説明

プリンター、プリンターの制御方法および制御プログラム、POS端末装置、キャッシュドロワー駆動装置

【課題】規格外のキャッシュドロワーが接続された場合、これを検知して通電を未然に阻止することにより、過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぐプリンター、プリンターの制御方法および制御プログラム、POS端末装置、キャッシュドロワー駆動装置を提供する。
【解決手段】キャッシュドロワー20を接続し駆動可能なプリンター10であって、キャッシュドロワー20を開閉するためのロック用コイル21を駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部12と、ロック用コイル21の抵抗値を検出するコイル抵抗検出部14と、ロック用コイル21に対して、キャッシュドロワー駆動回路部12を接続するか、あるいは、コイル抵抗検出部14を接続するかの切り替えを行う駆動切替部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、プリンターの制御方法および制御プログラム、POS端末装置、キャッシュドロワー駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等では、従来のレジスターにかわりPOS(Point Of Sale)を管理できるPOSシステムが使用されるようになってきている。POSシステムは、POS端末とPOS用のプリンターがカウンターに設置されている。また、金銭を出し入れするキャッシュドロワーは、キャッシュドロワー駆動装置や、POS端末、POS用のプリンターに接続され、POS用のプリンターなどから供給される駆動電流により、閉じ状態としているロックが解除され開くようになっている。
【0003】
次に、キャッシュドロワーのロック機構について説明する。
図1は、特許文献1に示されたキャッシュドロワーのロック機構を示す図である。図1に示すPOS端末機(またはPOS用のプリンターなど)は、リンク部116、ドロワロック機構117、ドロワトレイ118、バネ119、プランジャー120,バネ121,固定フック122を備えている。リンク部116は、プランジャー120とドロワロック機構117との間に連結されている。ソレノイド(コイル)に所定の電圧が印加されると、ソレノイド(コイル)は、プランジャーがロック解除方向に前進するように駆動する。プランジャー120がロック解除方向に移動すると、ドロワロック機構117が反時計方向に回動し、ドロワロック機構117によるロックが解除される。このとき、バネ119の付勢力によって、ドロワトレイ118が図中右方向(開方向)に押出される。一方、キャッシュドロワーがロックされる場合は、ドロワトレイ118がユーザーにより物理的に押し込められる。このとき、ドロワトレイ118の突出部がドロワロック機構117に当たり、ドロワロック機構117は上方向に押し上げられるように反時計方向に回動される。さらに、ドロワトレイ118が押し込められると、ドロワロック機構117が時計方向に回転され、ロックされる。
【0004】
上記のようなキャッシュドロワーは、POS用のプリンター(POS端末機)に接続可能な形態で工場出荷される場合の他、POSシステム構築時にPOS用のプリンターにキャッシュドロワーを接続することもある。例えば、店舗などにおいて、店員ごとにキャッシュドロワーを入れ替えたり、開店時のみPOS用のプリンターに接続して閉店時には取り外したりする場合もある。このため、POS用のプリンターに接続されるキャッシュドロワーは特定のものとは限らず、場合によっては、POS用のプリンターのキャッシュドロワーの規格(所定値)(例えば、POS用のプリンター(POS端末機)側の駆動回路の駆動電流値の許容範囲内となるようなキャッシュドロワーのコイル抵抗値の規格)に対して、規格(所定値)外となるキャッシュドロワーが接続される虞がある。そこで、従来のPOS用のプリンターは、キャッシュドロワー駆動回路にヒューズ等の過電流保護素子を設けて、規格外のキャッシュドロワーが接続されても故障等を起こさないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−172950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来のPOS用のプリンター等におけるキャッシュドロワーの駆動に係る部分の回路は、単にプリンターの損傷を回避するための対策が施されているのみであり、過電流保護素子が作動(ヒューズの断線など)すると、当該プリンターは稼働を停止する。使用者(レジの店員等)は何が原因で稼働停止したかわからず、修理担当者やサービスマンを呼んで、プリンターの稼働停止の原因解明や点検をしなければならない。そして、プリンターの点検や修理(ヒューズ交換など)の間、当該プリンターを稼働させることができない(使用できない)という問題があった。
【0007】
本発明の目的は上記課題を解消することに係り、規格外のキャッシュドロワーが接続された場合、これを検知して通電を未然に阻止することにより、過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぎ、さらに、規格外のキャッシュドロワーが接続されたことを使用者に報知できるプリンター、プリンターの制御方法および制御プログラム、POS端末装置、キャッシュドロワー駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るプリンターは、キャッシュドロワーを接続し駆動可能なプリンターであって、
