説明

プログラマブル表示器及びその表示方法

【課題】 従来のプログラマブル表示器の問題点であった、予め設定された異なる倍率に応じて固定化された表示データを複数保有する課題を解消し、1つのデータで画面を任意の倍率に拡大縮小させることができ、表示されている各オブジェクトの任意の倍率変化に追従して、ファンクションエリアを変化させることが可能なプログラマブル表示器を得る。
【解決手段】 プログラマブル表示器100においては、入力手段11と、表示手段12と、表示生成部21と、データ記憶部22と、入力判断手段30と、領域座標算出手段31と、拡大縮小率算出手段32と、ファンクションエリア領域算出手段33と、機能処理部34を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1つのデータで画面の倍率変化が可能なプログラマブル表示器及びその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のプログラマブル表示器においては、状態表示や指示入力に用いるデータは、パーソナルコンピュータ上で画面編集エディタを用いて生成もしくは変換し、その変換後のデータを、通信手段を用いてプログラマブル表示器の内部メモリに格納するように構成されており、内部メモリに格納されているデータを固定して表示するように動作する(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
また、従来の図形拡大縮小方式として、各図形に基準点を設定し、別の角点により予め定められた拡大率や縮小率を選択設定するように構成されており、基準点を中心に拡大や縮小した図形を表示するように動作する(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
さらに、従来のアプリケーションにおいて、ウィンドウ表示サイズを調整する際、基準サイズと実行環境サイズの解像度を取得するように構成されており、解像度の比率を計算し、ウィンドウ表示サイズを一定にするように動作する(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−96935号公報(第6頁、第1図)
【特許文献2】特開2008−250962号公報(第4頁、第1図)
【特許文献3】特開平5−242210号公報(第3頁、第3図)
【特許文献4】特開2001−159967号公報(第4頁、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のプログラマブル表示器は、以上のように構成されているので、内部メモリ内にあるデータは画面ごとに固定化され、その固定化されたデータを表示しているため、画面表示を拡大や縮小するためには、予め設定された異なる倍率に応じて、操作者が操作指示を行うための画面上に配置された1つ1つの図形(以下、「オブジェクト」と称す)等を含む固定化された表示データを複数保有しなければならないという問題点があった。
【0007】
また、これら拡大縮小可能な画面において、オブジェクトに対して、予め定められた所定の機能を実行させる入力を受付ける入力領域(以下、「ファンクションエリア」と称す)も同様に、予め設定された異なる倍率に応じて固定化された操作データを複数保有しなければならないという問題点があった。
【0008】
また、1つの画面データでより多くの情報を盛込もうとすると、オブジェクト及びファンクションエリアを小さくせざるを得ず、オブジェクト及びファンクションエリアの配置間隔も狭くなるため、オブジェクトを選択する時に意図しないオブジェクト及びファンクションエリアを選択するなど、操作間違いが発生しやすく、一方、オブジェクト及びファンクションエリアを大きくして選択の操作を容易にすると、今度は1つの画面の情報量が減少してしまうという問題点があった。
【0009】
この発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、その目的は、異なる倍率に応じて固定化された複数のデータを保有せずに、1つのデータで画面を任意の倍率に拡大縮小させることができ、表示されている各オブジェクトの任意の倍率変化に追従して、ファンクションエリアを変化させることが可能なプログラマブル表示器を得るものである。
【0010】
