ヘアカラーリングシステム
処理器を含むヘアカラートリートメントの決定システム。処理器はヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受け、初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、そして算出工程に基くデータを装置に出力するように構成される。システムはまた、初期スペクトルを生成するように構成されたスペクトル分析器、及びデータに基いてカラー及びヘアカラートリートメント指示を表示する表示装置を含む。本発明の代替実施態様はデータに基いたヘアカラートリートメントを分配するように構成されたカラー混合装置を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアカラーリングに関し、特に本発明は予め染色されたヘアを含むヘアのためのヘアカラートリートメントを決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
紹介すると、異なるヘアの試料は、特にヘアの異なる化学色素構造並びに処理されるヘアの状態のために漂白及び染色の工程に対して異なるように反応する。従来技術は誤差を最小にしかつヘアカラー製品での顧客の満足を増大するために最終的なヘアカラーを予測しようと試みる多くの方法を含む。
【0003】
本発明に関連するのはScottのUS特許No.4434467である。Scottの特許は顧客が自分自身のヘアカラーに最も密接にマッチするカラーをデータベースから選択する方法を記載する。次いで顧客はデータベースから所望の最終的なカラーを選択する。次いでコンピュータは製造者の指示に基いたトリートメントを提案する。上述のシステムの欠点は顧客が視覚的な比較によって自分自身のヘアカラーに最も密接にマッチするものを決定しなければならないことである。上述のシステムのさらなる欠点はシステムが初期のヘアカラーの固定されかつ限定された選択に基くヘアトリートメントに限定され、そのため個人のヘアカラーを考慮しないことである。
【0004】
また、本発明に関連するものはHawiukのUS特許No.5609484である。Hawuikは、初期のヘアカラーを再現し、次いで既知のヘア染色に関するカラーフィラメント見本を加えてヘア染色によって初期のヘアカラーがどのように影響されるかを見るためにカラーフィラメント見本を使用することを教示する。上述のシステムの欠点はシステムが正確でないことである。上述のシステムのさらなる欠点は初期のカラーの決定が高度の推定を伴うことである。上述のシステムの追加の欠点はこのシステムが初期のヘアカラーの漂白に対処しないことである。
【0005】
本発明に最も関連するものはMacFarlaneらのUS特許No.6067504,6157445,6308088,6314372,6330341である。これらの特許は最初にヘア試料から反射スペクトルを得ることを含む方法を記載する。次いでヘア試料の反射スペクトルのハンターの係数L,a及びb色座標がコンピュータによって分析される。次いで初期のヘアカラーはルックアップテーブルに記憶された色座標の係数の範囲に従ってコンピュータによって分類される。次いで使用者は可能な最終のカラーの選択から所望のヘアカラーを選択する。次いでコンピュータは初期のヘアカラー及び所望の最終のヘアカラーのためにルックアップテーブルに記憶されたヘアトリートメントに基いた適切なヘアトリートメントを決定する。上述のシステムの欠点は初期のヘアカラーが可能なカラーの範囲に適合する人工的なカラーに従って分類されていることに起因する。それゆえ、提案されたヘアトリートメントは使用者の初期のヘアカラーを正確に反映しない。上述のシステムのさらなる欠点はヘアトリートメントルックアップテーブルの作成及び維持が莫大な数の実験を必要とすることである。例えば、各ヘア染色について、その染色のために達成されることができる全ての可能な初期及び最終のヘアカラーに対する実験が必要とされる。
【0006】
また、本発明に関連するのはMarapaneらによるUS特許No.6707929である。Marapaneらは特定の染色に対して未処理のヘアの色座標と処理されたヘアの色座標の間の関係を規定する方程式を使用することによってヘアの最終的な色座標(例えばL,a,b,又はRGB)を算出することを教示する。この方法はMacFarlaneらの特許の欠点の幾つかを克服する。それにもかかわらず、全ての上述の方法(Marapaneらの特許を含む)はL,a,b,又はRGBの如き色座標系を使用する。色座標は特定の場合において誤解を生じうる。例えば、人の目に実質的に異なるように見える二つのヘアの試料は、それらが異なる反射スペクトル、従って異なる濃度の成分を持っていたとしても同じL,a,bの色座標値を有しうる。例えば、染料Aで着色される一つの自然なブロンドヘアーの試料は別のヘアの試料、例えば染料Bで着色されたブラウンのヘアと同じ色座標を有しうる。さらに、各々が異なる反射スペクトルを有する多数のヘアの試料は全て、同じ又は極めて類似した色座標を発生しうる。なぜならばヘアのキューティクル及び白いエンベロープも反射スペクトルに寄与するからである。しかしながら、これらのヘアの試料に適用された同じヘアトリートメントはそれらの成分の各々の異なる初期濃度のために異なる最終的なヘアカラーを発生するだろう。それゆえ、L,a,b色座標又は他の色座標を単に見るだけでは見せかけの結果を導きうる。
【0007】
さらに、上述の方法のいずれも、ヘアの化学的特性に基いたカラートリートメント方法をモデル化していない。
【0008】
単一のヘア染料が与えることができない所望のヘアカラーを顧客が得ることを助けるためにヘアサロンでヘア染料を混合することが広く行なわれている。上述の方法はいずれも、染料の特定の組み合わせについて実験を実施する必要なしで二つ以上のヘア染料の混合物で着色されたヘアの最終的なカラーを予測しない。換言すれば、全ての上述の方法は、全ての可能な混合物で多量の異なるヘアの試料を着色し、各混合物のためのモデルを別個に構築することを要求する。それゆえ、この問題に対する包括的な解決策を与えるために全ての可能なカラー混合物をカバーすることは従来技術によって実行できない。
【0009】
また、従来技術は予め染色されたヘアを着色することに対して効果的に対処しない。
【0010】
それゆえ、自然のヘア並びに予め染色されかつ/または漂白されたヘアを含みかつ二種以上の染料の混合物を使用することを含む全てのタイプのヘアに対して好適なヘアカラートリートメントを正確に決定するためのヘアカラー決定システム及び方法に対する必要性がある。
【発明の開示】
【0011】
本発明はヘアカラー決定システム及びその操作方法である。
【0012】
本発明の教示によれば、以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステムが提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出する;そして
(iii)算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0013】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0014】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0016】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0017】
本発明のさらなる特徴によれば、処理器はヘアに所望のスペクトルを与えるヘアのためのトリートメントを決定するためにさらに構成される。
【0018】
本発明のさらなる特徴によれば、一次関数は実質的に非加算的である。
【0019】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は、波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって初期スペクトルを乗算することに基づいて新しいスペクトルを算出することによって実施され、スペクトル変化関数の値は波長範囲にわたって変化する。
【0020】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0021】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0022】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0023】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下のことを含む:
(i)波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)一組の新しい光学値から新しいスペクトルを形成する。
【0024】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数が波長範囲にわたって変化する。
【0025】
本発明の教示によれば、以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステムもまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)ヘアの所望のスペクトル及び初期スペクトルの一次関数としてヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する;そして
(iii)決定の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0026】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0029】
本発明のさらなる特徴によれば、関数は実質的に非加算的である。
【0030】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲にわたって初期スペクトルによって所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、スペクトル変化関数からトリートメントを決定することを含む。
【0031】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0032】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0033】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0034】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む。
【0035】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0036】
本発明の教示によれば、第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアのトリートメントを決定するためのシステムであって、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、システムは以下のために構成された処理器を含むシステムもまた提供される:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、算出は以下の(I)及び(II)の少なくとも一つに基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する;そして
(iii)算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0037】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【0038】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0039】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0040】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0041】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0042】
本発明の教示によれば、以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法もまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出する。
【0043】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたカラーを表示する工程もまた提供される。
【0044】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程もまた提供される。
【0045】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントを分配する工程もまた提供される。
【0046】
本発明のさらなる特徴によれば、ヘアに所望のスペクトルを与えるヘアのためのトリートメントを決定する工程もまた提供される。
【0047】
本発明のさらなる特徴によれば、一次関数は実質的に非加算的である。
【0048】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は、波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって初期スペクトルを乗算することに基づいて新しいスペクトルを算出することによって実施され、スペクトル変化関数の値は波長範囲にわたって変化する。
【0049】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0050】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0051】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0052】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下のことを含む:
(i)波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)一組の新しい光学値から新しいスペクトルを形成する。
【0053】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0054】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は上記工程を含む。
【0055】
本発明の教示によれば、以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法もまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)ヘアの所望のスペクトル及び初期スペクトルの一次関数としてヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する。
【0056】
本発明のさらなる特徴によれば、決定に基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程がまた提供される。
【0057】
本発明のさらなる特徴によれば、決定に基いたヘアカラートリートメントを分配する工程がまた提供される。
【0058】
本発明のさらなる特徴によれば、関数は実質的に非加算的である。
【0059】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲にわたって初期スペクトルによって所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、スペクトル変化関数からトリートメントを決定することを含む。
【0060】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0061】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0062】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0063】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む。
【0064】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0065】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は上記工程を含む。
【0066】
本発明の教示によれば、第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定するための方法であって、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、方法は以下の工程を含む方法もまた提供される:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、算出は以下の(I)及び(II)に基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する。
【0067】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【0068】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータに第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定させ、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、指示は上記工程を含む。
