プレス装置及びプレスシステム
【課題】 プレス反力によるベッドフレームのたわみを低減させ、高精度なプレス加工を実現すること。
【解決手段】 ベッドフレーム１１の複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレーム１２の複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラム１３を有し、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２とコーナーコラム１３をタイロッド１３Ａにより締結してなるプレス装置１０において、ベッドフレーム１１の相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレーム１２の相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２と中間コラム１４をタイロッド１４Ａにより締結してなるもの。
【解決手段】 ベッドフレーム１１の複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレーム１２の複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラム１３を有し、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２とコーナーコラム１３をタイロッド１３Ａにより締結してなるプレス装置１０において、ベッドフレーム１１の相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレーム１２の相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２と中間コラム１４をタイロッド１４Ａにより締結してなるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明はプレス装置及びプレスシステムに関する。
【背景技術】
【０００２】
プレス装置では、ベッドフレームとクラウンフレームとコラムを溶接した一体フレーム構造と、それらを分割して組立てた分割フレーム構造とがある。特許文献１等に記載される分割フレーム構造のプレス装置は、図７、図８に示す如く、矩形状ベッドフレーム１の４ヵ所のコーナー部のそれぞれと、矩形状クラウンフレーム２の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとの間に立てた４本のコーナーコラム３を有し、それらのベッドフレーム１とクラウンフレーム２の各コーナー部と各コーナーコラム３を各１式のタイロッド３Ａ及びナット３Ｂにより締結している。
【０００３】
ベッドフレーム１に支持したボルスタテーブル５に取付けた下型５Ａと、クラウンフレーム２に設けた駆動装置（不図示）により昇降されるスライドフレーム６に取付けた上型６Ａによりワークを加圧することにより、プレス加工が行なわれる。加圧部に発生するプレス反力がタイロッド３Ａ及びナット３Ｂの剛性により支持されるが、左右のコーナーコラム３のタイロッドスパンＬ1の中央に対応するベッドフレーム１の中央部にたわみδ1が発生する。
【特許文献１】特開2005-161374
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に記載のプレス装置において、ベッドフレーム１の中央部のたわみ量は、ベッドフレーム１の左右方向サイズ（図７、図８で視た左右方向を左右方向という）が大きいほど、これに比例して大きく発生する。ベッドフレーム１に支持されて下型５Ａが取付けされるボルスタテーブル５は、一般的に４本のコーナーコラム３に囲まれているプレスルームから外に出さないと、クレーン等を用いて金型交換（下型５Ａ及び上型６Ａの交換）を行なうことができない。ボルスタテーブル５はベッドフレーム１とクラウンフレーム２の前面又は後面に設けた出入口経由でプレスルームに出入されることが多い。この場合、ベッドフレーム１とクラウンフレーム２の前後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム３の内側間隔）（ボルスタテーブル５の出入口幅）は、ボルスタテーブル５の前後面幅Ｌyより広いことが必要であり、左右のコーナーコラム３のタイロッドスパンＬ1は必然的に広くなり、これによってもベッドフレーム１の中央部のたわみ量が大きくなる。
【０００５】
このようにベッドフレーム１の中央部のたわみ量が大きいと、下型５Ａと上型６Ａの位置ずれを生じて精度の高いプレス成形ができない。それに伴い、下型５Ａと上型６Ａが早期に磨耗してそれらの金型寿命が著しく低下する。従来技術では、ベッドフレーム１の剛性を高めてたわみ量を抑える方法があるが、ベッドフレーム１の剛性に頼ることは経済的にも限界がある。
【０００６】
また、１台のプレス装置内のボルスタテーブル５とスライドフレーム６に、第１工程型、第２工程型・・・の如くの多数の工程型を並置して備えた順送型の下型５Ａと上型６Ａを配置する順送成形プレス装置では、ワークの投入時や成形終了時に、第１工程型や最終工程型だけにプレス反力が及び、スライドフレーム６に偏心荷重が作用する。これにより、スライドフレーム６は荷重がかかった側が持ち上げられて傾き、この傾きは下型５Ａと上型６Ａの位置ずれを生じさせて精度の高いプレス成形をできなくする。これも、下型５Ａと上型６Ａを早期に磨耗させてそれらの金型寿命を著しく低下させる。そして、スライドフレーム６が傾くことにより、スライドフレーム６に設けたスライドガイドと、これを案内するようにコーナーコラム３に設けた摺動部（スライドメタル）とが早期に磨耗して精度不良を引き起したり、スライドメタルに焼付きを生じてプレス装置の運転を不能にする。
【０００７】
本発明の課題は、プレス反力によるベッドフレームのたわみを低減させ、高精度なプレス加工を実現することにある。
【０００８】
また、本発明の他の課題は、スライドフレームの偏心荷重による傾きを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１の発明は、ベッドフレームの複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレームの複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラムを有し、それらのベッドフレームとクラウンフレームとコーナーコラムをタイロッドにより締結してなるプレス装置において、ベッドフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラムを立て、それらのベッドフレームとクラウンフレームと中間コラムをタイロッドにより締結してなるようにしたものである。
【００１０】
請求項２の発明は、請求項１の発明において更に、前記中間コラムを、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に立てたものである。
【００１１】
請求項３の発明は、請求項１又は２の発明において更に、前記クラウンフレームに設けた駆動装置により昇降されるスライドフレームを有し、スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部により案内するとともに、中間コラムに設けた摺動部により案内するようにしたものである。
