ヘッダ流量制御システム
【課題】所定の給水枝管を流れ込む湯水の流量を減量制御することができるヘッダ流量制御システムを提供する。
【解決手段】給水主管10とこの給水主管10から分岐した給水枝管11とを有するヘッダ管1に対して、制御装置4は、弁の開度に応じて給水枝管11の流路面積を変化させる流量制御バルブ2を用い、流量制御バルブ2の開度を所定の設定値に基づいて制御する。
【解決手段】給水主管10とこの給水主管10から分岐した給水枝管11とを有するヘッダ管1に対して、制御装置4は、弁の開度に応じて給水枝管11の流路面積を変化させる流量制御バルブ2を用い、流量制御バルブ2の開度を所定の設定値に基づいて制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水主管とこの給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、このヘッダ管に流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て住宅や集合住宅の専有部における給水・給湯配管の工法として、ヘッダ方式が広く採用されている。ヘッダ方式に用いられる配管は、可撓性を有する樹脂で形成されているため、接続箇所の数を抑えて接続箇所からの漏水の危険性を回避することができ、複数の使用箇所(水栓)で同時使用された場合であっても、各水栓の流量変動を抑えることができる、というメリットを有する。また、腐食などの劣化が少ないため、水質や衛生性の低下を抑えることができる、というメリットを有する。
【0003】
また、近年、循環型社会及び低炭素社会が着目され、かかる社会を目指すにあたり、水道施設に対して給水・給湯配管に湯水を供給するポンプ装置に要するエネルギを削減することが望まれ、また、住宅内において給湯器に要するエネルギを削減することが望まれている。併せて、住宅内における湯水の使用量を削減することにより、上記エネルギの削減に寄与することが望まれており、これを実現するための技術開発や検討が種々進められている。
【0004】
このようなエネルギ及び資源の削減を推進すべく、「エネルギの使用の合理化に関する法律」(以下、省エネ法という。)が制定され、エネルギ及び資源の使用量を監視及び表示することにより節減に対する心理的作用を生じさせること(見える化)と、エネルギ及び資源の使用量を最適なものに制御すること(最適制御)とが推進されている。
【0005】
そこで、従来、上記の見える化と最適制御とを実現するために、ヘッダを介して複数の使用箇所に分水された湯水の使用量を集中管理する流量制御システムが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−206260号公報
【特許文献2】特開2003−302101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先に提案された特許文献1の発明は、見える化及び最適制御を実行するシステムであるが、複数の使用箇所から同時吐水させた場合に特定の使用箇所からの吐水を安定させるものであり、直接的に減量制御しているものでない。
【0008】
また、先に提案された特許文献2の発明は、見える化及び最適制御を実行するシステムであるが、吐水の温度を安定させるものであり、直接的に減量制御しているものでない。
【0009】
特に、近年、戸建て住宅や集合住宅では、シングルレバー式の水栓が広く普及するようになり、大半の台所や洗面所などにシングルレバー式の混合水栓が設置されている。シングルレバー式の水栓は、開閉操作し易いというメリットがある一方、吐出流量を微調整し難いため、必要以上に湯水を吐水させるという問題を有している。そのため、市場においては、住宅内における湯水の使用量を確実に減量制御することが望まれている。
【0010】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、給水主管とこの給水主管から分岐した給水枝管とを有するヘッダ管に対して、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる流量制御バルブを用い、流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御することにより、所定の給水枝管を流れ込む湯水の流量を減量制御することができるヘッダ流量制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付ける受付手段とを備え、前記制御手段は、前記受付手段で受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るヘッダ流量制御システムは、前記開度設定値は、前記流量制御バルブを全開とした場合に前記給水主管を流れる湯水の流量に対する、減量制御した場合に前記給水主管を流れる湯水の流量の比であってもよい。
【0013】
更にまた、本発明に係るヘッダ流量制御システムは、前記給水主管を流れる湯水の流量を計測する主管流量センサと、湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段とを更に備え、該表示手段は、前記主管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力するようにしてもよい。
【0014】
本発明にあっては、流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付けることにより、任意の開度が設定される。また、受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御することにより、利用者が任意で設定した開度となるように流量制御バルブの開度が固定され、例えば、使用箇所に設置されたシングルレバー式の水栓が全開状態で使用される場合であっても水使用量が減量する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るヘッダ流量制御システムにあっては、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる流量制御バルブを用い、この流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御することにより、例えば、シングルレバー式の水栓など、吐出調整し難い水栓に対しても、使用時に吐出流量を最適化して水の出過ぎを防ぐことができ、無駄に消費される水資源の削減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】流量制御バルブの構成を説明する模式図であり、(a)はポテンショメータ式DCサーボモータを備えるバルブの模式図、(b)はステッピングモータを備えるバルブの模式図である。
【図3】制御手段が実行する流量値表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】制御手段がポテンショメータ式DCサーボモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】制御手段がステッピングモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1と異なるヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図7】図3とは異なる、制御手段がポテンショメータ式DCサーボモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図4とは異なる、制御手段がステッピングモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図7及び図8の処理過程で実行される流量値表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図7及び図8に処理過程で実行される駆動決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図1及び図6とは異なる、ヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図12】図1、図6及び図11とは異なる、ヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
本発明に係るヘッダ流量制御システムについて、本実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。ヘッダ流量制御システムは、図1に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、主管流量センサ3と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、架橋ポリエチレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂で形成されており、外部から湯水を取り入れる給水管(図示せず)と、洗面、台所、トイレ及び風呂などの使用箇所に給水する屋内配管(図示せず)とを接続するための管寄せである。
【0018】
また、ヘッダ管1は、一本の給水主管10と、この給水主管10から分岐する複数の給水枝管11とを備え、給水主管10は給水管に接続し、給水枝管11は屋内配管に接続している。ヘッダ管1は、湯水が給水管から給水主管1に流れ込み、流れ込んだ湯水を各給水枝管11に分水し、分水した湯水を各使用箇所に供給する。
【0019】
実施の形態1において、ヘッダ管1は、給水主管10の始端部に主管流量センサ3が取り付けられている。ここで、始端とは流水の上流側の端をいい、終端とは流水の下流側の端をいう。主管流量センサ3は、給水主管10に流れ込む湯水の流量を計測するものであり、ロータ式流量センサが用いられ、湯水の流量を着磁したロータの回転によりホール素子にて電気的信号に変換し、流量に応じたパルスを出力する。
【0020】
