説明

プリンタ

【課題】 筐体内にカッター機構を設けても、用紙のカット時に発生する紙粉がプリンタ内に堆積してセンサエラーが発生しないように、位置検出センサに簡易なセルフクリーニング機能を持たせたプリンタを提供する。
【解決手段】 ラベルプリンタ100は、電源投入時に電子回路の初期化と共にカッター10の一対の刃部11,12をホームポジションに移動させるよう制御する。ギロチンカッター10には、一対の刃部11,12に連動して位置検出センサ9を拭うように、無端ベルト26に支持される刷毛状の清掃ブラシ25を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵したロール紙その他の連続シートに対し印字するプリンタに関し、特に、その排出口近傍に用紙カッター機構を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
図5に従来のラベルプリンタを示す。
プリンタ1は内部にロール紙2を収納し、印字ヘッド3及びプラテンローラ4とからなる印字部で印字後に排出される用紙を自動的に切断できるカッター機構5を備えている。
この種のプリンタは、頻繁な用紙交換が不要であり、設置スペースも少なくて済むことから、小売業者の店内値付けの値札印字用など、多様な用途に使われている。
【0003】
上記プリンタに備えられるカッター機構5において、最も一般的に用いられている用紙の切断方法は、一対の切断刃6,7を、はさみの如く摺接しながら交叉させることによって、排出口8より送り出された用紙2の先端側を分離する方式である。
【0004】
しかしながら、上記従来のプリンタにおいては、筐体内にカッター機構5を設けたことにより、用紙(連続シート)2のカット時に発生する紙粉がプリンタの筐体内に堆積し易く、特に反射光や透過光で用紙の位置を検出する位置検出センサ9の検知面に紙粉が堆積すると、センサエラーを生じてプリンタが使用出来なくなるという問題があった。
【0005】
紙粉に起因する問題に対処するためには、従来、特許文献1のように、空気圧で吹き飛ばす技術が考案されていた。しかし、空気圧源としてコンプレッサー等の付属装置が必要となるため、小型のプリンタで実施するには困難だった。
【0006】
【特許文献1】特開2002−210919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記従来の課題に鑑みなされたもので、紙粉や塵等の堆積によりセンサエラーが発生しないように、簡易なセルフクリーニング機能を持たせたプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、本発明が採用する構成の特徴は、連続シートを収納する収納部と、前記連続シートの位置を検出する位置検出センサと、概位置検出センサの検出信号に基づき連続シートを搬送する搬送手段と、前記連続シートに印字を行う印字手段と、印字後の前記連続シートをプリンタ筐体外へ排出するため、前記プリンタ筐体上に形成された排出口と、前記排出口の近傍に設置され、前記排出口から排出される連続シートの先端を、前記プリンタ筐体内の連続シートから分離するためのカッター手段であって、前記排出口の両側に設置された一対の刃部を、該排出口を閉じるように交叉させることによって前記連続シートを切断するものと、プリンタの電源投入時に、前記一対の刃部をホームポジションに移動させるよう制御する制御手段と、前記一対の刃部に連動して、前記位置検出センサを拭う刷毛状の清掃手段とを備えたことにある。
【0009】
上記構成によれば、プリンタは電源が投入されると、まず最初に電子回路の初期化時にカッター手段の刃部がホームポジションに移動されるので、このとき、清掃手段によって位置検出センサが拭われ、塵や紙粉が払い落とされる。
ここで、ホームポジションとは、一対の刃部が切断終了時の位置から最大限に離れている位置(状態)を指し、カッター付きのプリンタは、電源投入直後の初期化時に用紙の頭出し等を行うとき、用紙の先端がカッター手段と干渉しないように、刃部はホームポジションに移動されて待機するようになっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、プリンタのカッター手段の刃部がホームポジションに移動する度に、清掃手段によって位置検出センサが拭われ、塵や紙粉が払い落とされるので、プリンタの位置検出センサにセルフクリーニング機能を持たせることができる。
即ち、プリンタは、用紙が詰まったり刃が曲がったりしないように、用紙をカットするときには用紙の搬送を停止させるので、用紙カットの動作を行うときに光学式センサの前を刷毛状の清掃手段が通過しても、用紙の位置検出を誤ることはなく、簡易な機構で位置検出センサの自動クリーニングが図られ、プリンタの信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付の図1ないし図4に基づき実施の形態について詳述する。なお、上述した従来の技術と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0012】
図2および図3はラベルプリンタ100に設けたギロチンカッター10の構造を示す概略図である。
ギロチンカッター10は、可動刃11と固定刃12とを有している。可動刃11は用紙2の裏面側、すなわち用紙2の印字面とは反対面側に配置され、固定刃12は用紙2の表面側、すなわち用紙2の印字面側に配置されている。可動刃11の上端には、中央部が略V字状の刃部が形成され、また固定刃12の下端には、直線状の刃部が形成されている。
【0013】
可動刃11は、固定刃12に向かって進退自在に可動する取付フレーム13に取り付けられている。可動刃11と固定刃12との間に挿通された用紙2は、取付フレーム13の移動により、可動刃11が固定刃12側に噛み合うことで切断される。
