説明

プロバイオティックオート麦ベース食品およびその作製方法

本発明は、プロバイオティックオート麦ベース流動食品を調製するための方法を提供し、この方法は、A)オート麦材料の発酵を含む第1の発酵工程;B)1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含有する水性懸濁液を形成するために、1以上の未発酵オート麦由来物質を水の存在下で機械的に処理すること(ここで、該懸濁液中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1,500,000ダルトンである)、そして該水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、該第1の発酵工程からの生産物を該1以上のオート麦由来物質および該水と合わせること;およびC)Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaの量が少なくとも10E7 CFU/gとなりおよび/またはビフィドバクテリウムの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、該水性懸濁液の発酵を含む、第2の発酵工程:を含む。本発明は、この方法によって得ることができる生産物をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オート麦ベースのプロバイオティック食品およびそれを作製するための方法に関する。特に、本発明は、高分子量1,3−1,4 β D−グルカンを生物学的に利用しやすい形で含有するオート麦ベースプロバイオティック食品に関する。
【背景技術】
【0002】
プロバイオティック食物はヒトに有益な生存微生物を含んでいる。かかる微生物叢には酵母やある特定種類の細菌が含まれる。これらの微生物は、体本来の腸内微生物叢が増殖しおよび/またはそれらの代謝活性を増加させる手助けをし、そのことが、次には、体の生理系、生化学系および免疫系に有益な効果を及ぼすと考えられている。
【0003】
プレバイオティクスもまた、体本来の腸内微生物叢が増殖する手助けをすることによっておよび/またはそれらの代謝活性を増加させることによってヒトの体に有益な効果を及ぼすことができる非微生物物質である。プレバイオティクスはプロバイオティック微生物と組み合わせて用いることがある。プレバイオティック物質の例としては、植物由来の食用繊維およびそれらの成分が挙げられ、これらはいずれも可溶性である(すなわち水に溶解し得る、例えばある特定種類のβ D−グルカン)場合も不溶性である場合(例えばセルロース、植物細胞壁に見られる)もある。
【0004】
可溶性食用繊維は、胆汁酸、中性ステロイド(コレステロールを含む)の結合および体からの排出を増加させ、小腸でのコレステロールおよび脂肪の吸収を減少させることは知られている。この可溶性食用繊維は、肝臓でのコレステロール、リポタンパク質および脂肪酸の合成を阻害または遅延させ、脂肪組織でのリパーゼ(脂肪の分解に関与する酵素)の合成を加速させ、その結果、脂質代謝に有益な影響を及ぼす。世界保健機関によれば、不溶性食用繊維も可溶性食用繊維も1日摂取量少なくとも30gが推奨されている。
【0005】
理論的実践的医学では、通常摂取量の食物繊維は、代謝、GI管機能、膵臓機能、および体の免疫反応を正常化することから、多数の疾患の予防において大きな役割を果たすと考えている。
【0006】
しかしながら、食物繊維の有用な特性は知られているが、食物繊維による食品強化は研究が不十分な科学分野であり、実用的研究がほとんどなされていないことを指摘すべきである。
【0007】
従って、天然食用繊維を含む食品の生産に最近焦点が当てられている。オート麦は相当な量の可溶性食用繊維、特に1,3−1,4 β D−グルカンだけでなくセルロースなどの不溶性繊維も含んでいることから、オート麦由来食品は特に興味深い。
【0008】
生物学的に活性な食品は2000年のロシア特許第2189153号に開示されている。この食品は、穀物をlactobacteriaとともに発酵させることによって作製される。生産方法には、(i)穀物粒群(オート麦、小麦、米またはひき割りオート麦と小麦ふすまの混合物など)の粉砕、(ii)乳酸桿菌(lactobacilli)を含むスターター培養物(調製物"Lactobacterin"、または"Acylact"または"Narine"など)の導入、(iii)該混合物の1〜3日間の発酵、および(iv)(乾燥物質として)39.78重量%タンパク質を含有する対象食品を得るための該上清の除去が含まれる。
【0009】
上記の方法は、比較的少量のプロバイオティック食物を生産することができるが、産業的には再現性がない。加えて、その生産物の保存期間は比較的に短いことも見いだされている。さらに、いくつかの有益な可溶性繊維を含むと思われる上清が発酵後に除去される。その結果として、その最終食品は比較的少量の可溶性繊維を含む。
【0010】
このロシア特許の方法のさらなる欠点の1つは、最低保証含量のlactobacteriaでは生産物が生産されないということである。さらに、生産物中のlactobacteriaの数は発酵工程後に低レベルまで低下し得る。最終生産物においてセルロースおよび可溶性食用繊維の含量はバッチ間で変化することも見いだされている。これは、最終食品中に存在する不溶性食用繊維および可溶性食用繊維の濃度が大部分は用いる穀物粒群中のこれら繊維の量に依存することによると思われる。この文書には所望の最低レベルの不溶性繊維または可溶性繊維を含む生産物を生産し得る方法についての指針は見られない。
【0011】
WO 9117672は、微生物を用いてオート麦ふすまを発酵させることによって得られる食品を開示している。この食品は、生存乳酸桿菌属微生物を用いて穀物ふすま(大麦、小麦、米および雑穀のもの)を水性混合物中で発酵させることによって作製される。これらの微生物には、乳酸桿菌または他の乳酸菌、プロピオン酸菌、および他の同様の細菌などの種が含まれる。特定の微生物としては、乳酸桿菌GG、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus sp.、Lactobacillus thermophilus、Lactobacillus caseiおよび連鎖球菌属種(Streptococcus sp):が挙げられる。
【0012】
WO 9117672に開示されている方法を用いて生産された食品は3.5〜5のpHを有し、5〜25%乾燥物質;0.3〜1.0%乳酸;発熱量50〜150kJ/100g;食物セルロース:(乾燥物質ベースで)10〜30g/100g;および乳酸桿菌:10E5 CFU/gを含有する基本組成を特徴とする。
【0013】
WO 9117672に記載されている食品はまた、5〜15%乾燥物質;0.3〜1.0%乳酸;発熱量50〜150kJ/100g;食物セルロース(乾燥物質ベースで)10〜30g/100g;および乳酸桿菌 10E5〜8 CFU/gを含有する基本組成を特徴とする場合もある。
【0014】
WO 9117672での発酵に用いる微生物は公知であり、そのような微生物は生産技術および製品品質に基づいて選択され、用いる原材料は、オートミール、大麦、小麦、米、雑穀またはふすま、野菜、果物、または液果の混合物を含んでなる。
【0015】
WO 9117672の方法では、原材料が、いかなる予備処理も行われずに100℃まで加熱される。本発明者らは、68℃より高い温度で穀物粒群中のデンプン分子の避けることのできないデキストリン化が起こり、このデキストリン化によってその後の加熱処理中に細胞構造からの1,3−1,4 β D−グルカンの出口が遮断され、1,3−1,4 β D−グルカンの最大水和およびコロイド化が妨げられることを発見した。この方法では、ふすまの最外部損傷細胞からのみ1,3−1,4 β D−グルカンを抽出することができるようである。従って、最終生産物中の高分子1,3−1,4 β D−グルカンの重量パーセントは比較的低くなるであろう。加えて、たとえその生産物中に高分子量グルカンが存在したとしても、この高分子量グルカンは穀物材料の細胞中に所望の溶解またはコロイド形態ではなく、まだ存在している可能性が最も高い。その結果として、それはそれぼど生物学的に利用しやすいものではないであろう。
【0016】
WO2007/003688は、β−グルカンを含有する食物物質を調製するための方法を開示している。この方法には、(i)β−グルカンを多く含む材料と水を、その材料中に含まれるデンプンを糊化するために、75〜140℃の温度で加熱処理すること、(ii)その懸濁液を冷却することおよび(iii)安定した食物懸濁液を形成するために、その冷却懸濁液を粉砕することが含まれる。この方法では0.25g/100gのβグルカンを含有する生産物が得られる。しかしながら、これは比較的低分子量のβ−グルカンであると考えられる。この文書では、生産物が10000〜2,000,000ダルトンの分子量を有するβ−グルカンを含有していることが記述されている。WO 9117672に関する上記のように、最初の加熱処理工程は、穀物細胞からの高分子量1,3−1,4 β D−グルカンの抽出を抑えると考えられる。そのため、2,000,000ダルトンを上回る分子量を有するβ グルカンは、最終生産物中に、たとえ存在するとしても極めて少ない量で溶解または懸濁された状態で存在する。WO2007/003688の方法を用いて生産された生産物中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は、1,500,000ダルトンよりもずっと小さいであろう。WO2007/003688の方法に、酵母、乳酸菌、ビフィドバクテリウム(bifidobacteria)およびプロピオン酸菌などの微生物を用いて前記懸濁液を発酵させる工程を含めることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第91/17672号
【特許文献2】国際公開第2007/3688号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、先行技術に関連する問題の少なくとも1つを克服または少なくとも緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
従って、第1の態様において、本発明は、プロバイオティックオート麦ベース流動食品の調製方法を提供し、この方法は以下を含む:
【0020】
A)オート麦材料の発酵を含む、第1の発酵工程;
【0021】
B)少なくとも1,500,000ダルトンの平均分子量を好ましくは有する、1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含有する水性懸濁液を形成するために、1以上の未発酵オート麦由来物質を水の存在下で機械的に処理すること、そして該水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、該第1の発酵工程からの生産物を該1以上のオート麦由来物質および該水と合わせること;および
【0022】
C)Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaの量が少なくとも10E7 CFU/gとなりおよび/またはビフィドバクテリウムの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、該水性懸濁液の発酵を含む、第2の発酵工程
を含む。
【0023】
第2の態様において、本発明は、プロバイオティックオート麦ベース流動食品を提供し、このプロバイオティックオート麦ベース流動食品は以下を含んでなる
【0024】
a.1,3−1,4 β D−グルカン(ここで、好ましくは、該食品中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1,500,000ダルトンである);
b.2.5〜40重量%の固体(これらの固体の少なくとも一部はオート麦に由来する);
c.少なくとも10E7 CFU/gのLactobacteriaおよび/または少なくとも10E7 CFU/gのビフィドバクテリウム;
d.残部水。
【0025】
本発明の方法は、先行技術の方法よりもはるかに有利であることが判明した。特に、一次発酵は、予想外にも、二次発酵を促進することが分かった。オート麦成分の一次発酵により、Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの増殖を促進する多数の栄養分および増殖因子が生み出されると思われる。
【0026】
さらに、本方法は、少なくとも1,500,000ダルトンの平均分子量を有する1,3−1,4 β D−グルカン(略して、これを高分子量グルカンと呼ぶ)を溶解および/または懸濁された状態で含有する生産物を好ましくはもたらす。この生産物は、胃腸管の強酸性部分を通過する際の分解に対するプロバイオティック微生物の抵抗性を向上させることが見出されている。オート麦由来のコロイド形成物質(水和高分子量グルカンを含む)は生存プロバイオティック細菌の細胞をコーティングすると考えられる。これは、生存プロバイオティック細菌がGI管を通って大腸へ移動する際に、これらの細菌に保護を提供する。加えて、高分子量グルカンは、プロバイオティック微生物と腸内の自然微生物叢の両方の接触食物でもあるため、これらの微生物の増殖を促進する。水和高分子量グルカンと第1の発酵工程からの増殖因子を組み合わせることは、Lactobacteriaとビフィドバクテリウムのそれぞれの量を10E7 CFU/g以上のレベルに生産物の保存期間の間(この保存期間は28日より長い場合もある)の維持することに役立つと考えられる。本発明の生産物は比較的安定したコロイド懸濁液であり得る。高分子量グルカンが溶解および/または懸濁された状態で存在することで、コロイド懸濁液の安定性に寄与し、生産物の層への早期分離が回避されると考えられる。
【0027】
Lactobacteriaは当業者には公知である。Lactobacteriaは当技術分野において乳酸菌と呼ばれることもある。Lactobacteriaには、限定されるものではないが、次の属:乳酸桿菌属、ロイコノストック属(Leuconostoc)、ペディオコッカス属(Pediococcus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、連鎖球菌属、アエロコッカス属(Aerococcus)、カルノバクテリウム属(Carnobacterium)、腸球菌属(Enterococcus)、オエノコッカス属(Oenococcus)、テラゲノコッカス(Teragenococcus)、バゴコッカス属(Vagococcus)、およびヴァイセラ(Weisella)の1以上から選択される細菌が含まれる。前記Lactobacteriaは、乳酸桿菌属および/または連鎖球菌属から好ましくは選択される。前記Lactobacteriaは、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus casei、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus bulgaricus、Streptococcus lactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、Lactococcus cremoris、Lactococcus diacetylactis、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus lactis、Lactobacillus delbruekii、プロピオン酸菌属種(Propionibacterium spp)、およびKluyveromyces lactisの1以上から選択してよい。本発明において、Lactobacteriaの10E7 CFU/gという量は、本発明の水性懸濁液および/または生産物中のLactobacteriaの総量を指している。
【0028】
ビフィドバクテリウムは当業者には公知である。本発明では任意のビフィドバクテリウムを用いてよい。前記ビフィドバクテリウムは次の種、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium angulatum、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium asteroides、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium boum、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium catenulatum、Bifidobacterium choerinum、Bifidobacterium coryneforme、Bifidobacterium cuniculi、Bifidobacterium denticolens、Bifidobacterium dentium、Bifidobacterium gallicum、Bifidobacterium gallinarum、Bifidobacterium indicum、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium inopinatum、Bifidobacterium lactis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium magnum、Bifidobacterium merycicum、Bifidobacterium minimum、Bifidobacterium pseudocatenulatum、Bifidobacterium pseudolongum、Bifidobacterium pullorum、Bifidobacterium ruminantium、Bifidobacterium saeculare、Bifidobacterium subtile、Bifidobacterium suis、Bifidobacterium thermacidophilumおよびBifidobacterium thermophilumの1以上から選択してよい。好ましくは、前記ビフィドバクテリウムは、Bifidobacterium animalis、Bifidobacterium breve、Bifidobacterium infantis、Bifidobacterium lactis、およびBifidobacterium longusの1以上を含んでなる。本発明において、ビフィドバクテリウムの10E7 CFU/gという量は、本発明の水性懸濁液および/または生産物中のビフィドバクテリウムの総量を指している。
