説明

プリンタ

【課題】簡略な構成で、外巻きタイプ及び内巻きタイプのいずれのロール紙であっても、記録紙の弛みを適切に抑制しながら明瞭に印刷を行うこと。
【解決手段】内巻きロール紙R1又外巻きロール紙R1のいずれかのロール紙が収容される収容部10と、該ロール紙から引き出された記録紙を排出させる排出口16と、を具備する筐体4と、記録紙に印刷を行うと共に、印刷後の記録紙を排出口から排出させる印刷モジュール5と、を備え、筐体の内部には、記録紙が記録紙用通路の挿入口40aに挿入されるまでの間に該記録紙に対してテンションを付与するテンション付与部50が設けられ、該テンション付与部が、内巻きロール紙から引き出された記録紙にテンションを付与する第1テンション付与部51と、外巻きロール紙から引き出された記録紙にテンションを付与する第2テンション付与部55と、を備えているプリンタ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙から引き出された記録紙に印刷を行うプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタに代表されるように、ロール紙から引き出された記録紙に印刷を行うプリンタは、現在様々な種類のものが数多く知られている。この種のプリンタで使用される上記ロール紙は、筐体の内部に回転可能に収納されていると共に、開閉扉を介して出し入れ可能とされている。また、ロール紙から引き出された記録紙は、所定の搬送経路を通りながら紙送りされ、印刷がなされた後に排出口から排出される。
【0003】
ところで、上記ロール紙は、記録紙の印字面(感熱面も含む)が外側に向くように巻回された外巻きタイプが主流とされているが、印字面が内側に向くように巻回された内巻きタイプも知られており、用途等に応じて使い分けがなされている。ところがこれら外巻きタイプと内巻きタイプとでは、印字面の向きが逆向きになってしまう関係上、紙送りされる記録紙の搬送経路が異なってしまう。
【0004】
そのため、一般的にロール紙を利用するプリンタは両タイプにそれぞれ対応した設計がなされている場合が多い。例えば、外巻きタイプのロール紙に対応したプリンタとして、特許文献1に記載されたものが知られている。このように、内巻きタイプ専用又は外巻きタイプ専用の設計とすることで、記録紙の搬送経路を一定にすることができ、記録紙の擦れや搬送抵抗の増大化等を防いで印字不良等を発生難くしている。
【0005】
その一方、外巻きタイプ及び内巻きタイプの両方のロール紙に対応した設計とされている兼用プリンタも知られている。この兼用プリンタによれば、いずれのタイプのロール紙であっても好適に使用することができるので利便性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−96433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ロール紙はその特性上、プリンタの内部で巻回が緩んでしまう場合があり、引き出された記録紙が弛んで(たるんで)しまうことがあった。特に、ロール径が大きく重量がある場合には、回転時の慣性等によって巻回が緩み易く、記録紙の弛みを発生させ易かった。なお、未使用のロール紙をセットした場合には、上記不都合がより顕著に生じ易かった。
上記のように記録紙の弛みが発生した場合、この弛みは印刷開始に伴って徐々に解消されはじめるが、弛みが解消された時点で急激に記録紙にテンションがかかって張った状態となってしまう。そのため、搬送トルクが急激に大きくなり、一様の搬送トルクで記録紙を紙送りすることが難しく、それにより印字ムラ等の印字不良を招いてしまい易かった。
【0008】
そこで、記録紙の弛みを抑制する方法の1つとして、例えばロール紙を軸支する機構に回転抵抗を付与する機構を付加し、ロール紙を緩み難くさせることで記録紙の弛みを抑制する方法が知られている。しかしながらこの方法では、構造が複雑化、煩雑化し易く、大きな設計変更を伴い易いものであった。それに加え、ロール紙を軸支する方式ではなく、単に筐体の内部にロール紙を投入するだけのドロップイン方式の場合には不向きなものであった。
【0009】
更に、上記兼用プリンタでは、外巻きタイプのロール紙を使用した場合と、内巻きタイプのロール紙を使用した場合とで、引き出された記録紙の搬送経路が異なってしまうので、使用するロール紙のタイプによって引き出されている記録紙の長さが異なってしまう。そのため、同一の回転抵抗をロール紙に付与したとしても、記録紙の弛みを確実に抑えることが難しいものであった。
【0010】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、簡略な構成で、外巻きタイプ及び内巻きタイプのいずれのロール紙であっても、記録紙の弛みを適切に抑制しながら明瞭に印刷を行うことができるプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るプリンタは、印字面を内側に向けて記録紙が巻回された内巻きロール紙、又は印字面を外側に向けて記録紙が巻回された外巻きロール紙のいずれかのロール紙が収容される収容部と、該ロール紙から引き出された記録紙を排出させる排出口と、を具備する筐体と、前記筐体に組み合わされ、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙に印刷を行うと共に、印刷後の記録紙を前記排出口から排出させる印刷モジュールと、を備え、前記印刷モジュールが、前記排出口と前記収容部とを連通させる記録紙用通路と、該記録紙用通路を通じて前記記録紙を前記排出口に向けて紙送りするプラテンローラと、紙送りされる前記記録紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、を備え、前記筐体の内部には、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙が前記記録紙用通路の挿入口に挿入されるまでの間に、該記録紙に対してテンションを付与するテンション付与部が設けられ、該テンション付与部が、前記内巻きロール紙から引き出された前記記録紙を押圧することでテンションを付与する第1テンション付与部と、前記外巻きロール紙から引き出された前記記録紙を押圧することでテンションを付与する第2テンション付与部と、を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプリンタによれば、内巻きロール紙又は外巻きロール紙のいずれのロール紙を収容部に収容したとしても、引き出された記録紙を共通の挿入口から記録紙用通路内に挿入させ、該通路を通じて共通の排出口に導くことができる。そのため、印字ヘッドにより印刷が終了した記録紙を同じ排出口から取り出すことができ、使い易い。また、内巻きロール紙及び外巻きロール紙のそれぞれに対応した排出口等を別個に設ける必要がないので、構成の簡略化による小型化を図り易い。
【0013】
ところで、内巻きロール紙を使用した場合と外巻きロール紙を使用した場合とでは、引き出された記録紙が記録紙用通路の共通の挿入口に挿入されるまでの搬送経路が異なってしまうので、引き出されている記録紙の長さも異なってしまう。
ここで、内巻きロール紙を使用した場合には、第1テンション付与部が該ロール紙から引き出されている記録紙をその長さ等に応じた力で押圧するので、記録紙に最適なテンションを付与することができ、弛みが生じてしまうことを抑制することができる。一方、外巻きロール紙を使用した場合には、第2テンション付与部が該ロール紙から引き出されている記録紙をその長さ等に応じた力で押圧するので、記録紙に最適なテンションを付与することができ、弛みが生じてしまうことを抑制することができる。
