説明

プレス装置

【課題】プレス基部に接着されたプレスヘッドの横ズレを規制し、中皿の噛み込みを有効に防止する。
【解決手段】プレス基部2の下面に設けられたヘッド取付面には、接着テープ6を介して、プレスヘッド3が接着されている。枠体7は、プレスヘッド3の周囲の少なくとも一部に設けられ、プレスヘッド3の側部との当接によって、プレスヘッド3の横方向の変位を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中皿内の充填物をプレスヘッドでプレスするプレス装置に係り、多種多様なロットに対応すべくプレスヘッドを交換可能にしたプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、多種多様なロットに対応すべくプレスヘッドを交換式とし、ロットに応じた形状のプレスヘッドを選択的に使用するプレス装置が知られている。例えば、特許文献1には、プレスヘッドをプレス基部にネジ止めした構造が開示されている。また、プレスヘッドの交換作業の手間を低減すべく、このようなネジ止めに代えて、プレス基部へのプレスヘッドの接着を接着テープ等を用いて行う手法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−046919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、プレスヘッドを接着テープ等で接着した場合、プレスの度にプレスヘッド自体に様々な方向の力が繰り返し加わるので、プレス基部に接着されたプレスヘッドが、接着テープの粘着力に抗して横方向に微妙に変位してしまうことがある。そして、この横ズレに起因して、プレスヘッドが中皿に当たって、中皿の噛み込みが発生してしまうことがあった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プレス基部に接着されたプレスヘッドの横ズレを規制し、中皿の噛み込みを有効に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、本発明は、中皿内に充填された充填物をプレスするプレス装置を提供する。このプレス装置は、平坦なヘッド取付面と、プレスヘッドと、規制部材とを有する。ヘッド取付面は、プレス基部の下面に設けられている。プレスヘッドは、ヘッド取付面に接着されている。規制部材は、プレスヘッドの周囲の少なくとも一部に設けられ、プレスヘッドの側部との当接によって、プレスヘッドの横方向の変位を規制する。
【0007】
ここで、本発明において、上記規制部材は、プレス基部より下方に向かって突出し、プレスヘッドに応じた枠形状を有する枠体であってもよい。また、上記規制部材は、プレス基部の下面に取り付けられ、プレスヘッドに応じた開口形状を有するプレート部材であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレスヘッドの周囲の少なくとも一部に規制部材を設ける。規制部材がプレスヘッドの側部と当接することで、プレスヘッドの横ズレが規制される。これにより、中皿の噛み込みを有効に防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係るプレス装置の構成図
【図2】第2の実施形態に係るプレス装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施形態では、プレス処理を施す対象物として、容器本体内に収容され、自己の収容スペースに、ファンデーション、フェイスパウダー、アイシャドウといった粉末固形化粧料が充填された中皿を一例に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るプレス装置の構成図である。このプレス装置1は、プレス基部2と、プレスヘッド3と、雌型4と、昇降テーブル5とを主体に構成されている。プレス基部2は、油圧や空気圧で駆動するシリンダ(図示せず)によって上下に昇降する。このプレス基部2の下面の略中央には、平坦なヘッド取付面2aが設けられており、このヘッド取付面2aには、プレスヘッド3が接着されている。ここで、多種多様なロット(中皿8)に対応すべく、プレスヘッド3は交換可能になっており、ロットに適合した形状のプレスヘッド3が選択的に使用される。プレスヘッド3の交換を容易に行えるように、プレス基部2へのプレスヘッド3の接着は、両面テープ等の接着テープ6を用いて行われる。
【0012】
