。
【0043】
関連付け要求手段13は、図2(B)の関連付け要求画面の表示状態において、オペレータの操作に従って、関連付け画面表示手段15のURLをクリップボード12に記録する。関連付け要求手段13は、オペレータが編集手段11を用いて特定の文書ファイルを指定すると、クリップボード12に記録された関連付け画面表示手段15のURLを、指定した文書ファイルに貼り付ける。このように、関連付け要求手段13により、オペレータは、指定した文書ファイルとそれに関連する監視情報を関連付けることができる。
【0044】
前記のようにして、文書ファイルと監視情報の関連付けが行われた状態において、オペレータがマニュアルなどの文書ファイルを指定し、その文書に貼り付けられたURLを選択すると、サーバ2の関連付け画面表示手段15(以下、画面表示手段15という)を呼び出すことができる。
【0045】
URLにより呼び出された画面表示手段15は、関連付けデータベース14に保存された情報を検索し、その結果、関連付けの内容を表示した関連付け画面が表示装置5に表示される。この関連付け画面は、図3(B)に示すように、最新値画面B2と登録時画面B3と説明画面B4を有する。
【0046】
この画面表示手段15の処理の実施手順の一例を表すフローチャートを、図6に示す。この画面表示手段15は、リンクIDをキーに関連付けデータベース14を検索し、関連付けデータベース14に保存された情報、例えば、(1) 機能番号、(2) 登録グループ番号、(3) 表示日時、(4) プラント状態、(5) 説明などの情報を取得する(ステップ1)。
【0047】
次に、画面表示手段15は監視手段4に画面表示の要求を行い、ステップ1において取得した(1) 機能番号、(2) 登録グループ番号、及び最新日時(現在日時)などを、表示装置4のディスプレイの左上に最新値の画面B2として表示する(ステップ2)。
【0048】
続いて、画面表示手段15は、次の画面表示の要求を行い、ステップ1において取得した(1) 機能番号、(2) 登録グループ番号、(3) 表示日時を、ディスプレイの左下に登録時の画面B3として表示する(ステップ3)。
【0049】
その後、画面表示手段15は、ディスプレイの右側に、ステップ1において取得した(4) プラント状態、(5) 説明を含む説明画面B4を表示する(ステップ4)。なお、これらのステップS2〜S4は、必ずしもこの順番で行う必要はなく、適宜変更可能である。
【0050】
[効果]
本実施形態では、プラントの特徴的な場面で表示された監視手段4の画面に種々の説明を付けて関連付けデータベース14に保存することが可能である。そして、文書ファイルに記録されたURLを選択することで、何時でも最新値の画面B2と登録時の画面B3と説明画面B4を表示することが可能であるため、複数のオペレータがプラントの監視業務を行う際に、オペレータ間での監視方法に関する知識を継承できる。
【0051】
また、オペレータが、編集手段11で作成された文書ファイルを指定すると、プラント監視機能の最新値画面B2とプラントの特徴的な場面を捉えた登録時の画面B3とその画面に関わる説明画面B4を同時に表示することができる。そのため、文書ファイルを参照しながら即座に支援装置の機能を表示し、プラント状態が正常であるか異常であるかなどの的確な判断を行うことができる。
【0052】
2.第2実施形態
[構成及び作用]
図7は、第2実施形態を示す機能ブロック図である。なお、第1実施形態と同一の構成については、その説明を省略する。具体的には、図1のプラント3、文書ファイル記憶部10、文書ファイル編集手段11、クリップボード12及び関連付け要求手段13は、図7では省略している。
【0053】
本実施形態は、前記第1実施形態に記載した構成に加え、ユーザ端末1に関連先登録手段20を備えている。この関連先登録手段20は、設備データ記憶部7で管理されている点検種別に対応するレコードに、前記第1実施形態で設定したリンクIDを保存する。
【0054】
すなわち、本実施形態では、関連付け要求手段13は、関連付け画面に、図8(A)に示すようなナレッジ登録ボタンB5を表示する。関連付け要求手段13は、このナレッジ登録ボタンB5が選択された場合に関連先登録手段20を起動させる。起動した関連先登録手段20は、表示装置5に図8(B)の関連先登録画面を表示させる。この関連先登録画面には、設備データ記憶部7で管理されている各種の機器やその点検種別が表示される。
【0055】
この関連先登録画面の表示状態において、オペレータが、図8(B)の関連先登録画面上の点検種別を選択し、OKボタンを選択すると、関連先登録手段20は、点検種別に対応して設備データ記憶部7に記憶されているレコードに、リンクIDを保存する。
【0056】
記憶部7に記憶されるレコードのデータベースは、一例として、図9(A)に示すデータ構造を有する。このデータベースは、例えば、プラントを構成する設備、機器、点検種別、点検結果などを管理するものであり、これらのデータと関連付けてリンクIDを保存する。図9(B)に示す設備データの階層図は、図9(A)のデータ構造を階層図で表した図であり、図8(B)の関連先登録画面において点検種別を選択する場合などで使用される。関連先登録画面で選択できる項目は、記憶部7から取得した設備データに限らず、リンクIDを保存できるようにすれば登録グループ情報などでも良い。
