説明

ヘアキャッチャー

【課題】清掃頻度を少なくさせ、逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させるヘアキャッチャーを提供する。
【解決手段】排水路に対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャー10に、下端12bから前記排水路に挿入される軸12と、軸12に対して摺動自在に取り付けられる内目皿軸挿通部22と、内側排水通過部26とを有する内目皿20と、軸12に対して内目皿軸挿通部22よりも下側に取り付けられた外目皿軸挿通部32と、外目皿軸挿通部32の上側に内目皿20が軸12に対して摺動可能に収容され且つ内側排水通過部26を通過した排水を通過させる収容部34と、上面が収容部34の上部から外側に向かって上がった外側排水通過部36とを有する外目皿30とを設け、収容部34に収容された内目皿20の上面の外縁28を外側排水通過部36の上面よりも低くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水路に対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、軸部材と捕集部材と捕集リブとからなるヘアキャッチャーが知られている。捕集部材の底面部及び側面部は、毛髪等を捕集することができる網目状に形成されている。捕集部材の側面部は、底面部から外側へ広がるように上方へ延出している。捕集リブは、中心部に貫通穴を有し該中心部から放射状に広がる複数のリブを備え、捕集部材の上方で軸部材にスライド自在に取り付けられている。捕集リブが水平に広がっているため、排水ユニットにヘアキャッチャーが装着されたとき、捕集部材の網目状底面部と捕集リブとが重なったときの狭い隙間を排水が通過することになる。
【0003】
なお、特許文献2に記載される排水口のヘアキャッチャーは、軸に対して移動しないように固定されている。この固定されたヘアキャッチャーは、全体を傘状に傾斜させた放射状の捕集リブを有する内側部材と、この内側部材の外周部に固定される筒状の外側部材とで構成されている。
【0004】
また、特許文献3に記載されるように、ゴム栓が装着される排水口に設置されるヘアキャッチャーが知られている。このヘアキャッチャーは、排水口に引っ掛け可能な円環体を有するとともに内部に複数のリングを有する円状体と、円状体の中央部に挿通される軸部と、水平に広がる桟を有し軸部の上部に固定される捕集体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−116228号公報
【特許文献2】特開平10−88638号公報
【特許文献3】特開2008−267041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
排水口(排水路)に設けられるヘアキャッチャーには、捕集した毛髪等の捕集物が目皿等に堆積する。そのため、捕集物が目皿の通水部を閉塞し、排水能力を低下させる。従って、定期的にヘアキャッチャーを清掃することが好ましい。また、ヘアキャッチャーを清掃する際、目皿等に堆積した毛髪等を落下させて除去するためにヘアキャッチャーを逆さまにすることがある。
特許文献1に記載のヘアキャッチャーは、捕集部材の網目状底面部と捕集リブとが重なったときの狭い隙間を排水が通過するため、捕集物で閉塞し易い。また、捕集部材は網目状底面部から網目状側面部が外側へ広がるように上方へ延出しているので、捕集リブ上に堆積した捕集物が網目状側面部を閉塞してしまう。従って、ヘアキャッチャーを頻繁に清掃する必要がある。
特許文献2に記載のヘアキャッチャーは、軸に対して移動しないように固定されているため、捕集物の除去に手間取ることになる。
特許文献3に記載のヘアキャッチャーは、捕集体が軸部に固定されているため、軸部を持ってヘアキャッチャーを逆さまにしても、捕集体が円状体から離れず、捕集物の除去に手間取ることになる。
【0007】
以上を鑑み、本発明は、ヘアキャッチャーの清掃頻度を少なくさせヘアキャッチャーを逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させる目的を有している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、排水路に対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャーであって、
下端から前記排水路に挿入される軸と、
該軸に対して摺動自在に取り付けられる内目皿軸挿通部と、毛髪を捕集しながら排水を下方へ通過させる内側排水通過部とを有する内目皿と、
前記軸に対して前記内目皿軸挿通部よりも下側に取り付けられた外目皿軸挿通部と、前記外目皿軸挿通部の上側に前記内目皿が前記軸に対して摺動可能に収容され且つ前記内側排水通過部を通過した排水を通過させる収容部と、上面が前記収容部の上部から外側に向かって上がった外側排水通過部であって毛髪を捕集しながら排水を下方へ通過させる外側排水通過部とを有する外目皿とを備え、
前記収容部に収容された前記内目皿の上面の外縁が前記外側排水通過部の上面よりも低い態様を有する。
【0009】