また、ヘッダ管1は、減量制御すべき被制御対象の給水枝管11の始端側に流量制御バルブ2が取り付けられている。流量制御バルブ2は、開閉弁(図示せず)とこれを開閉させるためのモータとを備える。流量制御バルブ2は、弁の開度に応じて給水枝管11内の流路面積を変化させ、減量制御すべき給水枝管11に流れ込む湯水の流量を調整する。ここで、管内を流れる湯水の流量と管内の流路面積とは、以下の式(1)のような比例関係が成立する。
【0021】
Q=α×S×ΔP1/2 …(1)
但し、Qは管内を流れる湯水の流量を示す。また、αは定数を示す。また、Sは管内の流路面積を示す。また、ΔP1/2は、流路前後の差圧を示す。
【0022】
実施の形態1にあっては、給水枝管11を流れる湯水の流量を検出しないため、検出した流量に応じて実時間で流量制御バルブ2の開度が制御されることはない。しかしながら、流量制御バルブ2は、式(1)の比例関係が成立することにより、弁の開度を上げて管内の流路面積を広げることによって管内の湯水の流量を増やす一方、弁の開度を下げて管内の流路面積を狭めることによって管内の湯水の流量を減らすことができる。このように、流量制御バルブ2は、流路面積を変化させる目的で弁の開度が制御されることにより、管内の湯水の流量を調整する。
【0023】
そこで、流量制御バルブ2の開度を所定の開度にする設定値(以下「開度設定値」という。)を指定することにより、減量制御すべき給水枝管11を流れる湯水の流量を指定することができる。指定すべき開度設定値は、例えば、弁の全開状態を100%とした場合における、この全開状態に対する流路内の弁の開度の割合である。指定された開度設定値は、流量制御バルブ2の開度を制御するために用いられる。流量制御バルブ2は、弁の開度が制御されることにより、配管系の全圧力損失の大きさを調整し、減量制御すべき給水枝管11を流れる湯水の流量を調整する。例えば、開度設定値を60%と指定することにより、対応する配管系統の圧力損失合計が増加し、減量制御すべき使用箇所の水栓からの吐出流量が絞り込まれる。
【0024】
減量制御すべき給水枝管11は、住宅内における水使用量の節約に寄与する使用箇所に給水する配管が対象であり、具体的には、台所及び洗面化粧台に給水する給水枝管11が主な対象となる。近年、台所や洗面化粧台は、シングルレバー式の湯水混合水栓が取り付けられるようになって吐出流量が調整し難いため、水使用量の節約の対象となるからである。なお、水洗式トイレや全自動洗濯機などは、機器側で必要な使用量が設定されているため、水使用量の節約に寄与しないので対象とならない。また、近年、浴槽についても、全自動又は半自動の給水機能を備えた給湯器が主流となり、予め設定された流量の湯水が浴槽に供給されるものが主流であるため、水使用量の節約に寄与しないので対象とならない。
【0025】
また、流量制御バルブ2及び主管流量センサ3は、信号線20及び信号線30を介して制御装置4に接続され、集中管理されている。制御装置4は、制御基盤40と、操作部41と、表示部42と、電源43とを備えており、これらは、バス44を介して接続されている。制御装置4は、利用者が操作し易い場所、例えば、リビングルームなどに設置されている。
【0026】
制御基盤40は、演算部(図示せず)と記憶部(図示せず)とを備える。制御基盤40は、主管流量センサ3から出力されたパルスを信号線30を介して受け付け、受け付けたパルスを積算して湯水の積算流量に換算し、換算した流量値を記憶部に記憶する。また、制御基盤40は、記憶している流量値に基づいて演算部が演算し、住宅内における、瞬間の水使用量データ、所定期間の水使用量データ、複数の所定期間の水使用量の比較データ、前年同月の水使用量との比較データなど、様々な水使用量に関するデータを生成する。なお、制御基盤40は、データ生成のための計算式及び処理手順に関する情報を記憶部が記録しており、データを生成する際に演算部が適宜用いる。
【0027】
操作部41は、各種ボタンを備えており、利用者が所定のボタンを押下することにより、上述した水使用量に関するデータの生成指示や、生成したデータの表示指示などの入力を受け付け、受け付けた指示を制御基盤40に出力する。また、操作部41は、開度設定値の入力を受け付け、受け付けた開度設定値を制御基盤40に出力する。
【0028】
表示部42は、入力された開度設定値を制御基盤40から受け付けて画面出力する。また、表示部42は、生成水使用量に関するデータを制御基盤40から受け付けて画面出力し、見える化を実行する。
【0029】
また、制御基盤40は、操作部41を介して受け付けた開度設定値を満たすように流量制御バルブ2を制御する。制御基盤40は、流量制御バルブ2の構造に応じて以下のように異なる制御を実行する。流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、制御基盤40は、図2(a)に示すように、電源43からDCモータ20に電流を流してモータ軸を回転駆動させ、モータ軸の回転位置に応じて開閉弁の開度を変化させる。ポテンショメータ21は、モータ軸の回転位置を測定して開閉弁の開度を検出し、制御基盤40に出力する。制御基盤40は、検出した開閉弁の開度に応じてモータ軸を更に回転させ、開度設定値を満たすように開閉弁の開度を調整する。なお、制御基盤40は、モータ軸の回転位置と開閉弁の開度との対照情報テーブルを記憶部が記録しており、制御する際に演算部が用いる。
【0030】
一方、流量制御バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、制御基盤40は、図2(b)に示すように、開度設定値に応じた駆動パルスを出力し、電源43からステッピングモータ22に駆動パルスに同期する電流を流してモータ軸を一定角度で回転させ、モータ軸の回転位置に応じて開閉弁の開度を変化させる。なお、制御基盤40は、開度設定値に応じた駆動パルスの出力情報テーブルを記憶部が記録しており、出力する際に演算部が用いる。
【0031】
このように、ヘッダ流量制御システムは、複数の装置を備え、これらの装置が動作することにより、住宅内の水使用量の節約が行われる。そこで、これらの装置の動作について以下説明する。
【0032】
(見える化について)
ヘッダ流量制御システムは、制御基盤40に記憶している流量値に基づいて水使用量に関するデータを生成して画面出力する。その処理の手順は、図3に示すとおりである。制御基盤40は、主管流量センサ3からパルスが出力された場合、このパルスの入力を受け付け(S101)、システムがONであるか否かを判定する(S102)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S102でNO)、処理を終了する。
【0033】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S102でYES)、受け付けたパルスを積算し(S103)、積算したパルスを湯水の積算流量に換算する(S104)。制御基盤40は、換算した流量値を記憶部に記憶する(S105)。制御基盤40は、操作部41を介して表示指示の入力を受け付けたか否かを判定し(S106)、表示指示の入力を受け付けていないと判定した場合(S106でNO)、ステップS101に戻り、主管流量センサ3から出力されたパルスを受け付ける。
【0034】
一方、制御基盤40は、表示指示の入力を受け付けたと判定した場合(S106でYES)、受け付けた表示指示に応じて表示部42に画面出力するための表示値を演算する(S107)。例えば、制御基盤40は、所定期間の水使用量データを表示する指示を受け付けた場合、記憶部に記憶してある流量値に基づいて所定期間の水使用量データを生成し、生成した水使用量に関するデータを表示部42に表示するための表示値を演算する。
【0035】
制御基盤40は、演算した表示値を表示部42に出力する(S108)。表示部42は、受け付けた表示値に従って画面出力する。
【0036】
(最適制御その1)
また、ヘッダ流量制御システムは、操作部41を介して受け付けた開度設定値を満たすように流量制御バルブ2の開閉弁の開度を調整する。流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、その制御処理の手順は、図4に示すとおりである。制御基盤40は、操作部41から開度設定値が出力された場合、この開度設定値を受け付け(S201)、開度設定値に応じた目標開度を演算する。
【0037】
制御基盤40は、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出し(S202)、演算した目標開度を変数iに代入するととともに、検出した現在の開度を変数jに代入する(S203)。制御基盤40は、変数iと変数jとの差が零であるか否かを判定し(S204)、その差が零であると判定した場合(S204でYES)、開閉弁が目標開度を満たしていると判断して処理を終了する。
【0038】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S204でNO)、DCモータ20を駆動させ(S205)、再度、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出する(S202)。
【0039】
(最適制御その2)
また、制御流量バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、その制御処理の手順は、図5に示すとおりである。制御基盤40は、操作部41から開度設定値が出力された場合、この開度設定値を受け付け(S301)、受け付けた開度設定値に応じた目標開度を演算する(S302)。
【0040】
制御基盤40は、目標開度に応じた駆動パルスを出力し(S303)、この駆動パルスに同期する電流を流してステッピングモータ22を駆動させる。ステッピングモータ22は、モータ軸を回転させ、目標開度を満たすように開閉弁を開閉させる。
【0041】
ヘッダ流量制御システムは、表示部42を介して住宅内の水使用量に関するデータを画面出力(見える化)することにより、利用者に水使用量を意識付け、節水に対して接触的に取り組む意識を高める。また、シングルレバー式の水栓など、吐出調整し難くて全開か全閉かで操作される水栓に対して、使用時の吐出流量を最適化させて水の出過ぎを防ぎ、無駄に消費される水資源の削減に寄与する。特に、実施の形態1にあっては、システムを構成する部品の点数が抑えられているため、比較的安価にシステムを構築することができる。
【0042】
