説明

プリンター接続装置の制御方法およびプリンターシステム

【課題】アクチュエーター駆動回路を介してプリンターに接続されているプリンター接続装置の情報を取得することができるプリンター接続装置の制御方法を提案すること。
【解決手段】ロール紙プリンター2とブザー装置3はドロワーポート8の第1出力信号線DKD1の出力端子であるモジューラジャック28の第2ピン、第2出力信号線DKD2の出力端子であるモジューラジャック28の第3ピン、入力信号線DKSの入力端子であるモジューラジャック28の第3ピンで接続される。ロール紙プリンター2はドロワーポート8を制御してブザー装置3を制御するための第1出力信号および第2出力信号を生成し第2ピンおよび第5ピンを介してブザー装置3に供給する。ブザー装置3は、情報要求信号によって要求されている情報を取得して、パルス形状の情報信号をモジューラジャック28の第3ピンを介してロール紙プリンター2に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドロワーなどを駆動するためのアクチュエーターを駆動する回路を有するプリンターに、ブザー装置などの装置を接続し(以下、これらを「プリンター接続装置」とよぶ。)、プリンターから駆動回路を介してプリンター接続装置を駆動制御するプリンター接続装置の制御方法に関する。更に詳しくは、本発明は、プリンターが駆動回路を介してプリンター接続装置の情報を取得可能なプリンター接続装置の制御方法、および、プリンターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターの中には、釣り銭や売上金を格納するドロワー装置(銭箱装置)を開けるために駆動制御するドロワー駆動回路が搭載されているものがある。ドロワー駆動回路はプリンターの主駆動制御部によって駆動制御されるものであり、ドロワー装置を駆動するためのドロワー駆動信号を出力する出力端子およびドロワー装置のドロワーの開閉状態などを示す状態信号が入力される入力端子を備えている。
【0003】
ドロワー装置は、ドロワー駆動回路の入力端子および出力端子を介してプリンターに電気的に接続される。ロックされた閉状態のドロワー装置を開ける場合には、プリンターのドロワー駆動回路から出力端子を介してドロワー装置のロック機構を構成しているソレノイドにパルス状の電圧信号が印加され、ロックが解除される、ロックが解除されると、ドロワー装置のドロワーがばね力などの付勢力によって押し出されて開いた状態になる。操作者がドロワーを閉じると再びロック機構によるロック状態が形成され、このロック状態が入力端子を介してプリンター側において認識されるようになっている。
【0004】
特許文献1には、このようなプリンターをレストランの厨房で用いる際などに、ドロワー装置の代わりに、ドロワー駆動回路の出力端子を介してプリンターに接続することが可能な通知装置が記載されている。プリンターの主駆動制御部は、調理を指示する調理指示伝票が発行された時などに、ドロワー駆動回路を駆動制御して、通知装置を駆動制御するための鳴動制御信号を生成し、この鳴動制御信号を、出力端子を介してドロワー装置に供給する。プリンターから鳴動制御信号が供給されると、通知装置は鳴動制御信号に基づいてブザーを鳴動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−99968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、通知装置のファームウエアのバージョンが所定のバージョンではない場合には、プリンターからの鳴動制御信号が通知装置に供給されたときに、ブザーから所望の鳴動が得られないなどの不具合が発生することがある。しかし、上記の技術では、プリンターから通知装置の情報を取得する方法がないので、不具合が発生したときに通知装置のファームウエアのバージョン情報を取得することができず、不具合の原因を究明するのに時間がかかるという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ドロワーなどを駆動するためのアクチュエーターを駆動する駆動回路を有するプリンターを用いてドロワー装置以外のプリンター接続装置を制御できるようにすると共に、当該プリンター接続装置のバージョン情報などの各種の情報をプリンターが取得できるようにしたプリンター接続装置の駆動制御方法、および、当該駆動制御方法を用いたプリンターシステムを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、アクチュエーターの駆動信号を出力するための出力端子および信号が入力される入力端子を備えた駆動回路を有するプリンターに、プリンター接続装置を接続し、当該プリンターにより前記プリンター接続装置を制御するプリンター接続装置の制御方法であって、
前記プリンターは、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置に対して所定の情報の供給を要求する情報要求信号を生成し、当該情報要求信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、前記情報要求信号が供給されると、当該情報要求信号によって要求されている情報を、前記駆動回路の前記入力端子を介して前記プリンターに供給することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、プリンターとプリンター接続装置とは、アクチュエーターの駆動回路の出力端子および入力端子を介して通信を行う。出力端子はドロワー装置などを開けるためのアクチュエーターの駆動信号をプリンターからドロワー装置などに向かって出力するための端子であり、入力端子はドロワー装置などの開閉状態などを示す状態信号をドロワー装置などからプリンターに受け入れるための端子であり、いずれも駆動回路が備えている端子である。また、プリンターがプリンター接続装置を制御して通信する場合には、ドロワー装置などのアクチュエーターを駆動制御する回路と端子を使用し、駆動回路を制御してプリンター接続装置と通信するための信号を生成し、出力端子を介してプリンター接続装置に供給する。一方のプリンター接続装置も、情報要求信号が供給された場合には、ドロワー装置などを接続した場合と同様に、入力端子を介して情報をプリンターに供給する。従って、本発明によれば、プリンターにハードウェアの変更を加えることなく、プリンターとプリンター接続装置との間で双方向通信が可能となる。さらに、本発明によれば、プリンター接続装置は、プリンターからの情報要求信号によって要求されている情報をプリンターに供給するので、プリンターでプリンター接続装置の任意の情報を取得できる。