すなわち、排水口から流入した排水は、内側排水通過部及び収容部を通過するか、外側排水通過部を通過する。外側排水通過部は上面が収容部の上部から外側に向かって上がり、収容部に収容された内目皿の上面の外縁が外側排水通過部の上面よりも低いので、外側排水通過部を通過する排水に含まれる毛髪が内目皿の方へ集まり、捕集物が内目皿上に堆積する。これにより、ヘアキャッチャーを排水路から外して逆さまにすると、内目皿が捕集物とともに軸の上端側へ移動する。さらに、内目皿上に捕集物が堆積するので、外側排水通過部が捕集物で閉塞され難くなり、良好な排水能力が維持される時間が長くなる。従って、ヘアキャッチャーの清掃頻度を少なくさせヘアキャッチャーを逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させることができる。
【0010】
各請求項に係る発明において、上記ヘアキャッチャーには、洗面ボウルの排水路に設けられる排水栓ユニットの他、浴槽、シンク、等の排水路に設けられるヘアキャッチャーも含まれる。また、ヘアキャッチャーは、排水口にゴム栓が装着される排水路に設けられる等、単独で使用されてもよいし、軸の上端に排水栓が設けられる等、別部材と組み合わされて使用されても良い。
上記排水は、毛髪を含む水とする。なお、明細書では、排水口に流入する水も排水として説明している。
上記内側排水通過部及び上記外側排水通過部には、孔、スリット、が含まれる。
上記内目皿及び上記外目皿には、毛髪以外の異物も捕集するものも含まれる。また、内目皿及び外目皿は、全ての毛髪を止めるものでなくても良い。
上記内目皿軸挿通部が軸に対して摺動自在であることは、軸を逆さまにすると内目皿軸挿通部が軸に沿って移動することを意味し、軸の長手方向全体にわたって移動することのみならず、軸の長手方向の所定範囲に限って移動することが含まれる。
上記外目皿軸挿通部は、軸に対して移動しないように固定されても良いし、軸に対して摺動自在に取り付けられても良い。
上面が収容部の上部から外側に向かって上がった外側排水通過部の形状には、軸の中心線を含む平面で切断した断面が直線的に上がった形状、軸の中心線を含む平面で切断した断面が曲線的に上がった形状、等が含まれる。
【0011】
なお、上記ヘアキャッチャーが設けられた洗面ボウル、浴槽、シンク、等のヘアキャッチャー付き水槽の発明も、上述した作用、効果を奏する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清掃頻度を少なくさせ清掃性を向上させるヘアキャッチャーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るヘアキャッチャー10を設けた洗面化粧台1の要部を例示する正面図であり、洗面化粧台1の扉の図示を省略して示す図である。
【図2】閉栓状態の排水栓ユニット2及びその周辺を一部断面視して例示する図である。
【図3】排水路70から取り出した排水栓ユニット2を一部断面視して例示する側面図である。
【図4】軸12から排水栓4を取り外した状態の排水栓ユニット2を例示する分解斜視図である。
【図5】(a)は内目皿20の外観を例示する斜視図、(b)は外目皿30の外観を例示する斜視図である。
【図6】(a)は外目皿30を例示する平面図、(b)は内目皿20を例示する平面図、(c)は軸12の中心線を含む鉛直面で切断して外目皿30を例示する垂直断面図、(d)は軸12の中心線を含む鉛直面で切断して内目皿20を例示する垂直断面図、(e)は排水栓4を外したヘアキャッチャー10の例を上から見て示す平面図である。
【図7】(a)は排水路70から取り出した排水栓ユニット2を例示する垂直断面図、(b)は排水栓4を外してヘアキャッチャー10を逆さまにした様子を例示する垂直断面図である。
【図8】(a)は変形例に係る排水栓ユニット2を排水路70から取り出した状態で示す垂直断面図、(b)は排水栓4を外してヘアキャッチャー10を逆さまにした様子を例示する垂直断面図である。
【図9】(a)〜(d)は内目皿20と外目皿30の組合せの変形例を示す垂直断面図である。
【図10】(a),(b)は比較例に係るヘアキャッチャーの要部を示す垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)洗面化粧台の構成:
図1に示す洗面化粧台1は、洗面ボウル80に水栓90や排水管ユニット60が取り付けられている。
洗面ボウル80は、人造大理石や陶器等で形成され、下方へ凹んだ凹状とされている。洗面ボウル80の凹部81には、開口部82(図2参照)が底部に形成され、オーバーフロー口83が内側面の上部に形成されている。このオーバーフロー口83と排水管ユニット60とは、オーバーフロー管84で接続されている。
【0015】
図2に示すように、排水管ユニット60は、排水管62に所定の昇降機構66が組み込まれ、この昇降機構66にワイヤ68が接続されている。
排水管62の上端は洗面ボウルの開口部82の下端に接続され、排水口となる開口部82上端から下流へ排水路70を形成している。この排水路70に対して、排水栓ユニット2が着脱可能に設けられる。排水管62の上端は、排水栓ユニット2の外目皿30を掛止する目皿掛止部64とされている。目皿掛止部64は、内径が開口部82の内径よりも小さくされ、外目皿30の引掛部38を載置する。