前記キャッシュドロワー開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、
前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、
前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、
を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、接続されたキャッシュドロワーのロック用コイルに開閉のための通電をする前に、コイル抵抗検出部からコイル抵抗を検出するためのロジック電圧などの低い電圧をロック用コイルに印加するなどして予めキャッシュドロワーのコイル抵抗値を検出することができるので、規格(所定値)外のキャッシュドロワーが接続された場合これを検出し、規格外のキャッシュドロワーに対する開閉のための通電を未然に阻止することができる。従って、規格外のキャッシュドロワーへの通電によるプリンター内の過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぐことができる。
また好ましくは、前記コイル抵抗検出部によって検出された前記ロック用コイルの抵抗値が規格外であった場合に、エラー表示をするエラー表示部を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、接続されたキャッシュドロワーが所定値外であった場合、前記キャッシュドロワー駆動回路部からの前記ロック用コイルの駆動を禁止し、エラー表示部に示して、使用者に的確に報知することができる。従って、使用者に対して規格内のキャッシュドロワーへの交換が必要であることを認識させることができる。
また好ましくは、前記キャッシュドロワーが接続されたときに、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする。
上記構成によれば、キャッシュドロワーが接続されたときに、接続された当該キャッシュドロワーが規格内のものか否かを確認できる。
また好ましくは、電源投入時、セルフテスト時、前記キャッシュドロワーの駆動前、のいずれかに、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする。
上記構成によれば、電源投入時、セルフテスト時、駆動前に当該キャッシュドロワーが規格内のものか否かを確認できる。
また好ましくは、前記プリンターはホストコンピューターと接続可能であり、前記ホストコンピューターから送信された前記ロック用コイルの抵抗値の検出を指示するコマンドを受けて、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする。
上記構成によれば、ホストコンピューターからのコマンドを受け、接続しているキャッシュドロワーが規格内のものか否かが随時確認でき、さらにホストコンピューターにその結果を送信し、知らせることができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るプリンターの制御方法は、前記キャッシュドロワーの開閉のロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、エラー表示部と、を備え、前記キャッシュドロワーを駆動可能なプリンターの制御方法であって、
前記駆動切替部をコイル抵抗検出部側に切り替えるステップと、
前記キャッシュドロワーに予備通電を行って、前記ロック用コイルの抵抗値を検出するステップと、
検出された前記ロック用コイルの抵抗値を所定値と比較し、前記所定値外の値であった場合は、前記キャッシュドロワー駆動回路部からの前記ロック用コイルの駆動を禁止してエラー表示部にエラー表示をし、前記所定値内の値であった場合は、前記ロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するステップと、
を含むことを特徴とする。
上記プリンターの制御方法によれば、キャッシュドロワーのロック用コイルに開閉のための通電をする前に、駆動切替部をコイル抵抗検出部側に切り替えて、コイル抵抗検出部からコイル抵抗を検出するための予備通電を行ってキャッシュドロワーのコイル抵抗値を検出することができるので、規格外のキャッシュドロワーが接続されていた場合これを検出するので、規格外のキャッシュドロワーに対する開閉のための通電を未然に阻止することができる。従って、規格外のキャッシュドロワーへの通電によるプリンター内の過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぐことができる。また、エラー表示部に示して、規格外のキャッシュドロワーであることを使用者に的確に報知することができるので、使用者に対して規格内のキャッシュドロワーへの交換が必要であることを認識させることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るプリンターの制御プログラムは、上記プリンターの制御方法の各ステップを、前記プリンターの制御部に実行させることを特徴とする。
