説明

プリンター

【課題】ロール紙と外部投入されたスリップ紙の両方にカラー印刷が可能な機構を備えつつ、装置を小型化する。
【解決手段】ロール状に巻き取られた感熱発色性を有する第1被印刷媒体を収納する媒体収納部120と、媒体収納部に収納された第1被印刷媒体を第1搬送経路に沿って排紙口へと搬送する第1搬送機構122と、感熱発色性を有しない第2被印刷媒体が媒体投入口140から投入されると、当該第2被印刷媒体を第1搬送経路とは異なる第2搬送経路に沿って、排紙口へと搬送する第2搬送機構142と、第1搬送経路および第2搬送経路の合流位置よりも排紙口側に設けられたインクジェット印刷部130と、合流位置に対して排紙口と反対側の第1搬送経路に設けられ、第1被印刷媒体の表面に接触して印刷する部分だけを加熱して、当該部分を発色させるサーマル印刷部126とを備えるプリンター100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンターに関する。より詳しくは、例えば感熱発色性を有するロール紙に対してサーマル印刷とインクジェット印刷の両方が可能であり、さらに、専用の投入口から投入されたスリップ紙に対してインクジェット印刷が可能なプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
小売店において商品の決済情報を印刷したレシートを生成するために、レジスターとともに用いられる小型のプリンターが広く普及している。この種のプリンターの出力態様として、小売店における販売促進等のために、印刷出力されるレシート上に、小売店のロゴや小売店における商品の広告やキャンペーンなどの販促情報(以下、「マーケティングメッセージ」と称する。)を、決済情報の印刷スペースの空き領域(例えば、決済情報の上下やレシートの裏面)を用いて印刷することが行われつつある。
【0003】
レシート上に販促情報を印刷して顧客に提供する方法として、従来から主に2種類の方法が用いられている。1つは、裏面側などに予め所定のマーケティングメッセージを印刷したロール紙をプリンターに設置して使用する方法である。この方法では、マーケティングメッセージを予めロール紙に印刷することができるので、カラー印刷や精細な写真などの印刷が可能である一方で、印刷するマーケティングメッセージの内容を定期的に変更したり、店舗毎に異なる内容を印刷するなどの柔軟な対応が難しいという課題がある。
【0004】
レシート上にマーケティングメッセージを印刷する他の方法は、決済情報の印刷時に、決済情報の印刷に用いるのと同じ印刷機構か、又はそれとは別に備えられた専用の印刷機構を用いてマーケティングメッセージをレシート毎に印刷する方法である。この方法では、プリンターに記憶させたマーケティングメッセージのデータを必要に応じて変更したり、店舗毎に異なる内容を印刷するなどの対応が容易に行える。
【0005】
また、特に欧米などでは、顧客から提示された小切手やクーポンの裏書をレジのオペレーターがその場で行うことが多く、その場合、オペレーターが顧客の購入品の決済処理の作業を一時的に中断して小切手等の裏書きを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−170631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような方法に、プリンターにマーケティングメッセージをカラー印刷するための機構を設けたり、小切手やクーポンの裏書きを担う機構を設けることでレジ作業の作業性の向上が見込めるものの、プリンターが大型化し、装置の価格も高くなってしまう。また、裏書印刷を行う専用のプリンターを設けた場合、レジ作業が煩雑となることが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、ロール状に巻き取られた感熱発色性を有する第1被印刷媒体を収納する媒体収納部と、前記媒体収納部に収納された前記第1被印刷媒体を第1搬送経路に沿って排紙口へと搬送する第1搬送機構と、感熱発色性を有しない第2被印刷媒体が媒体投入口から投入されると、当該第2被印刷媒体を前記第1搬送経路とは異なる第2搬送経路に沿って前記排紙口へと搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送経路および前記第2搬送経路の合流位置よりも前記排紙口側に設けられ、前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体の表面にインクを吐出することにより当該表面に印刷を行うインクジェット印刷部と、前記合流位置に対して前記排紙口と反対側の前記第1搬送経路に設けられ、前記第1被印刷媒体の表面に接触して印刷する部分だけを加熱して当該部分を発色させるサーマル印刷部と、前記インクジェット印刷部よりも前記排紙口側に設けられ、前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体を前記排紙口から本体外部へ排紙する排紙機構と、を備えることを特徴とするプリンターを提供する。