【0016】
昇降機構66は、上方へ突出した持ち上げ部材67を有している。この持ち上げ部材67は、排水栓ユニット2の外目皿ストッパー16の持ち上げ部材挿入穴16cに挿入され、図2に示すように最も退避した所定の退避位置と、最も突出して排水栓ユニット2の軸12を持ち上げる所定の進出位置との間で移動可能とされている。
ワイヤ68は、洗面ボウル80に取り付けられる操作部69を有している。洗面化粧台の使用者が操作部69を操作して持ち上げ部材67を退避位置まで退避させると、排水栓4により排水口(開口部82)を閉塞する閉栓位置L1まで軸12が下降する。一方、使用者が操作部69を操作して持ち上げ部材67を進出位置まで進出させると、排水栓4を上げて排水を排水口(開口部82)に流入させる開栓位置L2まで軸12が上昇する。図2では、開栓位置L2における排水栓4の上面位置を二点鎖線で示している。
【0017】
(2)排水栓ユニットの構成:
図2〜4に示すように、本実施形態の排水栓ユニット2は、ヘアキャッチャー10に排水栓4が着脱可能に取り付けられて構成され、軸12の長手方向D1を上下に向けて排水路70に設けられる。ヘアキャッチャー10は、軸12、内目皿20、外目皿30、を有している。
【0018】
本実施形態の排水栓4には、軸12の上端12aを挿入するための軸挿入穴4aが下面4c側に形成されているとともに、環状のパッキン5を嵌めるための溝4bが軸12を中心として周回する位置に形成されている。軸挿入穴4aに軸の上端12aを挿入すると、排水栓4と軸12とが互いに固定される。一方、互いに固定された排水栓4及び軸12を引き離すように引っ張ると、軸挿入穴4aから軸の上端12aが抜ける。従って、排水栓4は、軸の上端12aに対して着脱可能に取り付けられていることになる。排水栓4は、軸挿入穴4a及び溝4bを形成する部分がアクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)といった合成樹脂等で形成され、上面部分が金属等で形成される。
溝4bに嵌められたパッキン5は、閉栓時に排水口(開口部82)との間をシールする。
【0019】
軸12は、上端12aに排水栓4が固定される弁軸であり、下端12bから排水路70に挿入される。軸12は、金属等で形成され、円柱等の棒状、又は、円筒等の筒状とされる。本実施形態の軸12は、下端12bに外目皿ストッパー16が固定され、この外目皿ストッパー16の上側に外目皿30が摺動可能に取り付けられ、この外目皿30よりも上側まで摺動可能とされた内目皿20が取り付けられている。軸12には、Oリング13,14,15を取り付けるための溝12c,12d,12eが上から順に形成されている。最も上端12a側の溝12cには、排水栓4を着脱可能に固定するためのOリング13が設けられる。溝12dには、ヘアキャッチャー10を逆さまにしたときに上端12a側へ摺動する内目皿20を止めるためのOリング14が設けられる。最も下端12b側の溝12eには、ヘアキャッチャー10を逆さまにしたときに上端12a側へ摺動する外目皿30を止めるためのOリング15が設けられる。Oリング15は、排水栓ユニット2を排水路70に装着したときに目皿掛止部64に引っ掛かる外目皿30の外目皿軸挿通部32が下側となる位置に設けられている。Oリング14は、ヘアキャッチャー10を上下逆にしたときに外目皿30の収容部34から内目皿20が出て外目皿30よりも低い位置で止まる位置に設けられている。従って、Oリング14は、本発明にいうストッパー部を構成する。
【0020】
外目皿ストッパー16は、図3に示すように軸の下端12bを圧入した軸挿入穴16bを上端16a側に有し、軸の下端12bを覆って軸12から外目皿30が脱落しないようにしている。また、外目皿ストッパー16は、図2に示すように持ち上げ部材67を挿入するための持ち上げ部材挿入穴16cを下端側に有している。外目皿ストッパー16の下端は、下目皿17が持ち上げ部材挿入穴16cの周りに形成されている。外目皿ストッパーの上端16aは、排水栓ユニット2を排水路70に装着したときに目皿掛止部64に引っ掛かる外目皿30の外目皿軸挿通部32が上側となる位置に設けられている。
【0021】
下目皿17は、環状部17a、複数の支持部17b及び複数の凸部17dを有し、オーバーフロー口83からオーバーフロー管84を介して排水管62に流入した排水に含まれる毛髪等を捕集しながら、該排水並びに内目皿20及び外目皿30を通過した排水を下方へ通過させる。環状部17aは、排水管62の内径よりも若干小さい外径とされている。複数の支持部17bは、隣り合う支持部17b同士のなす角度が全て等しくなるように軸12を中心とした放射状に設けられ、排水を通過させる複数の孔17cを形成するように外目皿ストッパー16の本体部16Aと環状部17aとを繋いでいる。複数の凸部17dは、隣り合う凸部17d同士の間隔が全て等しくなるように環状部17aの外側面に対して設けられている。
【0022】
内目皿20は、図5(a)の斜視図や図6(b)の平面図や図6(d)の垂直断面図等に示すように、内目皿軸挿通部22及び内側排水通過部26を有し、傘状に形成されている。