また、予め定めていた操作領域内へのマウスポインタや操作者の指等の指示入力手段の近接や選択により、特定の表示領域を任意の倍率で拡大させることが可能なプログラマブル表示器を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るプログラマブル表示器においては、外部装置と接続可能であり、個々の図形を有した表示データを表示する表示手段と、表示手段に表示された表示データに基づく操作指示を入力する入力手段と、表示データ、表示データと同一の座標系を有し入力手段に基づき図形を操作指示するための入力を受付ける操作指示入力範囲を定めた入力領域を格納するデータ記憶手段と、入力手段による操作指示が、表示データを拡大指示するための入力か図形と入力領域によって構成された部品を操作指示するための入力かを判断し、表示データを拡大指示するための入力であった場合に、データ記憶手段に格納されている表示データに基づいて入力手段で指定された選択領域を拡大表示するための拡大表示データを生成して表示手段に表示すると共に、データ記憶手段に格納されている入力領域を入力手段で指定された選択領域に合わせて拡大することで入力手段からの操作指示入力範囲を拡大し、部品を操作指示するための入力であった場合に、部品に割当てられた機能を実行する制御手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、1つの画面データで高密度にオブジェクト及びファンクションエリアを配置し、多くの情報表示を行い、かつ一部の拡大表示により各オブジェクト及びファンクションエリアの選択や操作を容易に行うことが可能であるので、容易な情報把握と確実な選択操作の両立により、プログラマブル表示器の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の全体構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の入力手段と表示手段の構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の統括処理部の内部構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の動作の一例を示すフローチャート図である。
【図5】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の拡大表示に追従して、ファンクションエリアを拡大させる模式図である。
【図6】この発明の実施の形態1を示すプログラマブル表示器の拡大表示に追従して、ファンクションエリアを拡大させる模式図である。
【図7】この発明の実施の形態2を示すプログラマブル表示器の拡大表示を、マウスポインタ等の近接に連動させた模式図である。
【図8】この発明の実施の形態2を示すプログラマブル表示器の拡大表示を、マウスポインタ等の近接に連動させた模式図である。
【図9】この発明の実施の形態3を示すプログラマブル表示器の拡大表示を、ドラッグ操作に連動させた模式図である。
【図10】この発明の実施の形態4を示すプログラマブル表示器の拡大表示を、ファンクションエリア外の指示入力に連動させた一例を示すフローチャート図である。
【図11】この発明の実施の形態5を示すプログラマブル表示器の表示データを処理する際のフローチャート図である。
【図12】この発明の実施の形態5を示すプログラマブル表示器の表示データ処理を実施した際の模式図である。
【図13】この発明の実施の形態5を示すプログラマブル表示器の表示データ処理を実施した際の模式図である。
【図14】この発明の実施の形態5を示すプログラマブル表示器の表示データ処理を実施した際の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、この発明を実施するための実施の形態1におけるプログラマブル表示器の全体構成図である。図1において、100はプログラマブル表示器、101はプログラマブル表示器100を操作する操作者、102はプログラマブル表示器100に接続された外部装置である。
【0015】
11は操作者101による指示入力を受付ける入力手段であり、ファンクションエリアに対応する所定の機能の操作指示、表示領域を拡大縮小するための領域選択指示が入力される。ここで、操作者101による指示入力がファンクションエリア内であった場合は操作指示となる。一方、操作者101による指示入力がファンクションエリア外であった場合は領域選択指示となり、この指示入力位置が選択領域を確定するための始点の座標となる。操作者101による指示入力が領域選択指示であった場合は、さらに操作者101は指示入力により終点の座標入力を行い、始点の座標と終点の座標により選択領域が確定される。
【0016】
12は表示データで構成されるオブジェクトを表示する表示手段で、入力手段11と表示手段12は図2のように重ね合わせて設置されている。13は外部装置接続インターフェースで、外部装置102と接続されている。20は統括処理部、21は表示生成手段である表示生成部である。22は表示データや操作データ等を格納するデータ記憶部であり、プログラマブル表示器100は、入力手段11、表示手段12、外部装置接続インターフェース13、統括処理部20、表示生成部21、データ記憶部22により構成されている。なお、オブジェクトは表示データで構成され、ファンクションエリアは操作データで構成されると共に、表示データと操作データは同一の座標系を共有している。
【0017】
図3は、プログラマブル表示器100を構成する統括処理部20の内部構成図である。図3において、30は入力判断手段で、操作者101による指示入力が、操作指示であるか領域選択であるか判断し、判断した内容に対応した指令を行う。31は領域座標算出手段、32は拡大縮小率算出手段、33はファンクションエリア領域算出手段、34は機能処理部であり、統括処理部20は入力判断手段30、領域座標算出手段31、拡大縮小率算出手段32、ファンクションエリア領域算出手段33、機能処理部34により構成されている。
