説明

プロペラ玩具

【課題】 低価格化、小型化が可能であり、しかも異なる種類の飛行機玩具またはキャラクタを任意にセットして遊ぶことができるプロペラ玩具の提供。
【解決手段】 振動の伝達により回転するプロペラ(5)と、装着部(11)とを備えた玩具本体(2)と、前記振動を発生する振動発生手段と、前記装着部に対して着脱可能であり、かつ前記振動を前記玩具本体に対して伝達する振動伝達部材とを内蔵したスタンド(3)とを具備するプロペラ玩具(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロペラ玩具に係り、特に振動の伝達により回転するプロペラを備えたプロペラ玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飛行機を模した種々のタイプの玩具が提案されている。これらの玩具の内で、実際に飛行させて楽しむRC(ラジコン、ラジオコントロール)飛行機と、内蔵の直流小型モータに直結されたプロペラを回転させることでリアル感を演出し、主に机上に置いて楽しむように構成されたデスプレイタイプの電動模型飛行機が知られている。この種のデスプレイタイプの電動模型飛行機は、個人が組み立てるプラモデルとしても販売されている。
【0003】
一方、振動が伝達されることで本体先端に回転自在に設けられたプロペラを回転して遊ぶように構成された「プロペラ廻し玩具」も提案されている。この提案になる玩具によれば、玩具本体の中央部に振動片を設け、この振動片を回転軸支されるカム板の角部の当接作用により振動させるために、カム板に設けられたハンドル操作を手動で行うように構成されている。(特許文献1)
【特許文献1】実開昭61−94095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の直流小型モータ内蔵式のディスプレイタイプの電動模型飛行機によれば直流モータを駆動するために、乾電池とその電池ボックスおよびスイッチならびに配線が必要となるのでその分高価とならざるを得ない。また、上記の内蔵部品点数が多くなる結果、小型化も困難となる。さらに、通電のオンオフ用のスイッチを通常は本体腹部などの目につきにくい部位に設けることでスケール感をかもし出すようにしている関係上から、スイッチ操作を行いにくくなる場合もある。
【0005】
また、異なる機種の飛行機をデスプレイタイプの電動模型飛行機として鑑賞するためには、その分の飛行機が必要となり出費を強いられることとなる。
【0006】
一方、上記提案の手動式の「プロペラ廻し玩具」によれば低価格化、小型化は可能となる。しかしながら、プロペラを回転させるための操作は、例えば右手で本体を把持し、左手でカム板を回転することから、上記のようなデスプレイタイプの電動模型飛行機として遊ぶことはできない。
【0007】
したがって、本発明は上記の問題点に鑑みて成されたものであり、低価格化、小型化が可能であり、しかも異なる種類の飛行機玩具またはキャラクタ等を任意にセットして遊ぶことができるプロペラ玩具の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のプロペラ玩具によれば、振動の伝達により回転するプロペラと、装着部とを備えた玩具本体と、前記振動を発生する振動発生手段と、前記装着部に対して着脱可能であり、かつ前記振動を前記玩具本体に対して伝達する振動伝達部材と、を内蔵したスタンドを具備することを特徴としている。
【0009】
また、前記振動発生手段は、その出力軸に偏心錘を固定した電動式モータを含み、また前記振動伝達部材は、前記振動発生手段を収容する収容部と、前記装着部に対して固定される固定部とを一体形成したことを特徴としている。
【0010】
また、前記振動伝達部材は、前記収容部の一端側に前記固定部を一体形成し、前記収容部の他端側に取付部を一体形成し、前記スタンドは、前記固定部を外部に露出させる孔部を形成し、前記取付部を取り付けることを特徴としている。
【0011】