【0029】
好ましくは、前記第2の発酵工程は、Lactobacteriaおよびビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaおよびビフィドバクテリウムのそれぞれの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、前記水性懸濁液の発酵を含む。
【0030】
好ましくは、前記プロバイオティックオート麦ベース流動食品は、少なくとも10E7 CFU/gのLactobacteriaと少なくとも10E7 CFU/gのビフィドバクテリウムを含んでなる。
【0031】
上述のように、本発明の水性懸濁液および/または生産物は、少なくとも1,500,000ダルトンの平均分子量を有する1,3−1,4 β D グルカンを好ましくは含有する。生産物中の1,3−1,4 β D グルカンの平均分子量は、Determination of beta-Glucan Molecular Weight Using SEC with Calcofluor Detection in Cereal Extractsと題するLena Rimsten et al in Cereal Chemistry 2003, Volume 80, Number 4: 485-490(これは引用することにより本明細書の一部とされる)によって記載されている方法に従って測定される。特に、平均分子量の測定方法には、耐熱性α−アミラーゼを用いた前記生産物からの前記グルカンの熱水抽出(この文書において486頁の第2欄にあるExtraction Methodsという表題の抽出の「第3の方法」)を含めるべきであり;抽出の前に、前記生産物中に存在するβ−グルカナーゼを失活させるために、(この文書の487頁、第2欄にEndogenous Activity in Samples During and After Extractionという表題で記載されている方法に従って)サンプルを50(容量)%エタノールを含有する水中で15分間煮沸すべきである。より好ましくは、前記生産物中の1,3−1,4 β D グルカンの平均分子量は少なくとも2,000,000ダルトンである。
【0032】
オート麦材料
「オート麦ベース(の)」とは、前記生産物がオート麦材料から得られ、オート麦材料を含有することを示す。
【0033】
オート麦粒は、一般的に4つの部分:食用に適さない外皮、外側のふすま層および胚乳および胚芽を含んでなる。一般的には、食物生産のためにオート麦を加工する前に、オート麦は脱皮処理される(すなわち外皮が取り除かれる)。特に断りのない限り、本明細書において、「オート麦材料」および「オート麦由来物質」は、ふすま、胚乳および胚芽のうちの1以上を含み得るが;外皮は一般的に存在しないであろう。
【0034】
工程A)におけるオート麦材料は、発酵させることができるオート麦由来物質を含有する任意の材料であり得る。かかるオート麦材料には、限定されるものではないが、オートミールおよびオート麦ふすまが含まれる。前記オート麦材料は、脱皮処理されたオート麦粒群を含んでなってよい。オートミールおよびオート麦ふすまは当技術分野における一般用語である。オートミールには、限定されるものではないが、粉砕され、破砕されおよび/または圧延されたオート麦粒群が含まれる。本発明では、オートミールに、脱皮処理されたオート麦穀粒も含まれ得る。前記オート麦穀粒は、本明細書に記載のスライシングおよび/または粉砕プロセスを用いて好ましくはスライスおよび/または粉砕される。オート麦ふすまには、限定されるものではないが、オート麦粒の硬い外層が含まれる。前記オート麦材料は、前記第1の発酵工程の前に、粉砕および/またはスライスしてもよい。前記オート麦材料は、粉砕オート麦物質(オートミールおよび/またはオート麦ふすまなど)の水性懸濁液の形態であってよい。
【0035】
好ましくは、水を加える前に、工程Aにおけるオート麦材料(例えばオートミールおよび/またはオート麦ふすま)および/または工程Bにおける1以上の未発酵物質(例えばオートミールおよび/またはオート麦ふすま)は、少なくとも5重量%(w/w)の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する。前記オート麦材料中の1,3−1,4 β D−グルカンの量は、the American Association of Cereal Chemists (AACC), Method 32-23の標準的な方法を用いて測定される。1,3−1,4 β D−グルカンの量は、特に断りのない限り、水分を除くために乾燥させていない(例えばオートミールまたはオート麦ふすまの)サンプルに基づいて測定すべきである。特に断りのない限り本明細書では、本発明の成分全て(オートミールおよびオート麦ふすまなど)の中の1,3−1,4 β D−グルカンの量は、AACC Method 32-23を用いて同じように、すなわち関連成分中の1,3−1,4 β D−グルカンの量に基づいて測定される。
【0036】
好ましくは、前記オート麦材料および前記未発酵オート麦由来物質が得られるオート麦は、少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する。このことが、所望の最少含量の高分子量1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含む生産物の生産に重要であることが見出されている。
【0037】
第1の発酵工程
前記第1の発酵工程は当業者には公知の方法によって行ってよい。前記第1の発酵工程は、一般には水中で行われる。オート麦材料(もし存在する場合には、前記穀物麦芽材料も含む)に対する水の割合は、当業者によって常法により決定し得る。一般には、水は前記発酵混合物中に25〜75重量%の量で存在してよい。前記第1の発酵工程では、前記オート麦材料は、穀物麦芽の存在下で好ましくは発酵させる。オート麦材料と穀物麦芽の乾燥重量ベースにおいて、前記第1の発酵工程におけるオート麦材料:穀物麦芽の割合は、1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4、最も好ましくは約1:3であってよい。穀物麦芽は当業者には公知である。穀物麦芽は、発芽させた穀物である。前記穀物麦芽はオート麦麦芽および/または大麦麦芽を含んでなってよい。好ましくは、前記穀物麦芽は大麦麦芽を含む。前記第1の発酵工程において用いる穀物麦芽は、モルティングし、すなわち発芽させ、その後粉砕し、所望により必要に応じてさらに処理した穀物であってよい。本発明者らは、前記オート麦麦芽が本発明における発酵プロセスにおいて微生物の増殖促進に好適な、吸収しやすいタンパク質、炭水化物、無機物およびビタミンを含むのと同じく、穀物麦芽(特に大麦麦芽)が驚くべきことに本発明における発酵プロセスを促進することを発見した。前記穀物のモルティングにより、前記穀物中の細胞間結合が弱まり、その細胞壁の透過性が高まり、より単純な炭水化物が生じ、天然酵素によりその粒群が処理され、増殖因子(吸収しやすいタンパク質、炭水化物、無機物およびビタミン)が得られると考えられる。そのため、前記穀物麦芽は、前記一次および二次発酵に好適な基質として働くことができる。本発明の、工程Bにおいて形成された水性懸濁液および/またはプロバイオティックオート麦ベース流動食品は、1〜10重量%の穀物麦芽材料、好ましくは2〜5重量%の穀物麦芽材料を好ましくは含む。
【0038】
前記第1の発酵工程には、オート麦の発酵を促進しおよび/または可能にするのに好適な、lactobacteria、酵母および他の細菌から選択される1以上の微生物の存在下での発酵を含めてよい。前記第1の発酵は、水中で好ましくは行われる。前記発酵工程における固体:水の重量比は、1:1〜1:4、好ましくは約1:2〜1:3、最も好ましくは約1:2.5(水分含量約71%および固体含量約29%)であってよい。この固体含量の好ましくは実質的に全ての「固体」はオート麦(もし存在する場合には、穀物麦芽材料も含む)から得られる。
【0039】
前記微生物は、Lactobacillus plantarum、Leuconostoc mesenteroides、Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)および枯草菌(Bacillus subtilis)から選択してよい。
【0040】
前記第1の発酵工程は酵母の存在下で行ってよい。
【0041】
前記第1の発酵工程を行うことができる微生物は、前記オート麦材料および/または穀物麦芽中に自然に存在する微生物であり得る。前記発酵プロセスのために前記オート麦材料にさらなる微生物を接種する必要がない場合もある。
【0042】
前記第1の発酵工程には、1000〜20000cPの粘度および/または3.2〜4.5のpHに達するまでの水中での発酵の実施を含めてよい。
【0043】
前記発酵混合物は、一般に、40重量%を超える水を含むであろう。従って、前記第1の発酵の後に、前記発酵混合物を、例えば蒸発を用いて、40重量%以下の水分含量(すなわち固体含量60重量%以上)、好ましくは30〜35%の水分含量まで乾燥させてよく、前記第1の発酵工程の生産物を形成するために、所望により続いて、本明細書に記載のように、前記オート麦および他の穀物粒子の粉砕および/またはスライシングを行ってよい。
【0044】
モルティング工程
上述のように、前記第1の発酵工程では、前記オート麦材料は、好ましくは穀物麦芽、最も好ましくは大麦の存在下で発酵させる。本発明の方法には、前記第1の発酵工程の前に、穀物粒群のモルティングによる穀物麦芽粒群の生産をさらに含めてよい。穀物粒群のモルティングは当業者には周知であり、本発明においては任意の好適な方法を使用してよい。
【0045】
前記穀物粒群のモルティングは、前記穀物粒群を10〜16℃の温度で水中に浸漬し、13〜16℃の温度で3〜4日間発芽させ、得られた混合物を10重量%の水分含量まで乾燥させ、その後所望により、例えばその粒群を、脱穀、研磨、選別および粉砕することによって、前記粒群を処理することにより行ってよい。
【0046】
水性懸濁液
工程(B)において形成される水性懸濁液はコロイド懸濁液であり得る。コロイド懸濁液には、限定されるものではないが、液体中の安定した粒子分散液が含まれる。この粒子は液体粒子および/または固体粒子であり得る。前記懸濁液中の粒子は、500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、最も好ましくは60μm以下の直径を有し得る。好ましくは少なくとも90重量%の粒子、より好ましくは少なくとも95%の粒子は、500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、最も好ましくは60μm以下の直径を有し得る。
【0047】
前記オート麦材料(工程Aの前またはその後のいずれかに)および/または穀物麦芽材料(工程Aの前またはその後のいずれかに)および/または前記1以上のオート麦由来物質(工程Bにおいて)は、好ましくは、少なくとも90重量%(より好ましくは少なくとも95重量%、最も好ましくは少なくとも98重量%)の粒子が500μmの最大直径、好ましくは100μm以下の最大直径、好ましくは80μm以下の最大直径を有するように、それらの粒径を減少させるための粉砕および/またはスライシングなどの機械的処理に供してよい。この最大直径は30〜80μmであり得る。前記オート麦材料および/または穀物材料および/または前記未発酵オート麦由来物質のスライシングは、多数のブレードを用いてスライスする(これらのブレードは前記オート麦粒子をスライスするために同時に動く)スライス機を用いて行うことができる。このスライシングプロセスは、最も好適には、前記オート麦材料および/または穀物材料および/または前記未発酵オート麦由来物質を水と混合し、それらを前記スライス機に通すことによって行われる。かかるスライス機は市販されている。好適な機械(モデルARV−1000)は、Thechnologichesky cetr “Sistema”, INN 2309064155, 350063, Krasnodar, St. Mira, b.28, Russiaから入手可能である。このようなスライス機では、前記オート麦材料は、スライスチャンバーに入っている水の中で、対向ブレードの同時反復運動によってスライスされ得、その後水およびオート麦はふるいを通して押し出され、所望のサイズの粒子だけがそのふるいを通過することができる。前記オート麦および/または穀物粒子は、1〜20分の間、より好ましくは5〜15分の間、最も好ましくは7〜10分の間、好ましくは18〜20℃の温度で前記スライシングプロセスに好ましくは供される。このスライシングプロセスは、前記オート麦粒子を剪断し、前記オート麦材料の少なくとも一部の細胞間結合および/または細胞を破壊し、この破壊により前記材料からの1,3−1,4 β D−グルカンの水中への容易な抽出が可能になることから、効果的であることが分かっている。
【0048】
本発明において前記高分子量β D グルカンの良好な抽出と好適な粘稠度および安定性の生産物(理想的にはコロイド)の形成には、オート麦ふすまの粉砕が最も好適であることも見出されている。この粉砕は任意の好適な方法によるものであってよいが、好ましくはコロイドミルなどの好適な手段を用いた湿式粉砕である。
【0049】
オートミールの粒子は、最も好適には、好適な手段を用いた水中での粒子のスライシングを好ましくは含むスライシング方法を用いてサイズ減少されることも見出されている。かかるスライシング手段には、上記のように、自動スライス機が含まれ得る。
【0050】
工程(B)において形成された水性懸濁液は、1000〜10 000cPの粘度を好ましくは有する。
【0051】
前記水性懸濁液を形成するための前記機械的処理には、前記1以上の未発酵オート麦由来物質から1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度で水中に浸漬することを含めてよい。前記1以上の未発酵オート麦由来物質は、少なくとも5分の間、好ましくは最大60分の間、より好ましくは20〜30分の間水中に浸漬してよい。前記機械的処理には、前記1以上の未発酵オート麦由来物質の粒径を減少させるために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を粉砕および/またはスライスすることを含めてよく、この粉砕および/またはスライシングはそのオート麦由来物質の水中浸漬前、その間またはその後に行ってよい。前記機械的処理には、前記1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度で水中で粉砕および/またはスライスすることを含めてよい。前記第1の発酵工程からの生産物は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質と合わせる前に粉砕および/またはスライスしてもよい。あるいは、前記第1の発酵工程の生産物は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質と一緒に粉砕および/またはスライスしてもよい。前記機械的処理には、前記1以上の未発酵オート麦由来物質を水中で粉砕/スライスおよび/または浸漬しながら、その1以上の未発酵オート麦由来物質を超音波放射に供することを含めてよい。この超音波処理は5〜20分間行ってよい。この超音波処理は、前記オート麦材料から前記高分子量グルカンの抽出し、それを溶解させおよび/または安定した懸濁液を形成させる手助けをする。好適な超音波処理は、例えば、3000〜10000W、好ましくは約7000〜9000Wのワット数で作動する超音波発生装置を使用することによるものであり得る。理想的には、毎分100L以上の速度で液体を処理することができるはずである。超音波強度は、5〜20W/cm、好ましくは10〜15W/cm、より好ましくは約13〜14W/cm、最も好ましくは約13.4W/cmの範囲であってよい。超音波強度は少なくとも13.4W/cmであり得る。
【0052】
