プリント配線基板の製造方法
【課題】基板本体100に対するフォトマスクフィルム30などの部材の相対位置を容易に設定することができるプリント配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板本体100の主面に、基板本体100の主面と略平行な第1面11と、第1面11に連なり、この第1面11との間に所定の角度を有する第2面12と有する第1アライメントマーク10を形成する工程と、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、第1アライメントマーク10を少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30などの部材の相対位置を設定する工程と、を有する。
【解決手段】基板本体100の主面に、基板本体100の主面と略平行な第1面11と、第1面11に連なり、この第1面11との間に所定の角度を有する第2面12と有する第1アライメントマーク10を形成する工程と、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、第1アライメントマーク10を少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30などの部材の相対位置を設定する工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の基板本体と部材との相対的位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
層間絶縁層に無電解銅めっき層が形成されたリング状の凹部を位置決めマークとして形成し、照射した光が凹部の壁面に反射することを利用して、リング状に光る凹部の輪郭を位置決めマークとして認識する手法が知られている(特許文献1、段落0035、段落0038、図6、図7B)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−103166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術のように位置決めマークの輪郭を光らせると、位置決めマークの内部及び外部が相対的に暗くなるため、位置合わせをする対象のアライメントマークの明度が低い場合には、基板側の位置決めマークと対象側のアライメントマークとの位置を比較することが困難になるという問題がある。一般に、対象のアライメントマークは有色であるため、位置決めマークの輪郭以外の領域が暗いと、基板側の位置決めマークと対象側のアライメントマークとの位置を合せることが困難になる。特に、透明なフォトマスクのアライメントマークは黒色で形成されているので、従来の技術を用いて基板に対するフォトマスクの位置を設定する場合には、フォトマスクのアライメントマークが位置決めマークの暗部に隠れてしまい、両者の位置が比較しにくいという不都合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板本体との相対位置が設定される対象のアライメントマークが有色であっても、基板本体のアライメントマークと対象のアライメントマークの位置が比較しやすく、基板本体に対する部材の相対位置の設定が容易なプリント配線基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法であって、前記基板本体の主面に、前記基板本体の主面と略平行な第1面と、前記第1面に連なり、当該第1面との間に所定の角度を有する第2面と有する第1アライメントマークを形成する工程と、前記基板本体の主面と前記部材の主面とを撮像するカメラの光学系の光軸方向に沿う方向であり、かつ前記基板本体の主面と前記部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、前記第1アライメントマークを少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0007】
上記発明の工程に加えて、前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することができる。
【0008】
また、上記発明の工程に加えて、前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部の形状から求められる基準点と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することができる。
【0009】
さらに、上記発明において、前記第1アライメントマークを形成する工程は、前記基板本体の主面を覆う第1導電層を所定の形状に除去する工程と、前記第1導電層が除去された領域及び前記第1導電層が残された領域の上に、さらに第2導電層を形成する工程と、を備えることができる。
【0010】
上記発明において、前記第1導電層は、円形又は矩形の形状に除去されることを特徴とする。
【0011】
上記発明において、前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるようにすることができる。
【0012】
また、上記発明において、前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、基板本体の主面に形成されたアライメントマークの輪郭を暗部として抽出し、抽出された暗部の位置に基づいて基板本体に対する部材の相対位置を設定するので、対象のアライメントマークが有色であっても両者の位置を比較しやすくすることができる。その結果、プリント配線基板の製造時において、基板本体に対する部材の相対位置の設定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る、基板に対するフォトマスクの相対位置を設定する工程を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図6】Aは、図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図7】Aは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図9】本発明の第2実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図10】Aは図9に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図9に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図12】本発明の第4実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態に係るプリント配線基板の製造方法を説明する。本実施形態のプリント配線基板の製造方法は、プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むものである。
【0016】
ここでは、めっきスルーホールを有するプリント配線基板の製造方法を例に説明するが、インタースティシャルビアホール、ブラインドビアホールなどを有するプリント配線基板の製造方法にも適用できる。
【0017】
まず、本実施形態の基板本体100を作製する。本実施形態では、図1(A)に示すように、金属張基板(以下同じ、JIS5603に準拠)20を準備する。金属張基板20は、厚さが10μm〜250μmの可撓性を有するポリイミド(PI)などの絶縁性基材21の両主面に、銅などの金属箔22が張り付けられた基板である。金属張基板20の絶縁性基材21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエステル(PE)とすることができる。
【0018】
次に、図1(B)に示すように、ドリルやレーザ穴加工機を用いて金属張基板20に貫通孔27を穿設する。
【0019】
続いて、無電解めっき処理後に、電解銅めっきを行い、図1(C)に示すようにめっき層25を形成する。これにより、金属張基板20の両主面側の金属箔22を接続するめっきスルーホール28が形成される。
【0020】
このめっきスルーホールの形成処理の前に又はこの処理と並行して、金属張基板20の一方又は両方の主面に第1アライメントマーク10を形成する。第1アライメントマーク10は、金属張基板20の端部領域に形成される。金属張基板20の端部領域は、ハンドリングのための余白であり、導電性回路などが形成されない領域である。
【0021】
本実施形態では、エッチング加工を利用して第1アライメントマーク10を形成する。図示はしないが、第1アライメントマーク10に対応する所定形状に応じたマスクを形成し、このマスクとレジストを介して光を照射し、エッチングにより所定形状の金属箔22を除去する。図2(A)は、所定形状の金属箔22が除去されることにより形成された第1アライメントマーク10の形成途中の状態を示す。なお、エッチング処理は、公知のエッチャントを用いて、公知の手法により行う。