【0014】
取付フレーム13には、上下動機構14が設けられている。上下動機構14には、回動軸15を介して筐体フレーム(不図示)に回動自在に支持されたギヤ17が設けられている。このギヤ17は、取付フレーム13と筐体フレーム16との間に位置するように設けられている。
【0015】
また、ギヤ17の外周には、螺刻されたネジ山(図示せず)が設けられており、そこにカッターモータ18の駆動軸19に取り付けられた駆動ギヤ20が噛み合うことで、ギヤ17に駆動力が伝達されるようになっている。また、カッターモータ18は、用紙2が切断されるとき、正転方向と反転方向に交互に駆動するように制御される。
【0016】
また、ギヤ17には、取付フレーム13に設けられた横長のガイド孔21に差し込まれるように突設された偏心軸22が係合しており、ギヤ17が正転及び逆転することで、取付フレーム13が上下動するようになっている。
【0017】
また、取付フレーム13には幅方向に離間して一対の縦長のガイド孔23が形成され、該各ガイド孔23には、筐体フレーム側の突起24が係合するようになっている。
【0018】
以上により、ギヤ17がたとえば正転方向に半回転する間に、可動刃11がホームポジションから切断位置に移動して用紙2の切断を行い、その後、ホームポジションに戻されるようになっている。
【0019】
25は前記可動刃11の取付フレーム13に連動して、位置検出センサ9を拭う清掃ブラシであり、該清掃ブラシ25は刷毛状の植毛を備え、前記カッターモータ18の駆動軸19に無端ベルト26に設置されている。該清掃ブラシ25の無端ベルト26への取り付け方法としては、例えばクリップ状の取付具を用い、位置調節可能とするのが好ましい。
【0020】
本実施の形態は以上のようなもので、プリンタは電源が投入されると、まず最初に電子回路の初期化に制御手段(不図示)がカッター10の可動刃11をホームポジションに移動し、このとき、清掃ブラシ25が位置検出センサ9を拭い、塵や紙粉を払い落とすことができる。
そして、用紙2をカッター10でカットするときには、プリンタは用紙2の搬送を停止させるので、光学式センサ9の前を清掃ブラシ25が通過しても、用紙2の位置検出を誤ることはない。
【0021】
従って、簡易な機構で位置検出センサ9のセルフクリーニング手段が構成でき、プリンタの信頼性を向上できる。
【0022】
次に、第二の実施の形態では、ギロチンカッター10に替えて、図4に示すような、サークルカッターを用いる場合について説明する。
【0023】
図中、30はサークルカッター、31はフレーム、32は前記フレーム31に取り付けられた直線状の固定刃、33は周辺部を前記固定刃32に摺接し、かつ回転しながら矢示A方向に往復移動する可動刃(サークル刃)、34は前記サークル刃33を支持するキャリッジ、35および36は前記キャリッジ34を支持した無端ベルト37を駆動するプーリーである。
本実施の形態では、無端ベルト37に、上述した清掃ブラシ25と同様の清掃ブラシ38が取り付けられている。なお、この清掃ブラシ38の取付位置は、上記キャリッジ34でもよい。
【0024】
以上のように構成される第二の実施の形態においても、上述した第一の実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0025】
なお、上記実施の形態による説明はあくまで例示であり、特許請求の範囲に記載した発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、カッター手段としてロータリーカッターに利用してもよく、プリンタとしてタグ発行プリンタに利用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示すラベルプリンタの説明図である。
【図2】図1中のカッター10の構造説明図である。
【図3】図1中の清掃ブラシ25の詳細を説明するための図である。
【図4】第二の実施の形態で用いるサークルカッター30の構造説明図である。
【図5】従来技術によるラベルプリンタを示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
100 ラベルプリンタ
10,30 カッター
11,12,32,33 刃部
9 位置検出センサ
25,38 清掃ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続シートを収納する収納部と、前記連続シートの位置を検出する位置検出センサと、概位置検出センサの検出信号に基づき連続シートを搬送する搬送手段と、前記連続シートに印字を行う印字手段と、印字後の前記連続シートをプリンタ筐体外へ排出するため、前記プリンタ筐体上に形成された排出口と、前記排出口の近傍に設置され、前記排出口から排出される連続シートの先端を、前記プリンタ筐体内の連続シートから分離するためのカッター手段であって、前記排出口の両側に設置された一対の刃部を、該排出口を閉じるように交叉させることによって前記連続シートを切断するものと、プリンタの電源投入時に、前記一対の刃部をホームポジションに移動させるよう制御する制御手段と、前記一対の刃部に連動して、前記位置検出センサを拭う刷毛状の清掃手段とを備えたことを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−202450(P2009−202450A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47517(P2008−47517)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】