説明

プリ−ツ付の折り込み可能なバッグ

【課題】 折り込み可能であることによって不使用時の携帯性を備えることはもちろん、使用時のファッション性も兼ね備え、さらに、使用可能な状態が迅速に得られる折り込み可能なバッグ。
【解決手段】 折り込み可能な柔軟な材料(たとえば、カルゼ組織のポリエステル)から成る胴部12の中心Cから側部14、底部16の分岐点A、Bに伸びた直線Laの上部で垂直方向のプリ−ツPvを、直線Lbの下部で水平方向のプリ−ツPhを胴部に成形している。そして、側部14、底部16は、たとえば、中央で分割した短冊形状の硬質部材(たとえば、天然皮革)をその生地に縫製して、その長手方向中央で2つ折り可能な形状となっている。側部14、底部16はその長手方向中央での2つ折れに限定されず、長手方向で4つ折れ可能としたり、厚さ(幅)方向に2つ折れ可能としてもよい。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、折り込みことによってコンパクト化できる携帯性に優れた折り込み可能なバッグに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、本来のバッグに加えて予備のバッグ(セカンドバック)を持ち歩き、買い物で購入した商品をこのセカンドバックに収納して運ぶことが多い。セカンドバッグは当初は空の状態にあり、本来のバッグに入れて持ち歩かれる。ここで、本来のバッグに入れて持ち歩くためには、セカンドバックをコンパクト化する必要があり、通常、丸めたり、折り込んだりして携帯性を確保している。
【0003】
しかし、セカンドバックを丸めたり、折り込んだりすると、生地そのものを痛めたり、生地に折り目が残って美観を損なうおそれがある。また、セカンドバックに金具などがあると、この金具を避けて丸めたり、折り込むこととなり、十分なコンパクト化が難しい。また、丸めたり、折り込むとき、金具によって生地を痛めるおそれがある。
【0004】
さらに、セカンドバックに限らず、バッグのように物を入れるものにおいては、その底部や側部(マチ)を硬質材料で形成することによって、物を入れた場合の型崩れを防止している。しかし、側部や側部における硬質材料の存在はセカンドバックを丸めたり、折り込む場合の大きな障害となり、コンパクト化を難しくしている。
【0005】
折り込み可能なバッグとして、たとえば、実願昭54−82593号(実開昭56−422号)のマイクロフィルムに開示する袋物(バッグ)がある。この袋物は、袋本体を布、ビニ−ルなどの柔軟な材料で形成し、その下部に硬質材料からなる底部を形成し、底部を長手方向の中央で折り曲げ可能としている。そして、底部をその中央で2つに分け、右半分の周囲と左半分の周囲に相互に噛合可能なスライドファスナ−を取付けている。
【0006】
袋本体を折り込むように上下方向で縮めて底部上に密着させ、底部の間に挟むように底部を中央で折り曲げてから、スライドファスナ−を噛合すれば、袋物をコンパクト化できる。また、係止可能な係止具(ホック)を胴部の上端両側と底部に設けておけば、雄雌の係止具を係止させることにより、袋本体を折り込んだ状態で固定でき、スライドファスナ−が容易に噛合できる。
【0007】
この構成によれば、薄く折り込むことができるとともに、折り込んだ状態で固定保持でき、コンパクト化された携帯性に優れた袋物(バッグ)が得られるしかしながら、スライドファスナ−で挟まないように袋本体を折り込むのが容易でない。また、底部を2つ折りしているため、コンパクト化しても本来の大きさの半分の大きさにしかならず、薄型化できても、小型化できない。
【0008】
これに対して実用新案登録第2542431号のバッグは、側部(マチ)と胴部とを柔軟な材料から、底部を折り曲げ可能な材料からそれぞれ形成するとともに、底部の一端から巻込み可能な保持片を伸ばし、保持片と底部とに留め具としての雄雌のホックを設けて構成されている。ここで、側部(マチ)は内折れ可能に、側部(マチ)、胴部は上下方向に折り込み可能となっている。
【0009】
