説明

プリント配線板の冷却構造

【目的】 ホースを外すことなくプレートを着脱でき、プリント配線板の冷却を容易に行うことのできるプリント配線板の冷却構造を提供する。
【構成】 上下に対向してガイドレール3を有し冷媒の流れるパイプ4a,4bが接続されたケース2と、ケース2内にガイドレール3に沿って着脱可能に配設され、上下の対辺に冷媒の流路8を備えかつ少なくとも片面にプリント配線板1が固定されたプレート6と、このプレート6の流路8とケース2を連結するホース14a,14bとを備えたプリント配線板の冷却構造において、ホース14a,14bを軟質材料で構成するとともに、プレート6またはケース2にガイドレール3に沿ってホース14a,14bを通す溝11a,11b,12a,12bを設けたものである。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、プリント配線板の冷却構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来のプリント配線板の冷却構造の斜視図である。図において、1は半導体等の電子部品が実装されたプリント配線板、2はプリント配線板1が収納されるケースで、上下に対向してガイドレール3が設けられている。4a,4bは数箇所に設けた細管5を介してケース2に設けた流路5aに接続されたパイプで、パイプ4aは冷却装置(図示せず)からの冷媒をケース2へ送り込み、パイプ4bはケース2からの冷媒を冷却装置へ送り出すものである。
【0003】
6はガイドレール3に沿ってケース2内に挿入されたプレートで、例えばアルミなどの熱伝導の良い材料で構成されており、上下の対辺には冷媒の流路8を有する冷却部7a,7bが設けられ、側面には少なくとも片面にプリント配線板1が固定されている。9a,9bは冷却部7a,7bの流路8の一端とケース2の流路5aを連結する冷却ホース、10は冷却部7a,7bの流路8の他端同士を連結する連結パイプである。
【0004】
なお、プリント配線板1に実装されたコネクタ1aはケース2のバックボード2aに配設されたコネクタ2bと接続される。
【0005】
このように構成されたケース2内のプリント配線板1を冷却する場合、冷却装置からパイプ4aへ送られた冷媒は細管5を介してケース2の流路5a内へ送り込まれ、冷却ホース9aを通って冷却部7aの流路8へ供給されるとともに、連結パイプ10を通って冷却部7bの流路8へ供給される。この時、冷媒はプリント配線板1に実装された電子部品等からの熱によって加熱されたプリント配線板1およびプレート6を冷却しながら冷却部7a,7bの流路8を通過する。そして、加熱された冷媒は冷却ホース9bを通ってケース2の流路5aへ送くられ、さらに、パイプ4bより冷却装置へ排出される。このように冷媒を循環させてケース2内のプレート6、したがって、プリント配線板1を冷却する。
【0006】
また、上記のようなプリント配線板の冷却構造に類似したものに、特開昭63−124599号公報に開示された発明がある。この発明は、冷媒が流れる配管とプリント配線板が密着固定されたコールドプレートをホースを介して接続し、コールドプレートの中に直接冷媒を通してプリント配線板の熱を冷却するものである。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
以上のように従来のプリント配線板の冷却構造は、冷媒をケース2を介して循環させることによってケース2内に収納されたプリント配線板1を確実に冷却することができる。しかしながら、例えばプリント配線板1をケース2から引き出して電気的な調整等を行う場合、冷却部7a,7bの流路8から冷却ホース9a,9bを外してプレート6をガイドレール3に沿って引き出した後、調整等を行っていたので、冷却ホース9a,9bを抜き差しする際、冷媒が漏れてしまうなどの不都合があり、調整等に時間と手間が掛かっていた。
【0008】
また、調整中のプリント配線板1を冷却するには冷却部7a,7bの流路8に別の冷却装置を接続するので、別の冷却装置を常時用意する必要があり、例えば出先等でプリント配線板1の調整を行い、そのプリント配線板1を冷却する場合は、別の冷却装置を持っていかなければならず、不便であった。
【0009】
さらに、冷却ホース9a,9bを冷却部7a,7bの流路8から外さないようにするには、冷却ホース9a,9bを長く構成することが考えられるが、冷却ホース9a,9bを長くすると、この冷却ホース9a,9bを収容する大きなスペースをケース2に設けなければならず、ケース2が大型になる恐れがあった。
【0010】
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ホースを外すことなくプレートを着脱でき、プリント配線板の冷却を容易に行うことのできるプリント配線板の冷却構造を提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本考案に係るプリント配線板の冷却構造は、上下に対向してガイドレールを有し冷媒の流れるパイプが接続されたケースと、ケース内にガイドレールに沿って着脱可能に配設され、上下の対辺に冷媒の流路を備えかつ少なくとも片面にプリント配線板が固定されたプレートと、このプレートの流路とケースを連結するホースとを備えたプリント配線板の冷却構造において、ホースを軟質材料で構成するとともに、プレートまたはケースにガイドレールに沿ってホースを通す溝を設けたものである。
