説明

プリーツカーテン仕上げ装置

【課題】丈の長いプリーツカーテンに加熱処理を施すことができるにも係らず、天井の高くない施設であっても、とくに工事などを要せず、容易に導入することのでき、また、それを操作する作業者の肉体的な負担を軽減することのできるプリーツカーテン仕上げ装置を提供する。
【解決手段】プリーツが形成されたカーテン200に加熱処理を施すことにより、プリーツの形態を安定化させるプリーツカーテン仕上げ装置100を、カーテン200が略水平方向に張られた状態となるように、カーテン200の天部及び裾部をそれぞれ保持するための天部保持手段110及び裾部保持手段120と、天部保持手段110と裾部保持手段120との間を略水平方向に移動することによりカーテン200におけるプリーツが形成された部分をプリーツに沿って加熱していくプリーツ加熱手段130とで構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリーツの形成されたカーテンに加熱処理を施すことにより前記プリーツの形態を安定化させるプリーツカーテン仕上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリーツが形成されたカーテン(プリーツが縦方向に形成されたカーテンだけでなく、プリーツが横方向に形成されたシェードをも含むものとする。)は、見た目が美しく装飾効果が高いことなどが消費者に受けて、現在では、様々なところで見かけるようになっている。近年、多くの製品が付加価値で競争する時代へと移行してきたことに呼応してか、消費者は、より高品質なプリーツカーテンを要求するようになってきている。現在は、時間が経ってもプリーツの形が崩れないように加熱処理が施されたプリーツカーテンが主流となりつつある。
【0003】
加熱処理が施されたプリーツカーテンは、加熱処理が施されていないプリーツカーテンと比較して高品質であり、縫製業者の求める「きれい、はやい、やすい」を実現できるものとして注目を集めている。加熱処理仕上げを施した高品質なプリーツカーテンを製造できない業者は、近い将来、消費者から見放され、生き残れないとも言われている。
【0004】
プリーツカーテンに加熱処理を施すためのプリーツカーテン仕上げ装置は、これまでに種々のものが提案されている。例えば、カーテンの天部をプリーツが形成された状態に保持するための天部保持手段と、天部保持手段から吊り下げられたカーテンの天部よりも下側部分に延在するプリーツの形態を保持しながら加熱するプリーツ加熱手段とを備え、プリーツ加熱手段を下降又は天部保持手段を上昇させることにより、カーテンに形成されたプリーツの形態を天部から裾部に亘って安定化させていくことのできるようにしたものが提案されている(例えば特許文献1)。
【0005】
このように、プリーツカーテンを鉛直方向に吊り下げて使用するプリーツカーテン仕上げ装置(以下においては、「縦型のプリーツカーテン仕上げ装置」と呼ぶことがある。)は、プリーツの形態をカーテンの天部から裾部に亘って安定化させることができるものであったが、以下のような欠点を有していた。
【0006】
すなわち、縦型のプリーツカーテン仕上げ装置は、構造上、加熱処理を施そうとするプリーツカーテンよりも丈を高くしなければならなかった。このため、丈の長いプリーツカーテンに加熱処理を施すことのできるプリーツカーテン仕上げ装置を導入しようとすると、それを設置する施設の天井を高くするために工事が必要になるなど、縦型のプリーツカーテン仕上げ装置は、必ずしも安易に導入できるものとはなっていなかった。
【0007】
また、縦型のプリーツカーテン仕上げ装置は、カーテンの天部を天部保持手段に保持させる作業と、プリーツ加熱手段を所定の位置にセットする作業とで、作業者が体勢を変えたり、プリーツカーテン仕上げ装置を操作してその変形させたりしなければならず、作業者に肉体的な負担を強いやすい構造となっていた。
【0008】
さらに、縦型のプリーツカーテン仕上げ装置は、プリーツ加熱手段からカーテンの生地に圧力が加わりにくく、カーテンの皺をとりにくかった。このため、加熱処理を行う前のカーテンに皺が形成されていた場合には、その皺が残ったままの状態でカーテンの形態が安定化されるおそれもあり、必ずしも高品質のプリーツカーテンを提供できるものではなかった。
【0009】