まず、側部(マチ)を内折りしてから、側部(マチ)、胴部を折り込み、取手を胴部の上に折り込む。それから、底部の留め具が上にくるように底部の一端を2回折り込んでから、保持片を巻込み、保持片のホックを底部のホックに係止させることにより、バッグを折り込んだ状態で固定している。
【0010】
この構成によれば、底部を2回折り込んでいるため、本来の大きさの1/3に折り込むことができ、薄型化、小型化でき、携帯性に優れる。また、ファスナ−を使用していないため、スライドファスナ−で挟まないように側部(マチ)、胴部を折り込む必要がなく、折り込みが容易に行える。
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
実願昭54−82593号(実開昭56−422号)のマイクロフィルムの袋物(バッグ)、実用新案登録第2542431号のバッグのいずれにおいても、コンパクトに折り込んだ状態に固定保持でき、本来のバッグに入れて持ち運ぶという携帯性においては優れている。ここで、セカンドバッグは不使用時の携帯性に加えて、使用時のファッション性も要求され、最近では意匠的に優れたデザインのものが好まれている。しかしながら、実願昭54−82593号(実開昭56−422号)のマイクロフィルムの袋物(バッグ)、実用新案登録第2542431号のバッグをはじめ、従来のセカンドバッグがファッション性に富んでいるとは言い難い。
【0012】
ここで、実願昭54−82593号(実開昭56−422号)のマイクロフィルムの袋物(バッグ)、実用新案登録第2542431号のバッグのいずれにおいても、胴部に折り目が予め成形されていない。胴部に折り目がないと、折り込みが面倒であるとともに、胴部に不規則な折り目やしわが成形されて、使用時でのバッグの美観を損なうおそれがある。また、折り目がないため一定の形状で折り込みに行われず、異なる形状で折り込まれことによって、胴部に不規則な折り目やしわが成形され、この点からもバッグの美観が損なわれる。
【0013】
さらに、従来の折り込み可能なバッグにおいては、不使用時の折り込み状態から、折り込み時のプロセスと逆のプロセスを経由しないと、使用可能な状態が得られない。たとえば、当然ながら、不使用時の折り込み状態では、折り込みによってバッグの上端開口は密着した状態で閉じられている。そのため、側部どうしまたは胴部どうしを左右の手で掴んで引き離してバッグを開口しなければバッグへの物の収納が難しく、使用可能な状態が迅速に確保できない。
【0014】
この考案は、折り込み可能であることによって不使用時の携帯性を備えることはもちろん、使用時のファッション性も兼ね備え、さらに、使用可能な状態が迅速に得られる折り込み可能なバッグの提供を目的としている。なお、この考案のバッグはセカンドバッグに適するとはいえ、セカンドバッグに限定されず、本来のバッグを含む広範囲のバッグにも応用できる。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、この考案では、折り込み可能な柔軟な材料から成る胴部の中心から側部、底部の分岐点に伸びた直線の上部で垂直方向のプリ−ツを、直線の下部で水平方向のプリ−ツを胴部に成形している。そして、側部、底部は中央で長手方向2つ折り可能な形状となっている。
【0016】
側部、底部は長手方向中央で2つ折り可能であるため、たとえば、底部の右半部と右の側部の下半部を右手で把持するとともに、底部の左半部と左の側部の下半部を左手で把持すれば、左右の側部の下半部が、水平方向のプリ−ツを折り込みながら底部の上に折り込まれる。底部の上への左右の側部の下半部が折り込みは内折れであるため、同時に、垂直方向のプリ−ツを折り込みながら、左右の側部の上半部が、胴部の中央方向に折り込まれる。それから、底部を外折り、つまり、上に折りこめば、バッグはコンパクトに折り込まれる。
【0017】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの考案の実施の形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、この考案に係るプリ−ツ付折り込み可能なバッグ10の下方からの斜視図を示す。バッグ10は、前後の胴部12と、左右の側部(マチ)胴部上端に14と、底部16とから構成され、一対のル−プ状の取っ手18が取付けられている。
