説明

プリンタ装置

【課題】 複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置において、発熱抵抗体の抵抗値が温度により異なることに着目し、印画紙のエッジ検出を行う。
【解決手段】
制御部183は、エッジ検出モード時に、サーマルヘッド2への各発熱抵抗体22に共通接続された基準抵抗302を介して各発熱抵抗体22に順次通電し、上記基準抵抗302による降下電圧として、各発熱抵抗体22の抵抗値変化を検出することにより、上記各発熱抵抗体22の通電による温度上昇の変化に基づいて、上記サーマルヘッド2により印画する印画紙4の4隅においてエッジ位置を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷媒体に画像や文字を印刷するプリンタ装置として、インクリボンの一方の面に設けられたインク層を形成する色材を昇華させ、印画紙に色材を熱転写させてカラー画像や文字を印刷する熱転写型のプリンタ装置がある。この種のプリンタ装置は、インクリボンの色材を印画紙に熱転写させる複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドと、このサーマルヘッドと対向する位置に設けられ、インクリボン及び印画紙を支持するプラテンとを備える。
【0003】
かかるプリンタ装置は、インクリボンがサーマルヘッド側となり、印画紙がプラテン側となるように、インクリボンと印画紙とを重ね合わせ、プラテンでインクリボンと印画紙とをサーマルヘッドに押圧しながらサーマルヘッドとプラテンとの間にインクリボンと印画紙とを走行させる。この際に、プリンタ装置は、サーマルヘッドとプラテンとの間を走行するインクリボンに対して、裏面側からインク層に熱エネルギを印加し、その熱エネルギで色材を昇華させ、色材を印画紙に熱転写させることで、カラー画像や文字を印刷する。
【0004】
【特許文献1】特許平6−340136号公報
【特許文献2】特許平9−187977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のプリンタ装置では、給紙された印画紙の傾きなどに適応的に対応した印画処理を行うために、CCDラインセンサなどを用いて印画紙のエッジを検出するようにしていた。
【0006】
本発明は、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置において、発熱抵抗体の抵抗値が温度により異なることに着目し、印画紙のエッジ検出を行うことにより、エッジ検出用のCCDラインセンサなどを必要とすることなく、印画紙の四隅で高速にエッジ検出を行うことができるようにすることを目的とする。
【0007】
本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施の形態の説明から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置であって、給紙された印画紙に対向する発熱抵抗体と上記印画紙に対向しない発熱抵抗体の通電による温度上昇の変化に基づいて、上記サーマルヘッドにより印画する印画紙の四隅でエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、上記エッジ位置検出手段による検出出力に基づいて、上記サーマルヘッドによる印画動作を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置において、発熱素子の温度により熱抵抗が異なることに着目し、印画紙のエッジ検出を行うことにより、別のセンサを必要とすることなく印画紙の四隅でエッジ検出を行うことができる。さらに、1隅目の検出結果に基づいて、紙幅から2隅目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くしてエッジ位置検出を行うことにより、より迅速にエッジ検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0011】
本発明は、例えば図1に示すような構成のプリンタ装置1に適用される。
【0012】
このプリンタ装置1は、インクリボン3を収納したインクリボンカートリッジ35が装着され、複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッド2とこのサーマルヘッド2と対向する位置に設けられたプラテンローラ5との間に、インクリボン3と印画紙4とを走行させ、サーマルヘッド2により熱エネルギをインクリボン3に印加することによって、インクリボン3の染料を印画紙に熱転写し、印画紙4に画像を印刷する昇華型のプリンタであり、印画紙4が収納された印画紙トレイ45が装着されるとともに、インクリボンカートリッジ35が装着され、印画紙4を内外に亘って搬送し印刷を行う略矩形状のプリンタ装置本体1100と、この装置本体1100に電源ケーブル1210を介して外部接続された外部電源装置1200からなる。
【0013】
このプリンタ装置1は、図2に示すように、装置本体1100の前面1103aに印画紙4が収納された印画紙トレイ45が装着される開口部1108が形成され、この前面1103a側より装置本体1100内へ印画紙4の挿入、排出が行われるものである。また、プリンタ装置1は、図3に示すように、上下方向に回動自在に設けられ装置本体1100の上面1103bを構成する天板1106を有し、この天板1106が上方に回動されることにより、天板1106とともに上方に回動されるインクリボンカートリッジホルダ1107が前面1103a側より外方に臨まされ、前面1103a側よりインクリボンカートリッジ35の挿脱が行われるものである。
【0014】
そしてプリンタ装置1は、装置本体1100に設けられた記録メディア用スロット1116A,1116Bに装着された記録メディアやUSB等を介して接続されたデジタルスチルカメラ等の各種記録媒体に記録された画像情報が伝送され、かかる画像情報を基にサーマルヘッド2により熱エネルギをインクリボン3に印加するとともに、印画紙トレイ45に収納された印画紙4を搬送することにより、所定の画像を印刷していく。
【0015】
また、装置本体1100は、上面1103bを構成する天板1106にプリンタ装置1の操作パネル1104及び印刷画像等を表示するLCDパネル1105が設けられている。天板1106は、トップシャーシが取り付けられ、このトップシャーシと接続されたインクリボンカートリッジホルダ1107とともに上下方向に回動可能とされている。
【0016】
また装置本体1100は、前面1103aに印画紙4が収納された印画紙トレイ45が装着される開口部1108と、各種記録メディアが装着される記録メディア用スロット1116A,1116Bと、天板1106を上方に回動させるオープンボタン1117が設けられている。開口部1108は、シャッタ1108により開閉自在とされており、シャッタ1108が開放されることにより印画紙トレイ45が装着される。
【0017】
そしてプリンタ装置1は、開口部1108より印画紙トレイ45が装着されると共に、オープンボタン1117が操作され天板1106が上方に回動されることにより前面1103a側に臨まされたインクリボンカートリッジホルダ1107にインクリボンカートリッジ35が装着され、天板1106が装置本体1100側に戻されることにより印刷準備が整う。また、プリンタ装置1は、記録メディアに記録された画像やUSB等を介して接続されたメモリ装置やデジタルスチルカメラ等の各種記録装置に記録された画像がLCDパネル1105に表示され、操作パネル1104を操作することにより、印刷画像の選択や、サイズ、枚数等の設定、印刷開始、停止等の各種操作を行うことができる。
【0018】
かかるプリンタ装置1は、前面1103a側より印画紙4の挿入及び排出が行われるとともに、前面1103a側よりインクリボンカートリッジ35の挿脱が可能に形成されていることから、インクリボンカートリッジが装置本体の側面から挿脱されるタイプのプリンタ装置に比して、装置本体の側面側にインクリボンカートリッジ35の挿脱用のスペースを確保する必要がなく、プリンタ装置1の配置場所の省スペース化を図り、使い勝手の向上を図ることができる。
【0019】
またユーザは、装置本体1100の正面を向きながら、装置本体1100の前面1103a側に開口されたインクリボンカートリッジホルダ1107へインクリボンカートリッジ35を挿脱させることとなるため、挿脱動作が容易となる。さらに装置本体の側面からインクリボンカートリッジの挿脱を行うタイプに比して、プリンタ装置1は、装置本体1100の側面部に印画紙4の搬送機構やインクリボン3の走行機構等を配設することができ、またインクリボンカートリッジ35の装着と同時にサーマルヘッド2とインクリボン3とを対峙させることができる。
【0020】