【特許文献1】特開2001−299568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、丈の長いプリーツカーテンに加熱処理を施すことができるにも係らず、天井の高くない施設であっても、とくに工事などを要せず、容易に導入することのできるプリーツカーテン仕上げ装置を提供するものである。また、プリーツカーテン仕上げ装置を操作する作業者の肉体的な負担を軽減することも本発明の目的である。さらに、カーテンに皺が形成されている場合には、その皺を伸ばしながらプリーツの形態を安定化させることも可能なプリーツカーテン仕上げ装置を提供することも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、プリーツが形成されたカーテンに加熱処理を施すことにより、前記プリーツの形態を安定化させるプリーツカーテン仕上げ装置であって、前記カーテンが略水平方向に張られた状態となるように、前記カーテンの天部及び裾部をそれぞれ保持するための天部保持手段及び裾部保持手段と、天部保持手段と裾部保持手段との間を略水平方向に移動することにより前記カーテンにおける前記プリーツが形成された部分を前記プリーツに沿って加熱していくプリーツ加熱手段とを備えたことを特徴とするプリーツカーテン仕上げ装置を提供することによって解決される。
【0012】
このように、プリーツカーテン仕上げ装置を、プリーツカーテンを略水平方向に張った状態で加熱処理を施すもの(以下においては、「横型のプリーツカーテン仕上げ装置」と呼ぶことがある。)とすることによって、丈の長いプリーツカーテンに加熱処理を施すことができるプリーツカーテン仕上げ装置を、天井の高くない施設であっても、とくに工事などを要せず、容易に導入することが可能になる。
【0013】
天部保持手段における前記カーテンの天部を保持する部分の高さ(床面に設置される部分からの高さ。以下、高さHとする)や、裾部保持手段における前記カーテンの裾部を保持する部分の高さ(床面に設置される部分からの高さ。以下、高さHとする)は、とくに限定されないが、低く設定しすぎると、天部保持手段に前記カーテンの天部を保持させる作業や、裾部保持手段に前記カーテンの裾部を保持させる作業を行う際に、作業者が無理に腰を屈めなければならなくなるおそれがある。このため、高さH及び高さHは、通常、50cm以上とされる。高さH及び高さHは、60cm以上であると好ましく、70cm以上であるとより好ましい。
【0014】
一方、天部保持手段における前記カーテンの天部を保持する部分の高さHや、裾部保持手段における前記カーテンの裾部を保持する部分の高さHを高くしすぎると、天部保持手段に前記カーテンの天部を保持させる作業や、裾部保持手段に前記カーテンの裾部を保持させる作業を行う際に、作業者が背伸びをしたり、台の上に乗ったりしなければならなくなるおそれがある。このため、高さH及び高さHは、通常、150cm以下とされる。高さH及び高さHは、130cm以下であると好ましく、120cm以下であるとより好ましい。
【0015】
プリーツ加熱手段は、前記カーテンにおける前記プリーツが形成された部分に加熱処理を施すことのできる形態であればとくに限定されないが、前記プリーツに進入して前記カーテンを加熱する複数の加熱ごてを備えたものであると好ましい。また、前記カーテンに蒸気を吹付けるための蒸気吹付孔を、加熱ごてに設けることも好ましい。これにより、前記プリーツの形状をより確実に安定化させることが可能になる。
【0016】
さらに、プリーツ加熱手段が、略水平方向に張られた前記カーテンに下面側から接触するものであることも好ましい。これにより、前記カーテンの自重によって前記カーテンがプリーツ加熱手段に押し付けられるようにすることが可能になり、前記カーテンにアイロンがけを行ったのと同様の効果を得ることができる。したがって、前記カーテンに皺が形成されている場合には、その皺を伸ばしながらプリーツの形態を安定化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によって、丈の長いプリーツカーテンに加熱処理を施すことができるにも係らず、天井の高くない施設であっても、とくに工事などを要せず、容易に導入することのできるプリーツカーテン仕上げ装置を提供することが可能になる。また、プリーツカーテン仕上げ装置を操作する作業者の肉体的な負担を軽減することも可能になる。さらに、カーテンに皺が形成されている場合には、その皺を伸ばしながらプリーツの形態を安定化させることもできるので、皺のない綺麗なプリーツカーテンを得ることも可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のプリーツカーテン仕上げ装置の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。図1は、本発明のプリーツカーテン仕上げ装置の好適な実施態様を示した斜視図である。図2は、図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を示した斜視図である。