【0019】
実施例では、折り込み可能な柔軟な材料、例えば、カルゼ組織のポリエステルを、2枚の胴部12、2枚の側部(マチ)14、1枚の底部16に対応する形状の5枚の布に裁断し、それらを上端の開口した箱型形状に縫製し、側部14、底部16に、生地(ポリエステル)よりも硬質の硬質部材14a、16a、例えば、天然皮革を縫製している。側部(マチ)14、底部16を1枚の布から成形して胴部12に縫製してもよい。なお、後述するように、胴部12にはプリ−ツ加工が施されている。ここで、側部14の硬質部材14aは、その長手方向中央での折り込みを容易にするように、中央で分離された2枚の短冊形状となっている。また、底部16においても、その長手方向中央での折り込みを容易にするように、硬質部材16aは中央で分離された短冊形状とされ、底部では中央のスペ−スが大きいため、硬質部材が中央のスペ−スにも配置され、3つの硬質部材16a1、16a2、16a3が設けられている。このように側部14、底部16はその中央で2つ折り可能に形成されている。
【0020】
なお、硬質部材14a、16aと同じ天然皮革から成り、硬質部材14a、16aより薄い硬質部材14a’、16a’が、中央の折り込み部分に裏地として縫製されて、折り込み部分の生地を補強している。
【0021】
胴部12には、プリ−ツ加工が施されている。プリ−ツ加工は周知であるため詳細に説明しないが、適当な湿度と温度のもとで熱処理装置によって、プリ−ツ(一連の折り目)が胴部12に成形されている。
【0022】
この考案ではプリ−ツ形状に特徴があり、図1に示すように、胴部12の中心、すなわち、胴部の高さ方向の中心線Vcと幅方向の中心線Hc(上部は折り目になる)との交点Cから、側部14、底部16の分岐点(コ−ナ−)A、Bに伸びた直線La、Lb(その全てが折り目になる)の上下で異なるプリ−ツが胴部に成形されている。すなわち、直線La、Lbの上部では垂直方向の(縦方向の)プリ−ツ(一連の折り目)Pvが、直線La、Lbの下部では水平方向の(横方向の)プリ−ツ(一連の折り目)Phが、胴部12に成形されている。ここで、直線La、Lbに注目すると、プリ−ツPv、Phは直線La、Lbを挟んで左右対称に成形されている。なお、谷の折り目を一点鎖線で示して、実線で示す山の折れ目と区別している。
【0023】
垂直方向のプリ−ツPvと水平方向のプリ−ツPhを組合わせた胴部12のプリ−ツは、一種独特のものであり、特異な美観が感じられる。そして、胴部12に特異な美観を生じるプリ−ツが施されることによって、バッグ10は意匠的に優れたものとなり、ファッション性に優れたバッグが得られる。さらに、垂直方向のプリ−ツPvと水平方向のプリ−ツPhを組合わせた胴部12のプリ−ツは、美的に優れているだけでなく、折り込みを促進するものとしても機能する。
【0024】
すなわち、側部14、底部16がその中央で2つ折り可能とされ、折り込み可能な柔軟な材料から成る胴部12に、直線La、Lbの上部に垂直方向のプリ−ツPvを、下部に水平方向のプリ−ツPhを成形したバッグ10は、たとえば、以下のように折り込まれる。
【0025】
図2に示すように、水平に置いたバッグ10の側部14、底部16を右手、左手で同時に挟持する。すると、図3に示すように、直線La上部の垂直方向のプリ−ツPvを大きく折り込むとともに、直線La下部の水平方向のプリ−ツPhを僅かに折り込みながら、側部の硬質部材14aの下半部(硬質部材)14a2が内側に折り込まれる(内折れされる)。
【0026】
それから、底部16をその中央の回りで持ち上げると、つまり、底部の硬質部材16の左半部(硬質部材)16a1、右半部(硬質部材)16a2をそれぞれ持ち上げると、側部14の中央の回りで、側部の左の下半部14a2は底部16の左半部16a1とともに時計方向に、側部の右の下半部14a2は底部16の右半部16a2とともに反時計方向に持ち上げられ、側部の上半部14a1に下半部14a2が重なるように回動される。
【0027】