本発明者らは、オート麦材料(例えば工程Aのオート麦材料、および/または工程Bの1以上の未発酵オート麦由来物質)を68℃より低い温度で水中に浸漬することによって、前記オート麦材料から高分子量1,3−1,4 β D−グルカンを最も容易にかつ先行技術の方法よりも多い量で抽出することができるということを発見した。この温度で浸漬することによってデンプンのデキストリン化が回避され、その後高分子量1,3−1,4 β D−グルカンの少なくとも一部が効率的に抽出された。68℃より低い温度での前記グルカンの第1の抽出によって、後に、前記オート麦を68℃より高い温度での抽出に供することができるようになる。前記高分子量1,3−1,4 β D−グルカンの抽出において特に有効な方法は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質を、比較的低い温度(例えば25℃以下)での水中への第1の浸漬に供した後、そのオート麦由来物質を粉砕および/またはスライシングに供し、続いてその水中への第2の浸漬に供することである。この第2の浸漬は第1の浸漬の温度より高くあってよく、そのオート麦由来物質を超音波処理に好ましくは供しながら行う。第2の浸漬における水の温度は、抽出されるグルカンの量を最適化するために、デンプンのデキストリン化(68℃)点またはその直下の温度まで徐々に高めてよい。
【0053】
前記未発酵オート麦由来物質は、オートミールおよび/またはオート麦ふすまを含んでもよい。前記未発酵オート麦由来物質は、脱皮処理されたオート麦穀粒を含んでもよい。その水性懸濁液は、粉砕および/もしくはスライスされたオートミールならびに/または粉砕および/もしくはスライスされたオート麦ふすまを含んでよい。好ましくは、前記未発酵オート麦由来物質はオートミールとオート麦ふすまを含んでなる。オートミールとオート麦ふすまの乾燥重量ベースにおいて、工程Bにおける水性懸濁液は、1:10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1、より好ましくは2:1〜1:2、より好ましくは1:1〜1:2のオートミール:オート麦ふすまの割合で構成されていてよい。本発明において、ある成分がオートミール:オート麦ふすまのある割合で構成されていることが記述されている場合には、これはその成分を得る際のオートミールとオート麦ふすまの割合を示している。好ましくは、前記未発酵オート麦由来物質は、工程Bにおける水の添加まで、少なくとも5重量%(w/w)の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する。前記未発酵オート麦由来物質は、工程Bにおける水の添加まで、少なくとも10重量%(w/w)の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオート麦ふすまを含んでなってよい。
【0054】
前記水性懸濁液および/または前記プロバイオティックオート麦ベース流動食品は、1〜20重量%のオート麦ふすま材料(すなわちオート麦ふすまから得られる材料)、好ましく2〜10重量%のオート麦ふすま材料、最も好ましくは2.5〜4重量%のオート麦ふすま材料を含んでよい。前記水性懸濁液および/または前記プロバイオティックオート麦ベース流動食品は、1〜20重量%のオートミール材料(すなわちオートミールから得られる材料)、好ましくは2〜10重量%のオートミール材料、最も好ましくは2.5〜4重量%のオートミール材料を含んでよい。前記水性懸濁液および/または前記プロバイオティックオート麦ベース流動食品は、4〜40重量%の固体の材料を好ましくは含み、、この固体の材料の好ましくは全てまたは実質的に全てが発酵および/または未発酵オート麦由来物質(オート麦ふすまおよび/またはオートミールを含む)から得られる。前記水性懸濁液および/または前記プロバイオティックオート麦ベース流動食品は、1〜20重量%のオート麦ふすま材料、好ましくは2〜10重量%のオート麦ふすま材料、最も好ましくは2.5〜4重量%のオート麦ふすま材料(オート麦ふすまのこの量は固体含量ベースにおいて測定される)を好ましくは含み、固体材料の残りの部分はオートミールであるかまたはオートミールから得られるものである。
【0055】
工程Bの機械的処理は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質から1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度で水中に浸漬することを好ましくは含み、この際、その1以上の未発酵オート麦由来物質は、その浸漬前、その間またはその後に粉砕またはスライスされる。
【0056】
上述のように、前記第1の発酵工程からの生産物は、前記水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、前記1以上のオート麦由来物質および前記水と好ましくは合わせられる。好ましくは、前記第1の発酵工程からの生産物は、前記水性懸濁液の形成後、前記第2の発酵の前に、前記1以上のオート麦由来物質および前記水と合わせられる。
【0057】
前記機械的処理は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質から1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度T1で、好ましくは10〜50分(より好ましくは20〜35分)の間、水中に浸漬すること、続いてその1以上のオート麦由来物質をT1より高い温度T2で、好ましくは10〜50分(より好ましくは20〜35分)の間、その水中に浸漬すること、T1および/またはT2での浸漬前、その間および/またはその後に、その1以上の未発酵オート麦由来物質をスライスおよび/または粉砕すること、さらに得られた混合物を前記第1の発酵工程からの生産物と合わせることを好ましくは含む。
【0058】
前記1以上の未発酵オート麦由来物質は、温度T1での前記浸漬後、温度T2での前記浸漬前に、好ましくはそのオート麦由来物質の少なくとも90重量%の粒子が100μm以下の最大直径を有するように、前記水中でスライスおよび/または粉砕してよい。
【0059】
前記機械的処理は、オート麦ふすまから1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、そのオート麦ふすまを68℃より低い温度T1で、好ましくは10〜50分(より好ましくは20〜35分)の間水中に浸漬すること、続いてそのオート麦ふすまをT1より高い温度T2で、好ましくは10〜50分(より好ましくは20〜35分)の間その水中に浸漬すること、T1および/またはT2での浸漬前、その間および/またはその後に、そのオート麦ふすまを粉砕すること、さらに得られた混合物を前記第1の発酵工程からの生産物と合わせることを好ましくは含む。好ましくは、前記オート麦ふすまは、温度T1での前記浸漬後、温度T2での前記浸漬前に、前記水中で粉砕される。T1が15℃以下であってよい。T2は好ましくは68℃より低く、20〜50℃であってよい。前記機械的処理には、前記オート麦ふすまを水中で粉砕および/または浸漬しながら、そのオート麦ふすまを超音波放射に供することを含めてよい。この超音波処理は5〜20分間行ってよい。
【0060】
好ましくは、前記1以上の未発酵オート麦由来物質は、少なくとも10重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオート麦ふすまを含んでなる。好ましくは、少なくとも10重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオート麦ふすまは、粉砕オート麦ふすまの水性懸濁液を形成するために、25℃以下の温度T1で同時粉砕しながら水中に浸漬され、その後T1より高く、68℃以下の温度であってよい温度T2でその水中に浸漬される。T1は好ましくは25℃以下、好ましくは15〜20℃である。最も好ましくは、前記オート麦ふすまは、25℃以下の温度で10〜50分の間、好ましくは20〜35分の間、粉砕せずに水中に浸漬され、その後25℃以下の温度で約5〜15分の間のその水中での粉砕、続いて25℃以下の温度T2でさらに5〜15分間の粉砕しない水中へのそのオート麦ふすまのさらなる浸漬に供される。前記オート麦ふすまは、T2より高い温度T3(好ましくは20〜50℃である)で、好ましくは40〜50℃の温度で、好ましくは5〜15分の間のさらなる浸漬に供してよい。前記オート麦ふすまおよび前記水の温度は、温度T2から徐々に5〜15分かけて温度T3まで高めてよい。
【0061】
工程Bにおいて形成された水性懸濁液は、加熱プロセス、抽出プロセス、粒径減少(例えば粉砕および/またはスライシング)プロセスおよび可溶化(例えば超音波)プロセスの1以上に供してよい。前記懸濁液の好ましくは少なくとも一部の成分を、68℃より低い温度で、より好ましくは30℃より低い温度で、水で抽出(この抽出には、所望により同時粉砕および/またはスライスしながら、水中に浸漬することを含めてよい)した後に、その水性懸濁液を68℃以上の温度での加熱プロセスに供する。この水性懸濁液は、68℃以上の温度まで、好ましくは68℃〜78℃の温度まで、好ましくは少なくとも5分の間、より好ましくは5〜30分間、より好ましくは約8〜16分間、最も好ましくは約12分間加熱してよい。これにより前記オート麦由来物質(オート麦ふすまおよびオートミールなど)から相当量の高分子量1,3−1,4 β D グルカンが効率的に抽出されることが分かっている。
【0062】
好ましくは、前記未発酵オート麦由来物質は、少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオートミールを含んでなる。好ましくは、少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオートミールは、粉砕オートミールの水性懸濁液を形成するために、68℃より低い温度T1で水中に浸漬され、その後その水中で粉砕され、さらにT1より高くてよい温度T2でその水中に浸漬される。T1は15〜20℃であってよく、T2は18〜20℃であってよく、さらに、前記抽出間に、前記オート麦を、本明細書に記載のスライシング方法によってサイズ減少してよい。T1は15℃以下であってよく、T2は100℃以上であってよい。
【0063】
工程Bの水性懸濁液を形成するために、前記粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を、前記粉砕および/またはスライスオートミール水性懸濁液、そして、所望により、前記第1の発酵工程の生産物と合わせてよい。あるいは、工程Bの水性懸濁液を形成するために、前記粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を、前記粉砕および/またはスライスオートミール水性懸濁液と合わせてよく;前記第1の発酵工程の生産物は工程Bにおける水性懸濁液の形成後に加えてよく、所望により、前記第1の発酵工程の生産物の添加前に、前記水性懸濁液を次の1つまたは両方に供してよい:
(i)30℃以上の温度での、より好ましくは40〜80℃の温度での加熱プロセス。この温度は68℃より高くても68℃より低くてもよい。約68℃以上の温度(好ましくは65〜78℃の温度)は、比較的低い粘度の最終生産物(飲用に適した生産物など)を作製するのに最も好適であることが分かっている。68℃より低い温度(好ましくは50〜60℃の温度)は、ヨーグルトに似た粘稠度を有する、比較的高い粘度の最終生産物(「スプーンで掬うことができる」生産物など)を作製するのに最も好適であることが分かっている。この加熱プロセスは、5〜30分の間、好ましくは8〜16分の間、好ましくは約12分の間好ましくは行われる;
(ii)好ましくは60℃より高い温度で、より好ましくは68℃以上の温度で、好ましくは68〜70℃の温度で、好ましくは1500〜3000RPMで、好ましくは5mm以下の断面積の開口を有する、より好ましくは3mm以下の断面積の開口を有する、最も好ましくは1mm以下の断面積の開口を有するふるいを備えた遠心機を用いての、遠心分離プロセス。この遠心機は、0.64mm以下の断面積の開口(これらの開口は、0.8mmX0.8mmの寸法を有する正方形の開口であってよい)を有していてよい。この遠心分離は、好ましくは前記水性懸濁液が3mm以上、好ましくは1mm以上の直径を有する粒子を実質的に含まないように、1〜30分の間、または分離する前記水性懸濁液から望ましくない(大きな)粒子を分離するのに必要な時間、好ましくは行われる。これに関連して「実質的に含まない」には、限定されるものではないが、5重量%未満、好ましくは2重量%未満の、3mm以上、好ましくは1mm以上の直径を有する粒子を含有する懸濁液が含まれる。
【0064】
工程Bにおいて形成された水性懸濁液は、工程Cの前に殺菌プロセスに供してよい。好ましくは、工程Bの水性懸濁液を形成するために、前記粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を、前記粉砕および/またはスライスオートミール水性懸濁液と合わせてよく、次いでその水性懸濁液が上記(i)に記載の加熱プロセスに供され、その後上記(ii)に記載の遠心分離プロセスに供され;その懸濁液に前記第1の発酵工程からの生産物が加えられ、得られた混合物が殺菌プロセスに供される。この殺菌プロセスは、前記懸濁液を70℃より高い温度で加熱することを含むプロセスであってよい。この殺菌プロセスは、前記懸濁液を100℃以上の温度で加熱することを含むプロセスであってよい。この殺菌プロセスは20分以上の間、好ましくは30〜40分の間行ってよい。
【0065】
前記第1の発酵工程からの生産物は、前記1以上の未発酵オート麦由来物質と合わせる前に、水性懸濁液Xを形成するために、水中での粉砕プロセスおよび/またはスライシングプロセスに供してよい。3mm以上、好ましくは1mm以上の直径を有する粒子を好ましくは実質的に含まない、工程Bの水性懸濁液を形成するために、前記粉砕オート麦ふすま水性懸濁液と前記粉砕オートミール水性懸濁液を混合してよく、その後65℃より高い温度で、好ましくは65〜78℃で遠心分離される。これに関連して「実質的に含まない」には、限定されるものではないが、5重量%未満、好ましくは2重量%未満の、3mm以上、好ましくは1mm以上の直径を有する粒子を含有する懸濁液が含まれる。前記水性懸濁液Xは、前記遠心分離プロセスの前またはその後に、前記粉砕オート麦ふすま水性懸濁液と前記粉砕および/またはスライスオートミールとに合わせてよい。
【0066】
前記プロセスには、前記遠心分離懸濁液を68℃より高い温度で少なくとも20分の間、好ましくは30〜40分の間加熱することをさらに含めてよい。この温度は100℃以上、好ましくは70〜100℃であってよい。
【0067】
前記オート麦材料および/または前記1以上の未発酵オート麦由来物質は、加熱処理したオート麦全粒を含んでなり得る加熱処理したオートミールを含んでもよい。このオートミールは、100℃以上の温度での水蒸気処理に供することによって好ましくは加熱処理したものである。この加熱処理は、前記オートミールを水中に浸漬する前に行うべきである。この加熱処理は、前記オート麦材料のデンプン糊化度(DSG)が90%以上になるまで行ってよく、このDSGは95%以上または約100%である場合もある;これは、比較的低い粘度の生産物を生産するのに最も好適であることが分かっている。あるいは、前記オート麦材料を、DSGが30〜70%、より好ましくは40〜60%、最も好ましくは約50%になるまで加熱してよく;これは、比較的高い粘度の生産物を生産するのに最も好適であることが分かっている。この水蒸気処理は、2気圧以上の圧力で、好ましくは約2.5気圧で、好ましくは少なくとも15分の間、より好ましくは少なくとも30分間で60分未満の間、最も好ましくは約45分の間行ってよい。
【0068】
前記機械的処理には、少なくとも5重量%(w/w)の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する加熱処理オート麦を(前記加熱処理の前に)15℃以下の温度T1で水中に浸漬すること、その後その加熱処理オート麦を水中で粉砕および/またはスライスすること、続いて100℃より高い温度T2での加熱処理を含めてよい。
【0069】
工程Bにおいて形成された水性懸濁液は、2.5〜20重量%の水分含量を好ましくは有する。公知の技術を用いてこれらの好ましい水分含量範囲内に収めるために、この懸濁液に水を加えてよくまたは水を除去してもよい。
【0070】
第2の発酵工程
前記水性懸濁液は、工程Bの後に、殺菌、好ましくは加熱殺菌に供し、その後43℃より低い温度まで好ましくは冷却し、Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムを接種し、その後工程C)の二次発酵に供してよい。この加熱殺菌は、70℃より高く所望により150℃までの温度で、好ましくは135℃以下の温度で行ってよい。この加熱殺菌は70〜100℃の温度で行ってよい。この殺菌を120℃以上の温度で行う場合には、比較的短い時間、例えば最大約2分の間、所望により約45〜60秒の間この殺菌を行ってよい。この殺菌を低温で行う場合には、長時間この殺菌を行うべきである。例えば、この殺菌を70〜100℃の温度で行う場合には、20分間以上、好ましくは30〜40分間この殺菌を好ましくは行う。
【0071】
最終工程
前記生産物、すなわち得られた懸濁液は、前記第2の発酵の後に、10℃以下の温度まで冷却してよい。この懸濁液に1以上の食用増量剤を加えてよい。かかる増量剤は当業者には公知である。
【0072】
前記生産物は、前記第2の発酵の後に、2〜6℃の温度まで冷却してよい。
【0073】
前記第2の発酵、所望により前記懸濁液の冷却の後に、その懸濁液に果物を加え、その後その懸濁液を気密容器にパッケージングし、6℃以下の温度で、好ましくは2〜4℃の温度で、12〜72時間の間、好ましくは24〜48時間の間保管してよい。
【0074】
好ましくは、本発明の方法により形成された生産物の粘度は2000〜80000cPの間である。この粘度は、ヨーグルト様の粘稠度の、すなわちスプーンで食べられる比較的粘性のある生産物に好適な20000〜80000cPであってよい。
