プリンタおよびプリントシステム
【課題】不要な環境温度変化により画像形成の品質が低下するのを防止する。
【解決手段】本実施形態のプリンタは、画像形成部、発色変更部および阻止部を有する。画像形成部は、媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する。発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する。阻止部は、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる。
【解決手段】本実施形態のプリンタは、画像形成部、発色変更部および阻止部を有する。画像形成部は、媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する。発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する。阻止部は、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタおよびプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドの発熱によりインクリボンのインクを溶融して媒体に熱転写させることで画像を形成するサーマルプリンタが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種のプリンタでは、サーマルヘッドやインクリボンの環境温度が著しく変化すると、画像形成の品質が低下するなどの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態のプリンタは、画像形成部、発色変更部および阻止部を有する。画像形成部は、媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する。発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する。阻止部は、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、感温インクの感温特性の一例を示す図である。
【図3】図3は、阻止部の組立状態を示す組立斜視図である。
【図4】図4は、阻止部の分解状態を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、図3に示す阻止部の側面を示す側面図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るプリンタのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、プリンタで得られる媒体としての商品ラベルの一例を示す図である。
【図9】図9は、プリントシステムの概略構成を示す側面図である。
【図10】図10は、図3に示す阻止部の変形例を示す斜視図である。
【図11】図11は、図1に示すプリンタの変形例を示す側面図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図13】図13は、阻止部および除電部の組立状態を示す組立斜視図である。
【図14】図14は、阻止部および徐電部の分解状態を示す分解斜視図である。
【図15】図15は、図13に示す阻止部および徐電部の側面を示す側面図である。
【図16】図16は、プリントシステムの概略構成を示す側面図である。
【図17】図17は、図13の組立状態における阻止部、冷却装置および徐電部を正面側から見た場合の正面図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図19】図19は、図18の冷却機構を示す正面図である。
【図20】図20は、図19の冷却機構に含まれる噴出部の断面図であって、(a)は、媒体に対してガスが直角に噴射される状態を示す図、(b)は、媒体に対してガスが斜めに噴射される状態を示す図である。
【図21】図21は、図19の冷却機構に含まれる噴出部の一部を台紙側から見た平面図である。
【図22】図22は、第3の実施形態に係る阻止部を概略的に示す斜視図である。
【図23】図23は、阻止部の側面を示す側面図である。
【図24】図24は、第3の実施形態に係るプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、プリンタに含まれるインクリボンカートリッジの一部を模式的に示す側面図であって、(a)は、インクリボンと媒体との密着区間が長いものを示す図、(b)は、インクリボンと媒体との密着区間が短いものを示す図である。
【図26】図26は、実施形態の変形例にかかるプリンタに含まれる可動プレートを示す平面図である。
【図27】図27は、変形例にかかるプリンタで得られた媒体としての商品ラベルの一例を示す図である。
【図28】図28は、変形例にかかる阻止部を概略的に示す斜視図である。
【図29】図29は、第3の実施形態に係るプリンタの変形例の構成を示す側面図である。
【図30】図30は、図29に示すプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0008】
なお、本実施形態のプリンタ1は、一例として、インクリボンを加熱してインクを紙などの媒体Mに転写するサーマルプリンタとして構成されている。
【0009】
また、本実施形態のプリンタ1で使用される媒体Mは、一例としては、図8に示すラベルとすることができる。そして、その媒体Mは、一例として、帯状の台紙2の表面上に所定の間隔(ピッチ)で貼り付けられている。
【0010】
図1に示すように、プリンタ1の本体部1aには、複数(本実施形態では4つ)のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)を着脱可能に装着することができる。なお、それら複数のインクリボンカートリッジ3は、プリンタ1内に形成された帯状の台紙2の搬送路Pに沿って並べて配置されている。
【0011】
また、それら複数のインクリボンカートリッジ3は、それぞれ、ヘッド(サーマルヘッド)3aおよびインクリボン3dを有し、ヘッド3aによってインクリボン3dのインクを加熱することで、搬送路P上を搬送された媒体Mに、それぞれのインクの画像を形成するものである。
【0012】
即ち、本実施形態のプリンタ1では、インクリボンカートリッジ3のヘッド(サーマルヘッド)3aが画像形成部に相当する。
【0013】
なお、インクリボンカートリッジ3の数は、4つには限定されず、種々に設定することができる。
【0014】
また、本体部1aの、搬送路Pの最上流側となる位置には、台紙2のロール2aが、着脱可能かつ回転可能に装着されている。搬送ローラ4の回動によってロール2aから台紙2が引き出され、搬送路P内で搬送される。搬送路Pは、インクリボンカートリッジ3の他、搬送ローラ4や補助ローラ5などの配置によって定められる。
【0015】
また、プリンタ1は、モータ6によって回転駆動される複数の搬送ローラ4を備えている。なお、モータ6の回転は、回転伝達機構(減速機構)7を介して、各搬送ローラ4に伝達される。また、プリンタ1は、補助ローラ5を有している。この補助ローラ5は、搬送ローラ4とともに台紙2を挟持する位置や、複数の搬送ローラ4や補助ローラ5間で台紙2が架け渡される位置などに、配置される。
【0016】
また、プリンタ1は、媒体Mを検出するセンサ8や、台紙2の張りを検出する張り検出機構9なども備えている。
【0017】
即ち、本実施形態のプリンタ1では、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構7などによって台紙2(媒体M)を搬送する搬送部が構成されている。
【0018】
本実施形態のプリンタ1には、温度によって変色しない非感温インクのインクリボンを有するインクリボンカートリッジ3や、温度によって変色する感温インクのインクリボンを有するインクリボンカートリッジ3や、色違いのインクリボン(非感温インク、感温インク)を有するインクリボンカートリッジ3などを装着することが可能である。
【0019】
なお、インクリボンカートリッジ3は、本体部1aに設けられた複数のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)の装着位置のいずれかに着脱可能に装着することができる。
【0020】
感温インクには、例えば、図2の(a)に示すように、閾値温度Thを境界として発色状態が変化するものがある。
【0021】
一例として、図2の(a)の感温インクは、温度Tが閾値温度Thを超えた場合には白色であり(S2)、温度Tが閾値温度Th以下の場合には有色となる(S1)。媒体Mが白色である場合、感温インクが白色の状態(S2)では、媒体M上に形成されたその感温インクの像は見えにくくあるいは見えなくなる。なお、感温インクにおける温度による発色状態の変化は可逆変化である。
【0022】
また、感温インクには、例えば、図2の(b)に示すように、温度Tが下降する際と上昇する際とで相異なる閾値温度Th1、Th2を境界として発色状態が変化するものがある。
【0023】
一例として、図2の(b)の感温インクは、温度Tが下降する際には、温度Tが第一の閾値温度Th1より高い状態では白色であり(S2)、温度Tが第一の閾値温度Th1以下になったときに有色に変化する(S1)。媒体Mが白色である場合、感温インクが白色の状態(S2)では、媒体M上に形成されたその感温インクの像は見えにくくあるいは見えなくなる。また、温度Tが上昇する際には、温度Tが第二の閾値温度Th2以下の状態では有色であり(S1)、温度Tが第二の閾値温度Th2より高くなったときに白色に変化する(S2)。
【0024】
ここで、図2の(b)に示すように、第二の閾値温度Th2は第一の閾値温度Th1より高い。したがって、この場合は、温度Tが第一の閾値温度Th1と第二の閾値温度Th2との間にある状態では、温度Tが下降する場合と上昇する場合とで、感温インクの発色状態が異なる。
【0025】
なお、感温インクとしては、種々のものが開発されており、閾値温度Th、Th1、Th2や、各状態での色は、適宜に変更することが可能である。
【0026】
また、サーマルプリンタでは、画像形成時(熱転写時)に温度Tが上昇する。したがって、サーマルプリンタでは、媒体M上に、上述した例のような閾値温度Th、Th1、Th2より高い状態で媒体Mと同色に変化する感温インクの像が形成された場合、媒体M上に、その感温インクの像が形成されたのか否かが判別できなかったり、判別しにくかったりする場合がある。また、感温インクの種類によっては、媒体M上に形成された感温インクの像が、常温では視認しにくい場合もある。
【0027】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、媒体M上に形成された感温インクの像の発色状態を変更する発色変更機構として、冷却装置10Aを備えている。
【0028】
本実施形態では、一例として、冷却装置10Aによって感温インクの画像を冷却することで、温度Tが下がり、その感温インクの画像が顕在化してより視認しやすくなり、感温インクの画像の媒体M上での形成状況を確認しやすくなる。
【0029】
即ち、冷却装置10Aは、感温インクの画像の発色変更機構や、可視化機構と言うこともできる。
【0030】
なお、本実施形態では、冷却装置10Aとして、ペルティエ効果を利用して冷却を行うことが可能なペルティエ素子(サーモモジュール)を採用している。
【0031】
また、本実施形態の阻止部30は、発色変更部としての冷却装置10Aとともに、媒体Mの搬送方向で画像形成部としての複数のインクリボンカートリッジ3の下流側に配置され、冷却装置10Aにより冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aおよびインクリボン3d)および環境温度センサ(8)に到達するのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐためのものである。なお、この阻止部30は、例えば、本体部(ハウジング)1aの内部に形成された支持部材(不図示)などにより本体部1aに支持される。
【0032】
図3〜図5は、阻止部30の構成を説明するための図であり、図3が、阻止部30の組立状態を示す斜視図であり、図4が、阻止部30の分解状態を示す斜視図であり、図5が、図3に示す阻止部30の側面を示す側面図である。
【0033】
図3〜図5に示すように、この阻止部30は、冷却装置10Aにより冷却された空気を吹き送る(送風する)送風部(ファンモータ)31と、その送風部31により吹き送られる空気がインクリボンカートリッジ3に到達しないように案内する案内部32とを有している。
【0034】
送風部31は、例えば、吸気面31aと、排気面31bとが対向するファンケース31Aを有しており、そのファンケース31A内には、送風部コントローラ31c(図6参照)と、その送風部コントローラ31cに電気的に接続されるモータ31dと、そのモータ31dにより軸を介して回転駆動されるファン31eなどが設けられている。
【0035】
そして、送風部31は、ファン31eを収容する円筒状のケース部分31fが、案内部32の一面(上面)側に形成された挿通孔32aに挿通され、ファンケース31Aに形成されたビス孔31gおよび案内部32に形成されたビス孔32bに螺合されるビスVにより、案内部32の一面側である天井面部32Cで固定される。
【0036】
また、案内部32は、送風部31により吹き送られる空気を、媒体Mを搬送する搬送方向Xの下流側(特に、搬送路Pの搬送方向Xの下流端で、本体部1aに形成された媒体Mを排出する排出口(不図示))に案内する案内経路を形成する形状を有する部材であり、冷却装置10Aを保持する部材である。なお、この案内部32は、例えば、金属材や樹脂材などで構成される。
【0037】
具体的には、案内部32は、搬送路Pの搬送方向Xの下流端(媒体Mの排出口(不図示))寄りに配置される正面壁部32Aと、その正面壁部32Aに対向して配置される背面壁部32Bと、それら正面壁部32Aおよび背面壁部32Bを連結して搬送路Pの上方で搬送路Pの搬送面に平行な天井面部32Cとから構成され、図5などに示すように、側方断面が、略凹状となるように形成されている。
【0038】
即ち、本実施形態では、阻止部30の背面壁部32Bが、発色変更部としての冷却装置10Aと、画像形成部としての複数のインクリボンカートリッジ3との間に設けられ、阻止部30が、冷却装置10Aで冷却された空気の少なくとも一部が複数のインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げるようになっている。
【0039】
なお、案内部32は、幅方向Zの全長が、搬送路Pの幅の全長と略同じであり、搬送路Pの幅に合せて搬送路Pの一面(上面)側に近接して配置される。
【0040】
即ち、そのような形状を有する案内部32は、送風部31のファン31eから吹き送られた空気(風)を、ファン31eの下方に配置された冷却装置10Aに向って案内し、その案内した風により冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部を、正面壁部32Aと冷却装置10Aの上面とで形成される排出口Oから排出させるためのものである。
【0041】
また、案内部32には、連結部材10A−1およびビス孔10A−2に螺合されるビスVによって冷却装置10Aが固定される。
【0042】
また、特に図示していないが、案内部32の正面壁部32Aの開放端(下端)から、本体部1aに形成される媒体Mの排出口(不図示)まで、搬送路Pの搬送面に略平行な態様で延設させた案内壁部を設けることも可能である。
【0043】
更に、図1、図3〜図5では、特に図示していないが、案内部32の幅方向Z(図3参照)における両側の開放端は、本体部1aの幅方向Zにおける両側壁内部(不図示)で塞いだり、本体部1aの両側壁内部(不図示)に形成される両通気孔(不図示)に連結したりするのが好ましい。これにより、案内部32の幅方向Zの両開放端から漏れた冷気が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げることが可能となる。
【0044】
図6は、本実施形態のプリンタ1のハードウェア構成を示すブロック図であり、特に制御系である制御回路20の詳細を示すブロック図である。
【0045】
図6に示すように、プリンタ1の制御回路20は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)20a、ROM(Read Only Memory)20b、RAM(Random Access Memory)20c、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)20d、通信インタフェース(I/F)20e、搬送モータコントローラ20f、ヘッドコントローラ20g、リボンモータコントローラ20h、入力部コントローラ20j、出力部コントローラ20k、センサコントローラ20m、冷却装置コントローラ20p、送風部コントローラ31cなどを有し、それらが、アドレスバスやデータバスなどのバス20nを介して接続されている。
【0046】