図3は、図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を示した正面図である。図4は、プリーツカーテンを吊り下げるためのカーテンハンガーを示した斜視図である。図5は、図4のカーテンハンガーにプリーツカーテンを吊り下げた状態を示した斜視図である。図6は、図1のプリーツカーテン仕上げ装置における裾部保持手段にプリーツカーテンの裾部を保持させた状態を図2におけるX−X面で切断して拡大した断面図である。図7は、図1のプリーツカーテン仕上げ装置におけるプリーツ加熱手段を拡大した状態を示した斜視図である。図8は、図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を図2におけるX−X面で切断して拡大した断面図である。
【0019】
1.プリーツカーテン仕上げ装置の概要
本発明のプリーツカーテン仕上げ装置100は、図1〜3に示すように、プリーツが形成されたカーテン200に加熱処理を施すことにより、プリーツの形態を安定化させるものとなっており、カーテン200が略水平方向に張られた状態となるように、カーテン200の天部及び裾部をそれぞれ保持するための天部保持手段110及び裾部保持手段120と、天部保持手段110と裾部保持手段120との間を略水平方向に移動することによりカーテン200におけるプリーツが形成された部分をプリーツに沿って加熱すると同時に加圧していくプリーツ加熱手段130とを備えたものとなっている。
【0020】
2.天部保持手段
天部保持手段110は、カーテン200の天部を保持できる形態のものであればとくに限定されない。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、図4に示すカーテンハンガー111を介して固定するものとなっている。カーテンハンガー111は、天部保持手段110から取り外して使用することができるようになっている。このため、図5に示すように、プリーツカーテン仕上げ装置100から離れた別の場所で、カーテン200の天部を波状に保持してプリーツの形が綺麗に保たれるようにした後、天部保持手段110の所定箇所へ固定することができるようになっており、プリーツカーテン仕上げ装置100へのカーテン200のセットが容易に行えるようになっている。
【0021】
カーテンハンガー111は、カーテン200の天部をプリーツが形成された状態に保つことのできる形態のものであればとくに限定されない。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、カーテンハンガー111は、図4に示すように、左右方向に延びる帯状基部111Aと、帯状基部111Aの下縁に櫛歯状に設けられた複数の下向き凸部111Bとを備えた板状のものとなっている。このカーテンハンガー111は、図5に示すように、隣り合う下向き凸部111Bの間に形成されたそれぞれの凹部にカーテン200の天部を通すことにより該天部を波状に保ち、カーテン200をプリーツが形成された状態に保つことのできるものとなっている。
【0022】
天部保持手段110の床面に設置される部分からカーテンの天部を保持する部分まで高さHは、とくに限定されないが、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては100cmとなっている。このため、平均的な体格の大人が腰を曲げたり、背伸びをしたりすることなく、楽な姿勢でカーテン200の天部を天部保持手段110に保持させる作業を行うことができるようになっている。
【0023】
3.裾部保持手段
裾部保持手段120は、カーテン200の裾部を保持できる形態のものであればとくに限定されない。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、裾部保持手段120は、図6に示すように、カーテン200の裾部を下面(プリーツカーテン仕上げ装置100に略水平方向にセットされた場合に下側となる面)側から保持するための下側保持部121と、カーテン200の裾部を上面(プリーツカーテン仕上げ装置100に略水平方向にセットされた場合に上側となる面)側から保持するための上側保持部122とで構成されている。上側保持部122は、図1に示すように、下側保持部121の上側から差し込んで使用するものとなっている。
【0024】
下側保持部121は、図6に示すように、カーテン200の裾部に形成されたプリーツに下面側から進入するための複数の上向き凸部121Aを備えている。一方、上側保持部122は、カーテン200の裾部に形成されたプリーツに上面側から進入するための複数の下向き凸部122Aを備えている。上側保持部122は、その下向き凸部122Aが下側保持部121の上向き凸部121Aの隙間に進入するように、下側保持部121の上側からセットする。これにより、カーテン200の裾部を波状に保ち、カーテン200の裾部をプリーツが形成された状態で保持することが可能になる。