【0075】
好ましくは、前記最終懸濁液の粘度は、飲用に適した生産物に好適な2000〜50000cPの間である。
【0076】
オート麦ベース生産物
本発明は、プロバイオティックオート麦ベース流動食品をさらに提供し、このプロバイオティックオート麦ベース流動食品は、
a.1,3−1,4 β D−グルカン(ここで、好ましくは、該食品中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1 500 000ダルトンである);
b.2.5〜40重量%の固体(これらの固体の少なくとも一部はオート麦に由来する);
c.少なくとも10E7 CFU/gのLactobacteriaおよび/または少なくとも10E7 CFU/gのビフィドバクテリウム;
d.残部水
:を含んでなる。
【0077】
前記1,3−1,4 β D−グルカンは好ましくは溶解および/または懸濁された状態である。前記生産物は、少なくとも0.4重量%のβ D−グルカンを好ましくは含み、この少なくとも0.4重量%のβ D−グルカンは、そのグルカンが本明細書に記載の有益な効果を有するのに好適な量であることが分かっている。前記2.5〜40重量%の固体には1,3−1,4 β D−グルカンが含まれる。
【0078】
前記生産物は、好ましくは40〜60ユニットの血糖指数を有する。
【0079】
前記生産物は、好ましくは3.2〜4.5のpHを有する。
【0080】
前記生産物は、好ましくは2000〜80 000cPの粘度を有する。
【0081】
前記生産物は、好ましくは20〜90kcal/100gの発熱量を有する。
【0082】
前記生産物は、好ましくは本発明の方法から得ることができる。
【0083】
本発明は、以下を含んでなるプロバイオティックオート麦ベース流動食品をさらに提供する:
【0084】
a.少なくとも0.4重量%の1,3−1,4 β D−グルカン;
b.2.5〜40重量%の固体(これらの固体の少なくとも一部はオート麦に由来する);
c.少なくとも10E7 CFU/gのLactobacteriaおよび/または少なくとも10E7 CFU/gのビフィドバクテリウム;
d.残部水。
前記生産物中の前記1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は、好ましくは少なくとも1,500,000ダルトンであり、本発明の方法によって得ることができる。
【0085】
2段階法
本発明は、以下を含むプロバイオティックオート麦ベース流動食品の調製方法をさらに提供する:
【0086】
A)少なくとも1,500,000ダルトンの平均分子量を好ましくは有する、1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含有する水性懸濁液を形成するために、1以上の未発酵オート麦由来物質を水の存在下で機械的に処理すること、そして該水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、発酵オート麦材料を該1以上のオート麦由来物質および該水と合わせること;および
【0087】
B)Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaの量が少なくとも10E7 CFU/gとなりおよび/またはビフィドバクテリウムの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、該水性懸濁液の発酵を含む、第2の発酵工程。
【0088】
前記発酵オート麦材料は、上記のように調製したものであってよい。前記方法の他の全ての態様は上記のとおりであり得る。
【0089】
第1の好ましい実施形態では、本発明は、オート麦およびその誘導体を加工することによって得られる、血糖指数40〜60ユニット、pH3.2〜4.5、粘度20 000〜80 000cP、発熱量20〜90kcal/100gを有し、次の含量の主要成分を特徴とするバイオオート食品(a bio-oat food product)を提供する:
【0090】
【表1】

【0091】
前記バイオオート食品では、オート麦およびオート麦誘導体として次の成分を用いる:以下に定義する、粗挽きオートミール成分、オート麦麦芽成分、未加工オート麦成分およびオート麦ふすま成分。
【0092】
前記バイオオート生産物は、オート麦ふすまの加工中に抽出され、水和され、コロイド溶液の形成により安定化された少なくとも0.4重量%の高分子1,3−1,4 β D−グルカン、粗挽きオートミールおよびオート麦麦芽を含有し、lactobacteria、酵母および細菌を含んでなる混合物による一次発酵後に、未加工オート麦が添加される。粗挽きオートミール成分、オート麦麦芽成分、未加工オート麦成分およびオート麦ふすま成分は1:1:5:7(該成分の水分を含む)の割合で用い、続いて水のさらなる添加を行い、6.0〜40.0重量%の乾燥物質含量(すなわち固体含量)を得、得られた混合物にプロバイオティック細菌による二次発酵を行う。このプロバイオティック細菌の量は前記生産物の保存期間の終了までに少なくとも10E7 CFU/1gとなる。この実施形態では、高分子量1,3−1,4 β D−グルカンには、2,000,000ダルトン以上の分子量の1,3−1,4 β D−グルカンが含まれる。
【0093】
前記バイオオート食品では、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とする前記未加工オート麦成分は、オート麦粒群から、不純物を除去し、脱穀し、研磨し、水蒸気処理し、圧延し、乾燥させ、15℃以下の温度でオート麦と水の割合1:1.5で水中に浸漬し、続いて分散させ、100℃より高い温度で加熱処理することによって形成してよい。
【0094】
前記バイオオート食品では、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも10重量%を特徴とする前記オート麦ふすま成分は、pH5.9〜6.2、粘度5000〜35000cPを得るために、オート麦ふすまと水の割合1:1.5で水に溶解させ、同時分散させながら冷却抽出し、続いてその食用植物性オート麦繊維を15℃〜オート麦デンプンのデキストリン化温度の温度範囲内で熱抽出することによって処理してよい。
【0095】
前記バイオオート食品では、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とする前記オート麦麦芽成分は、未加工オート麦を10〜16℃の温度で水中に浸漬し、13〜16℃の温度で3〜4日間発芽させ、水分含量10%まで乾燥させることによって得てよく、サーマイズした(熱処理した)粗挽きオートミールとさらに混合するために、それをさらに、脱穀し、研磨し、選別し、粉砕することによって処理する。
【0096】
前記バイオオート食品では、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とする前記粗挽きオートミール成分に加熱処理を行い、その後それを粉砕オート麦麦芽と1:3の割合で混合し、得られた混合物を1:2.5の割合の水で希釈し、その後その水性混合物に微生物:Lactobacillus plantarum、Leuconostoc mesenteroides、Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエおよび枯草菌を接種し、混合物粘度2000〜20 000cP、pH3.2〜4.5まで一次発酵を行い、水分含量6%までの熱乾燥、続いて粉砕を行う。
【0097】
前記バイオオート食品では、前記加工成分−粗挽きオートミール、オート麦麦芽、未加工オート麦およびオート麦ふすま−を1:1:5:7(重量による、全成分の水分を含む)の割合で用い、続いて水の添加を行い、6.0〜40.0重量%の乾燥物質含量を得、その後ホモジナイズし、加熱殺菌を行い、43℃以下の温度まで冷却し、プロバイオティック細菌を接種し、二次発酵を行い、さらに温度+2〜+6℃、粘度20 000〜80 000cPまで、好ましくは粘度20 000〜60 000cPまで冷却する。
【0098】
前記バイオオート食品は、食用増量剤をさらに含んでよい。
【0099】
前記バイオオート食品は、次のビタミンの1以上を、好ましくは示した量で、さらに含んでよい:E、0.1〜0.6mg/100g;D、0.1〜0.4μg/100g;B1、0.01〜0.1mg/100g;B2、0.05〜0.15mg/100g;PP、0.05〜0.15mg/100g;葉酸、0.1〜3.0μg/100g;および無機物:鉄、0.5〜1.5mg/100g;亜鉛、0.2〜0.4mg/100g;ヨウ素、0.1〜0.4mg/100g。
【0100】
少なくとも0.4重量%1,3−1,4 β D−グルカンを含有する提案バイオオート食品の開発中に次の段階が重要であることが確認されたことを強調すべきである。
【0101】
前記生産物の工業生産のための、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも10重量%を特徴とするオート麦ふすま、1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とする粗挽きオートミール、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とする未加工オート麦;未加工オート麦を発芽させることによって得られる(この発芽によってその細胞間結合を弱め、その細胞壁の透過性を高め、より単純な炭水化物を得、天然酵素によりその粒群が処理され、増殖因子−吸収しやすいタンパク質、炭水化物、無機物、ビタミンを得、そのため一次発酵の基質としての原材料を得ることができる)、食用植物性オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とするオート麦麦芽:を用いたオート麦原材料およびその誘導体の調製。
【0102】
前記一次発酵は、バイオカルチャーとして次の混合物を用いて好ましくは行われる:乳酸菌−Lactobacillus plantarumおよびLeuconostoc mesenteroides、酵母−Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエならびに細菌−枯草菌。これにより前記二次発酵菌の増殖因子を多く含む乾燥中間体がもたらされる。一次発酵に用いるバイオカルチャーは全ての重要な培養菌を含み、実証研究中にこれらの培養菌「共存」の共生効果およびその代謝産物(それらの活性の産物)の定性的組成が得られたことを指摘すべきである。得られた水性混合物に調製培養菌を接種する。一次発酵は保存培養菌を用いて好ましくは行われる。
【0103】
(プロバイオティック細菌を用いたその後の二次発酵のための)コロイド懸濁液を生産するための方法は、食用繊維の最大抽出、溶解、水和およびそのコロイド懸濁液の指定粘度1000〜10 000cPへの調整のために前記オート麦原材料の細胞構造の細胞間結合および壁の破壊を起こすものである。前記最終懸濁液中の1,3−1,4 β D−グルカン分子は、プレバイオティックとして、胃内およびGI管の上部コンパートメント内では発酵されないが、結腸内では病原微生物叢に対して相乗作用を発揮し、有用な微生物の餌でもあり、これを受けて代謝、GI管、膵臓の機能を正常化し、腸内細菌異常増殖症を排除し、体の免疫系を向上させることになるため、多数の疾患の予防に効果的である。
【0104】
前記最終生産物の共生効果を得るために既知プロバイオティック培養菌から選択されたプロバイオティック細菌を用いた二次発酵の実施。その結果として、代謝産物と生存細菌が蓄積し、この生存細菌は生産物保存期間の終了まで1g中10E7 CFUの量で生存し続け、プロバイオティクスの有用な特性を有する生産物を与える。
【0105】
二次発酵に用いる細菌の増殖は、吸収されやすい天然栄養分および一次発酵からの代謝産物の存在によって促進される。提案生産物では前記微生物の活動のための全ての栄養分およびその最終栄養分は自然バイオテクノロジープロセスによって得られ、増殖因子をさらに人工的に加える必要はないことを注記することが重要である。
【0106】
さらに、前記プロバイオティック細菌を含む培養菌は、健康に有益な特性を有する生産物を与えるためのプロバイオティック培養菌での前記生産物の直接強化のために用いられるだけでなく、前記栄養分を吸収しやすい形へと変換するためのこの生産段階、保存期間の終了まで活性を維持することができる成体プロバイオティック細菌の発生、において受ける基礎発酵プロセスのために、そして官能特性を有する生産物:軽い甘酸味の発酵オート麦生産物を与えるためにも直接用いられる。
【0107】
得られた均質懸濁液は連続管式熱交換器で加熱殺菌を行い、135℃の温度まで加熱し、この温度で45〜60秒間維持した後43℃以下の温度まで冷却する。
【0108】
二次発酵を実施するために、既知プロバイオティック培養菌のスターターを調製する。二次発酵を実施するために調製したプロバイオティック培養菌スターターを前記混合物に接種する。
【0109】
提案バイオオート食品は、工業生産中に標準化される高分子可溶性食用オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量(少なくとも0.4重量%)に基づき一次発酵からの代謝産物、生存プロバイオティック細菌および第2段階の発酵からのそれらの代謝産物と合わさって、ヒトの健康に有益な特性を有する。さらに、前記最終生産物中の生物学的利用可能なコロイド形態の1,3−1,4 β D−グルカンは、臨床試験において証明されている機能的役割をその最終生産物に与える。
【0110】
前記生産物の工業生産は、可溶性食用オート麦繊維の定性的および定量的特徴を有する原材料を選択し、オート麦ふすまの細胞壁から、そしてオート麦粒群の隣接外層から可溶性食用オート麦繊維を効率的に抽出し、標準粘度を与えるためにそれらをコロイド溶液へと変え、前記生産物中で2段階発酵により生存細菌と合わせ、ヒトの健康に対する最終生産物の指定予防作用を提供することができる方法を用いて行われる。
【0111】
一次発酵の代謝産物である、生物学的利用可能な1,3−1,4 β D−グルカン分子と二次発酵の生存プロバイオティック培養菌は、細菌異常増殖症発現後の微生物叢の回復、腸内コロニー形成耐性の改善、より単純な栄養分の吸収の改善および体の免疫反応の増加を促進する。
【0112】
十分に低い発熱量と標準量の1,3−1,4 β D−グルカンにより、前記生産物は40〜50ユニットの血糖指数を有し、糖尿病の予防、体重管理、およびコレステロールレベルの低下のために現代の食生活において積極的に用いられている。
【0113】
標準量の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する提案バイオオート食品は、その原材料を選択し、それをディープ加工することによって得た。このディープ加工は、2種のスターター培養菌による、オート麦およびその誘導体の2段階発酵と、一次発酵における、酵母、細菌およびラクトカルチャーの使用を含み、一次発酵からの代謝産物のためにプロバイオティック培養菌による二次発酵の効率の増加、そして最終的には最終生産物の栄養価の増加を伴う。
【0114】
第2の好ましい実施形態では、本発明は、オート麦およびその誘導体を加工することによって得られる、血糖指数40〜50ユニット、pH3.2〜4.5、粘度2000〜50 000cP、発熱量20〜40kcal/100gを有し、次の含量の主要成分を特徴とする飲用バイオオート食品を提供する:
【0115】
【表2】

【0116】
前記飲用バイオオート食品では、オート麦およびオート麦誘導体として次の成分を用いる:以下に定義する、粗挽きオートミール成分、オート麦麦芽成分、未加工オート麦成分およびオート麦ふすま。
【0117】
前記飲用バイオオート食品は、オート麦ふすまの加工中に抽出され、水和され、コロイド溶液の形成により安定化された少なくとも0.4重量%の高分子1,3−1,4 β D−グルカン、粗挽きオートミールおよびオート麦麦芽を含有し、lactobacteria、酵母および細菌を含んでなる混合物による一次発酵後に、未加工オート麦が添加される。粗挽きオートミール成分、オート麦麦芽成分、未加工オート麦成分およびオート麦ふすま成分は1:3:11:15(該成分の水分を含む)の割合で用い、続いて水のさらなる添加を行い、2.5〜20.0重量%の乾燥物質含量を得、得られた混合物にプロバイオティック細菌による二次発酵を行う。このプロバイオティック細菌の量は前記生産物の保存期間の終了までに少なくとも10E7 CFU/1gとなる。この実施形態では、高分子量1,3−1,4 β D−グルカンには、2,000,000ダルトン以上の分子量の1,3−1,4 β D−グルカンが含まれる。
【0118】
前記飲用バイオオート食品では、前記未加工オート麦成分は、好ましくは第1の好ましい実施形態に関して上記で定義したとおりである。
【0119】
前記飲用バイオオート食品では、前記オート麦麦芽成分は、好ましくは第1の好ましい実施形態に関して上記で定義したとおりである。
【0120】
前記飲用バイオオート食品では、前記オート麦ふすま成分は、好ましくは第1の好ましい実施形態に関して上記で定義したとおりである。
【0121】
前記飲用バイオオート食品では、前記粗挽きオートミール成分は、好ましくは第1の好ましい実施形態に関して上記で定義したとおりである。
【0122】
前記飲用バイオオート食品では、前記加工成分−粗挽きオートミール、オート麦麦芽、未加工オート麦およびオート麦ふすま−を1:3:11:15(重量による、全成分の水分を含む)の割合で用い、続いて水の添加を行い、2.5〜20.0重量%の乾燥物質含量を得、その後ホモジナイズし、加熱殺菌を行い、43℃以下の温度まで冷却し、プロバイオティック細菌を接種し、二次発酵を行い、さらに温度+2〜+6℃、粘度2000〜50 000cPまで、好ましくは粘度2000〜40 000cPまで冷却する。