そして、図4(A)に示すように、側部の硬質部材14の上半部14a1に下半部14a2が重なるとともに、側部14を覆うように、底部の硬質部材16aの左半部16a1、右半部16a2が折り込まれて(外折れされて)、バッグ10がコンパクトに折りこまれる。図4(B)は側部14底部6の折り込みによってコンパクトに折り込まれたバッグ10の側面図を示す。
【0028】
図2から図3に至る側部14の下半部14a2の内折れ、図3から図4に至る底部16の左半部16a1、右半部16a2の外折れのいずれにおいても、側部14、底部16の中央での折れを除けば、胴部12はプリ−ツPv、Phに沿って折り込まれている。そのため、側部14の下半部14a2の内折れ、底部の左半部16a1、右半部16a2の外折れが、硬質部材14a、16aを型材として円滑に行え、側部14底部6の折り込み、つまりは、バッグ10の折り込みが迅速に行える。
【0029】
バッグ10の折り込み状態では、プリ−ツPv、Phはその復元力に抗して折り込まれている。そして、水平方向のプリ−ツPvの復元力は底部16を押し下げるように、垂直方向のプリ−ツPhの復元力は側部14を左右に押し広げる(拡幅する)ように作用している。
【0030】
そのため、折り込まれた状態を示す図4(A)において、取っ手18を保持してバッグ10を持ち上げると、折り込み状態から開放されて、その自重の影響下で水平方向のプリ−ツPhの復元力によって底部16が押し下げられるとともに、垂直方向のプリ−ツPvの復元力によって側部14が左右に拡幅され、ほぼ図3に示す形状が自然に復元される。図3に示す状態では、物の収納が直ちに行える程度にバッグ10の上端は開口している。なお、バッグ10を上下に振りながら持ち上げれば、プリ−ツPv、Phの復元力が増進されて上下左右の広がりが大きくなり、バッグ10の上端は大きく開口される。
【0031】
このようにバッグ10を持ち上げるだけで、収納可能な程度にバッグ上端がプリ−ツPv、Phの復元力のもとで自動的に開口されるため、両手でバッグ上端を開口するという従来の動作を必要としないで、バッグへの物の収納が直ちに行える。
【0032】
つまり、この考案における、垂直方向のプリ−ツPvと水平方向のプリ−ツPhを組合わせた胴部12のプリ−ツは、特異な美観を生じるという意匠性、ファッション性の面で有効に機能するだけでなく、折り込みを促進する機能と、バッグ上端の自動的な開口を生じさせるという機能を兼ね備え、その存在は極めて有効である。そして、このバッグ10によれば、持ち上げるだけで使用可能な状態が自動的に確保されるため、片手で持ち上げながら別の片手で物をバッグの中に収納でき、すこぶる便利である。
【0033】
実施例では、側部14、底部16に硬質部材14a、16aを取付けて、生地(ポリエステル)よりも硬質の部分を設け、硬質部材を中央部分で分割している。そのため、硬質部材14a2、16a1、16a2を型材として、側部14、底部16はその長手方向中央で容易に2つ折れされ、側部および底部での折り込みが一定の位置で迅速に行える。ここで、硬質部材14a、16aを4分割しておけば、図4(A)において、矢視のようにバッグ10をその長手方向でさらに折り込むことができ、結局、バッグ10が4つ折りできる。
【0034】
もちろん、側部14、底部16の幅(厚さ)方向で硬質部材14a、16aの中央を分割しておけば、側部、底部は幅(厚さ)方向で折り込むことができ、バッグ10がさらに折り込み可能となる。これは、幅広のバッグ10のコンパクト化において有効となる。
【0035】
硬質部材14a、16aを分割する代わりに、硬質部材にスリットを形成し、硬質部材そのものの強度に強弱を付けて折り込み位置を設定してもよい。硬質部材14a、16aは、生地とその硬度の点で明らかに識別され、一定の位置での折り込みを可能とする型材として機能し、一定位置での折り込みが迅速、容易に行える。そして、一定の位置で常に折り込まれるため、生地を痛めやすい金具がバッグ10に取付けられている場合でも、折り込み時に生地を痛めない位置に金具を設けることによって、金具による生地の損傷を防止できる。
【0036】