【0025】
ところで、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、上向き凸部121Aも、加熱ごて131と同様、加熱している。このため、カーテン200の裾部は、上向き凸部121Aで加熱されるようになっている。カーテン200の裾部は、他の部分よりも生地が厚い(通常、約3倍の厚さ)ために、カーテン200の裾部の形態の安定化には他の部分よりも長時間を要するが、このように、プリーツ加熱手段130でカーテン200の裾部以外の部分を加熱している間中、上向き凸部121Aでカーテン200の裾部を加熱することによってカーテン200の裾部の形態を安定化させることが可能となっている。
【0026】
裾部保持手段120の床面に設置される部分からカーテンの裾部を保持する部分まで高さHは、とくに限定されないが、天部保持手段110の床面に設置される部分からカーテンの天部を保持する部分までの高さHと等しく設定すると好ましい。これにより、カーテン200の天部と裾部を同じ高さで保持することが可能になり、天部保持手段110と裾部保持手段120との間でカーテン200を水平方向に張った状態にセットすることが可能になる。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においても、高さHと高さHは等しくしている。
【0027】
4.プリーツ加熱手段
プリーツ加熱手段130は、天部保持手段110と裾部保持手段120との間を略水平方向に移動することによりカーテン200におけるプリーツが形成された部分をプリーツに沿って加熱していくことのできるものであればとくに限定されない。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、図7と図8に示すように、カーテン200における天部と裾部との間に形成されたプリーツに下面(プリーツカーテン仕上げ装置100に略水平方向にセットされた場合に下側となる面)側から進入してカーテン200を加熱する複数の加熱ごて131を備えたものとなっている。
【0028】
加熱ごて131の形態は、とくに限定されないが、角の無い形状であると好ましい。これにより、カーテン200の生地を傷みにくくすることが可能になる。また、加熱ごて131は、加熱処理を施すカーテン200に点で接触するのではなく、プリーツに沿った線で接触する形態のものであると好ましい。これにより、加熱ごて131とカーテン200の接触時間を長くすることが可能になり、プリーツの形態をより安定化させることができるようになる。
【0029】
本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、加熱ごて131は、図7に示すように、上面が円柱面状に形成された壁状体によって構成している。この加熱ごて131は、円柱面状に形成された上面の長手方向が加熱処理を施すカーテン200のプリーツと平行となる向きで、プリーツに進入するようになっている。このため、加熱ごて131は、図8に示すように、その上面がカーテン200のプリーツに沿って滑らかに接触するだけでなく、カーテン200との接触面積を広く確保することができるようになっている。したがって、カーテン200の重みが加熱ごて131に伝わりやすく、カーテン200に皺が形成されている場合には、その皺を綺麗にとることも可能になっている。
【0030】
本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、加熱ごて131の先端部には、図7に示すように、蒸気吹付孔132が形成されており、カーテン200に蒸気を吹き付けることができるようになっている。蒸気吹付孔132から吹き付けられる蒸気は、水タンク133の内部に貯留されている水を蒸気発生ボイラー134に通すことにより発生されるようになっている。水タンク133に貯留する水は、水道水を使用すると、蒸気発生ボイラー134が痛むおそれがあるために、蒸留水を使用すると好ましい。蒸気吹付孔132の配置や個数は、とくに限定されないが、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、加熱ごて131の上面の4箇所に設けている。
【0031】