【0069】
図面の簡単な記述
本発明は添付図面を参照して例示によってのみここに記載される。
図1は本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作できるヘアカラー決定システムの概略図である。
図2は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。
図3は図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
図4は図2の第一のアプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
図5は図2の第一のアプローチで使用するための前に染色されたヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
図6は図2の第一のアプローチで使用するための試料染色スペクトル変化成分である。
図7は図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。
図8は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。
図9は図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
図10は図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料のための一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。
図11は図1のシステムの操作における工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明はヘアカラー決定システム及びその操作方法である。
【0071】
本発明によるヘアカラー決定システムの原理及び操作は添付の図面及び明細書の説明を参照してより良く理解されるだろう。
【0072】
紹介すると、本発明は自然のヘア、ヘアカラートリートメントで予め染色されかつ/または漂白されたヘアを処理する方法から生じる最終的なヘアカラーを予測することを教示する。用語「ヘアカラートリートメント」は本書では単一の製品又は二種以上の製品の混合物でヘアを染色及び/又は漂白することを含むように規定される。一般に、ヘアを染色するためのヘアカラートリートメントはまた、キューティクルを開いて染料をヘアに侵入させることができる漂白剤を含む。それゆえ、ヘアを染色することだけを意図したヘアカラー製品であっても、ヘアに対して漂白効果を有する漂白物質を一定量含む。用語「染色(dye又はdyeing)」は本書ではヘアにカラー色素を添加することとして規定される。用語「漂白(bleach又はbleaching)」は本書では酸化された形で色素を置換することとして規定される。本発明は、染色とヘアカラートリートメントによって生じる漂白スペクトル変化成分を分離し、初期反射スペクトルの一次関数として最終的な又は新しい反射スペクトルを算出することに基く。用語「最終的な」又は「新しい」反射スペクトルは提案された又は仮定のヘアカラートリートメントを考慮した後のヘアの算出された反射スペクトルとして規定される。用語「初期」反射スペクトルはこのヘアカラートリートメントの前のヘアの試料の測定された反射スペクトルとして規定される。それにもかかわらず、ヘアの試料はこの現在提案されるヘアカラートリートメントの前に予め染色及び/又は漂白されていてもよい。用語「一次関数」は入力スペクトルをMarapaneら及びMacFarlaneらによって使用される(L,a,b)表示の如き非スペクトル色表示又はGrossingerらの公開されたUS特許出願において出願人によって教示された自然のヘアの因子の係数に変換することなく初期スペクトルを最終的な(又は新しい又はスペクトル変化関数)に変形する関数として本書で規定される。初期反射スペクトルは自然のヘアの因子(ユーメラニン及びフェオメラニン)並びに前の染色に関する因子(もし適用可能であるなら)を含む。GrossingerらのUS特許出願No.2004/0000015はヘアの因子が前もって知られていることを要求する。前に染色されたヘアでは染色因子は一般に知られておらず、従って最終的な反射スペクトルはGrossingerらのUS特許出願No.2004/0000015を使用して決定されることができない。しかしながら、本発明では、ヘアを作り上げる因子は最終的な反射スペクトルを算出するために知っている必要はない。それゆえ、本発明はまた、前に染色されたヘアの最終的な反射スペクトルを算出するために使用されることができる
【0073】
本発明は上述の教示を適用する二つのアプローチを教示する。第一のアプローチは染色及び漂白成分を有するスペクトル変化関数を規定することを含み、その成分は最終的な反射スペクトルに到達するために初期反射スペクトルの全ての波長に影響する。第二のアプローチは、各波長に対して別々にスペクトル変化関数を規定し、次いで最終的な反射スペクトルに到達するために初期反射率測定の各波長に各スペクトル変化関数を適用することを含む。
【0074】
これらのアプローチの各々は以下により詳細に記載されている。第一のアプローチは図2〜7を参照して記載される。第二のアプローチは図8〜10を参照して記載される。これらの上述のアプローチの適用のための好ましい方法は図11を参照して記載される。
【0075】
図1を参照すると、それは本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作されることができるヘアカラー決定システム10の概略図である。システム10は光収集装置12、分光光度計14、処理器16及びユーザインターフェース18を含む。光収集装置12は典型的には、積分球又は他の好適な光集積装置である。光収集装置12は顧客20のヘア上に置かれるサンプリング口(図示せず)を有する。分光光度計14は顧客20のヘアの反射スペクトルを生成するために光収集装置12によって収集された光を分析する。反射スペクトルは典型的には380〜750ナノメータの波長範囲を有する。反射スペクトルは波長範囲にわたる反射率の測定値であることが注意されるべきである。反射率の測定値は相対的な量であり、典型的には白色反射参照材料の百分率として表示される。各分光光度計は使用前に分光光度計を校正するために既知の反射スペクトルを有する参照材料を伴って販売されている。いったん分光光度計がそれ自身の校正材料で校正されると、分光光度計はいかなる他の校正された分光光度計とも同じ試料の百分率の同じ反射スペクトルを与えるべきである。処理器16は顧客20のための適切なヘアカラートリートメントを決定するための算出を実施するための入力として反射スペクトルを受ける。処理器16によって実施される工程は図2〜11を参照してより詳細に記載される。ユーザインターフェース18は典型的には、所望のヘアカラーを選択するため並びにどのヘアカラートリートメントを適用するかについての指示を美容師に与えるためにマウス、キーボード、顧客20のための表示装置を含む。
【0076】
図2を参照すると、それは図1のシステム10で使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。紹介すると、ヘア試料の初期反射スペクトルを与えられると、カラーリング工程のモデル化はヘアカラートリートメントチューブの漂白効果及び染料色素の両方によって生じるスペクトル変化を乗算することによって規定される。換言すれば、新しい反射スペクトルは初期反射スペクトルを染色及び漂白スペクトル変化関数によって乗算することによって算出される。スペクトル変化関数の値は波長で変化する。カラーリング(着色)工程に添加された染料色素の量は全てのヘアサンプルにおいて一定のままであり、従って染色スペクトル変化関数はヘアの初期反射率から独立していることが想定される。漂白スペクトル変化関数はトリートメント前のヘアの色素の濃度及び比率によってヘアの試料ごとに異なることが想定される。それゆえ、漂白スペクトル変化関数は図4及び5を参照して以下に詳細に述べられているように、ヘアの初期反射率に依存する。添加された追加の染料の吸収に基くカラー結果を予測する従来技術の方法と違って、本発明の方法はまた、ヘアカラートリートメントチューブの漂白成分による初期ヘア色素の化学スペクトル変化を考慮する。
【0077】
最終的なヘア反射スペクトル(カラーリング後)は下記方程式によって規定される:
式中、Rfはカラーリング後の反射スペクトル(最終的な反射率)であり、Riはカラーリング前の反射スペクトル(初期反射率)であり、Dは染料色素によって生じるスペクトル変化関数であり、BExpは漂白効果によるスペクトル変化関数である。B及びDの両方の値は波長に依存する。ExpはBの累乗の指数である。B及びDはいかなる一つのヘアカラートリートメントに対しても同じである。B及びDはヘアの試料から独立する。他方、Expはヘアの試料の全初期反射率に依存する。便宜上のため、Bexpはそれがヘアの比全初期反射率に依存するので「比漂白スペクトル変化関数(specific bleaching spectral change function)」と称され、Bはそれがヘアの試料から独立しているので「一般漂白スペクトル変化関数(general bleaching spectral change function)」と称される。B,D及びExpの決定は図3〜5を参照して以下により詳細に記載される。一般漂白スペクトル変化関数B及び染色スペクトル変化関数Dは図3を参照して以下により詳細に記載されるように複数のヘアの試料を使用して各ヘアカラートリートメントチューブに対して決定される。
【0078】
いったんモデルが二種以上のヘアカラートリートメントに対して別個に特徴づけられると、ヘアトリートメントの混合物でのカラーリングによる最終的な反射スペクトルは以下のように表示される:
式中、D1及びD2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する染色スペクトル変化関数であり、B1及びB2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する一般漂白スペクトル変化関数であり、Exp1及びExp2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する漂白の累乗の指数であり、aは混合物におけるヘアカラートリートメント1の相対濃度であり、bは混合物におけるヘアカラートリートメント2の相対濃度である。それゆえ、規定によってa+b=1。もし二種より多いヘアカラートリートメントが使用されるなら、そのとき方程式1.2は各ヘアカラートリートメントに対する別の倍数的に増加する因子を含むことは当業者によって認識されるだろう。
【0079】
それゆえ、方程式1.2はヘアカラートリートメントの組み合わせによる初期反射スペクトルから新しい反射スペクトルを決定するために使用される。従来技術と違って、全ての可能なヘアカラートリートメント混合物ごとに実験を行う必要はない。本発明の方法はヘアカラートリートメントが混合なしで単独で使用されるときヘアカラートリートメントの同じスペクトル変化関数に基づいた新しい反射スペクトルの算出を可能にする。換言すれば、各ヘアカラートリートメントは単独でのそのヘアカラートリートメントだけの適用後のヘアの新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連スペクトル変化関数(染色及び漂白)を有する。それにもかかわらず、同じスペクトル変化関数はまた、全体としての混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によってスペクトル変化関数を配分することによって方程式1.2に使用される。
【0080】
さらに、a+b=1であるので方程式1.2を再配列すると、
それゆえ、
それゆえ、以下のようになる。
式中、Rf1及びRf2は方程式1.1を使用してヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれについて算出された最終的な反射スペクトルである。
それゆえ、方程式1.5はヘアカラートリートメントの組み合わせによる二つの最終的な反射スペクトルから新しい反射スペクトルを決定するために使用される。従来技術と違って、全ての可能なヘアカラートリートメント混合物ごとに実験を行う必要はない。本発明の方法は方程式1.5を使用して最終的な反射スペクトルの配分に基いて新しい反射スペクトルを算出することを可能にする。最終的な反射スペクトルは各ヘアカラートリートメントに対して方程式1.1を使用して混合せずに単独で使用されるヘアカラートリートメントのために算出される。
【0081】
それゆえ、ヘアの新しいスペクトルは混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によって一つのヘアカラートリートメントのスペクトル変化関数及び別のヘアカラートリートメントのスペクトル変化関数を分配することによって方程式1.2を使用して算出される。あるいは、ヘアの新しいスペクトルは混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によって一つのヘアカラートリートメントを使用することだけによる最終的な反射スペクトル及び別のヘアカラートリートメントを使用することだけによる最終的な反射スペクトルを配分することによって方程式1.5を使用して算出される。方程式1.2及び1.5から配分は方程式の因子を相対濃度で累乗することによって実施されることがわかる。しかしながら、因子が因子を好適な分数によって乗算することによって配分されることができることは当業者によって認識されるだろう。
【0082】
方程式1.1,1.2及び1.5は典型的には、仮定のヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの一次関数として新しい反射スペクトルを算出するために使用される。しかしながら、方程式1.1,1.2及び1.5が初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントを決定するために使用されることができることは当業者によって認識されるだろう。これらの方法はともに以下に記載される。
【0083】
第一の方法は初期反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントによる新しい反射スペクトルを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック22)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、関連するD及びBを有する少なくとも一つの仮定のヘアトリートメントが選択される(ブロック24)。第四に、各ヘアカラートリートメントのためにExpが決定される(ブロック26)。最後に、仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルは式1.1,1.2又は1.5の一種以上を使用して算出される(ブロック28)。新しいスペクトルはヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。用語「実質的に非加算的な関数」は加算及び減算が関数の一部を形成していても加算及び減算以外の数学的操作を含む関数として本書で規定される。例えば、新しいスペクトルは初期スペクトルを染料のスペクトルに加えることによって決定されるだけではない。
【0084】
第二の方法は初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの一次関数としてヘアトリートメントを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック22)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、所望の反射スペクトルが選択される(ブロック30)。第四に、方程式1.1を使用して、Rfは波長範囲にわたってRIによって除算され、DBExpの倍数の所望のスペクトル変化関数を与える(ブロック32)。最後に、それぞれの利用可能なヘアカラートリートメント及びそれらの混合物に対して、DBExpは反復法で算出され(又はヘアカラートリートメントの混合物に対してD1B1Exp1D2B1Exp2が算出され)、どのヘアカラートリートメント又はそれらの混合物がDBExpの倍数の所望のスペクトル変化関数に最も近い適合を与えるかを見て好適なヘアカラートリートメントを決定する(ブロック34)。決定されたヘアトリートメントは初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0085】
方程式1.1はBeerの法則の適用に基く。
【0086】
光吸収材料と相互作用する光の強度変化は以下のようにBeerの法則によって記載される:
式中、Ioutputは光の出力強度であり、Iinputは光の入力強度であり、αは材料の光吸収特性であり、Expは材料の濃度を表し、lは試料中の光の伝搬距離である。lは全てのヘア試料に対する定数として近似され、それゆえ以下で参照されない。材料に加えられたいかなる追加の光吸収物質も乗法で加えられる。
【0087】
我々のケースでは、測定された出力強度Ioutputは反射スペクトルRである。それゆえ、前のヘアカラーから残っている染料が自然のヘアの色素と反応した後の光の入力強度はヘアの初期反射スペクトルを与える。それゆえ、
【0088】
それゆえ、新しいヘアカラートリートメントを適用した後、最終的な反射スペクトルが以下の方程式によって与えられる。
【0089】
さらに簡単にするため、Dは加えられた新しい染料の相対的透過率として規定される。
【0090】
それゆえ、方程式2.3の項を方程式2.2のRiで置換し、その方程式2.2に方程式2.4のDを代入すると、以下のようになる。
【0091】
ヘアにおける前の染料及び自然の色素の光吸収のための累乗の指数は方程式2.2及び2.3から省略されていることが注意されるべきである。それにもかかわらず、累乗の指数の光吸収特性は測定された初期反射スペクトルがこれらの累乗の指数による光吸収特性を含むとき方程式2.5に含まれる。新しいカラーの累乗の指数は染料の光吸収が異なるヘアの試料にわたって一定であると想定されるとき方程式から省略される。
