プロテクター用パット部材
【課題】人体の形状に沿うように密着でき、かつ、通気性に優れ、発汗によって生ずる蒸れを軽減可能なプロテクター用パット部材を提供する。
【解決手段】人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片51の下縁部51bの左右端と下腰パット片52の上縁部52aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部52aと下縁部51bとを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部50を形成する。
【解決手段】人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片51の下縁部51bの左右端と下腰パット片52の上縁部52aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部52aと下縁部51bとを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部50を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球技用のプロテクター用パット部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選手や審判員に他者や球が直接あたらないように保護する球技用のプロテクターは、人体の上半身前面を保護する大きな一枚板状のプロテクター本体を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−176072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のプロテクターは、大きな一枚板状に形成されているため、体の曲線に沿うように人体に密着させて装着させることが困難な場合があった。また、夏期等において発汗して、人体とプロテクターの間で、蒸れが発生し、装着時に不快感や違和感を感じ、快適にプレーすることができないと共に、プレーに集中できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、人体の形状に沿うように密着でき、かつ、通気性に優れ、発汗によって生ずる蒸れを軽減できるプロテクター用パット部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のプロテクター人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片の下縁部の左右端と下腰パット片の上縁部の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上腰パット片と上記下腰パット片とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部と上記下縁部とを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部を形成したものである。
【0007】
また、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、上首パット片の下縁部の左右端と下首パット片の上縁部の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上首パット片と上記下首パット片とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部と上記下縁部とを離間させて細長スリット状の首用通気窓部を形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロテクター用パット部材によれば、装着状態で、縫着部廻りに揺動して、人体に沿うように密着する。つまり、人体の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感が軽減する。また、人体との間の熱を逃がす、又は、人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターを示す正面図である。
【図2】背面図である。
【図3】要部分解図である。
【図4】図1のA−A拡大断面図である。
【図5】図1のB−B拡大断面図である。
【図6】製造工程を説明する横断面図であり、(a)は縫製前の横断面図であり、(b)は縫製後の横断面図である。
【図7】製造工程を説明する縦断面図であり、(a)は縫製前の縦断面図であり、(b)は縫製後の縦断面図である。
【図8】作用を説明するための要部横断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態である腰パット部材を示す正面図である。
【図10】腰パット部材を示す背面図である。
【図11】腰パット部材の作用説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態である首パット部材を示す正面図である。
【図13】首パット部材を示す背面図である。
【図14】首パット部材の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の一形態に基づき本発明を詳説する。
本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターは、野球やソフトボール等の球技の捕手(選手)や審判員の上半身を保護するものである。図1乃至図3に於て、人体(装着者)の鎖骨部と胸部及び前腹部を保護する可撓性を有する板状の中央保護部材1と、人体の前腹部乃至横腹部を保護する左右一対の可撓性を有する板状の側方保護部材2,2と、中央保護部材1と側方保護部材2とを連結する細長状の可撓性を有する連結帯体3,3と、から成るプロテクター本体8を備えている。
【0011】
連結帯体3の一方の側縁部33aを、中央保護部材1の左右各側縁部13の表て面側に配設して重ね合わせ、間欠的に上下(縦方向)に縫着し、複数の非縫着の部位を形成している。この非縫着の部位を、表て面側と裏面側とを連通させる第1通気口15としている。このようにして、第1通気口15は、連結帯体3の一方の側縁部33a(中央保護部材1の側縁部13)に沿って上下に所定間隔をもって複数設けられる。
【0012】