このプリンタ装置1に装着されるインクリボンカートリッジ35は、印画紙4に転写される染料層が形成されたインクリボン3が巻回された供給側スプール3aと、インクリボン3を巻き取る巻取側スプール3bと、インクリボン3が巻回された供給側スプール3a及び巻取側スプール3bとカートリッジ本体に収納してなる。
【0021】
インクリボン3は、図4に示すように、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム等の合成樹脂フィルムでなる基材3aの一方の面に、画像を形成するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の染料と熱可塑性樹脂とで形成された染料層3b、3c、3d及び例えば染料層3b、3c、3dと同じ熱可塑性樹脂で形成された保護層3eが一定の間隔を持って長手方向に順次繰り返し設けられている。そして、基材3aには、染料層3b、3c、3d及び保護層3eを一組として、順次、長手方向に並んで形成されている。染料層3b、3c、3d及び、保護層3eは、サーマルヘッド2により印刷する画像データに応じた熱エネルギが印加されることによって、印画紙4の受容層に順次熱転写される。
【0022】
かかるインクリボン3は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の染料層3b〜3d及び保護層3eを1枚の画像を印刷するのに用いるようになっている。そして、インクリボン3は、一端部が供給側スプール11に係止され、他端部が巻取側スプール12に巻回され、印刷の進行に従って、順次、供給側スプール11から供給され、巻取側スプール12に巻き取られる。
【0023】
なお、上記インクリボン3は、少なくとも一の染料層と保護層を有していれば、その他の構成は特に限定されるものではない。例えば、インクリボン3は、ブラック(K)の染料層と保護層で構成されていても良く、また、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)ブラック(K)の染料層と保護層とで構成されていても良い。
【0024】
このプリンタ装置1は、図5に示すように、サーマルヘッド2と、このサーマルヘッド2と対向する位置に設けられたプラテンローラ5と、装着されたインクリボン3の走行をガイドする複数のリボンガイド6a,6bと、インクリボン3と共にサーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に印画紙4を走行させるピンチローラ7a及びキャプスタンローラ7bと、装置本体1100の前面1103aから装着された印画紙トレイ45より印画紙4を引き出して印画紙4をサーマルヘッド2側に搬送し、また、印刷後の印画紙4を排紙する給排紙ローラ8及び搬送ローラ9とを備える。
【0025】
サーマルヘッド2は、図6に示すように、プリンタ装置1の筐体側の取付部材10にネジ等の固定部材11で取り付けられている。インクリボン3をガイドするリボンガイド6a,6bは、サーマルヘッド2の前後、すなわちサーマルヘッド2に対してインクリボン3が進入する側とインクリボン3を排出する側とに設けられる。リボンガイド6a,6bは、重なり合ったインクリボン3と印画紙4とがサーマルヘッド2と略垂直に当たるように、サーマルヘッド2の前後で、インクリボン3と印画紙4とをガイドし、サーマルヘッド2の熱エネルギを確実にインクリボン3に印加できるようにしている。
【0026】
リボンガイド6aは、サーマルヘッド2に対してインクリボン3が進入する側に設けられる。このリボンガイド6aは、下端側の面12が曲面となっており、サーマルヘッド2よりも上方に設けられた供給側スプール3aから供給されたインクリボン3をサーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に進入させる。リボンガイド6bは、サーマルヘッド2に対してインクリボン3が排出される側に設けられる。このリボンガイド6bは、下端に平坦に形成された平坦部13と、この平坦部13のサーマルヘッド2と反対側の端部から略垂直に立ち上がり、インクリボン3を印画紙4から剥離させる剥離部14とを有する。このリボンガイド6bは、平坦部13で熱転写後のインクリボン3の熱を冷まし、平坦部13で熱を冷ました後、剥離部14でインクリボン3を印画紙4に対して略垂直に立ち上げて、インクリボン3を印画紙4から剥離させる。このリボンガイド6bは、ネジ等の固定部材15でサーマルヘッド2に取り付けられている。
【0027】
このような構成のプリンタ装置1では、プラテンローラ5をサーマルヘッド2に押圧しながら、サーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に、巻取側スプール3bを巻取方向に回転させることでインクリボン3を巻取方向に走行させ、ピンチローラ7aとキャプスタンローラ7bとで印画紙4を挟み込み、キャプスタンローラ7b及び排紙ローラ8を排紙方向(図1中矢印A方向)に回転させることで排紙方向に印画紙4を走行させる。印刷する際には、先ずサーマルヘッド2からインクリボン3のイエローのインク層に対して熱エネルギを印加し、イエローの色材をインクリボン3と重なり合って走行している印画紙4に熱転写し、次いで、イエローの色材が熱転写された画像形成部にマゼンタの色材を熱転写し、次いで、イエロー及びマゼンタの色材が熱転写された画像形成部にシアンの色材を熱転写し、最後に、ラミネートフィルムを熱転写することにより、カラー画像や文字を印刷する。
【0028】
このようなプリンタ装置1に用いられるサーマルヘッド2は、印画紙4の走行方向に対して直交方向、すなわち印画紙4の幅方向の両端に余白を設けた縁ありの画像を印刷できる他、余白を無くした縁なしの画像を印刷することができる。
【0029】
サーマルヘッド2は、印画紙4の幅方向の両端まで色材を熱転写できるように、図7中矢印L方向に示す長さが印画紙4の幅よりも長くなるように形成されている。サーマルヘッド2は、インクリボン3の色材を印画紙4に熱転写するヘッド部20が放熱部材50に取り付けられてなる。このヘッド部20は、図8及び図9に示すように、ガラスで形成されたベース層21と、ベース層21上に設けられる発熱抵抗体22と、この発熱抵抗体22の両側に設けられる一対の電極23a,23bと、発熱抵抗体22上及び発熱抵抗体22の周囲に設けられる抵抗体保護層24とを備えている。このサーマルヘッド2は、一対の電極23a,23b間から露出している発熱抵抗体22の部分を発熱部22aとしている。
【0030】
ベース層21には、例えば軟化点が500℃程度のガラスで略矩形状に形成されており、インクリボン3と対向する一方の面21aに略半円柱状をなす突部25が一体に形成され、この突部25の反対側に、ベース層21の他方の面側を開放した溝部26が設けられている。このベース層21は、突部25がベース層21の幅方向の略中央、長さ方向(図8中L方向)に略半円柱状に形成されることで、走行するインクリボン3に対する当たりを良くし、熱エネルギが走行するインクリボン3に対して確実に印加され、色材が印画紙4に熱転写されるようにしている。すなわち、自動車のフロントガラスは、僅かに湾曲されることによって、ワイパによる水弾きを良くしているが、ここでは、突部25を略半円柱状に形成することによって、インクリボン3の色材が印画紙4に確実に転写されるようにしている。
【0031】
ベース層21の内側の面に設けられる溝部26は、突部25上に略直線状に設けられた発熱部22aの列22bと対向して凹状に形成され、ベース層21内に空隙部を形成している。そして、ベース層21では、突部25の表面25aと溝部26の天井面31aとの間を発熱部22aから発生した熱エネルギを蓄熱する蓄熱部27としている。
【0032】
ベース層21は、溝部26によって、内部に空隙部が形成されることで、溝部26内の空気によって、発熱部22aで発生した熱エネルギが内側に放熱されにくくなり、インクリボン3に効率的に熱エネルギを印加し易い構成になっている。一方で、蓄熱部27は、ベース層21内に溝部26が形成されることで、薄くなり、熱容量が小さくなり、短時間で放熱を行うことができるようにもなる。このように、溝部26が形成されたベース層21は、蓄熱量が小さくなることで、放熱を短時間で行うことができるようになり、サーマルヘッド2の応答性を良くすることができると共に、放熱されにくい構成であることで、熱効率の向上を図ることができ、サーマルヘッド2の省電力化を図ることができる。
【0033】
なお、このベース層21は、ガラスに代表される所定の表面性や熱特性等を有する材質であればよく、ここでいうガラスの他に、人工水晶や人造ルビー、人造サファイヤ等の合成宝石や人造石、高密度セラミック等であっても良い。
【0034】