【0022】
その後、金属箔22が除去された領域及び金属箔22が残された領域の両方にめっき層25を形成する。めっき層25は、金属箔22が除去された領域及び金属箔22が残された領域の両方を覆う。図2(B)は、所定領域の金属箔22が除去された部分にさらにめっき層25が積層されることにより形成された第1アライメントマーク10を示す。
【0023】
形成された第1アライメントマーク1の断面図を図2(C)に示す。図2(C)は、図2(B)のIIC−IICに沿う第1アライメントマーク10の断面図である。第1アライメントマーク10は、基板本体100を構成する金属張基板20の主面と略平行な第1面11と、第1面11に連なり、この第1面11との間に所定の角度を有する第2面12と有する。第1面11に連なる第2面12の角度は特に限定されないが、90°〜135°であることが好ましい。
【0024】
このように、本実施形態の第1アライメントマーク10は、基板本体100の主面の延在方向と所定の角度をなす第2面12を有する。この第2面12は、金属箔22が除去された凹部領域を覆うようにめっき層25が積層されることにより形成される。図2(C)に示す例では、第1面11と第2面12とが断面台形状の凹部領域を形成するが、これに限定されず、第1面11と第2面12とが断面台形状の凸部領域を形成するようにしてもよい。また、本実施形態における第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状は円形であるが、これに特に限定されず、矩形であってもよい。これら第1アライメントマーク10の形状は、先述した金属箔22のエッチング処理において用いるマスクのパターンを変更することにより任意に設計することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、第1アライメントマーク10をめっきスルーホールの形成に並行して形成する例を説明するが、第1アライメントマーク10の形成手法はこれに限定されない。たとえば、LVH(Laser Via Hole)プロセスを用いたプリント基板の製造方法においては、LVHプロセスにおけるフォトリソグラフィー処理時に金属箔22(第1導電層)を所定の形状に除去する工程を行い、LVHプロセスにおける銅めっき時にめっき層25(第2導電層)を形成する工程を行うことができる。ちなみに、LVHプロセスは、銅張積層板からスタートし、フォトリソグラフィー処理により銅箔に窓穴を形成し、次いで、この窓穴を有する銅箔をマスクとしてレーザ加工によりポリイミド層の穴加工を行い、DDP(ノボラック型エポキシ樹脂)処理、銅めっき処理を行うという処理によって層間の導通を確保する製法である。
【0026】
次に、図3(A)に示すように、感光性のドライフィルム26でめっき層25を覆う。この場合に、ドライフィルム26が透明であれば、第1アライメントマーク10も覆ってよいが、第1アライメントマーク10の検出精度の観点からは覆わない方が望ましい。
【0027】
さらに、図3(B)に示すように、所望の導電性回路パターンが描画されたフォトマスクフィルム30などの部材を、基板本体100の上下に載置する。本実施形態のフォトマスクフィルム20は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製又はガラス製である。また、本実施形態のフォトマスクフィルム30は透明である。
【0028】
その後、上下から紫外線で露光し、アルカリ性水溶液で現像処理することによりめっきレジストを形成するが、この工程におけるフォトマスクフィルム30の位置は、基板本体100に対して正確に設定される必要がある。もしも、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の位置がずれると、フォトマスクフィルム30の導電性回路パターンにより形成された導電性回路と、基板本体100に既に形成されたスルーホール27との位置がずれてしまい、製造されたプリント配線基板が回路として機能しないからである。
【0029】
そこで、本実施形態では、基板本体100に形成された第1アライメントマーク10と、フォトマスクフィルム30に形成された第2アライメントマーク31とを用いて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定する。
図4は、基板本体100の第1アライメントマーク10と、フォトマスクフィルム30の第2アライメントマーク31との位置関係を示す図である。同図に示すように、第1アライメントマーク10は、矩形の基板本体100の4つの頂点近傍に形成されている。同様に、第2アライメントマーク31は、矩形のフォトマスクフィルム30の4つの頂点近傍に形成されている。
【0030】
第1アライメントマーク10は、先述したように、金属箔22を所定形状に除去し、その後、所定形状を含む領域にめっき層25が積層されることにより形成される。他方、第2アライメントマーク31は、矩形のフォトマスクフィルム30の頂点近傍に印刷などの手法により形成される。なお、第2アライメントマーク31の形状は限定されず、円形、矩形、リング状であってもよいし、連続した線又は面で形成されてもよいし、離散した点線又はドットで形成されてもよい。
【0031】
特に限定されないが、第2アライメントマーク31は、後述する光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるように形成されていることが好ましい。このため、本実施形態の第2アライメントマーク31の反射率は、第1アライメントマーク10の暗部の内側の反射率よりも低く設定されている。なお、この作用は後述する。
【0032】
加えて、特に限定されないが、第2アライメントマーク31は、後述する光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるように形成されていることが好ましい。このため、本実施形態の第2アライメントマーク31の面積は、第1アライメントマーク10を構成する第1面11の面積よりも小さい。なお、この作用は後述する。
【0033】
図4に示すように、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とはXY平面上において同じ位置に形成されている。つまり、基板本体100とフォトマスクフィルム30とを重ねて、上面から見たときには、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とは互いに接近又は重畳した状態で観測することができる。
【0034】
本実施形態では、以下の手法により、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とを少なくとも含む領域の画像を用いて、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31の位置関係を求める。
【0035】
図5は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0036】
本実施形態では、図5に示すように、光源50及びカメラ60が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられている。この光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を照射する。同図に示す本実施形態では、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60のレンズの周囲の円周上に複数の光源50を設けているので、この光源50がカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射する。
【0037】
光源50は、平行光を照射できるものであれば、その態様は特に限定されない。例えば、点光源と凸レンズを組み合わせて、点光源をレンズの焦点位置に設置した光源50や、点光源とフレネルレンズを組み合わせて、点光源をレンズの焦点位置に設置した光源50や、光源とインテグレーターで高精度の点光源を形成し、この点光源を放物鏡の焦点位置に設置した光源50や、複数の光源と拡散板とを組み合わせて面光源と、この面光源からの光を複数の筒(遮光用筒)を介して照射する光源50でもよい。
【0038】
また、カメラ60は、CCD素子を備え、少なくとも基板本体100の第1アライメントマーク10を含む領域からの反射光を受光し、その受光データを明暗画像処理装置80へ送出する。
【0039】
明暗画像処理装置80は、2値化処理することにより受光データを明暗画像に変換し、この明暗画像から相対的に明度が低い暗部を抽出する。図6及び図7は受光データが2値化された明暗画像の例を示す図である。