実施の形態2.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、給水枝管11を流れる湯水の流量をそれぞれ検出し、検出した流量に応じて実時間で各流量制御バルブ2の開度を調整するフィードバック制御を行ってもよい。以下、上述した実施の形態1に係るシステムと異なる点のみを説明する。
【0043】
ヘッダ流量制御システムは、図6に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、複数の枝管流量センサ5と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、減量制御すべき給水枝管11の始端部に流量制御バルブ2が取り付けられている。また、ヘッダ管1は、主管流量センサ3の代わりに、全ての給水枝管11に枝管流量センサ5が取り付けられている。枝管流量センサ5は、各給水枝管11の始端側に取り付けられ、特に、減量制御すべき給水枝管11には始端側から流量制御バルブ2、枝管流量センサ5の順番となるように取り付けられている。
【0044】
枝管流量センサ5は、給水枝管11に流れ込む湯水の流量を計測するものであり、主管流量センサ3と同様、ロータ式流量センサが用いられ、湯水の流量を着磁したロータの回転によりホール素子にて電気的信号に変換し、流量に応じたパルスを出力する。
【0045】
このように、減量制御すべき給水枝管11には、始端側から流量制御バルブ2、枝管流量センサ5の順番となるように取り付けられている。そのため、枝管流量センサ5は、流量制御バルブにより減量制御された湯水の流量を計測することができる一方、流量制御バルブ2は、そのように正確に計測された湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御することが可能となる。
【0046】
現在の水道施設は、同一地域内における水使用量の変動に伴い、水使用量が多い場合には給水元圧が下がり、水使用量が少ない場合には給水元圧が上がるため、上述した式(1)のうちの流路前後の差圧(ΔP1/2)が安定しない。そのため、ヘッダ管1に供給される湯水の流量は、常に変動することとなる。しかしながら、実施の形態2にあっては、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御するので、給水元圧の変動にかかわらず、使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させる。
【0047】
その結果、任意の給水枝管11を流れる湯水の流量の目標値(以下「流量設定値」という。)を指定することにより、任意の給水枝管11から吐水すべき湯水の流量を指定することができる。例えば、洗面所に給水する給水枝管11に対して流量設定値を毎分10リットルと指定することにより、この給水枝管11を流れる湯水の流量が動的に調整され、洗面所の水栓からの吐出流量が常に毎分10リットルとなる。
【0048】
流量制御バルブ2及び枝管流量センサ5は、信号線20及び信号線50を介して制御装置4に接続され、集中管理されている。制御基盤40は、枝管流量センサ5から出力されたパルスを信号線50を介して受け付け、受け付けたパルスを積算して湯水の積算流量に換算し、換算した流量値を記憶部に記憶する。また、制御基盤40は、記憶してある流量値に基づいて演算し、給水枝管11(又は使用箇所)毎に識別し、識別した対象毎に、瞬間の水使用量データ、所定期間の水使用量データ、複数の所定期間の水使用量の比較データ、前年同月の水使用量との比較データなど、様々な水使用量に関するデータを生成する。なお、制御基盤40は、各給水枝管11(又は使用箇所)に対応する識別情報テーブルを記憶部が記録しており、識別する際に演算部が適宜用いる。また、制御基盤40は、データ生成のための計算式及び処理手順に関する情報を記憶部が記録しており、データを生成する際に演算部が適宜用いる。また、制御基盤40は、全ての給水枝管11の流量値を合計することにより、住宅全体における、様々な水使用量に関するデータを生成する。また、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した流量値が流量設定値を満たすように流量制御バルブ2をフィードバック制御する。
【0049】
操作部41は、利用者がボタンを押下することにより、制御すべき給水枝管11の選択を受け付け、選択された給水枝管11の識別情報を制御基盤40に出力する。また、操作部41は、選択された給水枝管11に対する流量設定値の入力を受け付け、受け付けた流量設定値を制御基盤40に出力する。選択された給水枝管11は、個別に選択される場合と、全てが選択される場合とがある。
【0050】
表示部42は、選択された給水枝管11の識別情報とこれに対応する流量設定値を制御基盤40から受け付けて画面出力する。また、表示部42は、水使用量に関するデータを制御基盤40から受け付け、受け付けた水使用量に関するデータを、給水枝管11(又は使用箇所)毎のデータとして画面出力するか、住宅全体のデータとして画面出力する。
【0051】
このように、ヘッダ流量制御システムは、複数の装置を備え、これらの装置が動作することにより、使用箇所毎の水使用量の節約が行われる。そこで、これらの装置の動作について以下説明する。
【0052】
(見える化及び最適制御その1)
ヘッダ流量制御システムは、流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、図7に示す手順により処理を実行する。制御基盤40は、制御すべき給水枝管11が選択された場合であって、選択された給水枝管11に取り付けられている枝管流量センサ5からパルスが出力されたとき、このパルスの入力を受け付け(S401)、システムがONであるか否かを判定する(S402)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S402でNO)、処理を終了する。
【0053】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S402でYES)、受け付けたパルスを積算し(S403)、積算したパルスを湯水の流量に換算する(S404)。制御基盤40は、換算した流量値についての流量値表示処理を実行する(S405)。流量値表示処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0054】
制御基盤40は、ステップS405において流量値表示処理を実行した後、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する駆動決定処理を実行する(S406)。駆動決定処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0055】
制御基盤40は、ステップS406において駆動決定処理を実行した結果、駆動を決定したか否かを判定し(S407)、駆動を決定していないと判定した場合(S407でNO)、ステップS401に戻り、枝管流量センサ5から出力されたパルスを受け付ける。
【0056】
一方、制御基盤40は、駆動を決定したと判定した場合(S407でYES)、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2についての現在の開度をポテンショメータ21を介して検出する(S408)。制御基盤40は、予め設定してある一単位当たりの開度を変数iに代入するとともに、検出した現在の開度を変数jに代入する(S409)。一単位当たりの開度は、駆動決定処理を一回実行した場合に調整した開閉弁の開度を示す。
【0057】
制御基盤40は、変数iと変数jとの差が零であるか否かを判定し(S410)、その差が零であると判定した場合(S410でYES)、ステップS401に戻り、次の処理を実行する。
【0058】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S410でNO)、決定された駆動方向に従ってDCモータ20を駆動させ(S411)、再度、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出する(S408)。
【0059】
(見える化及び最適制御その2)
また、ヘッダ流量制御システムは、流量制御バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、図8に示す手順により処理を実行する。制御基盤40は、制御すべき給水枝管11が選択された場合であって、選択された給水枝管11に取り付けられている枝管流量センサ5からパルスが出力されたとき、このパルスの入力を受け付け(S501)、システムがONであるか否かを判定する(S502)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S502でNO)、処理を終了する。
【0060】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S502でYES)、受け付けたパルスを積算し(S503)、積算したパルスを湯水の流量に換算する(S504)。制御基盤40は、換算した流量値についての流量値表示処理を実行する(S505)。流量値表示処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0061】
制御基盤40は、ステップS505において流量値表示処理を実行した後、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する駆動決定処理を実行する(S506)。駆動決定処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0062】
制御基盤40は、ステップS506において駆動決定処理を実行した結果、駆動を決定したか否かを判定し(S507)、駆動を決定していないと判定した場合(S507でNO)、ステップS501に戻り、枝管流量センサ5から出力されたパルスを受け付ける。
【0063】
一方、制御基盤40は、駆動を決定したと判定した場合(S507でYES)、決定された駆動方向に従って一単位当たりの開度に応じた駆動パルスを出力し(S508)、この駆動パルスに同期する電流を流してステッピングモータ22を駆動させる。ステッピングモータ22は、モータ軸を回転させて一単位当たりの開度を満たすように開閉弁を開閉させる。
