説明

プリント基板配線構造

【目的】回動部材と一体回動するプリント基板に配線される線材の引っ掛かりを解消し、回動部材の操作感を良好にする。
【構成】回動する部品4に電気部品7を配設する構造において、部品4の回転軸6に取り付けられる回動部材2に電気部品7を配設したプリント基板20を取り付け、プリント基板20には線材21が配線され、プリント基板20の回転軸6側には線材21を保持する保持部を形成する。また、回動部材2に取り付けられたプリント基板20には回転軸側端面に回転軸6を囲む切れ込みを形成すると共に、切れ込みの一部にプリント基板に配線される線材21を保持する切り溝を形成する。線材が回転軸近傍を沿いながらプリント基板に配線されるので、回動部材の回動による線材のたるみが最小限に抑えられると共に、プリント基板等の突起部分に引っ掛かりが無くなり、回動部材の回転操作感が常に良好になる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、回転部材と一体回転するプリント基板に配線される線材を保持するプリント配線構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
回動する部品に電気部品を配設する構造を有する装置として、音響機器や映像機器の表示体付回転ツマミが知られている。即ち、図6は映像或いは音響機器1を示し、回動部材である表示体付の回転ツマミ2が操作パネル3から突出して配設されている。回転ツマミ2は図7に示すように、操作パネル3に形成した凹部3aにナット5により螺着された部品である例えば主音量ボリューム4の回転軸6に圧入嵌合されている。回転軸6と回転ツマミ2の圧入孔2aにはDカット部が形成され、互いに回転方向に変位しないように構成されている。
【0003】
回転ツマミ2には回転位置を示す電気部品である発光ダイオード7の先端を窓孔2bから露出させて設けられている。発光ダイオード7は回転ツマミ2の内側に突出形成した支柱2cの先端にビス8により螺着したプリント基板9に半田付け接続されている。プリント基板9には発光ダイオード7を点灯させる電源を供給するためのリード線10の一端がコネクター11を介して配線されている。リード線10は操作パネル3の透孔3bに挿通され、他端が主音量ボリューム4に取り付けられた配線基板12にコネクター13を介して接続されている。
【0004】
以上の構造において、回転ツマミ2は音量を調整するために回動し、この回転と一体に発光ダイオード7を接続したプリント基板9が回動し、プリント基板9に配線したリード線10も回動する。しかしながら、リード線10は回転ツマミ2の回動を許容するように余裕を持たせ、主音量ボリューム4の回転軸6に巻回しているが、回動操作時にリード線10がプリント基板9等の突起部分に引っ掛かり、回転ツマミ2の回動方向に対して抵抗を生ずることがある。この結果、回転ツマミ2の回動操作感を著しく損ねるといった問題点がある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
解決しようとする問題点は、回転ツマミ等の回動部材の回動操作時に、一体に回転するプリント基板に配線されるリード線等の線材が、プリント基板等の突起部分に引っ掛かり、回転ツマミを含む回動部材の回転操作感を損ねてしまうことである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本考案は、回動する部品に電気部品を配設する構造において、上記部品の回転軸に取り付けられる回動部材と、該回動部材に取り付けられ上記電気部品を配設したプリント基板と、該プリント基板に配線される線材とを備え、上記プリント基板の上記回転軸側には上記線材を保持する保持部を形成し、さらには、回動部材に取り付けられたプリント基板には回転軸側端面に該回転軸を囲む切れ込み部を形成すると共に、該切れ込み部の一部に上記プリント基板に配線される線材を保持する切り溝を形成したことを特徴とし、回動部材と一体回動するプリント基板に配線される線材の引っ掛かりを解消し、回動部材の操作感を良好にすることを目的としている。
【0007】
【作用】
回動部材と一体回動するプリント基板の回転軸側に、プリント基板に配線される線材を保持する保持部を形成すると、線材は回転軸近傍を沿いながらプリント基板に配線される経路を通ることから、回動部材の回動による線材のたるみが最小限に抑えられ、プリント基板等の突起部分に引っ掛かることが解消され、回動部材の回転操作感が常に良好になる。また、プリント基板の回転軸側端面に回転軸を囲む切れ込み部を形成し、この切れ込み部の一部に切り溝を形成すると、切り溝に線材が保持されて、上述の構成と同様に回動部材の回転操作感が良好になることに加え、プリント基板の固定位置精度が向上する。
【0008】
【実施例】
以下、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。尚、図6及び図7と同一部分は同一符号を付しその説明は省略する。
図1は本考案によるプリント基板配線構造の実施例を音響機器や映像機器の表示体付回転ツマミを例にして示し、図7と同様に回転ツマミ2には回転位置を示す電気部品である発光ダイオード7の先端が窓孔2bから露出されて設けられている。さらに、発光ダイオード7は回転ツマミ2の内側に突出形成した支柱2cの先端にビス8により螺着したプリント基板20に半田付け接続されている。プリント基板20は、図2に示すように、発光ダイオード7を半田付け接続すると共に、コネクターピンが半田付け接続されている。コネクターピンには発光ダイオード7を点灯させる電源を供給するための線材であるリード線21の一端に接続したコネクター11が挿入接続される。さらに、プリント基板20の主音量ボリューム4の回転軸6側に切り溝状の保持部22が形成され、リード線21を挿通させることによって保持されている。