【0040】
図6及び図7に示すように、第1アライメントマーク10の第2面12に対応する暗部10´は、円形の影として抽出される。暗部10´に囲まれた領域の形状は、第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状に応じて円形となっている。このように第1面11の平面、又はこの第1面11に連なる第2面12の形状に応じた暗部10´が抽出されるのは、以下の理由による。
【0041】
本実施形態では、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体200の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する。このため、光の照射方向に対して垂直方向に延在する第1面11からの反射光はカメラ60に受光される。他方、第2面12は照射される光に対して垂直ではない所定の角度を有するため、第2面12に当たった光が散乱する。このため、第2面12からの反射光の一部のみがカメラ60に入射する。
【0042】
このように、カメラ60が受光する第2面12からの反射光の光量は、第1面11からの反射光の光量よりも相対的に少ないので、第2面12に対応する明暗画像の明度は、第1面11に対応する明暗画像の明度よりも低くなる。これにより、第1アライメントマーク10の輪郭を暗部とし、第1アライメントマーク10の内側を明部として抽出することができる。第1アライメントマーク10の暗部10´に囲まれた内側領域を明部とすることにより、第1アライメントマーク10の内側の明部を背景として第2アライメントマーク31の位置を観察することができるので、位置合わせがしやすくなる。一般に、フォトマスクフィルム30などの対象の第2アライメントマーク31は白以外の有色であるため、第1アライメントマーク10の輪郭以外の領域が暗いと、位置を合せることが困難になる。これに対し、本実施形態では背景が明るくなるので、第1アライメントマーク10に対する第2アライメントマーク31の位置合わせを容易に行うことができる。
【0043】
特に、透明なフォトマスクフィルム30の第2アライメントマーク31は黒色で形成されているので、第1アライメントマーク10の輪郭以外の内外領域が暗いと、第2アライメントマーク31がその暗い領域に溶け込んでしまい両者の位置が比較しにくいという不都合がある。これに対し、本実施形態では背景が明るいので、第1アライメントマーク10に対する第2アライメントマーク31の位置合わせを容易に行うことができる。
【0044】
ところで、従来技術のように平行光以外の照射光を基板の凹部に当てると、真上から照射された光だけでなく、斜めから入射した光も凹部の壁面で照射する。このため、これらの反射光が加算されてカメラに入射して、凹部の壁面に対応するマークの輪郭が相対的に光る。マークの輪郭が光ると、相対的にマークの内側及び外側が暗くなるので、背景が暗くなり、基板側のマークとマスク側のマークとの位置合わせが困難になる。
【0045】
本実施形態の製造方法では、このような不都合を生じさせないため、基板側のマークとマスク側のマークとの位置合わせを容易にすることができる。
【0046】
ここで図5に戻り、以上の手法によって暗部の抽出処理が終了したら、明暗画像処理装置80は、抽出した暗部の位置情報、形状情報、中心などの基準位置情報を、ずれ量算出装置90へ送出する。
【0047】
ずれ量算出装置90は、暗部の位置に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の位置の「ずれ量」を算出する。「ずれ量」は方向と距離とで表現される。算出したずれ量は、アライメント機構91へ送出される。
【0048】
アライメント機構91は、XY方向に沿ってフォトマスクフィルム30を移動させる駆動機構を有し、ずれ量算出装置90の算出したずれ量がゼロとなるように、フォトマスクフィルム30を移動させる。
【0049】
さらに、モニタMを設け、ずれ量算出装置90により算出された「ずれ量」を画像情報としてモニタMに提示させてもよい。オペレータは、モニタMで「ずれ量」を確認しながら、フォトマスクフィルム30の位置を手動で調整することができる。図6Aは、相対位置の設定前の「ずれ量」の画像情報例を示す図であり、図6Bは、相対位置の設定後の「ずれ量」の画像情報例を示す図である。
【0050】
図6A及び図6Bに示すように、抽出された第1アライメントマークに対応する暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´との位置関係に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定することができる。具体的に、オペレータは、図6Aの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、アライメント機構91を駆動させて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30を移動させることにより、基準からのずれを補正することができる。また、図6Bの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31´とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準に合致していることを認識できる。
【0051】
なお、相対位置のずれを判断する基準は適宜に定義することができる。例えば、第1アライメントマーク10が第2アライメントマーク31を内包している状態をずれの無い基準状態としてもよい。このように、基準状態を2つの図形の一方が他方を内包する関係とすることで、ずれ量の許容範囲の上限を設定することができる。
【0052】
また、図7A及び図7Bに示すように、抽出された第1アライメントマーク10に対応する暗部10´の形状から求められる基準点Pと第2アライメントマーク31の像31´との位置関係に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定することができる。オペレータは、図7Aの画像、すなわち、暗部10´の基準点Pと第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、アライメント機構91を駆動させて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30を移動させることにより、基準からのずれを補正することができる。また、図7Bの画像、すなわち、暗部10´の基準点P(暗部10´の中心)と第2アライメントマーク31´の中心とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準に合致していることを認識できる。
【0053】
このように、第1アライメントマーク10の暗部10´の形状から求められる基準点Pを基準として(例えば円の中心を基準として)、基準からのずれを補正することができるので、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置をより高い精度で設定することができる。
【0054】
また、先述したように、本実施形態では、光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、第2アライメントマーク31が、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるようにしている。これにより、位置設定時において、第1アライメントマーク10の明部を背景とすることができるので、この明部よりも暗い第2アライメントマーク10の位置が確認しやすくなる。
【0055】
加えて、本実施形態では、光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、第2アライメントマーク31が、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるようにしている。これにより、位置設定時において、第1アライメントマーク10の明部を背景とすることができるので、この明部よりも暗い第2アライメントマーク10の位置が確認しやすくなる。
【0056】
なお、先に説明した明暗画像処理装置80により抽出された暗部の画像情報をモニタMに提示させて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識し、そのずれ量を補正することも可能である。
【0057】
基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が設定されたら、図3(B)に示すように、紫外線で露光し、アルカリ性水溶液で現像処理することによりめっきレジストを形成する。フォトマスクフィルム30には導電性回路に対応するパターンが描画されている。
【0058】