【0123】
前記飲用バイオオート食品は食用増量剤をさらに含んでよい。
【0124】
前記飲用バイオオート食品は、第1の好ましい実施形態に関して上記で定義した1以上のビタミンをさらに含んでよい。
【0125】
(プロバイオティック細菌を用いたその後の二次発酵のための)コロイド懸濁液の生産方法の実施。その結果として、食用繊維の最大抽出、溶解、水和およびそのコロイド懸濁液の指定粘度1000〜20 000cPへの調整のための前記オート麦原材料の細胞構造の細胞間結合および壁の破壊が起こる。前記最終懸濁液中の1,3−1,4 β D−グルカン分子は、プレバイオティックとして、胃内およびGI管の上部コンパートメント内では発酵されないが、結腸内では病原微生物叢に対して相乗作用を発揮し、有用な微生物の餌でもあり、これを受けて代謝、GI管、膵臓の機能を正常化し、腸内細菌異常増殖症を排除し、体の免疫系を向上させることになるため、多数の疾患の予防に効果的である。
【0126】
得られた均質懸濁液は連続管式熱交換器で加熱殺菌を行い、135℃の温度まで加熱し、この温度で45〜60秒間維持した後43℃以下の温度まで冷却する。
【0127】
二次発酵を実施するために、既知プロバイオティック培養菌のスターターを調製する。二次発酵を実施するために調製したプロバイオティック培養菌スターターを前記混合物に接種する。
【0128】
提案飲用バイオオート食品は、工業生産中に標準化される高分子可溶性食用オート麦繊維 1,3−1,4 β D−グルカン含量(少なくとも0.4重量%)に基づき一次発酵からの代謝産物、生存プロバイオティック細菌および第2段階の発酵からのそれらの代謝産物と合わさって、ヒトの健康に有益な特性を有する。さらに、前記最終生産物中の生物学的利用可能なコロイド形態の1,3−1,4 β D−グルカンは、臨床試験において証明されている機能的役割をその最終生産物に与える。
【0129】
前記生産物の工業生産は、可溶性食用オート麦繊維の定性的および定量的特徴を有する原材料を選択し、オート麦ふすまの細胞壁から、そしてオート麦粒群の隣接外層から可溶性食用オート麦繊維を効率的に抽出し、標準粘度を与えるためにそれらをコロイド溶液へと変え、前記生産物中で2段階発酵により生存細菌と合わせ、ヒトの健康に対する最終生産物の指定予防作用を提供することができる方法を用いて行われる。
【0130】
本発明は、第3の実施形態において、飲用に適するように比較的低い粘度のオート麦ベースプロバイオティック食品を作製するための方法をさらに提供する。
【0131】
第3の実施形態の方法は次の工程を含む:
【0132】
1)出発材料の調製:加熱処理未加工オート麦成分、オート麦ふすま成分および発酵オート麦成分。
【0133】
この加熱処理未加工オート麦成分は、実質的に全てのデンプンが糊化するまで(すなわち少なくとも90%DSG(デンプン糊化度)、好ましくは少なくとも99%DSG、好ましくは約100%DSG)に達するまで加熱処理したオート麦から形成する。この加熱処理は、水蒸気の存在下で好ましくは行われる。この加熱処理には、前記オート麦の流動床中での熱的加熱を含めてよい。この加熱処理は、90℃以上の温度で、好ましくは96〜100℃の温度で行ってよい。この加熱処理は40分以上、好ましくは50〜60分、好ましくは続ける。好ましくは、前記加熱処理オート麦はペルオキシダーゼ試験(このペルオキシダーゼ試験は当業者には公知である)において陰性を示し、これはそのオート麦中のペルオキシダーゼ酵素が失活した(変性した)ことを示す。
【0134】
デンプン糊化度(DSG、%)は当技術分野における標準測定値である。DSGを決定するための方法は次の論文で見つけることができる:Starch (2003), Volume 55, Issue 9 , Pages 403-409 (author: Paola et al; Title: Evaluation of the Degree of Starch Gelatinization by a New Enzymatic Method); Journal of Food Science (1980); 45:71-74 (author: Lineback et al; Title Gelatinization of Starch in Baked Products); およびCereal Chemistry 2004, Volume 81, Number 1 Pages 6-9 (Author Marconi et al; Title: A Maltose Biosensor for Determining Gelatinized Starch in Processed Cereal Foods)。
【0135】
前記加熱処理オート麦は、その後、好ましくは15〜20℃の温度で、10〜40分の間、好ましくは30分の間、水中に浸漬する。これらのオート麦粒子は、さらに、好ましくは、少なくとも90重量%の粒子が500μm以下の最大直径、好ましくは100μm以下の最大直径、好ましくは80μm以下の最大直径を有するように、好ましくはスライス機を用いて、スライスする。かかるスライス機は市販されている。これらのオート麦粒子は、好ましくは18〜20℃の温度で、1〜20分の間、より好ましくは5〜15分の間、最も好ましくは7〜10分の間、前記スライシングプロセスに好ましくは供する。本発明者らは、オート麦ふすま粒子および胚乳の均一性が高まり、細胞間結合の破壊が促進され、これを受けてそれらのオート麦粒子および顆粒からの1,3−1,4 β D−グルカンおよびデンプンの抽出が促進されることから、前記加熱処理オート麦粒子を薄層へとスライスすることが有利であるということを発見した。あるいは、前記オート麦を、本明細書に記載の粉砕プロセスに供してもよい。前記スライシングまたは粉砕プロセス後、前記加熱処理未加工オート麦成分を形成するために、それらのオート麦を、好ましくは約18〜20℃の温度で、好ましくはさらに5〜20分間、最も好ましくは約10分間、水中に浸漬する。この加熱処理未加工オート麦成分におけるオート麦材料:水のw/w比は好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:3〜1:5、最も好ましくは約1:4である。
【0136】
前記オート麦ふすま成分は、粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を含んでもよい。このオート麦ふすま水性懸濁液は次のプロセスを用いて形成してよい。第1に、オート麦ふすまを、1〜5mmの直径、好ましくは1〜3mmの直径、最も好ましくは約2mmの直径の開口を有するふるいを好ましくは用いて、ふるい分ける。その後、このオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくは約10〜40分間、より好ましくは約15〜30分間、最も好ましくは約25分間、水中に浸漬する。さらに、このオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくは約5〜20分の間、より好ましくは約5〜15分の間、最も好ましくは約7分間、その水中で粉砕する。この後、続いてこのオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくはさらに5〜30分間、より好ましくは約5〜20分間、最も好ましくは約12分間、粉砕せずに水中に浸漬することにより、1,3−1,4 β D−グルカンの冷却抽出を好ましくは行う。さらに、粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を形成するために、このオート麦を、好ましくは約5〜20分の間、より好ましくは約5〜15分の間、最も好ましくは約7分間、水中に浸漬し、この間に温度を最大65℃の温度まで高めることにより、このオート麦ふすまを1,3−1,4 β D−グルカンの加温抽出に好ましくは供する。この粉砕オート麦ふすま水性懸濁液におけるオート麦ふすま材料:水のw/w比は、好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:1〜1:5、より好ましくは約1:2〜1:3、最も好ましくは約1:2.5である。
【0137】
前記発酵オート麦成分は、オート麦材料を穀物麦芽材料、好ましくはオート麦麦芽および/または大麦麦芽、最も好ましくは大麦麦芽とともに発酵させることにより形成する。オート麦材料と穀物麦芽の乾燥重量ベースにおいて、前記第1の発酵工程におけるオート麦材料:穀物麦芽の割合は1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4、最も好ましくは約1:3であってよい。最も好ましくは、オート麦材料のオート麦粒子を、穀物麦芽材料と合わせる前に、上記のようにスライシングプロセスに供し、水および大麦麦芽材料と混合した後、発酵させる。これらのオート麦と大麦麦芽は、それらのオート麦および/または大麦中に存在する自生微生物種(酵母、乳酸菌およびカビなどの微生物を含む)により発酵を受ける可能性がある。発酵後、この混合物を、さらに、5mm以下の断面積の開口を有する、より好ましくは3mm以下の断面積の開口を有する、最も好ましくは1mm以下の断面積の開口を有するふるいを好ましくは用いて、濾過し、煮沸する。さらに、必要に応じて、この混合物のBrix値が約50〜80°Bx、最も好ましくは65〜70°Bxとなるように、蒸発を用いてこの混合物を濃縮してよい。このBrix値は公知の手段のいずれか(屈折計など)を用いて測定してよい。
【0138】
2)前記加熱処理未加工オート麦成分と前記オート麦ふすま成分を水と一緒に混合する。加熱処理未加工オート麦成分とオート麦ふすま成分の乾燥重量ベースにおいて、この水性混合物における加熱処理未加工オート麦成分:オート麦ふすま成分の割合は1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4、最も好ましくは約1:3であってよい。好ましくは、形成した水性混合物は約3〜10重量%の固体、より好ましくは3〜7重量%の固体、最も好ましくは5〜6重量%の固体を含有する。
【0139】
3)前記オート麦からデンプンと1,3−1,4 β D−グルカンを加温抽出するために、工程2)からの水性混合物を、上記のようにこの混合物を超音波処理に供しながら、好ましくは65〜78℃の温度で、好ましくは5〜20分の間、最も好ましくは8〜15分の間、最も好ましくは約12分間、加熱する。
【0140】
4)均質懸濁液(すなわちより大きな粒子が除去されている部分)を形成するために、工程3)からの混合物を、さらに、好ましくは65〜75℃の温度で、最も好ましくは68〜70℃の温度で、好ましくは1500〜3000回転毎分(rpm)の回転速度で、0.8x0.8mmの断面積の開口を有するふるいを備えた遠心機を好ましくは用いて、好ましくは遠心分離することにより、ホモジナイズする。
【0141】
5)工程4)からの均質懸濁液を前記発酵オート麦成分と合わせた後、得られた混合物を70〜100℃の温度で、好ましくは30〜40分間、好ましくは加熱することによって、この混合物を殺菌する。固体含量ベースにおいて、この混合物におけるオート麦材料全量中の発酵オート麦材料の量は25重量%未満、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%であってよい。この混合物の温度は、20〜30分かけて、好ましくは15分かけて、95℃以上まで、好ましくは約100℃まで、好ましくは高めた後、95℃以上で、好ましくは約100℃で、さらに5〜15分間、好ましくはさらに10分間、維持する。
【0142】
6)工程5)からの懸濁液を、次いで、好ましくは連続管状冷却素子により、42℃以下まで冷却する。
【0143】
7)工程6)からの懸濁液に、その後、Lactobacteriaおよびビフィドバクテリウムを接種する。
【0144】
8)この懸濁液を37〜42℃の温度で、6〜10時間の間、好ましくは8〜9時間の間、発酵させる。
【0145】
9)発酵させた懸濁液を、次に、10℃以下の温度まで冷却する。
【0146】
10)この懸濁液は、さらに、果物含量17重量%まで果物と混合してもよい。
【0147】
11)工程10)からの懸濁液は、その後、気密容器にパッケージングしてもよい。
【0148】
12)この生産物を熟成させるために、パッケージングした懸濁液を、好ましくはさらに2〜4℃の温度で24〜48時間保管する。
【0149】
本発明は、第4の実施形態において、比較的高い粘度の、すなわちヨーグルト様の粘稠度を有するオート麦ベースプロバイオティック流動食品を作製するための方法をさらに提供する。
【0150】
第4の実施形態の方法は次の工程を含む:
【0151】
1)出発材料の調製:加熱処理未加工オート麦成分、オート麦ふすま成分および発酵オート麦成分。
【0152】
この加熱処理未加工オート麦成分は、好ましくはそのオート麦のDSGが約30〜70%、より好ましくは40〜60%、最も好ましくは約50%となるまで加熱処理したオート麦から好ましくは形成する。この加熱処理は、水蒸気の存在下で好ましくは行われる。この加熱処理には、前記オート麦の流動床中での熱的加熱を含めてよい。この加熱処理は、90℃以上の温度で、好ましくは96〜102℃の温度で行ってよい。DSG(デンプン糊化度)は上記のように測定する。この実施形態では、デンプンのDSGが上記範囲内にあることが好ましく、これは、結果として得られるオート麦ベース食品が、全てまたはほぼ全てのデンプンが糊化しているオート麦から作製したものよりも高い粘稠度を有するということが分かっているためである。この高粘稠度は、その食品が「スプーンで掬うことができる生産物」、すなわちスプーンで食べられるものとしてより好適であるということを意味している。
【0153】
前記加熱処理オート麦は、その後、10〜40分の間、好ましくは30分の間、好ましくは15〜20℃の温度で水中に浸漬する。これらのオート麦粒子は、さらに、好ましくは、少なくとも90重量%(好ましくは少なくとも95重量%)の粒子が500μmの最大直径、好ましくは100μmの最大直径、より好ましくは80μm以下の最大直径を有するように、好ましくはスライス機を用いて、スライスする。かかるスライス機は市販されている。これらのオート麦粒子は、好ましくは18〜20℃の温度で、1〜20分の間、より好ましくは5〜15分の間、最も好ましくは7〜10分の間、前記スライシングプロセスに好ましくは供する。本発明者らは、オート麦ふすま粒子および胚乳の均一性が高まり、細胞間結合の破壊が促進され、これを受けてそれらの粒子からの1,3−1,4 β D−グルカンおよびデンプンの抽出が促進されることから、前記加熱処理オート麦粒子を薄層へとスライスすることが有利であるということを発見した。あるいは、前記オート麦を、本明細書に記載の粉砕プロセスに供してもよい。前記スライシングまたは粉砕プロセス後、前記加熱処理未加工オート麦成分を形成するために、それらのオート麦を、好ましくは約18〜20℃の温度で、好ましくはさらに5〜20分間、最も好ましくは約10分間、水中に浸漬する。この加熱処理未加工オート麦成分におけるオート麦材料:水のw/w比は好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:3〜1:5、最も好ましくは約1:4である。
【0154】
前記オート麦ふすま成分は、粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を含んでもよい。このオート麦ふすま水性懸濁液は次のプロセスを用いて形成してよい。第1に、オート麦ふすまを、1〜5mmの直径、好ましくは1〜3mmの直径、最も好ましくは約2mmの直径の開口を有するふるいを好ましくは用いて、ふるい分ける。その後、このオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくは約10〜40分間、より好ましくは約15〜30分間、最も好ましくは約25分間、水中に浸漬する。さらに、このオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくは約5〜20分の間、より好ましくは約5〜15分の間、最も好ましくは約7分間、その水中で粉砕する。この後、続いてこのオート麦ふすまを、好ましくは15〜20℃の温度で、好ましくはさらに5〜30分間、より好ましくは約5〜20分間、最も好ましくは約12分間、粉砕せずに水中に浸漬することにより、1,3−1,4 β D−グルカンの冷却抽出を好ましくは行う。さらに、粉砕オート麦ふすま水性懸濁液を形成するために、このオート麦ふすまを、好ましくは約5〜20分の間、より好ましくは約5〜15分の間、最も好ましくは約7分間、水中に浸漬し、この間に温度を最大65℃の温度まで高めることにより、このオート麦ふすまを1,3−1,4 β D−グルカンの加温抽出に好ましくは供する。この粉砕オート麦ふすま水性懸濁液におけるふすま材料:水のw/w比は、好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:3〜1:5、最も好ましくは約1:4である。
【0155】