CPU20aは、ROM20bなどに記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、プリンタ1の各部を制御する。ROM20bは、例えば、CPU20aが実行する各種データや各種プログラム(BIOS(Basic Input Output System)や、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラムなど)などを記憶する。RAM20cは、CPU20aが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、NVRAM20dは、例えば、OS(Operating System)や、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラムなどの他、電源がOFFされても保持しておきたい各種のデータを記憶する。
【0047】
また、通信インタフェース(I/F)20eは、電気通信回線などを通じて接続される他の装置とのデータ通信を制御する。
【0048】
搬送モータコントローラ20fは、CPU20aからの指示に基づいてモータ6を制御する。ヘッドコントローラ20gは、CPU20aからの指示に基づいてヘッド3a(図1参照)などを制御する。リボンモータコントローラ20hは、CPU20aからの指示に基づいてインクリボンカートリッジ3に内蔵されるリボンモータ3bを制御する。
【0049】
また、入力部コントローラ20jは、ユーザなどの手動操作や音声などの入力部(例えば、押しボタンや、タッチパネル、キーボード、マイク、つまみ、ディップスイッチなど)12で入力された信号を、CPU20aに送る。出力部コントローラ20kは、CPU20aからの指示に基づいて画像や音声などの出力部(例えば、ディスプレイや、発光部、スピーカ、ブザーなど)13を制御する。
【0050】
また、センサコントローラ20mは、環境温度センサなどの各種センサを含むセンサ8の検出結果を示す信号を、CPU20aに送る。なお、本実施形態のプリンタ1では、環境温度センサ(8)は、複数のインクリボンカートリッジ3の近辺の位置であり、阻止部30および冷却装置10Aより搬送方向Xの上流側の位置に設けられている。
【0051】
冷却装置コントローラ20pは、CPU20aからの指示に基づいて冷却装置(ペルティエ素子)10Aに供給する電力を制御することにより、冷却装置(ペルティエ素子)10Aの冷却駆動を制御する。
【0052】
送風部コントローラ31cは、CPU20aからの指示に基づいてモータ31dの駆動を制御することにより、送風部31のファン31eの回転駆動を制御する。
【0053】
なお、本実施形態のプリンタ1は、商用電源などから必要な電力を各負荷部(制御回路20、冷却装置10A、送風部31のモータ31dなど)に供給するための電力供給部40を有している。
【0054】
図7は、CPU20aがROM20bに記憶されているプログラムを、RAM20c上に展開して実行することにより実現されるプリンタ1の機能的構成(ソフトウェア構成)を説明するためのブロック図である。
【0055】
図7に示すように、制御部としてのCPU20aは、プログラムにしたがって、プリント制御部21aや、発色変更設定部21b、カウント部21c、判断部21d、発色変更制御部21eや、送風制御部21fなどとして動作する。プログラムには、少なくとも、プリント制御部21a、発色変更設定部21b、カウント部21c、判断部21d、発色変更制御部21eおよび送風制御部21fに対応するモジュールが含まれる。
【0056】
プリント制御部21aは、搬送モータコントローラ20fや、ヘッドコントローラ20g、リボンモータコントローラ20hなどを介して、モータ6や、ヘッド3a、リボンモータ3bなどを制御する。プリント制御部21aの動作によって、媒体M上に、文字や画像などの像が形成される。
【0057】
発色変更設定部21bは、媒体M上の感温インクの像の発色変更(本実施形態では冷却装置10Aによる冷却)に関する各種設定を行う。具体的には、入力部12で入力された、複数の媒体Mに対して発色変更(冷却)を実行するピッチ(頻度)や、冷却装置10Aの動作状態(冷却タイミング、冷却期間など)を設定するパラメータなどを、NVRAM20dなどの記憶部に保持したりすることができる。
【0058】
カウント部21cは、センサ8で検出された媒体Mの数(または像形成領域の数)をカウントする。
【0059】
判断部21dは、カウント部21cでカウントされたカウント値と、記憶部に記憶されたピッチ(頻度)とを比較して、発色変更(本実施形態では冷却)を実行するか否かを判断する。
【0060】
発色変更制御部21eは、判断部21dで発色変更を実行すると決定された媒体M(上に形成された感温インクの像)に対して発色変更(冷却)を実行するために、冷却装置10Aの駆動を制御する。なお、本実施形態では、ピッチ(頻度)の設定に応じて、全ての媒体M上に形成された感温インクの画像に対して発色変更を実行することができるし、いくつかの媒体Mに形成された感温インクの画像に対して発色変更を実行することもできる。
【0061】
送風制御部21fは、発色変更制御部21eが発色変更(冷却)を実行する場合に、冷却装置10Aの駆動により冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が冷却装置10Aの周辺で留まったり、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げるために、送風部31のモータ31dの駆動を制御する。
【0062】
なお、本実施形態では、発色変更制御部21eおよび送風制御部21fは、CPU20aの制御のもと、画像を形成する間隔に応じて、それぞれ冷却装置10Aおよび送風部31の動作を、間欠動作または連続動作のいずれかに切り替え制御する。
【0063】
また、送風制御部21fは、CPU20aの制御のもと、発色変更部としての冷却装置10Aが動作を停止してから一定時間が経過した場合に、送風部31の動作(モータ31dの回転駆動)を停止させる。
【0064】
即ち、冷却装置10Aでは、動作を停止した場合でも、停止後の一定時間の間だけ冷却した状態を保っているため、冷却装置10Aの動作停止後の一定時間の間だけ送風部31を動作し続けることにより、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が冷却装置10Aの周辺で留まったり、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げることができる。
【0065】
以上説明した構成のプリンタ1によって、例えば、図8に示すような媒体Mを得ることができる。
【0066】
図8の(a)は、冷却装置10Aによる冷却が実行されることなくプリンタ1から出力された媒体Mとしての商品ラベルを示し、図8(b)は、冷却装置10Aによる冷却が実行されてプリンタ1から出力された媒体Mとしての商品ラベルを示す図である。
【0067】
図8(b)に示すように、冷却装置10Aによって冷却を実行することで、感温インクの像Im1、Im2が顕在化するため、プリンタ1の使用者や作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が媒体M上に形成されたことを、視認しやすくなる。
【0068】
なお、図8の例では、媒体M上に、閾値温度Thが異なる2種類の感温インクの像Im1、Im2を形成した場合が例示されている。さらに、媒体M上には、温度によって発色状態が変化しない通常のインクによって形成された像Im3(例えばバーコードなど)も形成されている。
【0069】
図8に例示される媒体Mは、一例としては、商品の冷蔵あるいは冷凍における温度管理に利用することができる。
【0070】
即ち、プリンタ1によって図2の(a)に示した感温特性を有した感温インクの像Im1、Im2を形成した媒体Mが、商品のラベルとして用いられる。プリンタ1では、閾値温度Thが商品の冷蔵あるいは冷凍でそれ以上の温度上昇が許容されない管理温度(例えば5℃)である感温インクを、用いる。こうすることで、商品の温度が閾値温度Thを超えた場合には、媒体Mは図8の(a)の状態となって、感温インクの像Im1、Im2は、見えにくく、あるいは見えなくなる(図2の(b)のS2)。
【0071】
一方、商品の温度が管理温度としての閾値温度Th以下である場合、媒体Mは図8の(b)の状態(図2の(a)のS1)となる。即ち、作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が見えやすい(見える)かあるいは見えにくい(見えない)かによって、商品の温度が管理温度より高いか低いかを判断することができる。
【0072】
更に、図8の例では、媒体M上に、閾値温度Thの異なる二種類の感温インクの像Im1、Im2が形成されることで、二種類の管理温度(第一管理温度、第二管理温度)に対する商品の管理結果が表示される。更に、この例では、冷却装置10Aによって媒体Mを冷却することで、媒体Mでの感温インクの像Im1、Im2の形成状態を視認することができる。
【0073】
また、別の一例では、プリンタ1によって、図8の媒体Mとしての商品ラベル上に、図2の(b)に示したような降温時と昇温時とでヒステリシスとなる感温特性を有する感温インクの像Im1、Im2を形成することができる。
【0074】
その場合、プリンタ1は、媒体M上に、商品の冷蔵あるいは冷凍でそれ以上の温度上昇が許容されない管理温度(例えば−5℃)が閾値温度Th2であり、かつ、所定の冷蔵あるいは冷凍では実現されない温度(例えば−30℃)が閾値温度Th1である感温インクによって、像Im1、Im2を形成する。
【0075】
そして、プリンタ1では、冷却装置10Aが像Im1、Im2を閾値温度Th1以下(例えば−40℃)となるまで冷却することで、媒体M上に、プリンタ1によって形成された像Im1、Im2が顕在化される。
【0076】
なお、この例の場合は、全ての媒体Mについて、冷却装置10Aによる冷却が実行され、一旦、閾値温度Th1以下に下げられる。こうすることで、商品の温度が、一度でも管理温度としての閾値温度Th2を超えた場合には、媒体Mは図8の(a)の状態となって、感温インクの像Im1、Im2が見えにくく、あるいは見えなくなり(図2の(b)のS2)、その状態(S2)が維持される。
【0077】
一方、商品の温度が管理温度としての閾値温度Th2以下に維持された場合、媒体Mは図8の(b)の状態(図2の(b)のS1)で維持される。即ち、作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が見えやすい(見えない)かあるいは見えにくい(見える)かによって、商品の温度が管理温度を超えたことがあったか否かを判断することができる。
【0078】
なお、この場合も、媒体M上に、閾値温度Th2の異なる二種類の感温インクの像Im1、Im2が形成されることで、二種類の管理温度(第一管理温度、第二管理温度)に対する商品の管理結果が表示される。
【0079】
即ち、以上説明した本実施形態によれば、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aおよびインクリボン3d)および環境温度センサ(8)に流れる(到達する)のを妨げるので、環境温度センサ(8)の検出する環境温度に著しい変化が発生するのを抑制または防止することができるので、ヘッド3aの発熱制御を精度良く行うことができるとともに、感温インクが不必要に固まってしまうのを抑制または防止することができる。また、それにより、画像形成(プリント)の品質が低下するのを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、阻止部30(送風部31および案内部32)により、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が一定箇所(例えば、冷却装置10Aの近辺など)で留まるのを防ぐことができるので、本体部1aに結露が発生するのを防止することができ、それにより、搬送路Pや媒体Mが濡れるのを防止することができるとともに、本体部1aを触れる操作者の指や手が濡れるのを防止することができる。
【0081】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0082】
例えば、前記した実施形態では、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3と、発色変更部としての冷却装置10Aと、阻止部30(送風部31および案内部32)とを本体部1aに収容した一体型のプリンタ1の場合について説明したが、これに限定されず、各構成要素(特に、画像形成部と発色変更部)を別体とするプリントシステムとすることも可能である。
【0083】
具体的には、図9に示すように、CPU20aや、媒体Mに、温度によって変色する感温インクの画像を形成することが可能な画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3や、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構(減速機構)7などで構成される搬送部などを有するプリンタ1Bと、CPU20aからの制御信号を受け取る制御部15aと、その制御部15aの制御下でプリンタ1Bの画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部(冷却装置10A)と、その発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部に流れるのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐための阻止部30などを有する発色変更装置15とを備えるプリントシステム100とすることも可能である。
【0084】
なお、前記したプリントシステム100においては、プリンタ1Bと発色変更装置15とが近接して配置される場合に、阻止部30による、発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が画像形成部に流れるのを妨げることができるという効果が大きいものである。
【0085】
また、前記した実施形態では、図3に示すように、案内部32が、幅方向Zにおける両側方の壁が無く、本体部1aと係合する形態について説明したが、これ以外にも、例えば、図10に示すように、両側方に側壁部32D、32Eを設けた案内部32とすることも可能である。このような構成によれば、図3に示した案内部32に比べ、より精度良く、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3側に流れるのを妨げることができる。
【0086】
また、前記した実施形態では、図1に示すように、阻止部30を冷却装置10Aの一面(上面)側(即ち、搬送路Pの一面(上面)側)に設ける形態について説明したが、これ以外にも、例えば、図11に示すように、冷却装置10Aの他の一面(下面)側(即ち、搬送路Pの一面(下面)にも設けるようにしても良い。
【0087】
そのような構成によれば、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側に発生する冷気の少なくとも一部が、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aやインクリボン3d)に流れるのを妨げることができるとともに、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側で留まるのを防ぐことができる。
【0088】
その他、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側には、送風部31は設けず、当該下方側で発生した冷気の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げる案内部32のみを設けるようにしても良い。なお、その場合には、案内部32の形状は略凹状に限定されず、搬送路Pの搬送面に直交する平らな板状などの、その他の形状とすることも可能である。
【0089】
また、前記した実施形態では、媒体Mに形成された画像の発色状態を変更する発色変更部として、媒体Mに形成された画像を冷却する冷却装置(冷却装置10A)を備える形態のプリンタ1の場合について説明したが、これに限定されず、発色変更部として媒体Mに形成された画像を加熱する加熱装置を備える形態のプリンタ1とすることも可能である。
【0090】
即ち、前記したような加熱装置を有するプリンタ1における阻止部30によれば、加熱装置で加熱された空気(熱気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aやインクリボン3d)に流れるのを妨げてインクリボン3dが不必要に溶融するのを妨げるので、画像形成の品質が低下するのを抑制または防止することができる。また、そのような構成によれば、一定箇所(例えば、加熱装置の近辺など)で熱気が留まるのを防ぐことができるので、留まる熱気による各種障害(画像形成の品質の低下や、各種制御部の誤動作の発生など)を防止することができる。
【0091】
また、前記した実施形態では、媒体Mに形成された画像を冷却するための冷却装置として、ペルティエ素子の場合について説明したが、これに限定されず、他の冷却装置とすることも可能である。
【0092】
また、前記した実施形態では、発色変更部として1つの冷却装置10Aのみを備える形態について説明したが、これ以外にも、複数の冷却装置を備える形態とすることも可能である。
【0093】
また、前記した実施形態では、冷却装置10Aを案内部32の背面壁部32Bの下端側で正面側に迫り出した部分に固定する形態について説明したが、これに限定されず、その他の取付位置に固定することも可能である。例えば、背面壁部32Bの前記迫り出した部分の上面に冷却装置10Aを固定したり、背面壁部32Bの内側の側面に冷却装置10Aを固定したりする、即ち、案内部32の内部に固定することが可能である。