そして、本発明のプロペラ玩具によれば、振動の伝達により回転するプロペラと、装着部とを備えた玩具本体と、前記振動を発生するように、その出力軸に偏心錘を固定した電動式モータを含む振動発生手段と、前記振動発生手段を収容する収容部と、前記装着部に対して固定される固定部とを一体形成するとともに、前記収容部の一端側に前記固定部を一体形成し、前記収容部の他端側に取付部を一体形成することで、前記振動を前記玩具本体に対して伝達する振動伝達部材とを備え、前記固定部を外部に露出させる孔部を形成し、前記取付部を取り付けるスタンドにおいて前記振動伝達部材を内蔵したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、振動の伝達により回転するプロペラと装着部とを備えた玩具本体を、スタンドに内蔵された振動伝達部材に固定し、振動発生手段を起動させることでスタンドに内蔵された振動伝達部材からの振動がプロペラに伝達されてプロペラを回転させることができるとともに、玩具本体を任意に着脱可能にして異なる種類の玩具でも遊ぶことができるプロペラ玩具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な一実施形態について添付の各図面を参照して述べる。
【0014】
ここで、本発明は様々な修正と変更が可能であり、その内の特定の事例が図面に図示されており、以下に詳細に記述されることになる。しかしながら、本発明はこれらに限定されず請求の範囲に規定された範囲で種々の構成が可能であることは言うまでもなく、後述する構成以外にも全てのプロペラ玩具に適用可能である。
【0015】
先ず、図1は本発明の一実施形態であるプロペラ玩具1の動作状態を示した正面図である。本図において、このプロペラ玩具1は、図示のように机上D上に置かれるスタンド3と模型飛行機2とから構成されている。この模型飛行機2は、例えば100分の1のスケールモデルの全プラスチック製の人力飛行機であり振動の伝達により回転するプロペラ5を胴体部4の先端に設けている。このプロペラ5にはその回転中心に貫通孔が穿設されており、この貫通孔に対して頭部を一体形成した頭部付き軸体6を挿通した後に、胴体部4の先端に頭部付き軸体6を固定することで、回転可能に設けられている。
【0016】
一方、胴体部4の重心部位には主翼7が、後方には水平尾翼8と垂直尾翼9が図示のように固定される一方で、主翼7の下方にはペダル操作および操縦を行うパイロットを収容するコックピット10が実機を模して吊るされた状態で固定されている。
【0017】
以上の部品において、胴体部4にプロペラ5と垂直尾翼9およびコックピット10を予め組み付け完成した状態にしておき、主翼7と水平尾翼8を嵌合により図示のように固定することで、部品の収容箱の体積を小さくできるようにしても良い。このように部品単位を極力小型化することでカプセル入りの商品として無人無通電の自動販売機での販売を行うことも可能になる。
【0018】
また、コックピット10の下方腹部分の略重心点となる部位には、スタンド3への装着部となる図中破線で示した有底穴部11が形成されている。
【0019】
次に、スタンド3は図示のようにナンバーワンを意識したデザインを備えた本体カバー20を備えており、単4乾電池23を簡単に交換可能にできるとともに、机上Dに安定して置くために本体カバー20の底面には3つの防振体22が設けられている。
【0020】
スタンド3の本体カバー20内には有底穴部11に対する挿入後に、軽い締まり嵌め状態で固定される固定部を備えた振動伝達部材が内蔵されており、この振動伝達部材をモータ駆動により振動させることで、コックピット10を介して振動をプロペラ5に伝達することでプロペラを回転できるように構成されている。
【0021】
ここで、振動発生手段としては後述する直流小型モータの出力軸に偏心錘を固定した構成とすることで、オンオフ操作が簡単にできかつ小型に構成できるので最良であるが、これの構成に限定されず、ぜんまい、フライホイール(はずみ車)、ゴム動力などを用いた手動式であっても良い。さらに、大きさは、図示の単4乾電池23との対比から分かるようにかなり小型に構成されるが、これに限定されず例えば72分の1のスケールの双発機の各プロペラを全て回転できるような振動を発生するような大きな構成も可能であることは言うまでもない。
【0022】
続いて、図2は図1のスタンド3の立体分解図である。また、図3は図2の本体カバー20を取り付ける前の状態を示した正面図である。
【0023】