【0018】
次に動作について、図4に示すプログラマブル表示器100の動作のフローチャート図、
図5と図6に示すプログラマブル表示器の拡大表示に追従して、ファンクションエリアを拡大表示させる模式図を用いて説明する。なお、図5が通常状態での領域選択時の画面であり、図6が拡大表示時の画面である。図において、入力手段11と表示手段12が重ね合わせられたタッチパネルを構成しているため、入力手段11の座標平面上に存在するファンクションエリア301a〜301dと、表示手段12上に存在するオブジェクト302a〜302dとは重ね合わせられた同一領域に存在するように構成されている。なお、オブジェクトに対してタッチ操作等による指示入力を実施すると、指示入力のあったオブジェクトに対応するファンクションエリアの操作が実施されるのは公知の技術である。
【0019】
まず、図5に示される通常状態での画面表示において、操作者101による入力手段11へのタッチ操作等による指示入力があると(ステップS200)、その指示入力は入力手段11によって入力座標に変換され、その信号は統括処理部20を構成する入力判断手段30に送られる。入力判断手段30は、データ記憶部22に格納されている操作データを参照し、操作データを入力判断手段30内部に格納すると共に、送られた信号が領域選択であるのか、操作であるのか判断する(ステップS201)。入力手段11による入力座標値が予め定められたファンクションエリアの座標値(範囲)と一致する場合は、指示入力の信号が操作であると判断され(ステップS201の操作)、機能処理部34は、表示手段12にて表示されている入力座標上に配置されたオブジェクトの、ファンクションエリアに割当てられている機能を実行する(ステップS207)。
【0020】
一方、ステップS201において、入力手段11による入力座標値が予め定められたファンクションエリアの座標値(範囲)と一致しない場合は、操作者101による指示入力は画面を拡大表示するための選択領域の指定であると判断する(ステップS201の領域選択)。すなわち、その指定された表示領域を拡大して表示手段12に表示させるべく、入力判断手段30は入力手段11によって入力座標に変換された座標値を選択領域300の始点(x、y)として領域座標算出手段31に出力する。そして、引続き操作者101が指示入力した指示入力点を選択領域300の終点(x+e、y+f)として領域座標算出手段31に出力する。領域座標算出手段31は、操作者101によるタッチ操作等により指示入力された始点(x、y)と終点(x+e、y+f)を対角線とした矩形領域を、拡大すべき選択領域300として算出する(ステップS202)。
【0021】
次に、その信号は領域座標算出手段31から拡大縮小率算出手段32に送られる。拡大縮小率算出手段32は、領域座標算出手段31にて算出された選択領域300を表示手段12に拡大表示するための倍率を算出する(ステップS203)。例えば、単純拡大により全面表示する場合の倍率については、表示画面の原点座標(x、y)と最大座標(x+m、y+n)において、選択領域300を確定する座標が始点(x、y)と終点(x+e、y+f)のとき、領域座標算出手段31は全画面表示するためのX方向の倍率qはm/e、Y方向の倍率qはn/fと算出する。
【0022】
表示生成部21は、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率に応じて、表示データを再生成し(ステップS204)、表示手段12は、表示生成部21で再生成された表示データを表示する(ステップS205)。まず、表示生成部21は、選択領域300の始点(x、y)を表示画面の原点座標(x、y)に移動させるため、選択領域300内に存在する表示データの全ての座標に対し、各X座標値からxを減算し、各Y座標値からyを減算する。次に、表示生成部21は、選択領域300を拡大表示させるために、選択領域300内に存在する表示データの全ての座標に対し、各X座標値には倍率qを乗算し、各Y座標値には倍率qを乗算する。このようにして、表示生成部21は拡大された表示データを再生成する。
【0023】
一方、表示生成部21にて表示データを再生成するのと並行して、ファンクションエリア領域算出手段33は、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率に応じて、選択領域300内に存在するファンクションエリアを同様に拡大すべく、データ記憶部22に格納されている操作データを参照して、拡大後のファンクションエリアの座標と領域を算出する(ステップS206)。その後、ファンクションエリア領域算出手段33は、拡大操作された操作データを入力判断手段30に送り、入力判断手段30に再格納される。
【0024】