以上のようなベース層21上に形成される発熱抵抗体22は、図9に示すように、ベース層21の一方の面上に形成されている。この発熱抵抗体22は、Ta−NやTa−SiO2等の高抵抗で耐熱性を有する材料で形成されている。この発熱抵抗体22上の両側には、一対の電極23a,23bが形成されている。一対の電極23a,23bは、発熱抵抗体22に電源からの電流を発熱部22aに供給し、発熱部22aを発熱させる。一対の電極23a,23bは、例えばアルミニウム、金、銅等の電気伝導性の良い材料で形成されている。一対の電極23a,23b間は、発熱抵抗体22を露出させ、インクリボン3に熱エネルギを印加する発熱部22aとなる。発熱部22aは、突部25上に略直線状に形成され、それぞれがドットサイズよりもやや大きく、略矩形又は正方形状に形成されている。
【0035】
なお、発熱抵抗体22の形成される領域は、発熱部22aとなる領域より一対の電極23a,23bが電気的に接続できる程度に大きければ、特にベース層21の一方の面21aの全面に設ける必要はない。
【0036】
ヘッド部20の最も外側に設けられる抵抗体保護層24は、発熱抵抗体22及び共通電極23aの全体、及び個別電極23bの発熱部22a側の端部を覆い、サーマルヘッド2とインクリボン3が接した際に生じる摩擦等から発熱部22a、発熱部22aの周囲に設けられた一対の電極23a,23bを保護する。この抵抗体保護層24は、高温下で高強度、耐摩耗性等の機械的特性及び耐熱性、耐熱衝撃性、熱伝導性等の熱的特性に優れた金属を含む無機材料で形成され、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)、窒素(N)を含むサイアロン(商品名SIALON)で形成されている。なお、この抵抗体保護層24と同種の層を、溝部26、具体的に天井面31aに形成するようにしても良い。
【0037】
一対の電極23a,23bは、図10に示すように、全ての発熱部22aと電気的に接続された共通電極23aと、発熱部22a毎に別個に電気的に接続された個別電極23bであり、発熱部22aを隔てて互いに隔離して発熱抵抗体22上に形成されている。
【0038】
共通電極23aは、ベース層21の突部25を挟んで、後述する電源用フレキシブル基板80が貼り合わされる側とは反対側に設けられている。共通電極23aは、全ての発熱部22aと電気的に接続され、両端がベース層21の短辺に沿って、電源用フレキシブル基板80が貼り合わされる側に導出され、電源用フレキシブル基板80と電気的に接続され、更に、電源用フレキシブル基板80を介して、電源と電気的に接続されているリジット基板70と電気的に接続され、電源と各発熱部22aとを電気的に接続している。
【0039】
個別電極23bは、ベース層21の突部25を挟んで、後述する信号用フレキシブル基板90が貼り合わされる側に設けられている。個別電極23bは、発熱部22aに対して1対1で設けられている。この個別電極23bは、リジット基板70の発熱部22aの駆動を制御する制御回路と接続されている信号用フレキシブル基板90と電気的に接続されている。
【0040】
この共通電極23a及び個別電極23bは、発熱部22aの駆動を制御する回路によって選択された発熱部22aに電流を所定の時間供給し、色材を昇華させて、印画紙4に熱転写できる温度まで発熱部22aを発熱させる。
【0041】
ここで、図11を参照してベース層21の詳細を説明する。ベース層21は、厚さT1が例えば0.19mmで略一定あり、一方の面21aに、高さHが例えば0.098mmで、幅W1が例えば0.9mmの突部25が形成されている。
【0042】
このベース層21の溝部26は、その天井面31aがベース層21の一方の面21aより上側、すなわち略半円柱状の突部25内に位置するような深さに形成されている。なお、図11中点線は、突部25内におけるベース層21の一方の面21aの延長線である。溝部26は、その天井面31aを、ベース層21の一方の面より上側に位置することによって、突部25の表面25aと溝部26の天井面31aとの間の蓄熱部27をより薄くし、より蓄熱量が小さくなるようにし、サーマルヘッド2の応答性の向上を図っている。勿論、天井面31aが突部25内に位置している場合よりも効果を得られないにしても、天井面31aの位置が突部25より下側に位置していても良い。
【0043】
また、蓄熱部27において、突部25の表面25aは、極めてなだらかな円弧面で形成されている。例えば、突部25の表面25aの半径R1は、2.5mmで形成されている。これに対して、溝部26の天井面31aは、突部25の表面25aに略倣う円弧面で形成されている。例えば、溝部26の天井面31aの半径R2は、2.4725mmで形成されている。このように、蓄熱部27において、突部25の表面25aと溝部26の天井面31aとは、略同じ円弧面で形成され、肉厚T2が略均一となるように形成されている。例えば、蓄熱部27の肉厚T2は、0.0275mmとなるように形成されている。このように、蓄熱部27は、略均一の厚さに形成されることによって、熱エネルギを均一に蓄熱することができる。
【0044】
ところで、蓄熱部27は、蓄熱量を少なくするために薄く形成されていることから、プラテンローラ5によって押圧された際にも破損しない程度の物理的強度が必要である。上述のように、蓄熱部27は、略均一の厚みであることから、蓄熱部27内において応力集中が発生する箇所が無くなり又は少なくなり、物理的強度を高めることもできる。また、溝部26の側壁30と天井面31aとのなすコーナ部31bは、円弧状の曲面をなすように形成されている。コーナ部31bは、例えば半径R3が0.03mmの曲面で形成されている。突部25は、溝部26の両コーナ部31b,31bを曲面で形成することによって、両コーナ部31b,31bが例えば直角に形成されているときよりも、プラテンローラ5によって加わった圧力を周囲に分散することができ、物理的強度を高めることができる。
【0045】
この肉厚T2が略均一の蓄熱部27の幅W2は、一対の電極23a,23bで発熱抵抗体22が露出した発熱部22aの幅W3と同じとされる。具体的に、この蓄熱部27の幅W2は、両コーナ部31b,31bを曲面の内側端部間の幅であり、これと発熱部22aの幅W3とが同じにされる。例えば、溝部26の側壁30,30から0.03mmの箇所に両コーナ部31b,31bの曲面の内側端部が位置し、幅W2と幅W3とは、0.2mmとされる。これにより、発熱部22aは、厚さが略均一で熱エネルギを略均一に蓄熱する蓄熱部27上に位置することになり、熱エネルギを発熱部22aの領域内から均一にインクリボン3に印加できるようになる。なお、突部25の幅W1(ここでは、0.9mm)は、物理的強度等の観点から、肉厚T2が略均一の蓄熱部27の幅W2(ここでは、0.2mm)の3倍以上が好ましい。
【0046】
なお、肉厚T2が略均一の蓄熱部27の幅W2は、発熱部22aの幅W3より広くしても良い。これにより、溝部26両側の幅が狭くなり、すなわち熱伝導路が狭くなり、蓄熱部27に蓄熱されている熱エネルギが突部25の周辺部28,28に放熱されにくくすることができる。
【0047】
また、蓄熱部27の両側25b,25bの曲面の半径R4は、突部25の蓄熱部27が形成された領域の表面25aの半径R1より小さくなるように形成されている。すなわち、突部25の表面25aの曲面の両側25b,25bの曲面は、蓄熱部27に形成された突部25の表面25aの曲面の曲面より急峻な曲面で形成されている。これにより、発熱部22aに対してインクリボン3が進入又は退出し易くすることができる。また、突部25は、蓄熱部27の両側25b,25bの曲面の半径R4を蓄熱部27が形成された表面25aの半径R1より小さくする、すなわち急峻な曲面とすることによって、この逆の場合より、溝部26両側の幅を狭く、ガラスを薄くすることができ、突部25の周辺部28,28に蓄熱部27に蓄熱された熱エネルギが熱伝導しにくくすることができる。
【0048】
また、溝部26の側壁30,30は、ベース層21の他方の面より略垂直に立ち上がるように形成され、幅W4が例えば0.26mmで一定となるように形成されている。これにより、突部25は、プラテンローラ5によって押圧されても、溝部26が開口側に向かって拡幅するように形成されているときより、側壁30,30の立ち上がり部分に圧力が集中することが無くなり、物理的強度を高めることができる。なお、側壁30,30間の幅W4は、溝部26の両コーナ部31b,31bに曲面を形成しないとき、すなわち直角にするとき、蓄熱部27の幅W2と一致するようにしても良い。
【0049】
ここで、図11に示したサーマルヘッド2の具体的な寸法は以下のとおりである。
【0050】
溝部26の幅W4は、発熱部22aの幅W3と同じ又は広く、例えば0.05mm〜0.7mm、好ましくは0.2mm〜0.7mm、更に好ましくは0.26mmである。また、蓄熱部27の肉厚T2は、例えば0.01mm〜0.1mm、好ましくは0.02mm〜0.04mm、更に好ましくは0.0275mmである。
【0051】