【0014】
このように、内巻きロール紙又は外巻きロール紙のいずれのロール紙を使用したとしても、それぞれに応じた最適なテンションを記録紙に付与することができ、弛みを抑制することができる。従って、一定の搬送トルクで記録紙を紙送りすることができ、印字ムラ等の印字不良を生じ難くさせて、明瞭な印刷を行うことができる。
しかも、引き出された記録紙が記録紙用通路の挿入口に挿入されるまでの間の位置に、第1テンション付与部及び第2テンション付与部を設ければ良いので、設計の自由度が高いうえ、構成の簡略化を図り易い。
【0015】
(2)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部が、前記挿入口における前記記録紙と、前記記録紙用通路に沿って前記挿入口の外側まで延びる仮想挿入面と、のなす挿入角度が所定の角度範囲内に収まるように、前記挿入口に向かって紙送りされる前記記録紙の搬送方向をそれぞれ変更しても良い。
【0016】
この場合には、第1テンション付与部及び第2テンション付与部が、記録紙を押圧して単にテンションを付与するだけでなく、記録紙用通路の挿入口への挿入角度が所定の角度範囲内に収まるように記録紙の搬送方向を変更している。そのため、内巻きロール紙又は外巻きロール紙によって記録紙の搬送経路が異なっていたとしても、記録紙を記録紙用通路内に抵抗少なくスムーズに挿入させることができる。従って、搬送抵抗の低減化を図り易いうえ、紙ジャム等の発生も抑制することができる。
【0017】
(3)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、該記録紙の紙送り方向に揺動自在とされていても良い。
【0018】
この場合には、少なくとも記録紙に接触する押圧部分が紙送り方向に揺動自在とされているので、記録紙を押圧しながら、紙送りされる記録紙に伴って揺動(傾動)する。これにより、記録紙に局所的な曲げ等をできるだけ生じさせずに紙送りさせることができる。そのため、記録紙の搬送負荷を低減させることができる。
特に、記録紙が紙送りされはじめる始動段階において、押圧部分が記録紙に伴って揺動することで、記録紙を搬送方向にスムーズに誘導できる。そのため、効果的に搬送負荷の低減化を図ることができると共に、上記始動段階における搬送トルクの増大を抑制でき、印字ムラ等の印字不良を防止し易い。
また、揺動によって上記押圧部分を広範囲に亘り可動させることができるので、ロール紙のロール径が変化(太径から細径に変化)したとしても、記録紙が安定して接触し易い。従って、記録紙の弛み抑制を広い径範囲で行うことが可能となる。
【0019】
(4)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、前記記録紙の紙幅方向に沿って形成され、先端部が該記録紙に接触する押圧体と、該押圧体を付勢して、該押圧体の前記先端部を前記記録紙に対して押圧させる弾性部と、を備え、前記弾性部は、前記押圧体を前記記録紙の紙送り方向に揺動自在に弾性支持しても良い。
【0020】
この場合には、弾性部が押圧体を揺動自在に支持しているので、印刷を停止させると、自身の弾性復元力により紙送り方向に傾いた押圧体を逆方向に揺動させて元の位置に自然に復帰させることができる。そのため、それ以降に印刷を再度開始したとしても、紙送りの始動時における搬送トルクの増大を繰り返し抑制できる。
【0021】
(5)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記押圧体の基端部には、ガイド軸が挿通されるガイド孔が形成され、前記ガイド軸は、前記押圧体を付勢方向にガイドすると共に、その付勢方向への押圧体の移動量を規制し、前記ガイド孔と前記ガイド軸との間には、前記押圧体の揺動を許容する隙間が画成されていても良い。
【0022】
この場合には、弾性部によって付勢された押圧体が、ガイド軸でガイドされながら該ガイド軸に沿って移動する。そのため、所望する方向に押圧体を正確に付勢することができ、より安定して記録紙を押圧し易い。また、ガイド軸が弾性部によって付勢された押圧体の移動量を規制しているので、記録紙を適切な押圧力で押圧でき、最適なテンションを付与し易い。
なお、ガイド軸とガイド孔との間には、上記隙間が画成されているので押圧体の揺動が規制されることがない。
【0023】
(6)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記筐体の内部には、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙が前記挿入口に挿入されるまでの間に、前記記録紙を幅方向からガイドするガイド部が設けられ、前記ガイド部が、前記内巻きロール紙から引き出された前記記録紙をガイドする第1ガイド部と、前記外巻きロール紙から引き出された前記記録紙をガイドする第2ガイド部と、を備えていても良い。
【0024】
この場合には、内巻きロール紙又は外巻きロール紙のいずれのロール紙を使用したとしても記録紙を幅方向からガイドできるので、記録紙用通路内に挿入されるまでの間に記録紙が蛇行や斜行等、不正走行し難くなる。従って、印字ずれや紙ジャム等が発生し難くなる。
【0025】
(7)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部又は前記第2テンション付与部は、前記筐体の内部に対して、取り外し可能に備えられていても良い。
【0026】
この場合には、摩耗等の状況に応じて、適宜両テンション部材を容易に部品交換することができ、メンテナンス性を高めると同時にプリンタを長期間使用することが可能である。また、ロール径やロール紙の種類等の状況に応じて、いずれかのテンション付与部を取り外すことができるので、筐体の内部空間を広くでき、例えば筐体の内部へのロール紙の出し入れがし易くなる。そのため、使い易く利便性を高めることができる。
【0027】
(8)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていると共に記録紙に向かって凸曲面となるように形成されていても良い。
【0028】
この場合には、記録紙に接触する押圧部分が金属材料又は強化繊維入りの樹脂材料で形成されているので、摩擦抵抗に強く摩耗し難い。そのため、摩耗粉等の発生を抑制することができ、これに起因する印字不良等を招き難い。また、上記押圧部分が記録紙に向かって凸曲面となるように形成されているので、記録紙を均等な力で押圧し易いうえ、記録紙を摺動させ易い。そのため、搬送抵抗のさらなる低減化を図り易いうえ、記録紙に擦れや傷等を付け難い。
【0029】
(9)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、前記記録紙を押圧する部分が該記録紙の紙送り方向に回転自在なローラ部とされていても良い。
【0030】
この場合には、記録紙に接触する押圧部分が記録紙の紙送りに伴って回転するローラ部とされているので、記録紙を均等な力で押圧し易いうえ、記録紙が摺動され難くなるので記録紙に対する接触抵抗を極力小さくすることができる。従って、搬送抵抗の低減化を効果的に図り易いうえ、記録紙に擦れや傷等を付け難い。
【0031】
(10)上記本発明に係るプリンタにおいて、前記押圧部分が、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていても良い。
【0032】