拡大表示するファンクションエリア301dを確定する座標を第1座標(x、y)と第2座標(x+a、y+b)とすると、選択領域300の始点(x、y)の原点座標(x、y)への移動に対応して、ファンクションエリア領域算出手段33は、ファンクションエリア301d内に存在する操作データの全ての座標に対し、各X座標値からxを減算し、各Y座標値からyを減算する。その結果、第1座標は(x―x、y―y)に、第2座標は(x+a―x、y+b―y)にそれぞれ移動する。
【0025】
次に、ファンクションエリア領域算出手段33は、ファンクションエリア301dを拡大表示させるために、ファンクションエリア301d内に存在する操作データの全ての座標に対し、各X座標値には倍率qを乗算し、各Y座標値には倍率qを乗算する。その結果、第1座標は(q・(x―x)、q・(y―y))に、第2座標は(q・(x+a―x)、q・(y+b―y))にそれぞれ移動する。このように、再生成された表示データに追従してファンクションエリアも倍率変化し、操作者101の指示入力に対応する。
【0026】
上述の説明では、操作者101による選択領域300を拡大表示すると共にファンクションエリア301dも合わせて拡大する例について説明したが、拡大表示後の操作者101による処理としては、操作者101が拡大されたファンクションエリア301d内をタッチ等することによる指示入力によって、指示入力を受けたファンクションエリア301dに機能付けられた操作が実施される。一方、ファンクションエリア301d外をタッチ等することによる指示入力は画面復帰指示となり、拡大表示が解除され基本となる通常状態での表示画面に戻るように制御が行われる。
【0027】
ファンクションエリア301d外がタッチ等された場合、その指示入力は入力手段11によって入力座標に変換され、その信号は入力判断手段30に送られる。入力判断手段30は、入力判断手段30内部に格納されている操作データを参照するが、操作データは拡大操作された操作データであるため、入力判断手段30は、現在表示されている画面は拡大表示された画面であることを認識する。そして、入力判断手段30は、データ記憶部22に格納されている操作データを参照し、操作データを入力判断手段30内部に格納すると共に、表示画面の原点座標(x、y)と最大座標(x+m、y+n)を領域座標算出手段31に出力する。
【0028】
領域座標算出手段31は原点座標(x、y)と最大座標(x+m、y+n)で確定された矩形領域を、選択領域300として算出する。拡大縮小率算出手段32は、領域座標算出手段31にて算出された選択領域300と表示手段12の表示画面の領域が同一であることを認識し、X方向の倍率qとY方向の倍率qは共に1倍と算出する。
【0029】
表示生成部21は、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率が1倍であることを認識し、通常状態の表示データを再生成する。そして、表示手段12は、表示生成部21で再生成された通常状態の表示データを表示する。ファンクションエリア領域算出手段33も、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率が1倍であることを認識し、データ記憶部22に格納されている操作データを参照して、通常状態のファンクションエリアの座標と領域を算出する。
【0030】
なお、入力手段11上でファンクションエリア近傍の領域選択を指示入力したいが、誤ってファンクションエリア内に指示入力してしまい、操作指示が実行されてしまう場合がある。このような誤動作を防止するために、外部装置接続インターフェース13を介しての外部装置102からの強制的な指示入力により、入力手段11上での領域選択指示は受付けるが、操作指示は受付けないようにする拡大専用モード機能といったインターロックを実行することも可能である。また、この拡大専用モード機能を実行したい場合、外部装置102からの強制的な指示入力方法の他に、予めデータ記憶部22に格納されている指示データを参照し、拡大専用モード機能を実行することでも可能である。
【0031】
この実施の形態1によれば、表示手段12に表示されている画面の一部分を拡大表示や縮小表示することが可能であるので、1つの画面で高密度にオブジェクト及びファンクションエリアを配置し、情報表示を行いつつ、必要に応じて表示を拡大や縮小し、情報の詳細や全体の確認を実施することができる。
【0032】
また、選択領域300で囲まれたオブジェクト302c、302dの拡大表示に追従して、ファンクションエリア301c、301dも拡大するように動作するため、1つの画面で高密度にオブジェクト及びファンクションエリアを配置し、情報表示を行いつつ、必要に応じて表示を拡大し、オブジェクト302c、302dを選択することが容易であるので、確実な選択操作が可能である。
【0033】
さらに、外部装置接続インターフェース13を介しての外部装置102からの強制的な指示入力よるインターロックや、データ記憶部22に格納されている指示データによるインターロックを実行することにより、意図しない入力の防止が可能である。
【0034】
実施の形態2.
