説明

プリンタ

【課題】インクリボンの張力を適正に保つことができるようにする。
【解決手段】センサA14は、インクリボン巻取軸8に巻き取られたインクリボン5の半径を測定し、センサB15は、インクリボン5の幅を測定する。制御部100は、インクリボン巻取軸8に巻き取られたインクリボン5の半径と幅に基づいてインクリボン5の総重量を推定し、インクリボン5の総重量に基づいて、インクリボン5の張力が適正となるようにインクリボン巻取軸8を巻き取るリボン巻取用モータの回転駆動力の大きさを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタに関し、特に、インクリボンを用いて印字を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱転写印字を行うプリンタの場合、熱転写リボンの巻き取りは、印字やラベル搬送に影響を及ぼさないようにする必要があり、さらに、巻き取り側に起因して発生するリボン皺による印字不良が起こらないように適正な張力で巻き取りを行う必要がある。
【0003】
適正な張力となるように、巻き取り軸に取り付けられたモータの電流量を調整する方法や、電圧をパルス的にかけてオンパルスの比率を変化させてトルクを調整する方法、さらには、巻き取り軸に連動した円盤の回転に抵抗を生じさせるためにフェルトなどを押し当て、その圧力を調整する方法等がある。
【0004】
また、印字ヘッドへのインクリボンにかかるテンションを一定に制御して、インクリボンが原因で生じる印字の乱れを防止するために、リボン送りローラにインクリボンの搬送方向の逆方向にトルクをかけるテンション側DCモータと、リボン巻取りローラを回転駆動させる巻取側DCモータと、リボン送りローラ及びリボン巻取りローラの各回転数をそれぞれ検出するテンション側及び巻取側のスリット付きスリットギア及びセンサと、印字スピード及びインクリボンの幅毎に、リボン送りローラの回転数に対応したテンション側DCモータの印加電圧及びリボン巻取ローラの回転数に対応した巻取側DCモータの印加電圧が、それぞれ設定されたテンション側テーブル12a及び巻取側テーブルとを設けたものがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、ラベル残枚数を検出し、表示できるようにするために、ラベル紙巻軸に固着されたスリット板が360/16度だけ回転するときの用紙の搬送距離から、用紙の外周及び外径を算出し、ラベル紙巻軸の外径と、ラベル紙巻軸に巻き取られた用紙の外径と、用紙の厚さと、用紙を切り離してラベルとするときのラベルピッチとに基づいて、用紙に印刷可能なラベルの枚数を算出し、表示するようにしたものがある(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平06−312568号公報
【特許文献2】特開2003−73001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術では、巻き取り軸に巻き取られるリボンの半径は、リボンを巻き取ることにより徐々に大きくなり、それにつれてリボンの重量が増し、巻取軸を巻き取るモータの駆動力を強くして、リボンにかかる張力を一定にする必要がある。
【0008】
しかしながら、現状では、巻取軸に巻き取られるリボンの半径は、巻取軸の回転量に基づいて推定しており、一定量の巻き取り(プリンタによる印字動作)を行った後でなければ求めることができなかった。また、リボン幅を巻取軸の回転量によって検知することはできない。
【0009】
また、特許文献1の発明では、リボン送りローラ及びリボン巻取りローラの各回転数をそれぞれ検出し、印字スピード及びインクリボンの幅毎に、リボン送りローラの回転数に対応したテンション側DCモータの印加電圧及びリボン巻取ローラの回転数に対応した巻取側DCモータの印加電圧が調整されるが、回転数に基づいた制御のため、精度良くリボンの張力を一定にすることができないという問題があった。
【0010】
また、特許文献2の発明では、ラベル紙巻軸に固着されたスリット板が360/16度だけ回転するときの用紙の搬送距離から用紙の外周及び外径を算出し、ラベル紙巻軸の外径と、ラベル紙巻軸に巻き取られた用紙の外径と、用紙の厚さと、用紙を切り離してラベルとするときのラベルピッチとに基づいて、用紙に印刷可能なラベルの枚数を算出し、表示することはできるが、リボンの張力を調整するこはできないという問題があった。
【0011】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決できるプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載のプリンタは、帯状のリボンが巻き回されたリボン供給部と、前記リボンを巻き取るリボン巻取部とを有するプリンタであって、前記リボン巻取部によって巻き取られた前記リボンの巻取半径を測定する巻取半径測定手段と、前記巻取半径測定手段によって測定された前記巻取半径に応じて、前記リボンに対する張力を調整する張力調整手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、前記巻取半径測定手段は、巻き取られた前記リボンの半径方向に所定間隔で配列された複数の光センサを有するようにすることができる。
【0014】
また、前記リボンの幅を測定する幅測定手段と、前記幅測定手段によって測定された前記リボンの幅と、前記巻取半径測定手段によって測定された前記リボンの巻取半径とに基づいて、巻き取られた前記リボンの重量を推定するリボン重量推定手段とをさらに備え、前記張力調整手段は、前記リボン重量推定手段によって測定された前記リボンの重量に応じて、前記リボンに対する張力を調整するようにすることができる。
【0015】