また、連結帯体3の他方の側縁部33bを、側方保護部材2の一方の側縁部23aの表て面側に配設して重ね合わせ、間欠的に上下(縦方向)に縫着し、複数の非縫着の部位を形成している。この非縫着の部位を、表て面側と裏面側とを連通させる第2通気口25としている。このようにして、第2通気口25は、連結帯体3の他方の側縁部33b(側方保護部材2の一方の側縁部23a)に沿って上下に所定の間隔をもって複数設けられる。
【0013】
中央保護部材1の側縁部13と、側方保護部材2の側縁部23aとは、直接縫着されず、非装着状態で、所定の間隔寸法G(図2及び図5参照)をもって、離間されて連結帯体3に縫着されている。中央保護部材1と側方保護部材2は、連結帯体3を介して、相互に折曲げ自在に連結されている。
【0014】
言い換えると、人体の上半身(胸部と腹部)を保護するプロテクター本体8を、1つの略逆台形状(底辺寸法が上辺寸法より小さい台形状)の中央保護部材1と、2つの略三角形状乃至台形状の側方保護部材2,2と、2つの(縦長円状乃至縦長矩形状の)連結帯体3と、に5分割し、各部材を縫着して連結し、横方向(人体の上半身周り)に折れ曲がり自在な多関節型のプロテクター本体8としている。なお、図1と図2及び図5と図8に於て、中央保護部材1と連結帯体3との縫着部(ミシン目)、及び、連結帯体3と側方保護部材2との縫着部等の各部材間の縫着部を太い破線で示す。
【0015】
また、中央保護部材1は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第1保護凸部11を有している。側方保護部材2は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第2保護凸部21を有している。連結帯体3は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第3保護凸部31を有している。
【0016】
第1保護凸部11と、第3保護凸部31と、第2保護凸部21とを、横方向(図1に示す非装着の展開状態で左右方向)に、並設している。連結帯体3の一方の側縁部33aを挟んで、横方向に、第1保護凸部11と第3保護凸部31とが隣合っている。また、連結帯体3の他方の側縁部33bを挟んで、横方向に、第3保護凸部31と第2保護凸部21とが隣合っている。そして、図1及び図4に示すように、横方向に隣合う第1保護凸部11と第3保護凸部31の間に第1通気口15を形成している。また、横方向に隣合う第3保護凸部31と第2保護凸部21の間に第2通気口25を形成している。
【0017】
言い換えると、図1及び図5に示すように、上下に隣合う第1保護凸部11と第1保護凸部11の間の第1凹部12と、上下に隣合う第2保護凸部21と第2保護凸部21の間の第2凹部22と、上下に隣合う第3保護凸部31と第3保護凸部31の間の第3凹部32と、を、横方向に連通するように並設している。そして、横方向に隣合う第1凹部12と第3凹部32の間を縫着している。横方向に隣合う第3凹部32と第2凹部22の間を縫着している。
【0018】
図4に於て、中央保護部材1と、側方保護部材2と、連結帯体3は、表て面側8aに配設される表被覆部材81と、裏面側8bに配設される裏被覆部材82と、表被覆部材81と裏被覆部材82の間に介在される柔軟な緩衝部材(クッション部材)83と、表被覆部材81の縁部と裏被覆部材82の縁部とを密着させる縁巻部材84と、を有している。表被覆部材81及び裏被覆部材82は、天然又は人工(合成)の皮革や、PPや、ナイロン系、ポリエステル系の生地が望ましい。また、緩衝部材83は、発泡プラスチックが望ましい。
【0019】
中央保護部材1と側方保護部材2と連結帯体3は、同じ方法で製造される。例えば、連結帯体3の場合で説明すると、図6(a)及び図7(a)に示すように、表被覆部材81を予め、金型プレス成形によって、緩衝部材83が接触する内面側を窪ませて位置決め用窪部81aを成形して、緩衝部材83の内装及び位置決めが容易な形状としている。つまり、予め、各表被覆部材81は、表て面側8aを、各保護凸部11,21,31、及び、各凹部12,22,32、の外形状にプレス成形している。また、緩衝部材83も位置決め用窪部81aに内装が容易な形状と寸法とする。予め、成形することで、位置決めや縫製作業が容易にできると共に、各保護凸部11,21,31を段差や曲面等を組合せた形状に容易に成形でき、美観やデザイン性を向上させることができる。
【0020】
そして、表被覆部材81、緩衝部材83、裏被覆部材82を順次積層して、1本の帯状の縁巻部材84で縁部を1周包囲して、図6(b)に示すように、緩衝部材83寄り(近傍)で、表被覆部材81と裏被覆部材82と縁巻部材84とを縫着(縁縫い)している。また、図7(b)に示すように、第3凹部32内で、横方向に縫着している。緩衝部材83の周囲が縫着され、図3と図4と図6と図7に太い破線で示した縫着部を有する中央保護部材1と側方保護部材2と連結帯体3等が製造される。なお、図1及び図2に於ては、縁巻部材84の縫着部や、各保護凸部11,21,31の周囲の縫着部を図示省略している。
【0021】
また、図1と図2と図5に太い破線で示すように、中央保護部材1と連結帯体3の縫着部、及び、連結帯体3と側方保護部材2の縫着部は、互いの縁巻部材84が縫着されている(各保護凸部11,21,31が形成されていない)箇所を重ね合わせて縫着している。言い換えると、各側縁部13,23,33は、縁巻部材84が縫着されている側縁である。
【0022】
また、図1乃至図3に於て、中央保護部材1は、左右一対の突片状肩部19,19を一体に有している。中央保護部材1は、左右一対の突片状肩部19,19に、肩パット部材4が左右外方に突出状に縫着されている。中央保護部材1の突片状肩部19の側縁部より肩パット部材4の一方の側縁部を表て面側8aに配設して重ね合わせて相互に間欠的に縫着している。間欠的に縫着することで非縫着の部位を形成し、この非縫着の部位を、表て面側8aと裏面側8bとを連通させる第3通気口45としている。
【0023】
また、側方保護部材2は、他方の側縁部23bに、柔軟な(可撓性を有する)板状の取付パット部材7を縫着している。また、第2保護凸部21を所定の左右間隔をもって分割し、横方向に隣合う第2保護凸部21,21の間を、図3に示すように上下に縫製することで、体の曲線(腹周り)に沿って密着しやすくするための折り目付けのステッチと、を行っている。また、取付パット部材7は、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0024】