図7と図8は、この発明を実施するための実施の形態2におけるプログラマブル表示器の画面の拡大表示を、マウスポインタや操作者の指等の近接に連動させた模式図である。図7が通常状態の画面であり、図8が拡大表示時の画面である。図7と図8において、303はマウスポインタ、304は操作者101が画面を指示入力する操作者101自身の指示指、305は指示入力検出領域である。
【0035】
図7の例では、予め拡大表示する選択領域300と指示入力検出領域305も選択領域300を含んだ領域が入力手段11上に確立されており、データ記憶部22に指示データとして格納されている。マウスポインタ303や指示指304が入力手段11上に定められている指示入力検出領域305内に移動すると、入力手段11が有している操作指示検出機能が動作し、マウスポインタ303や指示指304の存在を検出し、入力判断手段30に対し選択領域300を拡大表示する領域選択指示を送る。
【0036】
入力判断手段30は、予め確定された選択領域300を表示拡大すべく、実施の形態1で説明した手順に従って選択領域300の始点(x、y)と終点(x+e、y+f)を領域座標算出手段31に送り、拡大縮小率算出手段32にて全面表示の倍率を算出、あるいはデータ記憶部22に指示データとして格納されていた数値を倍率として確定後、表示生成部21にて表示データが生成され、その表示データが表示手段12に表示される。
【0037】
また、プログラマブル表示器100に接続している外部装置102に、外部装置102から操作可能なマウスポインタ303が存在する場合は、指示指304に代わってマウスポインタ303が表示され、マウスポインタ303が指示入力検出領域305内に移動すると、入力手段11が有している指示入力検出機能が動作し、マウスポインタ303の存在を検出し、入力判断手段30に対し選択領域300を拡大表示する領域選択指示を送る。
【0038】
このように構成されたプログラマブル表示器100においては、設定されている特定の選択領域300にマウスポインタ303や指示指304が近接すると、プログラマブル表示器100は近接を検出し、信号を出力する。その信号に従って選択領域300を拡大表示するように動作する。また、プログラマブル表示器100は、設定されている特定の選択領域300に対し、直接に操作者101から選択領域300を拡大表示する指示入力があると、その指示は入力判断手段30に送られ、選択領域300を拡大表示するように動作する。
【0039】
なお、入力手段11や外部装置102からの指示入力として、外部センサ等を用いてマウスポインタ303や指示指304の近接を検出し、その検出信号を指示入力とする方法でもよい。
【0040】
この実施の形態2によれば、指示入力時に選択するオブジェクト302c、302dが存在する表示領域が拡大表示されるため、オブジェクト302c、302dを選択することが容易となるので、確実な選択操作と利便性の向上が可能である。
【0041】
実施の形態3.
図9は、この発明を実施するための実施の形態3におけるプログラマブル表示器の拡大表示を、操作指304のドラッグ操作に連動させた模式図である。図9において、306は拡大領域である。図9の例では、予め拡大表示する選択領域300が入力手段11上で確定されている。また、入力手段11は、指示指304のドラッグ操作に対応して、予め拡大表示する選択領域300を拡大表示する指示入力を受付けるように設定されている。
【0042】
このように構成されたプログラマブル表示器100においては、指示指304からの第1入力を始点、第2入力を終点とし、この始点と終点によって選択領域300を確定する。次に、確定された選択領域300上の所定の座標を指示指304によって選択し、選択した座標を始点として入力手段11上を操作者101が指示指304を滑らせるように移動させると(ドラッグ操作)、入力手段11は指示指304のドラッグ操作の方向に追従して選択領域300を拡大表示する拡大領域選択指示の指示入力を受付け、この信号を入力判断手段30に送る。
【0043】
入力判断手段30は、予め確定された選択領域300を表示拡大すべく、実施の形態1で説明した手順に従って選択領域300の始点(x、y)と終点(x+e、y+f)を領域座標算出手段31に送り、拡大縮小率算出手段32にてドラッグ操作に追従した倍率を算出後、表示生成部21にて表示データが生成され、その表示データが表示手段12に表示される。
【0044】
このように構成されたプログラマブル表示器100においては、設定されている特定の選択領域300をドラッグ操作すると、プログラマブル表示器100はドラッグ操作に追従して拡大領域306に示す範囲を拡大表示するように動作する。
【0045】
この実施の形態3によれば、画面を変化させる倍率を任意の値とすることが容易であるので、選択操作や情報確認に適切な倍率を得ることが可能である。
【0046】
実施の形態4.