この場合には、ローラ部とされた上記押圧部分が金属材料又は強化繊維入りの樹脂材料で形成されているので摩擦抵抗に強く摩耗し難い。そのため、摩耗粉等の発生を抑制することができ、これに起因する印字不良等を招き難くすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明に係るプリンタによれば、簡略な構成で、外巻きタイプ及び内巻きタイプのいずれのロール紙であっても、記録紙の弛みを適切に抑制しながら明瞭に印刷を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る実施形態を示す図であって、サーマルプリンタの外観斜視図である。
【図2】図1に示す状態からプリンタカバーを開けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示すサーマルプリンタの縦断面図である。なお、記録紙は引き出していない状態である。
【図4】図2に示すプリンタカバーを取り外した状態における斜視図である。
【図5】内巻きロール紙をセットした状態でのサーマルプリンタの縦断面図である。
【図6】外巻きロール紙をセットした状態でのサーマルプリンタの縦断面図である。
【図7】図5に示す状態において記録紙用通路の周辺を拡大した図である。
【図8】図6に示す状態において記録紙用通路の周辺を拡大した図である。
【図9】本発明に係る変形例を示す図であって、プリンタカバーを取り外した状態における斜視図である。
【図10】本発明に係る別の変形例を示す図であって、プリンタカバーを取り外した状態における斜視図である。
【図11】本発明に係るさらに別の変形例を示す図であって、プリンタカバーを取り外した状態における斜視図である。
【図12】図11に示すA−A断面図である。
【図13】図11に示す第1テンション付与部により記録紙を押圧している状態において、押圧体が揺動する直前の状態を示す断面図である。
【図14】図13に示す状態の後、押圧体が紙送り方向に揺動した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るプリンタの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、プリンタの一例としてPOSレジシステム等に用いられるサーマルプリンタを例に挙げて説明する。
【0036】
(サーマルプリンタの構成)
本実施形態のサーマルプリンタ1は、図1から図3に示すように、印字面(感熱面)P1を内側に向けて記録紙(感熱紙)Pが巻回された内巻きロール紙R1、及び印字面P1を外側に向けて記録紙Pが巻回された外巻きロール紙R2の両方に対応した兼用プリンタとされており、いずれかのロール紙R1、R2から引き出された記録紙Pに印刷を行うことが可能とされている。
以下、単にロール紙と称する場合には、内巻きロール紙R1及び外巻きロール紙R2の両ロール紙のことをいい、ロール紙Rと称する。
【0037】
このサーマルプリンタ1は、ケーシング本体2及びプリンタカバー3からなる概略箱状のケーシング(筐体)4と、このケーシング4に組み合わされた印刷モジュール5と、を備えている。
ケーシング本体2及びプリンタカバー3は、例えば樹脂材料や金属材料或いはこれらの組み合わせによって形成され、ケーシング本体2の内部には内巻きロール紙R1又は外巻きロール紙R2のいずれかのロール紙Rが収容される収容容器(収容部)10が設けられている。
【0038】
なお、本実施形態では、図1に示す状態において前後方向L1及び上下方向L2を定義する。即ち、紙面に対して上側を上方、下側を下方とする。また、プリンタカバー3が設けられている側を前方、その反対側を後方とする。また、前後方向L1及び上下方向L2に対してそれぞれ直交する方向を左右方向L3とする。
【0039】
ケーシング本体2の内部には、図2及び図3に示すように、前方に開口すると共に上記収容容器10が格納される内部空間S1が画成されている。この内部空間S1は、底壁部2aと、後方側に位置する奥壁部2bと、奥壁部2bの上端部に連設された内部天壁部2cと、左右方向L3に向かい合った一対の内部側壁部2dと、で画成されている。
【0040】
プリンタカバー3は、ケーシング本体2の前面に回転軸部11を介して開閉可能に連結されており、回転軸部11回りに略90度程度の範囲で開閉が可能とされている。回転軸部11は、ケーシング本体2の前面側における下部側に設けられており、プリンタカバー3の下端部に取り付けられたヒンジ片3aを介してケーシング本体2に連結させている。これにより、プリンタカバー3の上端部側を大きく開閉させることが可能とされている。
なお、このプリンタカバー3は、閉状態時、上記内部空間S1の前方開口部を塞ぐと共に、ケーシング本体2側に設けられた図示しない係合部に係合されることで自動的にロックがなされる。
【0041】
図1及び図2に示すように、ケーシング本体2の前面側には、上記係合部とプリンタカバー3との係合を解除する操作部12が設けられている。この操作部12は、下方に向けて押し下げ操作可能とされ、押し下げられることでプリンタカバー3のロック解除を行って、開操作を可能とさせている。
また、ケーシング本体2の前面には、上記操作部12以外に、電源スイッチ13や各種の操作ボタン14、及び各種の操作メニューや操作情報等が表示される表示部15等が設けられている。
【0042】
ところで、プリンタカバー3を閉めた際、図1及び図3に示すように、プリンタカバー3の上端部とケーシング本体2との間には若干の隙間が開くように設計されており、この隙間を利用して記録紙Pがケーシング4の内部から排出されるようになっている。つまり、この隙間は記録紙Pの排出口16として機能する。
【0043】
図2に示すように、プリンタカバー3の内面には上記収容容器10が取り付けられている。そのため、プリンタカバー3を開操作することで収容容器10を開放させることができ、ロール紙Rを投入或いは取り出すことが可能とされている。
【0044】
図2から図4に示すように、この収容容器10は、プリンタカバー3の内面のうち上端部側を除く部分に略全面に亘って取り付けられており、プリンタカバー3の内面に面する湾曲板10aと、ケーシング本体2の内部に向けて立ち上がるように湾曲板10aの左右両端縁に連設され、左右方向L3に互いに向かい合うと共に内部空間S1を画成する内部側壁部2dに面する一対の対向板10bと、ケーシング本体2の内部に向けて立ち上がるように湾曲板10aの下端縁及び一対の対向板10bの下端縁に連設され、内部空間S1を画成する底壁部2aに面する底板10cと、で構成されている。
【0045】
湾曲板10aは、ケーシング本体2の内方に向けて凹曲面状に湾曲しており、その曲率はロール紙Rの曲率と略同一とされている。湾曲板10aの上端部には、プリンタカバー3の内面側に向けて落ち込む段差部10dが形成されている。
一対の対向板10bの左右方向L3の間隔は、ロール紙Rの紙幅よりも若干大きい間隔となるように設定されており、対向板10bの間にロール紙Rを抵抗なくスムーズに出し入れすることが可能とされている。そして、これら湾曲板10aと一対の対向板10bと底板10cとで画成された収容容器10内の空間が、ロール紙Rを収容する収容空間S2として機能する。
【0046】
一対の対向板10bには、ロール紙Rを収容空間S2内にて軸支する軸支片20がそれぞれ設けられている。この軸支片20は、対向板10bの外面側に形成された収納凹部25内に収納され、基端部を中心として左右方向L3に開閉可能とされたアーム板21と、このアーム板21の先端部に形成され、ロール紙Rを回転可能に支持する支持突起22と、を備えている。
【0047】
アーム板21は、プリンタカバー3に対して直交するように配設された板片であり、湾曲板10a側に位置する基端部が図示しない連結ピン等を介して対向板10bに回動可能に連結されている。アーム板21の基端部と対向板10bとの間には、アーム板21を閉腕方向(収容容器10の内方)に付勢するコイルバネ23が取り付けられている。これによりアーム板21は、対向板10bの外面から飛び出すことなく上記収納凹部25内に収納されている。