本発明のプロテクター用パット部材の第1の実施形態は、図9及び図10に示すように、人体の腰部及びその近傍を保護する腰パット部材5であって、腰パット部材5は、横長矩形状の上腰パット片51と、横長矩形状の下腰パット片52と、を有している。上腰パット片51の下縁部51bの左右端と、下腰パット片52の上縁部52aの左右端と重ね合わせ、重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、横方向に間欠的に縫着している。上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折れ曲がり自在としている。非縫着部(中間部)で、上腰パット片51の下縁部51bと、下腰パット片52の上縁部52aと、を離間させて、細長いスリット状に腰用通気窓部50を形成している。また、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0025】
また、腰パット部材5には、ゴムベルト等の弾性帯体から成ると共に、人体の腰部に巻着するための左右一対の腰ベルト57,57が左右両端から横方向に突設されている。腰ベルト57の先端には、係合・離脱可能な雌雄一対の腰用バックル部材58,59の一方が設けられている。具体的には、取付パット部材7(プロテクター本体8側)に付設された腰用雌バックル部材59に係合・離脱自在可能な腰用雄バックル部材58を、設けている。
【0026】
また、本発明のプロテクター用パット部材の第2の実施形態は、図12及び図13に示すように、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首パット部材6であって、首パット部材6は、横長矩形状の上首パット片61と、横長矩形状の下首パット片62と、を有している。上首パット片61の下縁部61bの左右端と、下首パット片62の上縁部62a左右端と重ね合わせ、重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、横方向に間欠的に縫着している。上首パット片61と下首パット片62とを相互に折れ曲がり自在としている。さらに、非縫着部(中間部)で、上首パット片61の下縁部61bと、下首パット片62の上縁部62aと、を離間させて、細長いスリット状に首用通気窓部60を形成している。また、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0027】
また、首パット部材6には、ゴムベルト等の弾性帯体から成ると共に、人体に首かけするための一本の首ベルト67が横方向に挿通されている。首ベルト67の両端には、係合・離脱自在な雌雄一対の首用バックル部材68,69の一方が設けられている。具体的には、突片状肩部19,19(プロテクター本体8)に付設された首用雌バックル部材69,69に係合・離脱可能な首用雄バックル部材68,68を、設けている。
【0028】
上述した本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターの使用方法(作用)について説明する。
中央保護部材1を人体の胸部及び前腹部に接触すると共に、首パット部材6及び首ベルト67を首掛けし、腰パット部材5及び腰ベルト57を巻着して、装着する。
すると、図8に示すように、連結帯体3が、中央保護部材1との縫着部廻り(矢印E方向)に揺動し、さらに、側方保護部材2が、連結帯体3との縫着部廻り(矢印F方向)に揺動し、人体の横腹部に沿う。
【0029】
中央保護部材1と側方保護部材2とが一体ものの場合には、折れ曲がる変形に大きな外力を要するが、本発明では、容易に連結帯体3に於て折れ曲がって、人体の腹部及び胸部の曲線に容易に沿って密着する。即ち、腰ベルト57等で側方保護部材2を横腹部から背中側へ引き込むように強く締め付ける必要がなくなり、腰ベルト57が使用者を強く圧迫せず、不快感を軽減する。また、使用者の運動による位置ズレを防止し、他者や球が人体へ接触するのを確実に保護する。
【0030】
また、中央保護部材1の側縁部13と側方保護部材2の一方の側縁部23aが、所定の間隔寸法Gをもって、互いに離間しているので、中央保護部材1の側縁部13と側方保護部材2の側縁部23aが干渉せず、スムーズかつ確実に人体に沿うように折れ曲がる。また、縁巻部材84が縫着されている箇所を、相互に重ね合わせて縫着しているので、柔軟かつスムーズに折れ曲がる。また、人体を保護すべき中央保護部材1及び側方保護部材2を、連結帯体3より人体側に配設しているので、より確実に密着しフィット感が得られる。
【0031】
また、第1通気口15及び第2通気口25が、装着状態に発生する熱気(体熱)を人体の胸部や前腹部及び横腹部側(裏面側8b)から外部(表て面側8a)に送り出す。或いは、外気を表て面側8aから裏面側8bに取り込む。空気(熱気)の流れをつくり、人体に冷却効果をもたらし、蒸れや体温の上昇を軽減して、快適にプレーさせる。また、第3通気口45は、熱を人体の肩部から表て面側8aに送り出す。或いは、外気を表て面側8aから裏面側8bに取り込む。使用者と肩パット部材4の間に、空気の流れをつくり、人体の肩部に冷却効果をもたらす。
【0032】
また、図11に示すように、装着状態で、腰パット部材5は、上腰パット片51が人体の腰上部乃至腰中間部に密着すると共に、下腰パット片52が、縫着部廻りに(矢印Xの方向へ)揺動して、腰下部乃至臀部の上部近傍の湾曲突部に沿うように密着する。つまり、腰部や背中の反り、又は、腰部や臀部の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感が軽減する。また、腰用通気窓部50によって、腰パット部材5と人体との間の熱を逃がす、又は、腰パット部材5と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【0033】
また、図14に示すように、装着状態で、首パット部材6は、上首パット片61が人体の首部に密着すると共に、下首パット片62が縫着部廻りに(矢印Yの方向へ)揺動して、首下部乃至後肩上部近傍(背中側の首の付け根部)の湾曲部に沿うように当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、首用通気窓部60によって、首パット部材6と人体との間の熱を逃がす、又は、首パット部材6と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【0034】
本発明は設計変更可能であって、腰パット部材5と首パット部材6とを縦方向に連結する背ベルト部材を設けるのが望ましい。取付パット部材7に腰用雄バックル部材58を設け、腰ベルト57に腰用雌バックル部材59を設けても良い。突片状肩部19に首用雄バックル部材68を設け、首ベルト67に首用雌バックル部材69を設けても良い。また、腰パット部材5及び首パット部材6は、図示した姿勢で装着する以外に上下反対として装着するも良い。