【0010】
本発明において、プリンターからプリンター接続装置を制御するためには、前記プリンターは、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、前記プリンター接続装置は、前記制御信号が供給されると、当該制御信号に基づき所定の動作をするが望ましい。後述のように、プリンター接続装置がブザー装置である場合、ブザーを鳴動するための制御信号に基づき、ブザーを鳴動する。
【0011】
この場合において、前記駆動回路は、第1回路および第2回路を備え、前記出力端子として前記第1回路によって生成された第1出力信号を出力する第1出力端子と、前記第2回路によって生成された第2出力信号を出力する第2出力端子が備わっており、前記情報要求信号および前記制御信号を、それぞれ、前記第1出力信号および前記第2出力信号の組み合わせによって規定することが望ましい。駆動回路は2つのアクチュエーターを駆動する回路を備えているので、情報要求信号および制御信号の供給を、第1回路の第1出力端子を介した信号線と第2回路の第2出力端子を介した信号線の2本の信号線を用いて行えば、通信の信頼性を向上させることが容易である。
【0012】
この場合において、プリンターからプリンター接続装置への通信を同期式で行うためには、前記第1出力信号は、前記情報要求信号あるいは前記制御信号を含む一連のパルス信号であり、前記第2出力信号は、一定の周期で信号レベルが繰り返し変化するタイミング信号であり、前記プリンター接続装置は、前記第2出力信号の信号レベルの立下り時点あるいは立ち上がり時点から前記周期よりも短い所定時間当該第2出力信号の信号レベルに変化がないことを検出した後に前記第1出力信号の信号レベルを順次に取得することにより、前記情報要求信号および前記駆動制御信号を認識することが望ましい。第2出力信号の信号レベルに変化がないことを検出した後に第1出力信号の信号レベルを取得すれば、プリンターからプリンター接続装置への通信にノイズが含まれている場合を排除できるので、通信の信頼性を確保できる。
【0013】
また、プリンター接続装置からの情報をプリンターで取得するためには、前記プリンター接続装置は、前記情報要求信号によって要求されている前記情報を含む一連のパルス信号である情報信号を出力し、前記プリンターは、前記情報要求信号を前記プリンター接続装置に供給した直後における前記第2出力信号の立ち上がり時点あるいは立下り時点の前記情報信号の信号レベルを順次に取得することにより、当該情報信号を認識することが望ましい。
【0014】
この場合において、プリンター側で情報を確実に取得するためには、前記第2出力信号の信号レベルが変化する周期は、前記プリンター接続装置が前記情報要求信号の供給を受けてから前記情報信号として供給するまでに要する時間よりも長くしておけばよい。
【0015】
本発明において、前記アクチュエーターは、ドロワー装置のロック機構を解除するソレノイドとすることができ、前記プリンター接続装置はブザー装置とすることができる。この場合には、POS用のプリンターに備えられている駆動回路を用いて、ブザー装置を接続して通信を行い、所定の鳴動をさせることができる。また、駆動回路を介して、ブザー装置のファームウエアのバージョン情報を取得することができる。さらに、ブザー装置のファームウエアのバージョンが古い場合には、駆動回路を用いて、ファームウエアをバージョンアップさせるための情報をブザー装置へ送り、ファームウエアを更新させることができる。
【0016】
次に、本発明は、アクチュエーターの駆動信号を出力するための出力端子および信号が入力される入力端子を備えた駆動回路および当該駆動回路を制御する制御部を備えたプリンターと、当該プリンターに接続されたプリンター接続装置とを有するプリンターシステムにおいて、
前記プリンター接続装置は、前記入力端子および前記出力端子を介して前記プリンターに接続されており、
前記プリンターの前記制御部は、前記駆動回路を制御して前記プリンター接続装置に対して所定の情報の供給を要求する情報要求信号を生成し、当該情報要求信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、少なくとも一つの状態情報が記憶保持されている記憶部と、前記情報要求信号が供給されたことが認識された場合に、当該情報要求信号によって要求されている情報を前記記憶部から取り出して前記プリンターの前記入力端子に供給する接続装置側制御部とを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、プリンターとプリンター接続装置とは、駆動回路の出力端子および入力端子を介して接続される。出力端子はドロワー装置などを開くためのアクチュエーターを駆動する駆動信号をプリンターからドロワー装置などに向かって出力するための端子であり、入力端子はドロワー装置などの開閉状態などを示す状態信号をドロワー装置などからプリンターに受け入れるための端子であり、いずれも駆動回路が備えている端子である。また、プリンターの制御部がプリンター接続装置を制御して通信する場合には、ドロワー装置などのアクチュエーターを駆動制御する回路と端子を使用し、駆動回路を制御してプリンター接続装置と通信するための信号を生成し、出力端子を介してプリンター接続装置に供給する。一方のプリンター接続装置の接続装置側制御部も、情報要求信号が供給された場合には、ドロワー装置などを接続した場合と同様に、入力端子を介してその情報をプリンターに供給する。従って、本発明によれば、プリンターにハードウェアの変更を加えることなく、プリンターとプリンター接続装置との間で双方向通信が可能となる。さらに、本発明によれば、プリンター接続装置の接続装置側制御部は、プリンターからの情報要求信号によって要求されている情報を記憶部から取り出してプリンターに供給するので、プリンターでプリンター接続装置の任意の情報を取得できる。
【0018】
また、本発明によれば、レストランなどで、顧客の会計用途でプリンターを使用する場合には、プリンターの駆動回路に、例えば、ドロワー装置を接続してドロワー装置を開けることができる。一方、ドロワー装置の接続が不要な厨房用途でプリンターを使用する場合には、プリンターの駆動回路にブザー装置などを接続して、料理を指示する調理指示伝票の印刷発行などを作業者に知らせることができる。従って、同一のプリンターを用いて複数の用途に対応できる。
【0019】