【0012】
【作用】
プリント配線板を電気的に調整するとともに冷却する場合、プリント配線板が固定されたプレートをガイドレールに沿って引き出す。この時、ケースまたはプレートに設けた溝を通ってケースとプレートに接続されたホースは、外すことなくプレートとともに延ばされる。そして、ケース内を流れる冷媒を循環させてプレートおよびプリント配線板の冷却しながら調整を行う。
【0013】
【実施例】
図1は本考案の実施例の斜視図である。なお、図3で説明した従来例と同じ部分には同じ符号を付し、説明を省略する。図において、11a,11bはプレート6の冷却部7a,7bの側のほぼ中心に設けられた断面凹状の溝、12a,12bはプレート6に溝11a,11bに対向して設けられた断面凹状の溝で、溝11aと溝12a、溝11bと溝12bとによって貫通路13a,13bが形成されている。14a,14bは軟質材料で構成されたホース、15は連結パイプで、ホース14a,14bはケース2の流路5aと冷却部7a,7bの流路8の一端とを貫通路13a,13bを通って連結し、連結パイプ15は冷却部7a,7bの流路8の他端を連結する構成となっている。
【0014】
このように構成したケース2内のプリント配線板1を冷却する場合、冷却装置からパイプ4aへ送られた冷媒は細管5を介してケース2の流路5a内へ送り込まれ、ホース14aを通って冷却部7aの流路8へ供給されるとともに、連結パイプ15を通って冷却部7bの流路8へ供給される。この時、冷媒はプリント配線板1に実装された電子部品等からの熱によって加熱されたプリント配線板1およびプレート6を冷却しながら冷却部7a,7bの流路8を通過する。ついで、加熱された冷媒はホース14bを通ってケース2の流路5aへ送くられ、パイプ4bより冷却装置へ排出される。そして、このように冷媒を循環させてケース2内のプレート6およびプリント配線板1を冷却する。
【0015】
また、例えばプリント配線板1を電気的な調整中に冷却する場合、まず、図2に示すように、バックボード2aのコネクタ2bとプリント配線板1のコネクタ1aを外してガイドレール3に沿ってプレート6を引き出す。この時、ホース14a,14bもプレート6とともに引き出され、冷却部7a,7bの流路8から外すことなく貫通路13a,13bを通る長さ分まで延ばすことができる。そして、バックボード2aのコネクタ2bとプリント配線板1のコネクタ1aを例えば延長シート(図示せず)を介して電気的に接続し、上述したように冷媒を循環させてプレート6およびプリント配線板1を冷却しながら調整等を行う。
調整後、ホース14a,14bはプレート6がケース2内に挿入されるとともに貫通路13a,13bにスムースに格納される。
【0016】
なお、上述の実施例では貫通路13a,13bを形成する溝をケース2およびプレート6の両者に設けた場合を示したが、ケース2またはプレート6の一方に設けてもよい。
【0017】
【考案の効果】
以上のように本考案は、上下に対向してガイドレールを有し冷媒の流れるパイプが接続されたケースと、ケース内にガイドレールに沿って着脱可能に配設され、上下の対辺に冷媒の流路を備えかつ少なくとも片面にプリント配線板が固定されたプレートと、該プレートの流路とケースを連結するホースとを備えたプリント配線板の冷却構造において、ホースを軟質材料で構成するとともに、プレートまたはケースにガイドレールに沿ってホースを通す溝を設けたので、冷媒を通す長いホースをコンパクトに格納するとともに、ホースを外すことなく容易にプレートを着脱することができ、また、プリント配線板の電気的な調整等において他の冷却装置を用いずにプリント配線板の冷却を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例の斜視図である。
【図2】本考案の実施例の作用説明図である。
【図3】従来のプリント配線板の冷却構造の斜視図である。
【符号の説明】
1 プリント配線板
2 ケース
3 ガイドレール
4a,4b パイプ
5 細管
5a,8 流路
6 プレート
7a,7b 冷却部
11a,11b 溝
12a,12b 溝
13a,13b 貫通路
14a,14b ホース
15 連結パイプ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 上下に対向してガイドレールを有し冷媒の流れるパイプが接続されたケースと、該ケース内に前記ガイドレールに沿って着脱可能に配設され、上下の対辺に冷媒の流路を備えかつ少なくとも片面にプリント配線板が固定されたプレートと、該プレートの流路と前記ケースを連結するホースとを備えたプリント配線板の冷却構造において、前記ホースを軟質材料で構成するとともに、前記プレートまたはケースに前記ガイドプレートに沿って前記ホースを通す溝を設けたことを特徴とするプリント配線板の冷却構造。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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