図10は、この発明を実施するための実施の形態4におけるプログラマブル表示器の拡大表示を、ファンクションエリア外の指示入力に連動させた一例を示すフローチャート図であり、図4に示すフローチャート図に、実施の形態1で説明した操作者101からの入力が領域選択指示か操作指示かのどちらかを選択する動作設定Aと、操作者101からの入力がファンクションエリア内の場合は操作指示として受付け、一方ファンクションエリア外の場合は領域選択指示ではなく、入力座標を中心とした領域を拡大表示する動作設定Bとを切替えるステップS208と、入力座標がオブジェクトのファンクションエリア内に該当するかどうかを判断するステップS209と、入力座標を中心とした領域を拡大表示するための拡大表示データを生成するステップS210が追加されている。なお、ステップS200〜ステップS207については、図4と同一なので説明を省略する。
【0047】
次に動作について、図10に示すフローチャート図に従って説明する。予め、データ記憶部22にどちらの動作設定とするか、指示データとして格納しておき、この指示データにより、入力判断手段30は動作設定Aと動作設定Bの切替を実行する。動作設定Bに切替えられた場合(ステップS208のB)、次に操作者101による入力手段11へのタッチ操作等による指示入力があると、その指示入力は入力手段11によって入力座標に変換され、その信号は入力判断手段30に送られる。入力判断手段30は、データ記憶部22に格納されている操作データを参照し、操作データを入力判断手段30内部に格納すると共に、送られた信号がファンクションエリア内であるのか、ファンクションエリア外であるのか判断する(ステップS209)。
【0048】
入力手段11による入力座標値がファンクションエリア外である場合は(ステップS209のNo)、領域座標算出手段31は選択領域300を算出するが、操作者101は予めファンクションエリア外の座標が入力されると、その入力座標を中心としてX方向に±k、Y方向に±lの選択領域300が確定されるように、kとlの値をデータ記憶部22に格納しておき、動作設定Bに切替えられると同時に、入力判断手段30はデータ記憶部22からkとlの値を参照し、kとlの値を入力判断手段30内に格納する。領域座標算出手段31は操作者101が入力した入力座標と入力判断手段30から送られたkとlの値を用いて選択領域を算出する。そして、拡大縮小率算出手段32にて全面表示の倍率を算出、あるいはデータ記憶部22に指示データとして格納されていた数値を倍率として確定後、表示手段12は表示生成部21で再生成された表示データを表示する(ステップS210)。
【0049】
表示生成部21にて表示データを再生成するのと並行して、ファンクションエリア領域算出手段33は、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率に応じて、選択領域300内に存在するファンクションエリアを同様に拡大すべく、データ記憶部22に格納されている操作データを参照して、拡大後のファンクションエリアの座標と領域を算出する(ステップS206)。その後、ファンクションエリア領域算出手段33は、拡大操作された操作データを入力判断手段30に送り、入力判断手段30に再格納される。
【0050】
入力手段11による入力座標値が予め定められたファンクションエリアの座標値(範囲)と一致する場合は、指示入力の信号が操作であると判断され(ステップS209のYes)、機能処理部34は、表示手段12にて表示されている入力座標上に配置されたオブジェクトの、ファンクションエリアに割当てられている機能を実行する(ステップS207)。動作設定Aに切替えられた場合は(ステップS208のA)、実施の形態1で説明した手順と同じなので省略する。
【0051】
この実施の形態4によれば、選択領域の範囲指定が不要であるので、より迅速に拡大表示することが可能である。
【0052】
実施の形態5.
この発明を実施するための実施の形態5では、プログラマブル表示器100が有する解像度とは異なる解像度を有する表示データを全面表示する方法について説明する。図11は、この発明を実施するための実施の形態5におけるプログラマブル表示器の表示データを処理する際のフローチャート図であり、図12〜図14は、この発明の実施の形態5を示すプログラマブル表示器の表示データ処理を実施した際の模式図である。図12は解像度がSVGAの表示画面、図13は解像度がVGAで、縮小表示時の表示画面、図14は解像度がVGAで、部分表示時の表示画面である。SVGAの解像度は800ピクセル×600ピクセルで、VGAの解像度は640ピクセル×480ピクセルであり、SVGAの解像度はVGAの解像度よりも大きい。
【0053】
次に動作について、図12に示す解像度がSVGAの表示データを図13に示す解像度がVGAのプログラマブル表示器に縮小表示、あるいは、図14に示す解像度がVGAのプログラマブル表示器に部分表示する例について、図11に示すフローチャート図に従って説明する。まず、プログラマブル表示器100が有する解像度とは異なるSVGAの解像度を有する画面を表示する場合、予め解像度がSVGAの表示データをデータ記憶部22に格納しておく。表示生成部21は、データ記憶部22に格納された解像度がSVGAの表示データをデータ記憶部22から受取り、表示データの解像度変換を開始する(ステップS210)。次に、表示生成部21は、変換後の表示データの解像度がプログラマブル表示器100の解像度よりも大きいかどうかを判断し(ステップS211)、小さい場合は(ステップS211の小さい)、表示データを拡大して全面表示する(ステップS215)。