内目皿軸挿通部22は、軸12を貫通させた軸挿通穴22aを有する円筒形状とされ、内目皿20の中央部分に形成されている。軸挿通穴22aの内径は、軸12の外径よりも若干大きく、Oリング14,15の外径よりも若干小さくされている。これにより、内目皿軸挿通部22は、軸12を中心として回転動作可能であるとともに、Oリング14,15の間で軸12に対して摺動自在に取り付けられている。また、Oリング14は、排水栓4を外した軸12から内目皿20を軸の上端12a方向へ引っ張ると外すことができる外径とされている。従って、内目皿軸挿通部22は、軸12に対して着脱可能に取り付けられていることになる。
【0023】
内側排水通過部26は、内目皿軸挿通部22の周りに形成され、排水中の毛髪の通過を抑止しながら排水を通過させる円形の孔27を複数有する。従って、内側排水通過部26は、洗面ボウル80から排水路70に流入した排水に含まれる毛髪等の異物を捕集しながら排水を下方へ通過させる。本実施形態の内側排水通過部26は内周側の孔27aの並びと外周側の孔27bの並びとを有し、孔27a,27bはそれぞれ軸12を囲む位置に間隔を空けて複数設けられている。ここで、孔が軸を囲むとは、複数の孔が離散的に配置されることを意味する。また、内側排水通過部26は、軸12側が内目皿軸挿通部22の上端に合わせられ、上面26aが軸12側から外側に向けて下がった傾斜面とされている。内側排水通過部上面26aの傾斜角θ1は、15〜60°(より好ましくは30〜45°)程度とすることができる。内側排水通過部上面26aが水平から傾いていることにより、通水面積が広くなり、内側排水通過部26が閉塞され難くなり、ヘアキャッチャー10の清掃頻度が少なくなる。また、捕集物が内側排水通過部上面26aの外側に集まるので、捕集物を捨て易くなり、ヘアキャッチャー10の清掃性が向上する。
【0024】
ところで、図10(a)に垂直断面を示す比較例のヘアキャッチャーのように、上側目皿920の上面が略水平であると、上側目皿920の上面と下側目皿930の底部935との距離が短くなる。また、上側目皿920の肉厚が一定であると、上側目皿920と下側目皿930との間にほとんど空間ができない。この場合、上側目皿920から垂れた毛髪H1が下側目皿の底部935に絡まり易く、軸の下端側を持ってヘアキャッチャーを逆さまにしても、上側目皿920が下側目皿930から離れず、毛髪H1等の捕集物の除去に手間取ることになる。
【0025】
本ヘアキャッチャー10は、内側排水通過部上面26aが内側に向けて上がっているという特徴を有する。また、内側排水通過部上面26aがほぼ一定の肉厚で構成されているという特徴をも有する。これらの特徴により、図6(d)に示すように、内側排水通過部26と外目皿30の底部(外目皿軸挿通部32及び支持部35)との間に空間SP1が形成され、内側排水通過部上面26aと外目皿30の底部(32,35)との距離(最大距離d1)が長くされる。これにより、内側排水通過部26から垂れた毛髪が外目皿軸挿通部32や支持部35に絡まり難く、軸12の下端12b側を持ってヘアキャッチャー10を逆さまにすると、捕集物を除去し易い軸の上端12a側へ捕集物とともに内目皿20が容易に摺動する。すなわち、本ヘアキャッチャー10は、捕集物を捨て易いという特徴を有する。
また、上記特徴により、内目皿20の軸12に対するガイドとなる内目皿軸挿通部22を軸12の長手方向D1に長くすることができるので、ヘアキャッチャー10を逆さまにしたときの内目皿20の摺動に引っ掛かりが生じ難くなり、ヘアキャッチャー10の清掃性が向上する。
【0026】
内目皿20の外縁20aには、距離d1未満の範囲内で内側排水通過部上面26aから上方へ短く延出した毛髪引掛部28が設けられている。この毛髪引掛部28は、ヘアキャッチャー10を逆さまに向けて内目皿20を軸の上端12a側へ摺動させるときに外目皿30の収容部34の側面部34cに付着した捕集物を引っ掛ける機能を有する。
【0027】
外目皿30は、図5(b)の斜視図や図6(a)の平面図や図6(c)の垂直断面図等に示すように、外目皿軸挿通部32、収容部34及び外側排水通過部36を有している。
外目皿軸挿通部32は、軸12を貫通させた軸挿通穴32aを有する円筒形状とされ、外目皿30の中央部分に形成され、軸12に対して前記内目皿軸挿通部22よりも下側に取り付けられている。軸挿通穴32aの内径は、軸12の外径よりも若干大きく、Oリング15の外径よりも若干小さくされている。これにより、外目皿軸挿通部32は、軸12を中心として回転動作可能であるとともに、Oリング15と外目皿ストッパーの上端16aとの間で軸12に対して摺動自在に取り付けられている。また、Oリング14,15は、排水栓4を外した軸12から外目皿30を軸の上端12a方向へ引っ張ると外すことができる外径とされている。従って、外目皿軸挿通部32は、軸12に対して着脱可能に取り付けられていることになる。
【0028】
