説明

プレス装置

【課題】
被接着物の接着(転写)位置や対象物の形状に関わらず、良好な接着性を得るとともに、設置場所及び設備コストの削減を図る。
【解決手段】
プレス装置10は、台座12に支持された下鏝30,回動部60に支持された上鏝80,前記台座12と回動部60を回動可能に連結する連結部50を備えている。前記台座12の側面には、加工対象の衣類94を、前記下鏝30の上下に回すための一対のスリット20が設けられている。加工対象物の形状・寸法や被接着物の接着位置に応じて、下鏝30及び上鏝80の向きを設定し、衣類などの対象物を、下鏝30の上下に回すようにセットする。その上に、裏面に接着剤が塗布された被接着物をのせ、開閉レバー62で上鏝80を閉じるとともに、加圧レバー64の操作によって上鏝80によるプレスを開始すると、被接着物が対象物に接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類などの対象物に、ワッペンやマークなどの被接着物を接着ないし転写するためのプレス装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類などに、ワッペンやマークなどを接着ないし転写するプレス装置としては、装置基部に立設する支持部の上方に設けられた下鏝(下コテ)と、該下鏝との間に衣類やワッペンなどを挟んでプレスする上鏝(上コテ)を有するものが知られている。前記上鏝は、内部に発熱手段を有している。そして、前記下鏝表面にセットされた(帽子や)衣類の上に、熱溶融性の接着剤が塗布されたワッペンやマークなどの被接着物をのせた状態で、前記上鏝を、前記下鏝に向けて上方から押し当てることにより、前記接着剤が溶融して、(帽子や)衣類などに前記ワッペン等が接着される構成となっている。
【0003】
例えば、以下の特許文献1には、所定温度で発熱し、かつ、所定面積で形成され被圧力付与体に向けて予め定めた一定圧力を付与する加圧手段と、前記被圧力付与体として、前記所定面積と略一致した面積または前記所定面積より小さな面積で被加圧側形状が形成された複数の交換基台手段と、前記交換基台手段の何れか一つを取り付け可能に構成された台座手段と、を備えたことを特徴とする熱プレス機が開示されている。
【特許文献1】特開平11−315468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の技術では、下鏝に相当する交換基台手段を支持する台座手段が略円柱状となっており、前記交換基台手段の略中央部を下側から支持している。このため、例えば、上着の前身頃部分にワッペンなどを接着する場合、前身頃のみを交換基台手段にのせて、後身頃を交換基台手段の下方に回すようにすると、接着する位置によっては、前記交換基台手段の下側で衣類などが台座手段に当たって、奥まで差し込むことができない。すると、交換基台手段にのせた部分も引っ張られて平らに維持することができず、仕上がり不良になる可能性がある。あるいは、接着部分に皺が寄らないように、身頃部分を2枚重ねにしたまま接着を行うことも可能であるが、この場合、衣類の布地の厚さによっては、接着強度が低下するおそれがある。これは、身頃部分に限らず、上着の袖やパンツの脚部など、環状部分を有する対象物全般について同様である。また、前記特許文献1のように、下鏝部分のみを交換可能としたものでは、多種多様な形状・大きさの対象物に応じた良好な接着性が得られない場合が多い。そのため、対象物に応じて複数種類の装置が必要となり、設置場所や設備コストの増大につながるという不都合が生じる。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、被接着物を接着ないし転写する位置や対象物の形状に関わらず、良好な接着性が得られるプレス装置を提供することである。他の目的は、設置スペース及び設備コストの低減を図ることができるプレス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、対象物に被接着物を接着ないし転写するためのプレス装置であって、前記対象物の少なくとも一部と、前記被接着物をのせる下鏝,該下鏝を支持する台座,前記下鏝との間に前記対象物及び被接着物を挟んでプレスするとともに、内部に発熱手段を有する上鏝,該上鏝を支持するとともに、前記台座に対して回動可能な支持手段,該支持手段が、前記台座に対して回動可能となるように連結する連結手段,を備えるとともに、前記台座が、前記対象物の他の部分を、前記下鏝の下方において通すための収納ないし通過手段,を有することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つは、前記台座が中空であるとともに、前記収納ないし通過手段が、前記台座の正面開放側から奥行方向へ向けて、該台座の両側面に形成された一対のスリット,を含むことを特徴とする。