【0048】
支持突起22は、アーム板21の先端部から収容空間S2に向けて突設されており、対向板10bに形成された貫通孔26を通じて収容空間S2側に突出している。この支持突起22は、例えば円錐台状に形成されており、ロール紙Rの軸孔内に挿入されて該ロール紙Rを回転可能に軸支している。
なお、ロール紙Rは、上記支持突起22によって軸支された状態で収容空間S2内に収容された際、収容容器10に対して接触することなく回転可能とされている。
【0049】
上記印刷モジュール5は、図3に示すようにケーシング4に組み合わされ、上述した収容容器10に収容されたロール紙Rから引き出された記録紙Pに印刷を行うと共に、印刷後の記録紙Pを排出口16から排出させるモジュールとされている。
具体的に、この印刷モジュール5は、ケーシング本体2側に取り付けられた本体ユニット30と、プリンタカバー3側に取り付けられ、本体ユニット30に対して分離可能に組み合わされるプラテンユニット31と、で構成されている。
【0050】
プラテンユニット31は、図2及び図3に示すように、プリンタカバー3を閉めたときに本体ユニット30に組み合わされると共に、プリンタカバー3の開操作に伴って本体ユニット30から分離して組み合わせが解除されるユニットとされている。つまり、本体ユニット30とプラテンユニット31とは、プリンタカバー3の開閉操作に応じて、組み合わせと分離とが自動的になされる。
また、図3に示すように、本体ユニット30とプラテンユニット31とが組み合わされた際、両ユニット30、31の間には上記排出口16と収容容器10内の収容空間S2とを連通させる記録紙用通路40が画成される。
【0051】
上記本体ユニット30は、ケーシング本体2の内部において上記表示部15や操作ボタン14の裏側(後方側)に位置する部分に取り付けられており、記録紙用通路40を通して紙送りされる記録紙Pの印字面P1に印字を行うサーマルヘッド(印字ヘッド)32と、該サーマルヘッド32の前方側(下流側)に配設された可動刃33と、を備えている。
【0052】
上記プラテンユニット31は、図2から図4に示すように、記録紙用通路40を通じて記録紙Pを排出口16に向けて紙送りするプラテンローラ34と、該プラテンローラ34の前方側に配設された固定刃35と、を備えている。
【0053】
サーマルヘッド32は、多数の図示しない発熱素子を有するヘッドであり、図示しないコイルバネ等によってプラテンローラ34側に押圧されて、プラテンローラ34の外周面に対して圧接されている。これにより、プラテンローラ34とサーマルヘッド32との間に記録紙Pを挟み込むことが可能とされている。また、プラテンローラ34の一端側には、図示しないモータによって駆動する歯車伝達機構に噛合する図示しない従動ギアが固定されている。そのため、プラテンローラ34は、モータの駆動に伴って回転し、ロール紙Rから引き出された記録紙Pを記録紙用通路40に沿って排出口16に向けて紙送りさせることが可能とされている。
【0054】
図3に示すように、固定刃35及び可動刃33は、互いの刃先を向かい合わせにした状態で、記録紙用通路40を挟んで対向配置されている。可動刃33は、スライド移動により固定刃35に対して接近離間可能とされている。これにより、サーマルヘッド32によって印刷された記録紙Pを任意のタイミングで切断することが可能とされている。これら固定刃35及び可動刃33は、記録紙Pを切断するカッター機構として機能する。即ち、本実施形態の印刷モジュール5は、カッター機構を具備するカッター付きのモジュールとされている。
【0055】
また、ケーシング4内には、各種の電子部品が実装された制御基板36が取り付けられている。この制御基板36は、例えば操作ボタン14等の入力に応じて、サーマルヘッド32に電気信号や制御信号を出力したり、プラテンローラ34を駆動するモータに制御信号を出力したりして、各構成品の総合的な制御を行っている。
【0056】
上記したように本実施形態のサーマルプリンタ1は、本体ユニット30がサーマルヘッド32を備えているので、記録紙Pがサーマルヘッド32に到達した時点で印字面P1が上方を向いている必要がある。
そのため、図5に示すように、内巻きロール紙R1を収容容器10内にセットした場合には、記録紙Pは湾曲板10a側から引き出された後、記録紙用通路40の挿入口40a内に挿入される搬送経路となる。これに対して、図6に示すように、外巻きロール紙R2を収容容器10内にセットした場合には、記録紙Pはケーシング本体2の奥壁部2b側から引き出された後、記録紙用通路40の挿入口40a内に挿入される搬送経路となる。このように、内巻きロール紙R1と外巻きロール紙R2とで、挿入口40aに挿入されるまでの搬送経路が異なることとなる。
【0057】
ところで、図3、図5及び図6に示すように、ケーシング4の内部には、収容容器10に収容されたロール紙Rから引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの間に、記録紙Pに対してテンションを付与するテンション付与部50が取り付けられている。
このテンション付与部50は、内巻きロール紙R1を使用した際に、該内巻きロール紙R1から引き出された記録紙Pを押圧することでテンションを付与する第1テンション付与部51と、外巻きロール紙R2を使用した場合に、該外巻きロール紙R2から引き出された記録紙Pを押圧することでテンションを付与する第2テンション付与部55と、で構成されている。
【0058】
第1テンション付与部51は、図3及び図4に示すように、押圧体52と、該押圧体52を内巻きロール紙R1から引き出された記録紙Pに向けて付勢して、該記録紙Pを押圧させるコイルバネ等の弾性部53と、を備えている。
押圧体52は、収容容器10を構成する一対の対向板10b間に亘って左右方向L3に沿って長尺に形成され、湾曲板10aの上端部に形成された段差部10d内にスライド移動自在に嵌め込まれている。この際、押圧体52は、段差部10dの壁面によってガイドされながら、がたつき少なく前後方向L1にスライド移動可能とされている。また、押圧体52の先端部52aは、記録紙Pに向かって凸曲面となるように形成されており、その一部は湾曲板10aの曲率と同じ曲率に形成されている。
【0059】
上記弾性部53は、段差部10dと押圧体52との間に介在されており、押圧体52を後方側に付勢して、該押圧体52の先端部52aを記録紙Pに対して押し付けている。これにより、記録紙Pに所定のテンションを付与している。
なお、弾性部53は左右方向L3に間隔を開けて複数配置されており、押圧体52を全長に亘って均等に付勢している。
【0060】
また、第1テンション付与部51は、単に記録紙Pを押圧してテンションを付与させているだけでなく、図7に示すように記録紙用通路40の挿入口40a内に記録紙Pがスムーズに挿入されるように、紙送りされる記録紙Pの搬送方向を変更させている。具体的には、上記弾性部53の数や弾性力等の調整によって、挿入口40aにおける記録紙Pと、記録紙用通路40に沿って挿入口40aの外側まで延びる仮想挿入面Kと、のなす挿入角度θ1が−50°までの角度範囲内に収まるように搬送方向を変更している。
【0061】
なお、第1テンション付与部51により、記録紙Pがスムーズに挿入されるだけでなく、記録紙Pが記録紙用通路40に挿入された状態が長時間継続されることで生じてしまう紙の癖についても、その発生を抑制することが可能である。癖のついた記録紙Pで印字を行うと印字不良を発生させる恐れがあるので、この点を考慮すると第1テンション付与部51には紙の癖が原因となる印字不良を低減させる効果も奏効させることができる。それに加え、印字始めの脱調についても低減させる効果を奏効させることができる。