【0035】
以上のように、プロテクターは、人体の胸部及び前腹部を保護する板状の中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の板状の側方保護部材2,2と、中央保護部材1の左右各側縁部13,13と側方保護部材2とを相互に折曲げ自在に連結する連結帯体3と、を有し、中央保護部材1と連結帯体3とを間欠的に上下に縫着することによって非縫着の第1通気口15を形成し、連結帯体3と側方保護部材2とを間欠的に上下に縫着することによって非縫着の第2通気口25を形成したので、中央保護部材1と側方保護部材2とを相互に折曲げて、人体の腹や腰周りの曲線に円滑に沿うように密着させて装着できる。連結縫着作業と、通気口形成作業を略同時に行うことができ、製造が迅速かつ容易と成る。つまり、中央保護部材1と連結帯体3との連結縫着作業、及び、連結帯体3と側方保護部材2との連結縫着作業で第1・2通気口15,25を容易に形成することができ、製造工程を簡略化できる。各通気口15,25により体温の上昇や蒸れを軽減でき、装着時の違和感や不快感を軽減し、プレーに集中させることができる。第1通気口15及び第2通気口25が外部から目立たず、美観や高級感を損なわずに通気性を向上させることができる。
【0036】
また、中央保護部材1は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第1保護凸部11を有し、側方保護部材2は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第2保護凸部21を有し、連結帯体3は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第3保護凸部31を有し、さらに、第1保護凸部11と第3保護凸部31と第2保護凸部21とを横方向に並設し、横方向に隣合う第1保護凸部11と第3保護凸部31の間に第1通気口15を形成し、横方向に隣合う第3保護凸部31と第2保護凸部21の間に第2通気口25を形成したので、第1通気口15及び第2通気口25が外部から目立たず、美観や高級感を損なわずに通気性を向上させることができる。中央保護部材1と連結帯体3と側方保護部材2とが、1枚板状部材であるかのような一体感を演出し、美観や高級感が得られ、デザイン性が優れたものにできる。縫製する際に各保護凸部11,21,31が邪魔にならず連結用の縫製を容易に行うことができる。
【0037】
以上のように、本発明のプロテクター用パット部材は、人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片51の下縁部51bの左右端と下腰パット片52の上縁部52aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部52aと下縁部51bとを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部50を形成したので、上腰パット片51が人体の腰上部乃至腰中間部に密着すると共に、下腰パット片52が、縫着部廻りに(矢印Xの方向へ)揺動して、腰下部乃至臀部の上部近傍の湾曲突部に沿うように密着できる。つまり、腰部や背中の反り、又は、腰部や臀部の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、腰用通気窓部50によって、腰パット部材5と人体との間の熱を逃がす、又は、腰パット部材5と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせることができる。
【0038】
また、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、上首パット片61の下縁部61bの左右端と下首パット片62の上縁部62aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上首パット片61と下首パット片62とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部62aと下縁部61bとを離間させて細長スリット状の首用通気窓部60を形成したので、上首パット片61を人体の首部に密着できると共に、下首パット片62が縫着部廻りに(矢印Yの方向へ)揺動して、首下部乃至後肩上部近傍(背中側の首の付け根部)の湾曲部に沿うように当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、首用通気窓部60によって、首パット部材6と人体との間の熱を逃がす、又は、首パット部材6と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせることができる。
【符号の説明】
【0039】
50 腰用通気窓部
51 上腰パット片
51b 下縁部
52 下腰パット片
52a 上縁部
60 首用通気窓部
61 上首パット片
61b 下縁部
62 下首パット片
62a 上縁部
【技術分野】
【0001】
本発明は、球技用のプロテクター用パット部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、選手や審判員に他者や球が直接あたらないように保護する球技用のプロテクターは、人体の上半身前面を保護する大きな一枚板状のプロテクター本体を有している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−176072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のプロテクターは、大きな一枚板状に形成されているため、体の曲線に沿うように人体に密着させて装着させることが困難な場合があった。また、夏期等において発汗して、人体とプロテクターの間で、蒸れが発生し、装着時に不快感や違和感を感じ、快適にプレーすることができないと共に、プレーに集中できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、人体の形状に沿うように密着でき、かつ、通気性に優れ、発汗によって生ずる蒸れを軽減できるプロテクター用パット部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のプロテクター人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片の下縁部の左右端と下腰パット片の上縁部の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上腰パット片と上記下腰パット片とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部と上記下縁部とを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部を形成したものである。