【００１２】
請求項４の発明は、請求項３の発明において更に、前記スライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内するようにしたものである。
【００１３】
請求項５の発明は、請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設けるようにしたものである。
【００１４】
請求項６の発明は、請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【００１５】
（請求項１）
(a)プレス装置が、ベッドフレームとクラウンフレームとの間に立てられてタイロッドにより締結されるコラムとして、複数のコーナーコラムの他に、中間コラムを設けた。これにより、相隣るコーナーコラムとコーナーコラムのタイロッドスパンＬaに対し、相隣るコーナーコラムと中間コラムのタイロッドスパンＬbをＬa／ｎ（ｎ＝2,3・・・）に減縮し、ベッドフレームの中間部のたわみを低減できる。従って、下型と上型の位置ずれを抑制し、高精度のプレス加工を実現できる。それに伴い、下型と上型の磨耗を低減し、それらの金型精度を維持できる。
【００１６】
（請求項２）
(b)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立てる。ベッドフレームとクラウンフレームの左右面には中間コラムを立てず、左面又は右面にワーク送給口を設けたり、ボルスタテーブルの出入口を設けることができる。この場合、ベッドフレームとクラウンフレームの前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラムの内側間隔）は、ボルスタテーブルの前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレームのたわみをより低減できる。
【００１７】
（請求項３）
(c)上型を備えるスライドフレームは、スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部（スライドメタル）により案内されるだけでなく、該スライドフレームに設けたスライドガイドを中間コラムに設けた摺動部（スライドメタル）によっても案内される。これにより、順送成形プレス装置等で、偏心荷重を受けるスライドフレームの傾きを抑制できる。
【００１８】
（請求項４）
(d)スライドフレームに設けるスライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内する。これにより、１個のギブ調整バーにより左右のギブを位置調整でき、スライドガイドの調整時間を短縮できる。
【００１９】
（請求項５）
(e)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設ける。ワークは、中間コラムに干渉することなく、プレスルームの中央線上に送給されてボルスタテーブルの下型とスライドフレームの上型によりプレス加工され、上型を備えるスライドフレームはプレスルームの中央線に直交する前後方向での偏心荷重を受けることがなく、スライドフレームの前後方向での傾きを生じない。
【００２０】
（請求項６）
(f)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設ける。ベッドフレームとクラウンフレームの前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラムの内側間隔）は、ボルスタテーブルの前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレームのたわみをより低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
図１はプレスシステムを示す模式斜視図、図２はプレス装置を示す模式前面図、図３はプレス装置を示す模式平面図、図４はプレス装置の変形例を示す模式平面図、図５はスライドフレームの案内構造を示す模式図、図６はスライドガイドの調整構造を示す模式図、図７は従来のプレス装置を示す模式斜視図、図８は従来のプレス装置を示す模式正面図である。
【実施例】
【００２２】
図１に示すプレスシステム１００は、プレス装置１０の側傍、本実施例では右側傍にワーク送給装置４０を配置している。本実施例のワーク送給装置４０は帯状ワークＡを断続的に繰り出すアンコイラとレベラーを有して構成され、プレス装置１０はワーク送給装置４０から繰り出されるワークに当該プレス装置１０のプレスルームで多工程のプレス加工を順に施して最終成形品を１台の当該プレス装置１０内で得る順送成形プレス装置を構成する。尚、本発明において、プレス装置１０は順送成形プレス装置であることを必須としない。
【００２３】
プレス装置１０は、図１〜図３に示す如く、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２とコラム１３、１４を分割して組立てた分割フレーム構造からなる。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２は、平面視で、前後面の幅を左右面の幅より大きくする矩形状をなす。そして、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとクラウンフレーム１２の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとの間に立てた４本のコーナーコラム１３を有し、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の各コーナー部とコーナーコラム１３を各１式のタイロッド１３Ａ及びナット１３Ｂにより締結している。更に、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面において、ベッドフレーム１１の前面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部と、クラウンフレーム１２の前面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部との間に１本の中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の中間部と中間コラム１４を１式のタイロッド１４Ａ及びナット１４Ｂにより締結している。また、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の後面において、ベッドフレーム１１の後面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部と、クラウンフレーム１２の後面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部との間に１本の中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の中間部と中間コラム１４を１式のタイロッド１４Ａ及びナット１４Ｂにより締結している。
【００２４】