前記発酵オート麦成分は、オート麦材料を穀物麦芽材料、好ましくはオート麦麦芽および/または大麦麦芽、最も好ましくは大麦麦芽とともに発酵させることにより形成する。オート麦材料と穀物麦芽の乾燥重量ベースにおいて、前記第1の発酵工程におけるオート麦材料:穀物麦芽の割合は1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4、最も好ましくは約1:3であってよい。最も好ましくは、オート麦材料のオート麦粒子を、穀物麦芽材料と合わせる前に、上記のようにスライシングプロセスに供し、水および大麦麦芽材料と混合した後、発酵させる。これらのオート麦と大麦麦芽は、それらのオート麦および/または大麦中に存在する自生微生物種(酵母、乳酸菌およびカビなどの微生物を含む)により発酵を受けるであろう。発酵後、この混合物を、さらに、5mm以下の断面積の開口を有する、より好ましくは3mm以下の断面積の開口を有する、最も好ましくは1mm以下の断面積の開口を有するふるいを好ましくは用いて、濾過し、煮沸する。さらに、必要に応じて、この混合物のBrix値が約50〜80°Bx、最も好ましくは65〜70°Bxとなるように、蒸発を用いてこの混合物を濃縮してよい。このBrix値は公知の手段のいずれか(屈折計など)を用いて測定してよい。この発酵オート麦成分におけるオート麦材料:水のw/w比は、好ましくは1:10〜1:1、より好ましくは1:3〜1:5、最も好ましくは約1:4である。
【0156】
2)前記加熱処理未加工オート麦成分、その非加熱処理未加工オート麦成分および前記オート麦ふすま成分を水と一緒に混合する。加熱処理未加工オート麦成分とオート麦ふすま成分の乾燥重量ベースにおいて、この水性混合物における加熱処理未加工オート麦成分:オート麦ふすま成分の割合は1:10〜10:1、好ましくは1:1〜1:10、より好ましくは1:2〜1:4であってよい。好ましくは、形成した水性混合物は5〜20重量%の固体、より好ましくは8〜12重量%の固体、最も好ましくは9.5〜10重量%の固体を含有する。
【0157】
3)前記オート麦からデンプンと1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、工程2)からの水性混合物を、上記のようにこの混合物を超音波処理に供しながら、好ましくは50〜60℃の温度で、好ましくは5〜20分間、より好ましくは8〜15分の間、最も好ましくは12分間、加熱する。
【0158】
4)均質懸濁液(すなわちより大きな粒子が除去されている部分)を形成するために、工程3)からの混合物を、さらに、好ましくは65〜75℃の温度で、最も好ましくは68〜70℃の温度で、好ましくは1500〜3000回転毎分(rpm)の回転速度で、0.8x0.8mmの断面積の開口を有するふるいを備えた遠心機を好ましくは用いて、好ましくは遠心分離することにより、ホモジナイズする。
【0159】
5)工程4)からの均質懸濁液を前記発酵オート麦成分と合わせた後、得られた混合物を70〜100℃の温度で、好ましくは30〜40分間、好ましくは加熱することによって、この混合物を殺菌する。固体含量ベースにおいて、この混合物におけるオート麦材料全量中の発酵オート麦材料の量は25重量%未満、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%であってよい。この混合物の温度は、20〜30分かけて、好ましくは15分かけて、95℃以上まで、好ましくは約100℃まで、好ましくは高めた後、95℃以上で、好ましくは約100℃で、さらに5〜15分間、好ましくはさらに10分間、維持する。
【0160】
6)工程5)からの懸濁液を、次いで、好ましくは連続管状冷却素子により、42℃以下まで冷却する。
【0161】
7)工程6)からの懸濁液に、その後、Lactobacteriaおよびビフィドバクテリウムを接種する。
【0162】
8)この懸濁液を37〜42℃の温度で、6〜10時間の間、好ましくは8〜9時間の間、発酵させる。
【0163】
9)発酵させた懸濁液を、次に、10℃以下の温度まで冷却する。
【0164】
10)この懸濁液は、さらに、果物含量17重量%まで果物と混合してもよい。
【0165】
11)工程10)からの懸濁液は、その後、気密容器にパッケージングしてもよい。
【0166】
12)この生産物を熟成させるために、パッケージングした懸濁液を、好ましくはさらに2〜4℃の温度で24〜48時間保管する。
【図面の簡単な説明】
【0167】
次の実施例において、図面を参照して、本発明の実施形態を非限定的に例示する:
【図1】実施例1および2により生産したプロバイオティックオート麦ベース流動食品の28日間にわたる粘度の変化を示し;および
【図2】実施例6に従って生産したプロバイオティックオート麦ベース流動食品の9サンプルの28日間にわたる粘度の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0168】
実施例
実施例1. バイオオート食品の生産
バイオオート食品の工業生産のための前記オート麦原材料およびその誘導体の調製
バイオオート食品の製造において次のオート麦およびその誘導体を原材料として用いる:未加工オート麦、粗挽きオートミールおよび1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とするオート麦麦芽、ならびに1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも10重量%を特徴とするオート麦ふすま。
【0169】
主要プロセスに入る前に、前述した原材料成分それぞれを以下についてチェックする:
・GOST 3626/GOST 26312.7−88 "Groats. Method of determination of water content"による乾燥物質/水分の重量パーセント。この方法は140℃の温度で40分間の乾燥キャビネット内での前記オート麦の十分な乾燥に基づいている。
・the American Association of Cereal Chemists (AACC) Method 32-23 [the American Association of Cereal Chemists (AACC)の認可方法第10版−2001年、2002年および2003年追補版を含む]の方法による標準量の1,3−1,4 β D−グルカン。AACCのこの方法は、酵素 β−グルコシダーゼによるβ−グルカン分子の酵素的切断、続いてのその溶液の着色強度の光度測定に基づいている;
・酸度−GOST 26971−86に基づく。この方法は、オート麦水性懸濁液に関する酸性物質の力価に基づいている。
【0170】
バイオオート食品の製造には以下を用いる:
・San−PiN 2.1.4.559−96 "DRINKING WATER. Hygienic requirements on water quality in centralized water supply systems. Quality control"の水;プロセス水の品質をチェックする際には次の標準規格を用いる:GOST 8.563−96およびGOST 8.556−91、GOST 27384−87に従う誤差ノルムを超えない誤差係数規定値;過剰量のカルシウムイオン、鉄イオンおよびアルミニウムイオンを除去するための浄水場での浄化水、これは、これらのイオン量を減少させることによってより柔軟で安定したコロイド系の形成が促進され、100ml中に大腸菌群が存在しないようにすることによってこの方法の衛生パラメーターが保証されることが実験的に証明されているためである。
・5種の培養菌の細菌スターター:すなわち、乳酸菌 Lactobacillus plantarumおよびLeuconostoc mesenteroides、酵母−Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエおよび細菌−枯草菌、0.5%フルクトース溶液中への指定量の希釈による、初期含量(1g中のCFU)−1g中10E5〜10E10 CFU−MUK 4.2.577−96、GOST R. 52357−05、GOST R. 51331−99、GOST 10444.1−89;
・プロバイオティック培養菌を含んでなる細菌スターター、初期含量(1g中のCFU)−1g中10E5〜10E10 CFU−MUK 4.2.577−96、GOST R. 52357−05、GOST R. 51331−99、GOST 10444.1−89。
【0171】
調製した原材料の一次加工プロセス
1. オート麦のモルティング
未加工オート麦に、不純物を除去するためのクリーニング、選別および10〜16℃の温度での滅菌水中への浸漬を行う。麦芽製造所内の専用槽中で13〜16℃の温度で発芽を行う。このプロセスには3〜4日所要する。この後、水分含量10%までの乾燥、遠心式脱穀機を用いた脱穀、研磨機を用いた研磨、振動ふるい機での選別、ハンマーミルでの粒径最大60μmへの粉砕を行う。次に、この原材料は、サーマイズした粗挽きオートミールとの混合のために送られる。
【0172】
このモルティングプロセスは、天然酵素作用:自然に存在するデンプン分解酵素および他の酵素の活性化および機能、二次発酵に用いるプロバイオティック細菌の増殖および発生に必要な栄養分を得るためのオート麦の独特の風味および粘稠度の発生、最終生産物の栄養分の吸収性の向上に基づいている。モルティング中のデンプン粒群の酵素加水分解は、オート麦粒中に存在するアミラーゼによって行われる。
【0173】
オート麦粒群の細胞間結合が弱まり、その構造がゆるみ、細胞内栄養分へのアクセスが改善されて、タンパク質、炭水化物、ビタミンおよび無機物がより吸収されやすい形へ変換される。
【0174】
2. 粗挽きオートミール
オートミールに、接触スチームヒーターによる180〜200℃の伝熱面温度での乾式加熱処理を行った後、振動ふるい機での選別および滅菌空気での冷却を行う。これを粉砕オート麦麦芽と1:3の割合で混合する。次いで、これを、45℃まで冷却した沸騰プロセス水と1:2.5の割合で混合し、この混合物の最終温度30〜37℃とする。
【0175】
5種の培養菌:乳酸菌 Lactobacillus plantarumおよびLeuconostoc mesenteroides、酵母−Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエならびに細菌−枯草菌−から、0.5%フルクトース溶液中へ指定量を希釈することによって一次スターターを調製する。調製したスターターを上で得た水性混合物に接種する。
【0176】
次のプロセス変数に従って、保存培養菌を用いて一次発酵を行う:
・温度−30〜37℃
・発酵時間−10〜36時間
・一次発酵後の粘度:1000〜10 000cP。
【0177】
前記混合物が粘度1000〜10 000cP、pH3.2〜4.5、第2段階の発酵のプロバイオティック細菌の増殖因子含量−ビタミンおよび無機物:E、0.1〜0.6mg/100g;D、0.1〜0.4μg/100g;B1、0.01〜0.1mg/100g;B2、0.05〜0.15mg/100g;PP、0.05〜0.15mg/100g;葉酸、0.1〜3.0μg/100g;鉄、0.5〜1.5mg/100g;亜鉛、0.2〜0.4mg/100g;ヨウ素、0.1〜0.4mg/100gとなるまで一次発酵を行う。
【0178】
この後、96〜102℃を超えない温度で、水分含量6%までの流動床中での熱乾燥、冷却およびハンマーミルでの粒径60μm以下への粉砕を行う。
【0179】
3. 未加工オート麦
二次発酵用の未加工オート麦の調製を2段階で行う。
【0180】
第1段階:細胞間構造の最大限の破壊が起こっており、「焙煎」風味を有し、標準的デンプン粒群熱変性度を有する加熱処理押しオート麦フレークの生産。
【0181】
第2段階:熱加水分解のための水性懸濁液の生産および主要プロセス−二次発酵への原材料供給。
【0182】
第1段階は、グレーンクリーナーおよびボウルター(boulter)を用いた、不純物を除去するためのクリーニング;選別ドラムを用いた選別、遠心式脱穀機を用いた脱穀;研磨機を用いた研磨:を含む。この後、連続スチーマーを用いた蒸気圧2.5気圧下で45分間の水蒸気処理;細胞間構造剪断破壊のための標準ロール回転前進角でフレーク厚0.3〜0.5mmを得るためのフレーカーを用いた圧延;連続乾燥機を用いた水分含量10%以下までの乾燥を行う。
【0183】
第2段階は、オート麦と水の割合1:1.5で15℃以下の温度での水中への浸漬;コロイドミルを用いた粒径50μm以下への湿式粉砕および調理器具を用いた105℃の温度で30分間の熱水処理:を含む。この原材料は、その後、二次発酵のための主要プロセスに入る。
【0184】
4. オート麦ふすま
オート麦ふすまを、オート麦と水の割合1:1.5で水中に溶解し、このふすまを浸漬し、懸濁液を生産するために40分間放置する。
【0185】
この懸濁液をコロイドミルに通すことによってこの懸濁液の循環と微粉砕を同時に用いて冷却抽出を行う。
【0186】
この混合物に、次いで、前記ふすまからの1,3−1,4 β D−グルカンの熱抽出を行い、この熱抽出は、デキストリン化プロセスを避けるために、15℃からオート麦デンプンのデキストリン化温度まで徐々に温度を上げることによって行う。
【0187】
この懸濁液の後の処理は、循環システム内に組み込まれている装置内でUZGZ−4超音波発生装置を用いて行い、そこでは、超音波領域の高強度の機械的振動の連続作用下で1,3−1,4 β D−グルカン分子の強化抽出が分子レベルにおいて行われ、それらの分子が溶解する。実験的に決定された処理時間は5〜20分である。
【0188】
この溶液のpHをpH5.9〜6.2に調整する。
【0189】
ホモジナイザーでホモジナイゼーションを行い、このホモジナイザーでは前記溶液を高圧で(15〜20mPa)幅の狭いスロットへ押しやる。これらの応力の結果として、様々なサイズの高分子分子が引き伸ばされ、細かく混ざり合って、安定した粘度を有する安定したコロイド系溶液が生じる。
【0190】
このコロイド溶液の安定化は、その溶液を7〜15分間、粘度5000〜35 000cPまでホモジナイゼーションすることにより行う。
【0191】
前記原材料の二次処理のためのプロセス
前記加工成分:粗挽きオートミール、オート麦麦芽、未加工オート麦およびオート麦ふすまを1:1:5:7の割合で混合し、乾燥物質含量6.0〜40.0重量%まで水を加え、続いて均質懸濁液を得るためにホモジナイゼーションを行う。得られた均質懸濁液に連続管式熱交換器で135℃の温度まで加熱殺菌を行い、この温度で45〜60秒間維持した後、43℃以下の温度まで冷却する。
【0192】
プロバイオティック培養菌:Lactobacillus acidophilusおよびBifidobacteriumからスターターを調製する。二次発酵のために、前記混合物にプロバイオティック培養菌:Lactobacillus acidophilusおよびBifidobacteriumの調製スターターを接種する。
次のプロセス変数を用いて二次発酵を行う:
発酵時間:9〜16時間。
ヘッドスペースの残留酸素:3〜7%。
発酵ベース1g中のプロバイオティック細菌の量、CFU−10E 8〜10E11。
二次発酵からの発酵ベースの粘度:18 000〜45 000cP。
【0193】
二次発酵中に、前記プロバイオティック細菌が10E8〜10E11CFU/gまで発生し、炭水化物およびタンパク質のより単純な化合物への加水分解が起こり、エキソ多糖類の形成が起こり、乳酸が20〜100度ターナー(degrees Thorner)まで蓄積し、pHが3.2から4.5へと低下し、前記生産物の粘度が18 000cPから45 000cPへと発展する。
【0194】
前記生産物を温度+2〜+6℃、粘度20 000〜80 000cPまで、好ましくは粘度20 000〜60 000cPまで冷却する。
【0195】
よって、最終生産物の粘度は3つの因子により決まる:
・1,3−1,4 β D−グルカン分子のコロイド系、
・熱変性を受けたセルロースおよびデンプン多糖類、
・エキソ多糖類−微生物による全混合物の発酵産物。
【0196】
図1には、最終生産物の粘度変化を時間の関数として示すグラフを示している。図1から分かるように、粘度は最終生産物の想定保存期間の間ずっと安定している。粘度指数の安定性により最終生産物がその保存期間(30日)の間に層へ分離しないことが確認される。
結果として、表1に記載する栄養価およびパラメーターを有するバイオオート食品を得る。表1において、細菌に関するデータは生産物保存期間の最終日のものである。
【0197】
表1に示す、前記生産物を特徴付けている指数により、その栄養価および生物価が高く、治療および予防効果を促進することが確認される。特に、この生産物は20 000〜80 000cPの粘度、好ましくは20 000〜60 000cPの粘度を有し、コーティング特性が備わっている。こういったことが、血糖指数40〜60ユニットと合わさって、血液中へのグルコースの吸収速度およびグルコースピークの発現を抑える手助けをし、飽満感を長くし、悪玉コレステロールレベルの低下を促進し、効果的な代謝産物排出を確実にする;またこの生産物のpHが低いことで、腸内感染原因因子に対する抗微生物作用を提供し、カルシウムのイオン化および血液中へのその迅速吸収、ならびにリン、カリウムおよび他の微量元素の吸収向上を促進する。
【0198】
注目すべきは、記載した標準規格の原材料と、配合表(定性的および定量的成分組成を含む)を順守することだけで、指定標準規格(少なくとも0.4重量%)の含量の高分子可溶性食用オート麦繊維−1,3−1,4 β D−グルカンを含む最終生産物が確実に生産されることである。
【0199】
実施例2. バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、次のプロバイオティック培養菌:Lactobacillus rhamnosusおよびBifidobacteriumからスターターを調製することを除いては、実施例1と同じようにバイオオート食品を調製する。二次発酵を実施するために、プロバイオティック培養菌:Lactobacillus rhamnosusおよびBifidobacteriumから調製したスターターを前記混合物に接種する。
