説明

プレス装置

【課題】サポート部分の結合を簡単化する。
【解決手段】テンションバー(7)が少なくとも一方の端部にジョイントヘッドを有しており、該ジョイントヘッドが、ローラ軸に対して平行に延び、サポート部分(2,4)に固定される円錐形のピン(8,9)に支承されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙(Papier)、厚紙(Karton)、薄紙(Tissue)またはその他の繊維物質のウェブを製造かつ/または加工するための機械内でウェブを脱水または平滑化するためのプレス装置であって、プレスローラと対向ローラとにより形成される少なくとも1つのプレスギャップが設けられており、プレスローラおよび対向ローラの軸が、少なくとも一方のローラ端部で別個のサポート部分に支承されており、プレスローラが、押付けエレメントを介して対向ローラに向かって押圧される、回転するローラジャケットを有しており、少なくとも一方のローラ端部の、対向して位置するサポート部分が、少なくとも1つのテンションバー(Zugstab)を介して解離可能に互いに結合されており、かつテンションバーが、少なくとも一方のサポート部分に可倒に支承されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のテンションバーは、本願の出願時には未公開のDE102005040722.6に記載されている。その際、ローラのたわみおよび熱による長さ変化の結果としてのローラの傾き姿勢によるテンションバーの負荷は、テンションバーの可倒の支承部を介して大幅に減じられる。
【0003】
テンションバーを使用する場合、テンションバーがこれまで、例えばEP0531491に記載されているように、予圧シリンダを介して締め付けられねばならないことは欠点である。このことは、テンションバーがプレス荷重の印加時に既に正しい位置にある、すなわち例えば傾いていて、それにより過負荷されないようにするために必要である。
【特許文献1】DE102005040722.6
【特許文献2】EP0531491
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、サポート部分の結合を簡単化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明の構成によれば、テンションバーが少なくとも一方の端部にジョイントヘッドを有しており、該ジョイントヘッドが、ローラ軸に対して平行に延び、サポート部分に固定される円錐形のピンに支承されているようにした。
【0006】
本発明の有利な構成では、前記テンションバーが両端で可倒に支承されている。本発明の別の有利な構成では、前記テンションバーの両端が、円錐形のピンに支承されるジョイントヘッドを有する。本発明のさらに別の有利な構成では、ローラ端部のサポート部分が、複数の、有利には2つのテンションバーを介して互いに結合されており、プレス平面の両側に少なくとも1つのテンションバーが存在している。本発明のさらに別の有利な構成では、前記テンションバーがプレス平面に対して平行に延びる。本発明のさらに別の有利な構成では、前記テンションバーがプレス平面に対して傾いて延びる。本発明のさらに別の有利な構成では、前記テンションバーが少なくとも部分的にサポート部分の切欠き内に配置されている。本発明のさらに別の有利な構成では、少なくともジョイントヘッドがサポート部分の切欠き内に配置されている。本発明のさらに別の有利な構成では、サポート部分に、円錐形のピンの導入および/または引抜きのための補助手段が存在している。本発明のさらに別の有利な構成では、少なくとも1つのサポート部分に、テンションバーを固定する、特に掛けるための保持手段が存在している。本発明のさらに別の有利な構成では、少なくともオペレータ側のテンションバーが、軽金属および/または繊維強化されたプラスチックからなる。
【発明の効果】
【0007】
ピンは端部に向かってテーパを成しており、端部はジョイントヘッドの円錐形の孔に通される。ピンの導入は、直径の増大のために、結合部の予圧に至るが、それでもなおテンションバーの旋回を許可する。
【0008】
さらに、遊びのない嵌合が保証される。このことは最適な力伝達を保証する。
【0009】
結果、締付けエレメントは省略されることができ、このことは手間およびコストをかなり削減する。
【0010】