【0054】
解像度が大きい場合は(ステップS211の大きい)、プログラマブル表示器100は解像度が大きい旨を表示手段12に表示させ、操作者101は部分表示するのか、縮小表示するのかを指示入力する(ステップS212)。
【0055】
縮小表示する場合は(ステップS213)、表示生成部21は変換後の表示データを領域座標算出手段31に送る。領域座標算出手段31は、図12に示す解像度がSVGAの表示画面において、解像度がSVGAの表示データの原点座標(x00、y00)と最大座標(x00+g、y00+h)を対角線とした矩形領域を、縮小表示すべき選択領域300として算出する。
【0056】
次に、その信号は領域座標算出手段31から拡大縮小率算出手段32に送られる。拡大縮小率算出手段32は、領域座標算出手段31にて算出された選択領域300を表示手段12に縮小表示するための倍率を算出する。例えば、全面表示する場合の倍率については、解像度がVGAであるプログラマブル表示器の表示画面の原点座標(x、y)と最大座標(x+m、y+n)において、選択領域300を確定する座標が始点(x00、y00)と終点(x00+g、y00+h)のとき、領域座標算出手段31は全画面表示するためのX方向の倍率qはm/g、Y方向の倍率qはn/hと算出する。
【0057】
表示生成部21は、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率に応じて、表示データを再生成し、表示手段12は、表示生成部21で再生成された表示データを表示する。まず、表示生成部21は、図13に示すように選択領域300の始点(x00、y00)を解像度がVGAであるプログラマブル表示器の表示画面の原点座標(x、y)とする。次に、表示生成部21は、選択領域300を縮小表示させるために、選択領域300内に存在する表示データの全ての座標に対し、各X座標値には倍率qを乗算し、各Y座標値には倍率qを乗算する。このようにして、表示生成部21は縮小された表示データを再生成する。
【0058】
部分表示する場合は(ステップS214)、表示生成部21は変換後の表示データを領域座標算出手段31に送る。図12に示す解像度がSVGAの表示データにおいて、操作者101が入力した部分表示したい表示画面の始点座標を(x、y)とすると、終点座標は解像度がVGAであるプログラマブル表示器の表示画面幅mとnから一義的に(x+m、y+n)となり、領域座標算出手段31は、この始点(x、y)と終点(x+m、y+n)を対角線とした矩形領域を、部分表示すべき選択領域300として算出する。
【0059】
次に、その信号は領域座標算出手段31から拡大縮小率算出手段32に送られる。拡大縮小率算出手段32は、領域座標算出手段31にて算出された選択領域300を表示手段12に部分表示するため、X方向の倍率qとY方向の倍率qは共に1倍と算出する。
【0060】
表示生成部21は、表示データを再生成し、表示手段12は、表示生成部21で再生成された表示データを表示する。まず、表示生成部21は、図14に示すように選択領域300の始点(x、y)を解像度がVGAであるプログラマブル表示器の表示画面の原点座標(x、y)に移動させるため、選択領域300内に存在する表示データの全ての座標に対し、各X座標値からxを減算する。また、各Y座標値からyを減算し、その結果、選択領域300の終点(x+m、y+n)は、解像度がVGAであるプログラマブル表示器の表示画面の最大座標(x+m、y+n)に移動する。このようにして、表示生成部21は部分表示された表示データを再生成する。
【0061】
解像度が小さい場合は(ステップS211の小さい)、表示生成部21は変換後の表示データを領域座標算出手段31に送り、拡大縮小率算出手段32を経て、拡大表示された表示データを再生成するが、再生成手順は実施の形態1で説明した手順と同じなので省略する。
【0062】
一方、表示生成部21にて表示データを再生成するのと並行して、ファンクションエリア領域算出手段33は、実施の形態1で説明した手順と同じく、拡大縮小率算出手段32にて算出された倍率に応じて、選択領域300内に存在するファンクションエリアを同様に変換すべく、データ記憶部22に格納されている操作データを参照して、変換後のファンクションエリアの座標と領域を算出する。その後、ファンクションエリア領域算出手段33は、変換後の操作データを入力判断手段30に送り、入力判断手段30に再格納される。
【0063】
このように構成されたプログラマブル表示器100においては、表示データの解像度に応じて拡大表示や縮小表示、あるいは部分表示を生成するように動作する。そして、解像度の異なる表示データの全面表示に合わせてファンクションエリア領域算出手段33は、ファンクションエリアを拡大縮小、あるいは部分表示する。
【0064】
この実施の形態5によれば、プログラマブル表示器100の有する解像度とは異なる解像度の表示データや操作データが表示可能となるので、異なる解像度に応じて画面データを作成し、管理する必要がなく、1つの画面データで一括管理することが可能であるため、煩雑性を低減することができる。
【符号の説明】
【0065】