【0064】
ここで、図7のステップS405(又は図8のステップS505)において実行する流量値表示処理の手順について説明する。制御基盤40は、図9に示すように、ステップS404(又はステップS504)において換算した流量値を記憶部に記憶する(S601)。制御基盤40は、操作部41を介して表示指示の入力を受け付けたか否かを判定し(S602)、表示指示の入力を受け付けていないと判定した場合(S602でNO)、流量値表示処理を終了し、次のステップに移行する。
【0065】
一方、制御基盤40は、表示指示の入力を受け付けたと判定した場合(S602でYES)、受け付けた表示指示に応じて表示部42に画面出力するための表示値を演算する(S603)。制御基盤40は、演算した表示値を表示部42に出力し(S604)、流量値表示処理を終了し、次のステップに移行する。表示部42は、制御基盤40から出力された表示値に従って画面出力する。
【0066】
次に、図7のステップS406(又は図8のステップS506)において実行する駆動決定処理の手順について説明する。制御基盤40は、図10に示すように、操作部41を介して、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する流量設定値を受け付け、受け付けた流量設定値を変数Q1に代入するとともに、ステップS404(又はステップS504)で換算した流量値を現在の流量値として変数Q2に代入する(S701)。
【0067】
制御基盤40は、変数Q1と変数Q2との差が零であるか否かを判定し(S702)、その差が零であると判定した場合(S702でYES)、選択された給水枝管11を流れる湯水の現在の流量が流量設定値の範囲内に保たれていると判断し、駆動を決定することなく、駆動決定処理を終了し、次のステップに移行する。
【0068】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S702でNO)、現在の流量が流量設定値の範囲外であると判断し、その差が零未満であるか否かを判定する(S703)。その結果、制御基盤40は、その差が零未満であると判定した場合(S703でYES)、現在の流量が流量設定値を超えていると判断し、弁を閉める方向への駆動を決定し(S704)、駆動決定処理を終了して次のステップに移行する。
【0069】
一方、制御基盤40は、その差が零を超えると判断した場合(S703でNO)、現在の流量が流量設定値に達していないと判断し、弁を開ける方向への駆動を決定し(S705)、駆動決定処理を終了して次のステップに移行する。
【0070】
このように、ヘッダ流量制御システムは、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御するので、給水元圧の変動にかかわらず、使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させることができる。また、各給水枝管11を流れる湯水の流量を検出し、この流量に基づいて流量制御バルブ2を調整するので、実時間に減量調整することができる。また、給水枝管11(使用箇所)毎に湯水の水量を減量制御することができる。特に、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した給水枝管11の瞬時流量に基づいて流量制御バルブ2をフィードバック制御することから、流量制御バルブ2をより細やかに制御することができる。
【0071】
また、減量制御の対象としている台所や洗面所は、吐出流量が使用感や快適感に影響し易い使用箇所である。しかし、台所や洗面所の水栓は、他の使用箇所と同時に使用される場合であっても、フィードバック制御により最適流量を安定して吐出させることができるため、使用感や快適感が損なわれることがない。
【0072】
実施の形態3.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、実施の形態1に係るシステムの構成に枝管流量センサ5を更に加えた構成であってもよい。以下、上述した実施の形態1に係るシステムと異なる点のみを説明する。ヘッダ流量制御システムは、図11に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、主管流量センサ3と、複数の枝管流量センサ5と、制御装置4とを備える。
【0073】
実施の形態3において、ヘッダ管1は、減量制御すべき給水枝管11に始端側から順番に流量制御バルブ2と枝管流量センサ5とが取り付けられている。そのため、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御することが可能となる。
【0074】
また、ヘッダ管1は、全ての給水枝管11に枝管流量センサ5が取り付けられておらず、減量制御すべき給水枝管11にのみ枝管流量センサ5が取り付けられている。そのため、制御基盤40は、少数の枝管流量センサ5を用いて流量制御バルブ2をフィードバック制御しつつ、全ての給水枝管11の流量値の合計については主管流量センサ3を用いて計測することができる。
【0075】
その結果、実施の形態1のように部品点数を抑えた構成によって住宅全体における水使用量に関するデータを生成しつつ、実施の形態2のように使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させることができる。
【0076】
実施の形態4.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、実施の形態1乃至3に係るシステムの構成に緊急用止水バルブ6を更に加えた構成であってもよい。以下、実施の形態2に係るシステムに緊急用止水バルブ6を加えた構成を一例として説明するので、実施の形態2と異なる点のみ説明する。
【0077】
ヘッダ流量制御システムは、図12に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、複数の枝管流量センサ5と、緊急用止水バルブ6と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、給水主管10の始端部に緊急用止水バルブ6が取り付けられている。緊急用止水バルブ6は、内部に備える開閉弁(図示せず)が開閉し、給水主管10内に湯水が流れ込むことがないように遮断する。
【0078】
緊急用止水バルブ6は、信号線60を介して制御装置4に接続されて管理されている。制御基盤40は、操作部41を介して遮断指示の入力を受け付けた場合、受け付けた遮断指示に応じて緊急用止水バルブ6を閉じる。その結果、例えば、作業員は、ヘッダ管1内の空にして、水栓金具のパッキン交換などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、制御基盤40は、枝管流量センサ5が急激な増大した流量(又は急激に減少した流量)を検出した場合、例えば、管の破裂など管路に異常事態が生じ、大量の水が流れ込んだ(又は大量の水が漏水した)と判断して、緊急用止水バルブ6を自動的に閉じる。
【0080】
なお、上述した実施の形態において、開示設定値は、弁の全開状態を100%とした場合における、この全開状態に対する流路内の弁の開度の割合としたが、本発明においては、これに限定されず、流量制御バルブ2の弁を全開とした場合に給水主管10内の流れる湯水の流量に対する、流量制御バルブ2の弁の開度を調整して減量制御した場合に給水主管10内を流れる湯水の流量の比であってもよい。弁を全開とした場合の湯水の流量については、予め主管流量センサ3などで計測しておく。その結果、開度設定値は、実際に流れる流量に基づいて設定されるので、利用者は、より具体的な状態を把握して設定することができる。
【0081】
また、以上の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、被制御対象の給水枝管を流れる湯水の流量を計測する枝管流量センサと、被制御対象の給水枝管を流れる湯水の流量を所定流量とする流量設定値の入力を受け付ける受付手段とを備え、前記制御手段は、前記受付手段により受け付けた流量設定値と、前記枝管流量センサにより計測された流量とを比較し、比較結果に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とするヘッダ流量制御システム。
【0083】
(付記2)
湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段を更に備え、
該表示手段は、前記枝管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力することを特徴とする付記1に記載のヘッダ流量制御システム。
【符号の説明】
【0084】
1 ヘッダ管
10 給水主管
11 給水枝管
2 流量制御バルブ
20 DCモータ
21 ポテンショメータ
22 ステッピングモータ
3 主管流量センサ
4 制御装置
40 制御基盤(制御手段)
41 操作部
42 表示部
43 電源
44 バス
5 枝管流量センサ
6 緊急用止水バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水主管とこの給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、このヘッダ管に流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て住宅や集合住宅の専有部における給水・給湯配管の工法として、ヘッダ方式が広く採用されている。ヘッダ方式に用いられる配管は、可撓性を有する樹脂で形成されているため、接続箇所の数を抑えて接続箇所からの漏水の危険性を回避することができ、複数の使用箇所(水栓)で同時使用された場合であっても、各水栓の流量変動を抑えることができる、というメリットを有する。また、腐食などの劣化が少ないため、水質や衛生性の低下を抑えることができる、というメリットを有する。
【0003】