【0062】
また、本実施形態の押圧体52は、強化繊維が含有された樹脂材料によって、例えば射出成形等によって形成されている。強化繊維としては、例えばガラスフィラー等が挙げられ、樹脂材料に30重量%程度含有されている。
【0063】
第2テンション付与部55は、図3に示すように、ステンレス等の金属材料によって形成された板ばねであり、取付片56及び弾性片57で構成され、取付片56を介してケーシング本体2の内部空間S1を画成する内部天壁部2cに固定されている。
弾性片57は、下方に向かって延在し、その先端部57aが外巻きロール紙R2から引き出された記録紙Pに接して該記録紙Pを押圧する押圧部として機能する。本実施形態の弾性片57の先端部57aは、記録紙Pとの接触抵抗を少なくするために丸みを帯びた形状をしており、具体的には半円を描くように略180度程度滑らかに湾曲しながら折り返されて最先端縁が上方を向いている。そのため、弾性片57の先端部57aは、記録紙Pに対して凸曲面状に形成されている。また、上記最先端縁が上方を向いているので、外巻きロール紙R2を着脱する際に、最先端縁に対する引っ掛かりが生じ難い設計とされている。
【0064】
また、この第2テンション付与部55は、上記第1テンション付与部51と同様に、単に記録紙Pを押圧してテンションを付与させているだけでなく、図8に示すように、記録紙用通路40の挿入口40a内に記録紙Pがスムーズに挿入されるように、紙送りされる記録紙Pの搬送方向を変更させている。具体的には、内側天壁部2cに対する固定位置や、弾性片57の弾性力等の調整によって、挿入口40aにおける記録紙Pと、記録紙用通路40に沿って挿入口40aの外側まで延びる仮想挿入面Kと、のなす挿入角度θ2が+40°までの角度範囲内に収まるように搬送方向を変更している。
【0065】
なお、第2テンション付与部55についても、上記した第1テンション付与部51の場合と同様に、紙の癖が原因となる印字不良を低減させることができると共に、印字始めの脱調を低減させることが可能である。
【0066】
更に、ケーシング4の内部には、図3に示すように、収容容器10に収容されたロール紙Rから引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの間に、記録紙Pを幅方向からガイドするガイド部60が設けられている。
このガイド部60は、内巻きロール紙R1を使用した際に、該内巻きロール紙R1から引き出された記録紙Pをガイドする第1ガイド部61と、外巻きロール紙R2を使用した際に、該外巻きロール紙R2から引き出された記録紙Pをガイドする第2ガイド部62と、で構成されている。
【0067】
第1ガイド部61は、図2から図4に示すように、プリンタカバー3の内面において、第1テンション付与部51とプラテンユニット31との間に位置する部分に取り付けられている。この第1ガイド部61は、左右方向L3にロール紙Rの紙幅よりも若干大きな間隔を開けて向かい合うように立設された板片であり、押圧体52よりも後方側に向けて突出している。これにより、図7に示すように、第1テンション付与部51の押圧体52によって搬送変更が変更された記録紙Pは、第1ガイド部61によってガイドされながら挿入口40aに向けて紙送りされる。
【0068】
第2ガイド部62は、図2及び図3に示すように、ケーシング本体2の内部空間S1を画成する一対の内部側壁部2dにそれぞれ形成されている。この第2ガイド部62は、左右方向L3にロール紙Rの紙幅よりも若干大きな間隔を開けて向かい合うように配設されたリブであり、前後方向L1に沿って長尺に形成されている。これにより、図8に示すように、第2テンション付与部55によって搬送方向が変更された記録紙Pは、第2ガイド部62によってガイドされながら挿入口40aに向けて紙送りされる。
【0069】
(サーマルプリンタの作動)
次に、上記のように構成されたサーマルプリンタ1の作動について説明する。
はじめに、未使用の内巻きロール紙R1をセットし、該内巻きロール紙R1の記録紙Pに印刷を行う場合について説明する。
【0070】
まず、図2に示すように、操作部12の押し下げ操作によってプリンタカバー3を開けて収容容器10を開放させた後、内巻きロール紙R1を収容容器10内に投入する。すると、この投入操作によって、内巻きロール紙R1は支持突起22の表面上を滑りながら押し込まれていく。これにより、支持突起22が収容容器10の外方に向けて押し出されるので、一対のアーム板21が開腕方向に回動して開いた状態となる。ところが、このアーム板21はコイルバネ23によって閉腕方向に付勢されているので、支持突起22は内巻きロール紙R1の側面に押し付けられた状態となる。
【0071】
そして、内巻きロール紙R1のさらなる押し込みによって軸孔が支持突起22の位置に達すると、内巻きロール紙R1の側面に押し付けられていた支持突起22が軸孔内に自動的に挿入されると共に、一対のアーム板21が閉腕方向に回動する。これにより、内巻きロール紙R1は、アーム板21及び支持突起22からなる一対の軸支片20によって軸支された状態となる。なお、アーム板21は対向板10bに形成された収納凹部25内に完全に収納された状態となり、対向板10bの外面からの飛び出しが抑制される。
【0072】
上記した内巻きロール紙R1のセットが終了した後、記録紙Pをある程度の長さだけ引き出した状態でプリンタカバー3を閉操作する。そして、プリンタカバー3を完全に閉めると、該プリンタカバー3はケーシング本体2の係合部に係合されて自動的にロックがかかった状態となる。
また、プリンタカバー3を閉じることで、図5に示すように、該プリンタカバー3に取り付けられたプラテンユニット31と、ケーシング本体2側に取り付けられた本体ユニット30と、が一体的に組み合わされた状態となる。従って、引き出された記録紙Pは、サーマルヘッド32とプラテンローラ34との間に挟まれながら、プラテンユニット31及び本体ユニット30の間に画成された記録紙用通路40内に収まった状態となる。
【0073】
次いで、記録紙Pへの印刷を開始する。
まず、モータを駆動させることで、歯車伝達機構を介してプラテンローラ34を回転させる。これにより、プラテンローラ34の外周面とサーマルヘッド32との間に挟まれた記録紙Pが排出口16に向けて紙送りされると共に、軸支片20によって軸支された内巻きロール紙R1が回転する。また、これと同時にサーマルヘッド32を作動させて、多数の発熱素子を適宜発熱させる。これにより、送り出された記録紙Pに対して各種の文字や図形等を印刷することができる。
【0074】
そして、印刷がなされた記録紙Pは、プラテンローラ34の回転によってさらに紙送りされることで、固定刃35と可動刃33との間を通過する。そして、上記印刷が終了したタイミングで可動刃33を固定刃35に向けてスライド移動させることで、記録紙Pを固定刃35と可動刃33との間で挟み込んで切断することができる。その結果、印刷及び切断が終了した記録紙Pを排出口16から取り出すことができ、該記録紙Pをレシートやチケット等として使用することができる。
【0075】
次に、上述した内巻きロール紙R1ではなく、外巻きロール紙R2を使用した場合について説明する。この場合であっても、ロール紙のセット手順や印刷方法は上述した内巻きロール紙R1と同様である。従って、印刷及び切断が終了した記録紙Pを共通の排出口16から排出させることができ、使い易い。
特に本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、内巻きロール紙R1及び外巻きロール紙R2のそれぞれに対応した排出口16を別個に設ける必要がないので、構成の簡略化による小型化を図り易い。
【0076】