また、プレスヘッド3の周囲の少なくとも一部(最も好ましい例として全周)には、規制部材としての枠体7が設けられている。この枠体7は、プレス基部2に一体化されており、プレス基部2の下面より下方に向かって枠状(部分的な枠も含む)に突出している。枠体2は、プレスヘッド3の断面形状に応じた枠形状を有する。上述したように、プレスヘッド3は、多種多様なロットに対応するために様々なタイプが用意されている。しかしながら、これらのいずれもプレスヘッド3の下部形状のみが異なるにすぎず、上部形状は共通している。したがって、共通化された上部形状に対応した枠形状にしておけば、どのタイプのプレスヘッド3を取り付けても枠体7内にちょうど収まる形になる。一方、雌型4内には、粉末固形化粧料が充填された中皿8が収容されており、この中皿8は昇降テーブルによって昇降する。
【0013】
このプレス装置1の動作は以下のようになる。まず、水平方向のスライドによって、粉末固形化粧料が充填された中皿8を雌型4の開口直下にセットする。つぎに、昇降テーブル5を上昇させて、中皿8を雌型4の開口内部にセットする。この状態において、プレス基部2を下降させて、中皿8内の粉末固形化粧料をプレスヘッド3でプレスする。そして、昇降テーブル5を下降させた後、水平方向のスライドによって、プレスされた中皿8を送出するとともに、次の中皿8を雌型4の開口直下にセットする。以上の動作を繰り返すことによって、多数の中皿8のプレスが連続的に行われる。
【0014】
このように、第1の実施形態によれば、プレスヘッド3の周囲の少なくとも一部に枠体7を設ける。中皿8内の粉末固形化粧料をプレスする際、その充填密度の不均一さ等に起因して、プレスヘッド3には縦成分のみならず横成分の力も作用する。この横成分の力が繰り返し生じると、プレス基部2に接着されたプレスヘッド3は、両者の間に介在する接着テープ6の粘着力に抗して、横方向に変位しようとする。しかしながら、この変位は、枠体7がプレスヘッド3の側部と当接することによって規制される。その結果、プレスヘッド3は殆ど変位することなく枠体7内に留まるので、プレスヘッド3の横ズレに起因した中皿8の噛み込みを有効に防止することが可能になる。特に、枠体7をプレスヘッド3の全周に設けた場合には、プレスヘッド3の横ズレを全方位的に規制することが可能となる。
【0015】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係るプレス装置10の構成図である。このプレス装置10の特徴は、上述した枠体7の代わりに、所定の厚みを有するプレート部材9を規制部材として用いている点にある。このプレート部材9は、プレスヘッド3の断面形状に応じた開口形状を有し、図示しない取付ネジ等によってプレス基部2の下面に取り付けられている。プレスヘッド3の横ズレは、プレート部材9の開口部の内面と、プレスヘッド3の側部とが当接することによって規制される。なお、それ以外の構成については図1の構成と同様なので、図1と同一の符号を付してここでの説明を省略する。
【0016】
このように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様、中皿8の噛み込みを有効に防止することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
以上のように、本発明に係るプレス装置は、多種多様なロットに対応すべく、プレスヘッドを交換可能にしたあらゆるプレス装置に対して広く適用できる。
【符号の説明】
【0018】
1,10 プレス装置
2 プレス基部
2a ヘッド取付面
3 プレスヘッド
4 雌型
5 昇降テーブル
6 接着テープ
7 枠体
8 中皿
9 プレート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中皿内に充填された充填物をプレスするプレス装置において、
プレス基部の下面に設けられた平坦なヘッド取付面と、
前記ヘッド取付面に接着されたプレスヘッドと、
前記プレスヘッドの周囲の少なくとも一部に設けられ、前記プレスヘッドの側部との当接によって、前記プレスヘッドの横方向の変位を規制する規制部材と
を有することを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記プレス基部より下方に向かって突出し、前記プレスヘッドに応じた枠形状を有する枠体であることを特徴とする請求項1に記載されたプレス装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記プレス基部の下面に取り付けられ、前記プレスヘッドに応じた開口形状を有するプレート部材であることを特徴とする請求項1に記載されたプレス装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−31294(P2011−31294A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182635(P2009−182635)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)