説明

プログラム部品再利用管理装置

【目的】 利用度が低いP部品をデータベースから削除してデータベースの容量を適正に保ってその有用度を高め、データベースの検索時間の無駄を削減する。
【構成】 管理情報メモリ3に、その利用回数データを含むP部品の管理情報を格納しておき、更新手段55はP部品が利用される都度、利用回数データを含む管理情報を更新し、検索手段52は削除対象のP部品の検索条件をもとに利用回数が少ないP部品を検索し、削除手段53はP部品及びその概要情報,管理情報を削除する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規プログラムの作成時に既存のプログラム部品(以下、P部品と略記する)を再利用可能とすべく、P部品をデータベース化して管理する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】サブルーチン等の既存のP部品を、後日のプログラム作成時に再利用するために、P部品の開発時に作成した機能仕様書,プログラム仕様書等に変更履歴を記入した手書きファイルの管理情報でP部品を管理した場合、管理情報を作成する担当者の熟練度,個性によって管理情報の品質が左右され、また変更履歴の記入もれ等も生じ易く、さらに情報量が膨大になるに従って所要のP部品を捜し出す煩わしさが増す等の不便のため、既存のP部品の再利用度が低下して既存のP部品と同様のP部品を新たに作成する傾向が生じる。
【0003】このような不便を解消すべく、コンピュータを利用して既存のP部品を均一の基準に沿ってデータベース化して管理し、P部品の検索及び抽出を容易にして既存のP部品の再利用度を高めたプログラム部品再利用管理方式が開示されている(特開平2-41524 号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般的に、コンピュータを利用してデータベース化する場合は登録データ数が多いほど利用価値が高いので、再利用度が高い有用なP部品をできるだけ多くデータベース化することが望ましい。しかし、P部品の開発時点で今後のP部品の再利用度を判定することは難しいので、再利用の可能性があると思われるP部品を全てデータベース化する。
【0005】以上のような開発時点での判断でデータベース化されたP部品は、実際の再利用度の高低にかかわらずデータベースとしていつまでも残るので、再利用度が低いP部品に対する検索時間の無駄が生じるのみならずデータベースに充当されるメモリの無駄遣いとなって、結果的にコスト高を招くという問題がある。
【0006】本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、データベース化されたP部品の利用度データを管理情報としてもち、利用度が低いP部品の検索及び削除を可能とすることにより、データベースの有用性を高めるP部品再利用管理装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係るP部品再利用管理装置は、プログラムの新規作成時に既存のP部品を再利用可能とすべくP部品をデータベース化して管理するP部品再利用管理装置において、P部品の利用回数データを含む該P部品の管理情報を格納するメモリと、P部品を利用する都度、該P部品の利用回数データを含む管理情報を更新する手段と、管理情報を外部に出力する手段と、削除対象となるP部品の検索条件を入力する手段と、管理情報に基づいて前記検索条件に該当するP部品を検索する手段と、P部品及び該P部品の管理情報を削除する手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明に係るP部品再利用管理装置は、データベース化したP部品を利用する都度、このP部品の検索/コピー回数,最終検索/コピー日付等の利用度データを更新し、外部に出力した管理情報を参照してオペレータにより入力された、削除対象となるP部品の検索条件に該当するP部品を管理情報に基づいて検索し、検索条件に該当するP部品及び管理情報をオペレータの指示又は自動的に削除する。
【0009】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図に基づいて説明する。図1は本発明に係るP部品再利用管理装置(以下、本発明装置という)の構成を示すブロック図である。図中、1はP部品を格納するP部品メモリ、2はP部品の概要情報を格納する概要情報メモリ、3はその具体例を後述するP部品の管理情報を格納する管理情報メモリである。