上記プリンターの制御プログラムをプリンターの制御部に実行させることにより、規格外のキャッシュドロワーに対する開閉のための通電を未然に阻止することができる。従って、規格外のキャッシュドロワーへの通電によるプリンター内の過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぐことができる。また、エラー表示部に示して、規格外のキャッシュドロワーであることを使用者に的確に報知することができるので、使用者に対して規格内のキャッシュドロワーへの交換が必要であることを認識させることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るPOS端末装置は、キャッシュドロワーを接続し駆動可能なPOS端末装置であって、
前記キャッシュドロワーを開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、
前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、
前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、
を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、接続されたキャッシュドロワーのロック用コイルに開閉のための通電をする前に、コイル抵抗検出部からコイル抵抗を検出するための低い電圧をロック用コイルに印加するなどして予めキャッシュドロワーのコイル抵抗値を検出することができるので、規格外のキャッシュドロワーが接続された場合これを検出し、規格外のキャッシュドロワーに対する開閉のための通電を未然に阻止することができる。従って、規格外のキャッシュドロワーへの通電によるPOS端末装置内の過電流保護素子の作動(ヒューズの断線など)を防ぐことができる。
また、本発明のキャッシュドロワー駆動装置は、キャッシュドロワーを接続し駆動可能なキャッシュドロワー駆動装置であって、前記キャッシュドロワーを開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るPOS端末装置及びプリンターの外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係るプリンターのキャッシュドロワーの駆動に係る部分の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態に係るプリンターのキャッシュドロワーの駆動に係る部分の回路構成を示す回路図。
【図4】本発明の実施形態に係るプリンターのキャッシュドロワーの駆動手順を示すフローチャート。
【図5】特許文献1に示されたキャッシュドロワーのロック機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプリンター、プリンターの制御方法および制御プログラム、POS端末装置について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るPOS端末装置及びプリンターの外観を示す斜視図である。また、図2は、本発明の実施形態に係るプリンターのキャッシュドロワーの駆動に係る部分の概略構成を示すブロック図である。
【0015】
例えば、図1に示すように、POSシステム1は、POS用のプリンター10と、入力部(タッチパネル、テンキー等)を含むPOS端末装置10Bなどで主要部が構成される。さらに、プリンター10と接続ケーブル10Aによって接続されて駆動されるキャッシュドロワー20、金額表示器30、カードリーダー40、バーコードスキャナー50などで構成される。
【0016】
プリンター10は、図2に示すように、制御部(CPU)11、キャッシュドロワー駆動回路部12、コイル抵抗検出部14、駆動切替部15、エラー表示部16、などで構成される。なお、図2において、点線矢印は信号(データ、制御信号等)の流れを示し、実線は電流を供給する経路を示す。
【0017】
制御部11は、プリンター10の動作全般を統括制御する。キャッシュドロワー駆動回路部12は、キャッシュドロワー20のロック用コイル21に駆動電流を供給する。コイル抵抗検出部14は、キャッシュドロワー20のコイル抵抗値を検知する。駆動切替部15は、キャッシュドロワー駆動回路部12とコイル抵抗検出部14とを切り替えて、キャッシュドロワー20のロック用コイル21に接続するスイッチである。エラー表示部16は、キャッシュドロワー20が規格外である場合に報知を行う。
【0018】
図3は、本発明の実施形態に係るプリンターのキャッシュドロワーの駆動に係る部分の回路構成を示す回路図である。この図3は、上記図2において示した各機能部を実現する回路構成の一例を示すものであり、キャッシュドロワー駆動回路部12、コイル抵抗検出部14、駆動切替部15の回路構成を示している。
【0019】
キャッシュドロワー駆動回路部12は、ヒューズ18(過電流保護素子)、スイッチングトランジスター19であり、ACアダプター13からキャッシュドロワー20のロック用コイル21へ供給されるキャッシュドロワーの駆動電流が過大となる場合、ヒューズ18が断線してプリンター10のその他の部分に損傷が及ぶのを防止する。なお、ヒューズ以外の過電流保護素子として、3端子レギュレータなどを用いてもよい。
【0020】