【0092】
漂白はヘアにいかなる光吸収材料も加えない。しかしながら、漂白は自然のヘアの色素の光吸収の変化を生じる。漂白工程によって影響されるヘア色素に加えられるこの光吸収変化は、初期段階(漂白前)からの色素を全ての波長で相対的に高い透過率を有する酸化色素で置換えてそれによって反射率を上昇することによって生じる変化として表される。それゆえ、ヘアカラーリングを予測するための方程式は以下によって与えられる。
但し、
式中、BExpは漂白によって生じる比スペクトル変化関数であり、αBeforeBleachingは漂白材料によって生じる酸化前の漂白によって影響される色素の光吸収特性であり、αAfterBleachingは漂白後の同じ色素の光吸収特性であり、Expは漂白の累乗の指数である。Expは漂白化学反応にさらされる自然のヘア色素(主にユーメラニン)に依存する。それゆえ、Expの値はヘアの試料ごとに変化する。Expの値は図4及び5を参照してより詳細に記載されているように、特定の波長でのヘアの全反射率と相互に関係する。
【0093】
図3は図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。染色及び漂白スペクトル変化関数は各ヘアカラートリートメント(チューブ)ごとに別々に分離されることが必要である。第一に、幾つかのヘアの試料がとられる(ブロック36)。次いで、ヘアの試料はそれらの初期反射スペクトル(Ri)を測定する(ブロック38)。次いで、ヘアの試料は同じヘアカラートリートメント(チューブ)を使用して着色される(ブロック40)。試料が着色された後、試料の各々の反射スペクトル(Rf)が再び測定される(ブロック42)。次いで、各ヘアのためのスペクトル変化関数の倍数D・BExpはRfをRiによって除算することによって各ヘアの試料に対して決定される。初期のヘア(着色前)の試料は相対的に長い漂白トリートメントに(約30〜40分)予めさらされる少なくとも一つのヘアの試料を含む。この予め高度に漂白されたヘアの試料に対して、着色処理時に漂白化学反応に関係する自然の色素は着色処理前に使い尽くされる。それゆえ、漂白の累乗の指数はゼロに近づく。それゆえ、着色工程によって生じるヘアのスペクトル変化は主に染料顔料のためである。それゆえ、この予め高度に漂白されたヘアの試料に対して、
【0094】
それゆえ、染色スペクトル変化関数Dは予め高度に漂白されたヘアの試料に対する初期反射スペクトルによって最終的な反射スペクトルを除算することによって求められる(ブロック44)。
【0095】
ブロック44において上で算出された染色スペクトル変化関数によって試料中の全てのヘアに対するスペクトル変化関数の倍数D・BExpの平均を除算すると、平均漂白スペクトル変化関数を与える(ブロック46)。この平均漂白スペクトル変化関数はBをある指数で累乗したものに等しい。それにもかかわらず、Expは平均漂白スペクトル変化関数に関して決定されるとき、ここで算出された平均漂白スペクトル変化関数は方程式1.1及び1.2におけるBのために使用される。
【0096】
上記のように、漂白の累乗の指数Expはヘアの初期全反射率と相互に関係する。この理由は、自然のヘア(予め着色されていない)では全反射率が主に濃い色素(ユーメラニン)濃度によって決定されるからである。それらの色素は漂白化学反応のための主な基質であり、それゆえそれらの色素は漂白の累乗の指数に影響する。相関曲線を見出すための方法は以下の通りである。第一に、初期ヘアの試料の各々に対する全反射率は各試料の初期反射スペクトルから算出される。次いで、各ヘアの試料について、最良の漂白の累乗の指数が方程式1.1を使用して繰り返し計算される(ブロック48)。初期及び最終の反射スペクトルはブロック38及び42の工程においてそれぞれ測定されている。Dはブロック44の工程において決定された。Bはブロック48の工程において決定された。
【0097】
図4を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。次の工程は上で決定された初期全反射率をブロック48で計算された漂白の累乗の指数に適合させて初期全反射率の関数として累乗の指数を表す関数を見出すことである(ブロック50)。図4から漂白の累乗の指数が全初期反射率と実質的に直線的に変化することがわかる。
【0098】
図5を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するために予め染色されたヘアの試料の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。予め染色されたヘアの試料は、前の染料が漂白の累乗の指数と初期全反射率の間の相関関係を乱すヘアの反射率に影響することを除いて、自然のヘアの試料と同じように反応する。しかしながら、ほとんどの人工的なカラーは最も反射するヘアスペクトルの赤色側に主に影響することが見出される。それゆえ、この範囲を避けて380〜625ナノメータの波長範囲のデータを使用して漂白の累乗の指数と初期全反射率の間の関係を決定することによってデータ間の良好な相関関係を達成する。特定のヘアの試料に対して正確な漂白の累乗の指数を予測するために380〜625ナノメータの範囲の初期全反射率を算出することが必要であるにすぎないことは注目されるべきである。いったん漂白の累乗の指数が決定されると、最終的な反射スペクトルの予測は380〜750ナノメータの全範囲に対して実施される。
【0099】
予め染色されたヘアに対する漂白効果が自然のヘアに対する漂白効果より少ないことも注目されるべきである。結果として、予め染色されたヘアに対する漂白の累乗の指数は自然のヘアと比較して小さい。それゆえ、予め染色されたヘアに対する漂白の累乗の指数の予測の不正確さは算出された最終的な反射スペクトルに有意に影響しない。
【0100】
それゆえ、ブロック50の工程を使用して、漂白の累乗の指数Expは特定のヘアカラートリートメントに対するいかなるヘアの試料のためにも決定される。
【0101】
図6を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するための試料染色スペクトル変化関数である。図7を参照すると、それは図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。図6及び7から染色及び漂白スペクトル変化関数が波長と非直線的に変化することがわかる。
【0102】
上記方法はまた、染料を使用せずにヘアを漂白するだけの効果を決定するために変更を伴って使用される。特に、方程式1.1は染色スペクトル変化関数を含まず、それゆえ、
【0103】
紹介すると、染料は通常、製造者の指示に従って適用され、特定の時間長さだけ適用される。しかしながら、漂白については、適用時間は大きく変動し、漂白がどれくらい多く実施されるかに依存する。それゆえ、時間はこの種のトリートメントの変数であるので、漂白されたヘアの最終的なカラーの正確な予測は漂白工程の必要な時間を決定することを助ける。漂白工程における別の変数は所望の目標のカラーを達成するために使用される酸素濃度(3%,6%,9%又は12%)である。それゆえ、漂白工程によって生じるスペクトル変化を分離するために、幾つかのヘアの試料がとられる。ヘアの試料の初期反射スペクトルRiが測定される。次いで試料が漂白される。漂白は特定の時間及び酸素濃度で実施される。次いで試料の反射スペクトルRfは漂白後に再び測定される。一般漂白スペクトル変化関数Bの分離は各試料について漂白後の反射スペクトルを漂白前の反射スペクトルによって除算することによって実施される。この工程はブロック46の工程と同様である。次いで全ての算出されたB関数はより良い結果に到達するために平均化される。同様に、漂白の累乗の指数はヘアの全初期反射率と相関される。それゆえ、ブロック50の工程はヘアの全初期反射率と漂白の累乗の指数の間の関係を決定するために実施される。いったんこの工程が実施されると、いかなるヘア試料の漂白の累乗の指数も算出することができる。
【0104】
上で述べたように、漂白の時間は最終的な漂白結果に影響する。それゆえ、漂白の累乗の指数はまた、漂白の時間に依存する。漂白工程が長いほど、漂白の累乗の指数の値が大きくなる。それゆえ、異なる初期のカラーの幾つかのヘアの試料を使用して実験が実施される。各試料は短い時間(2〜4分)漂白され、次いで反射スペクトルが測定される。次いで同じ試料が追加の短い時間、漂白される。反射スペクトルが再び測定される。この工程は同じヘア試料に対して7〜10回繰り返される。次いで得られたデータは線形回帰法又は反復法を使用してヘアの全初期反射率と漂白の累乗の指数Expと漂白時間の関係を決定するために使用される。それゆえ、方程式2.9は特定の時間の特定の濃度の漂白溶液による漂白によるヘアの最終的な反射スペクトルを決定するために使用される。Bが漂白時間から独立し、初期全反射率Bが特定の濃度の漂白溶液に対してのみ有効であることは注目されるべきである。もし別の濃度の漂白溶液が使用されるなら、上の実験及び算出は新しい濃度の漂白溶液のために繰り返されることが必要である。
【0105】
図8は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。所定のヘアの試料の最終的な反射スペクトルを予測する別の方法はヘアの初期反射スペクトルの各波長で特定されたヘアカラートリートメントによって起こされるスペクトル変化を別々に見ることである。上述のように、ほとんどのヘアの染料は漂白剤を含有する。これらの漂白剤はそれらの異なる色素構造及び濃度に依存して異なるヘアに異なる方法で影響する。例えば、高い濃度のユーメラニンを有する黒いヘアは低い濃度のユーメラニン及び高い濃度のフェオメラニンを有するブロンドヘアより漂白に対して強く反応する傾向がある。ヘアの色素は各波長で異なる光吸収性を持つので、ヘア色素濃度は各波長におけるヘアの反射率に異なるように影響する。例えば、特定の波長における高い反射率値は高い濃度のある色素を示唆することができ、一方別の波長における高い反射率値は異なる色素によって生じうる。それゆえ、ヘアの染色によって起こされるスペクトル変化は各波長に対するヘアの初期反射率の関数として近似される。それゆえ、各ヘアの染料は複数の関連するスペクトル変化関数を有し、各波長に対して一つのスペクトル変化関数がある。いったん関数が特定のヘアカラートリートメントのために各波長について規定されたら、最終的な反射スペクトルの導出は簡単である。換言すれば、この第二のアプローチは、各波長に対してスペクトル変化関数を別々に規定し、次いで各スペクトル変化関数を初期反射率測定の各波長に適用して最終的な反射スペクトルに到達することを含む。それゆえ、スペクトル変化関数は初期反射スペクトルの波長範囲にわたって変化する。
【0106】
さらに詳細には該方法は以下の基本的な工程を含む。第一に、それぞれの別個の波長に対する反射率差ΔRλはその波長に対する適切なスペクトル変化関数を使用して算出される。次いで、最終的な反射率値Rfλは算出された反射率差ΔRをその波長における反射率の測定された初期値Riλに加算することによって算出され、最終的なヘアのスペクトルの予測は反射率差(ΔRλ)を測定された初期反射率(Riλ)に加算することによって簡単になされることができる。この工程は以下の方程式によって表される。
【0107】
次いで、各波長に対して算出された全てのRfλは最終的な反射スペクトルを形成するために累積される。特許請求の範囲で使用される用語「新しい光学値」は本書ではヘアの算出された反射率又は吸収率の値及び算出された吸収率又は反射率の差を含むように規定される。特許請求の範囲に使用される用語「初期光学値」は本書ではある波長における反射率の測定された初期値Riλ及びある波長におけるヘアの初期吸収率の値を含むように規定される。
【0108】
図2〜7の第一のアプローチを参照して記載されるように、染料の混合物で着色することによってヘアの反射スペクトルに起こされる変化は混合物中の各染料のスペクトル変化の組み合わせである。それゆえ、ある波長に対するカラー1及びカラー2のカラー混合物で着色されたヘアの最終的なカラーの予測は以下の方程式によって与えられる:
式中、Rfλはカラー混合物で着色された後の波長λにおける最終的な反射率であり、Rf1λ及びRf2λは各ヘアカラートリートメントのために別々にモデル化された波長λにおける最終的な反射率であり、a及びbはそれぞれ、第一及び第二ヘアカラートリートメントの相対濃度である。
それゆえ、規定によってa+b=1。
【0109】
方程式3.2は以下のように導出される。ある波長における着色後の反射率は以下のようにBeerの法則から導出されることができる。
式中、e−αλはヘアカラートリートメントによって起こされるスペクトル変化である。
【0110】
方程式3.1を使用して方程式3.3においてRfλを代入すると、以下の方程式になる。
【0111】
二つのカラーの混合物で着色するとき、両カラーによって起こされる追加のスペクトル変化は以下によって記載される。
式中、a及びbはそれぞれ、ヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2の相対濃度である。
【0112】
方程式3.4の右辺を方程式3.5のe−αλに代入すると、
式中、ΔR1λ及びΔR2λは各ヘアカラートリートメントのために別々に(換言すればカラーの混合なしと仮定して)算出された第一ヘアカラートリートメント及び第二ヘアカラートリートメントに対する反射率差である。
【0113】
a+b=1であるので、
それゆえ、方程式3.1を使用して方程式3.7に代入すると、
【0114】
方程式3.1及び3.8は一般的には、初期反射スペクトル及び仮定のヘアトリートメントの一次関数として新しい反射スペクトルを算出するために使用される。しかしながら、方程式3.1及び3.8が初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントを決定するために使用されることができることは認識されるだろう。これらの方法はともに以下に記載される。
【0115】
第一の方法は初期反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントによる新しい反射スペクトルを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック52)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、関連するスペクトル変化関数を有する少なくとも一つの仮定のヘアトリートメントが選択される(ブロック54)。第四に、各波長に対する最終的な反射率が算出される。もしヘアカラートリートメントの混合が使用されるなら、各波長における最終的な反射率は各ヘアカラートリートメントに対して別々に算出される(ブロック56)。次に、もしヘアカラートリートメントの混合が使用されるなら、算出された反射率値は各波長に対して方程式3.8を使用して配分される(ブロック58)。最後に、新しい反射スペクトルは算出された最終的な反射率値から形成される(ブロック60)。新しいスペクトルはヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0116】
第二の方法は初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの一次関数としてヘアトリートメントを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック52)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、所望の反射スペクトルが選択される(ブロック62)。最後に利用可能なヘアカラートリートメント及びその混合に対して、方程式3.1及び/又は3.8を使用して算出される。最終的なスペクトルは近い適合が見出されるまで所望の反射スペクトルと比較される。この工程は一般的には、処理時間を減らすための反復法である。決定されたヘアトリートメントは初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0117】
図9及び10を参照すると、図9は図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作製する方法を示すフローチャートである。図10は図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料についての一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。このモデルを構成するための工程は以下の通りである。第一に、幾つかのヘアの試料がとられる(ブロック66)。第二に、各試料の初期反射スペクトルがシステム10を使用して測定される(ブロック68)。第三に、各試料は同じ特定のヘアカラートリートメントで着色される(ブロック70)。第四に、各試料の最終的な反射スペクトルはシステム10を使用して測定される(ブロック72)。最後に、測定された最終的な反射スペクトルの別個の波長に対して、その波長における試料の初期反射率Riλは同じ波長における初期のヘア試料と最終的な着色されたヘア試料の間の反射率差に対してプロットされる(ΔRλ=Rfλ−Riλ)(図10)。例えば、限定されないが、反射率値に二次多項式関数を最良にフィッティングするための最小二乗法を使用して、初期反射率Riλの関数として反射率差ΔRを最良に記載する回帰関数が見出される(ブロック74)。ブロック74の工程は全ての波長に対して繰り返される。上の方法は特定のヘアカラー法について各波長に対するスペクトル変化関数を与える。次いで関数は図8を参照して上記のように方程式3.1及び3.8で使用される。
【0118】
各スペクトル変化関数は一般的には、以下の二次方程式の形を有する。
式中、aλ,bλ,cλは特定の波長における反射率差と初期反射率を相関させる回帰関数の定数である。
【0119】