その後、図8(A)に示すように、現像プロセスにおいて、レジストに焼き付けられたパターンを溶かし去り、導電性回路部分だけのレジストを残す。
【0059】
続いて、図8(B)に示すように、エッチングによる導電性回路パターンを形成する。塩化鉄、塩化銅又は水酸化アンモニウムなどのエッチャントを用いてめっき層25及び金属箔22を除去する。
【0060】
最後に、図8(C)に示すように、強アルカリ性溶液でレジストを溶かし去る。そして、所望の導電性回路を備えるプリント配線基板100を得る。本実施形態に係る製造方法によれば、導電性回路やビアホールの位置が正確に設定されるので、精度の高いプリント配線基板100を得ることができる。
【0061】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、基板本体100側の第1アライメントマーク10の形状が異なる以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0062】
図9に示す本実施形態の第1アライメントマーク10は、第1面11と第2面12とにより形成された断面台形状の凹部領域の中に、断面台形状の凸部領域が形成された形状を有する。また、本実施形態における第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状は二重円又はリング状の形状である。この形状は、先述した金属箔22のエッチング処理において用いるマスクのパターンを変更することにより任意に設計することができる。
【0063】
図10A及び図10Bは、第2実施形態の第1アライメントマーク10の明暗画像から抽出された暗部10´と、第2アライメントマーク31の像を示す。第1実施形態と同様に、オペレータは、図10Aの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を調整することにより、基準からのずれを補正することができる。また、図10Bの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31´とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていないことを認識できる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0064】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、異なる態様の相対位置設定装置1000を用いること以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0065】
図11は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、ハーフミラー70と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0066】
同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000では、光源50が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられるとともに、カメラ60が基板本体100の主面に対して平行方向の位置(カメラ60の光学系の光軸が基板本体100の主面に対して平行となる位置)に設けられている。本例では、光源50を、その光の照射方向がカメラ60の光学系の光軸方向Qと垂直に交わる位置に設けるとともに、ハーフミラー70をカメラ60の光学系の光軸上に設けている。これにより、光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射することができ、カメラ60はこのように照射された平行光の反射光を受光することができる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0067】
<第4実施形態>
第4実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、異なる態様の相対位置設定装置1000を用いること以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0068】
図12は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、ハーフミラー70と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0069】
同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000では、光源50が基板本体100の主面に対して平行方向の位置(光源50から照射される光の光路が基板本体100の主面に対して平行となる位置)に設けられるとともに、カメラ60が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられている。本例では、光源50を、その光の照射方向がカメラ60の光学系の光軸方向Qと垂直に交わる位置に設けるとともに、ハーフミラー70を光源50の光の光路上に設けている。これにより、光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射することができ、カメラ60はこのように照射された平行光の反射光を受光することができる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0071】
本明細書では、基板本体100との相対位置が設定される部材としてフォトマスクフィルム30を例にして説明するが、これに限定されず、本実施形態の部材には、プリント配線基板の製造工程において基板本体100との相対位置が設定されるものすべてが含まれる。たとえば、基板本体100を補強する補強板や、カバーレイ、ソルダレジストなどのレジストなどは部材に含まれる。
【0072】
なお、本実施形態における金属箔22は第1導電層の一例であり、めっき層25は第2導電層の一例である。
【符号の説明】
【0073】
100…基板本体
1000…相対位置設定装置
10…第1アライメントマーク
10´…暗部
11…第1面
12…第2面
20…金属張基板
21…絶縁性基材
22…金属箔,第1導電層
25…めっき層,第2導電層
26…ドライレジスト
27…スルーホール用貫通孔
28…めっきスルーホール
30…フォトマスクフィルム
31…第2アライメントマーク
31´…第2アライメントマークの像
50…光源
60…カメラ
70…ハーフミラー
80…明暗画像処理装置
90…ずれ量算出装置
91…アライメント機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板の基板本体と部材との相対的位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
層間絶縁層に無電解銅めっき層が形成されたリング状の凹部を位置決めマークとして形成し、照射した光が凹部の壁面に反射することを利用して、リング状に光る凹部の輪郭を位置決めマークとして認識する手法が知られている(特許文献1、段落0035、段落0038、図6、図7B)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−103166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術のように位置決めマークの輪郭を光らせると、位置決めマークの内部及び外部が相対的に暗くなるため、位置合わせをする対象のアライメントマークの明度が低い場合には、基板側の位置決めマークと対象側のアライメントマークとの位置を比較することが困難になるという問題がある。一般に、対象のアライメントマークは有色であるため、位置決めマークの輪郭以外の領域が暗いと、基板側の位置決めマークと対象側のアライメントマークとの位置を合せることが困難になる。特に、透明なフォトマスクのアライメントマークは黒色で形成されているので、従来の技術を用いて基板に対するフォトマスクの位置を設定する場合には、フォトマスクのアライメントマークが位置決めマークの暗部に隠れてしまい、両者の位置が比較しにくいという不都合がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板本体との相対位置が設定される対象のアライメントマークが有色であっても、基板本体のアライメントマークと対象のアライメントマークの位置が比較しやすく、基板本体に対する部材の相対位置の設定が容易なプリント配線基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法であって、前記基板本体の主面に、前記基板本体の主面と略平行な第1面と、前記第1面に連なり、当該第1面との間に所定の角度を有する第2面と有する第1アライメントマークを形成する工程と、前記基板本体の主面と前記部材の主面とを撮像するカメラの光学系の光軸方向に沿う方向であり、かつ前記基板本体の主面と前記部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、前記第1アライメントマークを少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【0007】