【0094】
また、前記したプリンタ1で実行される処理プログラムは、ROM20bなどの記憶部に予め組み込むように提供する以外にも、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供したり、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0095】
その他、前記した実施形態におけるプリンタ1のハードウェア構成や、ソフトウェア構成や、送風部31のハードウェア構成および外観構成や、案内部32の形状や、冷却装置10Aのハードウェア構成および外観構成などは、単なる一例として記載したものであり、本実施形態は、これらにより限定されない。
【0096】
次に、第2の実施形態について説明する。なお、前記した第1の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0097】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態に示したプリンタ1と異なる形態のプリンタ1A(図12参照)であり、阻止部30に静電気を除去する除電部50を設けた点が異なっている。なお、除電部50以外の構成(ハードウェア構成やソフトウェア構成など)は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
図12は、第1の実施形態の図1に除電部50を追加した場合の、本実施形態に係るプリンタ1Aの概略構成を示す側面図である。図13〜図15は、阻止部30および除電部50の構成を説明するための図であり、図13が、阻止部30および徐電部50の組立状態を示す斜視図であり、図14が、阻止部30および徐電部50の分解状態を示す斜視図であり、図15が、図13に示す阻止部30および徐電部50の側面を示す側面図である。
【0099】
図13〜図15に示すように、阻止部30は、第1の実施形態で示した阻止部30と同様に、冷却装置10Aにより冷却された空気を吹き送る送風部(ファンモータ)31と、その送風部31により吹き送られる空気がインクリボンカートリッジ3に到達しないように案内する案内部32とを有している。なお、阻止部30の構成は、第1の実施形態の阻止部30と略同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0100】
案内部32には、連結部材53およびビス孔53aに螺合されるビスVによって徐電部50が固定される。
【0101】
この徐電部50は、送風部31により吹き送られる空気が案内部32の内部で案内されて摩擦により発生する静電気、および、そのような静電気が媒体Mに帯有した静電気を、気中放電することにより除去する徐電ブラシ(静電気除去ブラシ)である。
【0102】
より具体的には、本実施形態の徐電部50は、静電気をコロナ放電させることが可能な導電性繊維で構成される複数の細線51aと、それら複数の細線51aを支持する長方体状の支持体52とを有している。なお、支持体52は、案内部32の幅方向Zの全長と略同じ全長を有している。
【0103】
そして、本実施形態の徐電部50では、所定数(例えば、10本など)の細線51aを集束した収束線51が、所定のピッチP0で支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設されている。
【0104】
また、徐電部50は、排出口Oに配置され、冷却された空気の一部を案内部32の内部で還流させて一時的に留めるとともに、冷却された空気の一部(案内部32の内部で還流する空気も含む)を排出口Oから案内部32の外部に排出させるものである。即ち、この徐電部50は、送風部31の風により冷却装置10Aの周囲の冷却された空気が不必要に除去され、冷却装置10Aの冷却効果が低減されてしまう不都合を解消する機能を有するものである。
【0105】
そして、徐電部50は、プリンタ1Aの本体部1aに取り付けられて運用可能状態となった場合に、複数の集束線51(複数の細線51a)が搬送路P(特に、搬送路P上で搬送される媒体M)に接触するようになっている。
【0106】
即ち、本実施形態の徐電部50は、阻止部30で発生した静電気を除去するとともに、搬送路P上を搬送される媒体M(特に、画像が形成された媒体M)に帯有する静電気を除去するものである。
【0107】
即ち、本実施形態によれば、徐電部50により、阻止部30の作用により発生する静電気を除去することができるので、媒体Mや、冷却装置コントローラ20pや送風部コントローラ31cなどの各種電子部品が静電気を帯有するのを抑制または防止することができ、それにより、各種電子部品が誤動作したり、破壊されたりするのを防止することができるとともに、画像が形成された媒体Mに塵や埃が付着するのを防止することができる。
【0108】
更に、本実施形態によれば、徐電部50の複数の細線51aにより、送風部31の風で冷却装置10Aの周囲の冷却された空気が不必要に除去されるのを抑制することができ、それにより、冷却装置10Aの冷却効果が低減するのを防止することも可能である。
【0109】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0110】
例えば、第1の実施形態でも言及したように、各構成要素(特に、画像形成部と発色変更部)を別体とするプリントシステムとすることも可能である。
【0111】
具体的には、図16に示すように、CPU20aや、媒体Mに、温度によって変色する感温インクの画像を形成することが可能な画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3や、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構(減速機構)7などで構成される搬送部などを有するプリンタ1Bと、CPU20aからの制御信号を受け取る制御部15aと、その制御部15aの制御下でプリンタ1Bの画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部(冷却装置10A)と、その発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部に流れるのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐための阻止部30と、阻止部30の作用により発生する静電気を除去する徐電部50などを有する発色変更装置15とを備えるプリントシステム100Aとすることも可能である。
【0112】
また、前記した実施形態では、所定数(例えば、10本など)の細線51aを集束した収束線51が、所定のピッチPで支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設される徐電部50の場合について説明したが、これ以外にも、例えば、1本の細線51aが、所定のピッチP0で支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設される徐電部50とすることも可能である。
【0113】
また、前記した実施形態では、所定数の細線51aを集束した収束線51を所定のピッチP0で支持体52に固着した徐電部50の場合について説明したが、これに限定されず、収束線51のピッチは他のピッチであっても良いものとする。例えば、図17に示すように、徐電部50の幅方向Zにおける複数の幅領域別に、異なるピッチの収束線51を支持体52に固着するようにしても良い。なお、図17は、図3の組立状態における阻止部30、冷却装置10Aおよび徐電部50を正面側から見た場合の正面図である。
【0114】
より具体的には、例えば、阻止部30の送風部31の取り付け位置に対応する幅領域T1では、送風部31のファン31eにより送風される空気の流れが強いため、送風部31のファン31eにより冷却装置10Aで冷却された空気が不必要に除去されるのを抑制する目的で、収束線51のピッチを、小さいピッチである第1のピッチP1とし、一方、送風部31の取り付け位置に対応しない幅領域T2、T3では、空気の流れが弱いので、収束線51のピッチを、大きいピッチである第2のピッチP2とする。即ち、第1のピッチP1は、第2のピッチP2より小さいものである。
【0115】
また、前記した実施形態では、気中放電可能な自己放電式の徐電ブラシの場合について説明したが、これに限定されず、その他の形式の徐電ブラシを利用することも可能である。例えば、細線51aに帯有させた静電気を導電体の支持体52からプリンタ1の本体部1aのアース線を経てプリンタ1の外部に放出して徐電する形式の徐電ブラシとすることも可能である。
【0116】
また、前記した実施形態では、静電気を除去するための徐電部として、徐電ブラシ(静電気除去ブラシ)の場合について説明したが、これに限定されず、他の徐電部材を採用することも可能である。例えば、極細繊維に導電ポリマーを反応形成し、極細繊維の先端が避雷針の役割を果たして静電気を気中放電する徐電シートなどを利用することも可能である。
【0117】
次に、第3の実施形態について説明する。なお、前記した第3の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0118】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態に示したプリンタ1と異なる形態のプリンタ1C(図18参照)であり、視認可能部15を設けた点が大きく異なっている。なお、第3の実施形態では、複数(本実施形態では4つ)のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)を着脱可能に装着する部分を印字ブロック300と呼ぶ。また、第3の実施形態では、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構7等により、台紙(媒体M)を搬送する部分を搬送部50Aと呼ぶ。
【0119】
また、第3の実施形態では、冷却装置10Aが冷却機構10に変更されており、この冷却機構10は、搬送路Pに沿ってその下方に配置されている。
【0120】
そして、本実施形態では、冷却機構10は、一例として、ガス(気体)を噴出させ、例えば、その際の断熱膨張や潜熱等によって、媒体Mひいては感温インクの像の温度を低下させる。具体的に、冷却機構10は、ガスシリンダのガスカートリッジ11の装着部10aや、噴出部10b、チューブ10c、バルブ10d、冷却フィン10e等を有している。
【0121】
装着部10aには、ガスカートリッジ11が着脱可能に装着される。装着部10aは、ガスカートリッジ11のコネクタ11aを受容するコネクタとして機能する。また、装着部10aは、ガスカートリッジ11を取り外す際に用いる可動レバー(図示せず)や、装着位置でガスカートリッジ11を固定するロック機構(図示せず)等を、有することができる。
【0122】
ガスカートリッジ11は、例えば、液化されたガスが封入されたガスシリンダ(ガスボンベ)として構成することができる。ガス(冷媒)としては、例えば、テトラフルオロエタン等を用いることができる。
【0123】
噴出部10bは、図18、図19に示すように、台紙2の裏面に沿って当該台紙2の幅方向に沿って延びた姿勢で設けられている。噴出部10bは、内部にガスの通路が形成されたガスの管として設けられており、図21に示すように、その上壁10fには、一定の間隔(ピッチ)で複数のノズル孔10gが並べて設けられている。ノズル孔10gからは、台紙2の裏面に向けてガスが噴出される。なお、ノズル孔10gは、複数列設けることができる。
【0124】
また、噴出部10bは、台紙2の幅方向に沿った回動軸Ax回りに回動可能にブラケット10hに支持されており、図20の(a)や(b)に示すように、ガスGの噴出角度(噴出方向)を変化させることができる。具体的には、図19に示すように、噴出部10bが所定の噴出角度に配置された状態で、ブラケット10hの貫通孔(図示せず)に挿通された噴出部10bの雄ねじ部10iにナット10jを締め付けることで、噴出部10bを任意の角度で固定することができる。噴出角度を可変設定することで、ガスGによる台紙2の冷却度合いを可変設定することができる。例えば、図20の(a)の場合は、(b)の場合に比べてより強く冷却されるため、媒体M上の感温インクの像は、より低温の状態となる。このように、本実施形態では、噴出部10bは、噴出状態可変機構を有している。
【0125】
チューブ10cは、噴出部10bの角度が変わっても装着部10aと噴出部10bとの間のガスの管路として機能するため、所要の耐圧性かつ柔軟性を有している。
【0126】
バルブ10dは、ガスカートリッジ11から噴出部10bに至るガスの通路を開閉することで、噴出部10bからのガスの噴出および停止を切り替えることができる。バルブ10dは、一例としては、CPU20a(図24参照)からの電気信号によって開くソレノイドバルブとして構成することができ、装着部10aに取り付けることができる。なお、バルブ10dの開閉(開期間の長さ、開閉の反復回数、反復周期等)を制御することで、ガスの噴出状態を可変設定することができる。
【0127】
冷却フィン10eは、ガスカートリッジ11の外周面11bに密接あるいは近接したベース部10kと、媒体搬送方向に沿った姿勢でベース部10kから台紙2の裏面に近接する位置に向けて突出した複数の板状部10mと、を有している。ガスの噴出によってガスカートリッジ11の温度が低下する場合、冷却フィン10eを設けることで、媒体Mの冷却性能をより高めることができる。なお、冷却機構10は、本体部1aに着脱可能に装着することができる。
【0128】
なお、排紙口40Aの上方に位置するプリンタ1Cの本体部1aの前面パネル15Aは、透明な樹脂材などで形成されている。このようにプリンタ1の本体部1aの前面パネル15Aを透明な樹脂材などで形成するようにしたのは、装置外部から冷却機構10の近傍における媒体M上の表面状態を確認することができるようにするためである。すなわち、プリンタ1の本体部1aの前面パネル15Aは、冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像を、外部から視認可能にする視認可能部として機能する。
【0129】
加えて、冷却機構10と印字ブロック300との間に位置するように、冷却機構10により冷却された空気の少なくとも一部が印字ブロック300に流入するのを阻止するとともに、冷却機構10により冷却された空気が一定箇所に留まるのを阻止する阻止部70を備えている。阻止部70は、冷却機構10により冷却された空気を吹き送る送風部71と、その送風部71により吹き送られる空気が印字ブロック300に到達しないように案内する案内部72とを有している。
【0130】
図22は、阻止部70を概略的に示す斜視図である。図22に示すように、阻止部70の案内部72は、送風部71により吹き送られる空気を、媒体Mを媒体搬送方向下流側に案内する搬送路Pの一部を形成する形状を有する部材である。なお、この案内部72は、例えば、透明な樹脂材などで形成される。これにより、阻止部70は、冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像について視認可能部として機能する前面パネル15Aからの視認可能状態を維持する。案内部72は、搬送路Pの媒体搬送方向下流端寄りに配置される正面壁部72Aと、その正面壁部72Aに対向して配置される背面壁部72Bと、それら正面壁部72Aおよび背面壁部72Bを連結して搬送路Pの上方で搬送路Pの搬送面に平行な天井面部72Cとから構成されている。また、図22に示すように、第3の実施形態の阻止部70では、第1の実施形態の阻止部30と異なり、案内部72に冷却装置10Aが固定されていない。
【0131】
図23は、阻止部70の側面を示す側面図である。図23に示すように、阻止部70の案内部72は、側方断面が、略凹状となるように形成されている。なお、案内部72は、幅方向Zの全長が、搬送路Pの幅の全長と略同じであり、搬送路Pの幅に合せて搬送路Pの一面(上面)側に近接して配置される。
【0132】
このような形状を有する案内部72は、送風部71から吹き送られた空気(風)を、送風部71の下方に配置された冷却機構10に向って案内し、その案内した風により冷却機構10で冷却された空気(冷気)Yを、正面壁部72Aの下方に形成される排出口Oから排出させる。
【0133】
また、阻止部70には、搬送ローラ4が設けられている。搬送ローラ4は、搬送路Pに沿ってその上方に配置されており、冷却機構10は搬送ローラ4に搬送路Pを介して接離自在に当接している。このような構造により、搬送ローラ4が回転駆動されることで台紙2(媒体M)に搬送力を与え、台紙2(媒体M)を排紙口40Aに向けて搬送する。
【0134】
加えて、プリンタ1Bに設けられた排紙口40Aの近傍であって冷却機構10の媒体搬送方向下流側には、搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を切断する後処理装置であるカッタ機構60が設けられている。
【0135】
加えて、図18に示すように、プリンタ1Bは、排紙口40A近傍の本体部1aに、結露除去部材16を備えている。この結露除去部材16は、例えばスポンジ材やゴムベラなどで構成されている。このような結露除去部材16を排紙口40A近傍の本体部1aに備えることにより、排紙口40Aから排紙される際に、媒体Mを発色する際に台紙2に生じる少量の結露による水分を取り除くことができるので、印刷および切断されたラベルの取り扱い(ラベルが付きにくくなる等)が容易になる。
【0136】
図24は、第3の実施形態のプリンタ1Bのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0137】