本発明において、プリンターからプリンター接続装置を制御するためには、前記プリンターの前記制御部は、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、前記プリンター接続装置は、前記接続装置側制御部によって制御される駆動機構を備えており、前記接続装置側制御部は、前記制御信号が供給されたことが認識された場合に、当該制御信号に基づいて前記駆動機構を制御することを特徴とする。
【0020】
本発明において、前記プリンターの前記駆動回路は、第1回路および第2回路を備え、前記出力端子として前記第1回路によって生成された第1出力信号を出力する第1出力端子と、前記第2回路によって生成された第2出力信号を出力する第2出力端子が備わっており、前記制御部は、前記情報要求信号および前記制御信号を、それぞれ、前記第1出力信号および前記第2出力信号の組み合わせによって規定することが望ましい。駆動回路は2つのアクチュエーターを駆動する回路を備えているので、情報要求信号および鳴動制御信号の供給を、第1回路の第1出力端子を介した信号線と第2回路の第2出力端子を介した信号線の2本の信号線を用いて行えば、通信の信頼性を向上させることが容易である。
【0021】
本発明において、前記アクチュエーターを、ドロワー装置のロック機構を解除するソレノイドとし、前記プリンター接続装置はブザー装置とすることができる。この場合には、POS用のプリンターに備えられている駆動回路を用いて、ブザー装置を接続して通信を行い、所定の鳴動をさせることができる。また、駆動回路を介して、ブザー装置のファームウエアのバージョン情報を取得することができる。さらに、ブザー装置のファームウエアのバージョンが古い場合には、駆動回路を用いて、ファームウエアをバージョンアップさせるための情報をブザー装置へ送り、ファームウエアを更新させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、プリンターとプリンター接続装置とは、アクチュエーターの駆動回路の出力端子および入力端子を介して通信を行う。出力端子はドロワー装置などを開けるためのアクチュエーターの駆動信号をプリンターからドロワー装置などに向かって出力するための端子であり、入力端子はドロワー装置などの開閉状態などを示す状態信号をドロワー装置などからプリンターに受け入れるための端子であり、いずれも駆動回路が備えている端子である。また、プリンターがプリンター接続装置を制御して通信する場合には、ドロワー装置などのアクチュエーターを駆動制御する回路と端子を使用し、駆動回路を制御してプリンター接続装置と通信するための信号を生成し、出力端子を介してプリンター接続装置に供給する。一方のプリンター接続装置も、情報要求信号が供給された場合には、ドロワー装置などを接続した場合と同様に、入力端子を介して情報をプリンターに供給する。従って、本発明によれば、プリンターにハードウェアの変更を加えることなく、プリンターとプリンター接続装置との間で双方向通信が可能となる。さらに、本発明によれば、プリンター接続装置は、プリンターからの情報要求信号によって要求されている情報をプリンターに供給するので、プリンターでプリンター接続装置の任意の情報を取得できる。
【0023】
また、本発明によれば、レストランなどで、顧客の会計用途でプリンターを使用する場合には、プリンターの駆動回路に、例えば、ドロワー装置を接続してドロワー装置を開けることができる。一方、ドロワー装置の接続が不要な厨房用途でプリンターを使用する場合には、プリンターの駆動回路にブザー装置などを接続して、料理を指示する調理指示伝票の印刷発行などを作業者に知らせることができる。従って、同一のプリンターを用いて複数の用途に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用したプリンターシステムの斜視図である。
【図2】本発明を適用したプリンターシステムの制御系を示す概略ブロック図である。
【図3】ドロワーポートの回路図である。
【図4】プリンターからブザー装置へ送信される制御指令の説明図である。
【図5】プリンターからブザー装置への通信動作を示すフローチャートおよびタイミングチャートである。
【図6】ブザー装置からプリンターへの通信動作を示すフローチャートおよびタイミングチャートである。
【図7】ドロワーポートにドロワー装置が接続されている構成例の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリンターシステムの実施の形態を説明する。
【0026】
(全体構成)
図1(a)は本発明を適用したプリンターシステムの外観斜視図であり、図1(b)はプリンターシステムの底部分を後方から見た斜視図である。
【0027】
プリンターシステム1は、顧客からの料理の注文情報の処理を行うホストコンピューターなどと接続されてオーダーエントリーシステムの一部を構成するものであり、レストランなどの厨房に設置される。図1(a)に示すように、プリンターシステム1は、ロール紙プリンター2と、このロール紙プリンター2に接続されたブザー装置(プリンター接続装置)3を備えている。
【0028】
ロール紙プリンター2は、直方体形状のプリンター本体21と、プリンター本体21の上面に取り付けた開閉蓋22を備えている。開閉蓋22の前側部分には、所定幅の記録紙排出口23が形成されている。記録紙排出口23の側方には蓋開閉レバー24が配置されており、蓋開閉レバー24を操作すると開閉蓋22のロックが解除されて、開閉蓋22が後端部を中心として開く。開閉蓋22が開くと、プリンター本体21の内部に形成されている不図示のロール紙収納部が開放状態となり、ロール紙の交換作業を行うことができる。直方体形状のプリンター本体21の前端面21aには、電源スイッチ25が設けられている。
【0029】
図1(b)に示すように、プリンター本体21の底部分には、後端面21bから前側に向かって切り欠かれた切り欠き部26が形成されている。切り欠き部26は、プリンター本体21の前端面21aと平行な前側端面26aを備えており、この前側端面26aには、RS−232Cコネクター27や6ピンのモジューラジャック28が設けられている。RS−232Cコネクター27はロール紙プリンター2をホストコンピューターなどに接続するために設けられているコネクターであり、モジューラジャック28はロール紙プリンター2とドロワー装置とを接続するために設けられているコネクターである。
【0030】
ブザー装置3は、モジューラジャック28を介してロール紙プリンター2に接続されており、ロール紙プリンター2からの制御指令に基づいて動作する。
【0031】
ブザー装置3はブザー31を搭載しており、制御指令には、このブザー31を所定の鳴動パターンで鳴動させる鳴動制御指令が含まれている。また、制御指令には、ブザー装置3に対して情報を要求する情報要求指令が含まれている。ブザー装置3は1枚の基板32上に構成されており、基板32は、切り欠き部26内に格納された状態で、ロール紙プリンター2に固定されている。