収容部34は、側面部34cが軸12を中心とする円筒形状に形成され、底部に複数の支持部35が設けられている。本実施形態の側面部34cは、上縁部34aの内径と下縁部34bの内径とが同じにされ、すなわち、ヘアキャッチャー装着時の垂直断面が軸12の長手方向D1に沿った方向とされ、排水を通過させる孔が設けられていない。側面部34cに孔を設けないことで、内目皿20の摺動不良を防止している。すなわち、側面部34cに孔を設けると、その孔に毛髪が引っ掛ることがあり、その毛髪がストッパーになってしまい内目皿20の摺動を阻害することになることがある。支持部35は、隣り合う支持部35同士のなす角度が全て等しくなるように軸12を中心とした放射状に設けられ、排水を通過させる比較的大きな孔35aを形成するように外目皿軸挿通部32と収容部34外縁の下縁部34bとを繋いでいる。本実施形態の支持部35の上面は、外目皿軸挿通部32の上端よりも若干低く形成されている。一方、内目皿外縁20aの下端は、内目皿軸挿通部22の下端よりも低く形成され、排水栓ユニット装着時に支持部35に接触する。
側面部34cの内径は、内目皿20の外径よりも若干大きくされている。これにより、収容部34は、外目皿軸挿通部32の上側において内目皿20が軸12に対して摺動可能に収容され、且つ、内側排水通過部26を通過した排水を下方へ通過させる。
なお、外目皿30をインジェクション成形等で成形するためには、収容部34に抜き勾配が必要になり、上縁部34aの内径が下縁部34bの内径よりも若干大きくなるが、その抜き勾配を有する形状であっても円筒形状に含むものとする。
【0029】
外側排水通過部36は、収容部34の周りにおいて外形が下に凸の円錐台形状に形成され、排水中の毛髪の通過を抑止しながら排水を通過させる円形の孔37を複数有している。従って、外側排水通過部36は、洗面ボウル80から排水路70に流入した排水に含まれる毛髪等の異物を捕集しながら排水を下方へ通過させる。本実施形態の外側排水通過部36は内周側の孔37aの並びと外周側の孔37bの並びとを有し、孔37a,37bはそれぞれ軸12を囲む位置に間隔を空けて複数設けられている。また、外側排水通過部36は、内側が収容部34の上縁部34aに合わせられ、上面36aが収容部34の上部(上縁部34a)から外側に向かって上がった傾斜面とされている。外側排水通過部上面36aの傾斜角θ2は、30〜75°(より好ましくは45〜60°)程度とすることができる。上面36aを軸12側に向けて下げることにより、外側排水通過部36を通過する排水に含まれる毛髪が内目皿20の方へ集まる。また、通水面積が広くなることによっても、外側排水通過部36が閉塞され難くなる。
【0030】
外目皿30の外縁には、外側排水通過部36から径方向外側へ短く出た引掛部38が設けられている。この引掛部38は、排水栓ユニット2が排水路70に装着されたときに目皿掛止部64に引っ掛かる。外目皿30及び内目皿20が軸12に対して摺動可能であることにより、排水路70に装着された排水栓ユニット2が閉栓位置L1と開栓位置L2との間で上下しても外目皿30及び内目皿20の位置が変化せず、毛髪等の異物を良好に捕集することができる。
【0031】
図3等に示すように、排水栓ユニット装着時において、収容部34に収容された内目皿20の上面の外縁(毛髪引掛部28)は、外側排水通過部の上面36a、特に上面36aの内側縁部(収容部の上縁部34a)よりも低くされる。
【0032】
ところで、図10(b)に垂直断面を示す比較例のヘアキャッチャーのように、収容部が無く下側目皿930の側面部936が底部935から外側へ広がるように上方へ延出していると、上側目皿920に堆積した毛髪H1等の捕集物が側面部936にも付着し、側面部936が閉塞してしまう。従って、ヘアキャッチャーを頻繁に清掃する必要がある。
【0033】
本ヘアキャッチャー10は、上面36aが外側に向かって広がる外側排水通過部36が収容部34の上側にあり、収容部34に収容された内目皿20の上面の外縁(毛髪引掛部28)が外側排水通過部36の上面よりも低いという構造を有する。この構造により、外側排水通過部36を通過する排水に含まれる毛髪等が内側へ集まって外側排水通過部上面36aにとどまらずに内目皿20上へ落下し、収容部34内で捕集物が内目皿20上に堆積する。すなわち、内目皿20に堆積した捕集物が収容部34よりも上側の外側排水通過部36に付着し難く、外側排水通過部36が閉塞され難い。これにより、良好な排水能力が維持される時間が長くなるので、本ヘアキャッチャー10は清掃頻度を少なくすることができるという特徴を有している。
また、軸12の下端12b側を持ってヘアキャッチャー10を逆さまにすると、捕集物を除去し易い軸12の上端12a側へ内目皿20とともに捕集物が容易に移動する。すなわち、本ヘアキャッチャー10は、清掃頻度を少なくすることができるという特徴と捕集物を捨て易いという特徴とを兼ね備えている。
【0034】
なお、外目皿ストッパー16、内目皿20、及び、外目皿30は、ABS樹脂といった合成樹脂等で形成することができる。
【0035】
上述した排水栓ユニット2は、例えば、以下のようにして組み立てることができる。
まず、軸の下端12bを外目皿ストッパー16に圧入し、軸の各溝12c,12d,12eに各Oリング13,14,15を取り付ける。その後、軸12に対して、外目皿30、内目皿20、排水栓4の順に取り付ける。外目皿30を取り付ける際には、外目皿軸挿通部の軸挿通穴32aに軸の上端12aを通し、Oリング15と外目皿ストッパー上端16aとの間となるまで外目皿軸挿通部32を下端12b側へ移動させる。内目皿20を取り付ける際には、内目皿軸挿通部の軸挿通穴22aに軸の上端12aを通し、Oリング14,15の間となるまで内目皿軸挿通部22を下端12b側へ移動させる。この状態でヘアキャッチャー10が組み立てられたこととなり、軸の上端12aに排水栓4を取り付けると、排水栓ユニット2の組み立てが完了する。
