ヘッドギアアセンブリへの磁気結合を備えた呼吸マスクアセンブリ
呼吸に適したガスを患者に供給するための呼吸マスクアセンブリは、それらの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に磁気的に結合されるように適合された、フレーム(420)およびヘッドギアアセンブリ(480)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、現在は特許文献1となっている、同一出願人による係属中である2003年3月19日出願の米国特許出願第10/390681号の一部継続出願である、係属中である2005年3月16日出願の米国特許出願第11/080446号の利益を主張し、該出願は、2002年5月3日出願の米国仮出願第60/377254号、2002年7月22日出願の米国仮出願第60/397195号、および2002年8月12日出願の米国仮出願第60/402509号に基づき、米国特許法第119条(e)に基づいてそれらの国内優先権を主張し、また、米国特許法第119条(a)に基づいて2002年4月23日出願のオーストラリア出願PS1926号の外国優先権を主張し、上記出願それぞれの全内容は参照により本願に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、非侵襲性陽圧換気法(NPPV)の送達に使用される、また、閉鎖性睡眠中無呼吸(OSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)の経鼻的持続性気道陽圧(経鼻的CPAP)治療用の鼻マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
OSAの治療にnCPAPを適用することは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献2においてSullivanによって教示された。OSAのnCPAP治療では、加圧空気または他の呼吸に適したガスは、大気圧よりも上昇された圧力、一般的には4〜20cm H2Oの範囲で、患者の気道の入口に供給されて、患者の上気道に「添え木をあてて」開き、無呼吸を防ぐ。
【0004】
経鼻的CPAPおよびNPPV治療を行う装置は、一般的には、ブロワー、空気送達導管、および患者インターフェースを含む。ブロワーは、一連の異なる形態の治療を行うようにプログラムされてもよい。1つの形態では、一定圧力の空気または呼吸に適したガスが患者に供給される。治療圧力のレベルは、患者の必要に応じて呼吸毎に変化することも知られており、その治療形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献3(SullivanおよびLynch)に記載されているように、自動調節経鼻的CPAP治療として知られている。NPPVは、呼吸障害を治療する別の形態である。その最も基本的な形態では、呼吸の吸気相の間は比較的高い圧力のガスが患者のマスク内に供給されてもよく、呼吸の呼気相の間は比較的低い圧力または大気圧が患者のマスク内に供給される。他のモードでは、圧力は、呼吸サイクル全体を通して複雑な形で変化するようにすることができる。例えば、吸気または呼気の間のマスクの圧力は、治療の期間全体を通して変化させることができる。例えば、それらの全体がすべて参照により本明細書に組み込まれる特許文献4、ならびに特許文献5および特許文献6を参照のこと。本明細書では、NPPV治療という用語は、NPPVおよび経鼻的CPAP治療のこれらの形態すべてを説明するために使用される。
【0005】
NPPV治療のための患者インターフェースは、鼻マスクアセンブリ、鼻および口マスクアセンブリ、鼻クッション、鼻プロング、またはピローアセンブリなどの多数の形態を取ってもよい。マスクアセンブリは、一般的には、硬いシェル、顔面に接触する柔軟なクッション、額支持体、マスクを頭部に固定するためのヘッドギアを含む。
【0006】
1つの既知のマスクアセンブリでは、ヘッドギアは、4つのストラップを有するキャップ部を含む。使用中、キャップ部は患者の後頭部に係合する。さらに、使用中、2つの下側のストラップはキャップ部と鼻マスクの間を延び、2つの上側のストラップはキャップ部と額支持体の間を延びる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献7(Kwok、Matchett、およびGrant)を参照のこと。
【0007】