ところで、図5及び図6に示すように、内巻きロール紙R1を使用した場合と外巻きロール紙R2を使用した場合とでは、引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの搬送経路が異なってしまうので、引き出されている長さも異なってしまう。しかしながら、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、内巻きロール紙R1又は外巻きロール紙R2のいずれのロール紙を使用したとしても、それぞれに応じた最適なテンションを記録紙Pに付与することができる。
【0077】
この点について詳細に説明する。
まず、図5に示すように内巻きロール紙R1を使用した場合には、第1テンション付与部51の押圧体52の先端部52aが、弾性部53からの弾性復元力を受けて記録紙Pをその長さ等に応じた力で押圧する。これにより、記録紙Pに最適なテンションを付与することができ、記録紙Pに弛み等が生じてしまうことを抑制することができる。
また、図6に示すように外巻きロール紙R2を使用した場合には、第2テンション付与部55の弾性片57の先端部57aが、自身の弾性復元力によって記録紙Pをその長さ等に応じた力で押圧する。これにより、記録紙Pに最適なテンションを付与することができ、記録紙Pに弛みが生じてしまうことを抑制することができる。
【0078】
このように、いずれのロール紙Rを使用した場合であっても、それぞれの記録紙Pに最適なテンションを付与することができ、弛みを抑制することができる。従って、一定の搬送トルクで記録紙Pを紙送りすることができ、印字ムラ等の印字不良を生じ難くさせることができ、明瞭な印刷を行うことができる。特に、未使用状態のロール紙Rをセットしたとしても、弛みの発生を抑制できるので、搬送トルクが急激に大きくなることを防止でき、印刷不良を効果的に抑制することができる。
しかも、第1テンション付与部51及び第2テンション付与部55は、軸支片20ではなく引き出された記録紙Pが記録紙用通路40の挿入口40aに挿入されるまでの間の位置に設けられているので、構成が簡略化されている。そのため、サーマルプリンタ1の小型化や低コスト化に繋げ易い。
【0079】
また、第1テンション付与部51及び第2テンション付与部55は、記録紙Pを押圧して単にテンションを付与するだけでなく、記録紙用通路40への記録紙Pの挿入角度が所定の角度範囲内に収まるように搬送方向を変更している。
即ち、第1テンション付与部51が、図7に示すように、記録紙Pと仮想挿入面Kとのなす挿入角度θ1が−50°までの角度範囲内に収まるように記録紙Pの搬送方向を変更し、第2テンション付与部55が、図8に示すように、記録紙Pと仮想挿入面Kとのなす挿入角度θ2が+40までの角度範囲内に収まるように記録紙Pの搬送方向を変更している。
【0080】
そのため、内巻きロール紙R1又は外巻きロール紙R2によって記録紙Pの搬送経路が異なっていたとしても、記録紙Pを記録紙用通路40内に抵抗少なくスムーズに挿入させることができる。従って、搬送抵抗の低減化を図り易いうえ、紙ジャム等の発生も抑制することができる。
【0081】
また、第1テンション付与部51のうち、記録紙Pに接する押圧体52は、ガラスフィラーが含有された樹脂材料で形成されているので、摩擦抵抗に強く摩耗し難い。そのため、摩耗粉等の発生を抑制することができ、これがサーマルヘッド32等に付着すること等による印字不良を招き難い。しかも、押圧体52の先端部52aは、記録紙Pに向かって凸曲面となるように形成されているので、記録紙Pを均等の力で押圧し易いうえ、記録紙Pを摺動させ易い。そのため、記録紙Pを引っ掛かり少なくスムーズに案内でき、搬送抵抗のさらなる低減化を図り易いうえ、記録紙Pに擦れや傷等を付け難い。
【0082】
また、第2テンション付与部55についても金属材料で形成されているうえ、弾性片57の先端部57aが略180度程度滑らかに湾曲しながら折り返され、記録紙Pに向かって凸曲面状に形成されている。従って、第2テンション付与部55についても、上記した第1テンション付与部51と同様の作用効果を奏効させることができる。
【0083】
さらに、ケーシング4の内部には、第1ガイド部61及び第2ガイド部62が設けられているので、内巻きロール紙R1又は外巻きロール紙R2のいずれのロール紙を使用したとしても、記録紙Pを幅方向からガイドすることができる。従って、記録紙用通路40内に挿入されるまでの間に記録紙Pに蛇行や斜行等の不正走行が生じ難い。よって、印字ずれや紙ジャム等の発生を効果的に抑制することができる。
【0084】
上述したように、本実施形態のサーマルプリンタ1によれば、簡略な構成で、内巻きロール紙R1及び外巻きロール紙R2のいずれのロール紙であっても、記録紙Pの弛みを適切に抑制しながら明瞭に印刷を行うことができる。
なお、サーマルプリンタ1の使用に伴ってロール紙Rが徐々に細径化してきた場合には、記録紙Pは第1テンション付与部51や第2テンション付与部55に接することなく、記録紙用通路40の挿入口40a内に直接挿入される。この場合であっても、上記した挿入角度θ1、θ2が所定の角度範囲内に収まるように、挿入口40aと収容容器10との位置関係等が考慮されて設計がなされている。
【0085】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0086】
例えば、上記実施形態では、プリンタの一例としてサーマルプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、インクジェットヘッド(印字ヘッド)によって印字するインクジェットプリンタであっても構わない。
【0087】
また、上記実施形態では、プリンタカバー3側にプラテンユニット31を配置し、ケーシング本体2側に本体ユニット30を配置した構成としたが、これとは逆に、プリンタカバー3側に本体ユニット30を配置し、ケーシング本体2側にプラテンユニット31を配置しても構わない。
また、可動刃33をサーマルヘッド32と同じユニットに具備し、固定刃35をプラテンローラ34と同じユニットに具備させたが、この場合に限られず逆でも構わない。また、固定刃35及び可動刃33のカッター機構は、必須な構成ではなく、具備しなくても構わない。
【0088】
また、上記実施形態では、アーム板21及び支持突起22を有する一対の軸支片20を利用してロール紙を軸支する構成としたが、この構成は一例であり他の構成を採用した軸支方式としても構わない。
【0089】
また、上記実施形態では、第1テンション付与部51を構成する押圧体52を、強化繊維が含有された樹脂材料で形成し、強化繊維の一例としてガラスフィラーを挙げたが、その他にも、例えば各種耐摩耗性に優れた(スーパー)エンジニアリングプラスチック群等や金属(ステンレス鋼やアルミニウム合金材等或いは金属表面改質/被膜コーティング処理品等)を好適に用いることができる。これらの場合であっても、摩擦抵抗に強く摩耗し難い押圧体52とすることができる。
【0090】
また、押圧体52を記録紙Pに押し付ける弾性部33は、コイルバネだけに限定されるものではなく、板ばね等でも構わないし、その他のものでも構わない。
【0091】
また、第1テンション付与部51及び第2テンション55共に、ロール紙Rと接触する部分の構造は、押圧体52の先端部52aや弾性片57の先端部57aのような凸曲面状の構造以外にも、例えば回転しながら記録紙Pに対してテンションを付与することができる回転ローラ構造としても構わない。
【0092】
(変形例)