【0009】
このようなプリンターによれば、例えば価格などの決済情報がサーマル印刷されたレシートと外部から挿入された小切手の両方にインクジェット印刷を施すことができるとともに、インクジェット印刷の機構や排紙口を共通化することで、プリンターをより小型化することができる。また、排紙口を共通化することで、レジなどに設置した際にオペレーターがレシートと小切手を一度に取り出すことが可能となり作業性が向上する。
【0010】
また、上記プリンターにおいて、前記排紙機構は、前記排紙口の内側における当該排紙口の近傍に設けられ、短札状の前記第2被印刷媒体の後端部分を挟持しつつ前記第2被印刷媒体の少なくとも一部が前記排紙口の外側に露出するように前記第2被印刷媒体を搬送する排紙ローラーを有することが好ましい。
【0011】
これにより、小切手などの短札状の第2被印刷媒体が印刷後にプリンターから飛び出した状態で保持されているので取り出し易い。また、第2被印刷媒体が完全にプリンターから離れないので紛失しにくい。
【0012】
また、上記プリンターは、前記排紙機構によって前記排紙口から排紙される前記第1被印刷媒体に対して、所定の長さで部分的な切り込みを入れる切断機構をさらに備えることが好ましい。
【0013】
これにより、レシートなどの第1被印刷媒体が印刷後にプリンターから飛び出した状態で残りの第1被印刷媒体と部分的につながったままであるので紛失しにくく切り離しも容易である。
【0014】
また、上記プリンターは、前記排紙機構によって前記排紙口から排紙される前記第1被印刷媒体に対して、所定の長さで切断する切断機構と、前記排紙口の外側に設けられ、前記排紙機構によって前記排紙口から排紙された前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体を載置するスタッカーと、をさらに備えてもよい。
【0015】
これにより、レシートなどの第1被印刷媒体および小切手などの第2被印刷媒体がともに印刷後にスタッカーに載置されるので取り出し易い。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンター100およびプリンター100に対して各種の制御命令を送信するホストコンピューター200の概略構成を示す図である。
【図2】プリンター100によってロール紙に決済情報およびマーケティングメッセージが印刷されたレシートの一例を示す。
【図3】プリンター100によってロール紙およびスリップ紙に対して印刷する際の動作フローの一例を示す。
【図4】プリンター100によってロール紙およびスリップ紙に対して印刷する際の動作フローの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態について説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態における特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンター100およびプリンター100に対して各種の制御命令を送信するホストコンピューター200の概略構成を示す図である。プリンター100は、図1に示すように、ロール紙収納部120、第1搬送ローラー122、ロール紙センサー124、サーマル印刷部126、インクジェット印刷部130、第2搬送ローラー142、スリップ紙センサー144、MICRユニット146、裏書印刷部148、排紙機構150、切断機構160、および制御部190が、本体外面を覆う筐体110の内部に配されている。なお、ロール紙収納部120は、本発明における媒体収納部の一例である。また、第1搬送ローラー122および第2搬送ローラー142は、それぞれ、本発明における第1搬送機構および第2搬送機構の一例である。また、筐体110の上面には排紙口170、スタッカー172、および警告表示用LED180が設けられており、筐体110の側面には媒体投入口140が設けられている。