【0008】
他の形態は、前記台座に対して、前記下鏝の取り付け向きが変更可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記台座に対して、前記下鏝が着脱可能であることを特徴とする。
【0009】
更に他の形態は、前記支持手段に対して、前記上鏝の取り付け向きが変更可能であることを特徴とする。更に他の形態は、前記支持手段に対して、前記上鏝が回転可能であることを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、台座上に下鏝を設け、該下鏝との間で対象物と被接着物をプレスする上鏝を支持手段で支持するとともに、前記台座と支持手段を回動可能に連結する。そして、前記台座に、前記対象物の他の部分を、下鏝の下方に回して通すための収納ないし通過手段を設けることとしたので、対象物の形状や被接着物の接着位置に関わらず、良好な接着ないし転写を行うことができる。また、前記下鏝や上鏝の取り付け向きの変更や交換により、各種形状・寸法の対象物への接着ができるため、複数の装置を用意する必要がなく、設置場所の削減効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
最初に、図1〜図4を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。図1は、本実施例の構造を示す斜視図であり、図1(A)は上鏝及び下鏝を縦長にした状態,図1(B)は上鏝を横長にした状態,図1(C)は下鏝を横長にした状態である。図2は、本実施例の台座と下鏝を示す図であり、図2(A)は台座を示す斜視図,図2(B)は下鏝を裏面から見た斜視図,図2(C)は下鏝の他の例を裏面から見た平面図である。図3は、台座への下鏝の取り付け例を示す図である。図4は、本実施例の上鏝の回転の様子を示す平面図である。本発明のプレス装置は、衣類などの対象物の形状や接着部位に関わらず、ワッペンやマークなどの被接着物を良好に接着(ないし転写)するものである。
【0013】
図1に示すように、プレス装置10は、台座12に支持された下鏝30と、回動部60に支持された上鏝80と、前記台座12及び回動部60を回動可能に連結する連結部50により構成されている。対象物である衣類94や被接着物であるワッペン96は、前記下鏝30と上鏝80に挟まれて熱プレスされることにより接着される。
【0014】
図2(A)に示すように、前記台座12は、正面が開放した中空体であって、正面の両角からは、斜め方向に向けて足14が設けられている。台座12の上面には、前記正面開放側から奥行方向(連結部50側)へ向けて一対のスリット16A及び16Bが所定間隔で平行に設けられている。これら一対のスリット16A及び16Bの間には、後述する下鏝30を固定するネジ46を挿通するための挿通孔18が形成されている。また、前記台座12の両側面には、前記正面開放側から奥行方向に向けて一対のスリット20が形成されている。これらスリット20は、図2(A)に示すように、衣類94などの対象物を下鏝の上下に回すようにセットしたときに、下鏝30の下側にくる部分を通過させるためのもので、前記上面のスリット16A及び16Bよりも、奥行方向に長くなるように形成されている。なお、図2(A)では、理解を容易にするため、下鏝30の図示を省略してある。更に、台座12の正面下側には、ネジ22や、図示しないバネの一端側を固定するためのボルト24などが設けられている。このような台座12は、適宜手段で、後述する連結部50に連結されている。
【0015】
前記台座12に支持される下鏝30は、図2(B)に示すように、金属などの平板32の上にマット34を重ね、前記平板32の下に連結板36を重ねた構造となっており、全体が略長方形となっている。また、前記マット34の表面を覆うように、カバー48が着脱可能に設けられている。前記マット34は、加工対象物の凹凸などを吸収し、均一に接着を行うためのものである。前記マット34は、耐熱性,クッション性,形状の復元性,耐久性という観点から、例えば、シリコン製のものが利用される。このようなマット34は、前記平板32の表面に、任意の手段(例えば、接着剤など)により貼り付けられる。一方、前記連結板36は、図2(B)に示すように、略中央部に略正方形の突出部40が形成されている。該突出部40の4つの角には、前記台座12の上面のスリット16A又は16Bのいずれかに合わせるための凸部42A〜42Dが設けられている。更に、前記突出部40の略中央には、前記台座12の挿通孔18を介して差し込まれるネジ46と螺合するネジ穴44が形成されている。このような連結板36は、ボルト38などの適宜手段により、前記平板32に固定される。
【0016】