図11を参照すると、それは図1のシステム10の操作における工程を示すフローチャートである。第一に、顧客は可能なヘアカラーの選択から所望のヘアカラーを選択する(ブロック76)。可能なヘアカラーの反射スペクトルはシステム10を使用する測定によって決定される。次いで各反射スペクトルは処理器16に入力される。処理器16はモニターに表示するための実際のカラーを再現するために反射スペクトルを使用する。反射スペクトルに基いたモニター上のカラーの表示は業界で知られている。所望のカラーがカード上に印刷されることができるか又は染色されたヘアの見本として表されることができることは当業者に明らかであるだろう。それゆえ、利用可能なカラーの各々は既知の反射スペクトルを有する。第二に、顧客のヘアの初期反射スペクトルはシステム10によって測定される(ブロック78)。第三に、処理器16は所望のカラーの反射スペクトルにできるだけ近い最終的な反射スペクトルを生じるヘアカラートリートメントを決定するために染色及び/又は漂白並びに二つ以上の染料の混合を含む仮定のヘアカラートリートメントに基く計算を実行する。これらの計算を実行するための方法は図2及び8を参照して上で記載された。この工程では、処理器16は仮定のヘアカラートリートメントによる新しい反射スペクトルを計算する(ブロック80)。次いでこの新しい反射スペクトルは所望のカラーの反射スペクトル及び新しい反射スペクトルの減算又は除算によって所望のカラーの反射スペクトルと比較される。次いで処理器16は、反復法及び利用可能なヘアカラートリートメントの制約を与えて、所望の反射スペクトルと新しい反射スペクトルの間の差が最小になるまで多くの反復した計算を実行する(ブロック82)。本発明の代替的な実施態様によれば、所望のヘアカラーはカラー座標表示、例えばRGB表示を使用して表現される。新しい反射スペクトルはカラー座標表示に変換され、それは次いで所望のヘアカラーのカラー座標表示と比較される。ヘアカラートリートメントが上述の反復計算を実行せずに決定されることができることは当業者によって認識されるだろう。この代替法は初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルに基いて所望のスペクトル変化関数を算出することによって実行される。次いで所望のスペクトル変化関数は最も近い適合を決定するために利用可能なヘアカラートリートメント及びそれらの混合のスペクトル変化関数と比較される。次いで処理器16は最も近く適合するカラートリートメントの適用に基いて最終的な反射スペクトルを算出する。もし所望のヘアカラーが自然のヘアカラーであるなら、そのとき合成染色を使用する染色は必要ではなく、漂白で十分であることが注意されるべきである。同様に、もし顧客が明るいカラーのヘアを持つなら、所望のカラーを達成するために追加の漂白は必要でない。次いで処理器16が反復計算を完了した後、処理器16はユーザインターフェース18上に選択された数の可能な最終的なヘアカラーを表示するためのデータを出力する(ブロック84)。この表示は最終的なヘアカラーの反射スペクトル又は最終的なヘアカラーのカラー座標表示のいずれかに基く。可能な最終的なヘアカラーは一般的に、所望のヘアカラーに最も近い適合、並びに所望のカラーからセットギャップ(set gap)のある幾つかの他のカラーを含む。セットギャップは美容師によって予め設定されることができる。次いで処理器16は選択された最終的なヘアカラー(それはブロック80の工程で使用される仮定のヘアカラートリートメントの一つであった)のヘアカラートリートメント指示のデータを装置、一般的にはユーザインターフェース18のディスプレイに出力し、それによって選択されたカラーを達成するために必要とされる染料及び/又は必要な漂白濃度及び漂白時間を美容師に知らせる(ブロック88)。どの染料を使用すべきかを美容師に知らせる代わりに、処理器16は美容師によってすぐ使用するために染料及び/又は漂白剤を分配及び混合する自動カラー(染料及び/又は漂白剤)混合装置にデータを送ることができることは当業者によって認識されるだろう。次に、もし漂白が必要なら、美容師はヘアを必要な時間、漂白する(ブロック90)。次いで、所望によりこの段階で、ブロック78〜88又はブロック90が染色前に再び実行され、より正確な染色結果を達成する(ライン92)。次いで、もし染色が実行されたら、美容師は染料又はその組み合わせを使用してヘアを染色する(ブロック94)。本発明の技術を使用する他の方法が可能であることは当業者に明らかであるだろう。例えば、上の工程は異なる順序で実行されてもよい。また、顧客は異なる漂白時間での特定の染料の使用に基いた多数のヘアカラーの選択を与えられることができる。さらに、顧客は利用可能な染料の各々に対する最終的なヘアカラーをユーザインターフェース18上で示されることができる。次いで、顧客は所望のヘアカラーとの比較を実行する処理器16なしで表示された最終的なヘアカラーに基いたヘア染料を選択する。
【0120】
本発明によるシステムは好適にプログラムされたコンピュータであってもよいことが理解される。同様に、本発明は本発明の方法を実行するためにコンピュータによって読み取られるコンピュータプログラムを企図する。さらに、本発明は本発明の方法を実行するために機械によって実行可能な指示のプログラムを具体的に実現する機械可読メモリーを企図する。
【0121】
本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【0122】
本発明が、本明細書中に具体的に示されかつ説明されてきたものに限定されないことは当業者には理解されるであろう。逆に、本発明の範囲は、本明細書中に記載される種々の特徴の組合せ及びサブコンビネーションの両方を含み、先行技術には無い本発明の変更及び変形があることは本明細書の記載から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作できるヘアカラー決定システムの概略図である。
【図2】図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。
【図3】図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
【図4】図2の第一のアプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
【図5】図2の第一のアプローチで使用するための前に染色されたヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
【図6】図2の第一のアプローチで使用するための試料染色スペクトル変化成分である。
【図7】図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。
【図8】図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。
【図9】図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
【図10】図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料のための一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。
【図11】図1のシステムの操作における工程を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアカラーリングに関し、特に本発明は予め染色されたヘアを含むヘアのためのヘアカラートリートメントを決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
紹介すると、異なるヘアの試料は、特にヘアの異なる化学色素構造並びに処理されるヘアの状態のために漂白及び染色の工程に対して異なるように反応する。従来技術は誤差を最小にしかつヘアカラー製品での顧客の満足を増大するために最終的なヘアカラーを予測しようと試みる多くの方法を含む。
【0003】
本発明に関連するのはScottのUS特許No.4434467である。Scottの特許は顧客が自分自身のヘアカラーに最も密接にマッチするカラーをデータベースから選択する方法を記載する。次いで顧客はデータベースから所望の最終的なカラーを選択する。次いでコンピュータは製造者の指示に基いたトリートメントを提案する。上述のシステムの欠点は顧客が視覚的な比較によって自分自身のヘアカラーに最も密接にマッチするものを決定しなければならないことである。上述のシステムのさらなる欠点はシステムが初期のヘアカラーの固定されかつ限定された選択に基くヘアトリートメントに限定され、そのため個人のヘアカラーを考慮しないことである。
【0004】
また、本発明に関連するものはHawiukのUS特許No.5609484である。Hawuikは、初期のヘアカラーを再現し、次いで既知のヘア染色に関するカラーフィラメント見本を加えてヘア染色によって初期のヘアカラーがどのように影響されるかを見るためにカラーフィラメント見本を使用することを教示する。上述のシステムの欠点はシステムが正確でないことである。上述のシステムのさらなる欠点は初期のカラーの決定が高度の推定を伴うことである。上述のシステムの追加の欠点はこのシステムが初期のヘアカラーの漂白に対処しないことである。
【0005】
本発明に最も関連するものはMacFarlaneらのUS特許No.6067504,6157445,6308088,6314372,6330341である。これらの特許は最初にヘア試料から反射スペクトルを得ることを含む方法を記載する。次いでヘア試料の反射スペクトルのハンターの係数L,a及びb色座標がコンピュータによって分析される。次いで初期のヘアカラーはルックアップテーブルに記憶された色座標の係数の範囲に従ってコンピュータによって分類される。次いで使用者は可能な最終のカラーの選択から所望のヘアカラーを選択する。次いでコンピュータは初期のヘアカラー及び所望の最終のヘアカラーのためにルックアップテーブルに記憶されたヘアトリートメントに基いた適切なヘアトリートメントを決定する。上述のシステムの欠点は初期のヘアカラーが可能なカラーの範囲に適合する人工的なカラーに従って分類されていることに起因する。それゆえ、提案されたヘアトリートメントは使用者の初期のヘアカラーを正確に反映しない。上述のシステムのさらなる欠点はヘアトリートメントルックアップテーブルの作成及び維持が莫大な数の実験を必要とすることである。例えば、各ヘア染色について、その染色のために達成されることができる全ての可能な初期及び最終のヘアカラーに対する実験が必要とされる。
【0006】
また、本発明に関連するのはMarapaneらによるUS特許No.6707929である。Marapaneらは特定の染色に対して未処理のヘアの色座標と処理されたヘアの色座標の間の関係を規定する方程式を使用することによってヘアの最終的な色座標(例えばL,a,b,又はRGB)を算出することを教示する。この方法はMacFarlaneらの特許の欠点の幾つかを克服する。それにもかかわらず、全ての上述の方法(Marapaneらの特許を含む)はL,a,b,又はRGBの如き色座標系を使用する。色座標は特定の場合において誤解を生じうる。例えば、人の目に実質的に異なるように見える二つのヘアの試料は、それらが異なる反射スペクトル、従って異なる濃度の成分を持っていたとしても同じL,a,bの色座標値を有しうる。例えば、染料Aで着色される一つの自然なブロンドヘアーの試料は別のヘアの試料、例えば染料Bで着色されたブラウンのヘアと同じ色座標を有しうる。さらに、各々が異なる反射スペクトルを有する多数のヘアの試料は全て、同じ又は極めて類似した色座標を発生しうる。なぜならばヘアのキューティクル及び白いエンベロープも反射スペクトルに寄与するからである。しかしながら、これらのヘアの試料に適用された同じヘアトリートメントはそれらの成分の各々の異なる初期濃度のために異なる最終的なヘアカラーを発生するだろう。それゆえ、L,a,b色座標又は他の色座標を単に見るだけでは見せかけの結果を導きうる。
【0007】
さらに、上述の方法のいずれも、ヘアの化学的特性に基いたカラートリートメント方法をモデル化していない。
【0008】
単一のヘア染料が与えることができない所望のヘアカラーを顧客が得ることを助けるためにヘアサロンでヘア染料を混合することが広く行なわれている。上述の方法はいずれも、染料の特定の組み合わせについて実験を実施する必要なしで二つ以上のヘア染料の混合物で着色されたヘアの最終的なカラーを予測しない。換言すれば、全ての上述の方法は、全ての可能な混合物で多量の異なるヘアの試料を着色し、各混合物のためのモデルを別個に構築することを要求する。それゆえ、この問題に対する包括的な解決策を与えるために全ての可能なカラー混合物をカバーすることは従来技術によって実行できない。
【0009】
また、従来技術は予め染色されたヘアを着色することに対して効果的に対処しない。
【0010】
それゆえ、自然のヘア並びに予め染色されかつ/または漂白されたヘアを含みかつ二種以上の染料の混合物を使用することを含む全てのタイプのヘアに対して好適なヘアカラートリートメントを正確に決定するためのヘアカラー決定システム及び方法に対する必要性がある。
【発明の開示】
【0011】
本発明はヘアカラー決定システム及びその操作方法である。
【0012】
本発明の教示によれば、以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステムが提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出する;そして
(iii)算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0013】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0014】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0015】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0016】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0017】
本発明のさらなる特徴によれば、処理器はヘアに所望のスペクトルを与えるヘアのためのトリートメントを決定するためにさらに構成される。
【0018】
本発明のさらなる特徴によれば、一次関数は実質的に非加算的である。
【0019】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は、波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって初期スペクトルを乗算することに基づいて新しいスペクトルを算出することによって実施され、スペクトル変化関数の値は波長範囲にわたって変化する。
【0020】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0021】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0022】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0023】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下のことを含む:
(i)波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)一組の新しい光学値から新しいスペクトルを形成する。
【0024】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数が波長範囲にわたって変化する。
【0025】
本発明の教示によれば、以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステムもまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)ヘアの所望のスペクトル及び初期スペクトルの一次関数としてヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する;そして
(iii)決定の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0026】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0027】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0028】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0029】
本発明のさらなる特徴によれば、関数は実質的に非加算的である。
【0030】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲にわたって初期スペクトルによって所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、スペクトル変化関数からトリートメントを決定することを含む。
【0031】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0032】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0033】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0034】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む。
【0035】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0036】