11 入力手段、12 表示手段、21 表示生成部、22 データ記憶手段、30 入力判断手段、31 領域座標算出手段、32 拡大縮小率算出手段、33 ファンクションエリア領域算出手段、34 機能処理部、100 プログラマブル表示器、102 外部装置、301a〜301d ファンクションエリア、302a〜302d オブジェクト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置と接続可能なプログラマブル表示器であって、
個々の図形を有した表示データを表示する表示手段と、
前記表示手段に表示された前記表示データに基づく指示を入力する入力手段と、
前記表示データ、前記表示データと同一の座標系を有し前記入力手段に基づき前記図形を操作指示するための入力を受付ける操作指示入力範囲を定めた入力領域、を格納するデータ記憶手段と、
前記入力手段による操作指示が前記表示データを拡大指示するための入力か前記図形と前記入力領域によって構成された部品を操作指示するための入力かを判断し、
前記表示データを拡大指示するための入力であった場合に、前記データ記憶手段に格納されている前記表示データに基づいて、前記入力手段で指定された選択領域を拡大表示するための拡大表示データを生成して前記表示手段に表示すると共に、前記データ記憶手段に格納されている前記入力領域を前記入力手段で指定された前記選択領域に合わせて拡大することで前記入力手段からの操作指示入力範囲を拡大し、
前記部品を操作指示するための入力であった場合に、前記部品に割当てられた機能を実行する制御手段と、
を備えたことを特徴とするプログラマブル表示器。
【請求項2】
前記拡大表示データを生成して前記表示手段に表示後、前記入力手段により画面復帰指示がなされた場合、
前記制御手段は前記データ記憶手段に格納されている拡大前の前記表示データを前記表示手段に表示すると共に、前記入力領域を拡大前の前記部品を操作指示するための入力を受付ける操作指示入力範囲に戻すことを特徴とする請求項1記載のプログラマブル表示器。
【請求項3】
前記拡大表示データは前記表示手段に全面表示させるための表示データであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のプログラマブル表示器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記入力手段による前記部品を操作指示するための入力を受付けず、前記表示データを拡大指示するための入力のみを受付ける拡大専用モード機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプログラマブル表示器。
【請求項5】
前記制御手段には、予め拡大表示すべき選択領域が格納され、前記入力手段による拡大指示がなされることで、前記選択領域を拡大表示するための拡大表示データを生成して前記表示手段に表示すると共に、前記データ記憶手段に格納されている前記入力領域を前記入力手段で指定された前記選択領域に合わせて拡大することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプログラマブル表示器。
【請求項6】
制御手段による、前記入力手段で指定された選択領域を拡大表示するための拡大表示データを生成する際に、前記入力手段により指定された2点を対角線とする矩形状の選択領域として指定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプログラマブル表示器。
【請求項7】
前記制御手段は、前記入力手段から入力された入力位置が前記入力領域外である場合は、前記入力位置を中心とした所定の領域を拡大表示する動作設定機能を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプログラマブル表示器。
【請求項8】
前記制御手段は、前記プログラマブル表示器固有の解像度とは異なる解像度を有する表示データと入力領域が入力されると、解像度の異なる表示データを前記表示手段に全面表示させるために入力された前記表示データの解像度を前記表示手段に適合するように変換して前記表示手段に全面表示すると共に、変換された表示データの全面表示に合わせて入力された前記入力領域も変換することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプログラマブル表示器。
【請求項9】
外部装置と接続可能なプログラマブル表示器における表示方法であって、
前記入力手段による指示入力が前記表示データを拡大指示するための入力か前記部品を操作指示するための入力かを判断する工程と、
前記表示データを拡大指示するための入力であった場合に、前記データ記憶手段に格納されている前記表示データに基づいて、前記入力手段で指定された選択領域を拡大表示するための拡大表示データを生成して前記表示手段に表示すると共に、前記データ記憶手段に格納されている前記入力領域を前記入力手段で指定された前記選択領域に合わせて拡大することで前記入力手段からの操作指示入力範囲を拡大する工程と、
を備えたプログラマブル表示器における表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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