両図において、既に説明済みの構成または部品については、同様の符号を附して説明を割愛すると、本体カバー20は所定樹脂材料を用いて射出樹脂成形されるとともに、その底部は安定化のために幅広に形成されている。この本体カバー20には図中破線で図示した合計で4箇所の穴部20kおよびネジ穴を有した2つのスタッド部20aが形成されるとともに、上端において半孔部20bが形成されている。
【0024】
この本体カバー20と勝手違いに形成される本体カバー21は、本体カバー20との接合面が平坦に形成されるとともに、上記の穴部20kに挿入される凸部21kを接合面から突出形成している。また、スタッド部20aに螺合される小ネジ50を図示のように通すための穴部21sが上下の2箇所に形成されている。
【0025】
さらに、本体カバー20の半孔部20bに対向した位置に半孔部21bが形成されており、本体カバー20、21を接合固定した状態で、振動伝達部材40の固定部である軸部40dが本体カバー20、21の外部に露出できるようにしている。
【0026】
そして、本体カバー20、21には、図示のように下方に凸に形成された乾電池の正極部品30とスプリング35を固定した負極部品34およびスライドスイッチ部品31を不動状態で固定するための溝部が図示のように一体成形されている。
【0027】
また、小型直流モータ25には配線28、29が接続されており、これらの配線28、29を正極部品30と負極部品34およびスライドスイッチ部品31に対して配線33を予めはんだ付け接続した状態にしておき、図3に図示の状態にセットできるようにして組み付け工程の簡略化を実現可能にしている。スライドスイッチ部品31はスイッチ動作後、初期状態に戻るオルタネイト式でありそのノブ31aに孔部32bが入るようにしたスイッチ32を設けることで狭い空間にスライドスイッチ部品31を設けるようにしているが、安価な構成ではスライドスイッチ部品31のノブ31aを直接操作するようにしても良い。また、操作中のみ通電するモーメンタリ式のスイッチも採用可能である。
【0028】
小型直流モータ25は、例えば携帯電話機の振動発生用のものが使用でき、その出力軸に偏心錘26を固定している。この小型直流モータ25は図示のような形状に樹脂成形される振動伝達部材40の箱形状の収容部40a内にセットされる。このためにモータ25を収容部40aに押し込むと開口縁部に形成された爪部40k、40k(図3に図示)が一時的に広げられ、その後に、元の位置に復元することで収容部40a中における不動状態になるようにして固定される。
【0029】
また、振動伝達部材40の収容部40aの上端からは固定部となる軸部40dを一体形成した湾曲部40cが図示のように一体形成されるとともに、収容部40aの下端側において上記の本体カバー21から延設された軸支部21aに対して挿入される貫通孔部を有した取付部40bが一体形成されている。
【0030】
なお、収容部40aの下端側に軸支部(不図示)を一体形成し、この軸支部に対して挿入される有底穴部を有した取付部(不図示)を本体カバー21に形成してもよい。
【0031】
以上のように構成される各部品を図3に図示の組み付け状態にすることで、振動伝達部材40の軸部40dは本体カバー20、21の外部に露出され、取付部40bが軸支部21aに取り付けられ、本体カバー20を固定して完成する。
【0032】
ここで、取付部40bが軸支部21aに取り付けられることで、取付部40bは軸支部21aに対して揺動可能状態で支持される構造となるので、プロペラ玩具1のディスプレイ台としてのスタンド(本体カバー20、21)への振動の伝達を軽減することができる。よって、効率的に玩具本体1に対して振動を伝達可能となる。
【0033】
以上のようにして完成されるので、スイッチ32のノブ32aを移動してスイッチオン状態にして図1で述べたようにして遊ぶことができるようになる。特に、玩具本体を任意に簡単に着脱できるので一つの種類の玩具が飽きた後に他の玩具でも遊ぶことができるようになる。また、乾電池は露出しているので幼児でも簡単に交換できる。
【0034】