本発明の教示によれば、第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアのトリートメントを決定するためのシステムであって、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、システムは以下のために構成された処理器を含むシステムもまた提供される:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、算出は以下の(I)及び(II)の少なくとも一つに基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する;そして
(iii)算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【0037】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【0038】
本発明のさらなる特徴によれば、初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器もまた提供される。
【0039】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0040】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置もまた提供される。
【0041】
本発明のさらなる特徴によれば、データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置もまた提供される。
【0042】
本発明の教示によれば、以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法もまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出する。
【0043】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたカラーを表示する工程もまた提供される。
【0044】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程もまた提供される。
【0045】
本発明のさらなる特徴によれば、新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントを分配する工程もまた提供される。
【0046】
本発明のさらなる特徴によれば、ヘアに所望のスペクトルを与えるヘアのためのトリートメントを決定する工程もまた提供される。
【0047】
本発明のさらなる特徴によれば、一次関数は実質的に非加算的である。
【0048】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は、波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって初期スペクトルを乗算することに基づいて新しいスペクトルを算出することによって実施され、スペクトル変化関数の値は波長範囲にわたって変化する。
【0049】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0050】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0051】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0052】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下のことを含む:
(i)波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)一組の新しい光学値から新しいスペクトルを形成する。
【0053】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0054】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は上記工程を含む。
【0055】
本発明の教示によれば、以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法もまた提供される:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)ヘアの所望のスペクトル及び初期スペクトルの一次関数としてヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する。
【0056】
本発明のさらなる特徴によれば、決定に基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程がまた提供される。
【0057】
本発明のさらなる特徴によれば、決定に基いたヘアカラートリートメントを分配する工程がまた提供される。
【0058】
本発明のさらなる特徴によれば、関数は実質的に非加算的である。
【0059】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲にわたって初期スペクトルによって所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、スペクトル変化関数からトリートメントを決定することを含む。
【0060】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数は仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0061】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化成分はヘアの反射率に依存する。
【0062】
本発明のさらなる特徴によれば、スペクトル変化関数はまた、仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む。
【0063】
本発明のさらなる特徴によれば、決定は、波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、別個の波長の一つのヘアの初期光学値の関数として別個の波長の一つのヘアの新しい光学値を算出し、それによってヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む。
【0064】
本発明のさらなる特徴によれば、初期光学値の関数は波長範囲にわたって変化する。
【0065】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は上記工程を含む。
【0066】
本発明の教示によれば、第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定するための方法であって、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、方法は以下の工程を含む方法もまた提供される:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、算出は以下の(I)及び(II)に基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する。
【0067】
本発明のさらなる特徴によれば、算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【0068】
本発明のさらなる特徴によれば、コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータに第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定させ、第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、指示は上記工程を含む。
【0069】
図面の簡単な記述
本発明は添付図面を参照して例示によってのみここに記載される。
図1は本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作できるヘアカラー決定システムの概略図である。
図2は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。
図3は図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
図4は図2の第一のアプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
図5は図2の第一のアプローチで使用するための前に染色されたヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
図6は図2の第一のアプローチで使用するための試料染色スペクトル変化成分である。
図7は図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。
図8は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。
図9は図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
図10は図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料のための一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。
図11は図1のシステムの操作における工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
本発明はヘアカラー決定システム及びその操作方法である。
【0071】
本発明によるヘアカラー決定システムの原理及び操作は添付の図面及び明細書の説明を参照してより良く理解されるだろう。
【0072】
紹介すると、本発明は自然のヘア、ヘアカラートリートメントで予め染色されかつ/または漂白されたヘアを処理する方法から生じる最終的なヘアカラーを予測することを教示する。用語「ヘアカラートリートメント」は本書では単一の製品又は二種以上の製品の混合物でヘアを染色及び/又は漂白することを含むように規定される。一般に、ヘアを染色するためのヘアカラートリートメントはまた、キューティクルを開いて染料をヘアに侵入させることができる漂白剤を含む。それゆえ、ヘアを染色することだけを意図したヘアカラー製品であっても、ヘアに対して漂白効果を有する漂白物質を一定量含む。用語「染色(dye又はdyeing)」は本書ではヘアにカラー色素を添加することとして規定される。用語「漂白(bleach又はbleaching)」は本書では酸化された形で色素を置換することとして規定される。本発明は、染色とヘアカラートリートメントによって生じる漂白スペクトル変化成分を分離し、初期反射スペクトルの一次関数として最終的な又は新しい反射スペクトルを算出することに基く。用語「最終的な」又は「新しい」反射スペクトルは提案された又は仮定のヘアカラートリートメントを考慮した後のヘアの算出された反射スペクトルとして規定される。用語「初期」反射スペクトルはこのヘアカラートリートメントの前のヘアの試料の測定された反射スペクトルとして規定される。それにもかかわらず、ヘアの試料はこの現在提案されるヘアカラートリートメントの前に予め染色及び/又は漂白されていてもよい。用語「一次関数」は入力スペクトルをMarapaneら及びMacFarlaneらによって使用される(L,a,b)表示の如き非スペクトル色表示又はGrossingerらの公開されたUS特許出願において出願人によって教示された自然のヘアの因子の係数に変換することなく初期スペクトルを最終的な(又は新しい又はスペクトル変化関数)に変形する関数として本書で規定される。初期反射スペクトルは自然のヘアの因子(ユーメラニン及びフェオメラニン)並びに前の染色に関する因子(もし適用可能であるなら)を含む。GrossingerらのUS特許出願No.2004/0000015はヘアの因子が前もって知られていることを要求する。前に染色されたヘアでは染色因子は一般に知られておらず、従って最終的な反射スペクトルはGrossingerらのUS特許出願No.2004/0000015を使用して決定されることができない。しかしながら、本発明では、ヘアを作り上げる因子は最終的な反射スペクトルを算出するために知っている必要はない。それゆえ、本発明はまた、前に染色されたヘアの最終的な反射スペクトルを算出するために使用されることができる
【0073】
本発明は上述の教示を適用する二つのアプローチを教示する。第一のアプローチは染色及び漂白成分を有するスペクトル変化関数を規定することを含み、その成分は最終的な反射スペクトルに到達するために初期反射スペクトルの全ての波長に影響する。第二のアプローチは、各波長に対して別々にスペクトル変化関数を規定し、次いで最終的な反射スペクトルに到達するために初期反射率測定の各波長に各スペクトル変化関数を適用することを含む。
【0074】
これらのアプローチの各々は以下により詳細に記載されている。第一のアプローチは図2〜7を参照して記載される。第二のアプローチは図8〜10を参照して記載される。これらの上述のアプローチの適用のための好ましい方法は図11を参照して記載される。
【0075】
図1を参照すると、それは本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作されることができるヘアカラー決定システム10の概略図である。システム10は光収集装置12、分光光度計14、処理器16及びユーザインターフェース18を含む。光収集装置12は典型的には、積分球又は他の好適な光集積装置である。光収集装置12は顧客20のヘア上に置かれるサンプリング口(図示せず)を有する。分光光度計14は顧客20のヘアの反射スペクトルを生成するために光収集装置12によって収集された光を分析する。反射スペクトルは典型的には380〜750ナノメータの波長範囲を有する。反射スペクトルは波長範囲にわたる反射率の測定値であることが注意されるべきである。反射率の測定値は相対的な量であり、典型的には白色反射参照材料の百分率として表示される。各分光光度計は使用前に分光光度計を校正するために既知の反射スペクトルを有する参照材料を伴って販売されている。いったん分光光度計がそれ自身の校正材料で校正されると、分光光度計はいかなる他の校正された分光光度計とも同じ試料の百分率の同じ反射スペクトルを与えるべきである。処理器16は顧客20のための適切なヘアカラートリートメントを決定するための算出を実施するための入力として反射スペクトルを受ける。処理器16によって実施される工程は図2〜11を参照してより詳細に記載される。ユーザインターフェース18は典型的には、所望のヘアカラーを選択するため並びにどのヘアカラートリートメントを適用するかについての指示を美容師に与えるためにマウス、キーボード、顧客20のための表示装置を含む。
【0076】
図2を参照すると、それは図1のシステム10で使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。紹介すると、ヘア試料の初期反射スペクトルを与えられると、カラーリング工程のモデル化はヘアカラートリートメントチューブの漂白効果及び染料色素の両方によって生じるスペクトル変化を乗算することによって規定される。換言すれば、新しい反射スペクトルは初期反射スペクトルを染色及び漂白スペクトル変化関数によって乗算することによって算出される。スペクトル変化関数の値は波長で変化する。カラーリング(着色)工程に添加された染料色素の量は全てのヘアサンプルにおいて一定のままであり、従って染色スペクトル変化関数はヘアの初期反射率から独立していることが想定される。漂白スペクトル変化関数はトリートメント前のヘアの色素の濃度及び比率によってヘアの試料ごとに異なることが想定される。それゆえ、漂白スペクトル変化関数は図4及び5を参照して以下に詳細に述べられているように、ヘアの初期反射率に依存する。添加された追加の染料の吸収に基くカラー結果を予測する従来技術の方法と違って、本発明の方法はまた、ヘアカラートリートメントチューブの漂白成分による初期ヘア色素の化学スペクトル変化を考慮する。
【0077】
最終的なヘア反射スペクトル(カラーリング後)は下記方程式によって規定される:
式中、Rfはカラーリング後の反射スペクトル(最終的な反射率)であり、Riはカラーリング前の反射スペクトル(初期反射率)であり、Dは染料色素によって生じるスペクトル変化関数であり、BExpは漂白効果によるスペクトル変化関数である。B及びDの両方の値は波長に依存する。ExpはBの累乗の指数である。B及びDはいかなる一つのヘアカラートリートメントに対しても同じである。B及びDはヘアの試料から独立する。他方、Expはヘアの試料の全初期反射率に依存する。便宜上のため、Bexpはそれがヘアの比全初期反射率に依存するので「比漂白スペクトル変化関数(specific bleaching spectral change function)」と称され、Bはそれがヘアの試料から独立しているので「一般漂白スペクトル変化関数(general bleaching spectral change function)」と称される。B,D及びExpの決定は図3〜5を参照して以下により詳細に記載される。一般漂白スペクトル変化関数B及び染色スペクトル変化関数Dは図3を参照して以下により詳細に記載されるように複数のヘアの試料を使用して各ヘアカラートリートメントチューブに対して決定される。
【0078】
いったんモデルが二種以上のヘアカラートリートメントに対して別個に特徴づけられると、ヘアトリートメントの混合物でのカラーリングによる最終的な反射スペクトルは以下のように表示される:
式中、D1及びD2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する染色スペクトル変化関数であり、B1及びB2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する一般漂白スペクトル変化関数であり、Exp1及びExp2はヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれに対する漂白の累乗の指数であり、aは混合物におけるヘアカラートリートメント1の相対濃度であり、bは混合物におけるヘアカラートリートメント2の相対濃度である。それゆえ、規定によってa+b=1。もし二種より多いヘアカラートリートメントが使用されるなら、そのとき方程式1.2は各ヘアカラートリートメントに対する別の倍数的に増加する因子を含むことは当業者によって認識されるだろう。