また、前記幅測定手段は、前記リボンの幅方向に所定間隔で配列された複数の光センサを有するようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のプリンタによれば、リボン巻取半径に応じて張力調整を行うことができるので、張力調整をより適正に行うことができる。また、巻き取られたリボンの重量を推定することにより、張力調整をさらに適正に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明が適用されるプリンタの一実施の形態の構成例を示している。同図に示すように、本実施の形態は、帯状の台紙2上にラベル1が剥離可能に貼付された帯状物が巻き回されたラベル連続体4を回転可能に支持するラベル供給軸3と、ラベル供給軸3から供給されたラベル1にインクリボン5を介して熱転写によって印刷を行うサーマルヘッド9と、サーマルヘッド9とラベル1の間にインクリボン5を挟んだ状態でラベル1をサーマルヘッド9に押圧するプラテンローラ10と、ステッピングモータ12と、ステッピングモータ12の回転駆動力をプラテンローラ10に伝達するギア11と、インクリボン5を供給するインクリボン供給軸6と、インクリボン供給軸6から供給されたインクリボン5をサーマルヘッド9の方向にガイドするローラ7と、サーマルヘッド9において熱転写処理が施された後の使用済みのインクリボン5を巻き取るインクリボン巻取軸8と、インクリボン巻取軸8を回転駆動するリボン巻取用モータ119と、インクリボン巻取軸8に巻き取られたインクリボン5の半径を測定するセンサA14と、インクリボン5の幅を測定するセンサB15と、台紙2の搬送方向を転向させて台紙2からラベル1を剥離する剥離板16と、ラベル1が剥離された後の台紙2を巻き取る台紙巻取軸13と、各部を制御する制御部100と、各種コマンドやデータを入力するための操作部300と、各種情報を表示するための表示部200から構成されている。リボン巻取用モータ119は、ステッピングモータ等で構成することができ、モータ制御部113によって駆動制御されるようになっている。
【0018】
図2は、図1のプリンタを上方から眺めた場合の各部の配置を示している。センサA14は、インクリボン巻取軸8に巻き取られたインクリボン5の半径方向に受光素子が直線状に並ぶように配置されている。センサB15は、インクリボン5の幅方向に平行に受光素子が直線状に並ぶように配置されている。
【0019】
図3は、図1の制御部100の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、制御部100は、各種処理を実行するとともに各部を制御する制御プログラムを実行するCPU110と、CPU110が実行する制御プログラムを記憶するROM111と、CPU110が動作する上で必要となる各種データを一時的に記憶するRAM112と、CPU110の制御下、ステッピングモータ12を駆動制御するモータ制御部113と、CPU110の制御下、サーマルヘッド9を制御するサーマルヘッド制御部114と、センサA14およびセンサB15をそれぞれ駆動制御し、センサA14およびセンサB15から供給された検出信号に対応する検出データをバス120を介してCPU110に供給するセンサ制御部115と、ホストコンピュータ等の外部機器との間でデータの送受信を行うための外部インタフェース(I/F)116と、リボン種別情報等の各種データを保持するフラッシュメモリ117と、操作部300が操作されて入力されたコマンドやデータに対応する操作データをバス120を介してCPU110に供給するとともに、CPU110よりバス120を介して供給された表示データに対応する表示制御信号を表示部200に供給するインタフェース118と、各部を接続し、データやコマンドのやり取りを可能にするバス120等から構成されている。
【0020】
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施の形態の動作について説明する。まず、ステップS1において、CPU110は、センサB15に対して、インクリボン巻取軸8に巻き取られているインクリボン5の幅を測定するよう指令する。
【0021】
センサB15は、光を出射する発光素子と、発光素子から出射された光の反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間あたりの受光量)に応じた大きさの電流を出力する複数の発光素子および受光素子が一列に配列されたものである。
【0022】
センサB15の受光素子は、発光素子から出射された光がインクリボン5によって反射されたとき、その反射光を受光し、受光強度に対応する信号をセンサ制御部115に供給する。光を受光した受光素子の数からインクリボン5の幅を測定することができる。
【0023】
次に、ステップS2において、CPU110は、センサA14に対して、インクリボン巻取軸8に巻き取られているインクリボン5の半径を測定するよう指令する。
【0024】
センサA14は、光を出射する発光素子と、発光素子から出射された光の反射光を受光し、受光した光の強度(単位時間あたりの受光量)に応じた大きさの電流を出力する複数の発光素子および受光素子が一列に配列されたものである。
【0025】
センサA14の受光素子は、発光素子から出射された光がインクリボン5によって反射されたとき、その反射光を受光し、受光強度に対応する信号をセンサ制御部115に供給する。光を受光した受光素子の数からインクリボン5の半径を測定することができる。
【0026】
次に、ステップS3において、インクリボン5の重量を推定する。次式1に示すように、インクリボン5の単位面積あたりの重量(g/m2(グラム/1平方メートル))が分かれば、インクリボン5の幅(m(メートル))および長さ(m(メートル))と単位面積あたりの重量(g/m2)を乗じることにより、インクリボン5の重量(g)を求めることができる。