上記発明の工程に加えて、前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することができる。
【0008】
また、上記発明の工程に加えて、前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部の形状から求められる基準点と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することができる。
【0009】
さらに、上記発明において、前記第1アライメントマークを形成する工程は、前記基板本体の主面を覆う第1導電層を所定の形状に除去する工程と、前記第1導電層が除去された領域及び前記第1導電層が残された領域の上に、さらに第2導電層を形成する工程と、を備えることができる。
【0010】
上記発明において、前記第1導電層は、円形又は矩形の形状に除去されることを特徴とする。
【0011】
上記発明において、前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるようにすることができる。
【0012】
また、上記発明において、前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、基板本体の主面に形成されたアライメントマークの輪郭を暗部として抽出し、抽出された暗部の位置に基づいて基板本体に対する部材の相対位置を設定するので、対象のアライメントマークが有色であっても両者の位置を比較しやすくすることができる。その結果、プリント配線基板の製造時において、基板本体に対する部材の相対位置の設定を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る、基板に対するフォトマスクの相対位置を設定する工程を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図6】Aは、図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図7】Aは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図5に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係るプリント配線板の製造工程図である。
【図9】本発明の第2実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図10】Aは図9に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定する前の明暗画像を示す図、Bは図9に示す工程で取得された明暗画像に基づいて相対位置を設定した後の明暗画像を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【図12】本発明の第4実施形態において用いられる相対位置設定装置の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
以下、図面に基づいて本発明の第1実施形態に係るプリント配線基板の製造方法を説明する。本実施形態のプリント配線基板の製造方法は、プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むものである。
【0016】
ここでは、めっきスルーホールを有するプリント配線基板の製造方法を例に説明するが、インタースティシャルビアホール、ブラインドビアホールなどを有するプリント配線基板の製造方法にも適用できる。
【0017】
まず、本実施形態の基板本体100を作製する。本実施形態では、図1(A)に示すように、金属張基板(以下同じ、JIS5603に準拠)20を準備する。金属張基板20は、厚さが10μm〜250μmの可撓性を有するポリイミド(PI)などの絶縁性基材21の両主面に、銅などの金属箔22が張り付けられた基板である。金属張基板20の絶縁性基材21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)やポリエステル(PE)とすることができる。
【0018】
次に、図1(B)に示すように、ドリルやレーザ穴加工機を用いて金属張基板20に貫通孔27を穿設する。
【0019】
続いて、無電解めっき処理後に、電解銅めっきを行い、図1(C)に示すようにめっき層25を形成する。これにより、金属張基板20の両主面側の金属箔22を接続するめっきスルーホール28が形成される。
【0020】
このめっきスルーホールの形成処理の前に又はこの処理と並行して、金属張基板20の一方又は両方の主面に第1アライメントマーク10を形成する。第1アライメントマーク10は、金属張基板20の端部領域に形成される。金属張基板20の端部領域は、ハンドリングのための余白であり、導電性回路などが形成されない領域である。
【0021】
本実施形態では、エッチング加工を利用して第1アライメントマーク10を形成する。図示はしないが、第1アライメントマーク10に対応する所定形状に応じたマスクを形成し、このマスクとレジストを介して光を照射し、エッチングにより所定形状の金属箔22を除去する。図2(A)は、所定形状の金属箔22が除去されることにより形成された第1アライメントマーク10の形成途中の状態を示す。なお、エッチング処理は、公知のエッチャントを用いて、公知の手法により行う。
【0022】
その後、金属箔22が除去された領域及び金属箔22が残された領域の両方にめっき層25を形成する。めっき層25は、金属箔22が除去された領域及び金属箔22が残された領域の両方を覆う。図2(B)は、所定領域の金属箔22が除去された部分にさらにめっき層25が積層されることにより形成された第1アライメントマーク10を示す。
【0023】
形成された第1アライメントマーク1の断面図を図2(C)に示す。図2(C)は、図2(B)のIIC−IICに沿う第1アライメントマーク10の断面図である。第1アライメントマーク10は、基板本体100を構成する金属張基板20の主面と略平行な第1面11と、第1面11に連なり、この第1面11との間に所定の角度を有する第2面12と有する。第1面11に連なる第2面12の角度は特に限定されないが、90°〜135°であることが好ましい。
【0024】
このように、本実施形態の第1アライメントマーク10は、基板本体100の主面の延在方向と所定の角度をなす第2面12を有する。この第2面12は、金属箔22が除去された凹部領域を覆うようにめっき層25が積層されることにより形成される。図2(C)に示す例では、第1面11と第2面12とが断面台形状の凹部領域を形成するが、これに限定されず、第1面11と第2面12とが断面台形状の凸部領域を形成するようにしてもよい。また、本実施形態における第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状は円形であるが、これに特に限定されず、矩形であってもよい。これら第1アライメントマーク10の形状は、先述した金属箔22のエッチング処理において用いるマスクのパターンを変更することにより任意に設計することができる。
【0025】
なお、本実施形態では、第1アライメントマーク10をめっきスルーホールの形成に並行して形成する例を説明するが、第1アライメントマーク10の形成手法はこれに限定されない。たとえば、LVH(Laser Via Hole)プロセスを用いたプリント基板の製造方法においては、LVHプロセスにおけるフォトリソグラフィー処理時に金属箔22(第1導電層)を所定の形状に除去する工程を行い、LVHプロセスにおける銅めっき時にめっき層25(第2導電層)を形成する工程を行うことができる。ちなみに、LVHプロセスは、銅張積層板からスタートし、フォトリソグラフィー処理により銅箔に窓穴を形成し、次いで、この窓穴を有する銅箔をマスクとしてレーザ加工によりポリイミド層の穴加工を行い、DDP(ノボラック型エポキシ樹脂)処理、銅めっき処理を行うという処理によって層間の導通を確保する製法である。
【0026】
次に、図3(A)に示すように、感光性のドライフィルム26でめっき層25を覆う。この場合に、ドライフィルム26が透明であれば、第1アライメントマーク10も覆ってよいが、第1アライメントマーク10の検出精度の観点からは覆わない方が望ましい。
【0027】