以上のようなヘッド部20を有するサーマルヘッド2は、図12に示すように、放熱部材50上に接着剤層60を介してヘッド部20を配設し、このヘッド部20とヘッド部20の制御回路等が設けられたリジット基板70とを電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90で電気的に接続している。サーマルヘッド2では、電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90を放熱部材50側に湾曲させることで、リジット基板70を放熱部材50の側面に配置するようにして、小型化が図られている。
【0052】
放熱部材50は、色材を熱転写する際にヘッド部20から発生した熱エネルギを放熱するものであり、例えばアルミニウム等の高い熱伝導性を有する材料で形成されている。この放熱部材50には、上面に幅方向の略中央、長さ方向(図12中L方向)に亘ってヘッド部20が取り付けられる取付突部51が形成されている。また、放熱部材50には、電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90が湾曲される側の側面の上端に電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90を側面に沿って湾曲させるためのテーパ部52が形成され、このテーパ部52の下端にリジット基板70を側面に配置させるための第1の切欠部53が形成されている。また、放熱部材50には、信号用フレキシブル基板90に設けられた後述する半導体チップ91を放熱部材50側に配置できるように第2の切欠部54が形成されている。
【0053】
リジット基板70には、電源から電流をヘッド部20に供給する電源用の配線と、複数の電子部品が実装されたヘッド部20の駆動を制御する制御回路とが設けられている。リジット基板70には、電源線や信号線等となるフレキシブル基板71が電気的に接続されている。リジット基板70は、放熱部材50の側面の第1の切欠部53に配置され、両端がネジ等の固定部材72で放熱部材50に固定されている。
【0054】
リジット基板70と電気的に接続される電源用フレキシブル基板80は、一端がリジット基板70の電源用の配線と電気的に接続され、他端がヘッド部20の共通電極23aと電気的に接続されることにより、ヘッド部20の共通電極23aとリジット基板70の配線とを電気的に接続し、各発熱部22aに電流を供給している。
【0055】
また、リジット基板70の制御回路と電気的に接続される信号用フレキシブル基板90は、一端がリジット基板70の制御回路と電気的に接続され、他端がヘッド部20の個別電極23bと電気的に接続される。
【0056】
各信号用フレキシブル基板90には、一方の面に、ヘッド部20の各発熱部22aを駆動させる駆動回路が設けられた半導体チップ91が設けられ、同一面のヘッド部20との接続側に半導体チップ91と各個別電極23bとを電気的に接続する接続端子92が設けられている。
【0057】
各信号用フレキシブル基板90に設けられている半導体チップ91は、信号用フレキシブル基板90の内側に配置される。
【0058】
この半導体チップ91は、リジット基板70に設けられている制御回路から送られてきた印刷データに対応したシリアル信号をパラレル信号に変換するシフトレジスタ93と、発熱部22aの発熱の駆動を制御するスイッチング素子94とを有する。シフトレジスタ93は、印刷データに対応したシリアル信号をパラレル信号に変換し、変換されたパラレル信号をラッチする。スイッチング素子94は、各発熱部22aに設けられた個別電極23b毎に設けられる。シフトレジスタ93でラッチされたパラレル信号は、スイッチング素子94のオンオフを制御して、各発熱部22aに対する電流及び供給時間等を制御して、発熱部22aの発熱を駆動制御する。
【0059】
以上のように、サーマルヘッド2では、ヘッド部20の個別電極23bとリジット基板70の制御回路とを電気的に接続する信号用フレキシブル基板90上にシリアル信号をパラレル信号に変換するシフトレジスタ93を有する半導体チップ91を設けることによって、リジット基板70と信号用フレキシブル基板90との間をシリアル伝送にすることができ、電気的な接続点の数を減らすことができる。
【0060】
このような構成のサーマルヘッド2では、半導体チップ91を放熱部材50の第2の切欠部54に対向させ、半導体チップ91が内側となるように、電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90を放熱部材50のテーパ部52に沿って湾曲させ、リジット基板70を放熱部材50の第1の切欠部53に配置させる。これにより、サーマルヘッド2では、リジット基板70を放熱部材50の側面に配置することで、小型化することができ、プリンタ装置1全体を小型化することができる。したがって、このサーマルヘッド2では、プリンタ装置1、特に家庭用のプリンタ装置に要求されている小型化を実現することができる。また、サーマルヘッド2では、放熱部材50上に接着剤層60を介して、ヘッド部20を設けるだけであるため、構成が簡素化され、容易に製造することができ、生産効率を向上させることができる。更に、サーマルヘッド2では、半導体チップ91を内側に配置し、リジット基板70を放熱部材50の側面に配置して、小型化できることによって、印画紙4の進入側のリボンガイド6aを近接させて配置することができる。これにより、このサーマルヘッド2を用いたプリンタ装置1では、インクリボン3及び印画紙4をサーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に進入する直前までガイドすることができ、サーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に適切に進入させることができる。したがって、このプリンタ装置1では、インクリボン3や印画紙4をサーマルヘッド2とプラテンローラ5との間に適切に進入させることにできることによって、サーマルヘッド2に対してインクリボン3や印画紙4が略垂直に当たるようになり、サーマルヘッド2の熱エネルギがインクリボン3に適切に印加されるようになる。
【0061】
以上のようなサーマルヘッド2を用いたプリンタ装置1では、画像や文字を印刷するに当たって、サーマルヘッド2に対してインクリボン3と印画紙4とをプラテンローラ5で押圧しながら、サーマルヘッド2とプラテンローラ5との間にインクリボン3と印画紙4とを走行させる。そして、サーマルヘッド2とプラテンローラ5との間を走行する印画紙4に対して、インクリボン3の色材が熱転写される。色材を熱転写する際には、リジット基板70の制御回路に送られた印刷データに対応したシリアル信号を信号用フレキシブル基板90に設けられた半導体チップ91のシフトレジスタ93でパラレル信号に変換し、変換されたパラレル信号をラッチして、ラッチされたパラレル信号で個別電極23b毎に設けたスイッチング素子94のオン又はオフ制御をする。サーマルヘッド2では、スイッチング素子94がオンされると、そのスイッチング素子94に接続されている発熱部22aに所定の時間電流が流れ、発熱部22aが発熱し、インクリボン3に発生した熱エネルギを印加して、色材を昇華させて印画紙4に熱転写する。また、スイッチング素子94がオフされると、そのスイッチング素子94に接続されている発熱部22aに電流が流れず、発熱部22aが発熱しないため、インクリボン3に熱エネルギが印加されず、色材が印画紙4に熱転写されない。プリンタ装置1では、印刷データの1ライン毎のシリアル信号がサーマルヘッド2の制御回路から信号用フレキシブル基板90の半導体チップ91に送られ、上述した動作を繰り返して、画像形成部にイエローを熱転写する。イエローを熱転写した後は、同様に画像形成部にマゼンタ、シアン、ラミネートフィルムを順次熱転写して、1枚の画像を印刷する。
【0062】
インクリボン3の色材を熱転写する際には、サーマルヘッド2のヘッド部20のベース層21に溝部26が形成されていることで、溝部26内の空気によって、発熱部22aで発生した熱エネルギが内側に放熱されにくくなり、インクリボン3に効率的に熱エネルギを印加することができる。一方で、蓄熱部27は、ベース層21内に溝部26が形成されることで、薄くなり、熱容量が小さくなり、短時間で放熱を行うことができるようにもなる。このように、溝部26が形成されたベース層21は、蓄熱量が小さくなることで、放熱を短時間で行うことができるようになり、サーマルヘッド2の応答性を良くすることができると共に、放熱されにくい構成であるので、熱効率の向上を図ることができ、サーマルヘッド2の省電力化を図ることができる。そして、このサーマルヘッド2は、ベース層21に一体的に発熱抵抗体22、一対の電極23a,23b等が形成されるによってヘッド部20が構成され、このヘッド部20を接着剤層60を介して放熱部材50に取り付けて構成されるものであるから、全体構成の簡素化を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。更に、サーマルヘッド2は、電源用フレキシブル基板80及び信号用フレキシブル基板90を用いて、リジット基板70を放熱部材50の側面に配置するようにし、ヘッド部20とリジット基板70とを電気的に接続したので、小型化を図ることができ、更には、プリンタ装置1の全体の小型に寄与することができる。