【0027】
インクリボン5の重量(g)=幅(m)×長さ(m)×単位面積あたりの重量(g/m2) ・・・(式1)
【0028】
次に、ステップS4において、CPU110は、インクリボン5の重量に基づいて、インクリボン5にかかる張力が一定となるように、ステッピングモータ12の回転駆動力の大きさを調整する。
【0029】
例えば、インクリボン5の重量が大きい場合、インクリボン巻取軸8に巻かれたインクリボン5全体の慣性力が大きくなるので、回転し始めるときに重量に応じた大きさの回転駆動力が与えられる。即ち、重量が重いほど強い回転駆動力が加えられる。
【0030】
ステップS5においては、CPU110により、印字の終了、または、リボンの終了か否かが判定され、印字の終了およびリボンの終了のいずれでも無い場合、ステップS1に戻り、ステップS1乃至S5の処理が繰り返し実行される。一方、印字の終了またはリボンの終了と判定された場合、本処理を終了する。
【0031】
重量に応じた適正な駆動力の強さは、予め実験等を行って試行錯誤することによって決めておき、対応表を作成し、フラッシュメモリ117に記憶させ、適宜参照するようにすることができる。
【0032】
リボン巻取用モータ119の回転駆動力の大きさは、ステッピングモータで構成した場合、パルスの周期を変化させることにより調整することができる。あるいは、サーボモータで構成した場合、電圧を変化させることにより回転駆動力の大きさを調整することができる。
【0033】
また、インクリボン5の幅は、インクリボン5の種類毎に決まっているので、インクリボン5の種類を示す識別記号とインクリボン5の幅からなるテーブルをフラッシュメモリ117に記憶させておき、操作部300から入力された識別記号に基づいてCPU110がインクリボン5の幅を認識するようにしてもよい。
【0034】
以上説明したように、インクリボン巻取軸8に巻き取られたインクリボン5の半径と幅をプリンタの動作開始前に予め認識し、動作開始の当初からリボン巻取用モータ119の回転駆動力の大きさを適正に調整することができるので、張力調整のための無駄な作業をなくすことができ、作業効率を上げることができる。
【0035】
また、インクリボン5の幅を測定してインクリボン5の総重量を精度良く推定することができるので、インクリボン5の総重量に基づいてリボン巻取用モータ119の回転駆動力の大きさを適正に調節し、インクリボン5の張力の大きさを適正な値にすることができる。
【0036】
なお、上記実施の形態においては、インクリボン5の半径と幅を測定するようにしたが、使用するインクリボン5の幅が一定の場合には、インクリボン5の半径のみを測定し、インクリボン5の半径に基づいてインクリボン5の重量を推定するようにしてもよい。
【0037】
上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、インクリボンだけでなく、その他の帯状物を巻き取る際の張力調整にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明が適用されるプリンタの構成例を示す図である。
【図2】図1のプリンタを上方からみた場合の各部の配置を示す図である。
【図3】制御部の構成例を示すブロック図である。
【図4】プリンタの動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 ラベル
2 台紙
3 ラベル供給軸
4 ラベル連続体
5 インクリボン
6 インクリボン供給軸
7 ローラ
8 インクリボン巻取軸
9 サーマルヘッド
10 プラテンローラ
11 ギア
12 ステッピングモータ
13 巻取軸
14 センサA
15 センサB
16 剥離板
100 制御部
110 CPU
112 RAM
113 モータ制御部
114 サーマルヘッド制御部
115 センサ制御部
116 外部インタフェース(I/F)
117 フラッシュメモリ
118 インタフェース
119 リボン巻取用モータ
120 バス
200 表示部
300 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のリボンが巻き回されたリボン供給部と、前記リボンを巻き取るリボン巻取部とを有するプリンタであって、
前記リボン巻取部によって巻き取られた前記リボンの巻取半径を測定する巻取半径測定手段と、
前記巻取半径測定手段によって測定された前記巻取半径に応じて、前記リボンに対する張力を調整する張力調整手段と
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記巻取半径測定手段は、巻き取られた前記リボンの半径方向に所定間隔で配列された複数の光センサを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記リボンの幅を測定する幅測定手段と、
前記幅測定手段によって測定された前記リボンの幅と、前記巻取半径測定手段によって測定された前記リボンの巻取半径とに基づいて、巻き取られた前記リボンの重量を推定するリボン重量推定手段とをさらに備え、
前記張力調整手段は、前記リボン重量推定手段によって測定された前記リボンの重量に応じて、前記リボンに対する張力を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記幅測定手段は、前記リボンの幅方向に所定間隔で配列された複数の光センサを有する
ことを特徴とする請求項3に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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