【0032】
(制御系)
図2は、本実施の形態のプリンターシステムの制御系を示す概略ブロック図である。
【0033】
図2に示すように、プリンターシステム1はホストコンピューター5に接続されてオーダーエントリーシステムを構築する。ロール紙プリンター2とホストコンピューター5とはRS−232Cコネクター27を介して接続されている。
【0034】
ロール紙プリンター2は、CPU、ROM、RAMを備えた主駆動制御部(制御部)6を中心に構成されている。主駆動制御部6には、通信インターフェース7を介してホストコンピューター5からの調理指示データなどが供給される。主駆動制御部6には、ドロワーポート(駆動回路)8、データ作成部9および受信バッファー10が接続されている。ブザー装置3は、ドロワーポート8のモジューラジャック28に接続されている。
【0035】
主駆動制御部6は、ブザー装置3を駆動制御するための制御指令を、第1制御信号および第2制御信号として、1ビット分ずつ、ドロワーポート8に入力する。また、第1制御信号および第2制御信号のドロワーポート8への入力を制御指令のデータ長分だけ繰り返す。
【0036】
ドロワーポート8は、図3に示すように、端子Aから入力される主駆動制御部6からの第1制御信号に基づいて第1出力信号を生成し、この第1出力信号をモジューラジャック28の第2ピン(第1出力端子)を介してブザー装置3に出力する第1出力信号線(第1回路)DKD1を備えている。また、端子Bから入力される主駆動制御部6からの第2制御信号に基づいて第2出力信号を生成し、この第2出力信号をモジューラジャック28の第5ピン(第2出力端子)を介してブザー装置3に出力する第2出力信号線(第2回路)DKD2を備えている。さらに、ドロワーポート8は、モジューラジャック28の第3ピン(入力端子)を介してブザー装置3から供給されてくる情報信号を受け入れる入力信号線DKSと、モジューラジャック28の第4ピンを介して24Vの駆動電源とブザー装置3とを接続する電力線PLとを備えている。入力信号線DKSはモジューラジャック28の第3ピンから、主駆動制御部6への入力端子となる端子Cまで延びている。なお、モジューラジャック28の第1ピンおよび第6ピンは接地されている。
【0037】
第1出力信号線DKD1は、第1トランジスター81および第1ダイオード82を有している。第1トランジスター81はNPN型であり、コレクタが第2ピンと接続され、エミッタがグランドに接地されている。主駆動制御部6からの第1制御信号は端子Aを介してベースに入力される。コレクタとベースとの間には、第1ダイオード82が接続されており、第2ピンの側から主駆動制御部6に向かって過大な電流が流れ込むことを防止している。第2出力信号線DKD2は、第2トランジスター83および第2ダイオード84を有している。第2トランジスター83はNPN型であり、コレクタが第5ピンに接続され、エミッタがグランドに接地されている。主駆動制御部6からの第1制御信号は、端子Bを介してベースに入力されるようになっている。コレクタとベースとの間には、第1ダイオード82が接続されており、第5ピンの側から主駆動制御部6に向かって過大な電流が流れ込むことを防止している。
【0038】
主駆動制御部6が制御指令をブザー装置3に供給する場合には、主駆動制御部6は、端子Aに第1制御信号を入力する。第1制御信号は制御指令に対応させたH(High)レベルまたはL(Low)レベルのパルス形状の電圧信号である。第1制御信号がHレベルの場合には、電力が供給される第4ピンからブザー装置3の側で構成された回路および第2ピンを経由して端子Aに至る回路において、第1トランジスター81がオンとなり、コレクタ電流が流れる。この結果、第1出力信号として制御指令に対応するHレベルの電圧信号からなるパルス信号が第2ピンを介してブザー装置3に出力される。第1制御信号がLレベルの場合には、電力が供給される第4ピンからブザー装置3の側で構成された回路および第2ピンを経由して端子Aに至る回路において、第1トランジスター81がオフとなる。この結果、第1出力信号として、制御指令に対応するLレベルのパルス信号が第3ピンを介してブザー装置3に出力される。これらが繰り返されることにより、第1出力信号として、一連のパルス信号が出力される。
【0039】
また、主駆動制御部6は、端子Bに第2制御信号を入力する。第2制御信号は一定の周期で信号レベルを変化させるパルス形状の電圧信号からなるタイミング信号である。これにより、電力が供給される第4ピンからブザー装置3の側で構成された回路を経由して端子Bに至る回路において、第2トランジスター83が所定の周期でオンとオフとを繰り返す。この結果、第2出力信号として、一定の周期で信号レベルが繰り返し変化するパルス形状のタイミング信号が出力される。第2出力信号は、通信の同期を取るためのクロック信号の役割をする。
【0040】
ここで、主駆動制御部6は、ドロワーポート8から出力される第1出力信号および第2出力信号の組み合わせによって、制御指令の1ビット分の情報を規定している。より具体的には、主駆動制御部6は、第2出力信号の立ち下りから所定時間経過した時点の第1出力信号により、ブザー装置3が制御指令の1ビット分の情報が認識できるようにしている。
【0041】
データ作成部9は、モジューラジャック28の第3ピンおよび入力信号線DKSを介して主駆動制御部6に順次に入力されてくる情報信号に基づいて、ブザー装置3から供給される情報を復元する。また、データ作成部9は、情報の復元が完了すると、復元された情報を通信バッファー10に格納する。従って、主駆動制御部6は、通信バッファー10を参照することにより、ブザー装置3から供給された情報を取得できる。
【0042】
次に、ブザー装置3は、通信インターフェース33と、この通信インターフェース33に接続されたブザー駆動制御部(接続装置側制御部)34およびデータ解析部35を備えている。通信インターフェース33は、モジューラジャック28の第2ピンおよび第5ピンから出力される第1出力信号および第2出力信号の電圧レベルを降下させて、ブザー駆動制御部34およびデータ解析部35に供給する。この例では、24Vからロジック回路用の3.3Vや5Vなどに変換する。
【0043】