加熱ごて131は、天部保持手段110と裾部保持手段120との間で水平方向に配されたカーテン200の上面側から接触するものであってもよいが、カーテン200の下面側から接触するものであると好ましい。これにより、プリーツ加熱手段130の構造を簡素化するだけでなく、カーテン200の自重によって、カーテン200が加熱ごて131に押し付けられるようにすることも可能になる。したがって、プリーツの形態をより確実に安定化させることができる。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においても、加熱ごて131はカーテン200の下面側から接触させている。
【0032】
このとき、加熱ごて131の高さが固定であると、カーテン200を天部保持手段110と裾部保持手段120との間に張った状態に保持させにくくなったり、加熱ごて131をカーテン200に押し付けることができなくなったりするおそれがある。このため、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、加熱ごて131を上下動可能な構造としている。これにより、カーテン200を天部保持手段110と裾部保持手段120との間に張設する際には、加熱ごて131を下降させて邪魔にならないようにすることができるし、カーテン200を張設した後には、加熱ごて131を上昇させてカーテン200に押し付けることが可能になる。
【0033】
プリーツ加熱手段130の床面に設置される部分から加熱ごて131の先端部までの高さ(加熱ごて131を上昇させた際の高さ。以下、高さHとする)は、とくに限定されないが、天部保持手段110の床面に設置される部分からカーテン200の天部を保持する部分まで高さHや、裾部保持手段120の床面に設置される部分からカーテン200の裾部を保持する部分まで高さHよりも低くすると、カーテン200が加熱ごて131に押し付けられにくくなるおそれがある。高さHは、高さH,Hよりも高くすると好ましい。
【0034】
この場合、プリーツ加熱手段130の床面に設置される部分から加熱ごて131の先端部までの高さHと高さH,Hとの差(高さHと高さHが異なる場合には、高さHと高さHのうち低い方との差)をどの程度に設定するのかはとくに限定されないが、1cm以上とすると好ましく、2cm以上とするとより好ましい。一方、高さHと高さH,Hとの差が大きすぎると、カーテン200に無理な圧力がかかって痛むおそれもある。このため、高さHと高さH,Hとの差は、通常、20cm以下、好ましくは10cm以下とされる。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、高さHは103cmとなっており、高さHと高さH,Hとの差は3cmとなっている。
【0035】
5.ガイドレール
ところで、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100においては、図1に示すように、天部保持手段110の底部と裾部保持手段120の底部に車輪が設けられており、該車輪は所定間隔で平行に配された2本のガイドレール101,102の上に載せられている。このため、天部保持手段110と裾部保持手段120は、それぞれガイドレール101,102に沿って独立して移動することができるようになっている。このような構造とすることによって、天部保持手段110と裾部保持手段120との間隔を任意に変更することができるようになり、1台のプリーツカーテン仕上げ装置100で、丈の短いものから丈の長いものまで、様々な寸法のカーテン200に加熱処理を施すことができるようになる。天部保持手段110と裾部保持手段120は、図示省略のストッパーによって、所定の位置で位置固定することができるようになっている。
【0036】
ガイドレール101,102の長さは、とくに限定されないが、短くしすぎると、プリーツカーテン仕上げ装置100が丈の短いカーテン200にしか使用できないものとなる。このため、ガイドレール101,102の長さは、通常、2m以上とされる。ガイドレール101,102の長さは、2.5m以上であると好ましく、3m以上であるとより好ましい。一方、ガイドレール101,102は、長くしすぎても、プリーツカーテン仕上げ装置100の占有面積が広くなるだけで、あまり意味がない。このため、ガイドレール101,102の長さは、通常、5m以下、好ましくは4m以下とされる。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、ガイドレール101,102の長さは、3.5mとなっている。
【0037】