【0200】
結果として、表1に示す栄養価およびパラメーターを有するバイオオート食品を得る。
【0201】
実施例3. バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、次のプロバイオティック培養菌:Lactobacillus plantarum、および/またはLactobacillus paracasei、および/またはLactobacillus caseiからスターターを調製することを除いては、実施例1と同じようにバイオオート食品を調製する。二次発酵を実施するために、プロバイオティック培養菌:Lactobacillus plantarum、および/またはLactobacillus paracasei、および/またはLactobacillus caseiから調製したスターターを前記混合物に接種する。
【0202】
結果として、表1に示す栄養価およびパラメーターを有する飲用バイオオート食品を得る。
【0203】
実施例4. バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、実施例3のプロバイオティック培養菌と次の市販培養菌:Streptococcus thermophilus、および/またはLactobacillus bulgaricus、および/またはStreptococcus lactis、および/またはStreptococcus cremoris、および/またはStreptococcus diacetylactis、および/またはLactococcus lactis、Lactococcus cremoris、および/またはLactococcus diacetylactis、および/またはLactobacillus helveticus、および/またはLactobacillus lactis、および/またはLactobacillus delbruekii、および/またはプロピオン酸菌属種、および/またはKluyveromyces lactisの混合物からスターターを調製することを除いては、実施例1と同じようにバイオオート食品を調製する。
【0204】
結果として、表1に示す栄養価およびパラメーターを有するバイオオート食品を得る。
【0205】
【表3】

【0206】
実施例5. 食用増量剤入りバイオオート食品の生産
冷却チャンバー内で+2〜+6℃の温度で生産物を冷却する前に、その生産物を食品工業で用いられている増量剤(食用増量剤)、例えば:野菜および/もしくは果物のピューレ(調理済み、もしくは砂糖を加えて調理済み)、または濃縮果物および液果ジュース、または果物および液果粉末、またはハーブ乾燥抽出物、またはハーブ液体抽出物、またはナッツ、または穀物などと混合することを除いては、実施例1と同じようにバイオオート食品を調製する。
【0207】
前記食用増量剤は次の割合で用いることができる(生産物に対する重量%):
・野菜および/または果物のピューレ 3〜20重量%;
・濃縮果物および液果ジュース 1〜7重量%;
・果物および液果粉末 1〜5重量%;
・ハーブ乾燥抽出物 1〜3重量%;
・ハーブ液体抽出物 1〜7重量%;
・ナッツ 1〜5重量%;
・穀物 1〜5重量%。
【0208】
結果として、表2に示す栄養価およびパラメーターを有する増量剤入りバイオオート食品を得る。表2に示す、細菌に関するデータは保存期間の最終日のものである。
【0209】
【表4】

【0210】
実施例6. 飲用バイオオート食品の生産
飲用バイオオート食品の工業生産のための前記オート麦原材料およびその誘導体の調製
飲用バイオオート食品の製造において次のオート麦およびその誘導体を原材料として用いる:未加工オート麦、粗挽きオートミールおよび1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも5重量%を特徴とするオート麦麦芽、ならびに1,3−1,4 β D−グルカン含量少なくとも10重量%を特徴とするオート麦ふすま。
【0211】
主要プロセスに入る前に、前述した原材料成分それぞれを以下についてチェックする:
・GOST 3626/GOST 26312.7−88 "Groats. Method of determination of water content"による乾燥物質/水分の重量パーセント。この方法は140℃の温度で40分間の乾燥キャビネット内での前記オート麦の十分な乾燥に基づいている。
・the American Association of Cereal Chemists (AACC) Method 32-23 [the American Association of Cereal Chemists (AACC)の認可方法第10版−2001年、2002年および2003年追補版を含む]の方法による標準量の1,3−1,4 β D−グルカン。AACCのこの方法は、酵素 β−グルコシダーゼによるβ−グルカン分子の酵素的切断、続いてのその溶液の着色強度の光度測定に基づいている;
・酸度−GOST 26971−86に基づく。この方法は、オート麦水性懸濁液に関する酸性物質の力価に基づいている。
【0212】
飲用バイオオート食品の製造には以下を用いる:
・San−PiN 2.1.4.559−96 "DRINKING WATER. Hygienic requirements on water quality in centralized water supply systems. Quality control"の水;プロセス水の品質をチェックする際には次の標準規格を用いる:GOST 8.563−96およびGOST 8.556−91、GOST 27384−87に従う誤差ノルムを超えない誤差係数規定値;過剰量のカルシウムイオン、鉄イオンおよびアルミニウムイオンを除去するための浄水場での浄化水、これは、これらのイオン量を減少させることによってより柔軟で安定したコロイド系の形成が促進され、100ml中に大腸菌群が存在しないようにすることによってこの方法の衛生パラメーターが保証されることが実験的に証明されているためである。
・5種の培養菌の細菌スターター:すなわち、乳酸菌 Lactobacillus plantarumおよびLeuconostoc mesenteroides、酵母−Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエおよび細菌−枯草菌、0.5%フルクトース溶液中への指定量の希釈による、初期含量(1g中のCFU)−1g中10E5〜10E10 CFU−MUK 4.2.577−96、GOST R. 52357−05、GOST R. 51331−99、GOST 10444.1−89;
・プロバイオティック培養菌を含んでなる細菌スターター、初期含量(1g中のCFU)−1g中10E5〜10E10 CFU−MUK 4.2.577−96、GOST R. 52357−05、GOST R. 51331−99、GOST 10444.1−89。
【0213】
調製した原材料の一次加工プロセス
1. オート麦のモルティング
未加工オート麦に、不純物を除去するためのクリーニング、選別および10〜16℃の温度での滅菌水中への浸漬を行う。麦芽製造所内の専用槽中で13〜16℃の温度で発芽を行う。このプロセスには3〜4日所要する。この後、水分含量10%までの乾燥、遠心式脱穀機を用いた脱穀、研磨機を用いた研磨、振動ふるい機での選別、ハンマーミルでの粒径最大60μmへの粉砕を行う。次に、この原材料は、サーマイズしたオートミールとの混合のために送られる。
【0214】
このモルティングプロセスは、天然酵素作用:自然に存在するデンプン分解酵素および他の酵素の活性化および機能、二次発酵に用いるプロバイオティック細菌の増殖および発生に必要な栄養分を得るためのオート麦の独特の風味および粘稠度の発生、最終生産物の栄養分の吸収性の向上に基づいている。モルティング中のデンプン粒群の酵素加水分解は、オート麦粒中に存在するアミラーゼによって行われる。オート麦粒群の細胞間結合が弱まり、その構造がゆるみ、細胞内栄養分へのアクセスが改善されて、タンパク質、炭水化物、ビタミンおよび無機物がより吸収されやすい形へ変換される。
【0215】
2. 粗挽きオートミール
オートミールに、接触スチームヒーターによる180〜200℃の伝熱面温度での乾式加熱処理を行った後、振動ふるい機での選別および滅菌空気での冷却を行う。これを粉砕オート麦麦芽と1:3の割合で混合する。次いで、これを、45℃まで冷却した沸騰プロセス水と1:2.5の割合で混合し、この混合物の最終温度30〜37℃とする。
【0216】
5種の培養菌:乳酸菌 Lactobacillus plantarumおよびLeuconostoc mesenteroides、酵母−Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエならびに細菌−枯草菌−から、0.5%フルクトース溶液中へ指定量を希釈することによって一次スターターを調製する。
【0217】
得た水性混合物に調製したスターターを接種する。次のプロセス変数に従って、保存培養菌を用いて一次発酵を行う:
・温度−30〜37℃
・発酵時間−10〜36時間
・一次発酵後の粘度:1000〜20 000cP。
【0218】
前記混合物が粘度1000〜20 000cP、pH3.2〜4.5、第2段階の発酵のプロバイオティック細菌の増殖因子含量−ビタミンおよび無機物:E、0.1〜0.6mg/100g;D、0.1〜0.4μg/100g;B1、0.01〜0.1mg/100g;B2、0.05〜0.15mg/100g;PP、0.05〜0.15mg/100g;葉酸、0.1〜3.0μg/100g;鉄、0.5〜1.5mg/100g;亜鉛、0.2〜0.4mg/100g;ヨウ素、0.1〜0.4mg/100gとなるまで一次発酵を行う。
【0219】
この後、96〜102℃を超えない温度で、水分含量6%までの流動床中での熱乾燥、冷却およびハンマーミルでの粒径60μm以下への粉砕を行う。
【0220】
3. 未加工オート麦
二次発酵用の未加工オート麦の調製を2段階で行う。
【0221】
第1段階:細胞間構造の最大限の破壊が起こっており、「焙煎」風味を有し、標準的デンプン粒群熱変性度を有する加熱処理押しオート麦フレークの生産。
【0222】
第2段階:熱加水分解のための水性懸濁液の生産および主要プロセス−二次発酵への原材料供給。
【0223】
第1段階は、グレーンクリーナーおよびボウルターを用いた、不純物を除去するためのクリーニング;選別ドラムを用いた選別、遠心式脱穀機を用いた脱穀;研磨機を用いた研磨:を含む。この後、連続スチーマーを用いた蒸気圧2.5気圧下で45分間の水蒸気処理;細胞間構造剪断破壊のための標準ロール回転前進角でフレーク厚0.3〜0.5mmを得るためのフレーカーを用いた圧延;連続乾燥機を用いた水分含量10%以下までの乾燥を行う。
【0224】
第2段階は、オート麦と水の割合1:1.5で15℃以下の温度での水中への浸漬;コロイドミルを用いた粒径50μm以下への湿式粉砕および調理器具を用いた105℃の温度で30分間の熱水処理:を含む。この原材料は、その後、二次発酵のための主要プロセスに入る。
【0225】
4. オート麦ふすま
オート麦ふすまを、オート麦と水の割合1:1.5で水中に溶解し、このふすまを浸漬し、懸濁液を生産するために40分間放置する。この懸濁液をコロイドミルに通すことによってこの懸濁液の循環と微粉砕を同時に用いて冷却抽出を行う。この混合物に、次いで、前記ふすまからの1,3−1,4 β D−グルカンの熱抽出を行い、この熱抽出は、デキストリン化プロセスを避けるために、15℃からオート麦デンプンのデキストリン化温度まで徐々に温度を上げることによって行う。
【0226】
この懸濁液の後の処理は、循環システム内に組み込まれている装置内でUZGZ−4超音波発生装置を用いて行い、そこでは、超音波領域の高強度の機械的振動の連続作用下で1,3−1,4 β D−グルカン分子の強化抽出が分子レベルにおいて行われ、それらの分子が溶解する。実験的に決定された処理時間は5〜20分である。この溶液のpHをpH5.9〜6.2に調整する。
【0227】
ホモジナイザーでホモジナイゼーションを行い、このホモジナイザーでは前記溶液を高圧で(15〜20mPa)幅の狭いスロットへ押しやる。これらの応力の結果として、様々なサイズの高分子分子が引き伸ばされ、細かく混ざり合って、安定した粘度を有する安定したコロイド系溶液が生じる。
【0228】
このコロイド溶液の安定化は、その溶液を7〜15分間、粘度1000〜20 000cPまでホモジナイゼーションすることにより行う。
前記原材料の二次処理のためのプロセス
【0229】
前記加工成分:粗挽きオートミール、オート麦麦芽、未加工オート麦およびオート麦ふすまを1:3:11:15の割合で混合し、乾燥物質含量2.5〜20.0重量%まで水を加え、続いて均質懸濁液を得るためにホモジナイゼーションを行う。得られた均質懸濁液に連続管式熱交換器で135℃の温度まで加熱殺菌を行い、この温度で45〜60秒間維持した後、43℃以下の温度まで冷却する。
【0230】
プロバイオティック培養菌:Lactobacillus acidophilusおよびBifidobacteriumからスターターを調製する。二次発酵のために、前記混合物にプロバイオティック培養菌:Lactobacillus acidophilusおよびBifidobacteriumの調製スターターを接種する。
次のプロセス変数を用いて二次発酵を行う:
発酵時間:9〜16時間。
ヘッドスペースの残留酸素:3〜7%。
発酵ベース1g中のプロバイオティック細菌の量、CFU−10E 8〜10E11。
二次発酵からの発酵ベースの粘度:1000〜30 000cP。
【0231】
二次発酵中に、前記プロバイオティック細菌が10E8〜10E11CFU/gまで発生し、炭水化物およびタンパク質のより単純な化合物への加水分解が起こり、エキソ多糖類の形成が起こり、乳酸が20〜100度ターナーまで蓄積し、pHが3.2から4.5へと低下し、前記生産物の粘度が1000cPから30 000cPへと発展する。前記生産物を温度+2〜+6℃、粘度2000〜50 000cPまで、好ましくは粘度20 000〜40 000cPまで冷却する。
【0232】
よって、最終生産物の粘度は3つの因子により決まる:
・1,3−1,4 β D−グルカン分子のコロイド系、
・熱変性を受けたセルロースおよびデンプン多糖類、
・エキソ多糖類−微生物による全混合物の発酵産物。
【0233】
図2には、最終生産物の9サンプルの粘度変化を時間の関数として示すグラフを示している。図2から分かるように、粘度は最終生産物の想定保存期間の間ずっと安定している。粘度指数の安定性により最終生産物がその保存期間(30日)の間に層へ分離しないことが確認される。
【0234】
結果として、表3に記載する栄養価およびパラメーターを有する飲用バイオオート食品を得る。表3において、細菌に関するデータは生産物保存期間の最終日のものである。表3に示す、前記生産物を特徴付けている指数により、その栄養価および生物価が高く、治療および予防効果を促進することが確認される。特に、この生産物は2000〜50 000cPの粘度、好ましくは2000〜40 000cPの粘度を有し、コーティング特性が備わっている。こういったことが、血糖指数40〜50ユニットと合わさって、血液中へのグルコースの吸収速度およびグルコースピークの発現を抑える手助けをし、飽満感を長くし、悪玉コレステロールレベルの低下を促進し、効果的な代謝産物排出を確実にする;またこの生産物のpHが低いことで、腸内感染原因因子に対する抗微生物作用を提供し、カルシウムのイオン化および血液中へのその迅速吸収、ならびにリン、カリウムおよび他の微量元素の吸収向上を促進する。
【0235】
注目すべきは、記載した標準規格の原材料と、配合表(定性的および定量的成分組成を含む)を順守することだけで、指定標準規格(少なくとも0.4重量%)の含量の高分子可溶性食用オート麦繊維−1,3−1,4 β D−グルカンを含む最終生産物が確実に生産されることである。
【0236】
実施例7. 飲用バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、次のプロバイオティック培養菌:Lactobacillus rhamnosusおよびBifidobacteriumからスターターを調製することを除いては、実施例6と同じように飲用バイオオート食品を調製する。二次発酵を実施するために、プロバイオティック培養菌:Lactobacillus rhamnosusおよびBifidobacteriumから調製したスターターを前記混合物に接種する。
【0237】
結果として、表3に示す栄養価およびパラメーターを有する飲用バイオオート食品を得る。
【0238】
実施例8. 飲用バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、次のプロバイオティック培養菌:Lactobacillus plantarum、および/またはLactobacillus paracasei、および/またはLactobacillus caseiからスターターを調製することを除いては、実施例6と同じように飲用バイオオート食品を調製する。二次発酵を実施するために、プロバイオティック培養菌:Lactobacillus plantarum、および/またはLactobacillus paracasei、および/またはLactobacillus caseiから調製したスターターを前記混合物に接種する。
【0239】
結果として、表3に示す栄養価およびパラメーターを有する飲用バイオオート食品を得る。
【0240】
実施例9. 飲用バイオオート食品の生産