ブザー駆動制御部34は、CPUや、ROM(記憶部)34a、RAMなどを備えている。ROM34aは、書き換え可能な不揮発性のメモリであり、この例ではCPUに内蔵されている。別体にしてCPUとバスで接続してもよい。ROM34aには、ブザー装置3を駆動制御するためのファームウエアや、このファームウエアのバージョン情報(状態情報)や、このファームウエアの製造元を示す製造元情報などが記憶保持されている。また、ロール紙プリンター2は、これらの情報に基づき、ブザー装置3に通信し制御することにより、ROM34aのファームを書き換えてバージョンアップすることができる。ブザー駆動制御部34には、このブザー駆動制御部34によって駆動制御されるブザー31と、作業領域としてRAMなど構成される受信バッファー36が接続されている。
【0044】
CPUなどによるデータ解析部35には、RAMなどによる解析済みデータ保持領域37が接続されており、この解析済みデータ保持領域37には受信バッファー36が接続されている。データ解析部35は、モジューラジャック28の第2ピンおよび第5ピンを介して主駆動制御部6から順次に供給されてくる第1出力信号および第2出力信号を解析して、制御指令(制御信号)の1ビット分の情報を順次に取得し、解析済みデータ保持領域37に保持する。また、データ解析部35は、解析済みデータ保持領域37に制御指令の情報が1バイト分溜まる毎に、受信バッファー36に格納する動作を繰り返し、制御指令を受信バッファー36で復元する。
【0045】
CPUなどによるブザー駆動制御部34は、受信バッファー36に制御指令が復元されると、この制御指令が情報要求指令(情報要求信号)か否かを識別する。制御指令が情報要求指令ではない場合には、この制御指令は鳴動制御指令なので、ブザー駆動制御部34は鳴動制御指令に基づいてブザー31を鳴動させる。ブザー31は、自励式でも他励式でもよく、駆動回路も含まれる。鳴動制御指令はブザー31に対し、所定の引数により、鳴動の周波数、強弱、音色、鳴動時間などの指定が可能である。
【0046】
また、ブザー駆動制御部34は、制御指令が情報要求指令の場合には、情報要求指令によって要求されている情報を1ビットずつ取得するとともに、この情報に対応させたHレベルまたはLレベルのパルス形状の電圧信号を情報信号として、モジューラジャック28の第3ピンから入力信号線DKSを介して、主駆動制御部6に供給する。また、このような情報信号の供給を、情報要求指令によって要求されている情報のデータ長分だけ繰り返す。これにより、情報要求指令によって要求されている情報は、ブザー駆動制御部34からの一連のパルス信号として主駆動制御部6に供給される。
【0047】
(ロール紙プリンターによるブザー装置の駆動制御動作)
次に、図4〜図6を参照して、ロール紙プリンター2によるブザー装置3の駆動制御動作を説明する。図4(a)はロール紙プリンター2からブザー装置3に供給される鳴動制御指令を示す説明図であり、図4(b)は、ロール紙プリンター2からブザー装置3に供給される情報要求指令を示す説明図である。図5(a)はロール紙プリンター2からブザー装置3へ向けて制御指令が供給される際のロール紙プリンター2側の動作を示すフローチャートであり、図5(b)はロール紙プリンター2からブザー装置3へ向けて制御指令が供給される際のブザー装置3側の動作を示すフローチャートであり、図5(c)はロール紙プリンター2からブザー装置3へ制御指令が伝達される通信動作のタイミングチャートである。図6(a)はブザー装置3からロール紙プリンター2へ向けて情報が供給される際のブザー装置側の動作を示すフローチャートであり、図6(b)はブザー装置3からロール紙プリンター2へ向けて情報が供給される際のロール紙プリンター2側の動作を示すフローチャートであり、図6(c)はブザー装置3からロール紙プリンター2へ情報が伝達される通信動作のタイミングチャートである。
【0048】
図4に示すように、ロール紙プリンター2の主駆動制御部6からブザー装置3に送信される制御指令は4バイトの情報である。鳴動制御指令は、図4(a)に示すように、第1バイトがブザー31を鳴動させるか否かを制御するためのコマンド情報であり、第2バイトおよび第3バイトがブザー31の鳴動周波数を制御するための周波数情報であり、第4バイトがブザー31の鳴動時間を制御するための時間情報となっている。情報要求指令は、図4(b)に示すように、第1バイトが主駆動制御部6の要求している情報を示すコマンド情報であり、第2バイトおよび第3バイトがダミー情報であり、第4バイトが第1バイトで指定された情報の何ビット目の値を取得するかを指定する取得ビット情報である。コマンド情報によって要求される情報としては、例えば、ブザー装置3のファームウエアのバージョン情報がある。バージョン情報は、ブザー駆動制御部34のROM34aに格納されている8ビットの情報である。従って、取得ビット情報としては、1から8までの値が指定される。
【0049】
ロール紙プリンター2からブザー装置3へ制御指令を送信する場合には、図5(a)に示すように、主駆動制御部6は、端子BにHレベルの第2制御信号を入力して、第2出力信号線DKD2からHレベルの第2出力信号を500μsecの間出力する(ステップST1、図5(c)のt0)。
【0050】
次に、主駆動制御部6は、制御指令のコマンド情報の第1ビットに対応させた信号レベルを、第1出力信号線DKD1からの第1出力信号に設定する。具体的には、その第1ビットが1の場合には、主駆動制御部6は端子AにHレベルの第1制御信号を入力して、第1出力信号線DKD1からHレベルの第1出力信号を出力させる。その第1ビットが0の場合には、主駆動制御部6は端子AにLレベルの第1制御信号を入力して、第1出力信号線DKD1からLレベルの第1出力信号を出力させる。本例では、第1ビットが1となっており、第1出力信号線DKD1からは、Hレベルの第1出力信号が出力されている。(ステップST2、図5(c)のt1)。
【0051】
しかる後に、主駆動制御部6は、端子BにLレベルの第2制御信号を入力して、第2出力信号線DKD2からLレベルの第2出力信号を500μsecの間出力する(ステップST3、図5(c)のt2)。
【0052】
一方、ブザー装置3側では、図5(b)に示すように、ブザー駆動制御部34が、第2出力信号線DKD2の第2出力信号がHレベルからLレベルに変化する立下りを検出すると、ブザー駆動制御部34に割り込み処理が発生するようになっている(ステップST11、図5(c)のt2)。
【0053】
割り込み処理では、データ解析部35は、ノイズを除去するために、50μsecの間、第2出力信号線DKD2の第2出力信号に変化がないことを確認し(ステップST12)、しかる後に、第1出力信号線DKD1の第1出力信号を検出して(ステップST13、図5(c)のt3)、制御指令の第1ビットが1か0かを取得する。そして、取得された制御指令の第1ビットの情報を、解析済みデータ保持領域37に格納する(ステップST14)。
【0054】