ピンをより簡単に取り扱うことができるように、相応のサポート部分に、円錐形のピンの導入および/または引抜きのための補助手段が存在していると有利である。この補助手段は、ねじ、ハイドロリックシリンダ、ニューマチックシリンダまたは電動シリンダとして構成されていることができる。
【0011】
テンションバーのヒンジ式の支承により、ローラもしくはその軸の、熱による長さ変化、ならびにローラのたわみの結果としての軸の傾き姿勢は受容され得る。テンションバーの負荷、特に曲げ応力に関する負荷を最小化するためには、テンションバーがそれゆえ両端で可倒に支承されていることが望ましい。
【0012】
最適な力伝達経路および利点の最大限の利用に関して、テンションバーの両端が、それぞれ円錐形のピンに支承されるジョイントヘッドを有することが望ましい。
【0013】
サポート部分間の安定な結合を実現するためには、ローラ端部のサポート部分が、複数の、有利には2つのテンションバーを介して互いに結合され、プレス平面の両側に少なくとも1つのテンションバーが存在していることが望ましい。
【0014】
特にサポート部分が大きいかつ/またはほぼ同じ大きさである場合、テンションバーがプレス平面に対して平行に延びていることが望ましい。
【0015】
しかし、テンションバーがプレス平面に対して傾いて延びていても有利である。このことは特に、プレスローラのサポート部分が対向ローラのサポート部分よりも小さい場合に該当する。この場合、テンションバーはプレスローラの方向でプレス平面に向かって傾いて延びていることが望ましい。
【0016】
結合をできるだけ省スペースに、かつサポート部分の最大限の利用下で可能にするためには、テンションバーが少なくとも部分的にサポート部分の切欠き内に配置されていることが望ましい。
【0017】
その際、特に、少なくともジョイントヘッドがサポート部分の切欠き内に配置されていると有利である。
【0018】
テンションバーの分解は、少なくとも一方のサポート部分、有利には下側のサポート部分が、軸方向でのみ傾いて延びていて、テンションバーの、このサポート部分から解離される端部を受けるために適した傾斜を有していると、大幅に改善され得る。
【0019】
その際、少なくとも一方のサポート部分、有利には上側のサポート部分が、対応するテンションバーが分解時に侵入し得る単数または複数の切欠きを有していても有利である。
【0020】
テンションバーが、鋼からなる限り、どうしても20kg以上の重量を有することになるので、少なくとも1つのサポート部分に、テンションバーを固定する、特に掛けるための保持手段が存在していると有利である。
【0021】
耐荷量を維持したまま、軽量化するためには、少なくともオペレータ側のテンションバーが、軽金属および/または繊維強化されたプラスチックからなると有利である。このことは、一人での組立および分解を許可する。
【0022】
以下に、本発明について複数の実施例をもとに詳説する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
すべての構成において、プレス装置は、繊維物質ウェブ、特に製紙機械においては紙ウェブ、を脱水または平滑化するための、上側に位置するプレスローラ1と、下側の対向ローラ3とにより形成されるプレスギャップを有する。
【0024】
その際、ローラ1,3の軸は別個のサポート部分2,4内で支承されている。対向ローラ3の軸が対向ローラ3と共に回転するのに対し、プレスローラ1の軸は固定である。
【0025】
それゆえ、プレスローラ1の軸および支承部ならびにサポート部分2は、対向ローラ3におけるよりも小さく構成され得る。
【0026】
プレスローラ1は、回転するローラジャケットを有する。ローラジャケットは、軸上に支持された定置の押付けエレメント12により対向ローラ3に向かって押圧される。
【0027】
ローラジャケットが形状安定である場合、押付けエレメント12は、ここに示すように、凸面のプレス面を有しているが、ローラジャケットがフレキシブルである場合には、延長されたプレスギャップを形成するために凹面であることができる。
【0028】
延長されたプレスギャップは、より長い滞留時間のため、繊維物質ウェブの、集中的な、それにもかかわらず体積を過度に負荷しない処理を許可する。
【0029】
サポート部分2,4はオペレータ側で、それぞれテンションバー7の形の2つの結合部材を介して解離可能に互いに結合されている。その際、ローラ軸を通って延びるプレス平面5の両側に、それぞれ1つのテンションバー7が存在する。