【0010】また、P部品,概要情報,管理情報の登録,検索,削除,コピー等の各種命令、及び検索/コピー回数,サブルーチン名,概要情報,管理情報等の各種データはマン・マシンインタフェイス4を介して、装置各部の動作及びデータ授受を制御する制御部5に入力される。
【0011】制御部5は、P部品のソースファイル,オブジェクトファイルをP部品メモリ1に、そのP部品の概要情報,管理情報を概要情報メモリ2,管理情報メモリ3にそれぞれ入力する登録手段51と、マン・マシンインタフェイス4を介して入力された検索条件に従ってP部品メモリ1,概要情報メモリ2,管理情報メモリ3を検索する検索手段52と、マン・マシンインタフェイス4を介して入力された削除条件に従ってP部品,概要情報,管理情報を削除する削除手段53と、P部品,概要情報,管理情報を外部メモリ(図示せず)にコピーするコピー手段54と、P商品が検索又はコピーされる都度、管理情報の検索/コピー回数及び最終検索/コピー日付を更新する更新手段55と、P部品,概要情報,管理情報をディスプレイ(図示せず)に表示する表示手段56とを含む。
【0012】図6は概要情報の具体例を示す図であって、P部品であるサブルーチンの「名称」「使用方法」「機能」「引数」「処理内容」からなる。
【0013】また、図7は管理情報の具体例を示す図であって、P部品の「ロードモジュール名」「マシン名」「言語名」「概要」「作成日」「キーワード」「最終検索日付」「検索回数」「最終コピー日付」「コピー回数」の項目からなる。
【0014】これらの項目のデータのうち、「ロードモジュール名」「マシン名」「言語名」「作成日」はデータベースとして登録されたP部品から抽出し、「概要」「キーワード」はオペレータにより入力され、オペレータにより更新,削除が可能であり、また「最終検索日付」「検索回数」「最終コピー日付」「コピー回数」はP部品を利用する都度、自動的に更新される。
【0015】以上のような構成の本発明装置の検索/コピー、削除、登録、更新の動作につき、図2〜図5に示すフローチャートに基づいて以下に説明する。
(1) 検索/コピーP部品を検索/コピーする場合、キーワードが入力されると(S1)、入力されたキーワードを用いて管理情報メモリ3を検索し(S2)、キーワードに該当するデータがあるか否かを判定する(S3)。該当するデータがない場合はステップS1に戻って次の入力待ちとなる。
【0016】該当するデータがある場合はそのキーワードをもつすべてのP部品のサブルーチン名を含む管理情報をディスプレイに表示する(S4)。表示されたサブルーチン名を含む管理情報に基づいてオペレータが所望のサブルーチンを選択すると(S5)、選択されたサブルーチンの外部メモリへのコピー又はディスプレイへの表示のいずれが指示されたかを判定する(S6)。
【0017】表示が指示された場合は選択されたサブルーチンの概要情報をディスプレイに表示し(S7)、一方、コピーが指示された場合は選択されたサブルーチンのソースプログラム及び概要情報を外部メモリにコピーする(S8)。コピー/表示のいずれが指示されていたかを判定し(S9)、表示が指示されていた場合は管理情報の「最終検索日」及び「検索回数」の内容を更新し(S10) 、コピーが指示されていた場合は管理情報の「最終コピー日付」及び「コピー回数」の内容を更新する(S11) 。
【0018】(2) 削除既登録のP部品を削除する場合、削除対象となるP部品の検索回数/コピー回数又はサブルーチン名が入力されると(S21) 、入力されたキーワードを用いて管理情報メモリ3を検索し(S22) 、入力された検索/コピー回数又はサブルーチン名に該当するデータがあるか否かを判定する(S23) 。該当するデータがない場合はステップS1に戻って次の入力待ちとなる。
【0019】該当するデータがある場合、削除が指示されると(S24) 、管理情報メモリ3内の削除条件に該当する管理情報を削除するとともに(S25) 、削除した管理情報に対応する概要情報メモリ2内の概要情報を削除し(S26) 、さらにP部品メモリ1内の対応するP部品ファイルを削除する(S27) 。削除対象であるすべてのP部品ファイルの削除が終了したか否かを判定し(S28) 、削除対象のすべてのP部品ファイルの削除が終了するまでステップS24 〜S28 を繰り返す。
【0020】(3) 登録P部品メモリ1にP部品を登録する場合、P部品名称が入力されると(S31) 、P部品名称に基づいて新規部品か否かを判定し(S32) 、新規部品でない既登録の部品の場合はステップS31 に戻って次の入力待ちとなる。新規部品の場合は管理情報の入力モードとなり、オペレータがP部品の管理情報の所定項目にデータを入力すると(S33) 、管理情報の入力すべき項目すべてにデータが入力されたか否かをチェックし(S34) 、全て入力されるまでステップS33, S34を繰り返す。