これらの動作により、ロール紙プリンター2からブザー装置3への制御指令の第1ビットの送信が終了するので、主駆動制御部6は、引き続き、制御指令の次のビットについて、ステップST1〜ST3の送信動作を行う。これに伴い、ブザー装置3側では、ステップST11〜ステップST14の受信動作が行われる。
【0055】
ここで、ブザー装置3側でステップST11〜ステップST14の受信動作が行われる毎に、解析済みデータ保持領域37に1バイト分の情報が溜まっているか否か確認され(ステップST15)、1バイトの情報が溜まっていることが確認されると、これらの情報は受信バッファー36に格納される(ステップST16)。これらの動作は、受信バッファー36に制御指令のデータ長分の4バイトの情報が記憶保持されるまで繰り返される。
【0056】
制御指令の最後の1バイト分の情報が受信バッファー36に記憶保持されると、制御指令が受信バッファー36で復元される。
【0057】
受信バッファー36に制御指令が復元されると、図6(a)に示すように、ブザー駆動制御部34に割り込み処理が発生し(ステップST21、図6(c)のt10)、ブザー駆動制御部34は、この制御指令が情報要求指令か否かを識別する(ステップST22)。
【0058】
ステップST22において、制御指令が鳴動制御指令の場合には、ブザー駆動制御部34は、鳴動制御指令に基づいて、ブザー31を所定の周波数で所定の時間だけ鳴動させる。
【0059】
ステップST22において、制御指令が情報要求指令の場合には、ブザー駆動制御部34は情報要求指令で指定されている情報を取得する。ここでは、情報要求指令のコマンド情報でブザー駆動制御部34のROM34aに格納されているファームウエアのバージョン情報を取得することが指定されており、取得ビット情報でバージョン情報の第1ビットが指定されているものとする。
【0060】
ブザー駆動制御部34は、ROM34aからバージョン情報の第1ビットを取得すると、この第1ビットに対応する信号レベルを備えたパルス形状の情報信号を生成して、モジューラジャック28の第3ピンを介して入力信号線DKSに入力する。具体的には、バージョン情報の第1ビットが1の場合にはHレベルの電圧信号を情報信号として生成し、0の場合にはLレベルの電圧信号を情報信号として生成し、入力信号線DKSに入力する。本例では、バージョン情報の第1ビットが1であり、Hレベルの情報信号が入力されている(ステップST23、図6(c)のt11)。
【0061】
一方、情報要求指令の送信が完了した主駆動制御部6では、主駆動制御部6が、情報要求信号を供給し終わったt10の直後における第2出力信号の立ち上がりの時点t12で入力信号線DKSに入力されている情報信号の信号レベルを検出する。より具体的には、情報要求指令の最後の1ビットの情報を送信した時点から(ステップST31、図6(c)のt10)、500μsec経過するのを待って(ステップST32、図6(c)のt12)、入力信号線DKSに入力されている情報信号の信号レベルを検出し、信号レベルに基づいてバージョン情報の第1ビットが1か0かを取得する。また、取得した情報をデータ作成部9に保持する(ステップST33)。
【0062】
ここで、情報要求指令の最後の1ビットの情報を送信した時点t10から500μsec経過した時点t12で入力信号線DKSに入力されている情報信号の信号レベルを検出するのは、ブザー駆動制御部34が情報要求指令を受信してから、この情報要求指令を解釈し、要求されているファームウエアのバージョン情報の第1ビットを取得し、バージョン情報に対応する信号レベルの情報信号を入力信号線DKSに入力するまでに必要な処理時間(t10〜t11)を考慮したものである。本例では、この処理時間が360μsec程度なので、t10の時点から500μsec経過したt12の時点で入力信号線DKSの信号レベルを検出することにより、ブザー装置3から送信されたバージョン情報の第1ビットを確実に取得できる。
【0063】
バージョン情報の第1ビットがデータ作成部9に保持されると、主駆動制御部6は、引き続き、バージョン情報の次のビットの取得を要求する情報要求指令を送信する。すなわち、ロール紙プリンター2側では、取得ビット情報をインクリメントしながらステップST1からステップST3の送信動作を行う。これに伴い、ブザー装置3側では、ステップST11〜ST16の受信動作とステップST21からステップST23の送信動作を行う。データ作成部9では、1ビットずつ取得される情報を、既に取得された情報に反映させてバージョン情報を復元していく。
【0064】
これらの動作がバージョン情報のデータ長分である8回くり返されると、データ作成部9によるバージョン情報の復元が完了する。そこで、データ作成部9は復元されたバージョン情報を受信バッファー36に格納する。主駆動制御部6は、受信バッファー36を参照することにより、ブザー装置3のファームウエアのバージョン情報を取得する。ロール紙プリンター2は、これらの情報に基づき、ブザー装置3に通信し制御することにより、ROM34aのファームを書き換えてバージョンアップすることができる。
【0065】
(ロール紙プリンターによるドロワー装置の駆動制御動作)
次に、参考例として、ロール紙プリンター2によるドロワー装置の駆動制御動作を説明する。図7はドロワーポートにドロワー装置が接続されている例を示す回路図である。
【0066】
ロール紙プリンターのドロワーポート8は、モジューラジャック28を介して、2つのドロワーが搭載されたドロワー装置を駆動することが可能である。従って、ドロワーポート8には、第1のドロワーを閉状態から開状態にするための第1ソレノイド(アクチュエーター)91、第2のドロワーを閉状態から開状態にするための第2ソレノイド(アクチュエーター)92、第1のドロワーおよび第2のドロワーの開閉状態を機械的または光学的な機構で検出する開閉状態検出スイッチ93、および、各ドロワーがノイズなどによって開状態にならないように一方側が接地されたシールド94が接続される。
【0067】
2つのドロワーとロール紙プリンター2が接続された状態では、第1ソレノイド91のコイルの一方側はモジューラジャック28の第2ピンを介してドロワーポート8の第1出力信号線DKD1に接続され、他方側は第4ピンを介して電力線PLから24Vの駆動電源に接続される。第2ソレノイド92のコイルの一方側は第5ピンを介して第2出力信号線DKD2に接続され、他方側は第4ピンを介して電力線PLから24Vの駆動電源に接続される。開閉状態検出スイッチ93は、一方側が第3ピンを介して入力信号線DKSに接続され不図示のプルアップ抵抗によりプルアップされ、他方側が第6ピンを介してロール紙プリンター2側で接地されている。シールド94の他方側は、第1ピンを介してロール紙プリンター2側で接地される。
【0068】