以上のような構成の下鏝30は、図3(A)に示すように、連結板36の凸部42A及び42Bを台座12のスリット16Aに合わせ、凸部42C及び42Dをスリット16Bに合わせて、台座12の内側からネジ46を挿通孔18に差し込み、連結板36のネジ穴44に螺合させることにより、縦長にセットされる。あるいは、図3(B)に示すように、連結板36の凸部42B及び42Dをスリット16Aに合わせ、凸部42A及び42Cをスリット16Bに合わせてネジ46で固定することにより、横長にセットされる。
【0017】
一方、前記下鏝30との間に対象物及び被接着物を挟んでプレスする上鏝80は、連結部50及び回動部60により、前記下鏝30に対して回動可能となっている。図1に示すように、前記連結部50は、左右一対の立設部52A及び52Bを備えており、前記回動部60の一端側は、これら立設部52A及び52B間に設けられた回動部材(図示せず)に固定されている。また、前記立設部52Aの正面には、電源のON/OFFを切り替えるためのスイッチ54が設けられ、他方の立設部52Bの正面には、加圧時間(プレス時間)を設定するためのタイマー56が設けられている。なお、連結部50と回動部60の回動連結機構は、公知の各種の機構が適用可能であり、詳述は省略する。
【0018】
前記回動部60の正面側には、上鏝80の開閉を行うための開閉レバー62が設けられている。更に、前記回動部60の略中央部には、加圧レバー64が回動部材66によって回動可能に連結されている。前記開閉レバー62の操作によって、回動部60の回動に伴った上鏝80の開閉(上下動)が可能となっており、前記加圧レバー64の操作によって、上鏝80による加圧具合の調整が可能となっている。また、前記回動部60の下方には、前記上鏝80を回転可能に支持するためのガイド板70が、ボルト78などの適宜手段で取り付けられている。ガイド板70は、図4に示すように、略U字状の溝72Aを備えており、更に、該溝72Aの内側部分の板を奥行方向に2分割する溝72Bを備えている。
【0019】
前記上鏝80は、略長方形のプレス部82の裏側に、該プレス部82と略同一形状の熱板84が適宜手段で固定された構造となっている。前記プレス部82の内側には、図示しないヒータと温度センサが内蔵されており、これによって熱板84全体が所望の温度(例えば、150〜200℃程度)に加熱される。前記熱板84は、例えば、マイカで構成されており、その表面は、テフロン(登録商標)加工を施したアルミニウム板などで覆われている。更に、前記プレス部82の表面には、図4に示すように、上述したガイド板70の溝72A内を移動可能な突起86(図示の例では2つ)が適宜位置に設けられている。また、前記ガイド板70に対して回転可能に取り付けるためのボルト76を螺合するネジ穴(図示せず)が形成されている。
【0020】
このほか、プレス部82の表面には、該プレス部82の内側のヒータによる過剰な加熱を防止するためのサーモスタット機能を備えた温度コントローラ90が適宜手段で固定されている。該温度コントローラ90には、前記ヒータによる加熱温度を設定するための設定用ダイヤル90Aと、前記タイマー56で設定したプレス時間が経過したことを点灯により知らせるためのランプ90Bのほか、ヒータ用の電源コネクタ(図示せず)も設けられている。更に、プレス部82の表面の対向する角には、プレス部82を回転させるときに利用するハンドル92が設けられている。このようなプレス部82と前記ガイド板70は、前記ネジ76のほか、前記ガイド板70の上方から螺合されるネジ88により固定される。
【0021】
以上のような構成の上鏝80は、図4に示すように、ガイド板70の略中央部のボルト76を緩め、更に、固定用のネジ88を緩めることにより、前記ボルト76を中心として、ガイド板70に対して回転可能となる。回転は、前記プレス部82の上面の突起86が、図4(B)に矢印で示すように、ガイド板70の溝72A内を移動することにより行われる。このような回転により、図4(A)に示す縦長の状態と、図4(C)に示す横長の状態との間で、上鏝80の取り付け向きの変更が可能である。なお、プレス部82の回転範囲は、前記溝72A内で突起86が移動できる範囲によって規定されており、図示の例では、約90℃程度の回転が可能となっている。また、本実施例では、前記プレス部82の上面に温度コントローラ90を設けているため、該温度コントローラ90が前記回動部60に当たらない方向にのみ回転が可能となっている。
【0022】
次に、本実施例の作用を説明する。まず、加工対象である衣類94の形状・寸法や、被接着物であるワッペン96の接着位置に適した向きとなるように、下鏝30及び上鏝80の向きを設定する。すなわち、図1(A)に示すように下鏝30及び上鏝80ともに縦長の状態にするか,図1(B)又は(C)に示すように、下鏝30又は上鏝80のいずれかのみを縦長にし、他方を横長にする。あるいは、下鏝30及び上鏝80ともに横長の状態(図示せず)にするようにしてもよい。具体的には、下鏝30を、図3(A)又は(B)のいずれかに示す向きにして、下鏝30の裏面の凸部42A〜42Dを、台座12の上面のスリット16A及び16Bに嵌め、台座12の内側からネジ46を螺合して固定する。次に、開閉レバー62の操作によって、回動部60を適宜位置に持ち上げた状態で、上鏝80の略中央部のボルト76を緩め、更に、ガイド板70とプレス部82を固定するネジ88も緩めて、図4に示すように上鏝80を回転させ、横長か縦長に向きを合わせる。向きを合わせたら、前記ボルト76及びネジ88を締めて固定する。