また、近年、循環型社会及び低炭素社会が着目され、かかる社会を目指すにあたり、水道施設に対して給水・給湯配管に湯水を供給するポンプ装置に要するエネルギを削減することが望まれ、また、住宅内において給湯器に要するエネルギを削減することが望まれている。併せて、住宅内における湯水の使用量を削減することにより、上記エネルギの削減に寄与することが望まれており、これを実現するための技術開発や検討が種々進められている。
【0004】
このようなエネルギ及び資源の削減を推進すべく、「エネルギの使用の合理化に関する法律」(以下、省エネ法という。)が制定され、エネルギ及び資源の使用量を監視及び表示することにより節減に対する心理的作用を生じさせること(見える化)と、エネルギ及び資源の使用量を最適なものに制御すること(最適制御)とが推進されている。
【0005】
そこで、従来、上記の見える化と最適制御とを実現するために、ヘッダを介して複数の使用箇所に分水された湯水の使用量を集中管理する流量制御システムが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−206260号公報
【特許文献2】特開2003−302101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、先に提案された特許文献1の発明は、見える化及び最適制御を実行するシステムであるが、複数の使用箇所から同時吐水させた場合に特定の使用箇所からの吐水を安定させるものであり、直接的に減量制御しているものでない。
【0008】
また、先に提案された特許文献2の発明は、見える化及び最適制御を実行するシステムであるが、吐水の温度を安定させるものであり、直接的に減量制御しているものでない。
【0009】
特に、近年、戸建て住宅や集合住宅では、シングルレバー式の水栓が広く普及するようになり、大半の台所や洗面所などにシングルレバー式の混合水栓が設置されている。シングルレバー式の水栓は、開閉操作し易いというメリットがある一方、吐出流量を微調整し難いため、必要以上に湯水を吐水させるという問題を有している。そのため、市場においては、住宅内における湯水の使用量を確実に減量制御することが望まれている。
【0010】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、給水主管とこの給水主管から分岐した給水枝管とを有するヘッダ管に対して、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる流量制御バルブを用い、流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御することにより、所定の給水枝管を流れ込む湯水の流量を減量制御することができるヘッダ流量制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付ける受付手段とを備え、前記制御手段は、前記受付手段で受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るヘッダ流量制御システムは、前記開度設定値は、前記流量制御バルブを全開とした場合に前記給水主管を流れる湯水の流量に対する、減量制御した場合に前記給水主管を流れる湯水の流量の比であってもよい。
【0013】
更にまた、本発明に係るヘッダ流量制御システムは、前記給水主管を流れる湯水の流量を計測する主管流量センサと、湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段とを更に備え、該表示手段は、前記主管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力するようにしてもよい。
【0014】
本発明にあっては、流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付けることにより、任意の開度が設定される。また、受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御することにより、利用者が任意で設定した開度となるように流量制御バルブの開度が固定され、例えば、使用箇所に設置されたシングルレバー式の水栓が全開状態で使用される場合であっても水使用量が減量する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るヘッダ流量制御システムにあっては、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる流量制御バルブを用い、この流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御することにより、例えば、シングルレバー式の水栓など、吐出調整し難い水栓に対しても、使用時に吐出流量を最適化して水の出過ぎを防ぐことができ、無駄に消費される水資源の削減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図2】流量制御バルブの構成を説明する模式図であり、(a)はポテンショメータ式DCサーボモータを備えるバルブの模式図、(b)はステッピングモータを備えるバルブの模式図である。
【図3】制御手段が実行する流量値表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】制御手段がポテンショメータ式DCサーボモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】制御手段がステッピングモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】図1と異なるヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図7】図3とは異なる、制御手段がポテンショメータ式DCサーボモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図4とは異なる、制御手段がステッピングモータを制御する流量制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】図7及び図8の処理過程で実行される流量値表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】図7及び図8に処理過程で実行される駆動決定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】図1及び図6とは異なる、ヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【図12】図1、図6及び図11とは異なる、ヘッダ流量制御システムの全体構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
本発明に係るヘッダ流量制御システムについて、本実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。ヘッダ流量制御システムは、図1に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、主管流量センサ3と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、架橋ポリエチレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂で形成されており、外部から湯水を取り入れる給水管(図示せず)と、洗面、台所、トイレ及び風呂などの使用箇所に給水する屋内配管(図示せず)とを接続するための管寄せである。
【0018】
また、ヘッダ管1は、一本の給水主管10と、この給水主管10から分岐する複数の給水枝管11とを備え、給水主管10は給水管に接続し、給水枝管11は屋内配管に接続している。ヘッダ管1は、湯水が給水管から給水主管1に流れ込み、流れ込んだ湯水を各給水枝管11に分水し、分水した湯水を各使用箇所に供給する。
【0019】
実施の形態1において、ヘッダ管1は、給水主管10の始端部に主管流量センサ3が取り付けられている。ここで、始端とは流水の上流側の端をいい、終端とは流水の下流側の端をいう。主管流量センサ3は、給水主管10に流れ込む湯水の流量を計測するものであり、ロータ式流量センサが用いられ、湯水の流量を着磁したロータの回転によりホール素子にて電気的信号に変換し、流量に応じたパルスを出力する。
【0020】
また、ヘッダ管1は、減量制御すべき被制御対象の給水枝管11の始端側に流量制御バルブ2が取り付けられている。流量制御バルブ2は、開閉弁(図示せず)とこれを開閉させるためのモータとを備える。流量制御バルブ2は、弁の開度に応じて給水枝管11内の流路面積を変化させ、減量制御すべき給水枝管11に流れ込む湯水の流量を調整する。ここで、管内を流れる湯水の流量と管内の流路面積とは、以下の式(1)のような比例関係が成立する。
【0021】
Q=α×S×ΔP1/2 …(1)
但し、Qは管内を流れる湯水の流量を示す。また、αは定数を示す。また、Sは管内の流路面積を示す。また、ΔP1/2は、流路前後の差圧を示す。
【0022】
実施の形態1にあっては、給水枝管11を流れる湯水の流量を検出しないため、検出した流量に応じて実時間で流量制御バルブ2の開度が制御されることはない。しかしながら、流量制御バルブ2は、式(1)の比例関係が成立することにより、弁の開度を上げて管内の流路面積を広げることによって管内の湯水の流量を増やす一方、弁の開度を下げて管内の流路面積を狭めることによって管内の湯水の流量を減らすことができる。このように、流量制御バルブ2は、流路面積を変化させる目的で弁の開度が制御されることにより、管内の湯水の流量を調整する。
【0023】
そこで、流量制御バルブ2の開度を所定の開度にする設定値(以下「開度設定値」という。)を指定することにより、減量制御すべき給水枝管11を流れる湯水の流量を指定することができる。指定すべき開度設定値は、例えば、弁の全開状態を100%とした場合における、この全開状態に対する流路内の弁の開度の割合である。指定された開度設定値は、流量制御バルブ2の開度を制御するために用いられる。流量制御バルブ2は、弁の開度が制御されることにより、配管系の全圧力損失の大きさを調整し、減量制御すべき給水枝管11を流れる湯水の流量を調整する。例えば、開度設定値を60%と指定することにより、対応する配管系統の圧力損失合計が増加し、減量制御すべき使用箇所の水栓からの吐出流量が絞り込まれる。