図24に示すように、第1の実施形態と異なる点は、制御回路20が、新たにバルブコントローラ20iと、カッタモータコントローラ20qとを有し、冷却装置コントローラ20pを省略した点である。
【0138】
ここで、バルブコントローラ20iは、CPU20aからの指示に基づいて冷却機構10のバルブ10d(のソレノイド)を制御する。
【0139】
また、カッタモータコントローラ20qは、CPU20aからの指示に基づいてカッタ機構60の駆動源であるカッタモータ61を駆動制御する。
【0140】
なお、第3の実施形態のプリンタ1Bのソフトウェア構成は、第1の実施形態のプリンタ1のソフトウェア構成(図7)と略同様である。
【0141】
ただし、第3の実施形態では、プリント制御部21aは、カッタモータコントローラ20qを介して、カッターモータ61も制御する。
【0142】
また、発色変更設定部21bは、媒体M上の感温インクの像の発色変更(本実施形態では冷却機構10による冷却)に関する各種設定を行う。具体的には、入力部12で入力された、複数の媒体Mに対して発色変更(冷却)を実行するピッチ(頻度)や、バルブ10dの開閉状態(開閉タイミング、開閉期間、開閉回数、開閉周期等)を設定するパラメータ等を、NVRAM20d等の記憶部に保持したりすることができる。
【0143】
カウント部21cおよび判断部21dは、第1の実施形態で説明したのと同様の処理を行うので、説明を省略する。
【0144】
発色変更制御部21eは、判断部21dで発色変更を実行すると決定された媒体M(上に形成された感温インクの像)に対して発色変更(本実施形態では冷却)を実行するために、各部(本実施形態では冷却機構10の各部)を制御する。第3の実施形態では、発色変更制御部21eは、バルブ10dの開閉状態を制御することでガスの噴出状態を制御して、媒体Mの発色変更を実行する。なお、発色変更制御部21eは、噴出状態可変機構にも相当する。このように、本実施形態では、ピッチ(頻度)の設定に応じて、全ての媒体M上に形成された感温インクの像に対して発色変更を実行することができるし、あるいは、いくつかの媒体Mに形成された感温インクの像に対して発色変更を実行することもできる。
【0145】
以上のような構成のプリンタ1Bによって、例えば、第1の実施形態で説明した図8に示すような媒体Mを得ることができる。
【0146】
なお、本実施形態にかかるプリンタ1Bでは、図25に示すように、ヘッド3aに対するリボンローラ3cの位置が異なるインクリボンカートリッジ3を用いることができる。図25の(a)の構成では、インクと媒体Mとの接触時間が長くなり、(b)の構成では、インクリボン3dと媒体Mとの接触時間が短くなる。どちらの構成とするかは、感温インクや通常インクの特性に応じて選択することができる。本実施形態では、インクリボンカートリッジ3がインクリボン保持部に相当する。また、リボンモータ3bやリボンローラ3c等によって、リボン搬送部が構築されている。
【0147】
以上、説明したように、第3の実施形態にかかるプリンタ1Bは、像形成部としてのインクリボンカートリッジ3のヘッド3aが、媒体M上に感温インクの像を形成し、発色変更部としての冷却機構10が、像の発色を変更する。よって、本実施形態によれば、プリンタ1Bから出力された媒体M上に形成された感温インクの像について、所期の発色状態を得ることができる。また、媒体M上に所望の感温インクの像が形成されたか否かを確認しやすくなる。
【0148】
また、本実施形態では、発色変更部としての冷却機構10は、ガス(気体)を噴出して温度を低下させる。よって、冷却機構10を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0149】
また、本実施形態では、プリンタ1Bは、ガスの噴出状態を変化させる噴出状態可変機構として、噴出部10bの姿勢(例えばノズル孔10gからのガスGの噴射方向)を変化させる機構や、ガスの噴出タイミングや噴出期間(例えばバルブ10dの開閉期間等)等を可変設定する機構を備えている。よって、ガスによる冷却状態をより適切に調整することが可能となる。
【0150】
なお、噴出状態可変機構としては、例えば、図26に示すように、有効となるノズル孔10gを変更する可動プレート14を設けることができる。可動プレート14は、噴出部10bの上壁10f上に、当該上壁10fに沿ってスライド可能に支持される。可動プレート14には、所定の位置で全てのノズル孔10gと重なり合うことができる貫通孔14aと、別の位置で一部のノズル孔10gと重なり合うことができる貫通孔14bとが設けられている。可動プレート14の位置をスライドさせることで、全てのノズル孔10gから貫通孔14aを介してガスが噴出される状態と、一部のノズル孔10gから貫通孔14bを介してガスが噴出される状態とを切り替えることができる。これにより、ガスの量を可変設定することで、感温インクの像の冷却度合いを可変設定することができる。
【0151】
また、本実施形態では、プリンタ1Bは、媒体M上に相異なる感温インクの像を形成する複数の像形成部としてのインクリボンカートリッジ3のヘッド3aを備えることができる。よって、媒体M上に、感温特性が異なる複数のインクの像を形成することができ、より多段階での温度管理が可能となる。
【0152】
また、本実施形態では、冷却機構10は、抽出された(選択された、あるいは指定された)感温インクの像を冷却して発色状態を変化させる。このような構成により、全ての感温インクの像を冷却する場合に比べて、エネルギ消費を抑制することができる。
【0153】
また、プリンタ1Bでは、上記感温インクとは逆の特性、すなわち、管理温度を超えたときに顕在化する特性の感温インクを、用いることもできる。その一例として、図27に示すように、商品ラベルとしての媒体Mには、閾値温度を超えたときに、感温インクの像Im4、Im5が、管理温度を超えたことを示す「注意」や「警告」のメッセージが現れる。この例でも、媒体Mには、閾値温度が異なる感温インクの像Im4、Im5が形成されているため、異なる温度での商品の管理が可能となる。また、その場合、図27の例に対応するプリンタでは、発色変更部として、冷却機構10に替えて、加熱機構を設けることができる。また、この例では、感温インクの像Im4、Im5は、所定の温度条件が満たされなかったときに顕在化して、注意あるいは警告等を示す像である。
【0154】
このように本実施形態によれば、発色変更部としての冷却機構10で発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像がカッタ機構60で切断するまでに温度の上昇等の要因によって消えてしまった場合には、カッタ機構60で切断された後の媒体Mでは媒体M上に所望の感温インクの像が形成されたか否かを確認することができないという問題に対し、発色変更部としての冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像を外部から視認可能にする視認可能部を備えるようにしたことにより、発色状態が変更された感温インクの像を確認することができるので、媒体M上に感温インクの像を形成するにあたって、感温インクの変色による不都合が生じにくいプリンタを提供することができる。
【0155】
また、視認可能部と媒体Mとの間に、発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部について印字ブロック300に対する流入を阻止する阻止部を設けた場合であっても、例えば透明な樹脂材などで形成することにより、発色状態が変更された前記媒体M上に形成された前記感温インクの像について前記視認可能部からの視認可能状態を維持することができる。
【0156】
なお、本実施形態のプリンタ1Bでは、阻止部70の案内部72を透明な樹脂材で形成するようにしたが、これに限るものではなく、図28に示すように、案内部72を不透明な金属材や樹脂材などで形成し、冷却機構10の近傍における媒体M上の表面状態を視認できうる少なくとも1以上の開口80を設けるようにしても良い。
【0157】
また、本実施形態のプリンタ1Bでは、後処理装置として搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を切断するカッタ機構60を適用したが、これに限るものではなく、搬送路Pを搬送された台紙2から媒体Mを剥離する剥離機構や搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を巻き取る巻取り機構、スタッカ機構等の各種の後処理装置を適用することができる。
【0158】
また、本実施形態のプリンタ1Bでは、本体部1aの内部に、搬送路Pに沿わせてその媒体搬送方向上流側から媒体搬送方向下流側に向けて、印字ブロック300、冷却機構10及びカッタ機構60を順に配列させるようにしたが、これに限るものではなく、本体部1aの内部に、印字ブロック300及び冷却機構10を順に配列させるようにし、後処理装置であるカッタ機構60については、別体で設けるようにしても良い。
【0159】
次に、第3の実施の形態の変形例について説明する。なお、前記した第3の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0160】
図29は、第3の実施形態にかかるプリンタの変形例であるプリンタ1Cの概略構成を示す側面図である。図29に示すように、本実施形態にかかるプリンタ1Cは、第3の実施形態のプリンタ1Bの冷却機構10に代えて、発色変更部として冷却素子90を搬送路Pに沿ってその下方に配置している。この冷却素子90は、第1、第2の実施形態に示した冷却装置10Aと同様に、例えば、ペルティエ素子で構成される。このようなペルティエ素子は、阻止部70の送風部71により吹き送られる空気によって冷却される。
【0161】
このような冷却素子90は、図30に示すように、CPU20aからの指示に基づいて冷却素子コントローラ20sによって制御される。
【0162】
このように本実施形態によれば、第3の実施形態のプリンタ1Bの冷却機構10に代えて冷却素子90を備えるようにしたことにより、冷却素子90は、第1の実施形態のプリンタ1の冷却機構10と比較して、冷却装置の体積が小さくプリンタ装置の小型化が容易であり、冷却に際して湿度の変化が少なくなるとともに、騒音・振動の発生を抑えることができる。
【0163】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、プリンタは、相異なる感温インクの像を形成する像形成部を三つ以上備えることもできる。また、プリンタは、発色変更部として、冷却機構と加熱機構との双方を備えることができる。その場合、例えば、冷却機構および加熱機構のうち一方を感温インクの像に作用させて一旦見えやすい状態(見える状態)にして、その後、他方を感温インクの像に作用させて見えにくい状態(見えない状態)にする(すなわち、元の状態に戻す)ことができる。こうすれば、見えやすい状態(見える状態)で、作業者等が感温インクの像を確認することができる。また、冷却機構の数、加熱機構の数は、種々に変更することができる。
【0164】
また、プリンタは、冷却機構や加熱機構として、冷却あるいは加熱されたガスの噴出部を有し、その噴出部にコネクタや配管等を介して外部から冷却されたガスあるいは加熱されたガスを送り込むことができる。このような構成では、ガスカートリッジ等を省略できる分、プリンタをより小型化することができる。
【0165】
また、プリンタは、インクを用いる他の形式のプリンタ(例えばインクジェットプリンタ等)として構成することができる。インクジェットプリンタの場合、インクヘッドが像形成部に相当する。
【0166】
また、第3の実施形態に示したカッタ機構(後処理装置)60および結露除去部材16を第1および第2の実施形態に設けるようにしても良い。
【0167】
また、各構成要素{プリントシステム、プリンタ、媒体、インクリボンカートリッジ、像形成部、発色変更部(冷却機構、加熱機構、噴出状態可変機構、発色変更装置、像、感温インク等)のスペック(方式や、構造、形状、大きさ、配置、位置、個数、成分、感温特性等)}は、適宜に変更して実施することができる。
【0168】
上記実施形態および変形例によれば、媒体上に感温インクの像を形成するにあたって、感温インクの変色による不都合が生じにくいプリンタを得ることができる。
【符号の説明】
【0169】
1、1A、1B、1C プリンタ
3A〜3D インクリボンカートリッジ(画像形成部)
3a ヘッド(画像形成部)
300 印字ブロック(画像形成部)
10A 冷却装置(発色変更部)
10 冷却機構(発色変更部)
20 制御回路(制御部)
M 媒体
P 搬送路
15A 視認可能部
16 結露除去部材
100、100A プリントシステム
30 阻止部
31 送風部
32 案内部
O 排出口
50 除電部(除電ブラシ)
51 収束線(導電性繊維)
52 支持体
50A 搬送部
60 カッタ機構(後処理装置)
80 開口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特開平7−256965号公報
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタおよびプリントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サーマルヘッドの発熱によりインクリボンのインクを溶融して媒体に熱転写させることで画像を形成するサーマルプリンタが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この種のプリンタでは、サーマルヘッドやインクリボンの環境温度が著しく変化すると、画像形成の品質が低下するなどの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態のプリンタは、画像形成部、発色変更部および阻止部を有する。画像形成部は、媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する。発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する。阻止部は、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図2は、感温インクの感温特性の一例を示す図である。
【図3】図3は、阻止部の組立状態を示す組立斜視図である。
【図4】図4は、阻止部の分解状態を示す分解斜視図である。
【図5】図5は、図3に示す阻止部の側面を示す側面図である。
【図6】図6は、第1の実施形態に係るプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、第1の実施形態に係るプリンタのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、プリンタで得られる媒体としての商品ラベルの一例を示す図である。
【図9】図9は、プリントシステムの概略構成を示す側面図である。
【図10】図10は、図3に示す阻止部の変形例を示す斜視図である。
【図11】図11は、図1に示すプリンタの変形例を示す側面図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図13】図13は、阻止部および除電部の組立状態を示す組立斜視図である。
【図14】図14は、阻止部および徐電部の分解状態を示す分解斜視図である。
【図15】図15は、図13に示す阻止部および徐電部の側面を示す側面図である。
【図16】図16は、プリントシステムの概略構成を示す側面図である。
【図17】図17は、図13の組立状態における阻止部、冷却装置および徐電部を正面側から見た場合の正面図である。
【図18】図18は、第3の実施形態に係るプリンタの概略構成を示す側面図である。
【図19】図19は、図18の冷却機構を示す正面図である。
【図20】図20は、図19の冷却機構に含まれる噴出部の断面図であって、(a)は、媒体に対してガスが直角に噴射される状態を示す図、(b)は、媒体に対してガスが斜めに噴射される状態を示す図である。
【図21】図21は、図19の冷却機構に含まれる噴出部の一部を台紙側から見た平面図である。
【図22】図22は、第3の実施形態に係る阻止部を概略的に示す斜視図である。
【図23】図23は、阻止部の側面を示す側面図である。
【図24】図24は、第3の実施形態に係るプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図25】図25は、プリンタに含まれるインクリボンカートリッジの一部を模式的に示す側面図であって、(a)は、インクリボンと媒体との密着区間が長いものを示す図、(b)は、インクリボンと媒体との密着区間が短いものを示す図である。
【図26】図26は、実施形態の変形例にかかるプリンタに含まれる可動プレートを示す平面図である。
【図27】図27は、変形例にかかるプリンタで得られた媒体としての商品ラベルの一例を示す図である。
【図28】図28は、変形例にかかる阻止部を概略的に示す斜視図である。
【図29】図29は、第3の実施形態に係るプリンタの変形例の構成を示す側面図である。
【図30】図30は、図29に示すプリンタの制御系のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0007】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係るプリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0008】