例えば、第1テンション付与部51を例に挙げて説明すると、図9に示すように押圧体52の先端部52aが記録紙Pの紙送り方向に回転自在なローラ部とされている。このようにすることで、記録紙Pを均等な力で押圧し易いうえ、ローラ部とされた先端部52aの回転によって記録紙Pが摺動され難くなるので記録紙Pに対する接触抵抗を極力小さくすることができる。従って、搬送抵抗の低減化をより効果的に図り易いうえ、記録紙Pに擦れや傷等を付け難くすることができる。
なお、この場合であっても、ローラ部とされた先端部52aを金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料で形成することが好ましい。
【0093】
また、上記実施形態において、第1テンション付与部51及び第2テンション付与部55の構成は一例であり、上記構成に限定されるものではない。例えば、第1テンション付与部51を第2テンション付与部55のように板ばねで構成しても構わないし、その他のばね構成例えば捩りコイルばね等を利用して構成しても構わない。また、第2テンション付与部55を捩りコイルばね等のような、板ばね以外のばね構成としても構わないし、第1テンション付与部51と同様の構成としても構わない。
【0094】
また、第1テンション付与部51及び第2テンション付与部55を、それぞれ、取り外し可能な構成とし、例えば、ロール紙Rの記録紙Pとの接触によって磨耗してしまったテンション付与部を交換できるようにしてもよい。このようにすることで、部品交換によりプリンタを長期間使用していくことが可能となる。また、ロール紙Rの径がテンションを付与する必要がない程度に小さい場合(ロール紙Rの記録紙Pが第1テンション付与部51又は第2テンション付与部55と接触しない場合)や、使用するロール紙Rの巻き方が予め分かっている場合に、取り付けておかなくてもよいテンション付与部を取り外しておいてもよい。このようにすることで、例えば、収容容器10の内部空間を広く確保することができ、ロール紙Rの収容容器10への出し入れがし易くなる。
このように、第1テンション付与部51及び第2テンション付与部55を、必要に応じて取り外し可能とすることで交換を可能としたり、使用用途、使い勝手に応じた構成を実現できるようにしたりしてもよい。
【0095】
(変形例)
ここで、例えば第1テンション付与部を板ばねで構成する場合を例に挙げて説明する。図10に示すように、第1テンション付与部70は、ステンレス等の金属材料によって形成された板ばねであり、取付片71及び弾性片72で構成され、取付片71を介して収容容器10に形成された段差部10d内に固定されている。
弾性片72は、ケーシング本体2の内部に向かって延在し、その先端部72aが内巻きロール紙R1から引き出された記録紙Pに接して該記録紙Pを押圧する押圧部として機能する。本実施形態の弾性片72の先端部72aは、記録紙Pとの接触抵抗を少なくするために丸みを帯びた形状をしており、具体的には半円を描くように略180度程度滑らかに湾曲しながら折り返されて最先端縁がプラテンユニット31側を向いている。そのため、弾性片72の先端部72aは、記録紙Pに対して凸曲面状に形成されている。また、上記最先端縁がプラテンユニット31側を向いているので、内巻きロール紙R1を着脱する際に、最先端縁に対する引っ掛かりが生じ難い設計とされている。
【0096】
このように、第1テンション付与部70を板ばねで構成したとしても同様の作用効果を奏効することができる。特に、板ばねという簡略な構成で、記録紙Pにテンションを付与することができるうえ、記録紙Pの搬送方向を変更して最適な挿入角度で記録紙用通路40の挿入口40aに紙送りすることができるので好ましい。
【0097】
また、上記実施形態において、第1テンション付与部及び第2テンション付与部を、さらに記録紙Pの紙送り方向に揺動自在となるように構成しても構わない。この場合の構成について、第1テンション付与部を例に挙げて説明する。
【0098】
(変形例)
図11から図14に示すように、この場合の第1テンション付与部80は、押圧体81と、該押圧体81を内巻きロール紙R1から引き出された記録紙Pに向けて付勢して、押圧体81の先端部81aを記録紙Pに対して押圧させると共に、押圧体81を記録紙Pの紙送り方向(図11に示す矢印方向)に揺動自在に弾性支持するコイルバネ(弾性部)82と、を備えている。
【0099】
押圧体81は、記録紙Pの紙幅方向である左右方向L3に沿って長尺に形成された部材であり、収容容器10の湾曲板10aの上端部に形成された段差部10d内に、前後方向L1にスライド移動自在に配設されている。この際、押圧体81は、段差部10dの壁面10eによってガイドされながらスライド移動可能とされている。
【0100】
押圧体81の先端部81aは、記録紙Pに対してその紙幅の略全長に亘って接触する部分であり、記録紙Pに向かって凸曲面となるように滑らかに湾曲形成されている。押圧体81の左右方向L3の両側における基端部には、左右方向L3の外側に向けて第1フランジ片81b及び第2フランジ片81cがそれぞれ突設されている。第1フランジ片81bは、段差部10dの底面10f及びプリンタカバー3の内面に対して平行とされた板片であり、第2フランジ片81cは段差部10dの壁面10eに対して平行とされて該壁面10eに接する板片とされている。そして、これら第1フランジ片81b及び第2フランジ片81cは、側面視でL字形状となるように互いに連設されている。
【0101】
なお、押圧体81の基端部のうち、上記した一対の第1フランジ片81b及び第2フランジ片81cで挟まれる部分には凹部81dが形成されており、この凹部81d内に湾曲板10aの上端部に位置する収容容器10のガイド突起10gが配設されている。このガイド突起10gと押圧体81との間には、押圧体81のスライド移動を許容する隙間H(図12参照)が確保されている。
また、第1フランジ片81bは、このガイド突起10gの側面にスライドイド自在に接している。この点においても、押圧体81は前後方向L1にガイドされながらスライド移動可能とされている。
【0102】
また、上記第1フランジ片81bには、連結ねじ(ガイド軸)85を挿通させるためのガイド孔86が形成されている。この連結ねじ85は、収容容器10に対して押圧体81を連結させ、且つ押圧体81のスライド移動をガイドする部材であり、上記ガイド孔86に挿通された状態で段差部10dの底面10fに螺着されている。この際、連結ねじ85のヘッド部が、段差部10dの底面10fから離間した位置に留まるように螺着されている。
なお、図示の例では、連結ねじ85にEリング87が固定されており、ワッシャ88を介して段差部10dへの捩じ込み量が規定されている。
【0103】
上記コイルバネ82は、連結ねじ85に被嵌された状態で押圧体81の第1フランジ片81bと段差部10dの底面10fとの間に配設されており、弾性力により押圧体81を付勢して記録紙Pに押し付けている。特に、押圧体81は、上記コイルバネ82による付勢時に、段差部10dの壁面10fによるガイド、第2フランジ片81cによるガイド、連結ねじ85によるガイド等によって、がたつき少なく前後方向L1にスライド移動可能とされている。
なお、連結ねじ85のヘッド部は、コイルバネ82によって付勢された押圧体81の移動量を規制している。
【0104】
ところで、上記したガイド孔86は、連結ねじ85の直径よりも大きい径で開口しており、ガイド孔86と連結ねじ85との間には押圧体81の上記揺動を許容する隙間が画成されている。
【0105】
以上のように構成した場合には、コイルバネ82が押圧体81を記録紙P側に付勢していると共に、該押圧体81を揺動自在に支持している。そのため、押圧体81は、記録紙Pを押圧しながら紙送りされる該記録紙Pに伴って図13から図14に示すように揺動(傾動)する。なお、押圧体81の揺動は、例えばガイド孔86の内縁が連結ねじ85に接する等することで停止する。
【0106】