実施例では、カルゼ組織のポリエステルのような折り込み可能な柔軟な材料を箱型形状に縫製し、硬質部材14a、16aを側部14、底部16の生地(ポリエステル)に縫製している。しかし、側部14、底部16の生地に硬質部材14a、16aを縫製することなく、いずれも折り込み可能な柔軟な材料からなる、プリ−ツ付胴部12、側部14、底部16を縫製してバッグ10を成形してもよい。この構成では、バッグ10は側部14、底部16のどの位置においても折り込み可能であり、任意の折り込み形態でコンパクト化できる。ここで、折り込み位置を設定する型板として機能するものがないため、一定位置での折り込みは難しい。しかしながら、垂直方向のプリ−ツPvと水平方向のプリ−ツPhを組合わせた胴部12のプリ−ツの多能な機能、すなわち、特異な美観を生じるというファッション面の機能、折り込みを促進する機能、バッグを自動的に開口させるという機能はいずれも維持され、バッグ10の価値を大きく損なうことはない。
【0037】
このように折り込み可能な柔軟な材料のみからバッグ10を成形した場合、必要であれば、生地を硬質にする液体を例えば霧状にしてまたは液体のまま、生地に塗付すれば、硬質部材14a、16aと同等な硬質部が得られこの硬質部を型板として一定の位置での折り込みが可能となる。液体の塗付では、マスク材の形状によって硬質部が選択的に設定でき、折り込み位置が迅速、容易に設定できる。
【0038】
また、側部、底部の生地を省略し、胴部12のみを折り込み可能な柔軟な材料から形成し、左右および下から胴部の生地に硬質部材14a、16aを縫製して硬質部材のみから側部14底部16を成形してもよい。
【0039】
図4(A)(B)に示す不使用時の折り込み状態にバッグ10を固定保持するには、締め具、留め具などの締付手段でバッグ10を締め付ければよい。ここで、締付手段はバッグ10の使用時には不要となるため、その紛失に考慮する必要がある。
【0040】
たとえば、図5に示すように、折り込まれた底部の左半部16a1、右半部16a2の回りに取っ手18を巻き付け、取っ手の根元に設けた雄雌のホック18aを係止して(留めて)バッグ10を折り込み状態に締め付ける構成としてもよい。この構成では、留め具(ホック18a)を取っ手18に固着するだけで締付手段が得られ、折り込まれたバッグ10に取っ手18を巻き付けて雄雌のホック18aを係止するだけでバッグが折り込み状態に固定保持できる。もちろん、留め具(ホック18a)は取っ手18に固着されているため、不使用時の紛失はあり得ない。また、取っ手18の根元に位置するため、取っ手を保持してバッグ10を使用する場合にも留め具(ホック18a)の存在は障害とならない。なお、留め具(ホック18a)の位置は図示のものに限定されない。ここで、留め具としてホック18aの代わりに、マジックテ−プ(登録商標)のような面ファスナ−を使用してもよい。
【0041】
ル−プ状の締め具を締付手段とする場合を図6に例示する。ル−プ状の締め具としてベルト20(図6(A))や、面ファスナ−(たとえば、マジックテ−プ(登録商標))を利用したル−プ帯22((図6(B))が挙げられる。
【0042】
たとえば、図6(C)に示すように、ベルト20は、折り込まれたバッグ10に巻き付けられ、円形フレ−ム20aで折り返されて、その先端をベルト通し22bに通すことによって、バッグを折り込んだ状態に締め付ける。また、ル−プ帯22は、バッグ10に巻き付けられ、コ形フレ−ム22aで折り返されて、先端の面ファスナ−22bを対応する面ファスナ−22cに密着させることによって、バッグを折り込んだ状態に締め付ける。ル−プ状の締め具20、22を利用すれば、折り込まれたバッグ10に巻き付けて固定処理することにより、バッグを迅速、確実に保持、締め付けられる。そして、バッグ10の使用時においては、ベルト20、ル−プ帯22を取っ手18に巻き付けることにより、その紛失を防止できる。
【0043】
もちろん、雄雌のホックを利用してル−プ状の締め具(ベルト20、ル−プ帯22)を取っ手18に着脱自在に取付てもよい。また、ル−プ状の締め具を取っ手18に縫製すれば、取っ手に巻き付ける必要もなく、締め具の紛失が確実に防止できる。
【0044】