【0009】
他端を主音量ボリューム4に取り付けられた配線基板12にコネクター13を介して接続されたリード線21は、プリント基板20の回転軸6側に形成された保持部22に挿通されるが、この保持部22の位置は、回動部材たる回転ツマミ2の回動中心に近い部分であり、保持部22を通過したリード線21は、近傍のプリント基板20に直接配線されることになる。このため、回転ツマミ2を回動しても、リード線21の回動半径が小さくなり、しかも、リード線21がプリント基板20等には引っ掛かることが無くなり、良好な操作感をもたらす。
【0010】
図3は本考案の他の実施例を示し、電子部品たる発光ダイオード7を半田付け接続したプリント基板30は、回転ツマミ2の内方に突出形成した支柱2dの先端部に、止め板或いは溶着等によって取り付けられている。プリント基板30は図4に示すように、主音量ボリューム4の回転軸6側の端面に、回転軸6を囲むように半円状の切れ込み30aが形成され、さらに、切れ込み30aの最奥端には、リード線21を保持する切り溝30bが連設されている。
【0011】
そして、リード線21を切り溝30bに挟み込むように挿通した状態でプリント基板30の切れ込み30aを回転軸6に嵌合する。この結果、リード線21は回転軸6によって閉塞され、切り溝30b内に収納されて保持される。また、プリント基板30は回転軸6に嵌合することにより位置精度良く固定される。切り溝30b内に保持されたリード線21は、前述の例と同様に、回転軸6に沿って回動することから、回動半径が小さくなり、しかも、たるみが最小限となるので回転ツマミ2の回動時の操作感は一層良好なものとなる。ここで、プリント基板30の切れ込み30aは、図5に示すように角形に形成しても良く、要するに回転軸6に嵌合可能な形状であれば他の形状に変形しても良い。
【0012】
尚、本考案は上記の各実施例に限定されるものではなく、回動部材としては回転ツマミのみならず、回動する部材の内部にプリント基板に配設した電気部品を有し、プリント基板に線材を配線する構成のものであれば、他に応用展開しても良く、本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0013】
【考案の効果】
以上の説明から明らかなように、本考案のプリント基板配線構造は、回動部材と一体回動するプリント基板の回転軸側に、プリント基板に配線される線材を保持する保持部を形成しているので、線材は回転軸近傍を沿いながらプリント基板に配線される経路を通すことができ、回動部材の回動による線材のたるみが最小限に抑えられると共に、プリント基板等の突起部分に引っ掛かりが無くなり、回動部材の回転操作感が常に良好になる。また、プリント基板の回転軸側端面に回転軸を囲む切れ込み部を形成し、この切れ込み部の一部に切り溝を形成しているので、切り溝に線材を保持することができ、回動部材の回転操作感が良好になることに加え、プリント基板の固定位置精度を向上することができる利点がある。
【0014】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案のプリント基板配線構造を示す断面図である。
【図2】同プリント基板の構成を示す平面図である。
【図3】同プリント基板配線構造の他の実施例を示す断面図である。
【図4】同図3におけるプリント基板の構成を示す平面図である。
【図5】同図3におけるプリント基板の他の構成を示す平面図である。
【図6】一般的な音響或いは映像機器を示す斜視図である。
【図7】従来のプリント基板配線構造を示すを示す断面図である。
【符号の説明】
2 回転ツマミ(回動部材)
4 主音量ボリューム(部品)
6 回転軸
7 発光ダイオード(電気部品)
20 プリント基板
21 リード線(線材)
22 保持部
30a 切れ込み
30b 切り溝

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 回動する部品に電気部品を配設する構造において、上記部品の回転軸に取り付けられる回動部材と、該回動部材に取り付けられ上記電気部品を配設したプリント基板と、該プリント基板に配線される線材とを備え、上記プリント基板の上記回転軸側には上記線材を保持する保持部を形成したことを特徴とするプリント基板配線構造。
【請求項2】 回動部材に取り付けられたプリント基板には回転軸側端面に該回転軸を囲む切れ込み部を形成すると共に、該切れ込み部の一部に上記プリント基板に配線される線材を保持する切り溝を形成した請求項1に記載のプリント基板配線構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】実開平5−67058
【公開日】平成5年(1993)9月3日
【考案の名称】プリント基板配線構造
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−16173
【出願日】平成4年(1992)2月18日
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)