【0020】
ロール紙収納部120は、感熱発色性を有するロール紙(第1被印刷媒体)を収容する。このロール紙は、先端が引き出されて第1搬送ローラー122によって第1搬送経路(図1に「H1」で示す搬送経路)に沿って排紙口170へと搬送される。一方、媒体投入口140から投入された小切手などの感熱発色性を有しないスリップ紙(第2被印刷媒体)は、第2搬送ローラー142によって上記第1搬送経路とは異なる第2搬送経路(図1に「H2」で示す搬送経路)に沿って排紙口170へと搬送される。ロール紙センサー124は、第1搬送経路上にロール紙が存在するか否かを検出する。また、スリップ紙センサー144は、第2搬送経路上に媒体投入口140から投入されたスリップ紙が存在するか否かを検出する。
【0021】
なお、図1に示すように、ロール紙の搬送経路である第1搬送経路と小切手などのスリップ紙の搬送経路である第2搬送経路は、インクジェット印刷部130の手前で合流する。すなわち、インクジェット印刷部130は、第1搬送経路と第2搬送経路との合流位置よりも排紙口170側に設けられている。このインクジェット印刷部130は、キャリッジ131、インクジェットヘッド132、インク吐出センサー133、プラテン134、インクカートリッジ136、およびインク残量センサー138を含み、ロール紙およびスリップ紙の両方に対してその表面にインクを吐出することによりカラー印刷を行うことができる。
【0022】
より具体的には、制御部190からの制御命令に基づいて、キャリッジ131がロール紙およびスリップ紙の搬送方向に直交する方向に移動しつつ、インクカートリッジ136から供給されるインクがインクジェットヘッド132からロール紙あるいはスリップ紙の表面に吐出されることによってインクジェット印刷が行われる。なお、インクジェットヘッドから吐出されたインクのうち印刷に供されなかったものは、プラテン134で回収される。また、インクカートリッジ136内のインク残量は、インク残量センサー138によって適宜チェックされる。また、インクジェットヘッド132からのインクの吐出状況は、インク吐出センサー133でチェックされる。インクジェット印刷部130は、本例では、複数色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)でカラー印刷可能な構成となっている。
【0023】
サーマル印刷部126は、第1搬送経路と第2搬送経路との合流位置に対して排紙口170と反対側の第1搬送経路上に設けられている。すなわち、サーマル印刷部126は、ロール紙のみが搬送される搬送経路上に設けられている。サーマル印刷部126は、ロール紙の表面に接触することにより当該表面における印刷する部分だけを加熱して当該部分を発色させるサーマルヘッドを有し、制御部190からの制御命令に基づいて、例えば商品の価格や数量などの決済情報をロール紙の表面に印刷する。
【0024】
MICRユニット146は、媒体投入口140から投入された小切手などのスリップ紙にMICRトナーで印字された文字などの情報を読み取り、制御部190へと出力する。裏書印刷部148は、媒体投入口140から投入されたスリップ紙が小切手など裏書きを必要とするものである場合に、制御部190からの制御命令に基づいて、当該スリップ紙の表面に裏書印刷する。裏書印刷部148は、本例では、スリップ紙の裏面に対して単色印刷が可能な構成であれば特に限定されない。
【0025】
排紙機構150は、インクジェット印刷部130よりも排紙口170側に設けられ、切断機構160を挟むように設けられた排紙ローラー151,152を有する。排紙ローラー151,152は、インクジェット印刷部130を通過したロール紙およびスリップ紙を排紙口170から本体外部へ排紙する。本例では、排紙ローラー152が特に排紙口170の近傍に設けられているので、例えば小切手などの短札状のスリップ紙が搬送されてきた場合に、その後端部分を挟持しつつ当該スリップ紙の少なくとも一部が排紙口170の外側に露出するように当該スリップ紙を搬送する。すなわち、本例では、例えば裏書印刷を終えて排紙さえた小切手は、排紙ローラー152によって後端部分が挟持された状態で、その大部分が排紙口170の外側に露出する。
【0026】
このように、小切手などの短札状のスリップ紙の大部分が印刷後にプリンター100の外側に飛び出した状態で保持されているので取り出し易く、その一方で、スリップ紙が完全にプリンター100から離れないので紛失しにくい。
【0027】
