説明

プリペイドカード

【目的】 読取りヘッドがスキャン動作を行うとき、正確にビットマークのセンターに位置決めされ、読みだしエラーが発生しない。
【構成】 プリペイドカード1の表面2の、2進数値で構成されたデータビット4を読み取りヘッドでスキャンする際、カード表面2上の所定の位置に読み取りヘッドの位置がデータビットのセンターラインを通過する直前に出力がピークに達しその後減少するような形状をした位置検出用ビット3を配設する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、プリペイドカード、とりわけ読み出し時においてカード上のビットマークに対する読取りヘッドの中心位置の確定が容易に可能なプリペイドカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、データ改竄や不正防止が可能なプリペイドカードとして、在来の磁気カードに替わり、紙製あるいはプラスチック製カード表面に、残高を2進化データとしてビットマークで印刷表示し、残高更新の度に表示を更新する構成のプリペイドカードが使用されるに至っている。このような紙製などからなるプリペイドカードは、デジタルデータである1あるいは0が、所定のビットマーク(少くとも特定の波長の光に対して2値の反射値のマークの組合せ)の列でカード表面に印字がなされるものである。このような従来のプリペイドカードを図8に示す。
【0003】
図8においてプリペイドカード10は、四角形のデータビット(黒ビット4と空白11)の組み合わせによるデータが、プリペイドカード10の長尺方向に並んで構成されている。さらに、カード面上の所定の位置、例えば図8に示すプリペイドカード10では、カード面の最左端に位置検出用ビット30が配設されている。位置検出用ビット30は四角形で構成されていて、同じく四角形の検出範囲を有する読取りヘッド5の中心位置を確定させるものである。
【0004】
位置の検出においては、まず、読取りヘッド5をプリペイドカード10の短尺方向に移動させる。やがて読取りヘッド5が位置検出用ビット30の先端を捉えると、検出出力が増加する。さらに読取りヘッド5をプリペイドカード10の短尺方向に移動させるにつれ、検出出力がさらに増加するが、検出出力が予め定めたしきい値を越えた時に、読取りヘッド5が位置検出用ビット30のセンター位置に到達したものと判断する。このようにして読取りヘッド5が短尺方向センター位置に到ると、この短尺方向位置を保ったままで、読取りヘッド5をプリペイドカード10の長尺方向に移動させてデータビットを検出し、データを読み取るものである。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
前記のようにしてデータを読出す時に、誤差を考慮して、しきい値レベルに幅をもたせている。この幅が存在するゆえに、ビットマークに対する読取りヘッドのセンター位置に位置ずれが生じて、読みだしエラー発生の原因になっていた。
【0006】
本考案は、従来技術の有するこのような課題や欠点を解決するためなされたもので、その目的は読取りヘッドが正確にビットマークのセンターに位置決めされ、よって読みだしエラー発生のないビット表示を備えるプリペイドカードを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を実現するため本考案に係るプリペイドカードは、カード表面に、2進数値データを一列のデータビットで表示したプリペイドカードにおいて、カードの所定位置にデータビットに対応して位置検出用ビットを配設すると共に、プリペイドカード読取り装置の読取りヘッドが位置検出のためにカード表面を一方向にスキャンするとき、読取りヘッドの中心が前記データビットのセンターラインを通過する前に読取りヘッドの出力がピークに達し、その後のスキャン動作によって減少していくように前記位置検出用ビットの形状を読取りヘッド接近側に片寄せた形状にしたことを特徴とする。
尚、ここでいうビットの表示は、読取りヘッドに読取りできる表示を意味し、可視光により識別できる表示に限るものではない。
【0008】
【作用】
本考案に係るプリペイドカードでは、位置検出のためカード表面を一方向にスキャンするとき、読取りヘッドの中心がデータビットのセンターラインを通過する前に読取りヘッド出力がピーク値に達するような形状の位置検出用ビットを用いたから、検出出力のピークを検出して後、更に読取りヘッドを微小量移動して所定の比率だけ検出出力が下がったとき、検出ヘッド中心とデータビットのセンターラインとが一致するようにでき、読取りヘッドをデータビットのセンターラインに正確に合わせることができる。
【0009】
【実施例】
以下、この考案の実施例を添付図面に基づいて説明する。
先ず、この考案の構成を説明する。
図1は本考案に係るプリペイドカードの一実施例の構成の正面図である。
図1で、本考案に係るプリペイドカード1は、カード表面2に、2進数値で構成されたデータの各ビットである、“0”と“1”のいずれかの側が四角形のデータビット4で、他の側が空白11によって、カード長尺方向に列状に表示されている。さらに、これら四角形のデータビット4あるいは空白11からなる列の左端位置に、位置検出用ビット3が配設されている。位置検出用ビット3は、四角形の隣接する2隅が切り欠かれた、2個の切欠辺3A,3Cと1個の下辺3Bを有するホームベース型の6角形として表示される。また位置検出用ビット3の中心と各データビット4の中心は、同一直線上にあるよう構成されている。
【0010】