プリーツ加熱手段130の底部にも車輪が設けられている。プリーツ加熱手段130の車輪も、天部保持手段110や裾部保持手段120と同様、ガイドレール101,102に乗せられている。このため、プリーツ加熱手段130は、天部保持手段110と裾部保持手段120との間を、水平方向に配されたガイドレール101,102に沿って移動することができるようになっている。このため、カーテン200におけるプリーツが形成された部分をプリーツに沿って加熱していくことのできるものとなっている。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、プリーツ加熱手段130は、その底部に取り付けられたピニオン(図示省略)が、ガイドレール101とガイドレール102との間に設けられたラック103に噛み合うことにより、ガイドレール101,102に沿って移動するようになっている。
【0038】
6.プリーツカーテン仕上げ装置の使用方法
続いて、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100の使用方法について説明する。まず、図5に示すように、カーテン200をカーテンハンガー111に予め吊るしておき、カーテンハンガー111に固定されたその天部を天部保持手段110における所定箇所に固定する。続いて、カーテン200の裾部を裾部保持手段120の所定箇所に固定する。この際、カーテン200が折れて床面に設置し、カーテン200が汚れるおそれがあるので、プリーツ加熱手段130を天部保持手段110と裾部保持手段120の略中間地点に配しておき、プリーツ加熱手段130でカーテン200の略中間地点を支えると好ましい。プリーツ加熱手段130における加熱ごて131は、カーテン200の張設作業の邪魔にならない高さまで予め下降させておく。
【0039】
天部保持手段110と裾部保持手段120との間にカーテン200を調節する際には、天部保持手段110とプリーツ加熱手段130との間や、プリーツ加熱手段130と裾部保持手段120との間に、カーテン200が床面に落下して接触するのを防止するためのカーテン落下防止手段(図示省略)を設けることも好ましい。これにより、カーテン200が床面に接触して汚れるのを防止することが可能になる。
【0040】
カーテン落下防止手段は、カーテン200が床面に接触するのを防止することができるものであればとくに限定されないが、通常、スクリーン(布状のものだけでなく網状のものをも含む)が使用される。スクリーンの巻取装置を、天部保持手段110や裾部保持手段120やプリーツ加熱手段130に取り付けておくことによって、それぞれの間隔が変化しても、スクリーンを張った状態に保つことができる。
【0041】
天部保持手段110と裾部保持手段120との間にカーテン200を張設すると、カーテン200の下面に形成されたプリーツに加熱ごて131を進入させる。この作業は、プリーツ加熱手段130を天部保持手段110の近くまで移動させて行うと好ましい。これにより、加熱ごて131を進入させるプリーツがずれるのを防止することが可能になる。以上により、カーテン200のセッティングを終える。
【0042】
続いて、加熱ごて131を加熱するとともに、その蒸気吹付孔132からカーテン200に蒸気を吹き付けながら、プリーツ加熱手段130を天部保持手段110と裾部保持手段120との間をガイドレール101,102に沿って水平方向に移動させ、カーテン200のプリーツの形態を安定化させていく。このとき、カーテン200に吹き付ける蒸気の温度は、とくに限定されないが、本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置においては、150〜170℃の蒸気を吹き付けるようにしている。プリーツ加熱手段130を移動させる向きは、とくに限定されないが、通常、天部保持手段110の側から裾部保持手段120に向かって移動される。
【0043】
プリーツ加熱手段130の移動速度は、とくに限定されないが、遅すぎると、カーテン200の加熱処理を迅速に行うことができなくなり、プリーツカーテンの生産効率が低下するおそれがある。このため、プリーツ加熱手段130の移動速度は、通常、1cm/秒以上とされる。プリーツ加熱手段130の移動速度は、3cm/秒以上であると好ましく、5cm/秒以上であるとより好ましい。
【0044】
一方、プリーツ加熱手段130の移動速度を速くしすぎると、カーテン200を加熱する時間が短くなり、プリーツの形態を十分に安定化させにくくなるおそれがある。このため、プリーツ加熱手段130の移動速度は、通常、50cm/秒以下とされる。プリーツ加熱手段130の移動速度は、30cm/秒以下であると好ましく、20cm/秒以下であるとより好ましい。本実施態様のプリーツカーテン仕上げ装置100において、プリーツ加熱手段130の移動速度は10cm/秒としている。
【0045】