コイル抵抗検出部14は、キャッシュドロワー20のロック用コイル21の抵抗値を検出するための予備通電を行う。この予備通電によって流れる電流からロック用コイル21の抵抗値を検出し、その値をアナログ/デジタル(A/D)変換部17によりデジタル化して、制御部11へ送信して制御部11内のROM等に記憶された規格値と比較する。
【0021】
駆動切替部15は、駆動信号(例えば、ロジック電圧の5Vや3.3Vなどのパルス信号)を、キャッシュドロワー駆動回路部12の端子Bに入力するか、コイル抵抗検出部14の端子Aに入力するかのスイッチの切り替えを行う。端子Aに接続された場合、コイル抵抗検出部14がキャッシュドロワー20のロック用コイル21に接続され、コイル抵抗値が検出可能となる。一方、端子Bに接続された場合、キャッシュドロワー駆動回路部12がキャッシュドロワー20のロック用コイル21に接続され、ACアダプター13から、例えば24Vの駆動電圧の直流電圧が印加されて、キャッシュドロワー20の駆動電流が供給可能となる。なお、プリンター10とキャッシュドロワー20は駆動電流の供給を行う接続ケーブル10A(シールド接続ケーブル等)で接続されていている。ACアダプター13から、プリンター10の内蔵している電源用回路を経由してもよい。ここで、24Vはプリンター10内のヘッドやモータを駆動する電圧でもあり、共通の電源を用いることもできる。
【0022】
次に、上記構成のプリンター10の動作について説明する。
図4は、本発明の実施形態に係るプリンター10の、キャッシュドロワーの駆動手順を示すフローチャートである。
はじめに、POS端末装置10Bから送信されたロック用コイル21の抵抗値の検出を指示する下記のようなコマンド(1)を受けて行われる。
ESC Drower Check ・・・(1)
このコマンドを受信すると、制御部11は、駆動切替部15のスイッチを動作させ、ロック用コイル21への接続をコイル抵抗検出部14に切り替える(ステップS10)。次に、キャッシュドロワー20のロック用コイル21に対し、コイル抵抗検出部14から予備通電が行われる(ステップS11)。この予備通電によって流れる電流からロック用コイル21の抵抗値を検出する(ステップS12)。その値は、A/D変換部17によりデジタル化されて制御部11へ送信される。制御部11は、制御部11内のROM等に記憶された規格値(駆動電流値が許容範囲内となるようなコイル抵抗値、例えば24オーム)と比較して、ステップS12で検出したコイル抵抗値が規格外であるか否かを判断し(ステップS13)、例えば12オームなど規格外である場合はエラー表示部16にその旨を表示し、規格内のコイル抵抗値を有するキャッシュドロワーへの交換を促すなどの報知を行う(ステップS14)。この際、制御部11は、駆動切替部15のスイッチを、ロック用コイル21へ接続することを禁止する。また、この結果をPOS端末装置10Bに送信して、POS端末装置10B側でエラー報知させてもよい。
【0023】
一方、コイル抵抗値が規格内である場合、制御部11は、駆動切替部15を動作させ、スイッチをキャッシュドロワー駆動回路部12へ切り替える(ステップS15)。これにより、キャッシュドロワー20への本通電が可能となり、駆動電流が供給されるとキャッシュドロワー20が駆動され、ロック用コイル21の移動によりキャッシュドロワー20のロックが開放される(ステップS16)。なお、このキャッシュドロワー20への駆動電流の供給は、POS端末装置10Bからのキャッシュドロワー駆動用のコマンドを受けて行う。このキャッシュドロワー駆動用のコマンドは、例えば、駆動信号であるロジック電圧のパルス信号を発生させる以下の(2)のようなコマンドである。
ESC Drower n Ton Toff ・・・(2)
ここで、Drower nは、複数のキャッシュドロワーがある場合、n番目のキャッシュドロワーを駆動することを示すパラメータであり、Tonは上記パルス信号のオン時間、Toffは上記パルス信号のオフ時間を指定するパラメータである。
【0024】
なお、上記の最初の手順であるコイル抵抗検出部14への駆動切替部15のスイッチ切り替えは、キャッシュドロワー20がプリンター10に接続された際にそれを検知して行うようにしてもよいし、プリンター10の電源投入時(起動時)に毎回行うように設定してもよい。
【0025】
また、プリンター10のセルフテスト時や駆動前などに、適宜ロック用コイル21の抵抗値検出を行うように設定してもよい。この場合、例えば、プリンター10の起動中、所定時間経過ごとに検出を実施するとか、プリンター10内部の温度が所定値を超過した場合に実施するなど、各種の条件を設定することも可能である。
【0026】
なお、ホストコンピューターは、図1のPOS端末装置10Bの内部、あるいは、POS端末装置10Bの外部どちらにあってもよい。
【0027】
以上、説明したように、本実施形態のプリンター10は、キャッシュドロワー20のロック用コイル21に開閉のための通電をする前に、駆動切替部15をコイル抵抗検出部14側に切り替えて、コイル抵抗検出部14からコイル抵抗を検出するための予備通電を行ってキャッシュドロワー20のコイル抵抗値を検出することができるので、規格外のキャッシュドロワー20が接続されていた場合これを検出するので、規格外のキャッシュドロワー20に対する開閉のための通電を未然に阻止することができる。従って、規格外のキャッシュドロワー20への通電によるプリンター10内のヒューズ18の断線(過電流保護素子の作動)を防ぐことができる。また、エラー表示部16に示して、規格外のキャッシュドロワーであることを使用者に的確に報知することができるので、使用者に対して規格内のキャッシュドロワー20への交換が必要であることを認識させることができる。