切断機構160は、固定刃および可動刃で構成され、排紙機構150によって排紙されるロール紙を固定刃と可動刃とで挟むことでロール紙を所定の長さで切断する。なお、切断機構160によって切断されたロール紙は、排紙ローラー152によって排紙口170から本体外部へ排紙されてスタッカー172上に載置される。また、排紙機構150によって排紙されるスリップ紙は、小切手のように短札状である場合は、切断機構160で切断されずにそのまま排紙機構150によって排紙口170から本体外部へ排紙されてスタッカー172上に載置される。このように、ロール紙が切断されたレシートと小切手などがともに印刷後にスタッカー172に重なるように載置されるので取り出し易い。
【0028】
なお、プリンター100がスタッカー172を有しない形態である場合は、切断機構160は、排紙機構150によって排紙されるロール紙を切断せずにロール紙に対して部分的な切り込みを入れても良い。これにより、排紙後のロール紙が残りのロール紙と部分的につながったままであるので紛失しにくく切り離しも容易である。
【0029】
警告表示用LED180は、例えばロール紙収納部120に収容されたロール紙がなくなったことがロール紙センサー124で検出された場合、あるいは、インクカートリッジ136内のインク残量が少なくなった(あるいは無くなった)ことがインク残量センサー138で検出された場合に、警告表示として、それぞれの状況に応じた点灯状態あるいは点灯色で点灯する。なお、警告表示の方法は本例の警告表示用LED180に限られず、例えば筐体110の外部にLCDなどを設けて警告内容などを具体的に表示しても良い。
【0030】
制御部190は、演算処理回路とバッファメモリー等から構成され、例えばレジなどに内蔵されるホストコンピューター200から送信される印刷データおよび印刷指令を受け取り、プリンター100の各部に対して制御命令を出力する。例えば制御部190は、媒体投入口140からスリップ紙が投入された場合は、第1搬送ローラー122によるロール紙の搬送を停止させて、第2搬送ローラー142によってスリップ紙を第2搬送経路に沿って搬送させつつ、ホストコンピューター200から受け取った印刷データおよび印刷指令に応じて、スリップ紙に対して裏書印刷部148による裏書印刷あるいはインクジェット印刷部130による表書印刷を実行させた後、排紙機構150によって印刷済みのスリップ紙を排紙口170から本体外部へ排紙させる。
【0031】
そして、制御部190は、引き続き、第1搬送ローラー122によってロール紙を第1搬送経路に沿って搬送させつつ、ホストコンピューター200から受け取った印刷データおよび印刷指令に応じて、サーマル印刷部126によるサーマル印刷およびインクジェット印刷部130によるカラー印刷を実行させた後、排紙機構150によって印刷済みのロール紙を排紙口170から本体外部へ排紙させる。なお、プリンター100におけるロール紙およびスリップ紙の印刷順序は本例に限られず、制御部190は、ロール紙の印刷を先に完了させてからスリップ紙の印刷を実行させても良く、また、これに替えて、ロール紙の印刷とスリップ紙の裏書印刷を並行して実行させても良い。
【0032】
また、制御部190は、ロール紙センサー124およびスリップ紙センサー144や、インクジェット印刷部130のインク吐出センサー133およびインク残量センサー138などの各センサーの検出結果を受け取り、その検出結果に応じて制御命令を変更する。また、制御部190は、MICRユニット146によって読み取られた情報を受け取り、その内容をホストコンピューター200へ送信する。
【0033】
図2は、プリンター100によってロール紙に決済情報およびマーケティングメッセージが印刷されたレシートの一例を示す。本例では、インクジェット印刷部130によって、レシートにおける図2に「A1」で示す領域にロゴが、図2に「A3」で示す領域にマーケティングメッセージが、それぞれカラー印刷されている。また、図2に「A2」で示す領域にはサーマル印刷部126によって購入品目や価格などの決済情報がサーマル印刷されている。
【0034】
このように、本実施形態に係るプリンター100は、価格などの決済情報がサーマル印刷されたロール紙と外部から挿入された小切手などのスリップ紙の両方にインクジェット印刷部130によってカラー印刷を施すことができるとともに、ロール紙とスリップ紙に対してカラー印刷するためのインクジェット印刷部130やこれらを印刷後に排紙する排紙口170を共通化することで、プリンター100をより小型化することができる。また、排紙口170を共通化することで、レジなどに設置した際にオペレーターがレシートと小切手を一度に取り出すことが可能となり作業性が向上する。