むろん、排水栓ユニット2の組み立ては、様々な手順により行うことができる。例えば、先にOリング13〜15を軸12に取り付け、内目皿20を軸12に取り付け、外目皿30を軸12に取り付け、軸の下端12bに外目皿ストッパー16を取り付け、軸の上端12aに排水栓4を取り付けてもよい。
【0036】
なお、図7(a)に示すように、排水栓ユニット2は、排水路70に装着されていないとき、排水栓4を上にした状態で外目皿軸挿通部32が外目皿ストッパー上端16aに接触して止まり、内目皿軸挿通部22がOリング15に接触して止まった状態となる。
【0037】
(3)ヘアキャッチャーの動作、作用、効果:
次に、本ヘアキャッチャー10の動作、作用、効果を説明する。
排水栓ユニット2を外目皿ストッパー16の方から排水路70に挿入すると、持ち上げ部材挿入穴16cに昇降機構の持ち上げ部材67が挿入されるまで排水栓ユニット2が下降し、軸12の長手方向D1を上下に向けて排水栓ユニット2が排水路70に装着される。このとき、外目皿30は引掛部38が目皿掛止部64に引っ掛かって排水路70の上方(排水口入り口近傍)にとどまり、内目皿20は外目皿の収容部34に収容される。
【0038】
ここで、図2に示すように持ち上げ部材67が退避位置まで退避していると、排水栓4及び外目皿ストッパー16を固定した軸12が閉栓位置L1となる。この状態から洗面化粧台1の使用者が操作部69を操作して持ち上げ部材67を進出位置まで進出させると、排水栓4及び外目皿ストッパー16を固定した軸12が開栓位置L2まで上昇する。むろん、この状態から使用者が操作部69を操作して持ち上げ部材67を退避位置まで退避させると、軸12が閉栓位置L1まで下降する。
【0039】
軸12が開栓位置L2にあるとき、図2に示すように、洗面ボウル凹部81の排水W1は、排水口である開口部82から排水管62(排水路70)内へ流入する。排水路70に流入した排水W1は、図6(e)の平面図に示す内側領域R2にある内側排水通過部26及び収容部34を通過するか、外側領域R1にある外側排水通過部36を通過する。内目皿20及び外目皿30を通過した排水は、下目皿17を通過して排水管62(排水路70)内を流下していく。
【0040】
ここで、外側排水通過部上面36aが収容部34の上縁部34aから外側に向かって上がっているので、外側排水通過部36を通過する排水W1に含まれる毛髪H1等が内側へ向かう方向D2(図2及び図6(e)参照)へ移動して内目皿20の方へ集まる。また、収容部34に収容された内目皿20の上面の外縁(毛髪引掛部28)が外側排水通過部上面36aよりも低いので、内目皿20の方へ集まった毛髪H1等が外側排水通過部上面36aにとどまらずに内目皿20上へ落下し、収容部34内で捕集物が内目皿20上に堆積する。従って、外側排水通過部36が捕集物で閉塞され難くなり、内目皿20に捕集物が堆積しても、しばらくは外側領域R1が通水可能であり、且つ、通水可能な領域の面積が図6(e)に示す外側領域R1の面積から小さくなり難い。なお、通水可能な領域は、軸12に直交する水平断面を見たときの領域であるものとする。
以上より、本ヘアキャッチャー10は、良好な排水能力が維持される時間が長く、従来よりも目詰まりし難くすることが可能となり、清掃する頻度を少なくすることができる。
【0041】
一方、内側排水通過部上面26aが軸12側から外側に向けて下がっているので、内側排水通過部26を通過する排水W1に含まれる毛髪H1等が外側へ向かう方向D3へ移動して内目皿20の外縁20a側に集まる。また、図6(d)に示すように、内側排水通過部26と外目皿30の底部(外目皿軸挿通部32及び支持部35)との間に空間SP1が形成され、内側排水通過部上面26aと外目皿30の底部(32,35)との距離が長いので、内側排水通過部26から垂れた毛髪が外目皿軸挿通部32や支持部35に絡まり難い。
【0042】
毛髪H1等を捕集した排水栓ユニット2を使用者が排水路70から取り出すと、図7(a)に示すように、外目皿軸挿通部32が外目皿ストッパー上端16aに接触するまで外目皿30が下降し、内目皿軸挿通部22がOリング15に接触するまで内目皿20が下降する。この状態で軸12から排水栓4を外し、図7(b)に示すようにヘアキャッチャー10を逆さまにすると、外目皿軸挿通部32がOリング15に接触するまで外目皿30が軸の上端12a側へ摺動し、内目皿軸挿通部22がOリング14に接触するまで内目皿20が軸の上端12a側へ摺動する。内側排水通過部26から垂れた毛髪が外目皿30の底部に絡まり難いので、内目皿20が容易に摺動する。
【0043】
このとき、内目皿20が収容部34から出て外目皿30よりも低い軸の上端12a側で止まるので、捕集物を除去し易い。また、内目皿外縁20aの毛髪引掛部28が収容部34の側面部34cに付着した捕集物を引っ掛けて内目皿20が摺動するので、外目皿30に捕集物が残り難い。さらに、内目皿20が傘状に形成されているので、毛髪引掛部28側に毛髪を集めることができるため、ヘアキャッチャー10を逆さまにしたときに内目皿20から捕集物が落下し易い。従って、ヘアキャッチャー10から捕集物を捨て易く、あまり手を汚さずに捕集物を除去することができる。