また、キャッシュドロワー20の駆動は、プリンター10、POS端末10Bの他、図3に示すような回路構成を有するキャッシュドロワー駆動装置で行うこともできる。この場合、キャッシュドロワー駆動装置はPOS端末10Bと接続されていて、コマンドの受信等が可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 POSシステム
10 プリンター
10A 接続ケーブル
10B POS端末装置
11 制御部(CPU)
12 キャッシュドロワー駆動回路部
13 ACアダプター
14 コイル抵抗検出部
15 駆動切替部
16 エラー表示部
17 A/D変換部
18 ヒューズ
19 スイッチングトランジスター
20 キャッシュドロワー
21 ロック用コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッシュドロワーを接続し駆動可能なプリンターであって、
前記キャッシュドロワーを開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、
前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、
前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、
を備えることを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記コイル抵抗検出部によって検出された前記ロック用コイルの抵抗値が所定値外であった場合に、前記キャッシュドロワー駆動回路部からの前記ロック用コイルの駆動を禁止し、エラー表示をするエラー表示部を備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項3】
前記キャッシュドロワーが接続されたときに、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンター。
【請求項4】
電源投入時、セルフテスト時、前記キャッシュドロワーの駆動前、のいずれかに、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンター。
【請求項5】
前記プリンターはホストコンピューターと接続可能であり、
前記ホストコンピューターから送信された前記ロック用コイルの抵抗値の検出を指示するコマンドを受けて、前記ロック用コイルに対して前記コイル抵抗検出部を接続するように前記駆動切替部を切り替えて、前記ロック用コイルの抵抗値を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリンター。
【請求項6】
前記キャッシュドロワーの開閉のロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、エラー表示部と、を備え、前記キャッシュドロワーを駆動可能なプリンターの制御方法であって、
前記駆動切替部をコイル抵抗検出部側に切り替えるステップと、
前記キャッシュドロワーに予備通電を行って、前記ロック用コイルの抵抗値を検出するステップと、
検出された前記ロック用コイルの抵抗値を所定値と比較し、前記所定値外の値であった場合は、前記キャッシュドロワー駆動回路部からの前記ロック用コイルの駆動を禁止してエラー表示部にエラー表示をし、前記所定値内の値であった場合は、前記ロック用コイルを駆動するステップと、
を含むことを特徴とするプリンターの制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のプリンターの制御方法の各ステップを、前記プリンターの制御部に実行させることを特徴とするプリンターの制御プログラム。
【請求項8】
キャッシュドロワーを接続し駆動可能なPOS端末装置であって、
前記キャッシュドロワーを開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、
前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、
前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、
を備えることを特徴とするPOS端末装置。
【請求項9】
キャッシュドロワーを接続し駆動可能なキャッシュドロワー駆動装置であって、
前記キャッシュドロワーを開閉するためのロック用コイルを駆動するための駆動電流を供給するキャッシュドロワー駆動回路部と、
前記ロック用コイルの抵抗値を検出するコイル抵抗検出部と、
前記ロック用コイルに対して、前記キャッシュドロワー駆動回路部を接続するか、あるいは、前記コイル抵抗検出部を接続するかの切り替えを行う駆動切替部と、
を備えることを特徴とするキャッシュドロワー駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−176655(P2010−176655A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158664(P2009−158664)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】