プレス装置１０は、ベッドフレーム１１に支持したボルスタテーブル１５に取付けた下型１５Ａと、クラウンフレーム１２に設けた昇降装置（不図示）により昇降されるスライドフレーム１６に取付けた上型１６Ａによりワークを加圧することにより、プレス加工が行なわれる。尚、本実施例のプレス装置１０は前述した如くの順送成形プレス装置であるから、下型１５Ａと上型１６Ａは多数の工程型を並置して備える順送型からなる。また、プレス装置１０のプレスルーム内で、最終成形品をカットされたワークの残材は例えば当該プレスルーム内で剪断処理される。
【００２５】
プレス装置１０は、前述の如く、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面と後面のそれぞれにおいて、左右各１本のコーナーコラム１３と中央１本の中間コラム１４を設け、従来であればベッドフレーム１１のたわみ量δ1が最大となるベッドフレーム１１の中央部に中間コラム１４を立てたことにより、ベッドフレーム１１における中央部のたわみ量を零、コーナーコラム１３と中間コラム１４に挟まれる中央点のたわみ量をδ2＜δ1とし（図２）、ベッドフレーム１１のたわみを極限に抑えるものである。
【００２６】
プレス装置１０の駆動装置がスライドフレーム１６に付与する加圧ポイントＰ1、Ｐ2が、プレス装置１０の前後方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ1上で、左右の各コーナーコラム１３と中央の中間コラム１４に挟まれる中央点に設定されるとき（図３）、左右の各コーナーコラム１３と中央の中間コラム１４のタイロッド強度の割合は、プレス装置１０が6000kNプレスの場合、左右のコーナーコラム１３は各２本で各1500kN（１本のコーナーコラム１３は750kN）とし、中央の中間コラム１４は両側の２つの加圧ポイントＰ1とＰ2に挟まれることから左右の各コーナーコラム１３の２倍の強度を確保させるべく、２本で3000kN（１本の中間コラム１４は1500kN）とし、ベッドフレーム１１のたわみを抑える。
【００２７】
尚、図４の変形例のプレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面の２ヵ所の中間部と、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の後面の２ヵ所の中間部に中間コラム１４を設けたものである。プレス装置１０の前後方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ1に対し、前側のコーナーコラム１３、中間コラム１４と後側のコーナーコラム１３、中間コラム１４は互いに線対称配置される。また、プレス装置１０の左右方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ2のそれぞれに対し、左側のコーナーコラム１３、中間コラム１４と右側のコーナーコラム１３、中間コラム１４は互いに線対称配置される。プレス装置１０の駆動装置がスライドフレーム１６に付与する加圧ポイントＰ1〜Ｐ3が、プレス装置１０のプレスルームの中央線Ｃ1と中央線Ｃ2の交点に設定される１点Ｐ1と、プレスルームの中央線Ｃ1上で、相隣る左側のコーナーコラム１３、中間コラム１４に挟まれる中央点に設定される１点Ｐ2と、プレスルームの中央線Ｃ1上で、相隣る右側のコーナーコラム１３、中間コラム１４に挟まれる中央点に設定される１点Ｐ3からなるとき（図４）、左右の各コーナーコラム１３と左右の各中間コラム１４のタイロッド強度の割合は、プレス装置１０が6000kNプレスの場合、左右のコーナーコラム１３は各２本で各1000kN（１本のコーナーコラム１３は500kN）とし、左右の中間コラム１４はそれらの両側の２つの加圧ポイントＰ1とＰ2、加圧ポイントＰ1とＰ3に挟まれることから左右の各コーナーコラム１３の２倍の強度を確保させるべく、２本で各2000kN（１本の中間コラム１４は1000kN）とし、ベッドフレーム１１のたわみを抑える。
【００２８】
プレス装置１０において、コーナーコラム１３と中間コラム１４の各タイロッド１３Ａ、１４Ａに付与するプリロードは、それらのタイロッド１３Ａ、１４Ａに予定される最大荷重の例えば120％の大きさとし、最大荷重が負荷されたときにもそれらの伸びが発生しないものにする。
【００２９】
プレス装置１０は、図５、図６に示す如く、スライドフレーム１６の左右両面に各１個のスライドガイド２０を設けるとともに、スライドフレーム１６の前後両面に中間コラム１４を挟む各２組のスライドガイド２０を設ける。
【００３０】
スライドフレーム１６の左右両面に設けた各１組のスライドガイド２０は、前後方向で相隣るコーナーコラム１３、１３の互いに対向する面に設けたスライドメタルからなる摺動部３１、３１にスライド自在にして案内される。また、スライドフレーム１６の前後両面に設けた各２組のスライドガイド２０のそれぞれは、左右方向で相隣るコーナーコラム１３と中間コラム１４の互いに対向する面に設けたスライドメタルからなる摺動部３２、３２にスライド自在にして案内される。中間コラム１４を備えない従来例では、スライドガイド２０がスライドフレーム１６の左右両面と前後両面に各１組、換言すれば全４組からなり、全８ガイドの摺動部（８面ガイド）で案内されていたものが、中間コラム１４を備えた本実施例では、スライドガイド２０がスライドフレーム１６の左右両面に各１組、前後両面に各２組、換言すれば全６組からなり、全12ガイドの摺動部３１、３２（12面ガイド）で案内されるものになり、スライドフレーム１６の左右方向のガイドヵ所数が２倍になる。中間コラム１４の左右両側に設けた摺動部３２により、ガイド面数が増設され、スライドフレーム１６の偏心荷重等による傾き（プレス装置１０の正面視における左右の高さずれ）を抑制できる。
【００３１】
ここで、各１組のスライドガイド２０は、スライドフレーム１６に進退可能に設けられるギブ調整バー２１と、ギブ調整バー２１の左右のくさび面２１Ａ、２１Ａに係合しつつスライドフレーム１６に取着される左右のギブ２２、２２とを有し、左右の各ギブ２２、２２を相対するコラム１３、１４のそれぞれに設けた摺動部３１、３２によりスライド自在に案内する。ギブ調整バー２１とギブ２２をスライドフレーム１６に固定するボルト２３、２４をゆるめ、図６に示す如く、ボルト２３によりギブ調整バー２１を押し込み、ギブ調整バー２１のくさび面２１Ａでギブ２２のくさび面２２Ａを押し込み、ギブ２２のスライド面を相対するコラム１３、１４の摺動部３１、３２にガタなく押し込んだ後、ボルト２４によってギブ２２をスライドフレーム１６に固定する。
【００３２】
プレスシステム１００は、前述の如く、プレス装置１０のベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の中間部に中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の左右面には中間コラムを立てない。そして、プレスシステム１００は、前述したワーク送給装置４０から繰り出されるワークＡを当該プレス装置１０のプレスルームの中央線Ｃ1上に送給するワーク送給口５１を、プレス装置１０の右面（左面でも可）に設ける。
【００３３】