【0007】
また、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、上首パット片の下縁部の左右端と下首パット片の上縁部の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上首パット片と上記下首パット片とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部と上記下縁部とを離間させて細長スリット状の首用通気窓部を形成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のプロテクター用パット部材によれば、装着状態で、縫着部廻りに揺動して、人体に沿うように密着する。つまり、人体の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感が軽減する。また、人体との間の熱を逃がす、又は、人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターを示す正面図である。
【図2】背面図である。
【図3】要部分解図である。
【図4】図1のA−A拡大断面図である。
【図5】図1のB−B拡大断面図である。
【図6】製造工程を説明する横断面図であり、(a)は縫製前の横断面図であり、(b)は縫製後の横断面図である。
【図7】製造工程を説明する縦断面図であり、(a)は縫製前の縦断面図であり、(b)は縫製後の縦断面図である。
【図8】作用を説明するための要部横断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態である腰パット部材を示す正面図である。
【図10】腰パット部材を示す背面図である。
【図11】腰パット部材の作用説明図である。
【図12】本発明の第2の実施形態である首パット部材を示す正面図である。
【図13】首パット部材を示す背面図である。
【図14】首パット部材の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の一形態に基づき本発明を詳説する。
本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターは、野球やソフトボール等の球技の捕手(選手)や審判員の上半身を保護するものである。図1乃至図3に於て、人体(装着者)の鎖骨部と胸部及び前腹部を保護する可撓性を有する板状の中央保護部材1と、人体の前腹部乃至横腹部を保護する左右一対の可撓性を有する板状の側方保護部材2,2と、中央保護部材1と側方保護部材2とを連結する細長状の可撓性を有する連結帯体3,3と、から成るプロテクター本体8を備えている。
【0011】
連結帯体3の一方の側縁部33aを、中央保護部材1の左右各側縁部13の表て面側に配設して重ね合わせ、間欠的に上下(縦方向)に縫着し、複数の非縫着の部位を形成している。この非縫着の部位を、表て面側と裏面側とを連通させる第1通気口15としている。このようにして、第1通気口15は、連結帯体3の一方の側縁部33a(中央保護部材1の側縁部13)に沿って上下に所定間隔をもって複数設けられる。
【0012】
また、連結帯体3の他方の側縁部33bを、側方保護部材2の一方の側縁部23aの表て面側に配設して重ね合わせ、間欠的に上下(縦方向)に縫着し、複数の非縫着の部位を形成している。この非縫着の部位を、表て面側と裏面側とを連通させる第2通気口25としている。このようにして、第2通気口25は、連結帯体3の他方の側縁部33b(側方保護部材2の一方の側縁部23a)に沿って上下に所定の間隔をもって複数設けられる。
【0013】
中央保護部材1の側縁部13と、側方保護部材2の側縁部23aとは、直接縫着されず、非装着状態で、所定の間隔寸法G(図2及び図5参照)をもって、離間されて連結帯体3に縫着されている。中央保護部材1と側方保護部材2は、連結帯体3を介して、相互に折曲げ自在に連結されている。
【0014】
言い換えると、人体の上半身(胸部と腹部)を保護するプロテクター本体8を、1つの略逆台形状(底辺寸法が上辺寸法より小さい台形状)の中央保護部材1と、2つの略三角形状乃至台形状の側方保護部材2,2と、2つの(縦長円状乃至縦長矩形状の)連結帯体3と、に5分割し、各部材を縫着して連結し、横方向(人体の上半身周り)に折れ曲がり自在な多関節型のプロテクター本体8としている。なお、図1と図2及び図5と図8に於て、中央保護部材1と連結帯体3との縫着部(ミシン目)、及び、連結帯体3と側方保護部材2との縫着部等の各部材間の縫着部を太い破線で示す。
【0015】
また、中央保護部材1は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第1保護凸部11を有している。側方保護部材2は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第2保護凸部21を有している。連結帯体3は、表て面側8aに、所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和吸収用の第3保護凸部31を有している。
【0016】
第1保護凸部11と、第3保護凸部31と、第2保護凸部21とを、横方向(図1に示す非装着の展開状態で左右方向)に、並設している。連結帯体3の一方の側縁部33aを挟んで、横方向に、第1保護凸部11と第3保護凸部31とが隣合っている。また、連結帯体3の他方の側縁部33bを挟んで、横方向に、第3保護凸部31と第2保護凸部21とが隣合っている。そして、図1及び図4に示すように、横方向に隣合う第1保護凸部11と第3保護凸部31の間に第1通気口15を形成している。また、横方向に隣合う第3保護凸部31と第2保護凸部21の間に第2通気口25を形成している。
【0017】