なお、この考案のバッグは、携帯性を重視するセカンドバッグに適するとはいえ、これに限定されず、本来のバッグ、旅行かばん、スポ−ツバッグなど広範囲のバッグに応用可能であることは自明である。
【0045】
【考案の効果】
請求項1記載の考案によれば、バッグの胴部には垂直方向のプリ−ツと水平方向のプリ−ツを組合わせた一種独特のプリ−ツが成形されており、特異な美観が感じられ、意匠的に優れファッション性の高いバッグが得られる。さらに、垂直方向のプリ−ツと水平方向のプリ−ツに沿って側部、底部が長手方向中央で2つ折れされ、胴部のプリ−ツは折り込みを促進するものとして機能する。そして、バッグは迅速に折り込まれてコンパクト化され、ファッション性だけでなく携帯性を兼ね備えたバッグが得られる。
【0046】
また、バッグの折り込み状態では、垂直方向、水平方向のプリ−ツはその復元力に抗して折り込まれている。そのため、バッグを持ち上げると、折りこみ状態から開放されて、垂直方向のプリ−ツの復元力によって底部が押し下げられるとともに、垂直方向のプリ−ツの復元力によって側部が左右に拡幅されて、収納可能な程度にバッグ上端が自動的に開口され、両手でバッグ上端を開口するという従来の動作を必要としないで、バッグへの物の収納が直ちに行える。
【0047】
請求項2記載の考案によれば、請求項1記載の考案の効果に加えて、バッグは4つ折り可能となり、4つ折によって一層コンパクト化できる。
【0048】
請求項3記載の考案によれば、請求項1記載の考案の効果に加えて、硬質部材を型材として、側部、底部はその長手方向中央で容易に2つ折れされ、側部および底部での折り込みが一定の位置で迅速に行える。一定の位置で常に折り込まれるため、生地を痛めやすい金具がある場合でも、折り込み時に生地を痛めない位置に金具を設けることによって、金具による生地の損傷を防止できる。
【0049】
請求項4記載の考案によれば、請求項1記載の考案の効果に加えて、側部底部のどの位置においても折り込み可能となり、任意の折り込み形態でバッグをコンパクト化できる。
【0050】
請求項5記載の考案によれば、請求項4記載の考案の効果(請求項1記載の考案の効果に等しい)に加えて、硬質化した生地を型板として一定の位置での折り込みが確保できる。そのため、生地を痛めやすい金具がある場合でも、折り込み時に生地を痛めない位置に金具を設けることによって、金具による生地の損傷を防止できる。また、マスク材の形状によって硬質化する位置が選択的に設定でき、折り込み位置が迅速、容易に設定できる。
【0051】
請求項6記載の考案によれば、先行する請求項記載の考案の効果に加えて、留め具を取っ手に固着するだけで、折り込まれたバッグを固定、保持する締付手段が得られ、バッグに取っ手を巻き付けて雄雌の留め具を係止するだけでバッグが折り込み状態に締付、保持できる。また、取っ手に固着されているため、留め具の紛失はあり得ない。さらに、取っ手の根元にあるため、留め具がバッグの使用時の障害にならない。
【0052】
請求項7記載の考案によれば、先行する請求項記載の考案の効果に加えて、折り込まれたバッグに締め具を巻き付けられて固定処理することにより、バッグを迅速、確実に保持、締め付けられる。そして、バッグの使用時においては、締め具を取っ手に巻き付けることにより、その紛失を防止できる。
【0053】
請求項8記載の考案によれば、取っ手に巻き付ける必要もなく、締め具の紛失が確実に防止できる。これ以外の効果は請求項7記載の考案の効果に等しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案に係るプリ−ツ付の折り込み可能なバッグの使用状態を示す斜視図である。
【図2】この考案に係るバッグの折り込み開始時の状態を示す正面図である。
【図3】この考案に係るバッグの折り込み途中の状態を示す正面図である。
【図4】この考案に係るバッグの折り込み状態を示す正面図である。
【図5】この考案に係るバッグの、取っ手によって折り込み状態に固定、締め付けられた状態を示す側面図である。