【0024】
減量制御すべき給水枝管11は、住宅内における水使用量の節約に寄与する使用箇所に給水する配管が対象であり、具体的には、台所及び洗面化粧台に給水する給水枝管11が主な対象となる。近年、台所や洗面化粧台は、シングルレバー式の湯水混合水栓が取り付けられるようになって吐出流量が調整し難いため、水使用量の節約の対象となるからである。なお、水洗式トイレや全自動洗濯機などは、機器側で必要な使用量が設定されているため、水使用量の節約に寄与しないので対象とならない。また、近年、浴槽についても、全自動又は半自動の給水機能を備えた給湯器が主流となり、予め設定された流量の湯水が浴槽に供給されるものが主流であるため、水使用量の節約に寄与しないので対象とならない。
【0025】
また、流量制御バルブ2及び主管流量センサ3は、信号線20及び信号線30を介して制御装置4に接続され、集中管理されている。制御装置4は、制御基盤40と、操作部41と、表示部42と、電源43とを備えており、これらは、バス44を介して接続されている。制御装置4は、利用者が操作し易い場所、例えば、リビングルームなどに設置されている。
【0026】
制御基盤40は、演算部(図示せず)と記憶部(図示せず)とを備える。制御基盤40は、主管流量センサ3から出力されたパルスを信号線30を介して受け付け、受け付けたパルスを積算して湯水の積算流量に換算し、換算した流量値を記憶部に記憶する。また、制御基盤40は、記憶している流量値に基づいて演算部が演算し、住宅内における、瞬間の水使用量データ、所定期間の水使用量データ、複数の所定期間の水使用量の比較データ、前年同月の水使用量との比較データなど、様々な水使用量に関するデータを生成する。なお、制御基盤40は、データ生成のための計算式及び処理手順に関する情報を記憶部が記録しており、データを生成する際に演算部が適宜用いる。
【0027】
操作部41は、各種ボタンを備えており、利用者が所定のボタンを押下することにより、上述した水使用量に関するデータの生成指示や、生成したデータの表示指示などの入力を受け付け、受け付けた指示を制御基盤40に出力する。また、操作部41は、開度設定値の入力を受け付け、受け付けた開度設定値を制御基盤40に出力する。
【0028】
表示部42は、入力された開度設定値を制御基盤40から受け付けて画面出力する。また、表示部42は、生成水使用量に関するデータを制御基盤40から受け付けて画面出力し、見える化を実行する。
【0029】
また、制御基盤40は、操作部41を介して受け付けた開度設定値を満たすように流量制御バルブ2を制御する。制御基盤40は、流量制御バルブ2の構造に応じて以下のように異なる制御を実行する。流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、制御基盤40は、図2(a)に示すように、電源43からDCモータ20に電流を流してモータ軸を回転駆動させ、モータ軸の回転位置に応じて開閉弁の開度を変化させる。ポテンショメータ21は、モータ軸の回転位置を測定して開閉弁の開度を検出し、制御基盤40に出力する。制御基盤40は、検出した開閉弁の開度に応じてモータ軸を更に回転させ、開度設定値を満たすように開閉弁の開度を調整する。なお、制御基盤40は、モータ軸の回転位置と開閉弁の開度との対照情報テーブルを記憶部が記録しており、制御する際に演算部が用いる。
【0030】
一方、流量制御バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、制御基盤40は、図2(b)に示すように、開度設定値に応じた駆動パルスを出力し、電源43からステッピングモータ22に駆動パルスに同期する電流を流してモータ軸を一定角度で回転させ、モータ軸の回転位置に応じて開閉弁の開度を変化させる。なお、制御基盤40は、開度設定値に応じた駆動パルスの出力情報テーブルを記憶部が記録しており、出力する際に演算部が用いる。
【0031】
このように、ヘッダ流量制御システムは、複数の装置を備え、これらの装置が動作することにより、住宅内の水使用量の節約が行われる。そこで、これらの装置の動作について以下説明する。
【0032】
(見える化について)
ヘッダ流量制御システムは、制御基盤40に記憶している流量値に基づいて水使用量に関するデータを生成して画面出力する。その処理の手順は、図3に示すとおりである。制御基盤40は、主管流量センサ3からパルスが出力された場合、このパルスの入力を受け付け(S101)、システムがONであるか否かを判定する(S102)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S102でNO)、処理を終了する。
【0033】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S102でYES)、受け付けたパルスを積算し(S103)、積算したパルスを湯水の積算流量に換算する(S104)。制御基盤40は、換算した流量値を記憶部に記憶する(S105)。制御基盤40は、操作部41を介して表示指示の入力を受け付けたか否かを判定し(S106)、表示指示の入力を受け付けていないと判定した場合(S106でNO)、ステップS101に戻り、主管流量センサ3から出力されたパルスを受け付ける。
【0034】
一方、制御基盤40は、表示指示の入力を受け付けたと判定した場合(S106でYES)、受け付けた表示指示に応じて表示部42に画面出力するための表示値を演算する(S107)。例えば、制御基盤40は、所定期間の水使用量データを表示する指示を受け付けた場合、記憶部に記憶してある流量値に基づいて所定期間の水使用量データを生成し、生成した水使用量に関するデータを表示部42に表示するための表示値を演算する。
【0035】
制御基盤40は、演算した表示値を表示部42に出力する(S108)。表示部42は、受け付けた表示値に従って画面出力する。
【0036】
(最適制御その1)
また、ヘッダ流量制御システムは、操作部41を介して受け付けた開度設定値を満たすように流量制御バルブ2の開閉弁の開度を調整する。流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、その制御処理の手順は、図4に示すとおりである。制御基盤40は、操作部41から開度設定値が出力された場合、この開度設定値を受け付け(S201)、開度設定値に応じた目標開度を演算する。
【0037】
制御基盤40は、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出し(S202)、演算した目標開度を変数iに代入するととともに、検出した現在の開度を変数jに代入する(S203)。制御基盤40は、変数iと変数jとの差が零であるか否かを判定し(S204)、その差が零であると判定した場合(S204でYES)、開閉弁が目標開度を満たしていると判断して処理を終了する。
【0038】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S204でNO)、DCモータ20を駆動させ(S205)、再度、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出する(S202)。
【0039】
(最適制御その2)
また、制御流量バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、その制御処理の手順は、図5に示すとおりである。制御基盤40は、操作部41から開度設定値が出力された場合、この開度設定値を受け付け(S301)、受け付けた開度設定値に応じた目標開度を演算する(S302)。
【0040】
制御基盤40は、目標開度に応じた駆動パルスを出力し(S303)、この駆動パルスに同期する電流を流してステッピングモータ22を駆動させる。ステッピングモータ22は、モータ軸を回転させ、目標開度を満たすように開閉弁を開閉させる。
【0041】
ヘッダ流量制御システムは、表示部42を介して住宅内の水使用量に関するデータを画面出力(見える化)することにより、利用者に水使用量を意識付け、節水に対して接触的に取り組む意識を高める。また、シングルレバー式の水栓など、吐出調整し難くて全開か全閉かで操作される水栓に対して、使用時の吐出流量を最適化させて水の出過ぎを防ぎ、無駄に消費される水資源の削減に寄与する。特に、実施の形態1にあっては、システムを構成する部品の点数が抑えられているため、比較的安価にシステムを構築することができる。
【0042】
実施の形態2.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、給水枝管11を流れる湯水の流量をそれぞれ検出し、検出した流量に応じて実時間で各流量制御バルブ2の開度を調整するフィードバック制御を行ってもよい。以下、上述した実施の形態1に係るシステムと異なる点のみを説明する。
【0043】
ヘッダ流量制御システムは、図6に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、複数の枝管流量センサ5と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、減量制御すべき給水枝管11の始端部に流量制御バルブ2が取り付けられている。また、ヘッダ管1は、主管流量センサ3の代わりに、全ての給水枝管11に枝管流量センサ5が取り付けられている。枝管流量センサ5は、各給水枝管11の始端側に取り付けられ、特に、減量制御すべき給水枝管11には始端側から流量制御バルブ2、枝管流量センサ5の順番となるように取り付けられている。
【0044】
枝管流量センサ5は、給水枝管11に流れ込む湯水の流量を計測するものであり、主管流量センサ3と同様、ロータ式流量センサが用いられ、湯水の流量を着磁したロータの回転によりホール素子にて電気的信号に変換し、流量に応じたパルスを出力する。
【0045】
このように、減量制御すべき給水枝管11には、始端側から流量制御バルブ2、枝管流量センサ5の順番となるように取り付けられている。そのため、枝管流量センサ5は、流量制御バルブにより減量制御された湯水の流量を計測することができる一方、流量制御バルブ2は、そのように正確に計測された湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御することが可能となる。