言い換えると、図1及び図5に示すように、上下に隣合う第1保護凸部11と第1保護凸部11の間の第1凹部12と、上下に隣合う第2保護凸部21と第2保護凸部21の間の第2凹部22と、上下に隣合う第3保護凸部31と第3保護凸部31の間の第3凹部32と、を、横方向に連通するように並設している。そして、横方向に隣合う第1凹部12と第3凹部32の間を縫着している。横方向に隣合う第3凹部32と第2凹部22の間を縫着している。
【0018】
図4に於て、中央保護部材1と、側方保護部材2と、連結帯体3は、表て面側8aに配設される表被覆部材81と、裏面側8bに配設される裏被覆部材82と、表被覆部材81と裏被覆部材82の間に介在される柔軟な緩衝部材(クッション部材)83と、表被覆部材81の縁部と裏被覆部材82の縁部とを密着させる縁巻部材84と、を有している。表被覆部材81及び裏被覆部材82は、天然又は人工(合成)の皮革や、PPや、ナイロン系、ポリエステル系の生地が望ましい。また、緩衝部材83は、発泡プラスチックが望ましい。
【0019】
中央保護部材1と側方保護部材2と連結帯体3は、同じ方法で製造される。例えば、連結帯体3の場合で説明すると、図6(a)及び図7(a)に示すように、表被覆部材81を予め、金型プレス成形によって、緩衝部材83が接触する内面側を窪ませて位置決め用窪部81aを成形して、緩衝部材83の内装及び位置決めが容易な形状としている。つまり、予め、各表被覆部材81は、表て面側8aを、各保護凸部11,21,31、及び、各凹部12,22,32、の外形状にプレス成形している。また、緩衝部材83も位置決め用窪部81aに内装が容易な形状と寸法とする。予め、成形することで、位置決めや縫製作業が容易にできると共に、各保護凸部11,21,31を段差や曲面等を組合せた形状に容易に成形でき、美観やデザイン性を向上させることができる。
【0020】
そして、表被覆部材81、緩衝部材83、裏被覆部材82を順次積層して、1本の帯状の縁巻部材84で縁部を1周包囲して、図6(b)に示すように、緩衝部材83寄り(近傍)で、表被覆部材81と裏被覆部材82と縁巻部材84とを縫着(縁縫い)している。また、図7(b)に示すように、第3凹部32内で、横方向に縫着している。緩衝部材83の周囲が縫着され、図3と図4と図6と図7に太い破線で示した縫着部を有する中央保護部材1と側方保護部材2と連結帯体3等が製造される。なお、図1及び図2に於ては、縁巻部材84の縫着部や、各保護凸部11,21,31の周囲の縫着部を図示省略している。
【0021】
また、図1と図2と図5に太い破線で示すように、中央保護部材1と連結帯体3の縫着部、及び、連結帯体3と側方保護部材2の縫着部は、互いの縁巻部材84が縫着されている(各保護凸部11,21,31が形成されていない)箇所を重ね合わせて縫着している。言い換えると、各側縁部13,23,33は、縁巻部材84が縫着されている側縁である。
【0022】
また、図1乃至図3に於て、中央保護部材1は、左右一対の突片状肩部19,19を一体に有している。中央保護部材1は、左右一対の突片状肩部19,19に、肩パット部材4が左右外方に突出状に縫着されている。中央保護部材1の突片状肩部19の側縁部より肩パット部材4の一方の側縁部を表て面側8aに配設して重ね合わせて相互に間欠的に縫着している。間欠的に縫着することで非縫着の部位を形成し、この非縫着の部位を、表て面側8aと裏面側8bとを連通させる第3通気口45としている。
【0023】
また、側方保護部材2は、他方の側縁部23bに、柔軟な(可撓性を有する)板状の取付パット部材7を縫着している。また、第2保護凸部21を所定の左右間隔をもって分割し、横方向に隣合う第2保護凸部21,21の間を、図3に示すように上下に縫製することで、体の曲線(腹周り)に沿って密着しやすくするための折り目付けのステッチと、を行っている。また、取付パット部材7は、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0024】
本発明のプロテクター用パット部材の第1の実施形態は、図9及び図10に示すように、人体の腰部及びその近傍を保護する腰パット部材5であって、腰パット部材5は、横長矩形状の上腰パット片51と、横長矩形状の下腰パット片52と、を有している。上腰パット片51の下縁部51bの左右端と、下腰パット片52の上縁部52aの左右端と重ね合わせ、重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、横方向に間欠的に縫着している。上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折れ曲がり自在としている。非縫着部(中間部)で、上腰パット片51の下縁部51bと、下腰パット片52の上縁部52aと、を離間させて、細長いスリット状に腰用通気窓部50を形成している。また、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0025】
また、腰パット部材5には、ゴムベルト等の弾性帯体から成ると共に、人体の腰部に巻着するための左右一対の腰ベルト57,57が左右両端から横方向に突設されている。腰ベルト57の先端には、係合・離脱可能な雌雄一対の腰用バックル部材58,59の一方が設けられている。具体的には、取付パット部材7(プロテクター本体8側)に付設された腰用雌バックル部材59に係合・離脱自在可能な腰用雄バックル部材58を、設けている。
【0026】
また、本発明のプロテクター用パット部材の第2の実施形態は、図12及び図13に示すように、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首パット部材6であって、首パット部材6は、横長矩形状の上首パット片61と、横長矩形状の下首パット片62と、を有している。上首パット片61の下縁部61bの左右端と、下首パット片62の上縁部62a左右端と重ね合わせ、重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、横方向に間欠的に縫着している。上首パット片61と下首パット片62とを相互に折れ曲がり自在としている。さらに、非縫着部(中間部)で、上首パット片61の下縁部61bと、下首パット片62の上縁部62aと、を離間させて、細長いスリット状に首用通気窓部60を形成している。また、上下に縫製して体の曲線に沿って密着しやすくするための折り目付けされたステッチ部を有している。
【0027】
また、首パット部材6には、ゴムベルト等の弾性帯体から成ると共に、人体に首かけするための一本の首ベルト67が横方向に挿通されている。首ベルト67の両端には、係合・離脱自在な雌雄一対の首用バックル部材68,69の一方が設けられている。具体的には、突片状肩部19,19(プロテクター本体8)に付設された首用雌バックル部材69,69に係合・離脱可能な首用雄バックル部材68,68を、設けている。
