説明

プリント台紙付き合成樹脂製風船及び該風船への印刷方法

【課題】合成樹脂製風船の表裏面に写真等を市販のプリンターで確実に直接印刷することを可能にするプリント台紙付き合成樹脂製風船を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の2枚のシートの外周縁をガス注入口部13bを残して貼り合わせることにより形成した風船13を台紙10に着脱自在に貼着する。台紙10は、風船よりも大きい面積で、風船貼着予定面内にプリント孔14を形成している。そのため、台紙に貼着した風船を該台紙と共にプリンターに供給して、風船の表裏面に文字あるいは図形を印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製風船の片面又は両面に、写真、データ、テキスト、グラフィックスデータ等を市販のインクジェットプリンターで直接印刷できるようにするためのプリント台紙付き合成樹脂製風船及び該風船への印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成樹脂製風船の一面をインクジェット塗工面として、該面にグラフィックスデータ、テキストデータ等をインクジェットプリンターで印刷できるようにした風船及びその印刷を行う装置について記載されている。該装置は、駆動トレーに塗工面が形成された風船を載置し、このトレーをコンベアで印字装置の下方に搬送し、風船の塗工面にグラフィックスデータ、テキストデータ等をインクジェット印字装置によりリアルタイムにかつダイレクトに印刷するものである。
【0003】
特許文献1の従来技術は、風船の一面のみに印刷することを前提とし、また、印刷に用いるインクジェット印字装置はコンベアの上方に配置されていて、プリンターの下面にトレーが搬送されたとき、そのトレー上の風船に印刷するという特殊な印字装置である。しかも、トレーの上面に風船を載置するときの位置決めについては、何の配慮もされておらず、風船の印刷予定箇所に確実に印刷を施すことは困難である。
【特許文献1】特開2000−61157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、合成樹脂製風船に写真、データ、テキスト、グラフィックスデータ等を市販のプリンターで確実に直接印刷することを可能にするプリント台紙付き合成樹脂製風船及び該風船への印刷方法を提供することを第1の課題とし、また、風船の両面に印刷することができるようにすることを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するための本発明のプリント台紙付き合成樹脂製風船は、合成樹脂製の2枚のシートの外周縁をガス注入口部を残して貼り合わせることにより形成した風船を、それよりも大きい面積で、風船貼着予定面内にプリント孔を形成した台紙における該貼着予定面に着脱可能に貼着し、台紙に貼着した風船を該台紙と共にプリンターに供給して風船の表裏面に文字あるいは図形を印刷可能にしたことを特徴とするものである。
上記プリント台紙付き合成樹脂製風船の好ましい実施形態においては、上記台紙の風船貼着予定面の端部に、風船のガス注入口部を台紙の裏面側に挿通する切れ目を設け、該切れ目を通してガス注入口部を台紙の裏面側に挿通される。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明に係る合成樹脂製風船への印刷方法は、次の工程(a)〜(c)を有することを特徴とするものである。
(a) プリンターに供給して印刷に供することが可能な台紙における風船貼着予定面内にプリント孔を形成する工程。
(b) 合成樹脂製の2枚のシートの外周縁をガス注入口部を残して貼り合わせることにより形成した風船を、上記台紙における該貼着予定面に着脱可能に貼着する工程。
(c) 台紙に貼着した風船を該台紙と共にプリンターに供給し、台紙の表及び/または裏側における風船面に文字あるいは図形を印刷する工程。
【発明の効果】
【0007】
本発明のプリント台紙付き合成樹脂製風船及び該風船への印刷方法によれば、風船を台紙に着脱可能に貼着し、風船が貼着された台紙をプリンターに供給して印刷するので、風船の印刷予定位置に確実に印刷が施される。また、台紙の風船貼着予定面内にはプリント孔が形成されているので、風船の一面に印刷した台紙を裏返し、再度プリンターに供給して、風船の他面における上記孔内にも印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2は、本発明に係るプリント台紙付き合成樹脂製風船の実施例を示し、図1は台紙10の表面11側を、図2はその台紙10の裏面12側を示している。台紙10の大きさは風船の大きさに応じた大きさとするが、風船13を貼着することから、常に台紙10は風船13より大きい面積であることが前提となっている。また、インクジェットプリンターを用いて一般の紙を印刷する場合と同じように印刷するため、台紙10は各種プリンターに供給するのに適したサイズ、例えば、A4、B4、B5等のサイズであることが望ましい。風船13は、それを担持する台紙10の所定位置(貼着予定位置)に粘着剤等により着脱可能に貼着される。
【0009】
上記風船13は、合成樹脂(PET+LLDPE)製の2枚のシートを風船の形に合わせて切断し、風船本体部13aに付設されるガス注入口部13bを残して、その外周縁を貼り合わせることにより形成したもので、平面状をなしている。そして、風船13の両面を同じ素材の塗工面(白色顔料と接着剤などを混ぜた塗料を塗布した面)として、風船13の両面にインクジェットによるプリントを施すことができるようにしている。また、風船13のガス注入口部13bは、その内部に細い通孔が形成され、その通孔からガス注入用パイプ等を抜き出したときには逆止弁が機能するようにしたものである。このガス注入口部13bも平面状をなしている。
【0010】
上記台紙10は、その表面11の風船貼着予定位置の周囲に予め輪郭線17を表示しておくのが、貼着する風船13の位置決めに有利である。そして、台紙10における風船貼着予定面内(上記輪郭線17内)には、風船13の裏面への印刷を可能にするためのプリント孔14を設けている。このプリント孔14は、風船13の裏面への印刷可能範囲を設定するもので、円形または風船13の形状に合わせた形など、任意に選択することができる。
【0011】
また、上記台紙10における風船本体部13aの貼着面の端部でガス注入口部13bとの間に位置するように、該台紙10に、風船のガス注入口部13bを台紙10の裏面側に挿通する切れ目15を設けている。この切れ目15は、それを通して風船のガス注入口部13bを台紙10の裏面側に挿通できるようにしたものである。
このように、台紙10の切れ目15を通してガス注入口部13bを台紙10の裏面側に挿通すると、プリンターによる風船表面へのプリントに際して最も障害になりやすい上記ガス注入口部13bを台紙10の表面に出ないようにすることができる。また、風船13の裏面へのプリントに際しては、多少の障害になることがあったとしても、突出しているガス注入口部13bが微小部分であり、それでも障害になるのであれば上記切れ目15から抜き出して表側に突出させておけばよい。
【0012】
上記構成を有するプリント台紙付き合成樹脂製風船は、図1の台紙10の表面11の輪郭線17に合わせて風船本体部13aを着脱可能に貼着し、ガス注入口部13bは切れ目15に挿通して台紙10の裏面12側に突出させておき(必要に応じて着脱可能に貼着する)、次に示すような工程で、台紙10に貼着した風船13を該台紙10と共にプリンターに供給して、風船13の表裏面に文字あるいは図形を印刷することができる。
【0013】
まず、風船13が貼着された台紙10をインクジェットプリンターのフィダーに入れ、風船13の一面(表面)に印刷する。そして、一面の印刷インクのの乾燥が確認された後に、必要ならば一面に印刷された台紙10を裏返し、再度台紙10をインクジェットプリンターのフィダーに入れ、風船13の他面(裏面)に印刷する。風船13の一面は全面に印刷を施すことができるが、風船13の他面は孔14の内側に限り印刷をすることができる。印刷は一枚ずつ行われるが、風船13が貼着された台紙10の給紙は、一般の紙と同じように、プリンターのフィダーに10〜30枚の台紙10をストックし、連続して行うことができる。
【0014】
風船の印刷に供するインクジェットプリンターは、どの機種のものでも、また、デスクトッププリンターでも、ワイドフォーマットプリンターでも差し支えない。上記風船13に印刷するために、特別の装置や機械の改造の必要はなく、市販されているインクジェットプリンターで印刷できる。そして水性染料インク又は水性顔料インクであれば、印刷が容易である。
【0015】
上記風船は、普通の風船を膨らませるのと同じように、印刷を施された風船13のガス注入口部13bから、空気又はヘリウムガスを注入すると、膨らませることができる。現在市場に供給されている合成樹脂製風船は、例えば、円形状で直径51センチメートルを超える風船13にヘリウムガスを注入すると、一般の風船と同じように数日間は空中に浮くように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るプリント台紙付き合成樹脂製風船の実施例を示す正面図である。
【図2】図1の台紙の裏面を示す背面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 台紙
13 風船
13a 風船本体部
13b ガス注入口部
14 プリント孔
15 切れ目