さらに、図3(B)に示すように、所望の導電性回路パターンが描画されたフォトマスクフィルム30などの部材を、基板本体100の上下に載置する。本実施形態のフォトマスクフィルム20は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製又はガラス製である。また、本実施形態のフォトマスクフィルム30は透明である。
【0028】
その後、上下から紫外線で露光し、アルカリ性水溶液で現像処理することによりめっきレジストを形成するが、この工程におけるフォトマスクフィルム30の位置は、基板本体100に対して正確に設定される必要がある。もしも、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の位置がずれると、フォトマスクフィルム30の導電性回路パターンにより形成された導電性回路と、基板本体100に既に形成されたスルーホール27との位置がずれてしまい、製造されたプリント配線基板が回路として機能しないからである。
【0029】
そこで、本実施形態では、基板本体100に形成された第1アライメントマーク10と、フォトマスクフィルム30に形成された第2アライメントマーク31とを用いて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定する。
図4は、基板本体100の第1アライメントマーク10と、フォトマスクフィルム30の第2アライメントマーク31との位置関係を示す図である。同図に示すように、第1アライメントマーク10は、矩形の基板本体100の4つの頂点近傍に形成されている。同様に、第2アライメントマーク31は、矩形のフォトマスクフィルム30の4つの頂点近傍に形成されている。
【0030】
第1アライメントマーク10は、先述したように、金属箔22を所定形状に除去し、その後、所定形状を含む領域にめっき層25が積層されることにより形成される。他方、第2アライメントマーク31は、矩形のフォトマスクフィルム30の頂点近傍に印刷などの手法により形成される。なお、第2アライメントマーク31の形状は限定されず、円形、矩形、リング状であってもよいし、連続した線又は面で形成されてもよいし、離散した点線又はドットで形成されてもよい。
【0031】
特に限定されないが、第2アライメントマーク31は、後述する光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるように形成されていることが好ましい。このため、本実施形態の第2アライメントマーク31の反射率は、第1アライメントマーク10の暗部の内側の反射率よりも低く設定されている。なお、この作用は後述する。
【0032】
加えて、特に限定されないが、第2アライメントマーク31は、後述する光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるように形成されていることが好ましい。このため、本実施形態の第2アライメントマーク31の面積は、第1アライメントマーク10を構成する第1面11の面積よりも小さい。なお、この作用は後述する。
【0033】
図4に示すように、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とはXY平面上において同じ位置に形成されている。つまり、基板本体100とフォトマスクフィルム30とを重ねて、上面から見たときには、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とは互いに接近又は重畳した状態で観測することができる。
【0034】
本実施形態では、以下の手法により、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31とを少なくとも含む領域の画像を用いて、第1アライメントマーク10と第2アライメントマーク31の位置関係を求める。
【0035】
図5は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0036】
本実施形態では、図5に示すように、光源50及びカメラ60が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられている。この光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を照射する。同図に示す本実施形態では、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60のレンズの周囲の円周上に複数の光源50を設けているので、この光源50がカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射する。
【0037】
光源50は、平行光を照射できるものであれば、その態様は特に限定されない。例えば、点光源と凸レンズを組み合わせて、点光源をレンズの焦点位置に設置した光源50や、点光源とフレネルレンズを組み合わせて、点光源をレンズの焦点位置に設置した光源50や、光源とインテグレーターで高精度の点光源を形成し、この点光源を放物鏡の焦点位置に設置した光源50や、複数の光源と拡散板とを組み合わせて面光源と、この面光源からの光を複数の筒(遮光用筒)を介して照射する光源50でもよい。
【0038】
また、カメラ60は、CCD素子を備え、少なくとも基板本体100の第1アライメントマーク10を含む領域からの反射光を受光し、その受光データを明暗画像処理装置80へ送出する。
【0039】
明暗画像処理装置80は、2値化処理することにより受光データを明暗画像に変換し、この明暗画像から相対的に明度が低い暗部を抽出する。図6及び図7は受光データが2値化された明暗画像の例を示す図である。
【0040】
図6及び図7に示すように、第1アライメントマーク10の第2面12に対応する暗部10´は、円形の影として抽出される。暗部10´に囲まれた領域の形状は、第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状に応じて円形となっている。このように第1面11の平面、又はこの第1面11に連なる第2面12の形状に応じた暗部10´が抽出されるのは、以下の理由による。
【0041】
本実施形態では、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30などの部材の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体200の主面及びフォトマスクフィルム30などの部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する。このため、光の照射方向に対して垂直方向に延在する第1面11からの反射光はカメラ60に受光される。他方、第2面12は照射される光に対して垂直ではない所定の角度を有するため、第2面12に当たった光が散乱する。このため、第2面12からの反射光の一部のみがカメラ60に入射する。
【0042】
このように、カメラ60が受光する第2面12からの反射光の光量は、第1面11からの反射光の光量よりも相対的に少ないので、第2面12に対応する明暗画像の明度は、第1面11に対応する明暗画像の明度よりも低くなる。これにより、第1アライメントマーク10の輪郭を暗部とし、第1アライメントマーク10の内側を明部として抽出することができる。第1アライメントマーク10の暗部10´に囲まれた内側領域を明部とすることにより、第1アライメントマーク10の内側の明部を背景として第2アライメントマーク31の位置を観察することができるので、位置合わせがしやすくなる。一般に、フォトマスクフィルム30などの対象の第2アライメントマーク31は白以外の有色であるため、第1アライメントマーク10の輪郭以外の領域が暗いと、位置を合せることが困難になる。これに対し、本実施形態では背景が明るくなるので、第1アライメントマーク10に対する第2アライメントマーク31の位置合わせを容易に行うことができる。
【0043】
特に、透明なフォトマスクフィルム30の第2アライメントマーク31は黒色で形成されているので、第1アライメントマーク10の輪郭以外の内外領域が暗いと、第2アライメントマーク31がその暗い領域に溶け込んでしまい両者の位置が比較しにくいという不都合がある。これに対し、本実施形態では背景が明るいので、第1アライメントマーク10に対する第2アライメントマーク31の位置合わせを容易に行うことができる。
【0044】
ところで、従来技術のように平行光以外の照射光を基板の凹部に当てると、真上から照射された光だけでなく、斜めから入射した光も凹部の壁面で照射する。このため、これらの反射光が加算されてカメラに入射して、凹部の壁面に対応するマークの輪郭が相対的に光る。マークの輪郭が光ると、相対的にマークの内側及び外側が暗くなるので、背景が暗くなり、基板側のマークとマスク側のマークとの位置合わせが困難になる。
【0045】
本実施形態の製造方法では、このような不都合を生じさせないため、基板側のマークとマスク側のマークとの位置合わせを容易にすることができる。