【0028】
上述した本発明のプロテクター用パット部材が適用されるプロテクターの使用方法(作用)について説明する。
中央保護部材1を人体の胸部及び前腹部に接触すると共に、首パット部材6及び首ベルト67を首掛けし、腰パット部材5及び腰ベルト57を巻着して、装着する。
すると、図8に示すように、連結帯体3が、中央保護部材1との縫着部廻り(矢印E方向)に揺動し、さらに、側方保護部材2が、連結帯体3との縫着部廻り(矢印F方向)に揺動し、人体の横腹部に沿う。
【0029】
中央保護部材1と側方保護部材2とが一体ものの場合には、折れ曲がる変形に大きな外力を要するが、本発明では、容易に連結帯体3に於て折れ曲がって、人体の腹部及び胸部の曲線に容易に沿って密着する。即ち、腰ベルト57等で側方保護部材2を横腹部から背中側へ引き込むように強く締め付ける必要がなくなり、腰ベルト57が使用者を強く圧迫せず、不快感を軽減する。また、使用者の運動による位置ズレを防止し、他者や球が人体へ接触するのを確実に保護する。
【0030】
また、中央保護部材1の側縁部13と側方保護部材2の一方の側縁部23aが、所定の間隔寸法Gをもって、互いに離間しているので、中央保護部材1の側縁部13と側方保護部材2の側縁部23aが干渉せず、スムーズかつ確実に人体に沿うように折れ曲がる。また、縁巻部材84が縫着されている箇所を、相互に重ね合わせて縫着しているので、柔軟かつスムーズに折れ曲がる。また、人体を保護すべき中央保護部材1及び側方保護部材2を、連結帯体3より人体側に配設しているので、より確実に密着しフィット感が得られる。
【0031】
また、第1通気口15及び第2通気口25が、装着状態に発生する熱気(体熱)を人体の胸部や前腹部及び横腹部側(裏面側8b)から外部(表て面側8a)に送り出す。或いは、外気を表て面側8aから裏面側8bに取り込む。空気(熱気)の流れをつくり、人体に冷却効果をもたらし、蒸れや体温の上昇を軽減して、快適にプレーさせる。また、第3通気口45は、熱を人体の肩部から表て面側8aに送り出す。或いは、外気を表て面側8aから裏面側8bに取り込む。使用者と肩パット部材4の間に、空気の流れをつくり、人体の肩部に冷却効果をもたらす。
【0032】
また、図11に示すように、装着状態で、腰パット部材5は、上腰パット片51が人体の腰上部乃至腰中間部に密着すると共に、下腰パット片52が、縫着部廻りに(矢印Xの方向へ)揺動して、腰下部乃至臀部の上部近傍の湾曲突部に沿うように密着する。つまり、腰部や背中の反り、又は、腰部や臀部の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感が軽減する。また、腰用通気窓部50によって、腰パット部材5と人体との間の熱を逃がす、又は、腰パット部材5と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【0033】
また、図14に示すように、装着状態で、首パット部材6は、上首パット片61が人体の首部に密着すると共に、下首パット片62が縫着部廻りに(矢印Yの方向へ)揺動して、首下部乃至後肩上部近傍(背中側の首の付け根部)の湾曲部に沿うように当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、首用通気窓部60によって、首パット部材6と人体との間の熱を逃がす、又は、首パット部材6と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせる。
【0034】
本発明は設計変更可能であって、腰パット部材5と首パット部材6とを縦方向に連結する背ベルト部材を設けるのが望ましい。取付パット部材7に腰用雄バックル部材58を設け、腰ベルト57に腰用雌バックル部材59を設けても良い。突片状肩部19に首用雄バックル部材68を設け、首ベルト67に首用雌バックル部材69を設けても良い。また、腰パット部材5及び首パット部材6は、図示した姿勢で装着する以外に上下反対として装着するも良い。
【0035】
以上のように、プロテクターは、人体の胸部及び前腹部を保護する板状の中央保護部材1と、人体の横腹部を保護する左右一対の板状の側方保護部材2,2と、中央保護部材1の左右各側縁部13,13と側方保護部材2とを相互に折曲げ自在に連結する連結帯体3と、を有し、中央保護部材1と連結帯体3とを間欠的に上下に縫着することによって非縫着の第1通気口15を形成し、連結帯体3と側方保護部材2とを間欠的に上下に縫着することによって非縫着の第2通気口25を形成したので、中央保護部材1と側方保護部材2とを相互に折曲げて、人体の腹や腰周りの曲線に円滑に沿うように密着させて装着できる。連結縫着作業と、通気口形成作業を略同時に行うことができ、製造が迅速かつ容易と成る。つまり、中央保護部材1と連結帯体3との連結縫着作業、及び、連結帯体3と側方保護部材2との連結縫着作業で第1・2通気口15,25を容易に形成することができ、製造工程を簡略化できる。各通気口15,25により体温の上昇や蒸れを軽減でき、装着時の違和感や不快感を軽減し、プレーに集中させることができる。第1通気口15及び第2通気口25が外部から目立たず、美観や高級感を損なわずに通気性を向上させることができる。
【0036】
また、中央保護部材1は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第1保護凸部11を有し、側方保護部材2は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第2保護凸部21を有し、連結帯体3は表て面側8aに所定の上下間隔をもって突設された複数の衝撃緩和用の第3保護凸部31を有し、さらに、第1保護凸部11と第3保護凸部31と第2保護凸部21とを横方向に並設し、横方向に隣合う第1保護凸部11と第3保護凸部31の間に第1通気口15を形成し、横方向に隣合う第3保護凸部31と第2保護凸部21の間に第2通気口25を形成したので、第1通気口15及び第2通気口25が外部から目立たず、美観や高級感を損なわずに通気性を向上させることができる。中央保護部材1と連結帯体3と側方保護部材2とが、1枚板状部材であるかのような一体感を演出し、美観や高級感が得られ、デザイン性が優れたものにできる。縫製する際に各保護凸部11,21,31が邪魔にならず連結用の縫製を容易に行うことができる。
【0037】