【0063】
なお、サーマルヘッド2は、上述では家庭用のプリンタ装置1でポストカードを印刷する例に挙げたが、家庭用のプリンタ装置1に限らず、業務用にプリンタ装置にも適用でき、大きさも特に限定されず、ポストカードの他に、Lサイズのフォト用紙や普通紙等にも適用でき、このような場合にも高速印刷することができる。
【0064】
このプリンタ装置1において、上記印画紙トレイ45に収納された印画紙4は、例えば図13に示すように、印画部4cを挟んで給排紙方向の両端部分に長さLP,LEの異なる余白部4a,4bを有するもので、前側の余白部4aに中心に対して距離Lだけずれた位置に開孔400が設けられている。
【0065】
このように、用紙の中心に対してずれた位置に開孔400を設けることにより、印画紙4の向き及び表裏の判別が可能となる。
【0066】
なお、図14に示すように、印画済みの印画紙4の余白部4a,4bは、ユーザによって、切り取られ、印画部4cだけが保存される。
【0067】
上記印画紙4の余白部4aに設けられた開孔400は、例えば、図15に示すように、上記印画紙4を搬送するピンチローラ7aとキャプスタンローラ7bの前方位置に設けられた反射型センサ410による検出される。
【0068】
具体的には、上記開孔400の検出を正確に行うために、用紙走行パスが規制されており、反射型センサ410と印画紙4の距離が安定する場所に反射型センサ410を設置することが望ましい。ここでは開孔400が1個である場合を想定し、紙の有無、紙エッジの検出を行うセンサと兼用している。
【0069】
すなわち、印画動作は以下の(a)〜(g)ように行われる。
(a) 給排紙ローラ9により印画紙4がメカ駆動部に送り込まれ、
(b) 印画紙4は、反射型センサ410の上を通過し、ピンチローラ7aとキャプスタンローラ7bの間に挟み込まれる。
(c) 印画紙4は、反射型センサ410が終端を検出するまでキャプスタンローラ225の駆動力によって給紙方向へ搬送される。
(d) 反射型センサ410が終端を検出すると、プラテンローラ5がサーマルヘッド2に圧着し、排紙方向へ印画紙を搬送しながら、所定の位置に画像を形成する(イエロー印画)。
(e) イエロー印画が完了すると、いったんプラテンローラ5はサーマルヘッド2との圧着を解除し、給紙方向へ印画紙4を戻す。
(f) 再び排紙方向へ印画紙4を搬送しながら所定の位置に画像を形成する(マゼンタ印画)。
(g) 同様にシアン、ラミネート印画を行い、完了後、排紙方向へ印画紙4を排紙する。
【0070】
ここで、所定の位置に開孔400が設けられた印画紙4が正しく印画紙トレイ45にセットされている場合、上述の(b)の動作状態において反射型センサ410は紙有→紙無(開孔部分)→紙有の状態を検出する。後述する制御部183は、上記反射型センサ410により検出出力に基づいて、開孔400が検出されないか、想定される検出波形から大きくはずれている場合は、印画紙4の異常と判断して印画動作を中断し、エラー処理を進めることができる。
【0071】
ここで、開孔400の形状は、四角以外にも設定することが可能である。開孔400が三角形などのように方向性を持った形状であれば、ユーザが印画紙トレイ45にセットするときのガイドに用いることができる。
【0072】
次に、上述の如きプリンタ装置1の電気的な構成について説明する。
【0073】
このプリンタ装置1におけるプリンタ装置本体1100には、図16に示すように、各種記録メディア用スロット1116A,1116BやUSBスロット1113に接続にされた各種インターフェース(I/F)備えるマルチメディアインターフェース部115、上記マルチメディアインターフェース部115を介して画像データが入力されるデータ処理部120、このデータ処理部120に接続された画像メモリ123、表示部130及び印刷処理部154、これら各部の動作制御を行う制御部183、この制御部183に接続された表示駆動部134、内部メモリ184、操作部185、プリンタ駆動部189等が設けられている。
【0074】
そして、このプリンタ装置1は、印画データを生成するデータ処理を行うデータ処理部120、上記データ処理部120から供給される印画データに応じて印画紙に印画する印刷処理部154、上記印刷処理部154に印画紙を供給し、上記印刷処理部154により印画された印画紙4を排紙する給排紙ローラ等からなる給排紙部158などの動作を制御する制御部183により、上記給排紙部158により上記印刷処理部154に給紙される印画紙の余白部4aに設けられた開孔400を検出する反射型センサ410による検出に基づいて、上記給排紙部158により上記印刷処理部154に印画紙4が正常に給紙された否かを判断して、正常に給紙された印画紙4に対して上記印刷処理部154により印刷処理を実行させる制御を行う。
【0075】
また、上記プリンタ装置本体1100には、制御信号出力端子191と電源入力端子192が設けられており、上記外部電源装置1200が電源ケーブル1210を介して上記制御信号出力端子191と電源入力端子192に接続されるようになっている。
【0076】
このプリンタ装置1において、上記外部電源装置1200から上記電源入力端子192を介して供給される駆動電源は、保安回路175を介して装置本体1100内に取り込まれ、上記印刷処理部154のサーマルヘッド2には直接供給されるとともに、上記各部にはレギュレータ回路187によって安定化されて供給されるようになっている。
【0077】
さらに、上記制御部183は、このプリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、電源電圧を可変制御する制御信号を生成する制御信号生成手段として機能するもので、動作状態に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を上記制御信号出力端子191から電源ケーブル1210を介して上記外部電源装置1200に供給し、上記制御信号により上記外部電源装置1200の動作を制御するようになっている。
【0078】
また、このプリンタ装置1における外部電源装置1200は、交流電源を直流電源に変換して出力する所謂ACアダプタであって、交流電源を直流電源に変換する電源回路201と、この電源回路から出力する直流電源電圧を可変制御する出力電圧制御部202とからなり、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183から供給される制御信号によって、上記プリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、上記電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するようになっている。
【0079】
このプリンタ装置1において、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、上記印刷処理部154のサーマルヘッド2の動作特性に応じて電源電圧を可変制御する制御信号を生成し、上記サーマルヘッド2の動作特性に応じて、上記外部電源装置1200から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を可変制御する。これにより、上記サーマルヘッド2の平均抵抗値のバラツキによる濃度変化を補正することができる。
【0080】
また、カラー印刷する際のインクリボンの染料ごとに転写特性とサーマルヘッド2の発熱量の関係が異なるので、予めイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の転写特性と発熱量との関係を測定して、目標の発熱量得るために必要な各色毎の目標電圧値を不揮発性メモリ184Aに記憶しておき、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、図17に示すように上記外部電源装置1200の電源回路201から上記電源入力端子192に供給される直流電源電圧をA/Dコンバータ183Aを介して取り込んでモニターし、上記電源入力端子192に供給される直流電源電圧が上記不揮発性メモリ184Aに記憶されている各色毎の目標電圧値となる制御信号を生成し、生成した制御信号をD/Aコンバータ183Bを介して上記制御信号出力端子191から上記外部電源装置1200の出力電圧制御部202に供給することにより、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するようにしてもよい。
【0081】