【0030】
重要なのはその際、テンションバー7が両サポート部分2,4内で可倒に支承されていることである。このジョイント支承部(Gelenklager)6はテンションバー7を、ローラのたわみおよび熱による長さ変化によって引き起こされる曲げ応力から解放する。
【0031】
このことはさらに、テンションバー7の寸法を小さくするかつ/または引張り応力に関する耐荷量を上げることを許可する。
【0032】
このために、テンションバー7は両端にアイの形のジョイントヘッドを有しており、このジョイントヘッドは、ローラ軸に対して平行に延び、サポート部分2,4に固定される円錐形のピン8,9に支承されている。
【0033】
組立時、ピン8,9の、先細りした端部は、テンションバー7のジョイントヘッドの対応する孔ならびにサポート部分2,4の孔に挿入される。形状結合(Formschluss:形状による束縛)がジョイントヘッドもしくは孔とピン8,9との間に生じると、テンションバー7はサポート部分2,4に対して相対的に所望の位置に達する。この遊びのない嵌合は最適な力伝達を保証する。
【0034】
結合を解除するために、ピン8,9は再び除去される。ピン8,9を引き抜くと、遊びのない嵌合は解かれるので、結合は問題なく解除され得る。
【0035】
組立および分解を簡単化するために、補助手段が使用され得る。この場合、図2aおよび図2bに見て取れるように、ホルダ14により支持され、対応するピン8,9に連結されるねじ13の形の補助手段が有益であり得る。
【0036】
このねじ13の回転を介して、ピン8,9は極めて簡単に移動され得る。
【0037】
ピン8,9の完全な除去を簡単化するために、ホルダ14は外方に旋回可能に構成され得る。
【0038】
ホルダ14を備えたねじ13の代わりに、図3aおよび図3bに示すように、対応するピン8,9を軸方向で移動させるハイドロリックシリンダ、ニューマチックシリンダまたは電動シリンダ18の形の補助手段が使用されてもよい。
【0039】
プレスローラ1は対向ローラ3よりも小さな直径を有している。その際、プレスローラ1のサポート部分2は、プレスローラ1のローラジャケットよりも小さい。その結果、ローラジャケットは、必要な交換時に、結合の解除後、問題なくサポート部分2上をシフトされ得る。
【0040】
プレスローラ1の小さなサポート部分2のために、テンションバー7はプレスローラ1の方向でプレス平面5側に傾いて延びている。
【0041】
テンションバー7の端部に設けられたジョイントヘッドは、サポート部分2,4の切欠き15内に存在する。テンションバー7の解体のために、ピン8,9は引き出され、テンションバー7は、図1bに示すように、上方に、上側のサポート部分2の切欠き10内に移動される。その後、テンションバー7は手前に傾けられて、対向ローラ3の下側のサポート部分4に設けられた傾斜11を介して取り出される。
【0042】
無端の、プレスギャップを通走する帯材、例えばプレスフェルトの交換のためには、テンションバー7を切欠き10内に固定すれば十分であり得る。
【0043】
テンションバー7の組立を簡単化するために、図2aおよび図2bでは、保持手段が使用され得る。この保持手段を介して、テンションバー7は、結合の解除後、すなわちピン8,9の引出し後、または結合の形成前、すなわちピン8,9の差込み前に保持され得る。
【0044】
保持手段として、特に、サポート部分2,4に固定され、テンションバー7のフック17またはこれに類するものを掛けることができるホルダ16が適している。
【0045】
このことは、テンションバー7が極めて重い場合にはなおさら、組立をかなり簡単化する。
【0046】
その重量を減じるために、個々の、特にオペレータ側に配置されたテンションバー7は、軽金属または繊維強化されたプラスチックから製作され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1a】サポート結合部の概略側面図である。
【図1b】サポート結合部の概略断面図である。
【図2a】補助手段および保持手段を備えた図1aのサポート結合部を示す図である。
【図2b】補助手段および保持手段を備えた図1bのサポート結合部を示す図である。
【図3a】別の補助手段を備えた図2aのサポート結合部を示す図である。