図2は、図1における位置検出用ビットの構成の説明図である。
次に、動作を説明する。
まず、四角形の検出領域を有する読取りヘッド5をプリペイドカードの短尺方向(図中、下方向)に移動させる。やがて読取りヘッド5の検出領域が図中の5Aに示す位置に至って、読取りヘッド5の中心が位置Aにくると、読取りヘッド5が位置検出用ビット3の先端を捉えて、図3に示すように、センサ出力が増加を開始する。さらに読取りヘッド5をプリペイドカードの短尺方向に移動させるにつれ、検出出力がさらに増加し、読取りヘッド5の検出領域が図2中の5Bに示す位置に至って、センサ出力がピークとなる。このセンサ出力ピーク時点では、読取りヘッド5の中心が位置Bにあって、位置検出用ビット3のセンター位置に到達する直前にある。
【0011】
この、出力のピークを検出した位置からさらに所定の量だけ読取りヘッド5を移動すると、センサ出力がピーク値から減少するとともに、読取りヘッド5の検出領域が図中の5Cに示す位置に至り、読取りヘッド5の中心が位置Cとなって、位置検出用ビット3の短尺方向のセンター位置に到達する。
このようにして読取りヘッド5が短尺方向センター位置に至ると、この短尺方向位置を保ったままで、読取りヘッド5をプリペイドカードの長尺方向に移動させてデータビット4あるいは空白11を検出し、データを読み取ることができる。このように、読取りヘッドのセンターを小さい誤差で位置決めでき、読みだしエラー発生を防止することができる。
【0012】
前記実施例では、位置検出用ビット3をデータビット4あるいは空白11の列の左端に位置させたが、これに限定されることなく、例えば中心や右端に置いた構成とすることもできる。
【0013】
図4は、本考案の他の実施例を示すビットと読取りヘッドとの関係を示す説明図で、位置検出用ビット31は、データビット4,11のセンターライン6より図の上方、すなわち、位置検出のために読取りヘッド5に接近する側のみが黒色、その反対側は空白(カードの地の色)にしてある。
図5は、図4の場合の読取りヘッドセンサの出力変化を示す。
【0014】
図6および図7は、更に本考案の他の実施例の説明図と出力変化図を示し、位置検出ビット32はセンターライン6の下方で先細にしてある。
また、読取りヘッドセンサのサイズがビットマークより大きくなければ、データビットマークとして使用する、例えば四角形全部を塗り潰したマークと同じマークを、データビットのセンターラインよりも読取りヘッド接近側に片寄せて位置検出用ビットマークとしてもよい。
【0015】
尚、上述の実施例において、読取りヘッドの動きは、プリペイドカードとの相対的な動きであって、位置検出をするときは、通常読取りヘッドは静止しており、プリペイドカードが読取りヘッドに対して移動されるのであるが、説明の都合上読取りヘッドが移動するように説明した。
これらの実施例におけるビットマークの表示は、可視光で識別できるインクによる印刷でもよいが、それ以外の表示、例えば、近赤外線で識別できるインクを使用してもよい。
【0016】
【考案の効果】
以上説明した様に、本考案に係るプリペイドカードは、 本考案に係るプリペイドカードでは、位置検出のためカード表面を一方向にスキャンするとき、読取りヘッドのちゅうんしがデータビットのセンターラインを通過する前に読取りヘッド出力がピーク値に達するような形状の位置検出用ビットを用いたから、検出出力のピークを検出して後で、更に読取りヘッドを微小量移動して所定の比率だけ検出出力が下がったとき、検出ヘッド中心とデータビットのセンターラインとが一致するようにでき、読取りヘッドをデータビットのセンターラインに正確に合わせることができる。
本考案のプリペイドカードでは、ピーク値を予め提出したり、ピーク値を検出した後、読取りヘッドを戻したりするよりも、ピーク値通過後の減少比率でセンター位置を設定することになるからヘッド(あるいはカード)の動きもスムーズである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係るプリペイドカードの一実施例の構成の正面図である。
【図2】図1における位置検出用ビットの構成の説明図である。
【図3】図2における読取りヘッドセンサの出力変化を示す図である。
【図4】本考案に係る他の実施例のビットの構成の説明図である。
【図5】図4におけるヘッドセンサの出力変化を示す図である。
【図6】本考案に係る他の実施例のビットの構成の説明図である。
【図7】図6におけるヘッドセンサの出力変化を示す図である。
【図8】従来のプリペイドカードのビット表示の説明図である。
【符号の説明】
1 プリペイドカード
2 カード表面
3 位置検出用ビット
3A 切欠辺
3B 下辺
3C 切欠辺
4 データビット
5 読取りヘッド
11 空白

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 カード表面に、2進数値データを一列のデータビットで表示したプリペイドカードにおいて、カードの所定位置にデータビットに対応して位置検出用ビットを配設すると共に、プリペイドカード読取り装置の読取りヘッドが位置検出のためにカード表面を一方向にスキャンするとき、読取りヘッドの中心が前記データビットのセンターラインを通過する前に読取りヘッドの出力がピークに達し、その後のスキャン動作によって減少していくように、前記位置検出用ビットの形状を読取りヘッド接近側に片寄せた形状にしたことを特徴とするプリペイドカード。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図8】
image rotate