【0079】
それゆえ、方程式1.2はヘアカラートリートメントの組み合わせによる初期反射スペクトルから新しい反射スペクトルを決定するために使用される。従来技術と違って、全ての可能なヘアカラートリートメント混合物ごとに実験を行う必要はない。本発明の方法はヘアカラートリートメントが混合なしで単独で使用されるときヘアカラートリートメントの同じスペクトル変化関数に基づいた新しい反射スペクトルの算出を可能にする。換言すれば、各ヘアカラートリートメントは単独でのそのヘアカラートリートメントだけの適用後のヘアの新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連スペクトル変化関数(染色及び漂白)を有する。それにもかかわらず、同じスペクトル変化関数はまた、全体としての混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によってスペクトル変化関数を配分することによって方程式1.2に使用される。
【0080】
さらに、a+b=1であるので方程式1.2を再配列すると、
それゆえ、
それゆえ、以下のようになる。
式中、Rf1及びRf2は方程式1.1を使用してヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2のそれぞれについて算出された最終的な反射スペクトルである。
それゆえ、方程式1.5はヘアカラートリートメントの組み合わせによる二つの最終的な反射スペクトルから新しい反射スペクトルを決定するために使用される。従来技術と違って、全ての可能なヘアカラートリートメント混合物ごとに実験を行う必要はない。本発明の方法は方程式1.5を使用して最終的な反射スペクトルの配分に基いて新しい反射スペクトルを算出することを可能にする。最終的な反射スペクトルは各ヘアカラートリートメントに対して方程式1.1を使用して混合せずに単独で使用されるヘアカラートリートメントのために算出される。
【0081】
それゆえ、ヘアの新しいスペクトルは混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によって一つのヘアカラートリートメントのスペクトル変化関数及び別のヘアカラートリートメントのスペクトル変化関数を分配することによって方程式1.2を使用して算出される。あるいは、ヘアの新しいスペクトルは混合物におけるヘアカラートリートメントの相対濃度によって一つのヘアカラートリートメントを使用することだけによる最終的な反射スペクトル及び別のヘアカラートリートメントを使用することだけによる最終的な反射スペクトルを配分することによって方程式1.5を使用して算出される。方程式1.2及び1.5から配分は方程式の因子を相対濃度で累乗することによって実施されることがわかる。しかしながら、因子が因子を好適な分数によって乗算することによって配分されることができることは当業者によって認識されるだろう。
【0082】
方程式1.1,1.2及び1.5は典型的には、仮定のヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの一次関数として新しい反射スペクトルを算出するために使用される。しかしながら、方程式1.1,1.2及び1.5が初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントを決定するために使用されることができることは当業者によって認識されるだろう。これらの方法はともに以下に記載される。
【0083】
第一の方法は初期反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントによる新しい反射スペクトルを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック22)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、関連するD及びBを有する少なくとも一つの仮定のヘアトリートメントが選択される(ブロック24)。第四に、各ヘアカラートリートメントのためにExpが決定される(ブロック26)。最後に、仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルは式1.1,1.2又は1.5の一種以上を使用して算出される(ブロック28)。新しいスペクトルはヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。用語「実質的に非加算的な関数」は加算及び減算が関数の一部を形成していても加算及び減算以外の数学的操作を含む関数として本書で規定される。例えば、新しいスペクトルは初期スペクトルを染料のスペクトルに加えることによって決定されるだけではない。
【0084】
第二の方法は初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの一次関数としてヘアトリートメントを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック22)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、所望の反射スペクトルが選択される(ブロック30)。第四に、方程式1.1を使用して、Rfは波長範囲にわたってRIによって除算され、DBExpの倍数の所望のスペクトル変化関数を与える(ブロック32)。最後に、それぞれの利用可能なヘアカラートリートメント及びそれらの混合物に対して、DBExpは反復法で算出され(又はヘアカラートリートメントの混合物に対してD1B1Exp1D2B1Exp2が算出され)、どのヘアカラートリートメント又はそれらの混合物がDBExpの倍数の所望のスペクトル変化関数に最も近い適合を与えるかを見て好適なヘアカラートリートメントを決定する(ブロック34)。決定されたヘアトリートメントは初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0085】
方程式1.1はBeerの法則の適用に基く。
【0086】
光吸収材料と相互作用する光の強度変化は以下のようにBeerの法則によって記載される:
式中、Ioutputは光の出力強度であり、Iinputは光の入力強度であり、αは材料の光吸収特性であり、Expは材料の濃度を表し、lは試料中の光の伝搬距離である。lは全てのヘア試料に対する定数として近似され、それゆえ以下で参照されない。材料に加えられたいかなる追加の光吸収物質も乗法で加えられる。
【0087】
我々のケースでは、測定された出力強度Ioutputは反射スペクトルRである。それゆえ、前のヘアカラーから残っている染料が自然のヘアの色素と反応した後の光の入力強度はヘアの初期反射スペクトルを与える。それゆえ、
【0088】
それゆえ、新しいヘアカラートリートメントを適用した後、最終的な反射スペクトルが以下の方程式によって与えられる。
【0089】
さらに簡単にするため、Dは加えられた新しい染料の相対的透過率として規定される。
【0090】
それゆえ、方程式2.3の項を方程式2.2のRiで置換し、その方程式2.2に方程式2.4のDを代入すると、以下のようになる。
【0091】
ヘアにおける前の染料及び自然の色素の光吸収のための累乗の指数は方程式2.2及び2.3から省略されていることが注意されるべきである。それにもかかわらず、累乗の指数の光吸収特性は測定された初期反射スペクトルがこれらの累乗の指数による光吸収特性を含むとき方程式2.5に含まれる。新しいカラーの累乗の指数は染料の光吸収が異なるヘアの試料にわたって一定であると想定されるとき方程式から省略される。
【0092】
漂白はヘアにいかなる光吸収材料も加えない。しかしながら、漂白は自然のヘアの色素の光吸収の変化を生じる。漂白工程によって影響されるヘア色素に加えられるこの光吸収変化は、初期段階(漂白前)からの色素を全ての波長で相対的に高い透過率を有する酸化色素で置換えてそれによって反射率を上昇することによって生じる変化として表される。それゆえ、ヘアカラーリングを予測するための方程式は以下によって与えられる。
但し、
式中、BExpは漂白によって生じる比スペクトル変化関数であり、αBeforeBleachingは漂白材料によって生じる酸化前の漂白によって影響される色素の光吸収特性であり、αAfterBleachingは漂白後の同じ色素の光吸収特性であり、Expは漂白の累乗の指数である。Expは漂白化学反応にさらされる自然のヘア色素(主にユーメラニン)に依存する。それゆえ、Expの値はヘアの試料ごとに変化する。Expの値は図4及び5を参照してより詳細に記載されているように、特定の波長でのヘアの全反射率と相互に関係する。
【0093】
図3は図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。染色及び漂白スペクトル変化関数は各ヘアカラートリートメント(チューブ)ごとに別々に分離されることが必要である。第一に、幾つかのヘアの試料がとられる(ブロック36)。次いで、ヘアの試料はそれらの初期反射スペクトル(Ri)を測定する(ブロック38)。次いで、ヘアの試料は同じヘアカラートリートメント(チューブ)を使用して着色される(ブロック40)。試料が着色された後、試料の各々の反射スペクトル(Rf)が再び測定される(ブロック42)。次いで、各ヘアのためのスペクトル変化関数の倍数D・BExpはRfをRiによって除算することによって各ヘアの試料に対して決定される。初期のヘア(着色前)の試料は相対的に長い漂白トリートメントに(約30〜40分)予めさらされる少なくとも一つのヘアの試料を含む。この予め高度に漂白されたヘアの試料に対して、着色処理時に漂白化学反応に関係する自然の色素は着色処理前に使い尽くされる。それゆえ、漂白の累乗の指数はゼロに近づく。それゆえ、着色工程によって生じるヘアのスペクトル変化は主に染料顔料のためである。それゆえ、この予め高度に漂白されたヘアの試料に対して、
【0094】
それゆえ、染色スペクトル変化関数Dは予め高度に漂白されたヘアの試料に対する初期反射スペクトルによって最終的な反射スペクトルを除算することによって求められる(ブロック44)。
【0095】
ブロック44において上で算出された染色スペクトル変化関数によって試料中の全てのヘアに対するスペクトル変化関数の倍数D・BExpの平均を除算すると、平均漂白スペクトル変化関数を与える(ブロック46)。この平均漂白スペクトル変化関数はBをある指数で累乗したものに等しい。それにもかかわらず、Expは平均漂白スペクトル変化関数に関して決定されるとき、ここで算出された平均漂白スペクトル変化関数は方程式1.1及び1.2におけるBのために使用される。
【0096】
上記のように、漂白の累乗の指数Expはヘアの初期全反射率と相互に関係する。この理由は、自然のヘア(予め着色されていない)では全反射率が主に濃い色素(ユーメラニン)濃度によって決定されるからである。それらの色素は漂白化学反応のための主な基質であり、それゆえそれらの色素は漂白の累乗の指数に影響する。相関曲線を見出すための方法は以下の通りである。第一に、初期ヘアの試料の各々に対する全反射率は各試料の初期反射スペクトルから算出される。次いで、各ヘアの試料について、最良の漂白の累乗の指数が方程式1.1を使用して繰り返し計算される(ブロック48)。初期及び最終の反射スペクトルはブロック38及び42の工程においてそれぞれ測定されている。Dはブロック44の工程において決定された。Bはブロック48の工程において決定された。
【0097】
図4を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。次の工程は上で決定された初期全反射率をブロック48で計算された漂白の累乗の指数に適合させて初期全反射率の関数として累乗の指数を表す関数を見出すことである(ブロック50)。図4から漂白の累乗の指数が全初期反射率と実質的に直線的に変化することがわかる。
【0098】
図5を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するために予め染色されたヘアの試料の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。予め染色されたヘアの試料は、前の染料が漂白の累乗の指数と初期全反射率の間の相関関係を乱すヘアの反射率に影響することを除いて、自然のヘアの試料と同じように反応する。しかしながら、ほとんどの人工的なカラーは最も反射するヘアスペクトルの赤色側に主に影響することが見出される。それゆえ、この範囲を避けて380〜625ナノメータの波長範囲のデータを使用して漂白の累乗の指数と初期全反射率の間の関係を決定することによってデータ間の良好な相関関係を達成する。特定のヘアの試料に対して正確な漂白の累乗の指数を予測するために380〜625ナノメータの範囲の初期全反射率を算出することが必要であるにすぎないことは注目されるべきである。いったん漂白の累乗の指数が決定されると、最終的な反射スペクトルの予測は380〜750ナノメータの全範囲に対して実施される。
【0099】
予め染色されたヘアに対する漂白効果が自然のヘアに対する漂白効果より少ないことも注目されるべきである。結果として、予め染色されたヘアに対する漂白の累乗の指数は自然のヘアと比較して小さい。それゆえ、予め染色されたヘアに対する漂白の累乗の指数の予測の不正確さは算出された最終的な反射スペクトルに有意に影響しない。
【0100】
それゆえ、ブロック50の工程を使用して、漂白の累乗の指数Expは特定のヘアカラートリートメントに対するいかなるヘアの試料のためにも決定される。
【0101】
図6を参照すると、それは図2の第一アプローチで使用するための試料染色スペクトル変化関数である。図7を参照すると、それは図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。図6及び7から染色及び漂白スペクトル変化関数が波長と非直線的に変化することがわかる。
【0102】
上記方法はまた、染料を使用せずにヘアを漂白するだけの効果を決定するために変更を伴って使用される。特に、方程式1.1は染色スペクトル変化関数を含まず、それゆえ、
【0103】
紹介すると、染料は通常、製造者の指示に従って適用され、特定の時間長さだけ適用される。しかしながら、漂白については、適用時間は大きく変動し、漂白がどれくらい多く実施されるかに依存する。それゆえ、時間はこの種のトリートメントの変数であるので、漂白されたヘアの最終的なカラーの正確な予測は漂白工程の必要な時間を決定することを助ける。漂白工程における別の変数は所望の目標のカラーを達成するために使用される酸素濃度(3%,6%,9%又は12%)である。それゆえ、漂白工程によって生じるスペクトル変化を分離するために、幾つかのヘアの試料がとられる。ヘアの試料の初期反射スペクトルRiが測定される。次いで試料が漂白される。漂白は特定の時間及び酸素濃度で実施される。次いで試料の反射スペクトルRfは漂白後に再び測定される。一般漂白スペクトル変化関数Bの分離は各試料について漂白後の反射スペクトルを漂白前の反射スペクトルによって除算することによって実施される。この工程はブロック46の工程と同様である。次いで全ての算出されたB関数はより良い結果に到達するために平均化される。同様に、漂白の累乗の指数はヘアの全初期反射率と相関される。それゆえ、ブロック50の工程はヘアの全初期反射率と漂白の累乗の指数の間の関係を決定するために実施される。いったんこの工程が実施されると、いかなるヘア試料の漂白の累乗の指数も算出することができる。
【0104】
上で述べたように、漂白の時間は最終的な漂白結果に影響する。それゆえ、漂白の累乗の指数はまた、漂白の時間に依存する。漂白工程が長いほど、漂白の累乗の指数の値が大きくなる。それゆえ、異なる初期のカラーの幾つかのヘアの試料を使用して実験が実施される。各試料は短い時間(2〜4分)漂白され、次いで反射スペクトルが測定される。次いで同じ試料が追加の短い時間、漂白される。反射スペクトルが再び測定される。この工程は同じヘア試料に対して7〜10回繰り返される。次いで得られたデータは線形回帰法又は反復法を使用してヘアの全初期反射率と漂白の累乗の指数Expと漂白時間の関係を決定するために使用される。それゆえ、方程式2.9は特定の時間の特定の濃度の漂白溶液による漂白によるヘアの最終的な反射スペクトルを決定するために使用される。Bが漂白時間から独立し、初期全反射率Bが特定の濃度の漂白溶液に対してのみ有効であることは注目されるべきである。もし別の濃度の漂白溶液が使用されるなら、上の実験及び算出は新しい濃度の漂白溶液のために繰り返されることが必要である。
【0105】
図8は図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。所定のヘアの試料の最終的な反射スペクトルを予測する別の方法はヘアの初期反射スペクトルの各波長で特定されたヘアカラートリートメントによって起こされるスペクトル変化を別々に見ることである。上述のように、ほとんどのヘアの染料は漂白剤を含有する。これらの漂白剤はそれらの異なる色素構造及び濃度に依存して異なるヘアに異なる方法で影響する。例えば、高い濃度のユーメラニンを有する黒いヘアは低い濃度のユーメラニン及び高い濃度のフェオメラニンを有するブロンドヘアより漂白に対して強く反応する傾向がある。ヘアの色素は各波長で異なる光吸収性を持つので、ヘア色素濃度は各波長におけるヘアの反射率に異なるように影響する。例えば、特定の波長における高い反射率値は高い濃度のある色素を示唆することができ、一方別の波長における高い反射率値は異なる色素によって生じうる。それゆえ、ヘアの染色によって起こされるスペクトル変化は各波長に対するヘアの初期反射率の関数として近似される。それゆえ、各ヘアの染料は複数の関連するスペクトル変化関数を有し、各波長に対して一つのスペクトル変化関数がある。いったん関数が特定のヘアカラートリートメントのために各波長について規定されたら、最終的な反射スペクトルの導出は簡単である。換言すれば、この第二のアプローチは、各波長に対してスペクトル変化関数を別々に規定し、次いで各スペクトル変化関数を初期反射率測定の各波長に適用して最終的な反射スペクトルに到達することを含む。それゆえ、スペクトル変化関数は初期反射スペクトルの波長範囲にわたって変化する。