【0046】
ここで図5に戻り、以上の手法によって暗部の抽出処理が終了したら、明暗画像処理装置80は、抽出した暗部の位置情報、形状情報、中心などの基準位置情報を、ずれ量算出装置90へ送出する。
【0047】
ずれ量算出装置90は、暗部の位置に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の位置の「ずれ量」を算出する。「ずれ量」は方向と距離とで表現される。算出したずれ量は、アライメント機構91へ送出される。
【0048】
アライメント機構91は、XY方向に沿ってフォトマスクフィルム30を移動させる駆動機構を有し、ずれ量算出装置90の算出したずれ量がゼロとなるように、フォトマスクフィルム30を移動させる。
【0049】
さらに、モニタMを設け、ずれ量算出装置90により算出された「ずれ量」を画像情報としてモニタMに提示させてもよい。オペレータは、モニタMで「ずれ量」を確認しながら、フォトマスクフィルム30の位置を手動で調整することができる。図6Aは、相対位置の設定前の「ずれ量」の画像情報例を示す図であり、図6Bは、相対位置の設定後の「ずれ量」の画像情報例を示す図である。
【0050】
図6A及び図6Bに示すように、抽出された第1アライメントマークに対応する暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´との位置関係に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定することができる。具体的に、オペレータは、図6Aの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、アライメント機構91を駆動させて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30を移動させることにより、基準からのずれを補正することができる。また、図6Bの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31´とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準に合致していることを認識できる。
【0051】
なお、相対位置のずれを判断する基準は適宜に定義することができる。例えば、第1アライメントマーク10が第2アライメントマーク31を内包している状態をずれの無い基準状態としてもよい。このように、基準状態を2つの図形の一方が他方を内包する関係とすることで、ずれ量の許容範囲の上限を設定することができる。
【0052】
また、図7A及び図7Bに示すように、抽出された第1アライメントマーク10に対応する暗部10´の形状から求められる基準点Pと第2アライメントマーク31の像31´との位置関係に基づいて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を設定することができる。オペレータは、図7Aの画像、すなわち、暗部10´の基準点Pと第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、アライメント機構91を駆動させて基板本体100に対するフォトマスクフィルム30を移動させることにより、基準からのずれを補正することができる。また、図7Bの画像、すなわち、暗部10´の基準点P(暗部10´の中心)と第2アライメントマーク31´の中心とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準に合致していることを認識できる。
【0053】
このように、第1アライメントマーク10の暗部10´の形状から求められる基準点Pを基準として(例えば円の中心を基準として)、基準からのずれを補正することができるので、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置をより高い精度で設定することができる。
【0054】
また、先述したように、本実施形態では、光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、第2アライメントマーク31が、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されるようにしている。これにより、位置設定時において、第1アライメントマーク10の明部を背景とすることができるので、この明部よりも暗い第2アライメントマーク10の位置が確認しやすくなる。
【0055】
加えて、本実施形態では、光源から平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、第2アライメントマーク31が、明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されるようにしている。これにより、位置設定時において、第1アライメントマーク10の明部を背景とすることができるので、この明部よりも暗い第2アライメントマーク10の位置が確認しやすくなる。
【0056】
なお、先に説明した明暗画像処理装置80により抽出された暗部の画像情報をモニタMに提示させて、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識し、そのずれ量を補正することも可能である。
【0057】
基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が設定されたら、図3(B)に示すように、紫外線で露光し、アルカリ性水溶液で現像処理することによりめっきレジストを形成する。フォトマスクフィルム30には導電性回路に対応するパターンが描画されている。
【0058】
その後、図8(A)に示すように、現像プロセスにおいて、レジストに焼き付けられたパターンを溶かし去り、導電性回路部分だけのレジストを残す。
【0059】
続いて、図8(B)に示すように、エッチングによる導電性回路パターンを形成する。塩化鉄、塩化銅又は水酸化アンモニウムなどのエッチャントを用いてめっき層25及び金属箔22を除去する。
【0060】
最後に、図8(C)に示すように、強アルカリ性溶液でレジストを溶かし去る。そして、所望の導電性回路を備えるプリント配線基板100を得る。本実施形態に係る製造方法によれば、導電性回路やビアホールの位置が正確に設定されるので、精度の高いプリント配線基板100を得ることができる。
【0061】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、基板本体100側の第1アライメントマーク10の形状が異なる以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0062】
図9に示す本実施形態の第1アライメントマーク10は、第1面11と第2面12とにより形成された断面台形状の凹部領域の中に、断面台形状の凸部領域が形成された形状を有する。また、本実施形態における第1アライメントマーク10の第1面11の平面形状は二重円又はリング状の形状である。この形状は、先述した金属箔22のエッチング処理において用いるマスクのパターンを変更することにより任意に設計することができる。
【0063】
図10A及び図10Bは、第2実施形態の第1アライメントマーク10の明暗画像から抽出された暗部10´と、第2アライメントマーク31の像を示す。第1実施形態と同様に、オペレータは、図10Aの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31の像31´とがずれている画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていることを認識でき、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置を調整することにより、基準からのずれを補正することができる。また、図10Bの画像、すなわち、暗部10´と第2アライメントマーク31´とが重畳している画像を見て、基板本体100に対するフォトマスクフィルム30の相対位置が基準からずれていないことを認識できる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0064】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、異なる態様の相対位置設定装置1000を用いること以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0065】
図11は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、ハーフミラー70と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0066】