また、プレスシステム１００は、下型１５Ａが取付けられ、金型交換時には下型１５Ａ及び上型１６Ａを載置するボルスタテーブル１５の出入口５２を、プレス装置１０の左面（右面でも可）を設ける。本実施例のプレス装置１０は、図１に示す如く、２個のボルスタテーブル１５を有しており、一方のボルスタテーブル１５をベッドフレーム１１から外して出入口５２から外部へ搬出し、当該ボルスタテーブル１５の上の下型１５Ａ及び上型１６Ａをクレーン等を用いて金型交換する。同時に、金型交換された下型１５Ａ及び上型１６Ａを載置して外部に待機中であった他方のボルスタテーブル１５を出入口５２からベッドフレーム１１上へ搬入し、新たなプレス加工に供する。
【００３４】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)プレス装置１０が、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２との間に立てられてタイロッド１３Ａ、１４Ａにより締結されるコラムとして、複数のコーナーコラム１３の他に、中間コラム１４を設けた。これにより、相隣るコーナーコラム１３とコーナーコラム１３のタイロッドスパンＬaに対し、相隣るコーナーコラム１３と中間コラム１４のタイロッドスパンＬbをＬa／ｎ（ｎ＝2,3・・・）に減縮し、ベッドフレーム１１の中間部のたわみを低減できる。従って、下型１５Ａと上型１６Ａの位置ずれを抑制し、高精度のプレス加工を実現できる。それに伴い、下型１５Ａと上型１６Ａの磨耗を低減し、それらの金型精度を維持できる。
【００３５】
(b)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立てる。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の左右面には中間コラム１４を立てず、左面又は右面にワーク送給口５１を設けたり、ボルスタテーブル１５の出入口５２を設けることができる。この場合、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム１３の内側間隔）は、ボルスタテーブル１５の前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置１０の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレーム１１のたわみをより低減できる。
【００３６】
(c)上型１６Ａを備えるスライドフレーム１６は、スライドフレーム１６に設けたスライドガイド２０をコーナーコラム１３に設けた摺動部３１（スライドメタル）により案内されるだけでなく、該スライドフレーム１６に設けたスライドガイド２０を中間コラム１４に設けた摺動部３２（スライドメタル）によっても案内される。これにより、順送成形プレス装置１０等で、偏心荷重を受けるスライドフレーム１６の傾きを抑制できる。
【００３７】
(d)スライドフレーム１６に設けるスライドガイド２０が、スライドフレーム１６に進退可能に設けられるギブ調整バー２１と、ギブ調整バー２１の左右のくさび面２１Ａに係合しつつスライドフレーム１６に取着される左右のギブ２２とを有し、スライドガイド２０の左右のギブ２２を相対するコラム１３、１４のそれぞれに設けた摺動部３１、３２により案内する。これにより、１個のギブ調整バー２１により左右のギブ２２を位置調整でき、スライドガイド２０の調整時間を短縮できる。
【００３８】
(e)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立て、それらのフレームの左右面には中間コラム１４を立てず、この左面又は右面にワーク送給口５１を設ける。ワークは、中間コラム１４に干渉することなく、プレスルームの中央線上に送給されてボルスタテーブル１５の下型１５Ａとスライドフレーム１６の上型１６Ａによりプレス加工され、上型１６Ａを備えるスライドフレーム１６はプレスルームの中央線に直交する前後方向での偏心荷重を受けることがなく、スライドフレーム１６の前後方向での傾きを生じない。
【００３９】
(f)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立て、それらのフレームの左右面には中間コラム１４を立てず、この左面又は右面にボルスタテーブル１５の出入口５２を設ける。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム１３の内側間隔）は、ボルスタテーブル１５の前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置１０の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレーム１１のたわみをより低減できる。
【００４０】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】図１はプレスシステムを示す模式斜視図である。
【図２】図２はプレス装置を示す模式前面図である。
【図３】図３はプレス装置を示す模式平面図である。
【図４】図４はプレス装置の変形例を示す模式平面図である。
【図５】図５はスライドフレームの案内構造を示す模式図である。
【図６】図６はスライドガイドの調整構造を示す模式図である。
【図７】図７は従来のプレス装置を示す模式斜視図である。
【図８】図８は従来のプレス装置を示す模式正面図である。
【符号の説明】
【００４２】
１０ プレス装置
１１ ベッドフレーム
１２ クラウンフレーム
１３ コーナーコラム
１３Ａ タイロッド
１４ 中間コラム
１４Ａ タイロッド
１５ ボルスタテーブル
１６ スライドフレーム
２０ スライドガイド
２１ ギブ調整バー
２１Ａ くさび面
２２ ギブ
３１、３２ 摺動部
４０ ワーク送給装置
５１ ワーク送給口
５２ 出入口
【技術分野】
【０００１】
本発明はプレス装置及びプレスシステムに関する。
【背景技術】
【０００２】
プレス装置では、ベッドフレームとクラウンフレームとコラムを溶接した一体フレーム構造と、それらを分割して組立てた分割フレーム構造とがある。特許文献１等に記載される分割フレーム構造のプレス装置は、図７、図８に示す如く、矩形状ベッドフレーム１の４ヵ所のコーナー部のそれぞれと、矩形状クラウンフレーム２の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとの間に立てた４本のコーナーコラム３を有し、それらのベッドフレーム１とクラウンフレーム２の各コーナー部と各コーナーコラム３を各１式のタイロッド３Ａ及びナット３Ｂにより締結している。
【０００３】
ベッドフレーム１に支持したボルスタテーブル５に取付けた下型５Ａと、クラウンフレーム２に設けた駆動装置（不図示）により昇降されるスライドフレーム６に取付けた上型６Ａによりワークを加圧することにより、プレス加工が行なわれる。加圧部に発生するプレス反力がタイロッド３Ａ及びナット３Ｂの剛性により支持されるが、左右のコーナーコラム３のタイロッドスパンＬ1の中央に対応するベッドフレーム１の中央部にたわみδ1が発生する。
【特許文献１】特開2005-161374
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