また、外側排水通過部36に捕集物が堆積し難いので、本ヘアキャッチャー10は、清掃頻度を少なくさせることと、ヘアキャッチャーを逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させることとを両立させている。
【0044】
なお、内目皿20を軸の上端12a方向へ引っ張ると、軸12から内目皿20が外れる。また、外目皿30を軸の上端12a方向へ引っ張ると、軸12から外目皿30が外れる。従って、内目皿20及び外目皿30を軸12から取り外して清掃することができ、ヘアキャッチャーの清掃性が良好である。
【0045】
(4)変形例:
本発明のヘアキャッチャーは、種々の変形例が考えられる。
例えば、排水口にゴム栓が装着される排水路にヘアキャッチャーを設ける場合、上述した排水栓4は不要であり、排水栓を取り付けるために使用されるOリング13等を設けていないヘアキャッチャーを使用することができる。
軸の溝12c〜12eに設ける部材には、上述したOリング以外にも、角リングといった成形パッキン等を使用することができる。
内目皿軸挿通部及び外目皿軸挿通部は、軸に対して回転不能に取り付けられても良い。例えば、内目皿及び外目皿の軸挿通穴並びに軸を断面多角形など断面非円形に形成しても、内目皿軸挿通部及び外目皿軸挿通部を軸に対して摺動自在に取り付けることができる。
内側排水通過部及び外側排水通過部は、上述した複数の孔以外にも、網目やスリット等で形成することができる。
【0046】
内目皿は、外目皿の収容部に対して回転不能に収容されても良い。例えば、内目皿を平面視で多角形など非円形に形成し、収容部も平面視で多角形など非円形の筒状に形成しても、内目皿が軸に対して摺動可能に収容部に収容されるようにすることができる。
内目皿の外縁は、毛髪引掛部があると捕集物を捨てるときに収容部の側面部に付着した捕集物が引っ掛かって収容部外に出るので好ましいものの、毛髪引掛部が無くても清掃頻度を少なくさせ清掃性を向上させる効果が得られる。従って、例えば、内目皿全体の上面を軸側から外側に向けて下げることができる。
内側排水通過部と外目皿の底部との間に空間が形成されず、内側排水通過部の孔を除いて内目皿が中実に形成されても、内側排水通過部上面が軸側から外側に向けて下がっていると、内側排水通過部上面と外目皿の底部との距離が長い。従って、内側排水通過部から垂れた毛髪が外目皿の底部に絡まり難く、ヘアキャッチャーを逆さまにしたときに捕集物とともに内目皿が容易に摺動し、捕集物を捨て易い。
収容部の側面部は、毛髪の引っ掛かりによる内目皿の摺動不良を抑制する観点から孔を形成しないことが好ましいものの、排水能力を高めるために排水中の毛髪の通過を抑止しながら排水を通過させる孔を形成しても良い。
【0047】
図8(a)に垂直断面図を示すヘアキャッチャー10のように、外目皿30と外目皿ストッパー16とが一体化されてもよい。この場合、外目皿30は、排水栓ユニット2が閉栓位置にあるときに引掛部38が目皿掛止部64に引っ掛かる位置にすればよい。また、外目皿を止めるためのOリングは、不要である。
排水栓ユニット2を排水路70から取り出し、軸12から排水栓4を外し、図8(b)に示す垂直断面図のようにヘアキャッチャー10を逆さまにすると、内目皿軸挿通部22がOリング14に接触するまで内目皿20が軸の上端12a側へ摺動する。従って、本ヘアキャッチャー10も、清掃頻度を少なくさせ逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させることができる。
【0048】
上面が軸側から外側に向けて下がった内側排水通過部の形状は、軸の中心線を含む鉛直面で切断した断面が曲線的に下がった形状でもよい。このような形状の内目皿も、傘状の内目皿に含まれる。なお、断面曲線状の内側排水通過部上面の傾斜角θ1は、軸の中心線を含む鉛直面で切断した断面において最も低い外縁と最も高い内側縁部とを結ぶ直線の水平面からの傾きの角度で表すことにする。
また、上面が収容部の上部から外側に向かって上がった外側排水通過部の形状は、軸の中心線を含む鉛直面で切断した断面が曲線的に上がった形状でもよい。このような形状の外側排水通過部は、外形が下に凸の略円錐台形状に含まれる。なお、断面曲線状の外側排水通過部上面の傾斜角θ2は、軸の中心線を含む鉛直面で切断した断面において最も低い内側縁部(収容部の上部)と最も高い外縁とを結ぶ直線の水平面からの傾きの角度で表すことにする。
【0049】
図9(a)〜(d)は、変形例に係る内目皿20及び外目皿30の軸の中心線を含む鉛直面で切断した断面を示している。なお、分かり易く示すため、断面の背後に存在する孔27,37の図示を省略している。