同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000では、光源50が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられるとともに、カメラ60が基板本体100の主面に対して平行方向の位置(カメラ60の光学系の光軸が基板本体100の主面に対して平行となる位置)に設けられている。本例では、光源50を、その光の照射方向がカメラ60の光学系の光軸方向Qと垂直に交わる位置に設けるとともに、ハーフミラー70をカメラ60の光学系の光軸上に設けている。これにより、光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射することができ、カメラ60はこのように照射された平行光の反射光を受光することができる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0067】
<第4実施形態>
第4実施形態に係るプリント配線基板の製造方法は、異なる態様の相対位置設定装置1000を用いること以外は、第1実施形態と共通する。ここでは共通する説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
【0068】
図12は、本実施形態のプリント配線基板の製造方法に用いられる相対位置設定装置1000を示す図である。同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000は、光源50と、カメラ60と、ハーフミラー70と、明暗画像処理装置80と、ずれ量算出装置90と、アライメント機構91とを有している。
【0069】
同図に示すように、本実施形態の相対位置設定装置1000では、光源50が基板本体100の主面に対して平行方向の位置(光源50から照射される光の光路が基板本体100の主面に対して平行となる位置)に設けられるとともに、カメラ60が基板本体100の主面に対して垂直方向の位置に設けられている。本例では、光源50を、その光の照射方向がカメラ60の光学系の光軸方向Qと垂直に交わる位置に設けるとともに、ハーフミラー70を光源50の光の光路上に設けている。これにより、光源50は、基板本体100の主面とフォトマスクフィルム30の主面を撮像するカメラ60の光学系の光軸方向Qに沿う方向であり、かつ基板本体100の主面及びフォトマスクフィルム30の主面に対して垂直方向の平行光を、基板本体100の主面に照射することができ、カメラ60はこのように照射された平行光の反射光を受光することができる。本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0070】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0071】
本明細書では、基板本体100との相対位置が設定される部材としてフォトマスクフィルム30を例にして説明するが、これに限定されず、本実施形態の部材には、プリント配線基板の製造工程において基板本体100との相対位置が設定されるものすべてが含まれる。たとえば、基板本体100を補強する補強板や、カバーレイ、ソルダレジストなどのレジストなどは部材に含まれる。
【0072】
なお、本実施形態における金属箔22は第1導電層の一例であり、めっき層25は第2導電層の一例である。
【符号の説明】
【0073】
100…基板本体
1000…相対位置設定装置
10…第1アライメントマーク
10´…暗部
11…第1面
12…第2面
20…金属張基板
21…絶縁性基材
22…金属箔,第1導電層
25…めっき層,第2導電層
26…ドライレジスト
27…スルーホール用貫通孔
28…めっきスルーホール
30…フォトマスクフィルム
31…第2アライメントマーク
31´…第2アライメントマークの像
50…光源
60…カメラ
70…ハーフミラー
80…明暗画像処理装置
90…ずれ量算出装置
91…アライメント機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法であって、
前記基板本体の主面に、前記基板本体の主面と略平行な第1面と、前記第1面に連なり、当該第1面との間に所定の角度を有する第2面と有する第1アライメントマークを形成する工程と、
前記基板本体の主面と前記部材の主面とを撮像するカメラの光学系の光軸方向に沿う方向であり、かつ前記基板本体の主面と前記部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、
前記第1アライメントマークを少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、
前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、
前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部の形状から求められる基準点と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1アライメントマークを形成する工程は、
前記基板本体の主面を覆う第1導電層を所定の形状に除去する工程と、
前記第1導電層が除去された領域及び前記第1導電層が残された領域の上に、さらに第2導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電層は、円形又は矩形の形状に除去されることを特徴とする請求項4に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されることを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
プリント配線基板の基板本体に対する部材の相対位置を設定する工程を含むプリント配線基板の製造方法であって、
前記基板本体の主面に、前記基板本体の主面と略平行な第1面と、前記第1面に連なり、当該第1面との間に所定の角度を有する第2面と有する第1アライメントマークを形成する工程と、
前記基板本体の主面と前記部材の主面とを撮像するカメラの光学系の光軸方向に沿う方向であり、かつ前記基板本体の主面と前記部材の主面に対して垂直方向の平行光を照射する工程と、
前記第1アライメントマークを少なくとも含む領域の反射光による明暗画像から抽出された暗部の位置に基づいて、前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定する工程と、を有するプリント配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、
前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記部材の主面に第2アライメントマークを形成する工程をさらに備え、
前記相対位置を設定するステップは、前記抽出された暗部の形状から求められる基準点と前記第2アライメントマークとの位置関係に基づいて前記基板本体に対する前記部材の相対位置を設定することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記第1アライメントマークを形成する工程は、
前記基板本体の主面を覆う第1導電層を所定の形状に除去する工程と、
前記第1導電層が除去された領域及び前記第1導電層が残された領域の上に、さらに第2導電層を形成する工程と、を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のプリント配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電層は、円形又は矩形の形状に除去されることを特徴とする請求項4に記載のプリント基板の製造方法。
【請求項6】
前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の明度よりも低い明度の第2暗部として抽出されることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
【請求項7】
前記第2アライメントマークは、前記平行光を照射した際の反射光による明暗画像において、前記明暗画像から抽出された暗部に囲まれた明部の領域よりも小さい領域の第2暗部として抽出されることを特徴とする請求項6に記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−129819(P2011−129819A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289151(P2009−289151)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
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