【0021】管理情報の入力すべき項目すべてにデータが入力されて、登録対象のP部品の概要情報がオペレータによって入力されると(S35) 、P部品のソースファイルをP部品メモリ1に入力するとともに(S36) 、ソースファイルをコンパイルして得られたP部品のオブジェクトファイルをP部品メモリ1に入力する(S37) 。
【0022】(4) 更新既登録のP部品の管理情報及び概要情報を更新する場合、P部品名称が入力されると(S41) 、入力されたP部品名称から既登録部品か否かを判定し(S42) 、既登録部品でない場合は該当部品がないのでステップS41 に戻って次の入力待ちとなる。
【0023】既登録部品の場合は管理情報の更新モードとなり、オペレータが管理情報の所要項目のデータを更新すると(S43) 、管理情報の入力すべき全項目にデータが入力されているか否かをチェックし(S44) 、全て入力されていない場合は、入力すべき全項目にデータが入力されるまでステップS43, S44を繰り返す。
【0024】入力すべき全項目にデータが入力されると、概要情報の更新モードとなり、概要情報が更新されると(S45) 、P部品ソースファイルをP部品メモリ1に入力し(S46) 、ソースファイルをコンパイルして得られたオブジェクトファイルをP部品メモリ1に入力する(S47) 。
【0025】なお、削除対象のP部品の検索条件をもとに検索されたP部品は、オペレータの削除指示によって削除する構成であっても、また、自動的に削除する構成のいずれであってもよい。
【0026】また、P部品の検索回数,コピー回数等の利用回数はP部品の作成日,最終検索/コピー日付のいずれを起点としてカウントする構成であってもよい。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明装置は、データベース化したP部品を利用する都度、そのP部品の利用回数データを含む管理情報を更新するので、利用度が高い有用なP部品と、利用度が低い不用なP部品とが明らかになり、不用なP部品を削除することでデータベースの容量が適正に維持され、検索時間の無駄が生じず、さらにデータベースの有用性が高まるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明装置によるP部品及び関連情報の検索/コピー動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明装置によるP部品及び関連情報の削除動作を説明するフローチャートである。
【図4】本発明装置によるP部品及び関連情報の登録動作を説明するフローチャートである。
【図5】本発明装置によるP部品の管理情報の更新動作を説明するフローチャートである。
【図6】本発明装置の概要情報の一例を示す概念図である。
【図7】本発明装置の管理情報の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
1 P部品メモリ
2 概要情報メモリ
3 管理情報メモリ
4 マン・マシンインタフェイス
5 制御部
51 登録手段
52 検索手段
53 削除手段
54 コピー手段
55 更新手段
56 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プログラムの新規作成時に既存のプログラム部品を再利用可能とすべくプログラム部品をデータベース化して管理するプログラム部品再利用管理装置において、プログラム部品の利用回数データを含む該プログラム部品の管理情報を格納するメモリと、プログラム部品を利用する都度、該プログラム部品の利用回数データを含む管理情報を更新する手段と、管理情報を外部に出力する手段と、削除対象となるプログラム部品の検索条件を入力する手段と、管理情報に基づいて前記検索条件に該当するプログラム部品を検索する手段と、プログラム部品及び該プログラム部品の管理情報を削除する手段とを備えたことを特徴とするプログラム部品再利用管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開平6−95861
【公開日】平成6年(1994)4月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−269371
【出願日】平成4年(1992)9月10日
【出願人】(000006079)ミノルタカメラ株式会社 (155)