これにより、印刷処理時、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色毎に適正な電源電圧を上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給することができる。
【0082】
このような構成のプリンタ装置1では、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183から供給される制御信号によって、上記プリンタ装置本体1100の動作状態に応じて、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給する電源電圧を上記出力電圧制御部202により可変制御するので、プリンタ装置本体1100内に上記電源回路201や出力電圧制御部202を設ける必要がなくなり、プリンタ装置本体1100の大型化及びコストアップを防止することができる。
【0083】
なお、上記プリンタ装置本体1100に設けられた上記保安回路175は、上記外部電源装置1200の電源回路201から所定電圧例えば30V以上の電源電圧がプリンタ装置本体1100内に入力されるのを防止するためのものであって 、例えば、図18に示すように、上記外部電源装置1200の電源回路201から上記プリンタ装置本体1100に供給される電源電圧が30V以上になるとMOSトランジスタスイッチ173がオフとなる過電圧制御回路が、ツェナーダイオード171、PNPトランジスタ172、MOSトランジスタスイッチ173などにより構成されている。
【0084】
また、このプリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、上記ベースシャーシ101には、上記カートリッジ支持ユニット160に突設された検出スイッチ164による検出出力が供給されるとともに、上記トップシャーシ102がベースシャーシ101に係止されることによりトップシャーシ102、天板1106及びインクリボンカートリッジホルダ1107がベースシャーシ101を閉塞する下方に回動され、保持されたことを検出する蓋閉検出手段として機能するスイッチ36による検出出力が供給されるようになっている。
【0085】
ここで、上記スイッチ36は、上記インクリボンカートリッジ35のインクリボン3を上記サーマルヘッド2と対向させる印刷位置まで上記天板1106が下方に回動されたことを検出する蓋閉検出手段として機能し、上記検出スイッチ164は、上記インクリボンカートリッジホルダ1107にインクリボンカートリッジ35に装着されたことを検出するカートリッジ検出手段として機能する。
【0086】
そして、この制御部183は、上記各スイッチ36、164による各検出出力に基づいて、図19のフローチャートに示す手順に従って、このプリンタ装置1の動作を制御する。
【0087】
すなわち、制御部183は、蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36がON状態であるか否かを判定しており(ステップS1)、その判定結果がYES、すなわち、上記インクリボンカートリッジ35のインクリボン3を上記サーマルヘッド2と対向させる印刷位置まで上記天板1106が下方に回動されている場合には、カートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164がON状態であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0088】
そして、上記制御部183は、上記ステップS2における判定結果がYES、すなわち、上記インクリボンカートリッジホルダ1107にインクリボンカートリッジ35に装着されている場合には、プリント釦1104Aを点灯する(ステップS3)。上記制御部183は、上記プリント釦1104Aを点灯させた状態で、上記プリント釦1104Aの押圧の操作によるプリント開始指示を受け付けて、プリント動作を開始させる。
【0089】
上記ステップS1における判定結果がNO、すなわち、上記天板1106が下方に回動されていない場合には、モータ電源の供給を禁止する(ステップS4)。
【0090】
また、上記ステップS2における判定結果がNO、すなわち、上記インクリボンカートリッジホルダ1107にインクリボンカートリッジ35に装着されていない場合には、モータ電源の供給を禁止する(ステップS4)。
【0091】
すなわち、このプリンタ装置1において、上記制御部183は、図20に示すように、上記蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36及びカートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164の検出出力に応じて、上記インクリボンカートリッジホルダ1107にインクリボンカートリッジ35に装着された状態で、上記インクリボンカートリッジ35のインクリボン3を上記サーマルヘッド2と対向させる印刷位置まで上記天板1106が下方に回動された場合にのみ、切換・走行モータやキャプスタンモータに駆動電流を流すモータ駆動部182に電源を供給して、上記装置本体1100を動作させる駆動制御を行う。
【0092】
このように、ポップアップ型のカートリッジ挿入機構を有するプリンタ装置1において、蓋閉検出手段とカートリッジ検出手段が同時にONとなった場合のみ機構部を動作させる構成とすることにより、より安全に保護をすることができる。
【0093】
ここで、図21に示すように、上記制御部183の機能は、上記蓋閉検出手段として機能する上記スイッチ36及びカートリッジ検出手段として機能する上記検出スイッチ164の直列接続回路183Cを介してモータ駆動部182に電源を供給する構成としても、同様な機能を実現することができる。
【0094】
そして、このプリンタ装置1において、上記プリンタ装置本体1100に備えられた制御部183は、例えば図22のフローチャートに示す手順に従って上記印刷処理部154によるプリント動作を制御する。
【0095】
すなわち、制御部183は、装置本体1100に設けられたプリント釦1104Aが押されたか否かを判定しており(ステップS11)、プリント釦1104Aが押されると、上記印刷処理部154に設けられた給排紙部158に給紙動作を開始させるとともに、画像データ処理部120により印画データを生成する処理を開始させ(ステップS12)、上記各発熱抵抗体22の通電を制御して、上記各発熱抵抗体22の通電による温度上昇の変化に基づいて、上記サーマルヘッド2により印画する印画紙4のエッジ位置及び傾きを検出するエッジ検出モードの処理を行う(ステップS13)。
【0096】
次に、制御部183は、印画準備が完了したか否かを判定し(ステップS14)、 印画準備が完了したら、上記印刷処理部154に印画処理を開始させ印刷モードの処理に移り、上記エッジ検出モードの処理結果に基づいて、各発熱抵抗体22が上記印画紙4と対向する否かを判定し(ステップS15)、このステップS15の判定結果に基づいて、印刷モードにおいて、上記印画紙と対向する各発熱抵抗体22を発熱させ(ステップS16)、上記印画紙と対向しない発熱抵抗体22は発熱させないように(ステップS17)、上記サーマルヘッド2の各発熱抵抗体22への給電を制御して、印刷処理を実行する。なお、上記制御部183は、エッジ検出モード時に検出された上記印画紙のエッジ位置において、所定の温度勾配となるように、上記サーマルヘッド2の各発熱抵抗体22への給電を制御する。
【0097】
ここで、各発熱部22aを構成している発熱抵抗体22は、一般的に温度が上昇するに従って抵抗値が減少するような温度依存性があり、印画紙4と対向する発熱抵抗体22と印画紙4と対向しない発熱抵抗体22では、印画紙4を介して放熱されるか否かにより、放熱特性が変わるので、例えば図23に示すように、通電による加熱した場合の抵抗値の変化率が異なる。
【0098】
そこで、制御部183は、印画紙4の端部近傍の発熱体を1個ずつ順次通電して加熱し、その際の抵抗値変化を検出することにより、図24に示すように、印画紙と対向する発熱抵抗体22による印画領域ARPと印画紙と対向しない発熱抵抗体22による空焚き領域ARNとの境界領域を介して各発熱抵抗体22の抵抗値の変化率が異なる結果が得られ、上記境界領域部分を印画紙4のエッジであると判定することができる。
【0099】
このプリンタ装置1では、図25示すように、並列接続されたスイッチング素子301と基準抵抗302を介して各発熱部22aに駆動電源が供給され、上記サーマルヘッド2の各発熱部22aに印加される駆動電源電圧がA/Dコンバータ310を介して制御部183により検出されるようになっている。
【0100】
そして、制御部183は、エッジ検出モードの処理において、上記基準抵抗302に並列接続されたスイッチング素子301を開成させることにより、上記基準抵抗302を介して各発熱部22aに駆動電源が供給し、各発熱部22aに直列接続されている各スイッチング素子94を上記シフトレジスタ93を介して1個ずつ順番に選択的に閉成させることにより、各発熱部22aに供給される駆動電源電圧を検出する。上記エッジ検出モードの処理において、上記基準抵抗302を介して印画紙の端部近傍の発熱体に1個ずつ順次通電して加熱した際の各発熱部22aに印加される駆動電源電圧の検出電圧波形を図26に示す。