【0046】
現在の水道施設は、同一地域内における水使用量の変動に伴い、水使用量が多い場合には給水元圧が下がり、水使用量が少ない場合には給水元圧が上がるため、上述した式(1)のうちの流路前後の差圧(ΔP1/2)が安定しない。そのため、ヘッダ管1に供給される湯水の流量は、常に変動することとなる。しかしながら、実施の形態2にあっては、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御するので、給水元圧の変動にかかわらず、使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させる。
【0047】
その結果、任意の給水枝管11を流れる湯水の流量の目標値(以下「流量設定値」という。)を指定することにより、任意の給水枝管11から吐水すべき湯水の流量を指定することができる。例えば、洗面所に給水する給水枝管11に対して流量設定値を毎分10リットルと指定することにより、この給水枝管11を流れる湯水の流量が動的に調整され、洗面所の水栓からの吐出流量が常に毎分10リットルとなる。
【0048】
流量制御バルブ2及び枝管流量センサ5は、信号線20及び信号線50を介して制御装置4に接続され、集中管理されている。制御基盤40は、枝管流量センサ5から出力されたパルスを信号線50を介して受け付け、受け付けたパルスを積算して湯水の積算流量に換算し、換算した流量値を記憶部に記憶する。また、制御基盤40は、記憶してある流量値に基づいて演算し、給水枝管11(又は使用箇所)毎に識別し、識別した対象毎に、瞬間の水使用量データ、所定期間の水使用量データ、複数の所定期間の水使用量の比較データ、前年同月の水使用量との比較データなど、様々な水使用量に関するデータを生成する。なお、制御基盤40は、各給水枝管11(又は使用箇所)に対応する識別情報テーブルを記憶部が記録しており、識別する際に演算部が適宜用いる。また、制御基盤40は、データ生成のための計算式及び処理手順に関する情報を記憶部が記録しており、データを生成する際に演算部が適宜用いる。また、制御基盤40は、全ての給水枝管11の流量値を合計することにより、住宅全体における、様々な水使用量に関するデータを生成する。また、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した流量値が流量設定値を満たすように流量制御バルブ2をフィードバック制御する。
【0049】
操作部41は、利用者がボタンを押下することにより、制御すべき給水枝管11の選択を受け付け、選択された給水枝管11の識別情報を制御基盤40に出力する。また、操作部41は、選択された給水枝管11に対する流量設定値の入力を受け付け、受け付けた流量設定値を制御基盤40に出力する。選択された給水枝管11は、個別に選択される場合と、全てが選択される場合とがある。
【0050】
表示部42は、選択された給水枝管11の識別情報とこれに対応する流量設定値を制御基盤40から受け付けて画面出力する。また、表示部42は、水使用量に関するデータを制御基盤40から受け付け、受け付けた水使用量に関するデータを、給水枝管11(又は使用箇所)毎のデータとして画面出力するか、住宅全体のデータとして画面出力する。
【0051】
このように、ヘッダ流量制御システムは、複数の装置を備え、これらの装置が動作することにより、使用箇所毎の水使用量の節約が行われる。そこで、これらの装置の動作について以下説明する。
【0052】
(見える化及び最適制御その1)
ヘッダ流量制御システムは、流量制御バルブ2がポテンショメータ式DCサーボモータを備える場合、図7に示す手順により処理を実行する。制御基盤40は、制御すべき給水枝管11が選択された場合であって、選択された給水枝管11に取り付けられている枝管流量センサ5からパルスが出力されたとき、このパルスの入力を受け付け(S401)、システムがONであるか否かを判定する(S402)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S402でNO)、処理を終了する。
【0053】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S402でYES)、受け付けたパルスを積算し(S403)、積算したパルスを湯水の流量に換算する(S404)。制御基盤40は、換算した流量値についての流量値表示処理を実行する(S405)。流量値表示処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0054】
制御基盤40は、ステップS405において流量値表示処理を実行した後、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する駆動決定処理を実行する(S406)。駆動決定処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0055】
制御基盤40は、ステップS406において駆動決定処理を実行した結果、駆動を決定したか否かを判定し(S407)、駆動を決定していないと判定した場合(S407でNO)、ステップS401に戻り、枝管流量センサ5から出力されたパルスを受け付ける。
【0056】
一方、制御基盤40は、駆動を決定したと判定した場合(S407でYES)、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2についての現在の開度をポテンショメータ21を介して検出する(S408)。制御基盤40は、予め設定してある一単位当たりの開度を変数iに代入するとともに、検出した現在の開度を変数jに代入する(S409)。一単位当たりの開度は、駆動決定処理を一回実行した場合に調整した開閉弁の開度を示す。
【0057】
制御基盤40は、変数iと変数jとの差が零であるか否かを判定し(S410)、その差が零であると判定した場合(S410でYES)、ステップS401に戻り、次の処理を実行する。
【0058】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S410でNO)、決定された駆動方向に従ってDCモータ20を駆動させ(S411)、再度、ポテンショメータ21を介して現在の開度を検出する(S408)。
【0059】
(見える化及び最適制御その2)
また、ヘッダ流量制御システムは、流量制御バルブ2がステッピングモータ22を備える場合、図8に示す手順により処理を実行する。制御基盤40は、制御すべき給水枝管11が選択された場合であって、選択された給水枝管11に取り付けられている枝管流量センサ5からパルスが出力されたとき、このパルスの入力を受け付け(S501)、システムがONであるか否かを判定する(S502)。その結果、制御基盤40は、システムがONでないと判定した場合(S502でNO)、処理を終了する。
【0060】
一方、制御基盤40は、システムがONであると判定した場合(S502でYES)、受け付けたパルスを積算し(S503)、積算したパルスを湯水の流量に換算する(S504)。制御基盤40は、換算した流量値についての流量値表示処理を実行する(S505)。流量値表示処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0061】
制御基盤40は、ステップS505において流量値表示処理を実行した後、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する駆動決定処理を実行する(S506)。駆動決定処理の詳細な手順については、後述にて説明する。
【0062】
制御基盤40は、ステップS506において駆動決定処理を実行した結果、駆動を決定したか否かを判定し(S507)、駆動を決定していないと判定した場合(S507でNO)、ステップS501に戻り、枝管流量センサ5から出力されたパルスを受け付ける。
【0063】
一方、制御基盤40は、駆動を決定したと判定した場合(S507でYES)、決定された駆動方向に従って一単位当たりの開度に応じた駆動パルスを出力し(S508)、この駆動パルスに同期する電流を流してステッピングモータ22を駆動させる。ステッピングモータ22は、モータ軸を回転させて一単位当たりの開度を満たすように開閉弁を開閉させる。
【0064】
ここで、図7のステップS405(又は図8のステップS505)において実行する流量値表示処理の手順について説明する。制御基盤40は、図9に示すように、ステップS404(又はステップS504)において換算した流量値を記憶部に記憶する(S601)。制御基盤40は、操作部41を介して表示指示の入力を受け付けたか否かを判定し(S602)、表示指示の入力を受け付けていないと判定した場合(S602でNO)、流量値表示処理を終了し、次のステップに移行する。
【0065】
一方、制御基盤40は、表示指示の入力を受け付けたと判定した場合(S602でYES)、受け付けた表示指示に応じて表示部42に画面出力するための表示値を演算する(S603)。制御基盤40は、演算した表示値を表示部42に出力し(S604)、流量値表示処理を終了し、次のステップに移行する。表示部42は、制御基盤40から出力された表示値に従って画面出力する。
【0066】
次に、図7のステップS406(又は図8のステップS506)において実行する駆動決定処理の手順について説明する。制御基盤40は、図10に示すように、操作部41を介して、選択された給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2に対する流量設定値を受け付け、受け付けた流量設定値を変数Q1に代入するとともに、ステップS404(又はステップS504)で換算した流量値を現在の流量値として変数Q2に代入する(S701)。
【0067】
制御基盤40は、変数Q1と変数Q2との差が零であるか否かを判定し(S702)、その差が零であると判定した場合(S702でYES)、選択された給水枝管11を流れる湯水の現在の流量が流量設定値の範囲内に保たれていると判断し、駆動を決定することなく、駆動決定処理を終了し、次のステップに移行する。
【0068】