ロール紙プリンター2が第1のドロワーおよび第2のドロワーを開状態にする場合には、主駆動制御部6は、まず、入力信号線DKSに入力されている状態信号を確認する。第1のドロワーおよび第2のドロワーが開状態になっているときには、開閉状態検出スイッチ93がオンとなっており、入力信号線DKSには2V〜5VのHレベルの電圧信号が状態信号として入力される。第1のドロワーおよび第2のドロワーが閉状態のときには開閉状態検出スイッチ93がオフとなっており、入力信号線DKSには、0V〜0.8VのLレベルの電圧信号が状態信号として入力される。入力信号線DKSに入力された状態信号は、端子Cを介して主駆動制御部6に入力されている。
【0069】
主駆動制御部6によって、状態信号がLレベルであり、第1のドロワーおよび第2のドロワーが閉状態であることが確認されると、主駆動制御部6は、端子Aにドロワー駆動信号を入力する。ドロワー駆動信号はHレベルのパルス形状の電圧信号である。ドロワー駆動信号が入力されると、電力が供給される第4ピンから第1ソレノイド91、第2ピンを経由して端子Aに至る回路において第1トランジスター81がオンとなり、コレクタ電流が流れる。この結果、第1出力信号線DKD1から24Vの電圧信号が所定時間だけ第1ソレノイド91に印加されるので、第1のドロワーは開状態となる。
【0070】
また、主駆動制御部6は、端子Bにドロワー駆動信号を入力する。ドロワー駆動信号はHレベルのパルス形状の電圧信号である。ドロワー駆動信号が入力されると、電力が供給される第4ピンから第2ソレノイド92、第5ピンを経由して端子Bに至る回路において第2トランジスター83がオンとなりコレクタ電流が流れる。この結果、第2出力信号線DKD2から24Vの電圧信号が所定時間だけ第2ソレノイド92に印加されるので、第2のドロワーは開状態となる。第1のドロワーおよび第2のドロワーが開状態となると、開閉状態検出スイッチ93がオンとなるので、入力信号線DKSにはHレベルの状態信号が入力される
【0071】
(作用効果)
本実施の形態によれば、ロール紙プリンター2とブザー装置3とは、ドロワーポート8の第1出力信号線DKD1の出力端子であるモジューラジャック28の第2ピン、第2出力信号線DKD2の出力端子であるモジューラジャック28の第3ピン、入力信号線DKSの入力端子であるモジューラジャック28の第3ピンを介して接続されている。これらの出力端子を備える第1出力信号線DKD1および第2出力信号線DKD2は、ドロワー装置を駆動するドロワー駆動信号をロール紙プリンター2からドロワー装置に向かって出力するための信号線であり、入力端子を備える入力信号線DKSはドロワー装置の開閉状態などを示す状態信号をドロワー装置からロール紙プリンター2に受け入れるための信号線であり、いずれもドロワー駆動回路が一般的に備えている信号線の端子である。
【0072】
また、ロール紙プリンター2の主駆動制御部6がブザー装置3を駆動制御する場合には、ドロワー装置を駆動制御する場合と同様に、ドロワーポート8を駆動制御してブザー装置3を駆動制御するための第1出力信号および第2出力信号を生成し、モジューラジャック28の第2ピンおよび第5ピンを介してブザー装置3に供給する。一方のブザー装置3のブザー駆動制御部34も、情報要求信号が供給された場合には、ドロワー装置と同様に、パルス形状の情報信号をモジューラジャック28の第3ピンを介してロール紙プリンター2に供給する。従って、本実施の形態によれば、ロール紙プリンター2に変更を加えることなく、ロール紙プリンター2とブザー装置3の間で双方向通信が可能となる。
【0073】
また、ブザー装置3は、ロール紙プリンター2からの情報要求信号によって要求されている情報をROM34aなどから取得して、ロール紙プリンター2に供給するので、ロール紙プリンター2でブザー装置3の任意の情報を取得できる。
【0074】
さらに、本実施の形態によれば、ロール紙プリンター2がブザー装置3を駆動制御する際に、第1出力信号線DKD1と第2出力信号線DKD2の2本の通信線をして、同期式の通信を行っている。従って、通信の信頼性を向上させることができる。
【0075】
また、データ解析部35は、第1出力信号線DKD1の第1出力信号を検出して、制御指令の第1ビットが1か0かを取得する前に、50μsecの間、第2出力信号線DKD2の第2出力信号に変化がないことを確認している。従って、ロール紙プリンター2からブザー装置3への通信において、ノイズが含まれている場合を排除できる。
【0076】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、ブザー駆動制御部34が、第2出力信号線DKD2の第2出力信号がHレベルからLレベルに変化する立下りを検出すると、ブザー駆動制御部34に割り込み処理が発生するようになっているが、第2出力信号がLレベルからHレベルに変化する立ち上がりを検出したときに、割り込み処理が発生するようになっていてもよい。この場合には、主駆動制御部6は、情報要求信号を供給し終わった直後における第2出力信号の立ち下がりの時点で入力信号線DKSに入力されている情報信号の信号レベルを検出すれば、ブザー装置3から供給された情報を取得できる。
【0077】
また、上記の実施の形態では、情報要求指令によって取得を指定される情報は、ブザー装置3のファームウエアのバージョン情報であったが、情報要求指令によって取得を指定される情報はこれに限られるものではない。例えば、ブザー装置3が正規品か否かを確かめるために、ブザー駆動制御部34のROM34aに格納されている製造元を示す製造元情報の取得が指定されることもある。
【0078】
さらに、上記の実施の形態では、ブザー装置3がロール紙プリンター2に接続されているが、ドロワーポート8を介してロール紙プリンター2に接続するプリンター接続装置はブザー装置3に限られるものではない。プリンター接続装置としては、例えば、表示灯があり、表示灯が接続される場合には、主駆動制御部6は、鳴動制御指令に代わりに、表示灯の発光パターンや発光時間を駆動制御する発光制御指令をドロワーポート8を介して表示灯へ供給する。また、主駆動制御部6は、情報要求指令によって、表示灯のファームウエアのバージョン情報などを取得する。
【符号の説明】
【0079】