図9(a)の垂直断面図は、内側排水通過部上面26aの断面形状を下に凸の曲線形状とした傘状の内目皿20と、外側排水通過部上面36aの断面形状を下に凸の曲線形状とした外形略円錐台形状の外目皿30とから構成される変形例の組合せを示している。図9(b)の垂直断面図は、内側排水通過部上面26aの断面形状を上に凸の曲線形状とした傘状の内目皿20と、外側排水通過部36の断面形状を上に凸の曲線形状とした外形略円錐台形状の外目皿30とから構成される変形例の組合せを示している。図9(c)の垂直断面図は、内側排水通過部上面26aの傾斜角θ1を小さくした内目皿20と、外側排水通過部36の傾斜角θ2を小さくした外目皿30とから構成される変形例の組合せを示している。図9(d)の垂直断面図は、内側排水通過部上面26aの傾斜角θ1を大きくした内目皿20と、外側排水通過部36の傾斜角θ2を大きくした外目皿30とから構成される変形例の組合せを示している。
【0050】
いずれの例も、外側排水通過部上面36aが収容部の上縁部34a外側に向かって上がり、収容部34に収容された内目皿20の上面の外縁(毛髪引掛部28)が外側排水通過部上面36aよりも低いので、外側排水通過部36で捕集された毛髪等が内目皿20の方へ集まり、捕集物が内目皿20上に堆積する。また、内側排水通過部上面26aが軸12側から外側に向けて下がっているので、内側排水通過部上面26aと外目皿30の底部との距離が長く、内側排水通過部26から垂れた毛髪が外目皿30の底部に絡まり難い。さらに、内目皿20上に捕集物が堆積するので、外側排水通過部36が捕集物で閉塞され難くなり、良好な排水能力が維持される時間が長くなる。従って、ヘアキャッチャーの清掃頻度を少なくすることができるとともに、ヘアキャッチャーを逆さまに向けて清掃する際の清掃性が向上する。
また、図9(a)〜(d)、図3及び図8(a)に示した内目皿20及び外目皿30を相互に置換してヘアキャッチャーを構成しても良い。
【0051】
なお、軸12から外目皿30や内目皿20を取り外すことができないヘアキャッチャーや、軸12に外目皿ストッパーが設けられていないヘアキャッチャーでも、外側排水通過部で捕集された毛髪等の異物が内目皿上に堆積する。従って、ヘアキャッチャーの清掃頻度を少なくさせヘアキャッチャーを逆さまに向けて清掃する際の清掃性を向上させる効果が得られる。
また、内側排水通過部上面26aが軸12側から外側に向かって下がっていると内側排水通過部から垂れた毛髪が外目皿の底部に絡まり難いので好ましいものの、内側排水通過部上面26aは水平など軸12側から外側に向かって下がっていなくても上述した基本的な効果が得られる。
【0052】
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、有用なヘアキャッチャー、排水栓ユニット及びヘアキャッチャー付き洗面ボウル、ヘアキャッチャー付き浴槽、ヘアキャッチャー付きシンク、等の技術を提供することができる。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能であり、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりして本発明を実施することも可能である。従って、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…洗面化粧台、2…排水栓ユニット、4…排水栓、
10…ヘアキャッチャー、
12…軸、12a…上端、12b…下端、12c,12d,12e…溝、
13…Oリング、14…Oリング(ストッパー部)、15…Oリング、
16…外目皿ストッパー、16a…上端、16b…軸挿入穴、
17…下目皿、17a…環状部、17b…支持部、17c…孔、17d…凸部、
20…内目皿、20a…外縁、22…内目皿軸挿通部、22a…軸挿通穴、
26…内側排水通過部、26a…上面、27…孔、28…毛髪引掛部、
30…外目皿、32…外目皿軸挿通部、32a…軸挿通穴、
34…収容部、34a…上縁部、34b…下縁部、34c…側面部、35…支持部、
36…外側排水通過部、36a…上面、37…孔、38…引掛部、
60…排水管ユニット、
62…排水管、64…目皿掛止部、
66…昇降機構、67…持ち上げ部材、
70…排水路、
80…洗面ボウル、
D1…長手方向、D2…内側へ向かう方向、D3…外側へ向かう方向、
H1…毛髪、L1…閉栓位置、L2…開栓位置、
R1…外側領域、R2…内側領域、SP1…空間、W1…排水。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水路に対して着脱可能に設けられるヘアキャッチャーであって、
下端から前記排水路に挿入される軸と、
該軸に対して摺動自在に取り付けられる内目皿軸挿通部と、毛髪を捕集しながら排水を下方へ通過させる内側排水通過部とを有する内目皿と、
前記軸に対して前記内目皿軸挿通部よりも下側に取り付けられた外目皿軸挿通部と、前記外目皿軸挿通部の上側に前記内目皿が前記軸に対して摺動可能に収容され且つ前記内側排水通過部を通過した排水を通過させる収容部と、上面が前記収容部の上部から外側に向かって上がった外側排水通過部であって毛髪を捕集しながら排水を下方へ通過させる外側排水通過部とを有する外目皿とを備え、
前記収容部に収容された前記内目皿の上面の外縁が前記外側排水通過部の上面よりも低いことを特徴とするヘアキャッチャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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