【0106】
さらに詳細には該方法は以下の基本的な工程を含む。第一に、それぞれの別個の波長に対する反射率差ΔRλはその波長に対する適切なスペクトル変化関数を使用して算出される。次いで、最終的な反射率値Rfλは算出された反射率差ΔRをその波長における反射率の測定された初期値Riλに加算することによって算出され、最終的なヘアのスペクトルの予測は反射率差(ΔRλ)を測定された初期反射率(Riλ)に加算することによって簡単になされることができる。この工程は以下の方程式によって表される。
【0107】
次いで、各波長に対して算出された全てのRfλは最終的な反射スペクトルを形成するために累積される。特許請求の範囲で使用される用語「新しい光学値」は本書ではヘアの算出された反射率又は吸収率の値及び算出された吸収率又は反射率の差を含むように規定される。特許請求の範囲に使用される用語「初期光学値」は本書ではある波長における反射率の測定された初期値Riλ及びある波長におけるヘアの初期吸収率の値を含むように規定される。
【0108】
図2〜7の第一のアプローチを参照して記載されるように、染料の混合物で着色することによってヘアの反射スペクトルに起こされる変化は混合物中の各染料のスペクトル変化の組み合わせである。それゆえ、ある波長に対するカラー1及びカラー2のカラー混合物で着色されたヘアの最終的なカラーの予測は以下の方程式によって与えられる:
式中、Rfλはカラー混合物で着色された後の波長λにおける最終的な反射率であり、Rf1λ及びRf2λは各ヘアカラートリートメントのために別々にモデル化された波長λにおける最終的な反射率であり、a及びbはそれぞれ、第一及び第二ヘアカラートリートメントの相対濃度である。
それゆえ、規定によってa+b=1。
【0109】
方程式3.2は以下のように導出される。ある波長における着色後の反射率は以下のようにBeerの法則から導出されることができる。
式中、e−αλはヘアカラートリートメントによって起こされるスペクトル変化である。
【0110】
方程式3.1を使用して方程式3.3においてRfλを代入すると、以下の方程式になる。
【0111】
二つのカラーの混合物で着色するとき、両カラーによって起こされる追加のスペクトル変化は以下によって記載される。
式中、a及びbはそれぞれ、ヘアカラートリートメント1及びヘアカラートリートメント2の相対濃度である。
【0112】
方程式3.4の右辺を方程式3.5のe−αλに代入すると、
式中、ΔR1λ及びΔR2λは各ヘアカラートリートメントのために別々に(換言すればカラーの混合なしと仮定して)算出された第一ヘアカラートリートメント及び第二ヘアカラートリートメントに対する反射率差である。
【0113】
a+b=1であるので、
それゆえ、方程式3.1を使用して方程式3.7に代入すると、
【0114】
方程式3.1及び3.8は一般的には、初期反射スペクトル及び仮定のヘアトリートメントの一次関数として新しい反射スペクトルを算出するために使用される。しかしながら、方程式3.1及び3.8が初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントを決定するために使用されることができることは認識されるだろう。これらの方法はともに以下に記載される。
【0115】
第一の方法は初期反射スペクトルの一次関数として仮定のヘアトリートメントによる新しい反射スペクトルを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック52)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、関連するスペクトル変化関数を有する少なくとも一つの仮定のヘアトリートメントが選択される(ブロック54)。第四に、各波長に対する最終的な反射率が算出される。もしヘアカラートリートメントの混合が使用されるなら、各波長における最終的な反射率は各ヘアカラートリートメントに対して別々に算出される(ブロック56)。次に、もしヘアカラートリートメントの混合が使用されるなら、算出された反射率値は各波長に対して方程式3.8を使用して配分される(ブロック58)。最後に、新しい反射スペクトルは算出された最終的な反射率値から形成される(ブロック60)。新しいスペクトルはヘアトリートメント及び初期反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0116】
第二の方法は初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの一次関数としてヘアトリートメントを算出するためのものである。第一に、初期反射スペクトルは分光光度計14によって測定される(ブロック52)。第二に、処理器16は入力として波長範囲を有する初期反射スペクトルを受ける。第三に、所望の反射スペクトルが選択される(ブロック62)。最後に利用可能なヘアカラートリートメント及びその混合に対して、方程式3.1及び/又は3.8を使用して算出される。最終的なスペクトルは近い適合が見出されるまで所望の反射スペクトルと比較される。この工程は一般的には、処理時間を減らすための反復法である。決定されたヘアトリートメントは初期反射スペクトル及び所望の反射スペクトルの実質的に非加算的な関数であることがわかる。
【0117】
図9及び10を参照すると、図9は図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作製する方法を示すフローチャートである。図10は図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料についての一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。このモデルを構成するための工程は以下の通りである。第一に、幾つかのヘアの試料がとられる(ブロック66)。第二に、各試料の初期反射スペクトルがシステム10を使用して測定される(ブロック68)。第三に、各試料は同じ特定のヘアカラートリートメントで着色される(ブロック70)。第四に、各試料の最終的な反射スペクトルはシステム10を使用して測定される(ブロック72)。最後に、測定された最終的な反射スペクトルの別個の波長に対して、その波長における試料の初期反射率Riλは同じ波長における初期のヘア試料と最終的な着色されたヘア試料の間の反射率差に対してプロットされる(ΔRλ=Rfλ−Riλ)(図10)。例えば、限定されないが、反射率値に二次多項式関数を最良にフィッティングするための最小二乗法を使用して、初期反射率Riλの関数として反射率差ΔRを最良に記載する回帰関数が見出される(ブロック74)。ブロック74の工程は全ての波長に対して繰り返される。上の方法は特定のヘアカラー法について各波長に対するスペクトル変化関数を与える。次いで関数は図8を参照して上記のように方程式3.1及び3.8で使用される。
【0118】
各スペクトル変化関数は一般的には、以下の二次方程式の形を有する。
式中、aλ,bλ,cλは特定の波長における反射率差と初期反射率を相関させる回帰関数の定数である。
【0119】
図11を参照すると、それは図1のシステム10の操作における工程を示すフローチャートである。第一に、顧客は可能なヘアカラーの選択から所望のヘアカラーを選択する(ブロック76)。可能なヘアカラーの反射スペクトルはシステム10を使用する測定によって決定される。次いで各反射スペクトルは処理器16に入力される。処理器16はモニターに表示するための実際のカラーを再現するために反射スペクトルを使用する。反射スペクトルに基いたモニター上のカラーの表示は業界で知られている。所望のカラーがカード上に印刷されることができるか又は染色されたヘアの見本として表されることができることは当業者に明らかであるだろう。それゆえ、利用可能なカラーの各々は既知の反射スペクトルを有する。第二に、顧客のヘアの初期反射スペクトルはシステム10によって測定される(ブロック78)。第三に、処理器16は所望のカラーの反射スペクトルにできるだけ近い最終的な反射スペクトルを生じるヘアカラートリートメントを決定するために染色及び/又は漂白並びに二つ以上の染料の混合を含む仮定のヘアカラートリートメントに基く計算を実行する。これらの計算を実行するための方法は図2及び8を参照して上で記載された。この工程では、処理器16は仮定のヘアカラートリートメントによる新しい反射スペクトルを計算する(ブロック80)。次いでこの新しい反射スペクトルは所望のカラーの反射スペクトル及び新しい反射スペクトルの減算又は除算によって所望のカラーの反射スペクトルと比較される。次いで処理器16は、反復法及び利用可能なヘアカラートリートメントの制約を与えて、所望の反射スペクトルと新しい反射スペクトルの間の差が最小になるまで多くの反復した計算を実行する(ブロック82)。本発明の代替的な実施態様によれば、所望のヘアカラーはカラー座標表示、例えばRGB表示を使用して表現される。新しい反射スペクトルはカラー座標表示に変換され、それは次いで所望のヘアカラーのカラー座標表示と比較される。ヘアカラートリートメントが上述の反復計算を実行せずに決定されることができることは当業者によって認識されるだろう。この代替法は初期反射スペクトル及び所望の最終的な反射スペクトルに基いて所望のスペクトル変化関数を算出することによって実行される。次いで所望のスペクトル変化関数は最も近い適合を決定するために利用可能なヘアカラートリートメント及びそれらの混合のスペクトル変化関数と比較される。次いで処理器16は最も近く適合するカラートリートメントの適用に基いて最終的な反射スペクトルを算出する。もし所望のヘアカラーが自然のヘアカラーであるなら、そのとき合成染色を使用する染色は必要ではなく、漂白で十分であることが注意されるべきである。同様に、もし顧客が明るいカラーのヘアを持つなら、所望のカラーを達成するために追加の漂白は必要でない。次いで処理器16が反復計算を完了した後、処理器16はユーザインターフェース18上に選択された数の可能な最終的なヘアカラーを表示するためのデータを出力する(ブロック84)。この表示は最終的なヘアカラーの反射スペクトル又は最終的なヘアカラーのカラー座標表示のいずれかに基く。可能な最終的なヘアカラーは一般的に、所望のヘアカラーに最も近い適合、並びに所望のカラーからセットギャップ(set gap)のある幾つかの他のカラーを含む。セットギャップは美容師によって予め設定されることができる。次いで処理器16は選択された最終的なヘアカラー(それはブロック80の工程で使用される仮定のヘアカラートリートメントの一つであった)のヘアカラートリートメント指示のデータを装置、一般的にはユーザインターフェース18のディスプレイに出力し、それによって選択されたカラーを達成するために必要とされる染料及び/又は必要な漂白濃度及び漂白時間を美容師に知らせる(ブロック88)。どの染料を使用すべきかを美容師に知らせる代わりに、処理器16は美容師によってすぐ使用するために染料及び/又は漂白剤を分配及び混合する自動カラー(染料及び/又は漂白剤)混合装置にデータを送ることができることは当業者によって認識されるだろう。次に、もし漂白が必要なら、美容師はヘアを必要な時間、漂白する(ブロック90)。次いで、所望によりこの段階で、ブロック78〜88又はブロック90が染色前に再び実行され、より正確な染色結果を達成する(ライン92)。次いで、もし染色が実行されたら、美容師は染料又はその組み合わせを使用してヘアを染色する(ブロック94)。本発明の技術を使用する他の方法が可能であることは当業者に明らかであるだろう。例えば、上の工程は異なる順序で実行されてもよい。また、顧客は異なる漂白時間での特定の染料の使用に基いた多数のヘアカラーの選択を与えられることができる。さらに、顧客は利用可能な染料の各々に対する最終的なヘアカラーをユーザインターフェース18上で示されることができる。次いで、顧客は所望のヘアカラーとの比較を実行する処理器16なしで表示された最終的なヘアカラーに基いたヘア染料を選択する。
【0120】
本発明によるシステムは好適にプログラムされたコンピュータであってもよいことが理解される。同様に、本発明は本発明の方法を実行するためにコンピュータによって読み取られるコンピュータプログラムを企図する。さらに、本発明は本発明の方法を実行するために機械によって実行可能な指示のプログラムを具体的に実現する機械可読メモリーを企図する。
【0121】
本願で挙げた刊行物、特許及び特許願はすべて、個々の刊行物、特許及び特許願が各々あたかも具体的にかつ個々に引用提示されているのと同程度に、全体を本明細書に援用するものである。さらに、本願で引用又は確認したことは本発明の先行技術として利用できるという自白とみなすべきではない。
【0122】
本発明が、本明細書中に具体的に示されかつ説明されてきたものに限定されないことは当業者には理解されるであろう。逆に、本発明の範囲は、本明細書中に記載される種々の特徴の組合せ及びサブコンビネーションの両方を含み、先行技術には無い本発明の変更及び変形があることは本明細書の記載から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の好ましい実施態様に従って構成されかつ操作できるヘアカラー決定システムの概略図である。
【図2】図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第一のアプローチを示すフローチャートである。
【図3】図2の第一のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
【図4】図2の第一のアプローチで使用するための自然のヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
【図5】図2の第一のアプローチで使用するための前に染色されたヘアの試料の漂白の累乗の指数の値に対する全反射率のグラフである。
【図6】図2の第一のアプローチで使用するための試料染色スペクトル変化成分である。
【図7】図2の第一のアプローチで使用するための試料漂白スペクトル変化成分である。
【図8】図1のシステムで使用するための新しい反射スペクトルを算出するための第二のアプローチを示すフローチャートである。
【図9】図8の第二のアプローチで使用するためのモデルを作る方法を示すフローチャートである。
【図10】図8の第二のアプローチで使用するためのヘアの試料のための一つの波長の初期反射率に対する反射率差のグラフである。
【図11】図1のシステムの操作における工程を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステム:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)前記初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによる前記ヘアの新しいスペクトルを算出する;そして
(iii)前記算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項2】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理器が前記ヘアに所望のスペクトルを与える前記ヘアのためのトリートメントを決定するためにさらに構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記算出は、前記波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって前記初期スペクトルを乗算することに基づいて前記新しいスペクトルを算出することによって実施され、前記スペクトル変化関数の値は前記波長範囲にわたって変化する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記算出は以下のことを含む請求項1に記載のシステム:
(i)前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)前記一組の新しい光学値から前記新しいスペクトルを形成する。
【請求項13】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステム:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)前記ヘアの所望のスペクトル及び前記初期スペクトルの一次関数として前記ヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する;そして
(iii)前記決定の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項15】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記決定は、前記波長範囲にわたって前記初期スペクトルによって前記所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、前記スペクトル変化関数から前記トリートメントを決定することを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記決定は、前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアのトリートメントを決定するためのシステムであって、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、システムは以下のために構成された処理器を含むシステム:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、前記算出は以下の(I)及び(II)の少なくとも一つに基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する;そして