【0101】
すなわち、上記制御部183は、エッジ検出モード時に、上記基準抵抗302を介して各発熱抵抗体22に順次通電し、上記基準抵抗302による降下電圧として、各発熱抵抗体2222aの抵抗値変化を検出することにより、上記サーマルヘッド2への各発熱抵抗体2222aの温度上昇による抵抗値変化に基づいて、上記サーマルヘッド2により印画する印画紙4のエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段として機能する。
【0102】
なお、上記各発熱抵抗体22の通電による温度上昇の変化は、リアルタイムで検出することも可能である。
【0103】
また、上記制御部183は、上記各発熱抵抗体22の通電による温度上昇の変化を熱電対などの温度センサにより検出し、その検出出力に基づいて、印画紙のエッジ位置を検出することもできる。
【0104】
また、上記制御部183は、印刷モードにおいて、上記エッジ検出モードにおける検出結果に基づいて、上記印画紙のない部分に位置する上記サーマルヘッドの各発熱抵抗体22への給電を制御する給電制御手段として機能する。
【0105】
このように、上記エッジ検出モードの処理結果に基づいて、各発熱抵抗体22が上記印画紙と対向する否かを判定し、印刷モードにおいて、上記印画紙と対向する各発熱抵抗体22が発熱させ、上記印画紙と対向しない発熱抵抗体22は発熱させないように(ステップS16)、上記サーマルヘッドの各発熱抵抗体22への給電を制御して、印刷処理を実行することにより、印画紙のない部分に位置している各発熱抵抗体22が過加熱状態となってしまうのを防止し、サーマルヘッドの耐久性を向上させることができる。
【0106】
ここで、上記制御部183は、エッジ検出モード時に、各発熱抵抗体22の1素子ずつに順次通電して発熱させて、印画紙と対向する発熱抵抗体22による印画領域ARPと印画紙と対向しない発熱抵抗体22による空焚き領域ARNとの抵抗値の変化率の違いによりエッジ検出を行うようにしたが、 隣接素子を同時に発熱させるようにすることにより、検出感度を向上させることができる。
【0107】
上記各発熱抵抗体22において、
(A) 図27に示すように1素子ずつ順次通電して発熱させる通電方式、
(B) 図28に示すように3素子ずつ同時に通電して、3素子単位で1素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式、
(C) 図29に示すように3素子ずつ同時に通電して、3素子単位で3素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式、
(D) 図30に示すように5素子ずつ同時に通電して、5素子単位で5素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式、
の(A)〜(D)の通電方式で通電時間Tを変えて中央の素子(測定対象素子)について抵抗値の変化に応じた電圧ΔVを計測したところ、図31に示すように、(A)の通電方式に比較して(B)〜(D)の通電方式の方が高い検出感度が得られた。
【0108】
また、(C)の通電方式では、5〜8msで通電時間でも貼り付きなどの発熱体の損傷が発生することはなかった。
【0109】
(B)の通電方式では通電時間を5.5msするとヘッドにリボンが貼り付いてしまい、通電時間を8msにするとヘッドの保護膜剥離、リボン切れが発生し、また、(D)の通電方式では通電時間を8msにするとヘッドにリボンが貼り付いてしまった。
【0110】
このように、(C)の通電方式では、発熱体の損傷を抑止し、検出感度を向上させることができる。
【0111】
また、ヘッドの各発熱抵抗体22の各抵抗値にはばらつきがあるので、エッジ検出モード時に得られる検出データ(検出電圧変化)は、図32の(A)に示すように、各抵抗値のばらつきがノイズ成分として重畳された状態で測定されるが、上記制御部183は、図32の(B)に示すように、各発熱抵抗体22の初期抵抗値を印画紙なしで測定しておき、検出データとの差分を取ることで、図32の(C)に示すように、抵抗値のばらつきによるノイズ成分を低減し、検出感度を向上させることができる。
【0112】
さらに、印画紙4を走行させると熱が吸収されるので、上記制御部183は、エッジ検出モードの処理を印画紙4を走行させながら行うようにすれば、図33に示すように、印画紙4と対向する発熱抵抗体22による印画領域ARPと印画紙と対向しない発熱抵抗体22による空焚き領域ARNとの温度差を大きくすることができ、これにより上記抵抗値の変化を高感度に検出することができる。
【0113】
ここで、上記制御部183は、上記エッジ検出モードにおいて、図34に示すように、給紙時に印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdでエッジ検出を行うことにより、印画時のスキュー情報Dsqを検出することができ、スキュー情報Dsqをフィードバックして空焚き部分の制御に反映させることにより、印刷時にスキューを補正した印刷結果を得ることができる。
【0114】
上記エッジ検出モードにおいて、印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdでエッジ検出を行う場合、原理的には、印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdにおいて、例えば、それぞれ64素子(約5.2mm相当)×4の256素子を測定対象素子として、抵抗値の変化を検出することになるが、最初の検出結果に基づいて、紙幅から2回目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くすることで、測定対象素子の数を減らし、検出時間を短縮することができる。
【0115】
例えば、図35に示すように、1回目の検出は64素子について、抵抗値の変化を検出することにより、エッジ位置E1を検出し、その検出結果に基づいて、紙幅から2回目に検出するエッジ位置E2を予測して、検出範囲を狭くして20素子について、抵抗値の変化を検出することにより、エッジ位置E2を検出し、その検出結果と紙幅及びスキューから3回目のエッジ位置E3を予測して、検出範囲を狭くして45素子について、抵抗値の変化を検出することにより、エッジ位置E3を検出し、さらに、その検出結果に基づいて、紙幅wから4回目に検出するエッジ位置E4を予測して、検出範囲を狭くして20素子について、抵抗値の変化を検出することにより、エッジ位置E4を検出する。このように、最初の検出結果に基づいて、紙幅から2回目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くすることで、256素子の約半分の149素子について、抵抗値の変化を検出することにより印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdにおけるエッジ位置E1〜E4を検出ことができ、検出時間を約1/2に短縮することができる。
【0116】
また、例えば図36に示すように、上述の(C)の通電方式、すなわち、検出領域の64素子を3素子単位で3素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式で22素子についてエッジ検出を行い、検出されたエッジ位置において8素子について1素子単位でエッジ検出を行うようにすれば、(22素子+8素子)×4=120素子について、抵抗値の変化を検出することにより印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdにおけるエッジ位置E1〜E4を検出ことができ、検出時間を約1/2に短縮することができる。さらに、上記最初の検出結果に基づいて、紙幅から2回目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くする手法と組み合わせることで、1回目の検出は(22素子+8素子)、2回目の検出は(7素子+8素子)、3回目の検出は(15素子+8素子)、4回目の検出(7素子+8素子)となり、83素子について、抵抗値の変化を検出することにより印画紙4の四隅Pa,Pb,Pc,Pdにおけるエッジ位置E1〜E4を検出ことができ、検出時間を約1/3に短縮することができる。
【0117】
また、複数の素子に同時に通電して加熱し、その後に、図37に示すように各抵抗値の変化を検出するようにしても、検出時間を短縮することができる。この場合、相互の熱影響を避けるために、離れた位置の素子を同時加熱する必要がある。
【0118】