【0035】
図3および図4は、プリンター100によってロール紙およびスリップ紙に対して印刷する際の動作フローの一例を示す。本動作フローでは、まず、制御部190は、インクジェット印刷部130のインク残量センサー138から、インクカートリッジ136内のインク残量の検出データを取得する(ステップS100)。ここで、裏書印刷部148のインク残量が検出可能である場合は、制御部190は、当該インク残量の検出データを併せて取得しても良い。
【0036】
そして、制御部190は、インクカートリッジ136内のインク残量が警告レベルを下回っていることが検出された場合(ステップS105:NO)は、インク残量が警告レベルを下回っている旨の警告を示す態様で警告表示用LED180を点灯させる。一方、インクカートリッジ136内のインク残量が警告レベルを上回っていれば(ステップS105:YES)、媒体投入口140からスリップ紙が投入されているか否かがスリップ紙センサー144によって検出される(ステップS115)。そして、スリップ紙が検出されなければ(ステップS120:NO)、ロール紙センサー124によってロール紙の有無が検出される(ステップS200)。なお、制御部190は、上記インク残量の検出データの取得、警告レベルとの比較、および、警告レベルを下回っている場合に警告表示用LED180を点灯(ステップS100、S105、S110)の各処理を、後述のステップS220においてロール紙にロゴマークをインクジェット印刷する前などにも行ってよい。
【0037】
一方、スリップ紙が検出された場合(ステップS120:YES)は、MICRユニット146によって、スリップ紙に印字されたMICR文字が読み取られる(ステップS125)。そして、制御部190がホストコンピューター200から裏書印刷データおよび裏書印刷すべき印刷命令を受け取っていれば(ステップS130:YES)、スリップ紙に対して裏書印刷部148によって裏書印刷が実行される(ステップS135)。
【0038】
一方、制御部190がホストコンピューター200から裏書印刷データおよび裏書印刷すべき印刷命令を受け取っていなければ(ステップS130:NO)、表書印刷データおよび表書印刷すべき印刷命令を受け取っていれば(ステップS140:YES)、スリップ紙に対してインクジェット印刷部130によって表書印刷が実行される(ステップS145)。なお、制御部190がホストコンピューター200から裏書印刷データおよび表書印刷データのいずれも受け取っていない場合は(ステップS140:NO)、および、スリップ紙に対して裏書印刷や表書印刷が実行されると、排紙機構150によってスリップ紙が排紙口170から本体外部へ排紙される(ステップS150)。
【0039】
続いて、ロール紙の有無がロール紙センサー124によって検出される(ステップS200)。そして、ロール紙収納部120に収納されていたロール紙が無くなったことなどによりロール紙センサー124によってロール紙が検出されなければ(ステップS205:NO)、制御部190は、ロール紙を補充すべき旨の警告を示す態様で警告表示用LED180を点灯させる(ステップS215)。
【0040】
一方、ロール紙が検出された場合(ステップS205:YES)は、インクジェット印刷部130は、ロール紙に印刷すべきロゴマークのデータを制御部190から取得し(ステップS210)、制御部190からの制御命令に応じてロール紙にロゴマークをインクジェット印刷する(ステップS220)。そして、サーマル印刷部126は、ロール紙に印刷すべき決済情報のデータ(レシートデータ)を制御部190から取得し(ステップS225)、制御部190からの制御命令に応じてロール紙に決済情報をサーマル印刷する(ステップS230)。
【0041】
次に、制御部190がホストコンピューター200からロール紙に印刷した決済情報に関連するマーケティングメッセージおよび当該マーケティングメッセージを印刷すべき指令を受け取った場合は(ステップS245:YES)、制御部190は、インクジェット印刷部130によって、決済情報に関連付けられたマーケティングメッセージをロール紙に印刷させる(ステップS250)。なお、制御部190がホストコンピューター200から上記指令を受け取っていない場合は(ステップS245:NO)、制御部190は、インクジェット印刷部130によって、制御部190のバッファメモリーに記憶されている定型のマーケティングメッセージをロール紙に印刷させる(ステップS255)。