プリーツ加熱手段130による加熱処理を終えた後は、カーテン200に冷却処理を行うと好ましい。これにより、カーテン200に形成されたプリーツの形態をさらに安定化させることができる。冷却処理の方法は、とくに限定されないが、通常、冷却ファンなどを用いてカーテン200に空気を吹き付けることによって行われる。また、冷却処理は、カーテン200をプリーツカーテン仕上げ装置100にセットした状態で行ってもよいが、生産効率の点からは、カーテン200をプリーツカーテン仕上げ装置100から取り出して他の場所でやると好ましい。
【0046】
冷却処理を終えてカーテン200のプリーツの形態が安定すると、裾部保持手段120と天部保持手段110からカーテン200を取り外し、カーテン200を包装する。このとき、カーテン200は、カーテンハンガー111から取り外した状態で包装してもよいが、カーテンハンガー111を取り付けたまま包装すると好ましい。これにより、カーテン200を保管又は搬送して店頭で陳列し、消費者の手元に届くまでの間、カーテンハンガー111でカーテン200の天部を波状に保持することが可能になり、カーテン200のプリーツの形態が崩れるのをさらに防止することが可能になる。カーテンハンガー111は、紙製のものとしておくと、燃えるゴミとして各家庭で容易に処分することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のプリーツカーテン仕上げ装置の好適な実施態様を示した斜視図である。
【図2】図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を示した斜視図である。
【図3】図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を示した正面図である。
【図4】プリーツカーテンを吊り下げるためのカーテンハンガーを示した斜視図である。
【図5】図4のカーテンハンガーにプリーツカーテンを吊り下げた状態を示した斜視図である。
【図6】図1のプリーツカーテン仕上げ装置における裾部保持手段にプリーツカーテンの裾部を保持させた状態を図2におけるX−X面で切断して拡大した断面図である。
【図7】図1のプリーツカーテン仕上げ装置におけるプリーツ加熱手段を拡大した状態を示した斜視図である。
【図8】図1のプリーツカーテン仕上げ装置にプリーツカーテンをセットして加熱処理を施している状態を図2におけるX−X面で切断して拡大した断面図である。
【符号の説明】
【0048】
100 プリーツカーテン仕上げ装置
101 ガイドレール
102 ガイドレール
103 ラック
110 天部保持手段
111 カーテンハンガー
120 裾部保持手段
121 下側保持部
121A 上向き凸部
122 上側保持部
122A 下向き凸部
130 プリーツ加熱手段
131 加熱ごて
132 蒸気吹付孔
133 水タンク
134 蒸気発生ボイラー
200 カーテン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリーツが形成されたカーテンに加熱処理を施すことにより、前記プリーツの形態を安定化させるプリーツカーテン仕上げ装置であって、
前記カーテンが略水平方向に張られた状態となるように、前記カーテンの天部及び裾部をそれぞれ保持するための天部保持手段及び裾部保持手段と、
天部保持手段と裾部保持手段との間を略水平方向に移動することにより前記カーテンにおける前記プリーツが形成された部分を前記プリーツに沿って加熱していくプリーツ加熱手段と
を備えたことを特徴とするプリーツカーテン仕上げ装置。
【請求項2】
天部保持手段における前記カーテンの天部を保持する部分の高さ、及び裾部保持手段における前記カーテンの裾部を保持する部分の高さが50〜150cmに設定された請求項1記載のプリーツカーテン仕上げ装置。
【請求項3】
プリーツ加熱手段が、前記プリーツに進入して前記カーテンを加熱する複数の加熱ごてを備えた請求項1又は2記載のプリーツカーテン仕上げ装置。
【請求項4】
プリーツ加熱手段が、略水平方向に張られた前記カーテンに下面側から接触するものである請求項1〜3いずれか記載のプリーツカーテン仕上げ装置。
【請求項5】
前記カーテンに蒸気を吹付けるための蒸気吹付孔が加熱ごてに設けられた請求項3又は4記載のプリーツカーテン仕上げ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−119108(P2009−119108A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297825(P2007−297825)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(506289745)
【Fターム(参考)】