いくつかの患者インターフェースは、患者および/または臨床医がブロワー、ブロワー管、および/またはマスク/ヘッドギアアセンブリから解放することを可能にするため、迅速なまたは便利な解放機構を含む。迅速なまたは便利な解放機構は、NPPV治療を一時的に中断する必要がある場合、またはシステムの故障によって患者インターフェースへのガスフローの停止が生じた場合に有用である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/482718号に開示されているように、便利に配置されたコードを引張って、例えばヘッドギアアセンブリの後部に位置付けられたフックループ式締結具を外すことにより、ヘッドギアおよびマスクを取り外すことができる。別の例では、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/504220号に開示されているように、マスクのフレームに直接接続された、ヘッドストラップのコネクタ部材を外すことにより、ヘッドギア/マスクアセンブリを患者から取り外すことができる。SleepNet(商標)IQTMマスクによって使用されていると考えられる迅速に分離可能な連結具を開示している、特許文献8も参照のこと。
【0008】
患者は、患者インターフェースを着用したまま眠ることができなければならないので、それが快適であることが望ましい。それに加えて、患者インターフェースは、漏れを防ぐまたは低減するため、あるいは漏れがある場合にそれをより良好に制御し、治療の効率を維持するため、良好なシールを提供するべきである。人の鼻、顔面、および頭部の形状は、商業上の観点から見て非常に様々であるので、多数のサイズによって余分な在庫を有する必要なく、顔の形状のこの範囲に適応することができる患者インターフェースを製造できることが重要である。多数の患者インターフェースが、患者の快適さ、使用の容易さ、調整性、および広範囲の患者の顔面および頭部の形状に適応する能力という目的を考慮して設計されてきた。
【0009】
特許文献9(SullivanおよびBruderer)は、NPPV治療に使用するのに適した患者インターフェース(鼻マスクおよび全面マスクの両方)を提供する。このマスクは、意図される着用者の鼻領域に適合するようにサイズ決めされ形作られたシェルに取り付けられた、顔面に接触する部分を有し、顔面に接触する部分は、弾性材から成型された膨張可能な膜の形態である。特許文献9は、その全体が参照により組み込まれる。
【0010】
特許文献10および同第6112746号(KwokおよびStyles)はそれぞれ、膜がそこから延びるほぼ三角形に形作られたフレームを備える鼻クッションを記載している。これらの特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0011】
他の鼻マスクは、それらの全体が参照により組み込まれる特許文献15および同第6119694号に開示されている。それぞれ、鼻の先端と、または患者の上唇の直ぐ上の水平面にある鼻の部分と係合する、鼻クッションを記載している。その全体が参照により組み込まれる特許文献12では、三角形に形作られた鼻クッションは、患者の顔面に向かって狭まる先細の外形を含む。これらの従来技術のマスク/クッションのいくつかは、患者の快適さ、潜在的な鼻孔の閉塞、安定性および/またはシール(特に鼻梁および頬領域における)の観点から、重大な課題を直面してきた。
【0012】
多数の調節可能な額支持体が、実用的なシールを達成すると同時に、患者の快適さを増加させ、集団内で最大数の患者に適応する目的で開発されてきた。例えば、特許文献7(Kwok、Matchett、およびGrant)は、鼻マスクまたは全面マスクのための調節可能な額支持体を記載している。額支持体は、横顔の異なる形状およびサイズに対して調節されてもよい。顔面に対するシールの角度は、この発明を用いて調節されてもよい。特許文献7は、その全体が相互参照によって組み込まれる。特許文献13では、呼吸マスクに固定されるように適合された額支持体が開示されている。特許文献13は、その全体が相互参照によって組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第6907882号明細書
【特許文献2】米国特許第4944310号明細書
【特許文献3】米国特許第5245995号明細書
【特許文献4】米国特許第5704345号明細書
【特許文献5】国際公開第98/12965号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/61088号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6119693号明細書
【特許文献8】米国特許第3990727号明細書
【特許文献9】米国特許第5243971号明細書
【特許文献10】米国特許第6357441号明細書
【特許文献11】米国特許第6112746号明細書
【特許文献12】国際公開第00/69521号パンフレット