【0042】
インクジェット印刷部130によるロール紙へのマーケティングメッセージの印刷が終わると、ロール紙は切断機構160によって所定の長さに切断され(ステップS260)、排紙機構150によって排紙口170から本体外部へ排紙される(ステップS265)。以上により、本フローは終了する。
【0043】
このように、本実施形態に係るプリンター100は、感熱発色性を有するロール紙に価格などの決済情報をサーマル印刷することができるだけでなく、当該ロール紙にロゴやマーケティングメッセージをカラー印刷することができる。また、これに加えて、外部から挿入された小切手などのスリップ紙に裏書印刷とともに必要に応じて表書印刷を行うことができる。
【0044】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることができることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0045】
100…プリンター、110…筐体、120…ロール紙収納部(媒体収納部)、122…第1搬送ローラー(第1搬送機構)、124…ロール紙センサー、126…サーマル印刷部、130…インクジェット印刷部、131…キャリッジ、132…インクジェットヘッド、133…インク吐出センサー、134…プラテン、136…インクカートリッジ、138…インク残量センサー、140…スリップ紙投入口(媒体投入口)、142…第2搬送ローラー(第2搬送機構)、144…スリップ紙センサー、146…MICRユニット、148…裏書印刷部、150…排紙機構、151,152…排紙ローラー、160…切断機構、170…排紙口、172…スタッカー、180…警告表示用LED、190…制御部、200…ホストコンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻き取られた感熱発色性を有する第1被印刷媒体を収納する媒体収納部と、
前記媒体収納部に収納された前記第1被印刷媒体を第1搬送経路に沿って排紙口へと搬送する第1搬送機構と、
感熱発色性を有しない第2被印刷媒体が媒体投入口から投入されると、当該第2被印刷媒体を前記第1搬送経路とは異なる第2搬送経路に沿って前記排紙口へと搬送する第2搬送機構と、
前記第1搬送経路および前記第2搬送経路の合流位置よりも前記排紙口側に設けられ、前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体の表面にインクを吐出することにより当該表面に印刷を行うインクジェット印刷部と、
前記合流位置に対して前記排紙口と反対側の前記第1搬送経路に設けられ、前記第1被印刷媒体の表面に接触して印刷する部分だけを加熱して当該部分を発色させるサーマル印刷部と、
前記インクジェット印刷部よりも前記排紙口側に設けられ、前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体を前記排紙口から本体外部へ排紙する排紙機構と、
を備えることを特徴とするプリンター。
【請求項2】
前記排紙機構は、前記排紙口の内側における当該排紙口の近傍に設けられ、短札状の前記第2被印刷媒体の後端部分を挟持しつつ前記第2被印刷媒体の少なくとも一部が前記排紙口の外側に露出するように前記第2被印刷媒体を搬送する排紙ローラーを有することを特徴とする請求項1に記載のプリンター。
【請求項3】
前記排紙機構によって前記排紙口から排紙される前記第1被印刷媒体に対して、所定の長さで部分的な切り込みを入れる切断機構をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載のプリンター。
【請求項4】
前記排紙機構は、前記切り込みが前記排紙口の外側に露出する位置まで前記第1被印刷媒体を搬送することを特徴とする請求項3に記載のプリンター。
【請求項5】
前記排紙機構によって前記排紙口から排紙される前記第1被印刷媒体に対して、所定の長さで切断する切断機構と、
前記排紙口の外側に設けられ、前記排紙機構によって前記排紙口から排紙された前記第1被印刷媒体および前記第2被印刷媒体を載置するスタッカーと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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