特許文献１に記載のプレス装置において、ベッドフレーム１の中央部のたわみ量は、ベッドフレーム１の左右方向サイズ（図７、図８で視た左右方向を左右方向という）が大きいほど、これに比例して大きく発生する。ベッドフレーム１に支持されて下型５Ａが取付けされるボルスタテーブル５は、一般的に４本のコーナーコラム３に囲まれているプレスルームから外に出さないと、クレーン等を用いて金型交換（下型５Ａ及び上型６Ａの交換）を行なうことができない。ボルスタテーブル５はベッドフレーム１とクラウンフレーム２の前面又は後面に設けた出入口経由でプレスルームに出入されることが多い。この場合、ベッドフレーム１とクラウンフレーム２の前後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム３の内側間隔）（ボルスタテーブル５の出入口幅）は、ボルスタテーブル５の前後面幅Ｌyより広いことが必要であり、左右のコーナーコラム３のタイロッドスパンＬ1は必然的に広くなり、これによってもベッドフレーム１の中央部のたわみ量が大きくなる。
【０００５】
このようにベッドフレーム１の中央部のたわみ量が大きいと、下型５Ａと上型６Ａの位置ずれを生じて精度の高いプレス成形ができない。それに伴い、下型５Ａと上型６Ａが早期に磨耗してそれらの金型寿命が著しく低下する。従来技術では、ベッドフレーム１の剛性を高めてたわみ量を抑える方法があるが、ベッドフレーム１の剛性に頼ることは経済的にも限界がある。
【０００６】
また、１台のプレス装置内のボルスタテーブル５とスライドフレーム６に、第１工程型、第２工程型・・・の如くの多数の工程型を並置して備えた順送型の下型５Ａと上型６Ａを配置する順送成形プレス装置では、ワークの投入時や成形終了時に、第１工程型や最終工程型だけにプレス反力が及び、スライドフレーム６に偏心荷重が作用する。これにより、スライドフレーム６は荷重がかかった側が持ち上げられて傾き、この傾きは下型５Ａと上型６Ａの位置ずれを生じさせて精度の高いプレス成形をできなくする。これも、下型５Ａと上型６Ａを早期に磨耗させてそれらの金型寿命を著しく低下させる。そして、スライドフレーム６が傾くことにより、スライドフレーム６に設けたスライドガイドと、これを案内するようにコーナーコラム３に設けた摺動部（スライドメタル）とが早期に磨耗して精度不良を引き起したり、スライドメタルに焼付きを生じてプレス装置の運転を不能にする。
【０００７】
本発明の課題は、プレス反力によるベッドフレームのたわみを低減させ、高精度なプレス加工を実現することにある。
【０００８】
また、本発明の他の課題は、スライドフレームの偏心荷重による傾きを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
請求項１の発明は、ベッドフレームの複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレームの複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラムを有し、それらのベッドフレームとクラウンフレームとコーナーコラムをタイロッドにより締結してなるプレス装置において、ベッドフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラムを立て、それらのベッドフレームとクラウンフレームと中間コラムをタイロッドにより締結してなるようにしたものである。
【００１０】
請求項２の発明は、請求項１の発明において更に、前記中間コラムを、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に立てたものである。
【００１１】
請求項３の発明は、請求項１又は２の発明において更に、前記クラウンフレームに設けた駆動装置により昇降されるスライドフレームを有し、スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部により案内するとともに、中間コラムに設けた摺動部により案内するようにしたものである。
【００１２】
請求項４の発明は、請求項３の発明において更に、前記スライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内するようにしたものである。
【００１３】
請求項５の発明は、請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設けるようにしたものである。
【００１４】
請求項６の発明は、請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設けるようにしたものである。
【発明の効果】
【００１５】
（請求項１）
(a)プレス装置が、ベッドフレームとクラウンフレームとの間に立てられてタイロッドにより締結されるコラムとして、複数のコーナーコラムの他に、中間コラムを設けた。これにより、相隣るコーナーコラムとコーナーコラムのタイロッドスパンＬaに対し、相隣るコーナーコラムと中間コラムのタイロッドスパンＬbをＬa／ｎ（ｎ＝2,3・・・）に減縮し、ベッドフレームの中間部のたわみを低減できる。従って、下型と上型の位置ずれを抑制し、高精度のプレス加工を実現できる。それに伴い、下型と上型の磨耗を低減し、それらの金型精度を維持できる。
【００１６】
（請求項２）
(b)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立てる。ベッドフレームとクラウンフレームの左右面には中間コラムを立てず、左面又は右面にワーク送給口を設けたり、ボルスタテーブルの出入口を設けることができる。この場合、ベッドフレームとクラウンフレームの前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラムの内側間隔）は、ボルスタテーブルの前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレームのたわみをより低減できる。
【００１７】
（請求項３）
(c)上型を備えるスライドフレームは、スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部（スライドメタル）により案内されるだけでなく、該スライドフレームに設けたスライドガイドを中間コラムに設けた摺動部（スライドメタル）によっても案内される。これにより、順送成形プレス装置等で、偏心荷重を受けるスライドフレームの傾きを抑制できる。
【００１８】
（請求項４）
(d)スライドフレームに設けるスライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内する。これにより、１個のギブ調整バーにより左右のギブを位置調整でき、スライドガイドの調整時間を短縮できる。
【００１９】
（請求項５）
(e)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設ける。ワークは、中間コラムに干渉することなく、プレスルームの中央線上に送給されてボルスタテーブルの下型とスライドフレームの上型によりプレス加工され、上型を備えるスライドフレームはプレスルームの中央線に直交する前後方向での偏心荷重を受けることがなく、スライドフレームの前後方向での傾きを生じない。
【００２０】
（請求項６）