【特許文献13】国際公開第00/78384号パンフレット
【特許文献14】米国特許第6412487号明細書
【特許文献15】米国特許第5724965号明細書
【非特許文献1】Gray’s Anatomy, Thirty−Eighth Edition(1995), Figures 6.133A, B, 6.135A and 11.3A, B
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、従来技術の欠点または制限を克服することができるマスクアセンブリを提供する必要性が、当該分野において高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの特徴は、NPPV治療を行うための快適な患者インターフェースを対象とする。
【0015】
本発明の別の特徴は、NPPV治療の改善された患者コンプライアンスが得られる患者インターフェースを提供することである。
【0016】
本発明の別の特徴は、既知のマスクに比べて鼻のより狭い範囲でシールすることができるとともに、ResMed Mirage(登録商標)およびUltra Mirage(登録商標)クッションの快適さのレベルを保持するか、またはそれを超えるクッションを作成することである。
【0017】
本発明のさらなる特徴は、鼻マスクの知覚されるサイズおよび/または重量、かつ/または実際のサイズおよび/または重量を低減し、侵襲性がより低いマスクをユーザに提供することである。
【0018】
本発明の別の特徴は、マスクおよびヘッドギアが、患者が迅速に取り付けかつ/または取り外すために便利かつ直感的に正しい位置に提供された、低減された接続量を有するとともに、誤って容易に外れることがない、マスクアセンブリを提供することである。特定の特徴として、フレームおよびヘッドギアアセンブリに動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリが提供されて、フレームおよびヘッドギアアセンブリを、フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることができるようにしてもよい。
【0019】
本発明の別の特徴は、額支持体または額支持体用の調節機構を提供する必要がないにもかかわらず、使用中のマスクの安定性を維持する、マスクアセンブリを提供することである。
【0020】
別の特徴は、製造に必要な在庫数と、異なるサイズのマスク/クッションの数を減少させるまたは最小限に抑えるため、広範囲の患者に適応することができる鼻マスクを提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の特徴は、例えば、特に患者の敏感な鼻梁領域に対して、顔面に接触する領域における望ましくない局所的な圧力点の適用をより良好に回避することにより、さらなる快適さを患者に提供するとともに、シールを形成または維持するための陽圧の支援の有無にかかわらず良好なシールを維持する鼻マスクを提供することである。本発明の別の特徴は、上側の鼻梁領域との接触を回避するとともに、骨部分がより多くの軟骨を含む鼻の部分へ移行する下側の鼻梁領域に沿った局所的な圧力点を回避することである。
【0022】
本発明の別の特徴は、患者の外鼻孔(1つまたは複数)および鼻腔を通る、特に鼻孔を通る気流のインピーダンスを増加させる場合がある、望ましくない局所的な接触の圧力または力の適用を回避することである。
【0023】
さらに別の特徴は、マスク/クッションアセンブリに追加の安定性を提供することができる、ヘッドギアアセンブリを提供することである。実施形態においては、ヘッドギアは、マスク/クッションアセンブリの安定化を助けるため、ヘッドストラップにある程度の剛性を付与する、少なくとも1つの層から作られるか、または含んでもよく、それによって額支持体を不要にすることができ、それにより、患者の眼付近の視覚的な妨害が減少され、マスクシステムの使用中に、患者が眼鏡を身に付け、装着し、または取り外す能力がより良好に向上されるか、あるいは少なくとも妨害されない。複数層構造を提供する代わりに、ヘッドストラップ自体の少なくとも一部が、比較的柔軟なヘッドストラップに比べて、比較的剛性の高い材料から作られてもよい。ヘッドギアは、ヘッドストラップおよび/またはマスクフレームに、迅速かつ容易に取り付けかつ/または取り外すことができる、比較的大きく、手で操作可能なクリップ部材を含んでもよい。あるいは、ヘッドギアは、マスクフレームと磁気的に結合されてもよい。
【0024】
本発明の別の特徴は、操作に力または器用さをほとんど必要としない、便利なまたは迅速な解放機構を提供することである。
【0025】