一方、制御基盤40は、その差が零でないと判定した場合(S702でNO)、現在の流量が流量設定値の範囲外であると判断し、その差が零未満であるか否かを判定する(S703)。その結果、制御基盤40は、その差が零未満であると判定した場合(S703でYES)、現在の流量が流量設定値を超えていると判断し、弁を閉める方向への駆動を決定し(S704)、駆動決定処理を終了して次のステップに移行する。
【0069】
一方、制御基盤40は、その差が零を超えると判断した場合(S703でNO)、現在の流量が流量設定値に達していないと判断し、弁を開ける方向への駆動を決定し(S705)、駆動決定処理を終了して次のステップに移行する。
【0070】
このように、ヘッダ流量制御システムは、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御するので、給水元圧の変動にかかわらず、使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させることができる。また、各給水枝管11を流れる湯水の流量を検出し、この流量に基づいて流量制御バルブ2を調整するので、実時間に減量調整することができる。また、給水枝管11(使用箇所)毎に湯水の水量を減量制御することができる。特に、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した給水枝管11の瞬時流量に基づいて流量制御バルブ2をフィードバック制御することから、流量制御バルブ2をより細やかに制御することができる。
【0071】
また、減量制御の対象としている台所や洗面所は、吐出流量が使用感や快適感に影響し易い使用箇所である。しかし、台所や洗面所の水栓は、他の使用箇所と同時に使用される場合であっても、フィードバック制御により最適流量を安定して吐出させることができるため、使用感や快適感が損なわれることがない。
【0072】
実施の形態3.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、実施の形態1に係るシステムの構成に枝管流量センサ5を更に加えた構成であってもよい。以下、上述した実施の形態1に係るシステムと異なる点のみを説明する。ヘッダ流量制御システムは、図11に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、主管流量センサ3と、複数の枝管流量センサ5と、制御装置4とを備える。
【0073】
実施の形態3において、ヘッダ管1は、減量制御すべき給水枝管11に始端側から順番に流量制御バルブ2と枝管流量センサ5とが取り付けられている。そのため、制御基盤40は、枝管流量センサ5が検出した湯水の流量に基づき、同一の給水枝管11に取り付けられている流量制御バルブ2の開閉弁の開度をフィードバック制御することが可能となる。
【0074】
また、ヘッダ管1は、全ての給水枝管11に枝管流量センサ5が取り付けられておらず、減量制御すべき給水枝管11にのみ枝管流量センサ5が取り付けられている。そのため、制御基盤40は、少数の枝管流量センサ5を用いて流量制御バルブ2をフィードバック制御しつつ、全ての給水枝管11の流量値の合計については主管流量センサ3を用いて計測することができる。
【0075】
その結果、実施の形態1のように部品点数を抑えた構成によって住宅全体における水使用量に関するデータを生成しつつ、実施の形態2のように使用箇所の応じた最適流量を安定して吐出させることができる。
【0076】
実施の形態4.
本発明に係るヘッダ流量制御システムは、実施の形態1乃至3に係るシステムの構成に緊急用止水バルブ6を更に加えた構成であってもよい。以下、実施の形態2に係るシステムに緊急用止水バルブ6を加えた構成を一例として説明するので、実施の形態2と異なる点のみ説明する。
【0077】
ヘッダ流量制御システムは、図12に示すように、ヘッダ管1と、複数の流量制御バルブ2と、複数の枝管流量センサ5と、緊急用止水バルブ6と、制御装置4とを備える。ヘッダ管1は、給水主管10の始端部に緊急用止水バルブ6が取り付けられている。緊急用止水バルブ6は、内部に備える開閉弁(図示せず)が開閉し、給水主管10内に湯水が流れ込むことがないように遮断する。
【0078】
緊急用止水バルブ6は、信号線60を介して制御装置4に接続されて管理されている。制御基盤40は、操作部41を介して遮断指示の入力を受け付けた場合、受け付けた遮断指示に応じて緊急用止水バルブ6を閉じる。その結果、例えば、作業員は、ヘッダ管1内の空にして、水栓金具のパッキン交換などのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0079】
また、制御基盤40は、枝管流量センサ5が急激な増大した流量(又は急激に減少した流量)を検出した場合、例えば、管の破裂など管路に異常事態が生じ、大量の水が流れ込んだ(又は大量の水が漏水した)と判断して、緊急用止水バルブ6を自動的に閉じる。
【0080】
なお、上述した実施の形態において、開示設定値は、弁の全開状態を100%とした場合における、この全開状態に対する流路内の弁の開度の割合としたが、本発明においては、これに限定されず、流量制御バルブ2の弁を全開とした場合に給水主管10内の流れる湯水の流量に対する、流量制御バルブ2の弁の開度を調整して減量制御した場合に給水主管10内を流れる湯水の流量の比であってもよい。弁を全開とした場合の湯水の流量については、予め主管流量センサ3などで計測しておく。その結果、開度設定値は、実際に流れる流量に基づいて設定されるので、利用者は、より具体的な状態を把握して設定することができる。
【0081】
また、以上の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0082】
(付記1)
給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、被制御対象の給水枝管を流れる湯水の流量を計測する枝管流量センサと、被制御対象の給水枝管を流れる湯水の流量を所定流量とする流量設定値の入力を受け付ける受付手段とを備え、前記制御手段は、前記受付手段により受け付けた流量設定値と、前記枝管流量センサにより計測された流量とを比較し、比較結果に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とするヘッダ流量制御システム。
【0083】
(付記2)
湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段を更に備え、
該表示手段は、前記枝管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力することを特徴とする付記1に記載のヘッダ流量制御システム。
【符号の説明】
【0084】
1 ヘッダ管
10 給水主管
11 給水枝管
2 流量制御バルブ
20 DCモータ
21 ポテンショメータ
22 ステッピングモータ
3 主管流量センサ
4 制御装置
40 制御基盤(制御手段)
41 操作部
42 表示部
43 電源
44 バス
5 枝管流量センサ
6 緊急用止水バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、
弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、
該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、
流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付ける受付手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記受付手段で受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とするヘッダ流量制御システム。
【請求項2】
前記開度設定値は、前記流量制御バルブを全開とした場合に前記給水主管を流れる湯水の流量に対する、減量制御した場合に前記給水主管を流れる湯水の流量の比であることを特徴とする請求項1に記載のヘッダ流量制御システム。
【請求項3】
前記給水主管を流れる湯水の流量を計測する主管流量センサと、
湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段と
を更に備え、
該表示手段は、前記主管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッダ流量制御システム。
【請求項1】
給水主管と該給水主管から分岐した使用箇所別分水用の給水枝管とを有するヘッダ管に対して、該ヘッダ管を流れる湯水の流量を調整するヘッダ流量制御システムにおいて、
弁の開度に応じて給水枝管の流路面積を変化させる一又は複数の流量制御バルブと、
該流量制御バルブの開度を所定の設定値に基づいて制御する制御手段と、
流量制御バルブの開度を所定の開度とする開度設定値の入力を受け付ける受付手段と
を備え、
前記制御手段は、
前記受付手段で受け付けた開度設定値に基づいて、被制御対象の給水枝管の流量制御バルブの開度を制御するよう構成されたことを特徴とするヘッダ流量制御システム。
【請求項2】
前記開度設定値は、前記流量制御バルブを全開とした場合に前記給水主管を流れる湯水の流量に対する、減量制御した場合に前記給水主管を流れる湯水の流量の比であることを特徴とする請求項1に記載のヘッダ流量制御システム。
【請求項3】
前記給水主管を流れる湯水の流量を計測する主管流量センサと、
湯水の流量に関する流量情報を出力する表示手段と
を更に備え、
該表示手段は、前記主管流量センサにより計測された流量に関する流量情報を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッダ流量制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−184626(P2012−184626A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49873(P2011−49873)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]