(f)ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設ける。ベッドフレームとクラウンフレームの前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラムの内側間隔）は、ボルスタテーブルの前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレームのたわみをより低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
図１はプレスシステムを示す模式斜視図、図２はプレス装置を示す模式前面図、図３はプレス装置を示す模式平面図、図４はプレス装置の変形例を示す模式平面図、図５はスライドフレームの案内構造を示す模式図、図６はスライドガイドの調整構造を示す模式図、図７は従来のプレス装置を示す模式斜視図、図８は従来のプレス装置を示す模式正面図である。
【実施例】
【００２２】
図１に示すプレスシステム１００は、プレス装置１０の側傍、本実施例では右側傍にワーク送給装置４０を配置している。本実施例のワーク送給装置４０は帯状ワークＡを断続的に繰り出すアンコイラとレベラーを有して構成され、プレス装置１０はワーク送給装置４０から繰り出されるワークに当該プレス装置１０のプレスルームで多工程のプレス加工を順に施して最終成形品を１台の当該プレス装置１０内で得る順送成形プレス装置を構成する。尚、本発明において、プレス装置１０は順送成形プレス装置であることを必須としない。
【００２３】
プレス装置１０は、図１〜図３に示す如く、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２とコラム１３、１４を分割して組立てた分割フレーム構造からなる。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２は、平面視で、前後面の幅を左右面の幅より大きくする矩形状をなす。そして、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとクラウンフレーム１２の４ヵ所のコーナー部のそれぞれとの間に立てた４本のコーナーコラム１３を有し、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の各コーナー部とコーナーコラム１３を各１式のタイロッド１３Ａ及びナット１３Ｂにより締結している。更に、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面において、ベッドフレーム１１の前面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部と、クラウンフレーム１２の前面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部との間に１本の中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の中間部と中間コラム１４を１式のタイロッド１４Ａ及びナット１４Ｂにより締結している。また、プレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の後面において、ベッドフレーム１１の後面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部と、クラウンフレーム１２の後面側で相隣るコーナー部の間の中央１ヵ所の中間部との間に１本の中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の中間部と中間コラム１４を１式のタイロッド１４Ａ及びナット１４Ｂにより締結している。
【００２４】
プレス装置１０は、ベッドフレーム１１に支持したボルスタテーブル１５に取付けた下型１５Ａと、クラウンフレーム１２に設けた昇降装置（不図示）により昇降されるスライドフレーム１６に取付けた上型１６Ａによりワークを加圧することにより、プレス加工が行なわれる。尚、本実施例のプレス装置１０は前述した如くの順送成形プレス装置であるから、下型１５Ａと上型１６Ａは多数の工程型を並置して備える順送型からなる。また、プレス装置１０のプレスルーム内で、最終成形品をカットされたワークの残材は例えば当該プレスルーム内で剪断処理される。
【００２５】
プレス装置１０は、前述の如く、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面と後面のそれぞれにおいて、左右各１本のコーナーコラム１３と中央１本の中間コラム１４を設け、従来であればベッドフレーム１１のたわみ量δ1が最大となるベッドフレーム１１の中央部に中間コラム１４を立てたことにより、ベッドフレーム１１における中央部のたわみ量を零、コーナーコラム１３と中間コラム１４に挟まれる中央点のたわみ量をδ2＜δ1とし（図２）、ベッドフレーム１１のたわみを極限に抑えるものである。
【００２６】
プレス装置１０の駆動装置がスライドフレーム１６に付与する加圧ポイントＰ1、Ｐ2が、プレス装置１０の前後方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ1上で、左右の各コーナーコラム１３と中央の中間コラム１４に挟まれる中央点に設定されるとき（図３）、左右の各コーナーコラム１３と中央の中間コラム１４のタイロッド強度の割合は、プレス装置１０が6000kNプレスの場合、左右のコーナーコラム１３は各２本で各1500kN（１本のコーナーコラム１３は750kN）とし、中央の中間コラム１４は両側の２つの加圧ポイントＰ1とＰ2に挟まれることから左右の各コーナーコラム１３の２倍の強度を確保させるべく、２本で3000kN（１本の中間コラム１４は1500kN）とし、ベッドフレーム１１のたわみを抑える。
【００２７】
尚、図４の変形例のプレス装置１０は、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面の２ヵ所の中間部と、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の後面の２ヵ所の中間部に中間コラム１４を設けたものである。プレス装置１０の前後方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ1に対し、前側のコーナーコラム１３、中間コラム１４と後側のコーナーコラム１３、中間コラム１４は互いに線対称配置される。また、プレス装置１０の左右方向の中央を通るプレスルームの中央線Ｃ2のそれぞれに対し、左側のコーナーコラム１３、中間コラム１４と右側のコーナーコラム１３、中間コラム１４は互いに線対称配置される。プレス装置１０の駆動装置がスライドフレーム１６に付与する加圧ポイントＰ1〜Ｐ3が、プレス装置１０のプレスルームの中央線Ｃ1と中央線Ｃ2の交点に設定される１点Ｐ1と、プレスルームの中央線Ｃ1上で、相隣る左側のコーナーコラム１３、中間コラム１４に挟まれる中央点に設定される１点Ｐ2と、プレスルームの中央線Ｃ1上で、相隣る右側のコーナーコラム１３、中間コラム１４に挟まれる中央点に設定される１点Ｐ3からなるとき（図４）、左右の各コーナーコラム１３と左右の各中間コラム１４のタイロッド強度の割合は、プレス装置１０が6000kNプレスの場合、左右のコーナーコラム１３は各２本で各1000kN（１本のコーナーコラム１３は500kN）とし、左右の中間コラム１４はそれらの両側の２つの加圧ポイントＰ1とＰ2、加圧ポイントＰ1とＰ3に挟まれることから左右の各コーナーコラム１３の２倍の強度を確保させるべく、２本で各2000kN（１本の中間コラム１４は1000kN）とし、ベッドフレーム１１のたわみを抑える。