なお、本実施形態のプリンタ1は、一例として、インクリボンを加熱してインクを紙などの媒体Mに転写するサーマルプリンタとして構成されている。
【0009】
また、本実施形態のプリンタ1で使用される媒体Mは、一例としては、図8に示すラベルとすることができる。そして、その媒体Mは、一例として、帯状の台紙2の表面上に所定の間隔(ピッチ)で貼り付けられている。
【0010】
図1に示すように、プリンタ1の本体部1aには、複数(本実施形態では4つ)のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)を着脱可能に装着することができる。なお、それら複数のインクリボンカートリッジ3は、プリンタ1内に形成された帯状の台紙2の搬送路Pに沿って並べて配置されている。
【0011】
また、それら複数のインクリボンカートリッジ3は、それぞれ、ヘッド(サーマルヘッド)3aおよびインクリボン3dを有し、ヘッド3aによってインクリボン3dのインクを加熱することで、搬送路P上を搬送された媒体Mに、それぞれのインクの画像を形成するものである。
【0012】
即ち、本実施形態のプリンタ1では、インクリボンカートリッジ3のヘッド(サーマルヘッド)3aが画像形成部に相当する。
【0013】
なお、インクリボンカートリッジ3の数は、4つには限定されず、種々に設定することができる。
【0014】
また、本体部1aの、搬送路Pの最上流側となる位置には、台紙2のロール2aが、着脱可能かつ回転可能に装着されている。搬送ローラ4の回動によってロール2aから台紙2が引き出され、搬送路P内で搬送される。搬送路Pは、インクリボンカートリッジ3の他、搬送ローラ4や補助ローラ5などの配置によって定められる。
【0015】
また、プリンタ1は、モータ6によって回転駆動される複数の搬送ローラ4を備えている。なお、モータ6の回転は、回転伝達機構(減速機構)7を介して、各搬送ローラ4に伝達される。また、プリンタ1は、補助ローラ5を有している。この補助ローラ5は、搬送ローラ4とともに台紙2を挟持する位置や、複数の搬送ローラ4や補助ローラ5間で台紙2が架け渡される位置などに、配置される。
【0016】
また、プリンタ1は、媒体Mを検出するセンサ8や、台紙2の張りを検出する張り検出機構9なども備えている。
【0017】
即ち、本実施形態のプリンタ1では、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構7などによって台紙2(媒体M)を搬送する搬送部が構成されている。
【0018】
本実施形態のプリンタ1には、温度によって変色しない非感温インクのインクリボンを有するインクリボンカートリッジ3や、温度によって変色する感温インクのインクリボンを有するインクリボンカートリッジ3や、色違いのインクリボン(非感温インク、感温インク)を有するインクリボンカートリッジ3などを装着することが可能である。
【0019】
なお、インクリボンカートリッジ3は、本体部1aに設けられた複数のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)の装着位置のいずれかに着脱可能に装着することができる。
【0020】
感温インクには、例えば、図2の(a)に示すように、閾値温度Thを境界として発色状態が変化するものがある。
【0021】
一例として、図2の(a)の感温インクは、温度Tが閾値温度Thを超えた場合には白色であり(S2)、温度Tが閾値温度Th以下の場合には有色となる(S1)。媒体Mが白色である場合、感温インクが白色の状態(S2)では、媒体M上に形成されたその感温インクの像は見えにくくあるいは見えなくなる。なお、感温インクにおける温度による発色状態の変化は可逆変化である。
【0022】
また、感温インクには、例えば、図2の(b)に示すように、温度Tが下降する際と上昇する際とで相異なる閾値温度Th1、Th2を境界として発色状態が変化するものがある。
【0023】
一例として、図2の(b)の感温インクは、温度Tが下降する際には、温度Tが第一の閾値温度Th1より高い状態では白色であり(S2)、温度Tが第一の閾値温度Th1以下になったときに有色に変化する(S1)。媒体Mが白色である場合、感温インクが白色の状態(S2)では、媒体M上に形成されたその感温インクの像は見えにくくあるいは見えなくなる。また、温度Tが上昇する際には、温度Tが第二の閾値温度Th2以下の状態では有色であり(S1)、温度Tが第二の閾値温度Th2より高くなったときに白色に変化する(S2)。
【0024】
ここで、図2の(b)に示すように、第二の閾値温度Th2は第一の閾値温度Th1より高い。したがって、この場合は、温度Tが第一の閾値温度Th1と第二の閾値温度Th2との間にある状態では、温度Tが下降する場合と上昇する場合とで、感温インクの発色状態が異なる。
【0025】
なお、感温インクとしては、種々のものが開発されており、閾値温度Th、Th1、Th2や、各状態での色は、適宜に変更することが可能である。
【0026】
また、サーマルプリンタでは、画像形成時(熱転写時)に温度Tが上昇する。したがって、サーマルプリンタでは、媒体M上に、上述した例のような閾値温度Th、Th1、Th2より高い状態で媒体Mと同色に変化する感温インクの像が形成された場合、媒体M上に、その感温インクの像が形成されたのか否かが判別できなかったり、判別しにくかったりする場合がある。また、感温インクの種類によっては、媒体M上に形成された感温インクの像が、常温では視認しにくい場合もある。
【0027】
そこで、本実施形態のプリンタ1では、媒体M上に形成された感温インクの像の発色状態を変更する発色変更機構として、冷却装置10Aを備えている。
【0028】
本実施形態では、一例として、冷却装置10Aによって感温インクの画像を冷却することで、温度Tが下がり、その感温インクの画像が顕在化してより視認しやすくなり、感温インクの画像の媒体M上での形成状況を確認しやすくなる。
【0029】
即ち、冷却装置10Aは、感温インクの画像の発色変更機構や、可視化機構と言うこともできる。
【0030】
なお、本実施形態では、冷却装置10Aとして、ペルティエ効果を利用して冷却を行うことが可能なペルティエ素子(サーモモジュール)を採用している。
【0031】
また、本実施形態の阻止部30は、発色変更部としての冷却装置10Aとともに、媒体Mの搬送方向で画像形成部としての複数のインクリボンカートリッジ3の下流側に配置され、冷却装置10Aにより冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aおよびインクリボン3d)および環境温度センサ(8)に到達するのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐためのものである。なお、この阻止部30は、例えば、本体部(ハウジング)1aの内部に形成された支持部材(不図示)などにより本体部1aに支持される。
【0032】
図3〜図5は、阻止部30の構成を説明するための図であり、図3が、阻止部30の組立状態を示す斜視図であり、図4が、阻止部30の分解状態を示す斜視図であり、図5が、図3に示す阻止部30の側面を示す側面図である。
【0033】
図3〜図5に示すように、この阻止部30は、冷却装置10Aにより冷却された空気を吹き送る(送風する)送風部(ファンモータ)31と、その送風部31により吹き送られる空気がインクリボンカートリッジ3に到達しないように案内する案内部32とを有している。
【0034】
送風部31は、例えば、吸気面31aと、排気面31bとが対向するファンケース31Aを有しており、そのファンケース31A内には、送風部コントローラ31c(図6参照)と、その送風部コントローラ31cに電気的に接続されるモータ31dと、そのモータ31dにより軸を介して回転駆動されるファン31eなどが設けられている。
【0035】
そして、送風部31は、ファン31eを収容する円筒状のケース部分31fが、案内部32の一面(上面)側に形成された挿通孔32aに挿通され、ファンケース31Aに形成されたビス孔31gおよび案内部32に形成されたビス孔32bに螺合されるビスVにより、案内部32の一面側である天井面部32Cで固定される。
【0036】
また、案内部32は、送風部31により吹き送られる空気を、媒体Mを搬送する搬送方向Xの下流側(特に、搬送路Pの搬送方向Xの下流端で、本体部1aに形成された媒体Mを排出する排出口(不図示))に案内する案内経路を形成する形状を有する部材であり、冷却装置10Aを保持する部材である。なお、この案内部32は、例えば、金属材や樹脂材などで構成される。
【0037】
具体的には、案内部32は、搬送路Pの搬送方向Xの下流端(媒体Mの排出口(不図示))寄りに配置される正面壁部32Aと、その正面壁部32Aに対向して配置される背面壁部32Bと、それら正面壁部32Aおよび背面壁部32Bを連結して搬送路Pの上方で搬送路Pの搬送面に平行な天井面部32Cとから構成され、図5などに示すように、側方断面が、略凹状となるように形成されている。
【0038】
即ち、本実施形態では、阻止部30の背面壁部32Bが、発色変更部としての冷却装置10Aと、画像形成部としての複数のインクリボンカートリッジ3との間に設けられ、阻止部30が、冷却装置10Aで冷却された空気の少なくとも一部が複数のインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げるようになっている。
【0039】
なお、案内部32は、幅方向Zの全長が、搬送路Pの幅の全長と略同じであり、搬送路Pの幅に合せて搬送路Pの一面(上面)側に近接して配置される。
【0040】
即ち、そのような形状を有する案内部32は、送風部31のファン31eから吹き送られた空気(風)を、ファン31eの下方に配置された冷却装置10Aに向って案内し、その案内した風により冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部を、正面壁部32Aと冷却装置10Aの上面とで形成される排出口Oから排出させるためのものである。
【0041】
また、案内部32には、連結部材10A−1およびビス孔10A−2に螺合されるビスVによって冷却装置10Aが固定される。
【0042】
また、特に図示していないが、案内部32の正面壁部32Aの開放端(下端)から、本体部1aに形成される媒体Mの排出口(不図示)まで、搬送路Pの搬送面に略平行な態様で延設させた案内壁部を設けることも可能である。
【0043】
更に、図1、図3〜図5では、特に図示していないが、案内部32の幅方向Z(図3参照)における両側の開放端は、本体部1aの幅方向Zにおける両側壁内部(不図示)で塞いだり、本体部1aの両側壁内部(不図示)に形成される両通気孔(不図示)に連結したりするのが好ましい。これにより、案内部32の幅方向Zの両開放端から漏れた冷気が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げることが可能となる。
【0044】
図6は、本実施形態のプリンタ1のハードウェア構成を示すブロック図であり、特に制御系である制御回路20の詳細を示すブロック図である。
【0045】
図6に示すように、プリンタ1の制御回路20は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)20a、ROM(Read Only Memory)20b、RAM(Random Access Memory)20c、NVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)20d、通信インタフェース(I/F)20e、搬送モータコントローラ20f、ヘッドコントローラ20g、リボンモータコントローラ20h、入力部コントローラ20j、出力部コントローラ20k、センサコントローラ20m、冷却装置コントローラ20p、送風部コントローラ31cなどを有し、それらが、アドレスバスやデータバスなどのバス20nを介して接続されている。
【0046】
CPU20aは、ROM20bなどに記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、プリンタ1の各部を制御する。ROM20bは、例えば、CPU20aが実行する各種データや各種プログラム(BIOS(Basic Input Output System)や、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラムなど)などを記憶する。RAM20cは、CPU20aが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。また、NVRAM20dは、例えば、OS(Operating System)や、アプリケーションプログラム、デバイスドライバプログラムなどの他、電源がOFFされても保持しておきたい各種のデータを記憶する。
【0047】
また、通信インタフェース(I/F)20eは、電気通信回線などを通じて接続される他の装置とのデータ通信を制御する。
【0048】
搬送モータコントローラ20fは、CPU20aからの指示に基づいてモータ6を制御する。ヘッドコントローラ20gは、CPU20aからの指示に基づいてヘッド3a(図1参照)などを制御する。リボンモータコントローラ20hは、CPU20aからの指示に基づいてインクリボンカートリッジ3に内蔵されるリボンモータ3bを制御する。
【0049】
また、入力部コントローラ20jは、ユーザなどの手動操作や音声などの入力部(例えば、押しボタンや、タッチパネル、キーボード、マイク、つまみ、ディップスイッチなど)12で入力された信号を、CPU20aに送る。出力部コントローラ20kは、CPU20aからの指示に基づいて画像や音声などの出力部(例えば、ディスプレイや、発光部、スピーカ、ブザーなど)13を制御する。
【0050】
また、センサコントローラ20mは、環境温度センサなどの各種センサを含むセンサ8の検出結果を示す信号を、CPU20aに送る。なお、本実施形態のプリンタ1では、環境温度センサ(8)は、複数のインクリボンカートリッジ3の近辺の位置であり、阻止部30および冷却装置10Aより搬送方向Xの上流側の位置に設けられている。
【0051】
冷却装置コントローラ20pは、CPU20aからの指示に基づいて冷却装置(ペルティエ素子)10Aに供給する電力を制御することにより、冷却装置(ペルティエ素子)10Aの冷却駆動を制御する。
【0052】
送風部コントローラ31cは、CPU20aからの指示に基づいてモータ31dの駆動を制御することにより、送風部31のファン31eの回転駆動を制御する。
【0053】
なお、本実施形態のプリンタ1は、商用電源などから必要な電力を各負荷部(制御回路20、冷却装置10A、送風部31のモータ31dなど)に供給するための電力供給部40を有している。
【0054】
図7は、CPU20aがROM20bに記憶されているプログラムを、RAM20c上に展開して実行することにより実現されるプリンタ1の機能的構成(ソフトウェア構成)を説明するためのブロック図である。
【0055】
図7に示すように、制御部としてのCPU20aは、プログラムにしたがって、プリント制御部21aや、発色変更設定部21b、カウント部21c、判断部21d、発色変更制御部21eや、送風制御部21fなどとして動作する。プログラムには、少なくとも、プリント制御部21a、発色変更設定部21b、カウント部21c、判断部21d、発色変更制御部21eおよび送風制御部21fに対応するモジュールが含まれる。
【0056】
プリント制御部21aは、搬送モータコントローラ20fや、ヘッドコントローラ20g、リボンモータコントローラ20hなどを介して、モータ6や、ヘッド3a、リボンモータ3bなどを制御する。プリント制御部21aの動作によって、媒体M上に、文字や画像などの像が形成される。
【0057】
発色変更設定部21bは、媒体M上の感温インクの像の発色変更(本実施形態では冷却装置10Aによる冷却)に関する各種設定を行う。具体的には、入力部12で入力された、複数の媒体Mに対して発色変更(冷却)を実行するピッチ(頻度)や、冷却装置10Aの動作状態(冷却タイミング、冷却期間など)を設定するパラメータなどを、NVRAM20dなどの記憶部に保持したりすることができる。
【0058】
カウント部21cは、センサ8で検出された媒体Mの数(または像形成領域の数)をカウントする。
【0059】
判断部21dは、カウント部21cでカウントされたカウント値と、記憶部に記憶されたピッチ(頻度)とを比較して、発色変更(本実施形態では冷却)を実行するか否かを判断する。
【0060】
発色変更制御部21eは、判断部21dで発色変更を実行すると決定された媒体M(上に形成された感温インクの像)に対して発色変更(冷却)を実行するために、冷却装置10Aの駆動を制御する。なお、本実施形態では、ピッチ(頻度)の設定に応じて、全ての媒体M上に形成された感温インクの画像に対して発色変更を実行することができるし、いくつかの媒体Mに形成された感温インクの画像に対して発色変更を実行することもできる。
【0061】
送風制御部21fは、発色変更制御部21eが発色変更(冷却)を実行する場合に、冷却装置10Aの駆動により冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が冷却装置10Aの周辺で留まったり、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げるために、送風部31のモータ31dの駆動を制御する。
【0062】
なお、本実施形態では、発色変更制御部21eおよび送風制御部21fは、CPU20aの制御のもと、画像を形成する間隔に応じて、それぞれ冷却装置10Aおよび送風部31の動作を、間欠動作または連続動作のいずれかに切り替え制御する。