【図3b】別の補助手段を備えた図2bのサポート結合部を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 プレスローラ
2 サポート部分
3 対向ローラ
4 サポート部分
5 プレス平面
6 ジョイント支承部
7 テンションバー
8 ピン
9 ピン
10 切欠き
11 傾斜
12 押付けエレメント
13 ねじ
14 ホルダ
15 切欠き
16 ホルダ
17 フック
18 シリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙、厚紙、薄紙またはその他の繊維物質のウェブを製造かつ/または加工するための機械内でウェブを脱水または平滑化するためのプレス装置であって、プレスローラ(1)と対向ローラ(3)とにより形成される少なくとも1つのプレスギャップが設けられており、プレスローラ(1)および対向ローラ(3)の軸が、少なくとも一方のローラ端部で別個のサポート部分(2,4)に支承されており、プレスローラ(1)が、押付けエレメント(12)を介して対向ローラ(3)に向かって押圧される、回転するローラジャケットを有しており、少なくとも一方のローラ端部の、対向して位置するサポート部分(2,4)が、少なくとも1つのテンションバー(7)を介して解離可能に互いに結合されており、かつテンションバー(7)が、少なくとも一方のサポート部分(2,4)に可倒に支承されている形式のものにおいて、
テンションバー(7)が少なくとも一方の端部にジョイントヘッドを有しており、該ジョイントヘッドが、ローラ軸に対して平行に延び、サポート部分(2,4)に固定される円錐形のピン(8,9)に支承されていることを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記テンションバー(7)が両端で可倒に支承されている、請求項1記載のプレス装置。
【請求項3】
前記テンションバー(7)の両端が、円錐形のピン(8,9)に支承されるジョイントヘッドを有する、請求項2記載のプレス装置。
【請求項4】
ローラ端部のサポート部分(2,4)が、複数の、有利には2つのテンションバー(7)を介して互いに結合されており、プレス平面(5)の両側に少なくとも1つのテンションバー(7)が存在している、請求項1から3までのいずれか1項記載のプレス装置。
【請求項5】
前記テンションバー(7)がプレス平面(5)に対して平行に延びる、請求項4記載のプレス装置。
【請求項6】
前記テンションバー(7)がプレス平面(5)に対して傾いて延びる、請求項4記載のプレス装置。
【請求項7】
前記テンションバー(7)が少なくとも部分的にサポート部分(2,4)の切欠き(10,15)内に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のプレス装置。
【請求項8】
少なくともジョイントヘッドがサポート部分(2,4)の切欠き(15)内に配置されている、請求項7記載のプレス装置。
【請求項9】
サポート部分(2,4)に、円錐形のピン(8,9)の導入および/または引抜きのための補助手段が存在している、請求項1から8までのいずれか1項記載のプレス装置。
【請求項10】
少なくとも1つのサポート部分(2,4)に、テンションバー(7)を固定する、特に掛けるための保持手段が存在している、請求項1から9までのいずれか1項記載のプレス装置。
【請求項11】
少なくともオペレータ側のテンションバー(7)が、軽金属および/または繊維強化されたプラスチックからなる、請求項1から10までのいずれか1項記載のプレス装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公開番号】特開2008−190111(P2008−190111A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−23191(P2008−23191)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(506408818)フォイト パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (52)
【氏名又は名称原語表記】VOITH PATENT GmbH
【住所又は居所原語表記】St. Poeltener Str. 43, D−89522 Heidenheim, Germany
【Fターム(参考)】