【図6】(A)はバッグを固定、締め付けるル−プ状の締め具としてのバンドの平面図、(B)はバッグを固定、締め付けるル−プ状の締め具としてのル−プ帯の平面図、(C)はバッグを巻かれて固定処理されたバンド、ル−プ帯を示す模式図である。
【符号の説明】
10 プリ−ツ付の折り込み可能なバッグ
12 胴部
14 側部(マチ)
14a 硬質部材
14a1 硬質部材の上半部
14a2 硬質部材の下半部
16 底部(マチ)
16a 硬質部材
16a1 硬質部材の左半部
16a2 硬質部材の右半部
18 取っ手
18a 留め具(雄雌のホック)
C 胴部の中心
A、B 側部、底部の分岐点(コ−ナ−)
La、Lb 胴部の中心と側部、底部の分岐点とを結ぶ直線
Pv、Ph 垂直方向および水平方向のプリ−ツ(一連の折り目)
20、22 ル−プ状の締め具(ベルト、ル−プ帯)
20a、22a フレ−ム
20b ベルト通し
22b、22c 面ファスナ−

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 胴部を折り込み可能な柔軟な材料から形成し、胴部の中心から側部、底部の分岐点に伸びた直線の上部で垂直方向のプリ−ツを、直線の下部で水平方向のプリ−ツを胴部に成形し、側部、底部をその長手方向中央で2つ折り可能な形状としたプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項2】 側部、底部はその長手方向中央での2つ折り後に、さらに長手方向で2つ折り可能な形状に成形されている請求項1記載のプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項3】 胴部を折り込み可能な柔軟な材料から形成し、胴部の中心から側部、底部の分岐点に伸びた直線の上部で垂直方向のプリ−ツを、直線の下部で水平方向のプリ−ツを胴部に成形し、中央で分離した2つの硬質部材を側部、底部にそれぞれ設けて、その長手方向中央で2つ折り可能な形状としたプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項4】 胴部を折り込み可能な柔軟な材料から形成し、胴部の中心から側部、底部の分岐点に伸びた直線の上部で垂直方向のプリ−ツを、直線の下部で水平方向のプリ−ツを胴部に成形し、側部底部も折り込み可能な柔軟な材料から形成して胴部に縫製したプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項5】 側部底部に液体を塗付し生地を硬質化して折り込み位置を設定した請求項4記載のプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項6】 胴部上端の取っ手の根元に雄雌の留め具を固着し、取っ手の先端ル−プ部を、折りこまれた側部、底部に巻き付け、留め具を係止することにより、側部、底部を折り込まれた状態に保持する請求項1〜5のいずれか記載のプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項7】 折り込まれた側部、底部に巻き付けられるル−プ状の締め具を持つ請求項1〜5のいずれか記載のプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。
【請求項8】 締め具は、胴部上端の取っ手に縫製されている請求項7記載のプリ−ツ付の折り込み可能なバッグ。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【登録番号】実用新案登録第3095849号(U3095849)
【登録日】平成15年6月4日(2003.6.4)
【発行日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【考案の名称】プリ−ツ付の折り込み可能なバッグ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2003−623(U2003−623)
【出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(390033891)株式会社三宅デザイン事務所 (9)