1・プリンターシステム、2・ロール紙プリンター、3・ブザー装置、5・ホストコンピューター、6・主駆動制御部、7・通信インターフェース、8・ドロワーポート、9・データ作成部、10・受信バッファー、21・プリンター本体、22・開閉蓋、23・記録紙排出口、24・蓋開閉レバー、25・電源スイッチ、26・切り欠き部、27・RS−232Cコネクター、28・モジューラジャック、31・ブザー、32・基板、33・通信インターフェース、34・ブザー駆動制御部、34a・ROM、35・データ解析部、36・受信バッファー、37・データ保持領域、81・83・トランジスター、82・84・ダイオード、91・92・ソレノイド、93・開閉状態検出スイッチ、94・シールド、DKD1・出力信号線、DKD2・出力信号線、DKS・入力信号線、PL・電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエーターの駆動信号を出力するための出力端子および信号が入力される入力端子を備えた駆動回路を有するプリンターに、プリンター接続装置を接続し、当該プリンターにより前記プリンター接続装置を制御するプリンター接続装置の制御方法であって、
前記プリンターは、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置に対して所定の情報の供給を要求する情報要求信号を生成し、当該情報要求信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、前記情報要求信号が供給されると、当該情報要求信号によって要求されている情報を、前記駆動回路の前記入力端子を介して前記プリンターに供給することを特徴とするプリンター接続装置の制御方法。
【請求項2】
前記プリンターは、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、前記制御信号が供給されると、当該制御信号に基づき所定の動作をすることを特徴とする請求項1に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項3】
前記駆動回路は、第1回路および第2回路を備え、前記出力端子として前記第1回路によって生成された第1出力信号を出力する第1出力端子と、前記第2回路によって生成された第2出力信号を出力する第2出力端子が備わっており、
前記情報要求信号および前記制御信号を、それぞれ、前記第1出力信号および前記第2出力信号の組み合わせによって規定することを特徴とする請求項2に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項4】
前記第1出力信号は、前記情報要求信号あるいは前記制御信号を含む一連のパルス信号であり、
前記第2出力信号は、一定の周期で信号レベルが繰り返し変化するタイミング信号であり、
前記プリンター接続装置は、前記第2出力信号の信号レベルの立下り時点あるいは立ち上がり時点から前記周期よりも短い所定時間当該第2出力信号の信号レベルに変化がないことを検出した後に前記第1出力信号の信号レベルを順次に取得することにより、前記情報要求信号および前記駆動制御信号を認識することを特徴とする請求項3に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項5】
前記プリンター接続装置は、前記情報要求信号によって要求されている前記情報を含む一連のパルス信号を情報信号として出力し、
前記プリンターは、前記情報要求信号を前記プリンター接続装置に供給した直後における前記第2出力信号の立ち上がり時点あるいは立下り時点の前記情報信号の信号レベルを順次に取得することにより、当該情報信号を認識することを特徴とする請求項4に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項6】
前記第2出力信号の信号レベルが変化する周期は、前記プリンター接続装置が前記情報要求信号の供給を受けてから前記情報信号として供給するまでに要する時間よりも長いことを特徴とする請求項5に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項7】
前記アクチュエーターは、ドロワー装置のロック機構を解除するソレノイドであり、前記プリンター接続装置はブザー装置であることを特徴とする請求項1ないし6のうちのいずれかの項に記載のプリンター接続装置の制御方法。
【請求項8】
アクチュエーターの駆動信号を出力するための出力端子および信号が入力される入力端子を備えた駆動回路および当該駆動回路を制御する制御部を備えたプリンターと、当該プリンターに接続されたプリンター接続装置とを有するプリンターシステムにおいて、
前記プリンター接続装置は、前記入力端子および前記出力端子を介して前記プリンターに接続されており、
前記プリンターの前記制御部は、前記駆動回路を制御して前記プリンター接続装置に対して所定の情報の供給を要求する情報要求信号を生成し、当該情報要求信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、少なくとも一つの状態情報が記憶保持されている記憶部と、前記情報要求信号が供給されたことが認識された場合に、当該情報要求信号によって要求されている情報を前記記憶部から取り出して前記プリンターの前記入力端子に供給する接続装置側制御部とを備えていることを特徴とするプリンターシステム。
【請求項9】
前記プリンターの前記制御部は、前記駆動回路を制御して、前記プリンター接続装置を制御する制御信号を生成し、当該制御信号を、前記出力端子を介して前記プリンター接続装置に供給し、
前記プリンター接続装置は、前記接続装置側制御部によって制御される駆動機構を備えており、前記接続装置側制御部は、前記制御信号が供給されたことが認識された場合に、当該制御信号に基づいて前記駆動機構を制御することを特徴とする請求項8に記載のプリンターシステム。
【請求項10】
前記プリンターの前記駆動回路は、第1回路および第2回路を備え、前記出力端子として前記第1回路によって生成された第1出力信号を出力する第1出力端子と、前記第2回路によって生成された第2出力信号を出力する第2出力端子が備わっており、
前記制御部は、前記情報要求信号および前記制御信号を、それぞれ、前記第1出力信号および前記第2出力信号の組み合わせによって規定することを特徴とする請求項9に記載のプリンターシステム。
【請求項11】
前記アクチュエーターは、ドロワー装置のロック機構を解除するソレノイドであり、前記プリンター接続装置はブザー装置であることを特徴とする請求項8ないし10のうちのいずれかの項に記載のプリンターシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−8318(P2011−8318A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148378(P2009−148378)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】