【0063】
また、送風制御部21fは、CPU20aの制御のもと、発色変更部としての冷却装置10Aが動作を停止してから一定時間が経過した場合に、送風部31の動作(モータ31dの回転駆動)を停止させる。
【0064】
即ち、冷却装置10Aでは、動作を停止した場合でも、停止後の一定時間の間だけ冷却した状態を保っているため、冷却装置10Aの動作停止後の一定時間の間だけ送風部31を動作し続けることにより、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が冷却装置10Aの周辺で留まったり、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げることができる。
【0065】
以上説明した構成のプリンタ1によって、例えば、図8に示すような媒体Mを得ることができる。
【0066】
図8の(a)は、冷却装置10Aによる冷却が実行されることなくプリンタ1から出力された媒体Mとしての商品ラベルを示し、図8(b)は、冷却装置10Aによる冷却が実行されてプリンタ1から出力された媒体Mとしての商品ラベルを示す図である。
【0067】
図8(b)に示すように、冷却装置10Aによって冷却を実行することで、感温インクの像Im1、Im2が顕在化するため、プリンタ1の使用者や作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が媒体M上に形成されたことを、視認しやすくなる。
【0068】
なお、図8の例では、媒体M上に、閾値温度Thが異なる2種類の感温インクの像Im1、Im2を形成した場合が例示されている。さらに、媒体M上には、温度によって発色状態が変化しない通常のインクによって形成された像Im3(例えばバーコードなど)も形成されている。
【0069】
図8に例示される媒体Mは、一例としては、商品の冷蔵あるいは冷凍における温度管理に利用することができる。
【0070】
即ち、プリンタ1によって図2の(a)に示した感温特性を有した感温インクの像Im1、Im2を形成した媒体Mが、商品のラベルとして用いられる。プリンタ1では、閾値温度Thが商品の冷蔵あるいは冷凍でそれ以上の温度上昇が許容されない管理温度(例えば5℃)である感温インクを、用いる。こうすることで、商品の温度が閾値温度Thを超えた場合には、媒体Mは図8の(a)の状態となって、感温インクの像Im1、Im2は、見えにくく、あるいは見えなくなる(図2の(b)のS2)。
【0071】
一方、商品の温度が管理温度としての閾値温度Th以下である場合、媒体Mは図8の(b)の状態(図2の(a)のS1)となる。即ち、作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が見えやすい(見える)かあるいは見えにくい(見えない)かによって、商品の温度が管理温度より高いか低いかを判断することができる。
【0072】
更に、図8の例では、媒体M上に、閾値温度Thの異なる二種類の感温インクの像Im1、Im2が形成されることで、二種類の管理温度(第一管理温度、第二管理温度)に対する商品の管理結果が表示される。更に、この例では、冷却装置10Aによって媒体Mを冷却することで、媒体Mでの感温インクの像Im1、Im2の形成状態を視認することができる。
【0073】
また、別の一例では、プリンタ1によって、図8の媒体Mとしての商品ラベル上に、図2の(b)に示したような降温時と昇温時とでヒステリシスとなる感温特性を有する感温インクの像Im1、Im2を形成することができる。
【0074】
その場合、プリンタ1は、媒体M上に、商品の冷蔵あるいは冷凍でそれ以上の温度上昇が許容されない管理温度(例えば−5℃)が閾値温度Th2であり、かつ、所定の冷蔵あるいは冷凍では実現されない温度(例えば−30℃)が閾値温度Th1である感温インクによって、像Im1、Im2を形成する。
【0075】
そして、プリンタ1では、冷却装置10Aが像Im1、Im2を閾値温度Th1以下(例えば−40℃)となるまで冷却することで、媒体M上に、プリンタ1によって形成された像Im1、Im2が顕在化される。
【0076】
なお、この例の場合は、全ての媒体Mについて、冷却装置10Aによる冷却が実行され、一旦、閾値温度Th1以下に下げられる。こうすることで、商品の温度が、一度でも管理温度としての閾値温度Th2を超えた場合には、媒体Mは図8の(a)の状態となって、感温インクの像Im1、Im2が見えにくく、あるいは見えなくなり(図2の(b)のS2)、その状態(S2)が維持される。
【0077】
一方、商品の温度が管理温度としての閾値温度Th2以下に維持された場合、媒体Mは図8の(b)の状態(図2の(b)のS1)で維持される。即ち、作業者などは、感温インクの像Im1、Im2が見えやすい(見えない)かあるいは見えにくい(見える)かによって、商品の温度が管理温度を超えたことがあったか否かを判断することができる。
【0078】
なお、この場合も、媒体M上に、閾値温度Th2の異なる二種類の感温インクの像Im1、Im2が形成されることで、二種類の管理温度(第一管理温度、第二管理温度)に対する商品の管理結果が表示される。
【0079】
即ち、以上説明した本実施形態によれば、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aおよびインクリボン3d)および環境温度センサ(8)に流れる(到達する)のを妨げるので、環境温度センサ(8)の検出する環境温度に著しい変化が発生するのを抑制または防止することができるので、ヘッド3aの発熱制御を精度良く行うことができるとともに、感温インクが不必要に固まってしまうのを抑制または防止することができる。また、それにより、画像形成(プリント)の品質が低下するのを防止することができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、阻止部30(送風部31および案内部32)により、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が一定箇所(例えば、冷却装置10Aの近辺など)で留まるのを防ぐことができるので、本体部1aに結露が発生するのを防止することができ、それにより、搬送路Pや媒体Mが濡れるのを防止することができるとともに、本体部1aを触れる操作者の指や手が濡れるのを防止することができる。
【0081】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0082】
例えば、前記した実施形態では、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3と、発色変更部としての冷却装置10Aと、阻止部30(送風部31および案内部32)とを本体部1aに収容した一体型のプリンタ1の場合について説明したが、これに限定されず、各構成要素(特に、画像形成部と発色変更部)を別体とするプリントシステムとすることも可能である。
【0083】
具体的には、図9に示すように、CPU20aや、媒体Mに、温度によって変色する感温インクの画像を形成することが可能な画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3や、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構(減速機構)7などで構成される搬送部などを有するプリンタ1Bと、CPU20aからの制御信号を受け取る制御部15aと、その制御部15aの制御下でプリンタ1Bの画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部(冷却装置10A)と、その発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部に流れるのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐための阻止部30などを有する発色変更装置15とを備えるプリントシステム100とすることも可能である。
【0084】
なお、前記したプリントシステム100においては、プリンタ1Bと発色変更装置15とが近接して配置される場合に、阻止部30による、発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が画像形成部に流れるのを妨げることができるという効果が大きいものである。
【0085】
また、前記した実施形態では、図3に示すように、案内部32が、幅方向Zにおける両側方の壁が無く、本体部1aと係合する形態について説明したが、これ以外にも、例えば、図10に示すように、両側方に側壁部32D、32Eを設けた案内部32とすることも可能である。このような構成によれば、図3に示した案内部32に比べ、より精度良く、冷却装置10Aで冷却された空気(冷気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3側に流れるのを妨げることができる。
【0086】
また、前記した実施形態では、図1に示すように、阻止部30を冷却装置10Aの一面(上面)側(即ち、搬送路Pの一面(上面)側)に設ける形態について説明したが、これ以外にも、例えば、図11に示すように、冷却装置10Aの他の一面(下面)側(即ち、搬送路Pの一面(下面)にも設けるようにしても良い。
【0087】
そのような構成によれば、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側に発生する冷気の少なくとも一部が、画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aやインクリボン3d)に流れるのを妨げることができるとともに、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側で留まるのを防ぐことができる。
【0088】
その他、冷却装置10Aおよび搬送路Pの下方側には、送風部31は設けず、当該下方側で発生した冷気の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3に流れるのを妨げる案内部32のみを設けるようにしても良い。なお、その場合には、案内部32の形状は略凹状に限定されず、搬送路Pの搬送面に直交する平らな板状などの、その他の形状とすることも可能である。
【0089】
また、前記した実施形態では、媒体Mに形成された画像の発色状態を変更する発色変更部として、媒体Mに形成された画像を冷却する冷却装置(冷却装置10A)を備える形態のプリンタ1の場合について説明したが、これに限定されず、発色変更部として媒体Mに形成された画像を加熱する加熱装置を備える形態のプリンタ1とすることも可能である。
【0090】
即ち、前記したような加熱装置を有するプリンタ1における阻止部30によれば、加熱装置で加熱された空気(熱気)の少なくとも一部が画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3(ヘッド3aやインクリボン3d)に流れるのを妨げてインクリボン3dが不必要に溶融するのを妨げるので、画像形成の品質が低下するのを抑制または防止することができる。また、そのような構成によれば、一定箇所(例えば、加熱装置の近辺など)で熱気が留まるのを防ぐことができるので、留まる熱気による各種障害(画像形成の品質の低下や、各種制御部の誤動作の発生など)を防止することができる。
【0091】
また、前記した実施形態では、媒体Mに形成された画像を冷却するための冷却装置として、ペルティエ素子の場合について説明したが、これに限定されず、他の冷却装置とすることも可能である。
【0092】
また、前記した実施形態では、発色変更部として1つの冷却装置10Aのみを備える形態について説明したが、これ以外にも、複数の冷却装置を備える形態とすることも可能である。
【0093】
また、前記した実施形態では、冷却装置10Aを案内部32の背面壁部32Bの下端側で正面側に迫り出した部分に固定する形態について説明したが、これに限定されず、その他の取付位置に固定することも可能である。例えば、背面壁部32Bの前記迫り出した部分の上面に冷却装置10Aを固定したり、背面壁部32Bの内側の側面に冷却装置10Aを固定したりする、即ち、案内部32の内部に固定することが可能である。
【0094】
また、前記したプリンタ1で実行される処理プログラムは、ROM20bなどの記憶部に予め組み込むように提供する以外にも、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供したり、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0095】
その他、前記した実施形態におけるプリンタ1のハードウェア構成や、ソフトウェア構成や、送風部31のハードウェア構成および外観構成や、案内部32の形状や、冷却装置10Aのハードウェア構成および外観構成などは、単なる一例として記載したものであり、本実施形態は、これらにより限定されない。
【0096】
次に、第2の実施形態について説明する。なお、前記した第1の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0097】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態に示したプリンタ1と異なる形態のプリンタ1A(図12参照)であり、阻止部30に静電気を除去する除電部50を設けた点が異なっている。なお、除電部50以外の構成(ハードウェア構成やソフトウェア構成など)は、第1の実施形態と同様である。
【0098】
図12は、第1の実施形態の図1に除電部50を追加した場合の、本実施形態に係るプリンタ1Aの概略構成を示す側面図である。図13〜図15は、阻止部30および除電部50の構成を説明するための図であり、図13が、阻止部30および徐電部50の組立状態を示す斜視図であり、図14が、阻止部30および徐電部50の分解状態を示す斜視図であり、図15が、図13に示す阻止部30および徐電部50の側面を示す側面図である。
【0099】
図13〜図15に示すように、阻止部30は、第1の実施形態で示した阻止部30と同様に、冷却装置10Aにより冷却された空気を吹き送る送風部(ファンモータ)31と、その送風部31により吹き送られる空気がインクリボンカートリッジ3に到達しないように案内する案内部32とを有している。なお、阻止部30の構成は、第1の実施形態の阻止部30と略同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0100】
案内部32には、連結部材53およびビス孔53aに螺合されるビスVによって徐電部50が固定される。
【0101】
この徐電部50は、送風部31により吹き送られる空気が案内部32の内部で案内されて摩擦により発生する静電気、および、そのような静電気が媒体Mに帯有した静電気を、気中放電することにより除去する徐電ブラシ(静電気除去ブラシ)である。
【0102】
より具体的には、本実施形態の徐電部50は、静電気をコロナ放電させることが可能な導電性繊維で構成される複数の細線51aと、それら複数の細線51aを支持する長方体状の支持体52とを有している。なお、支持体52は、案内部32の幅方向Zの全長と略同じ全長を有している。
【0103】
そして、本実施形態の徐電部50では、所定数(例えば、10本など)の細線51aを集束した収束線51が、所定のピッチP0で支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設されている。
【0104】
また、徐電部50は、排出口Oに配置され、冷却された空気の一部を案内部32の内部で還流させて一時的に留めるとともに、冷却された空気の一部(案内部32の内部で還流する空気も含む)を排出口Oから案内部32の外部に排出させるものである。即ち、この徐電部50は、送風部31の風により冷却装置10Aの周囲の冷却された空気が不必要に除去され、冷却装置10Aの冷却効果が低減されてしまう不都合を解消する機能を有するものである。
【0105】
そして、徐電部50は、プリンタ1Aの本体部1aに取り付けられて運用可能状態となった場合に、複数の集束線51(複数の細線51a)が搬送路P(特に、搬送路P上で搬送される媒体M)に接触するようになっている。
【0106】
即ち、本実施形態の徐電部50は、阻止部30で発生した静電気を除去するとともに、搬送路P上を搬送される媒体M(特に、画像が形成された媒体M)に帯有する静電気を除去するものである。
【0107】
即ち、本実施形態によれば、徐電部50により、阻止部30の作用により発生する静電気を除去することができるので、媒体Mや、冷却装置コントローラ20pや送風部コントローラ31cなどの各種電子部品が静電気を帯有するのを抑制または防止することができ、それにより、各種電子部品が誤動作したり、破壊されたりするのを防止することができるとともに、画像が形成された媒体Mに塵や埃が付着するのを防止することができる。
【0108】
更に、本実施形態によれば、徐電部50の複数の細線51aにより、送風部31の風で冷却装置10Aの周囲の冷却された空気が不必要に除去されるのを抑制することができ、それにより、冷却装置10Aの冷却効果が低減するのを防止することも可能である。
【0109】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0110】
例えば、第1の実施形態でも言及したように、各構成要素(特に、画像形成部と発色変更部)を別体とするプリントシステムとすることも可能である。
【0111】