【0023】
そして、温度コントローラ90に設けられた電源用コネクタに電源コードを接続し、衣類94やワッペン96の厚みなどに応じた適切な温度をダイヤル90Aで設定して、上鏝80を所望の温度に加熱する。上鏝80が、接着ないし転写に適した温度になったら、外表になるように衣類94を下鏝30にセットする。その際、例えば、図2(A)に示すように、下鏝30の下側になる部分の衣類94を、台座12の側面に設けたスリット20に通すことにより、衣類94を下鏝30の上下に回して、引き攣れなどを防止することができる。衣類94をセットしたら、その上に、裏面に接着剤が塗布された,あるいは、接着剤層が設けられたワッペン96を、前記接着剤が衣類94側になるように置き、開閉レバー62を操作して上鏝80を閉じる。上鏝80を閉じたら、加圧レバー64の操作によって上鏝80を下鏝30に向けて押し当てる。なお、接着剤としては、例えば、熱溶融性のポリエステル系接着剤が用いられる。すると、加熱された上鏝80の熱によって、接着剤が溶融し、下鏝30と上鏝80に挟まれたワッペン96が、衣類94に接着ないし転写される。なお、予めタイマー56により設定された時間が経過するとランプ90Bが点灯し、プレスの終了が促されるため、必要以上に長時間プレスを行う恐れがなく、衣類94やワッペン96の傷みを防止することができる。このようなプレス時間は、温度,プレス力,接着剤の種類などにより決定される。
【0024】
所定の時間が経過したら、加圧レバー64によるプレスを終了するとともに、開閉レバー62を操作して上鏝80を上方へ持ち上げ、下鏝30から衣類94をはずし、他の衣類94とワッペン96をセットして、繰り返し上述した動作を行う。接着位置や、衣類94の形状・寸法が変わる場合には、それらに適した向きに下鏝30や上鏝80の向きを変更し、前記動作と同様の手順でワッペン96などの接着を行う。あるいは、下鏝30を取り外して、衣類94の形状・寸法に適した他の下鏝30に交換して接着を行う。下鏝30の着脱や上鏝80の回転手順は、上述通りである。全ての作業が終了したら、スイッチ54をOFFにする。
【0025】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)下鏝30を支持する台座12の側面に、衣類94の一部を通すことができるスリット20を設けることとしたので、衣類94の形状・寸法や、ワッペン96の接着位置に関わらず、衣類94を平面状態でセットすることができ、良好な接着ないし転写を行うことができる。
(2)前記下鏝30及び上鏝80の取り付け向きの変更や交換により、各種形状・寸法の衣類94などの接着に対応可能なため、複数の装置を用意する必要がなく、設置場所の削減効果が得られる。
【0026】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例に示した各部の形状,大きさは一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。特に、前記実施例では、台座12の側面にスリット20を設ける構成としたが、衣類94などの加工対象を下鏝30の上下に回すことができる構造であれば、他の形状としてもよい。例えば、図2(A)の矢印F1方向(側方)から見たときに、略コ字状ないし略U字となるような台座を用いるようにしてよい。
【0027】
(2)下鏝30及び上鏝80の形状・寸法も一例であり、例えば、図2(C)に示す下鏝30Aのように、長尺の連結板36Aを用いた下鏝を利用するようにするなど、加工対象物の形状・寸法に応じて複数種類用意するようにしてもよい。
(3)前記実施例で示した材料も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
【0028】
(4)上鏝80の加熱制御機構や、連結部50による回動連結機構,加圧レバー64による加圧機構なども一例であり、公知の各種の機構を適用可能である。
(5)下鏝30や上鏝80の取り付け向きの変更機構も一例であり、同様の効果を奏するように適宜設計変更してよい。また、前記実施例では、下鏝30のみを着脱可能としたが、必要に応じて上鏝80も着脱可能な構成としてよい。
【0029】