二次発酵を実施するために、実施例8のプロバイオティック培養菌と次の市販培養菌:Streptococcus thermophilus、および/またはLactobacillus bulgaricus、および/またはStreptococcus lactis、および/またはStreptococcus cremoris、および/またはStreptococcus diacetylactis、および/またはLactococcus lactis、Lactococcus cremoris、および/またはLactococcus diacetylactis、および/またはLactobacillus helveticus、および/またはLactobacillus lactis、および/またはLactobacillus delbruekii、および/またはプロピオン酸菌属種、および/またはKluyveromyces lactisの混合物からスターターを調製することを除いては、実施例6と同じように飲用バイオオート食品を調製する。
【0241】
結果として、表3に示す栄養価およびパラメーターを有する飲用バイオオート食品を得る。
【0242】
【表5】

【0243】
実施例10. 食用増量剤入り飲用バイオオート食品の生産
冷却チャンバー内で+2〜+6℃の温度で生産物を冷却する前に、その生産物を食品工業で用いられている増量剤(食用増量剤)、例えば:野菜および/もしくは果物のピューレ(調理済み、もしくは砂糖を加えて調理済み)、または濃縮果物および液果ジュース、または果物および液果粉末、またはハーブ乾燥抽出物、またはハーブ液体抽出物、またはナッツ、または穀物などと混合することを除いては、実施例6と同じように飲用バイオオート食品を調製する。
【0244】
前記食用増量剤は次の割合で用いることができる(生産物に対する重量%):
・野菜および/または果物のピューレ 3〜20重量%;
・濃縮果物および液果ジュース 1〜7重量%;
・果物および液果粉末 1〜5重量%;
・ハーブ乾燥抽出物 1〜3重量%;
・ハーブ液体抽出物 1〜7重量%;
・ナッツ 1〜5重量%;
・穀物 1〜5重量%。
【0245】
結果として、表4に示す栄養価およびパラメーターを有する増量剤入り飲用バイオオート食品を得る。表4に示す、細菌に関するデータは保存期間の最終日のものである。
【0246】
【表6】

【0247】
上記実施例の全てにおいて、生産した生産物は、1,500,000ダルトンを超える平均分子量を有する1,3−1,4 β D−グルカン(本明細書において参照するRimstein et alに記載されている試験方法に従って測定)を含有する。
【0248】
上記実施例は、本発明の方法を行うことができる限定されない方法を例示する。上記の様々な実施例の2つ以上の態様を組み合わせてもよい。同様に、実施例のいかなる態様も、特に断りのない限り、一般的に適用可能であり、本明細書に記載した本発明の他の実施形態または態様のいかなるものとも組み合わせてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロバイオティックオート麦ベース流動食品の調製方法であって、
A)オート麦材料の発酵を含む、第1の発酵工程;
B)1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含有する水性懸濁液を形成するために、1以上の未発酵オート麦由来物質を水の存在下で機械的に処理すること(ここで、該懸濁液中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1,500,000ダルトンである)、そして該水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、該第1の発酵工程からの生産物を該1以上のオート麦由来物質および該水と合わせること;および
C)Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaの量が少なくとも10E7 CFU/gとなりおよび/またはビフィドバクテリウムの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、該水性懸濁液の発酵を含む、第2の発酵工程
:を含む方法。
【請求項2】
前記オート麦材料および前記未発酵オート麦由来物質が得られるオート麦が少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程Aにおいて、前記オート麦材料が穀物麦芽の存在下で発酵される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の発酵工程が、オート麦の発酵を促進しおよび/または可能にするのに好適な、lactobacteria、酵母および他の細菌から選択される1以上の微生物の存在下での発酵を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記微生物が、Lactobacillus plantarum、Leuconostoc mesenteroides、Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエおよび枯草菌から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の発酵工程が、前記微生物Lactobacillus plantarum、Leuconostoc mesenteroides、Pediococcus cerevisiae、サッカロマイセス・セレビシエおよび枯草菌の全ての存在下で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の発酵工程が酵母の存在下で行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の発酵工程が、1000〜20,000cPの粘度および3.2〜4.5のpHに達するまでの水中での前記オート麦材料の発酵の実施を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の発酵後に、前記発酵オート麦材料を含む前記発酵混合物が40重量%以下の水分含量まで乾燥させられ、前記第1の発酵工程の生産物を形成するために、所望により続いてその混合物中の粒子の粉砕またはスライシングが行われる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の発酵の後に、前記発酵オート麦を含む前記発酵混合物が、35〜30重量%の水分含量まで乾燥させられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の発酵工程の前に、穀物粒群のモルティングによる穀物麦芽の生産をさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記穀物粒群が大麦粒群を含んでなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程Bの機械的処理が、前記1以上の未発酵オート麦由来物質から1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度で水中に浸漬することを含み、この際、その1以上の未発酵オート麦由来物質は、その浸漬前、その間またはその後にスライスおよび/または粉砕される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記機械的処理が、前記1以上の未発酵オート麦由来物質から1,3−1,4 β D−グルカンを抽出するために、その1以上の未発酵オート麦由来物質を68℃より低い温度T1で水中に浸漬すること、続いてその1以上のオート麦由来物質をT1より高い温度T2でその水中に浸漬すること、T1および/またはT2での浸漬前、その間および/またはその後に、その1以上の未発酵オート麦由来物質をスライスおよび/または粉砕すること、さらに、得られた混合物を前記第1の発酵工程からの生産物と合わせることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
温度T1での前記浸漬後、温度T2での前記浸漬前に、前記1以上の未発酵オート麦由来物質が、好ましくは前記オート麦由来物質の少なくとも90重量%の粒子が500μm以下の最大直径を有するように、所望により前記水中で、スライスおよび/または粉砕される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1以上の未発酵オート麦由来物質が少なくとも10重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオート麦ふすまを含んでなる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも10重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する前記オート麦ふすまが、粉砕オート麦ふすまの水性懸濁液を形成するために、25℃以下の温度T1で同時粉砕しながら水中に浸漬され、その後T1より高く68℃以下の温度である温度T2でその水中に浸漬される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1以上の未発酵オート麦由来物質が、少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有するオートミールを含んでなる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
粉砕オートミールの水性懸濁液を形成するために、少なくとも5重量%の1,3−1,4 β D−グルカンを含有する前記オートミールが68℃より低い温度T1で水中に浸漬され、その後そのオートミール粒子がその水中でスライスおよび/または粉砕され、さらにそのオートミールが68℃より低い温度T2でその水中に浸漬される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
T1が15〜20℃であり、かつT2が18〜20℃であり、さらに、前記抽出間に、前記オートミール粒子が、好ましくは少なくとも90重量%の粒子が500μm以下の最大直径を有するように、その粒子のスライシングによってサイズ減少される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記オートミールが、T1での前記浸漬、前記オートミールの前記粉砕および/またはスライシング、ならびにT2での前記浸漬:のうちの1以上の間に前記水中で超音波処理に供される、請求項19または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程Bにおける水性懸濁液を形成するために、粉砕オート麦ふすまの水性懸濁液が粉砕および/またはスライスオートミールの水性懸濁液と合わせられ、その後その水性懸濁液が前記第1の発酵工程からの生産物と合わせられる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
工程Bの水性懸濁液を形成するために、請求項17に記載の粉砕オート麦ふすま水性懸濁液と、請求項19〜21のいずれか一項に記載の粉砕および/またはスライスオートミール水性懸濁液が合わせられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
水性懸濁液Xを形成するために、前記第1の発酵工程からの生産物が水中での粉砕および/またはスライシングプロセスに供され、その後この水性懸濁液Xが前記第2の発酵工程の前に工程Bにおいて形成された水性懸濁液に加えられる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
3mm以上、好ましくは1mm以上の最大直径を有する粒子を実質的に含まない、工程Bの水性懸濁液を形成するために、請求項17に記載の粉砕オート麦ふすま水性懸濁液と請求項19〜21のいずれか一項に記載のスライスおよび/または粉砕オートミール水性懸濁液が混合され、その後65℃より高い温度で、好ましくは65〜78℃で遠心分離され、そして前記第2の発酵工程の前に前記第1の発酵工程からの生産物がその遠心分離水性懸濁液と合わせられる、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の発酵工程からの生産物と前記遠心分離水性懸濁液とを合わせた後に、その遠心分離懸濁液を68℃より高い温度で、好ましくは70〜100℃の温度で、少なくとも20分の間、好ましくは30〜40分の間加熱することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
工程Bにおいて形成された、前記第1の発酵工程からの生産物を含む水性懸濁液が2.5〜20重量%の固体含量を有する、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
工程Bにおいて形成された懸濁液が加熱殺菌に供され、43℃より低い温度まで冷却され、その後Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムが接種され、工程(C)の前記二次発酵に供される、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の発酵の後に、前記生産物が15℃以下の温度まで冷却される、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の発酵の後に、前記生産物が2〜6℃の温度まで冷却される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の発酵と前記任意選択後続冷却の後に、野菜および/または果物物質が前記懸濁液に加えられ、その後その懸濁液が気密容器にパッケージングされ、5℃以下の温度で、好ましくは2〜4℃の温度で、12〜72時間の間、好ましくは24〜48時間の間保管される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
該方法により形成されたプロバイオティックオート麦ベース流動食品の粘度が2000〜80,000cPである、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記粘度が20,000〜80,000cPである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記粘度が2000〜50,000cPである、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
プロバイオティックオート麦ベース流動食品であって、
a.1,3−1,4 β D−グルカン(ここで、好ましくは、該食品中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1,500,000ダルトンである);
b.2.5〜40重量%の固体(これらの固体の少なくとも一部はオート麦に由来する);
c.少なくとも10E7 CFU/gのLactobacteriaおよび/または少なくとも10E7 CFU/gのビフィドバクテリウム;
d.残部水

を含んでなる、食品。
【請求項36】
請求項1〜34のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、請求項35に記載の食品。
【請求項37】
40〜60ユニットの血糖指数を有する、請求項35または請求項36に記載の食品。
【請求項38】
3.2〜4.5のpHを有する、請求項35〜37のいずれか一項に記載の食品。
【請求項39】
2000〜80,000cPの粘度を有する、請求項35〜38のいずれか一項に記載の食品。
【請求項40】
20〜90kcal/100gの発熱量を有する、請求項35〜39のいずれか一項に記載の食品。
【請求項41】
プロバイオティックオート麦ベース流動食品の調製方法であって、
A)1,3−1,4 β D−グルカンを溶解および/または懸濁された状態で含有する水性懸濁液を形成するために、1以上の未発酵オート麦由来物質を水の存在下で機械的に処理すること(ここで、該懸濁液中の1,3−1,4 β D−グルカンの平均分子量は少なくとも1,500,000ダルトンである)、そして該水性懸濁液の形成前、その間またはその後に、発酵オート麦材料を該1以上のオート麦由来物質および該水と合わせること;および
B)Lactobacteriaおよび/またはビフィドバクテリウムの存在下での、Lactobacteriaの量が少なくとも10E7 CFU/gとなりおよび/またはビフィドバクテリウムの量が少なくとも10E7 CFU/gとなるまでの、該水性懸濁液の発酵を含む、第2の発酵工程
:を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514428(P2010−514428A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−543383(P2009−543383)
【出願日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/011299
【国際公開番号】WO2008/077594
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(509180164)ヴェル・アールダブリュー・リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Velle RW Ltd.
【Fターム(参考)】