【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の2枚のシートの外周縁をガス注入口部を残して貼り合わせることにより形成した風船を、それよりも大きい面積で、風船貼着予定面内にプリント孔を形成した台紙における該貼着予定面に着脱可能に貼着し、
台紙に貼着した風船を該台紙と共にプリンターに供給して風船の表裏面に文字あるいは図形を印刷可能にした、
ことを特徴とするプリント台紙付き合成樹脂製風船。
【請求項2】
上記台紙の風船貼着予定面の端部に、風船のガス注入口部を台紙の裏面側に挿通する切れ目を設け、該切れ目を通してガス注入口部を台紙の裏面側に挿通した、
ことを特徴とする請求項1に記載のプリント台紙付き合成樹脂製風船。
【請求項3】
次の工程(a)〜(c)からなる合成樹脂製風船への印刷方法。
(a) プリンターに供給して印刷に供することが可能な台紙における風船貼着予定面内にプリント孔を形成する工程。
(b) 合成樹脂製の2枚のシートの外周縁をガス注入口部を残して貼り合わせることにより形成した風船を、上記台紙における該貼着予定面に着脱可能に貼着する工程。
(c) 台紙に貼着した風船を該台紙と共にプリンターに供給し、台紙の表及び/または裏側における風船面に文字あるいは図形を印刷する工程。

【図1】
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【図2】
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