【0057】
一方、サーバ2に設けられた画面表示手段15は、第1実施形態で説明した図3(A)の点検結果入力画面に代えて、図10(A)の点検入力画面を表示する機能を有する。この点検入力画面には、ナレッジ参照ボタンB6が設けられている。オペレータがこのナレッジ参照ボタンB6を選択した場合に、関連付け要求手段13は画面表示手段15を起動し、起動した画面表示手段15は図10(B)の関連付け画面を表示する。この関連付け画面は、関連付け登録時に関連付け要求手段13によって表示される図8(A)の画面と同じものである。
【0058】
[効果]
以上のような本実施形態によれば、一度作成された関連付け画面を点検種別や登録グループ情報に関連付け登録し、監視手段4が提供する各種の機能から、即座に関連付け画面を表示することができる。そのため、第1実施形態で示した関連付けの対象となる文書ファイルが無い場合においても、プラント状態が正常であるか異常であるかなどの的確な判断を行うことができる。
【0059】
3.第3実施形態
[構成]
本実施形態の構成は、第1実施形態において、監視手段4が、設備データ記憶部7や登録グループ情報記憶部8に保存された情報を更新または保存または削除(総称して、情報を変更という)する際に、変更する情報が関連付けデータベース14に登録されている機能番号と登録グループ番号であった場合に、図11(A)のエラー画面または図11(B)の確認画面を表示する手段を追加したものである。なお、図11(A)(B)に示すエラー画面や確認画面は、一例であって、同様な機能を有する他のデザインの画面を使用することもできる。
【0060】
このエラー画面または確認画面の表示手段として、監視手段4は、図11(C)に示すように、次の手段を有している。
(1) 監視手段4が本来有している登録情報の編集部4a。
(2) 変更する情報が関連付けデータベース14に登録されている機能番号と登録グループ番号であるかを判別する情報判別部4b。
(3) この情報判別部4bの判別結果に従って、エラー画面または確認画面を表示させる画面表示部4c。
【0061】
[作用]
本実施形態では、監視手段4が表示した画面で、編集部4aにより登録グループ情報記憶部8や設備データ記憶部7を変更する操作を実行した場合、情報判別部4bが、関連付けデータベース14を検索する。その結果、変更する情報が関連付けデータベース14に登録されている機能番号と登録グループ番号である場合には、画面表示部4cが情報の変更のために表示装置4に現在表示している画面は、監視情報と文書ファイルとの間の関連付けを示すものと判断する。そして、この判断結果に従い、画面表示部4cは、図11(A)のエラー画面または図11(B)の確認画面を表示する。
【0062】
[効果]
本実施形態では、監視手段4による設備データや登録グループ情報の変更時において、関連付けデータベース14に登録された画面の登録グループが意図しない内容に変更されることを防止できる。そのため、既に登録されている関連付けの内容が不用意に変更されてしまい、オペレータが関連付け画面を表示した際に、不用意に変更された誤った内容の関連付け画面が表示されることがない。
【0063】
4.第4実施形態
[構成]
図12は、第4実施形態の機能ブロック図である。なお、前記第1実施形態及び第2実施形態と同様な構成については、説明を省略する。具体的には、図1のプラント3、文書ファイル記憶部10、文書ファイル編集手段11、クリップボード12及び関連付け要求手段13は、図7では省略している。
【0064】
本実施形態では、サーバ2にメール送信手段30が設けられ、ユーザ端末1にメール受信手段31とメール表示手段32が設けられている。メール送信手段30は、設備データ記憶部7を定期的に参照し、各機器の点検周期毎に保守員にメールを作成して送信する手段であり、通信機能を有するハードウェアと、メール作成及び送信用のアプリケーションから構成される。メール送信手段30が作成するメールの文章には、画面表示手段15を起動するためのURLと、設備データ記憶部7に保存されたリンクIDが引数として指定されたハイパーテキスト形式の文章が記載される。
【0065】
メール受信手段31は、メール送信手段30が送信したメールを受信し、メール表示手段32に通知する。メール表示手段32は、メール受信手段31が受信したメールを表示装置5に表示し、メールに記載されたURLのハイパーテキストを実行して画面表示手段15を呼び出すことができる機能を有するアプリケーションである。なお、メール受信手段31は、メール送信手段30から直接メールが送信される形で記載しているが、メールサーバ等の他のサーバを介してメールを送受信することも考えられる。
【0066】
画面表示手段15は、引数として受け取ったリンクIDを元に関連付けデータベース14を検索して関連付け画面を表示する第1実施形態の機能に加え、設備データ記憶部7を検索して図13(A)に示す点検ボタンB7を表示する。
【0067】