具体的には、図16に示すように、CPU20aや、媒体Mに、温度によって変色する感温インクの画像を形成することが可能な画像形成部としてのインクリボンカートリッジ3や、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構(減速機構)7などで構成される搬送部などを有するプリンタ1Bと、CPU20aからの制御信号を受け取る制御部15aと、その制御部15aの制御下でプリンタ1Bの画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部(冷却装置10A)と、その発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部が、画像形成部に流れるのを妨げるとともに、一定箇所に留まるのを防ぐための阻止部30と、阻止部30の作用により発生する静電気を除去する徐電部50などを有する発色変更装置15とを備えるプリントシステム100Aとすることも可能である。
【0112】
また、前記した実施形態では、所定数(例えば、10本など)の細線51aを集束した収束線51が、所定のピッチPで支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設される徐電部50の場合について説明したが、これ以外にも、例えば、1本の細線51aが、所定のピッチP0で支持体52の幅方向Zの略全長に亘って配設される徐電部50とすることも可能である。
【0113】
また、前記した実施形態では、所定数の細線51aを集束した収束線51を所定のピッチP0で支持体52に固着した徐電部50の場合について説明したが、これに限定されず、収束線51のピッチは他のピッチであっても良いものとする。例えば、図17に示すように、徐電部50の幅方向Zにおける複数の幅領域別に、異なるピッチの収束線51を支持体52に固着するようにしても良い。なお、図17は、図3の組立状態における阻止部30、冷却装置10Aおよび徐電部50を正面側から見た場合の正面図である。
【0114】
より具体的には、例えば、阻止部30の送風部31の取り付け位置に対応する幅領域T1では、送風部31のファン31eにより送風される空気の流れが強いため、送風部31のファン31eにより冷却装置10Aで冷却された空気が不必要に除去されるのを抑制する目的で、収束線51のピッチを、小さいピッチである第1のピッチP1とし、一方、送風部31の取り付け位置に対応しない幅領域T2、T3では、空気の流れが弱いので、収束線51のピッチを、大きいピッチである第2のピッチP2とする。即ち、第1のピッチP1は、第2のピッチP2より小さいものである。
【0115】
また、前記した実施形態では、気中放電可能な自己放電式の徐電ブラシの場合について説明したが、これに限定されず、その他の形式の徐電ブラシを利用することも可能である。例えば、細線51aに帯有させた静電気を導電体の支持体52からプリンタ1の本体部1aのアース線を経てプリンタ1の外部に放出して徐電する形式の徐電ブラシとすることも可能である。
【0116】
また、前記した実施形態では、静電気を除去するための徐電部として、徐電ブラシ(静電気除去ブラシ)の場合について説明したが、これに限定されず、他の徐電部材を採用することも可能である。例えば、極細繊維に導電ポリマーを反応形成し、極細繊維の先端が避雷針の役割を果たして静電気を気中放電する徐電シートなどを利用することも可能である。
【0117】
次に、第3の実施形態について説明する。なお、前記した第3の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0118】
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態に示したプリンタ1と異なる形態のプリンタ1C(図18参照)であり、視認可能部15を設けた点が大きく異なっている。なお、第3の実施形態では、複数(本実施形態では4つ)のインクリボンカートリッジ3(3A〜3D)を着脱可能に装着する部分を印字ブロック300と呼ぶ。また、第3の実施形態では、搬送ローラ4、補助ローラ5、モータ6、回転伝達機構7等により、台紙(媒体M)を搬送する部分を搬送部50Aと呼ぶ。
【0119】
また、第3の実施形態では、冷却装置10Aが冷却機構10に変更されており、この冷却機構10は、搬送路Pに沿ってその下方に配置されている。
【0120】
そして、本実施形態では、冷却機構10は、一例として、ガス(気体)を噴出させ、例えば、その際の断熱膨張や潜熱等によって、媒体Mひいては感温インクの像の温度を低下させる。具体的に、冷却機構10は、ガスシリンダのガスカートリッジ11の装着部10aや、噴出部10b、チューブ10c、バルブ10d、冷却フィン10e等を有している。
【0121】
装着部10aには、ガスカートリッジ11が着脱可能に装着される。装着部10aは、ガスカートリッジ11のコネクタ11aを受容するコネクタとして機能する。また、装着部10aは、ガスカートリッジ11を取り外す際に用いる可動レバー(図示せず)や、装着位置でガスカートリッジ11を固定するロック機構(図示せず)等を、有することができる。
【0122】
ガスカートリッジ11は、例えば、液化されたガスが封入されたガスシリンダ(ガスボンベ)として構成することができる。ガス(冷媒)としては、例えば、テトラフルオロエタン等を用いることができる。
【0123】
噴出部10bは、図18、図19に示すように、台紙2の裏面に沿って当該台紙2の幅方向に沿って延びた姿勢で設けられている。噴出部10bは、内部にガスの通路が形成されたガスの管として設けられており、図21に示すように、その上壁10fには、一定の間隔(ピッチ)で複数のノズル孔10gが並べて設けられている。ノズル孔10gからは、台紙2の裏面に向けてガスが噴出される。なお、ノズル孔10gは、複数列設けることができる。
【0124】
また、噴出部10bは、台紙2の幅方向に沿った回動軸Ax回りに回動可能にブラケット10hに支持されており、図20の(a)や(b)に示すように、ガスGの噴出角度(噴出方向)を変化させることができる。具体的には、図19に示すように、噴出部10bが所定の噴出角度に配置された状態で、ブラケット10hの貫通孔(図示せず)に挿通された噴出部10bの雄ねじ部10iにナット10jを締め付けることで、噴出部10bを任意の角度で固定することができる。噴出角度を可変設定することで、ガスGによる台紙2の冷却度合いを可変設定することができる。例えば、図20の(a)の場合は、(b)の場合に比べてより強く冷却されるため、媒体M上の感温インクの像は、より低温の状態となる。このように、本実施形態では、噴出部10bは、噴出状態可変機構を有している。
【0125】
チューブ10cは、噴出部10bの角度が変わっても装着部10aと噴出部10bとの間のガスの管路として機能するため、所要の耐圧性かつ柔軟性を有している。
【0126】
バルブ10dは、ガスカートリッジ11から噴出部10bに至るガスの通路を開閉することで、噴出部10bからのガスの噴出および停止を切り替えることができる。バルブ10dは、一例としては、CPU20a(図24参照)からの電気信号によって開くソレノイドバルブとして構成することができ、装着部10aに取り付けることができる。なお、バルブ10dの開閉(開期間の長さ、開閉の反復回数、反復周期等)を制御することで、ガスの噴出状態を可変設定することができる。
【0127】
冷却フィン10eは、ガスカートリッジ11の外周面11bに密接あるいは近接したベース部10kと、媒体搬送方向に沿った姿勢でベース部10kから台紙2の裏面に近接する位置に向けて突出した複数の板状部10mと、を有している。ガスの噴出によってガスカートリッジ11の温度が低下する場合、冷却フィン10eを設けることで、媒体Mの冷却性能をより高めることができる。なお、冷却機構10は、本体部1aに着脱可能に装着することができる。
【0128】
なお、排紙口40Aの上方に位置するプリンタ1Cの本体部1aの前面パネル15Aは、透明な樹脂材などで形成されている。このようにプリンタ1の本体部1aの前面パネル15Aを透明な樹脂材などで形成するようにしたのは、装置外部から冷却機構10の近傍における媒体M上の表面状態を確認することができるようにするためである。すなわち、プリンタ1の本体部1aの前面パネル15Aは、冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像を、外部から視認可能にする視認可能部として機能する。
【0129】
加えて、冷却機構10と印字ブロック300との間に位置するように、冷却機構10により冷却された空気の少なくとも一部が印字ブロック300に流入するのを阻止するとともに、冷却機構10により冷却された空気が一定箇所に留まるのを阻止する阻止部70を備えている。阻止部70は、冷却機構10により冷却された空気を吹き送る送風部71と、その送風部71により吹き送られる空気が印字ブロック300に到達しないように案内する案内部72とを有している。
【0130】
図22は、阻止部70を概略的に示す斜視図である。図22に示すように、阻止部70の案内部72は、送風部71により吹き送られる空気を、媒体Mを媒体搬送方向下流側に案内する搬送路Pの一部を形成する形状を有する部材である。なお、この案内部72は、例えば、透明な樹脂材などで形成される。これにより、阻止部70は、冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像について視認可能部として機能する前面パネル15Aからの視認可能状態を維持する。案内部72は、搬送路Pの媒体搬送方向下流端寄りに配置される正面壁部72Aと、その正面壁部72Aに対向して配置される背面壁部72Bと、それら正面壁部72Aおよび背面壁部72Bを連結して搬送路Pの上方で搬送路Pの搬送面に平行な天井面部72Cとから構成されている。また、図22に示すように、第3の実施形態の阻止部70では、第1の実施形態の阻止部30と異なり、案内部72に冷却装置10Aが固定されていない。
【0131】
図23は、阻止部70の側面を示す側面図である。図23に示すように、阻止部70の案内部72は、側方断面が、略凹状となるように形成されている。なお、案内部72は、幅方向Zの全長が、搬送路Pの幅の全長と略同じであり、搬送路Pの幅に合せて搬送路Pの一面(上面)側に近接して配置される。
【0132】
このような形状を有する案内部72は、送風部71から吹き送られた空気(風)を、送風部71の下方に配置された冷却機構10に向って案内し、その案内した風により冷却機構10で冷却された空気(冷気)Yを、正面壁部72Aの下方に形成される排出口Oから排出させる。
【0133】
また、阻止部70には、搬送ローラ4が設けられている。搬送ローラ4は、搬送路Pに沿ってその上方に配置されており、冷却機構10は搬送ローラ4に搬送路Pを介して接離自在に当接している。このような構造により、搬送ローラ4が回転駆動されることで台紙2(媒体M)に搬送力を与え、台紙2(媒体M)を排紙口40Aに向けて搬送する。
【0134】
加えて、プリンタ1Bに設けられた排紙口40Aの近傍であって冷却機構10の媒体搬送方向下流側には、搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を切断する後処理装置であるカッタ機構60が設けられている。
【0135】
加えて、図18に示すように、プリンタ1Bは、排紙口40A近傍の本体部1aに、結露除去部材16を備えている。この結露除去部材16は、例えばスポンジ材やゴムベラなどで構成されている。このような結露除去部材16を排紙口40A近傍の本体部1aに備えることにより、排紙口40Aから排紙される際に、媒体Mを発色する際に台紙2に生じる少量の結露による水分を取り除くことができるので、印刷および切断されたラベルの取り扱い(ラベルが付きにくくなる等)が容易になる。
【0136】
図24は、第3の実施形態のプリンタ1Bのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0137】
図24に示すように、第1の実施形態と異なる点は、制御回路20が、新たにバルブコントローラ20iと、カッタモータコントローラ20qとを有し、冷却装置コントローラ20pを省略した点である。
【0138】
ここで、バルブコントローラ20iは、CPU20aからの指示に基づいて冷却機構10のバルブ10d(のソレノイド)を制御する。
【0139】
また、カッタモータコントローラ20qは、CPU20aからの指示に基づいてカッタ機構60の駆動源であるカッタモータ61を駆動制御する。
【0140】
なお、第3の実施形態のプリンタ1Bのソフトウェア構成は、第1の実施形態のプリンタ1のソフトウェア構成(図7)と略同様である。
【0141】
ただし、第3の実施形態では、プリント制御部21aは、カッタモータコントローラ20qを介して、カッターモータ61も制御する。
【0142】
また、発色変更設定部21bは、媒体M上の感温インクの像の発色変更(本実施形態では冷却機構10による冷却)に関する各種設定を行う。具体的には、入力部12で入力された、複数の媒体Mに対して発色変更(冷却)を実行するピッチ(頻度)や、バルブ10dの開閉状態(開閉タイミング、開閉期間、開閉回数、開閉周期等)を設定するパラメータ等を、NVRAM20d等の記憶部に保持したりすることができる。
【0143】
カウント部21cおよび判断部21dは、第1の実施形態で説明したのと同様の処理を行うので、説明を省略する。
【0144】
発色変更制御部21eは、判断部21dで発色変更を実行すると決定された媒体M(上に形成された感温インクの像)に対して発色変更(本実施形態では冷却)を実行するために、各部(本実施形態では冷却機構10の各部)を制御する。第3の実施形態では、発色変更制御部21eは、バルブ10dの開閉状態を制御することでガスの噴出状態を制御して、媒体Mの発色変更を実行する。なお、発色変更制御部21eは、噴出状態可変機構にも相当する。このように、本実施形態では、ピッチ(頻度)の設定に応じて、全ての媒体M上に形成された感温インクの像に対して発色変更を実行することができるし、あるいは、いくつかの媒体Mに形成された感温インクの像に対して発色変更を実行することもできる。
【0145】
以上のような構成のプリンタ1Bによって、例えば、第1の実施形態で説明した図8に示すような媒体Mを得ることができる。
【0146】
なお、本実施形態にかかるプリンタ1Bでは、図25に示すように、ヘッド3aに対するリボンローラ3cの位置が異なるインクリボンカートリッジ3を用いることができる。図25の(a)の構成では、インクと媒体Mとの接触時間が長くなり、(b)の構成では、インクリボン3dと媒体Mとの接触時間が短くなる。どちらの構成とするかは、感温インクや通常インクの特性に応じて選択することができる。本実施形態では、インクリボンカートリッジ3がインクリボン保持部に相当する。また、リボンモータ3bやリボンローラ3c等によって、リボン搬送部が構築されている。
【0147】
以上、説明したように、第3の実施形態にかかるプリンタ1Bは、像形成部としてのインクリボンカートリッジ3のヘッド3aが、媒体M上に感温インクの像を形成し、発色変更部としての冷却機構10が、像の発色を変更する。よって、本実施形態によれば、プリンタ1Bから出力された媒体M上に形成された感温インクの像について、所期の発色状態を得ることができる。また、媒体M上に所望の感温インクの像が形成されたか否かを確認しやすくなる。
【0148】
また、本実施形態では、発色変更部としての冷却機構10は、ガス(気体)を噴出して温度を低下させる。よって、冷却機構10を、比較的簡素な構成として得ることができる。
【0149】
また、本実施形態では、プリンタ1Bは、ガスの噴出状態を変化させる噴出状態可変機構として、噴出部10bの姿勢(例えばノズル孔10gからのガスGの噴射方向)を変化させる機構や、ガスの噴出タイミングや噴出期間(例えばバルブ10dの開閉期間等)等を可変設定する機構を備えている。よって、ガスによる冷却状態をより適切に調整することが可能となる。
【0150】
なお、噴出状態可変機構としては、例えば、図26に示すように、有効となるノズル孔10gを変更する可動プレート14を設けることができる。可動プレート14は、噴出部10bの上壁10f上に、当該上壁10fに沿ってスライド可能に支持される。可動プレート14には、所定の位置で全てのノズル孔10gと重なり合うことができる貫通孔14aと、別の位置で一部のノズル孔10gと重なり合うことができる貫通孔14bとが設けられている。可動プレート14の位置をスライドさせることで、全てのノズル孔10gから貫通孔14aを介してガスが噴出される状態と、一部のノズル孔10gから貫通孔14bを介してガスが噴出される状態とを切り替えることができる。これにより、ガスの量を可変設定することで、感温インクの像の冷却度合いを可変設定することができる。
【0151】
また、本実施形態では、プリンタ1Bは、媒体M上に相異なる感温インクの像を形成する複数の像形成部としてのインクリボンカートリッジ3のヘッド3aを備えることができる。よって、媒体M上に、感温特性が異なる複数のインクの像を形成することができ、より多段階での温度管理が可能となる。
【0152】
また、本実施形態では、冷却機構10は、抽出された(選択された、あるいは指定された)感温インクの像を冷却して発色状態を変化させる。このような構成により、全ての感温インクの像を冷却する場合に比べて、エネルギ消費を抑制することができる。
【0153】