次に、図4は他の実施形態を図示した正面図である。本図において、既に説明済みの構成または部品については同様の符号を附して説明を割愛すると、上記の模型飛行機に代えてプロペラ5を設けた帽子を被ったキャラクタ102の腹部に孔部11が形成されている。また、主翼に1対のプロペラ5を設けた双発機103のランディングギアの傍に孔部11が穿設されている。そして、機首にプロペラ5を設けた複葉機104の重心近くに孔部11が穿設されている。
【0035】
さらに、孔部11の近くには各機首の発生音を指示するICタグTまたは接点が貼設されており、スタンド3の軸部40dの近くに配置された受信機Vまたは電気接点で各ICタグまたは接点を検出し、スタンド3または各飛行機に内蔵の音声発生IC(不図示)により各音声を発生してスタンド3の側面に設けられたブザー151で外部に音を出せるようにしている。
【0036】
また、スタンド3は図示のように壁掛け式となっておりフック孔153を上端に固定したベース152上に図示のように固定されている。さらに、上記の乾電池に代えてボタン電池123を内蔵しており、蓋体150をさらに設けている。
【0037】
以上の構成によれば、机上スペースが無い場合でも使用でき、かつまたプロペラの回転に加えて各機種またはキャラクタにふさわしいプロペラ作動音も同時に楽しむことができるのでより楽しく鑑賞できるようになる。また、プロペラ玩具としてジャイロコプタ―、ヘリコプターなどの飛行機に加えて、ボートまたは潜水艦のスクリューを回転させる玩具も可能であることも言うまでもない。さらに、プラモデルキットとして提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態であるプロペラ玩具1の動作状態を示した正面図である。
【図2】プロペラ玩具1のスタンド3の立体分解図である。
【図3】図2の本体カバー20を取り付ける前の状態を示した正面図である。
【図4】他の実施形態を図示した正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 プロペラ玩具
2 模型飛行機
3 スタンド
4 胴体
5 プロペラ
11 有底穴部(装着部)
20、21 本体カバー
23 乾電池
25 小型直流モータ
28、29、33 配線
31 スライドスイッチ
30 正電極
34 負電極
40 振動伝達部材
40d 軸部(固定部)
D 机上
W 壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動の伝達により回転するプロペラと、装着部とを備えた玩具本体と、
前記振動を発生する振動発生手段と、前記装着部に対して着脱可能であり、かつ前記振動を前記玩具本体に対して伝達する振動伝達部材と、
前記振動発生手段および前記振動伝達部材とを内蔵したスタンドと、
を備えることを特徴とするプロペラ玩具。
【請求項2】
前記振動発生手段は、その出力軸に偏心錘を固定した電動式モータを含み、前記振動伝達部材は、前記振動発生手段を収容する収容部と、前記装着部に対して固定される固定部とを一体形成したことを特徴とする請求項1に記載のプロペラ玩具。
【請求項3】
前記振動伝達部材は、前記収容部の一端側に前記固定部を一体形成し、前記収容部の他端側に取付部を一体形成し、
前記スタンドは、前記固定部を外部に露出させる孔部を形成し、前記取付部を取り付けることを特徴とする請求項2に記載のプロペラ玩具。
【請求項4】
振動の伝達により回転するプロペラと、装着部とを備えた玩具本体と、
前記振動を発生するように、その出力軸に偏心錘を固定した電動式モータを含む振動発生手段と、
前記振動発生手段を収容する収容部と、前記装着部に対して固定される固定部とを一体形成するとともに、前記収容部の一端側に前記固定部を一体形成し、前記収容部の他端側に取付部を一体形成することで、前記振動を前記玩具本体に対して伝達する振動伝達部材と、を備え、
前記固定部を外部に露出させる孔部を形成し、前記取付部を取り付けるスタンドに前記振動伝達部材を内蔵したことを特徴とするプロペラ玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−330481(P2007−330481A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165303(P2006−165303)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】