点検ボタンB7を表示する条件は、図14に示す機能呼び出しのフローチャートに記載の通りである。この図14のフローチャートにおけるステップ1からステップ3は、図6に示す機能呼び出しのフローチャートにおけるステップ1からステップ3と同一である。
【0068】
図14において、リンクIDを検索キーとして設備データ記憶部7を検索し(ステップ4)、該当する点検種別が検索された場合にのみ点検ボタンB7を表示する(ステップ5のYes)。すなわち、図13(A)のように、関連付け画面の右側に、プラント状態と説明の情報を表示する説明画面と、設備データに該当する点検結果の入力画面を呼び出すための点検ボタンB7を表示する。オペレータが、この点検ボタンB7を選択すると、画面表示手段15は、設備データ記憶部7に記憶されている機器の中から該当する機器について、図13(B)の点検結果入力画面を表示する。
[作用]
本実施形態においては、プラントを構成する機器の点検周期になると、メール送信手段30とメール受信手段31及びメール表示手段32を介して、担当者に画面表示手段15を起動するためのURLが付加されたメールが送信される。オペレータがメールのURLを選択すると、点検ボタンが付加された図13(A)の関連付け画面を介して、図13(B)の点検結果入力画面を表示することができる。
【0069】
[効果]
本実施形態では、プラントを構成する機器の点検周期毎にメールにより担当者にメールが通知されるため、点検作業の遅延や点検作業の漏れを防止できる。また、メールに記載されたハイパーテキストを選択するのみで、最新のプラント状態と登録時のプラント状態と説明を含めた関連付け画面が即座に表示されるため、点検時のプラントの正常/異常を的確に判断することができる。また、関連付け画面から該当する機器の点検結果入力画面をワンタッチで表示できるため点検作業をスムーズに行うことができる。
【0070】
5.他の実施形態
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0071】
1…ユーザ端末
3…プラント
4…プラント監視手段
5…表示装置
6…プラントデータ記憶部
7…設備データ記憶部
8…登録グループ情報記憶部
9…プラントデータ収集部
10…文書ファイルの記憶部
11…文書ファイル編集手段
12…クリップボード
13…関連付け要求手段
14…関連付けデータベース
15…関連付け画面表示手段
B1…リンクボタン
B2…最新値画面
B3…登録時画面
B4…説明画面
B5…ナレッジ登録ボタン
B6…ナレッジ参照ボタン
B7…点検ボタン
20…関連先登録手段
30…メール送信手段
31…メール受信手段
32…メール表示手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントから送信されるプラントデータを保存するデータ記憶部と、オペレータの要求により、前記プラントデータに基づいてプラントの状態を示す画面を表示装置に表示させるプラント監視手段と、を備えたプラント運転支援装置において、
プラントの状態を示す画面に対して、関連付けを行う文書ファイルの記憶部と、
プラントの状態を示す画面と文書ファイルとの関連付けを要求する関連付け要求手段と、
プラントの状態を示す画面と文書ファイルの関連付けの情報を保存する関連付けデータベースと、
関連付けされた画面の呼び出し情報を文書ファイルに貼り付け、文書ファイルの指定時に前記呼び出し情報を実行する編集手段と、
文書ファイルの指定時に前記呼び出し情報を実行して、関連付けデータベースを検索し、指定された文書ファイルに関連付けられたプラントの状態を示す画面を表示する関連付け画面表示手段と、
を備えたことを特徴とするプラント運転支援装置。
【請求項2】
指定された文書ファイルに関連付けられたプラントの状態を示す画面を、前記データ記憶部に登録されているプラントに関する情報と関連付けする関連先登録手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプラント運転支援装置。
【請求項3】
関連付けデータベースに文書ファイルとの関連付けを変更する際に、エラー画面または確認画面を表示するエラー画面または確認画面の表示手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラント運転支援装置。
【請求項4】
前記データ記憶部に記憶されているプラントに関する情報を参照して、関連付け画面を表示するための呼び出し情報を埋め込んだメールを作成し、特定のメールアドレスに送信するメール送信手段と、
メールを受信するメール受信手段と、
送信されたメールを表示して、オペレータの要求により呼び出し情報を実行可能なメール表示手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のプラント運転支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−252604(P2012−252604A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125807(P2011−125807)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】