例えば、図38に示すように、1回目の検出領域の素子と2回目の検出領域の素子に同時に通電して加熱し、その後に、各抵抗値の変化を検出することにより、検出時間を約1/2以下に短縮することができる。
【0119】
さらに、図39に示すように、先ず、検出領域D0において両端の素子を測定対象素子として同時に通電して加熱し、各抵抗値の変化を検出し、次に、検出領域D0の中央の素子を測定対象素子として通電して加熱し、抵抗値の変化を検出して、先に検出された各抵抗値の変化と比較することにより、エッジ位置Eを含む側の検出範囲D1を特定し、エッジ位置Eを含む側の検出範囲D1の中央の素子を測定対象素子として通電して加熱し、抵抗値の変化を検出して、先に検出された各抵抗値の変化と比較することにより、エッジ位置Eを含む側の検出範囲D2を特定する処理を順次繰り返すようにしても、検出時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明を適用したプリンタ装置の概略構成を模式的に示す図である。
【図2】天板を閉じたプリンタ装置の外観斜視図である。
【図3】天板を開いたプリンタ装置の外観斜視図である。
【図4】インクリボンを示す断面図である。
【図5】上記プリンタ装置の内部構造を模式的に示す概略図である。
【図6】上記プリンタ装置におけるサーマルヘッドとリボンガイドとの関係を示す斜視図である。
【図7】上記サーマルヘッドの外観斜視図である。
【図8】上記サーマルヘッドを縦断して内部構造を示した斜視図である。
【図9】上記サーマルヘッドにおけるヘッド部の断面図である。
【図10】上記ヘッド部の平面図である。
【図11】上記サーマルヘッドにおけるベース層の断面図である。
【図12】上記サーマルヘッドの斜視図である。
【図13】上記プリンタ装置における印画紙の斜視図である。
【図14】印画済みの印画紙の余白部が切り取られ様子を模式的に示す斜視図である。
【図15】上記印画紙の余白部に設けられた開孔を検出する構成を示す斜視図である。
【図16】上記プリンタ装置の電気敵な構成を示すブロック図である。
【図17】上記プリンタ装置においてプリンタ装置本体のサーマルヘッドにより印刷する各色毎の動作特性に応じて電源電圧を可変制御する制御信号を生成する構成を示すブロック図である。
【図18】上記プリンタ装置本体に設けられた保安回路の構成例を示す回路図である。
【図19】上記プリンタ装置本体に備えられた制御部による制御動作を示すフローチャートである。
【図20】上記プリンタ装置本体に備えられた制御部による保護機能を実現する構成を模式的に示す回路図である。
【図21】保護機能を実現するための回路例を示す回路図である。
【図22】上記プリンタ装置本体に備えられた制御部による印刷処理部のプリント動作の制御手順を示すフローチャートである。
【図23】上記プリンタ装置におけるサーマルヘッドの各発熱部を構成している発熱抵抗体の投入電力と抵抗値変化率の関係を示す特性図である。
【図24】上記プリンタ装置における印画紙のエッジ近傍におけるサーマルヘッドの各発熱部の抵抗値の変化状態を模式的に示す図である。
【図25】上記プリンタ装置におけるサーマルヘッドの各発熱部を構成している発熱抵抗体と制御部との接続状態を模式的に示す回路図である。
【図26】エッジ検出モードの処理において、基準抵抗を介して印画紙の端部近傍の発熱体に1個ずつ順次通電して加熱した際の各発熱部に印加される駆動電源電圧の検出電圧波形を示す波形図である。
【図27】1素子ずつ順次通電して発熱させる通電方式を示す図である。
【図28】3素子ずつ同時に通電して、3素子単位で1素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式を示す図である。
【図29】3素子ずつ同時に通電して、3素子単位で3素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式を示す図である。
【図30】5素子ずつ同時に通電して、5素子単位で5素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式を示す図である。
【図31】各通電方式で通電時間を変えて中央の素子について抵抗値の変化に応じた検出電圧を計測した結果を示す特性図である。
【図32】各発熱抵抗体の各抵抗値のばらつきによるノイズ成分を低減して、検出感度を向上させ手法を示す波形図である。
【図33】エッジ検出モードにおいて印画紙を走行させた場合の検出電圧の波形図である。
【図34】上記エッジ検出モードにおけるエッジ検出の位置を模式的に示す図である0
【図35】上記エッジ検出モードにおいて、最初の検出結果に基づいて、紙幅から2回目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くすることで、検出時間を短縮する手法を模式的に示す図である。
【図36】3素子単位で3素子ずつ順次ずらしながら発熱させる通電方式でエッジ検出を行い、検出されたエッジ位置において1素子単位でエッジ検出を行うことで、検出時間を短縮する手法を模式的に示す図である。
【図37】複数の素子に同時に通電して加熱し、その後に、各抵抗値の変化を検出することで、検出時間を短縮する手法を模式的に示す図である。
【図38】1回目の検出領域の素子と2回目の検出領域の素子に同時に通電して加熱する例を模式的に示す図である。
【図39】上記エッジ検出モードにおいて、検出時間を短縮する他の手法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0121】
1 プリンタ装置、2 サーマルヘッド、3 インクリボン、4 印画紙、5 プラテンローラ、20 ヘッド部、21 ガラス層、22 発熱抵抗体、22a 発熱部、23a 共通電極、23b 個別電極、24 抵抗体保護層、25 突部、26 溝部、27 蓄熱部、28 周辺部、30 側壁、31a 天井面、31b コーナ部、50 放熱部材、60 接着剤層、61 フィラー、70 リジット基板、80 電源用フレキシブル基板、90 信号用フレキシブル基板、91 半導体チップ、92 接続端子、93 シフトレジスタ、94 スイッチング素子、制御部183、301 スイッチング素子、302 基準抵抗、320A,620B CCDラインセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発熱抵抗体が形成されたサーマルヘッドにより印画紙に印画するプリンタ装置であって、
給紙された印画紙に対向する発熱抵抗体と上記印画紙に対向しない発熱抵抗体の通電による温度上昇の変化に基づいて、上記サーマルヘッドにより印画する印画紙の四隅でエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、
上記エッジ位置検出手段による検出出力に基づいて、上記サーマルヘッドによる印画動作を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
上記エッジ位置検出手段は、1隅目の検出結果に基づいて、紙幅から2隅目以降のエッジ位置を予測して、検出範囲を狭くしてエッジ位置検出を行うことを請求項1記載のプリンタ装置。
【請求項3】
上記エッジ位置検出手段は、検出領域に位置している各発熱抵抗体の所定素子数を1単位として、1単位ずつ順次ずらしながら1単位毎に各発熱抵抗体に同時通電して、1単位毎に中央の測定対象素子について抵抗値変化を検出することによりエッジ検出を行い、さらに、検出されたエッジ位置において1素子単位でエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のプリンタ装置。
【請求項4】
上記エッジ位置検出手段は、上記サーマルヘッドへの各発熱抵抗体の温度上昇による抵抗値変化に基づいて、上記サーマルヘッドにより印画する印画紙のエッジ位置を検出することを特徴とする請求項1記載のプリンタ装置。
【請求項5】
上記エッジ位置検出手段は、上記サーマルヘッドへの各発熱抵抗体に共通接続された基準抵抗を備え、上記基準抵抗を介して各発熱抵抗体に順次通電し、上記基準抵抗による降下電圧として、各発熱抵抗体の抵抗値変化を検出することを特徴とする請求項4記載のプリンタ装置。
【請求項6】
上記エッジ位置検出手段は、エッジ検出モード時に上記サーマルヘッドへの各発熱抵抗体に上記基準抵抗を共通接続し、印刷モード時には上記基準抵抗を各発熱抵抗体から切り離す切換手段を備えることを特徴とする請求項5記載のプリンタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate


【公開番号】特開2007−268991(P2007−268991A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100709(P2006−100709)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】