【００２８】
プレス装置１０において、コーナーコラム１３と中間コラム１４の各タイロッド１３Ａ、１４Ａに付与するプリロードは、それらのタイロッド１３Ａ、１４Ａに予定される最大荷重の例えば120％の大きさとし、最大荷重が負荷されたときにもそれらの伸びが発生しないものにする。
【００２９】
プレス装置１０は、図５、図６に示す如く、スライドフレーム１６の左右両面に各１個のスライドガイド２０を設けるとともに、スライドフレーム１６の前後両面に中間コラム１４を挟む各２組のスライドガイド２０を設ける。
【００３０】
スライドフレーム１６の左右両面に設けた各１組のスライドガイド２０は、前後方向で相隣るコーナーコラム１３、１３の互いに対向する面に設けたスライドメタルからなる摺動部３１、３１にスライド自在にして案内される。また、スライドフレーム１６の前後両面に設けた各２組のスライドガイド２０のそれぞれは、左右方向で相隣るコーナーコラム１３と中間コラム１４の互いに対向する面に設けたスライドメタルからなる摺動部３２、３２にスライド自在にして案内される。中間コラム１４を備えない従来例では、スライドガイド２０がスライドフレーム１６の左右両面と前後両面に各１組、換言すれば全４組からなり、全８ガイドの摺動部（８面ガイド）で案内されていたものが、中間コラム１４を備えた本実施例では、スライドガイド２０がスライドフレーム１６の左右両面に各１組、前後両面に各２組、換言すれば全６組からなり、全12ガイドの摺動部３１、３２（12面ガイド）で案内されるものになり、スライドフレーム１６の左右方向のガイドヵ所数が２倍になる。中間コラム１４の左右両側に設けた摺動部３２により、ガイド面数が増設され、スライドフレーム１６の偏心荷重等による傾き（プレス装置１０の正面視における左右の高さずれ）を抑制できる。
【００３１】
ここで、各１組のスライドガイド２０は、スライドフレーム１６に進退可能に設けられるギブ調整バー２１と、ギブ調整バー２１の左右のくさび面２１Ａ、２１Ａに係合しつつスライドフレーム１６に取着される左右のギブ２２、２２とを有し、左右の各ギブ２２、２２を相対するコラム１３、１４のそれぞれに設けた摺動部３１、３２によりスライド自在に案内する。ギブ調整バー２１とギブ２２をスライドフレーム１６に固定するボルト２３、２４をゆるめ、図６に示す如く、ボルト２３によりギブ調整バー２１を押し込み、ギブ調整バー２１のくさび面２１Ａでギブ２２のくさび面２２Ａを押し込み、ギブ２２のスライド面を相対するコラム１３、１４の摺動部３１、３２にガタなく押し込んだ後、ボルト２４によってギブ２２をスライドフレーム１６に固定する。
【００３２】
プレスシステム１００は、前述の如く、プレス装置１０のベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の中間部に中間コラム１４を立て、それらのベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の左右面には中間コラムを立てない。そして、プレスシステム１００は、前述したワーク送給装置４０から繰り出されるワークＡを当該プレス装置１０のプレスルームの中央線Ｃ1上に送給するワーク送給口５１を、プレス装置１０の右面（左面でも可）に設ける。
【００３３】
また、プレスシステム１００は、下型１５Ａが取付けられ、金型交換時には下型１５Ａ及び上型１６Ａを載置するボルスタテーブル１５の出入口５２を、プレス装置１０の左面（右面でも可）を設ける。本実施例のプレス装置１０は、図１に示す如く、２個のボルスタテーブル１５を有しており、一方のボルスタテーブル１５をベッドフレーム１１から外して出入口５２から外部へ搬出し、当該ボルスタテーブル１５の上の下型１５Ａ及び上型１６Ａをクレーン等を用いて金型交換する。同時に、金型交換された下型１５Ａ及び上型１６Ａを載置して外部に待機中であった他方のボルスタテーブル１５を出入口５２からベッドフレーム１１上へ搬入し、新たなプレス加工に供する。
【００３４】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)プレス装置１０が、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２との間に立てられてタイロッド１３Ａ、１４Ａにより締結されるコラムとして、複数のコーナーコラム１３の他に、中間コラム１４を設けた。これにより、相隣るコーナーコラム１３とコーナーコラム１３のタイロッドスパンＬaに対し、相隣るコーナーコラム１３と中間コラム１４のタイロッドスパンＬbをＬa／ｎ（ｎ＝2,3・・・）に減縮し、ベッドフレーム１１の中間部のたわみを低減できる。従って、下型１５Ａと上型１６Ａの位置ずれを抑制し、高精度のプレス加工を実現できる。それに伴い、下型１５Ａと上型１６Ａの磨耗を低減し、それらの金型精度を維持できる。
【００３５】
(b)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立てる。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の左右面には中間コラム１４を立てず、左面又は右面にワーク送給口５１を設けたり、ボルスタテーブル１５の出入口５２を設けることができる。この場合、ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム１３の内側間隔）は、ボルスタテーブル１５の前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置１０の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレーム１１のたわみをより低減できる。
【００３６】
(c)上型１６Ａを備えるスライドフレーム１６は、スライドフレーム１６に設けたスライドガイド２０をコーナーコラム１３に設けた摺動部３１（スライドメタル）により案内されるだけでなく、該スライドフレーム１６に設けたスライドガイド２０を中間コラム１４に設けた摺動部３２（スライドメタル）によっても案内される。これにより、順送成形プレス装置１０等で、偏心荷重を受けるスライドフレーム１６の傾きを抑制できる。
【００３７】
(d)スライドフレーム１６に設けるスライドガイド２０が、スライドフレーム１６に進退可能に設けられるギブ調整バー２１と、ギブ調整バー２１の左右のくさび面２１Ａに係合しつつスライドフレーム１６に取着される左右のギブ２２とを有し、スライドガイド２０の左右のギブ２２を相対するコラム１３、１４のそれぞれに設けた摺動部３１、３２により案内する。これにより、１個のギブ調整バー２１により左右のギブ２２を位置調整でき、スライドガイド２０の調整時間を短縮できる。
【００３８】
(e)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立て、それらのフレームの左右面には中間コラム１４を立てず、この左面又は右面にワーク送給口５１を設ける。ワークは、中間コラム１４に干渉することなく、プレスルームの中央線上に送給されてボルスタテーブル１５の下型１５Ａとスライドフレーム１６の上型１６Ａによりプレス加工され、上型１６Ａを備えるスライドフレーム１６はプレスルームの中央線に直交する前後方向での偏心荷重を受けることがなく、スライドフレーム１６の前後方向での傾きを生じない。