(6)本発明でワッペン96などを接着する対象物としては、サッカー,野球,バレーなどの各種スポーツのユニフォーム類や、Tシャツ,トレーナー,パンツ,ジャージなどの衣類が好適な適用例であるが、これも一例であり、衣類94のほか、布製品全般などに、本発明は適用可能である。もちろん、被接着物もワッペン96に限定されるものではなく、各種マークなどの接着ないし圧着に適用してよい。
【0030】
(7)本発明で被接着物を接着する対象物としては、完成品に限らず、縫製前の衣類の各種パーツなどであってもよい。また、本発明のプレス装置は、被接着物のプレスのみならず、アイロンとして使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明によれば、台座上に下鏝を設け、該下鏝との間で対象物と被接着物をプレスする上鏝を支持手段で支持するとともに、前記台座と支持手段を回動可能に連結する。そして、前記台座に、前記下鏝にのせた対象物の他の部分を通すための収納ないし通過手段を設けることとしたので、ワッペンやマークなどを接着するためのプレス装置の用途に適用できる。特に、前記収納ないし通過手段を設けることにより、対象物を下鏝の上下に回すことができることから、衣類などのように環状部分を有する対象物への接着を行うプレス装置の用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施例1の構成を示す斜視図である。
【図2】前記実施例1の台座と下鏝部を示す図であり、(A)は台座を示す斜視図,(B)は下鏝を示す斜視図,(C)は下鏝の他の例を示す図である。
【図3】前記実施例の台座への下鏝の取り付け例を示す図である。
【図4】前記実施例1の上鏝の回転の様子を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
10:プレス装置
12:台座
14:足
16A,16B:スリット
18:挿通孔
20:スリット
22:ネジ
24:ボルト
30,30A:下鏝
32:平板
34:マット
36,36A:連結板
38:ボルト
40:突出部
42A,42B,42C,42D:凸部
44:ネジ穴
46:ネジ
48:カバー
50:連結部
52A,52B:立設部
54:スイッチ
56:タイマー
60:回動部
62:開閉レバー
64:加圧レバー
66:回動部材
70:ガイド板
72A,72B:溝
76,78:ボルト
80:上鏝
82:プレス部
84:熱板
86:突起
88:ネジ
90:温度コントローラ
90A:ダイヤル
90B:ランプ
92:ハンドル
94:衣類
96:ワッペン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に被接着物を接着ないし転写するためのプレス装置であって、
前記対象物の少なくとも一部と、前記被接着物をのせる下鏝,
該下鏝を支持する台座,
前記下鏝との間に前記対象物及び被接着物を挟んでプレスするとともに、内部に発熱手段を有する上鏝,
該上鏝を支持するとともに、前記台座に対して回動可能な支持手段,
該支持手段が、前記台座に対して回動可能となるように連結する連結手段,
を備えるとともに、
前記台座が、前記対象物の他の部分を、前記下鏝の下方において通すための収納ないし通過手段,
を有することを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記台座が中空であるとともに、
前記収納ないし通過手段が、前記台座の正面開放側から奥行方向へ向けて、該台座の両側面に形成された一対のスリット,
を含むことを特徴とする請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記台座に対して、前記下鏝の取り付け向きが変更可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のプレス装置。
【請求項4】
前記台座に対して、前記下鏝が着脱可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス装置。
【請求項5】
前記支持手段に対して、前記上鏝の取り付け向きが変更可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス装置。
【請求項6】
前記支持手段に対して、前記上鏝が回転可能であることを特徴とする請求項5記載のプレス装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−316379(P2006−316379A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140374(P2005−140374)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(504332148)株式会社イマイ (2)
【出願人】(505450010)有限会社片桐電機 (1)
【Fターム(参考)】