(iii)前記算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項26】
前記算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く請求項25に記載のシステム:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【請求項27】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)前記初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによる前記ヘアの新しいスペクトルを算出する。
【請求項32】
前記新しいスペクトルに基いたカラーを表示する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントを分配する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記ヘアに所望のスペクトルを与える前記ヘアのためのトリートメントを決定する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記算出は、前記波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって前記初期スペクトルを乗算することに基づいて前記新しいスペクトルを算出することによって実施され、前記スペクトル変化関数の値は前記波長範囲にわたって変化する請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記算出は以下のことを含む請求項31に記載のシステム:
(i)前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)前記一組の新しい光学値から前記新しいスペクトルを形成する。
【請求項42】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は請求項31に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【請求項44】
以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)前記ヘアの所望のスペクトル及び前記初期スペクトルの一次関数として前記ヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する。
【請求項45】
前記決定に基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記決定に基いたヘアカラートリートメントを分配する工程をさらに含む請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記関数が実質的に非加算的である請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記決定は、前記波長範囲にわたって前記初期スペクトルによって前記所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、前記スペクトル変化関数から前記トリートメントを決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記決定は、前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は請求項44に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【請求項55】
第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定するための方法であって、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、方法は以下の工程を含む方法:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、前記算出は以下の(I)及び(II)に基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する。
【請求項56】
前記算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く請求項55に記載の方法:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【請求項57】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータに第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定させ、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、前記指示は請求項55に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【請求項1】
以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステム:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)前記初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによる前記ヘアの新しいスペクトルを算出する;そして
(iii)前記算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項2】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理器が前記ヘアに所望のスペクトルを与える前記ヘアのためのトリートメントを決定するためにさらに構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記算出は、前記波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって前記初期スペクトルを乗算することに基づいて前記新しいスペクトルを算出することによって実施され、前記スペクトル変化関数の値は前記波長範囲にわたって変化する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記算出は以下のことを含む請求項1に記載のシステム:
(i)前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)前記一組の新しい光学値から前記新しいスペクトルを形成する。
【請求項13】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
以下のために構成された処理器を含むヘアカラートリートメントを決定するためのシステム:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)前記ヘアの所望のスペクトル及び前記初期スペクトルの一次関数として前記ヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する;そして
(iii)前記決定の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項15】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記決定は、前記波長範囲にわたって前記初期スペクトルによって前記所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、前記スペクトル変化関数から前記トリートメントを決定することを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記決定は、前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアのトリートメントを決定するためのシステムであって、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、システムは以下のために構成された処理器を含むシステム:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、前記算出は以下の(I)及び(II)の少なくとも一つに基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する;そして
(iii)前記算出の工程に基いたデータを装置に出力する。
【請求項26】
前記算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く請求項25に記載のシステム:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【請求項27】
前記初期スペクトルを生成するために構成されたスペクトル分析器をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記データに基いたカラーを表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記データに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示するために構成された表示装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
前記データに基いたヘアカラートリートメントを分配するために構成されたカラー混合装置をさらに含む請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)前記初期スペクトルの一次関数として仮定のヘアカラートリートメントによる前記ヘアの新しいスペクトルを算出する。
【請求項32】
前記新しいスペクトルに基いたカラーを表示する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記新しいスペクトルに基いたヘアカラートリートメントを分配する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記ヘアに所望のスペクトルを与える前記ヘアのためのトリートメントを決定する工程をさらに含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記一次関数が実質的に非加算的である請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記算出は、前記波長範囲にわたるスペクトル変化関数によって前記初期スペクトルを乗算することに基づいて前記新しいスペクトルを算出することによって実施され、前記スペクトル変化関数の値は前記波長範囲にわたって変化する請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記算出は以下のことを含む請求項31に記載のシステム:
(i)前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与える;そして
(ii)前記一組の新しい光学値から前記新しいスペクトルを形成する。
【請求項42】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項41に記載の方法。
【請求項43】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は請求項31に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【請求項44】
以下の工程を含むヘアカラートリートメントを決定するための方法:
(i)ヘアの試料の波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;そして
(ii)前記ヘアの所望のスペクトル及び前記初期スペクトルの一次関数として前記ヘアのためのヘアカラートリートメントを決定する。
【請求項45】
前記決定に基いたヘアカラートリートメントの指示を表示する工程をさらに含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記決定に基いたヘアカラートリートメントを分配する工程をさらに含む請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記関数が実質的に非加算的である請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記決定は、前記波長範囲にわたって前記初期スペクトルによって前記所望のスペクトルを除算することによってスペクトル変化関数を算出し、前記スペクトル変化関数から前記トリートメントを決定することを含む請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記スペクトル変化関数が前記仮定のヘアカラートリートメントの漂白効果によるスペクトル変化成分を含む請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記スペクトル変化成分が前記ヘアの反射率に依存する請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記スペクトル変化関数がまた、前記仮定のヘアカラートリートメントの染色効果によるスペクトル変化成分を含む請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記決定は、前記波長範囲内の複数の別個の波長の各々に対して、前記別個の波長の一つの前記ヘアの初期光学値の関数として前記別個の波長の一つの前記ヘアの新しい光学値を算出し、それによって前記ヘアの一組の新しい光学値を与えることを含む請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記初期光学値の前記関数が前記波長範囲にわたって変化する請求項52に記載の方法。
【請求項54】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータにヘアカラートリートメントを決定させ、その指示は請求項44に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【請求項55】
第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定するための方法であって、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、方法は以下の工程を含む方法:
(i)ヘアの波長範囲を有する初期スペクトルを入力として受ける;
(ii)第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントをヘアに適用する仮定のヘアカラートリートメントによるヘアの新しいスペクトルを算出し、前記算出は以下の(I)及び(II)に基く;
(I)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一スペクトル変化関数
及び第二スペクトル変化関数を配分する;及び
(II)第一相対濃度及び第二相対濃度のそれぞれによって第一の新しいスペクト
ル及び第二の新しいスペクトルを配分する。
【請求項56】
前記算出は以下の(i)及び(ii)の少なくとも一つに基く請求項55に記載の方法:
(i)第一スペクトル変化関数を第一相対濃度で累乗し、第二スペクトル変化関数を第二相対濃度で累乗する;及び
(ii)第一の新しいスペクトルを第一相対濃度で累乗し、第二の新しいスペクトルを第二相対濃度で累乗する。
【請求項57】
コンピュータの指示が記憶されるコンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、その指示はコンピュータによって読みとられるとコンピュータに第一相対濃度の第一ヘアカラートリートメント及び第二相対濃度の第二ヘアカラートリートメントを使用してヘアカラートリートメントを決定させ、前記第一ヘアカラートリートメントは第一ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第一の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第一スペクトル変化関数を有し、前記第二ヘアカラートリートメントは第二ヘアカラートリートメントだけの適用後にヘアの第二の新しいスペクトルを決定するのに使用するための関連する第二スペクトル変化関数を有し、前記指示は請求項55に記載の工程を含むコンピュータソフトウェア製品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2008−532037(P2008−532037A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557662(P2007−557662)
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000210
【国際公開番号】WO2006/090363
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507290009)シースルー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際出願番号】PCT/IL2006/000210
【国際公開番号】WO2006/090363
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507290009)シースルー リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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