以上のように、本発明のプロテクター用パット部材は、人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、上腰パット片51の下縁部51bの左右端と下腰パット片52の上縁部52aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上腰パット片51と下腰パット片52とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部52aと下縁部51bとを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部50を形成したので、上腰パット片51が人体の腰上部乃至腰中間部に密着すると共に、下腰パット片52が、縫着部廻りに(矢印Xの方向へ)揺動して、腰下部乃至臀部の上部近傍の湾曲突部に沿うように密着できる。つまり、腰部や背中の反り、又は、腰部や臀部の曲線に沿って当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、腰用通気窓部50によって、腰パット部材5と人体との間の熱を逃がす、又は、腰パット部材5と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせることができる。
【0038】
また、人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、上首パット片61の下縁部61bの左右端と下首パット片62の上縁部62aの左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上首パット片61と下首パット片62とを相互に折曲げ自在に構成し、さらに、非縫着の中間部において上縁部62aと下縁部61bとを離間させて細長スリット状の首用通気窓部60を形成したので、上首パット片61を人体の首部に密着できると共に、下首パット片62が縫着部廻りに(矢印Yの方向へ)揺動して、首下部乃至後肩上部近傍(背中側の首の付け根部)の湾曲部に沿うように当接し、(従来の)一体ものの場合の不快な違和感を軽減できる。また、首用通気窓部60によって、首パット部材6と人体との間の熱を逃がす、又は、首パット部材6と人体の間に外気を取り込んで、冷却効果をもたらす。蒸れを軽減し、快適にプレーさせることができる。
【符号の説明】
【0039】
50 腰用通気窓部
51 上腰パット片
51b 下縁部
52 下腰パット片
52a 上縁部
60 首用通気窓部
61 上首パット片
61b 下縁部
62 下首パット片
62a 上縁部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、
上腰パット片(51)の下縁部(51b)の左右端と下腰パット片(52)の上縁部(52a)の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上腰パット片(51)と上記下腰パット片(52)とを相互に折曲げ自在に構成し、
さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部(52a)と上記下縁部(51b)とを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部(50)を形成したことを特徴とするプロテクター用パット部材。
【請求項2】
人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、
上首パット片(61)の下縁部(61b)の左右端と下首パット片(62)の上縁部(62a)の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上首パット片(61)と上記下首パット片(62)とを相互に折曲げ自在に構成し、
さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部(62a)と上記下縁部(61b)とを離間させて細長スリット状の首用通気窓部(60)を形成したことを特徴とするプロテクター用パット部材。
【請求項1】
人体の腰部及びその近傍を保護する腰用のプロテクター用パット部材に於て、
上腰パット片(51)の下縁部(51b)の左右端と下腰パット片(52)の上縁部(52a)の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上腰パット片(51)と上記下腰パット片(52)とを相互に折曲げ自在に構成し、
さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部(52a)と上記下縁部(51b)とを離間させて細長スリット状の腰用通気窓部(50)を形成したことを特徴とするプロテクター用パット部材。
【請求項2】
人体の首後部及びその下部近傍を保護する首用のプロテクター用パット部材に於て、
上首パット片(61)の下縁部(61b)の左右端と下首パット片(62)の上縁部(62a)の左右端とを重ね合わせた左右両端部を相互に縫着し、中間部を非縫着として、上記上首パット片(61)と上記下首パット片(62)とを相互に折曲げ自在に構成し、
さらに、上記非縫着の中間部において上記上縁部(62a)と上記下縁部(61b)とを離間させて細長スリット状の首用通気窓部(60)を形成したことを特徴とするプロテクター用パット部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−190563(P2011−190563A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223968(P2010−223968)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2010−56065(P2010−56065)の分割
【原出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(390040165)株式会社二子商事 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2010−56065(P2010−56065)の分割
【原出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(390040165)株式会社二子商事 (19)
【Fターム(参考)】
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