これにより、記録紙Pに局所的な曲げをできるだけ生じさせずに、ロール紙から引き出されたままの自然な状態に近い形で挿入口に紙送りさせることができる。つまり、図13に示す状態では、記録紙Pが押圧体81の先端部81aにおいて角度θ3で曲げが生じるが、押圧体81の揺動により図14に示すように、その角度θ3がより大きくなだらかになる。そのため、記録紙Pの搬送負荷を低減させることができる。
【0107】
また、印刷開始によって記録紙Pが紙送りされる始動段階において、図14に示すように、押圧体81が記録紙Pに伴って揺動することで、記録紙Pを搬送方向にスムーズに誘導できる。そのため、効果的に搬送負荷の低減化を図ることができると共に、上記始動段階における搬送トルクの増大を抑制でき、印字ムラ等の印字不良を防止し易い。
しかも、印刷を停止させると、コイルバネ82の弾性復元力により紙送り方向に傾いた押圧体81を逆方向に揺動させて、図13に示すように元の位置に自然に復帰させることができる。そのため、それ以降に印刷を再度開始したとしても、紙送りの始動時における搬送トルクの増大を繰り返し抑制できる。
【0108】
また、押圧体81は、連結ねじ85によるガイド等によって、がたつき少なく前後方向L1にスライド移動するので、安定して記録紙Pを押圧し易い。また、連結ねじ85のヘッド部がコイルバネ82によって付勢された押圧体81の移動量を規制しているので、記録紙Pを適切な押圧力で押圧でき最適なテンションを付与し易い。
更に、揺動によって押圧体81を広範囲に亘り可動させることができるので、ロール紙R1のロール径が変化(太径から細径に変化)したとしても、記録紙Pが接触し易い。従って、記録紙Pの弛み抑制を広い径範囲で行うことが可能となる。
【0109】
なお、上述した構成において、連結ねじ85は必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合、例えばコイルバネ82の一端側を段差部10dの底面10fに連結させ、他端側を押圧体81に連結することで、押圧体81をコイルバネ82で揺動自在に弾性支持させるように構成しても良い。また、この場合には、コイルバネ82に代えて板ばね等の他の弾性部を採用することも可能である。
【符号の説明】
【0110】
K…仮想挿入面
R…ロール紙
P1…印字面
P…記録紙
1…サーマルプリンタ(プリンタ)
10…収容容器(収容部)
4…ケーシング(筐体)
5…印刷モジュール
16…排出口
32…サーマルヘッド(印字ヘッド)
34…プラテンローラ
40…記録紙用通路
40a…記録紙用通路の挿入口
50…テンション付与部
51、70、80…第1テンション付与部
55…第2テンション付与部
60…ガイド部
61…第1ガイド部
62…第2ガイド部
81…押圧体
82…コイルバネ(弾性部)
85…連結ねじ(ガイド軸)
86…ガイド孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字面を内側に向けて記録紙が巻回された内巻きロール紙、又は印字面を外側に向けて記録紙が巻回された外巻きロール紙のいずれかのロール紙が収容される収容部と、該ロール紙から引き出された記録紙を排出させる排出口と、を具備する筐体と、
前記筐体に組み合わされ、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙に印刷を行うと共に、印刷後の記録紙を前記排出口から排出させる印刷モジュールと、を備え、
前記印刷モジュールは、
前記排出口と前記収容部とを連通させる記録紙用通路と、
該記録紙用通路を通じて前記記録紙を前記排出口に向けて紙送りするプラテンローラと、
紙送りされる前記記録紙の前記印字面に印字を行う印字ヘッドと、を備え、
前記筐体の内部には、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙が前記記録紙用通路の挿入口に挿入されるまでの間に、該記録紙に対してテンションを付与するテンション付与部が設けられ、
該テンション付与部は、
前記内巻きロール紙から引き出された前記記録紙を押圧することでテンションを付与する第1テンション付与部と、
前記外巻きロール紙から引き出された前記記録紙を押圧することでテンションを付与する第2テンション付与部と、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、前記挿入口における前記記録紙と、前記記録紙用通路に沿って前記挿入口の外側まで延びる仮想挿入面と、のなす挿入角度が所定の角度範囲内に収まるように、前記挿入口に向かって紙送りされる前記記録紙の搬送方向をそれぞれ変更することを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、該記録紙の紙送り方向に揺動自在とされていることを特徴とするプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、
前記記録紙の紙幅方向に沿って形成され、先端部が該記録紙に接触する押圧体と、
該押圧体を付勢して、該押圧体の前記先端部を前記記録紙に対して押圧させる弾性部と、を備え、
前記弾性部は、前記押圧体を前記記録紙の紙送り方向に揺動自在に弾性支持していることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタにおいて、
前記押圧体の基端部には、ガイド軸が挿通されるガイド孔が形成され、
前記ガイド軸は、前記押圧体を付勢方向にガイドすると共に、その付勢方向への押圧体の移動量を規制し、
前記ガイド孔と前記ガイド軸との間には、前記押圧体の揺動を許容する隙間が画成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記筐体の内部には、前記収容部に収容された前記ロール紙から引き出された前記記録紙が前記挿入口に挿入されるまでの間に、前記記録紙を幅方向からガイドするガイド部が設けられ、
前記ガイド部は、
前記内巻きロール紙から引き出された前記記録紙をガイドする第1ガイド部と、
前記外巻きロール紙から引き出された前記記録紙をガイドする第2ガイド部と、を備えていることを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部又は前記第2テンション付与部は、前記筐体の内部に対して、取り外し可能に備えられていることを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、少なくとも前記記録紙を押圧する部分が、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていると共に記録紙に向かって凸曲面となるように形成されていることを特徴とするプリンタ。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のプリンタにおいて、
前記第1テンション付与部及び前記第2テンション付与部は、前記記録紙を押圧する部分が該記録紙の紙送り方向に回転自在なローラ部とされていることを特徴とするプリンタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプリンタにおいて、
前記押圧部分は、金属材料又は強化繊維が含有された樹脂材料によって形成されていることを特徴とするプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−187911(P2012−187911A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208177(P2011−208177)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】