【００３９】
(f)ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラム１４を立て、それらのフレームの左右面には中間コラム１４を立てず、この左面又は右面にボルスタテーブル１５の出入口５２を設ける。ベッドフレーム１１とクラウンフレーム１２の前面又は後面の有効門間Ｌx（左右のコーナーコラム１３の内側間隔）は、ボルスタテーブル１５の前後面幅Ｌyより広くとる必要がなく、プレス装置１０の前後面の全幅Ｌwをコンパクトに構成でき、ベッドフレーム１１のたわみをより低減できる。
【００４０】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【００４１】
【図１】図１はプレスシステムを示す模式斜視図である。
【図２】図２はプレス装置を示す模式前面図である。
【図３】図３はプレス装置を示す模式平面図である。
【図４】図４はプレス装置の変形例を示す模式平面図である。
【図５】図５はスライドフレームの案内構造を示す模式図である。
【図６】図６はスライドガイドの調整構造を示す模式図である。
【図７】図７は従来のプレス装置を示す模式斜視図である。
【図８】図８は従来のプレス装置を示す模式正面図である。
【符号の説明】
【００４２】
１０ プレス装置
１１ ベッドフレーム
１２ クラウンフレーム
１３ コーナーコラム
１３Ａ タイロッド
１４ 中間コラム
１４Ａ タイロッド
１５ ボルスタテーブル
１６ スライドフレーム
２０ スライドガイド
２１ ギブ調整バー
２１Ａ くさび面
２２ ギブ
３１、３２ 摺動部
４０ ワーク送給装置
５１ ワーク送給口
５２ 出入口
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ベッドフレームの複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレームの複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラムを有し、それらのベッドフレームとクラウンフレームとコーナーコラムをタイロッドにより締結してなるプレス装置において、
ベッドフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラムを立て、それらのベッドフレームとクラウンフレームと中間コラムをタイロッドにより締結してなることを特徴とするプレス装置。
【請求項２】
前記中間コラムを、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に立てた請求項１に記載のプレス装置。
【請求項３】
前記クラウンフレームに設けた駆動装置により昇降されるスライドフレームを有し、
スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部により案内するとともに、中間コラムに設けた摺動部により案内する請求項１又は２に記載のプレス装置。
【請求項４】
前記スライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、
スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内する請求項３に記載のプレス装置。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、
ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設けるプレスシステム。
【請求項６】
請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、
ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設けるプレスシステム。
【請求項１】
ベッドフレームの複数のコーナー部のそれぞれとクラウンフレームの複数のコーナー部のそれぞれとの間に立てた複数のコーナーコラムを有し、それらのベッドフレームとクラウンフレームとコーナーコラムをタイロッドにより締結してなるプレス装置において、
ベッドフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部と、クラウンフレームの相隣るコーナー部の間の１ヵ所以上の中間部との間に中間コラムを立て、それらのベッドフレームとクラウンフレームと中間コラムをタイロッドにより締結してなることを特徴とするプレス装置。
【請求項２】
前記中間コラムを、ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に立てた請求項１に記載のプレス装置。
【請求項３】
前記クラウンフレームに設けた駆動装置により昇降されるスライドフレームを有し、
スライドフレームに設けたスライドガイドをコーナーコラムに設けた摺動部により案内するとともに、中間コラムに設けた摺動部により案内する請求項１又は２に記載のプレス装置。
【請求項４】
前記スライドガイドが、スライドフレームに進退可能に設けられるギブ調整バーと、ギブ調整バーの左右のくさび面に係合しつつスライドフレームに取着される左右のギブとを有し、
スライドガイドの左右のギブを相対するコラムのそれぞれに設けた摺動部により案内する請求項３に記載のプレス装置。
【請求項５】
請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、
ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にワーク送給口を設けるプレスシステム。
【請求項６】
請求項１〜４のいずれかに記載のプレス装置を用いるプレスシステムであって、
ベッドフレームとクラウンフレームの前後面の１ヵ所以上の中間部に中間コラムを立て、それらのフレームの左右面には中間コラムを立てず、この左面又は右面にボルスタテーブルの出入口を設けるプレスシステム。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００９−２３３６７２（Ｐ２００９−２３３６７２Ａ）
【公開日】平成２１年１０月１５日（２００９．１０．１５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−７８９９９（Ｐ２００８−７８９９９）
【出願日】平成２０年３月２５日（２００８．３．２５）
【出願人】（０００１２６８９４）株式会社アミノ (16)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年１０月１５日（２００９．１０．１５）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年３月２５日（２００８．３．２５）
【出願人】（０００１２６８９４）株式会社アミノ (16)
【Ｆターム（参考）】
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