また、プリンタ1Bでは、上記感温インクとは逆の特性、すなわち、管理温度を超えたときに顕在化する特性の感温インクを、用いることもできる。その一例として、図27に示すように、商品ラベルとしての媒体Mには、閾値温度を超えたときに、感温インクの像Im4、Im5が、管理温度を超えたことを示す「注意」や「警告」のメッセージが現れる。この例でも、媒体Mには、閾値温度が異なる感温インクの像Im4、Im5が形成されているため、異なる温度での商品の管理が可能となる。また、その場合、図27の例に対応するプリンタでは、発色変更部として、冷却機構10に替えて、加熱機構を設けることができる。また、この例では、感温インクの像Im4、Im5は、所定の温度条件が満たされなかったときに顕在化して、注意あるいは警告等を示す像である。
【0154】
このように本実施形態によれば、発色変更部としての冷却機構10で発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像がカッタ機構60で切断するまでに温度の上昇等の要因によって消えてしまった場合には、カッタ機構60で切断された後の媒体Mでは媒体M上に所望の感温インクの像が形成されたか否かを確認することができないという問題に対し、発色変更部としての冷却機構10により発色状態が変更された媒体M上に形成された感温インクの像を外部から視認可能にする視認可能部を備えるようにしたことにより、発色状態が変更された感温インクの像を確認することができるので、媒体M上に感温インクの像を形成するにあたって、感温インクの変色による不都合が生じにくいプリンタを提供することができる。
【0155】
また、視認可能部と媒体Mとの間に、発色変更部により加熱または冷却された空気の少なくとも一部について印字ブロック300に対する流入を阻止する阻止部を設けた場合であっても、例えば透明な樹脂材などで形成することにより、発色状態が変更された前記媒体M上に形成された前記感温インクの像について前記視認可能部からの視認可能状態を維持することができる。
【0156】
なお、本実施形態のプリンタ1Bでは、阻止部70の案内部72を透明な樹脂材で形成するようにしたが、これに限るものではなく、図28に示すように、案内部72を不透明な金属材や樹脂材などで形成し、冷却機構10の近傍における媒体M上の表面状態を視認できうる少なくとも1以上の開口80を設けるようにしても良い。
【0157】
また、本実施形態のプリンタ1Bでは、後処理装置として搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を切断するカッタ機構60を適用したが、これに限るものではなく、搬送路Pを搬送された台紙2から媒体Mを剥離する剥離機構や搬送路Pを搬送された台紙2(媒体M)を巻き取る巻取り機構、スタッカ機構等の各種の後処理装置を適用することができる。
【0158】
また、本実施形態のプリンタ1Bでは、本体部1aの内部に、搬送路Pに沿わせてその媒体搬送方向上流側から媒体搬送方向下流側に向けて、印字ブロック300、冷却機構10及びカッタ機構60を順に配列させるようにしたが、これに限るものではなく、本体部1aの内部に、印字ブロック300及び冷却機構10を順に配列させるようにし、後処理装置であるカッタ機構60については、別体で設けるようにしても良い。
【0159】
次に、第3の実施の形態の変形例について説明する。なお、前記した第3の実施形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する。
【0160】
図29は、第3の実施形態にかかるプリンタの変形例であるプリンタ1Cの概略構成を示す側面図である。図29に示すように、本実施形態にかかるプリンタ1Cは、第3の実施形態のプリンタ1Bの冷却機構10に代えて、発色変更部として冷却素子90を搬送路Pに沿ってその下方に配置している。この冷却素子90は、第1、第2の実施形態に示した冷却装置10Aと同様に、例えば、ペルティエ素子で構成される。このようなペルティエ素子は、阻止部70の送風部71により吹き送られる空気によって冷却される。
【0161】
このような冷却素子90は、図30に示すように、CPU20aからの指示に基づいて冷却素子コントローラ20sによって制御される。
【0162】
このように本実施形態によれば、第3の実施形態のプリンタ1Bの冷却機構10に代えて冷却素子90を備えるようにしたことにより、冷却素子90は、第1の実施形態のプリンタ1の冷却機構10と比較して、冷却装置の体積が小さくプリンタ装置の小型化が容易であり、冷却に際して湿度の変化が少なくなるとともに、騒音・振動の発生を抑えることができる。
【0163】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、プリンタは、相異なる感温インクの像を形成する像形成部を三つ以上備えることもできる。また、プリンタは、発色変更部として、冷却機構と加熱機構との双方を備えることができる。その場合、例えば、冷却機構および加熱機構のうち一方を感温インクの像に作用させて一旦見えやすい状態(見える状態)にして、その後、他方を感温インクの像に作用させて見えにくい状態(見えない状態)にする(すなわち、元の状態に戻す)ことができる。こうすれば、見えやすい状態(見える状態)で、作業者等が感温インクの像を確認することができる。また、冷却機構の数、加熱機構の数は、種々に変更することができる。
【0164】
また、プリンタは、冷却機構や加熱機構として、冷却あるいは加熱されたガスの噴出部を有し、その噴出部にコネクタや配管等を介して外部から冷却されたガスあるいは加熱されたガスを送り込むことができる。このような構成では、ガスカートリッジ等を省略できる分、プリンタをより小型化することができる。
【0165】
また、プリンタは、インクを用いる他の形式のプリンタ(例えばインクジェットプリンタ等)として構成することができる。インクジェットプリンタの場合、インクヘッドが像形成部に相当する。
【0166】
また、第3の実施形態に示したカッタ機構(後処理装置)60および結露除去部材16を第1および第2の実施形態に設けるようにしても良い。
【0167】
また、各構成要素{プリントシステム、プリンタ、媒体、インクリボンカートリッジ、像形成部、発色変更部(冷却機構、加熱機構、噴出状態可変機構、発色変更装置、像、感温インク等)のスペック(方式や、構造、形状、大きさ、配置、位置、個数、成分、感温特性等)}は、適宜に変更して実施することができる。
【0168】
上記実施形態および変形例によれば、媒体上に感温インクの像を形成するにあたって、感温インクの変色による不都合が生じにくいプリンタを得ることができる。
【符号の説明】
【0169】
1、1A、1B、1C プリンタ
3A〜3D インクリボンカートリッジ(画像形成部)
3a ヘッド(画像形成部)
300 印字ブロック(画像形成部)
10A 冷却装置(発色変更部)
10 冷却機構(発色変更部)
20 制御回路(制御部)
M 媒体
P 搬送路
15A 視認可能部
16 結露除去部材
100、100A プリントシステム
30 阻止部
31 送風部
32 案内部
O 排出口
50 除電部(除電ブラシ)
51 収束線(導電性繊維)
52 支持体
50A 搬送部
60 カッタ機構(後処理装置)
80 開口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特開平7−256965号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部と、
前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる阻止部と、
を有するプリンタ。
【請求項2】
前記阻止部に設けられ静電気を除去する徐電部、
を更に有する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を、外部から視認可能にする視認可能部、
を更に有する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記阻止部は、前記発色変更部により加熱または冷却された空気を送風する送風部と、前記送風部により送風された空気が前記画像形成部に流れないように案内する案内部と、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を冷却する冷却装置であり、
前記阻止部は、前記冷却装置で冷却された空気が一定箇所に留まるのを防ぐ請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記画像形成部の画像形成の間隔に応じて、前記発色変更部および前記送風部の動作を、間欠動作または連続動作のいずれかに切り替える制御部、
を更に有する請求項4または5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記発色変更部が動作を停止してから一定時間が経過した場合に、前記送風部の動作を停止させる制御部、
を更に有する請求項4〜6のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記案内部には、前記加熱または冷却された空気を当該案内部の外部に排出する排出口が形成されており、
前記徐電部は、前記排出口に設けられ、前記加熱または冷却された空気の一部を前記案内部内で還流させて一時的に留めるとともに、前記空気の一部を前記排出口から前記案内部の外部に排出させる請求項4〜7のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記徐電部は、静電気を気中放電可能な複数の導電性繊維と、それらを支持する支持体とを有する徐電ブラシである請求項2〜8のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項10】
媒体を搬送する搬送部、
を更に有し、
前記徐電部は、前記送風部により送風された空気が前記案内部で案内されることにより、前記搬送部で搬送される媒体に帯有した静電気を除去する請求項4〜9のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記阻止部は、前記画像形成部と前記発色変更部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気について前記画像形成部に対する流入を阻止するものであって、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像について前記視認可能部からの視認可能状態を維持する、請求項3記載のプリンタ。
【請求項12】
前記阻止部は、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を前記視認可能部から視認できうる透明な部材で形成されている、請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記阻止部は、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を前記視認可能部から視認できうる少なくとも1以上の開口を有している、請求項11記載のプリンタ。
【請求項14】
前記発色変更部の媒体搬送方向下流側に位置する前記搬送路に設けられ、前記搬送路を搬送された前記媒体を処理する後処理装置、
を更に有する請求項3〜13のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記後処理装置の媒体搬送方向下流側であって前記搬送路に設けられ、前記搬送路を搬送された前記媒体に生じる当該媒体を発色させる際に生じる結露による水分を取り除く結露除去部材、
を更に有する、請求項3〜13のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項16】
媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する画像形成部を有するプリンタと、
前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部と、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる阻止部と、を有する発色変更装置と、
を備えるプリントシステム。
【請求項17】
前記発色変更装置は、
前記阻止部に設けられ静電気を除去する徐電部、
を更に有する請求項16記載のプリントシステム。
【請求項1】
媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部と、
前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる阻止部と、
を有するプリンタ。
【請求項2】
前記阻止部に設けられ静電気を除去する徐電部、
を更に有する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を、外部から視認可能にする視認可能部、
を更に有する請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記阻止部は、前記発色変更部により加熱または冷却された空気を送風する送風部と、前記送風部により送風された空気が前記画像形成部に流れないように案内する案内部と、を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記発色変更部は、前記画像形成部で形成された画像を冷却する冷却装置であり、
前記阻止部は、前記冷却装置で冷却された空気が一定箇所に留まるのを防ぐ請求項1〜4のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記画像形成部の画像形成の間隔に応じて、前記発色変更部および前記送風部の動作を、間欠動作または連続動作のいずれかに切り替える制御部、
を更に有する請求項4または5のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記発色変更部が動作を停止してから一定時間が経過した場合に、前記送風部の動作を停止させる制御部、
を更に有する請求項4〜6のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記案内部には、前記加熱または冷却された空気を当該案内部の外部に排出する排出口が形成されており、
前記徐電部は、前記排出口に設けられ、前記加熱または冷却された空気の一部を前記案内部内で還流させて一時的に留めるとともに、前記空気の一部を前記排出口から前記案内部の外部に排出させる請求項4〜7のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項9】
前記徐電部は、静電気を気中放電可能な複数の導電性繊維と、それらを支持する支持体とを有する徐電ブラシである請求項2〜8のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項10】
媒体を搬送する搬送部、
を更に有し、
前記徐電部は、前記送風部により送風された空気が前記案内部で案内されることにより、前記搬送部で搬送される媒体に帯有した静電気を除去する請求項4〜9のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項11】
前記阻止部は、前記画像形成部と前記発色変更部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気について前記画像形成部に対する流入を阻止するものであって、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像について前記視認可能部からの視認可能状態を維持する、請求項3記載のプリンタ。
【請求項12】
前記阻止部は、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を前記視認可能部から視認できうる透明な部材で形成されている、請求項11記載のプリンタ。
【請求項13】
前記阻止部は、前記発色変更部により発色状態が変更された前記媒体上に形成された前記感温インクの像を前記視認可能部から視認できうる少なくとも1以上の開口を有している、請求項11記載のプリンタ。
【請求項14】
前記発色変更部の媒体搬送方向下流側に位置する前記搬送路に設けられ、前記搬送路を搬送された前記媒体を処理する後処理装置、
を更に有する請求項3〜13のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項15】
前記後処理装置の媒体搬送方向下流側であって前記搬送路に設けられ、前記搬送路を搬送された前記媒体に生じる当該媒体を発色させる際に生じる結露による水分を取り除く結露除去部材、
を更に有する、請求項3〜13のいずれか一項に記載のプリンタ。
【請求項16】
媒体に、温度によって変色する感温インクの画像を形成する画像形成部を有するプリンタと、
前記画像形成部で形成された画像を加熱または冷却して当該画像の発色状態を変更する発色変更部と、前記発色変更部と前記画像形成部との間に設けられ、前記発色変更部により加熱または冷却された空気が前記画像形成部へ流れるのを妨げる阻止部と、を有する発色変更装置と、
を備えるプリントシステム。
【請求項17】
前記発色変更装置は、
前記阻止部に設けられ静電気を除去する徐電部、
を更に有する請求項16記載のプリントシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2012−148551(P2012−148551A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128332(P2011−128332)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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