本発明の別の特徴は、ヘッドストラップのクリップ部材をフレームから容易に外すことができるように、迅速解放機構を含む、かつ/または組み込むフレームを提供することである。迅速解放機構は、フレームと継目なしに形成された少なくとも1つのコネクタ部分を含んでもよい。噛合するコネクタ部分は、ヘッドギアの部分上に提供することができる。マスクシステムは、空気供給導管を介して送達される加圧空気の供給源に取り付けられる。加圧空気を患者の気道の入口に供給するため、導管は、マスクチャンバと流体連通している内腔によってマスクに直接取り付けられてもよい。好ましくは、中間片は空気供給導管をマスクに接続する。好ましくは、中間片は、さらに後述されるエルボ継手である。フレームは、マスクの外側表面から出る延長チューブを含んでもよく、それにより、エルボ継手とマスクフレームとの間のシールを改善し、マスクフレームとエルボ継手との間の接続の安定性も改善することができる。延長チューブは、エルボアセンブリに取り付けるためのフランジを含んでもよい。好ましくは、エルボアセンブリは、患者の治療を一時的に中断している間、エルボ継手をマスクフレームから迅速かつ容易に外すように、容易に操作されてもよい。エルボアセンブリは、雰囲気への通気孔を含んでもよい。好ましくは、例えばエルボ継手の部分内に提供されたバッフルを使用することにより、入ってくるガスの経路から分離された排気路を介して、通気孔はシステムの空気経路と流体連通している。
【0026】
本発明の別の特徴は、ほぼ台形状に形作られた、患者インターフェースのためのマスククッションを提供することである。
【0027】
本発明の別の特徴は、呼吸に適したガスを患者に供給する呼吸マスクアセンブリを提供する。一実施形態による呼吸マスクアセンブリは、主要本体と、主要本体の各側面上に提供されたサイドフレーム部材とを有するフレームを含む。各サイドフレーム部材は、一体に形成された第1のコネクタ部分を含む。ヘッドギアアセンブリは、フレームに取外し可能に取り付けることができる。ヘッドギアアセンブリは、フレーム上に提供された第1のコネクタ部分と取外し可能に結合されるように適合された第2のコネクタ部分を有する。第2のコネクタ部分は、ヘッドギアアセンブリをフレームから外す解放位置へ、手動で移動可能である。ヘッドギアアセンブリは、フレームに対して回転調節可能である。
【0028】
本発明の別の特徴は、メインフレームと、メインフレーム本体の各側面にそれぞれ設けられたサイドフレーム部材とを有するフレームと、ヘッドギアアセンブリと、フレームおよびヘッドギアアセンブリを、フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることを可能にするための、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリと動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリとを備える、呼吸に適したガスを患者に供給するための呼吸マスクアセンブリを提供する。
【0029】
さらに別の実施形態によれば、マスク内に形成されるように適合された、少なくとも第1の磁気素子を含むコネクタレセプタと、ヘッドギアアセンブリと結合された、少なくとも第2の磁気素子を含むコネクタとを備え、マスクをヘッドギアアセンブリに固定するためにコネクタがコネクタレセプタと係合可能であり、第1および第2の磁気素子は、コネクタとコネクタレセプタの間の係合および位置調節を容易にするように位置付けされ極性が決められる(poled)、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリが提供される。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、ヘッドギアアセンブリと結合されたコネクタと、マスクに取り付けられた、係止位置と解放位置との間で揺動可能な揺動スイッチであって、係止位置ではコネクタと係合可能な揺動スイッチとを備え、第1の磁石はマスク上に配置され、第2の磁石は揺動スイッチの脚部上に配置され、揺動スイッチが係止位置にあるとき、第1および第2の磁石は対向する関係で配置されている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリが提供される。
【0031】
当然ながら、本発明の記載される特徴の部分は、本発明の下位の特徴を形成してもよい。また、下位の特徴および/または特徴の様々なものは、様々な形で組み合わされてもよく、さらに、本発明の追加の特徴または下位の特徴を構成してもよい。本発明のこれらおよび他の特徴および態様は、添付図面と併せて読まれる以下の詳細な説明に記載され、またはそれから明らかであり、図面において、類似の参照番号は類似の構成要素を示す。
【0032】
添付図面は、本発明の様々な実施形態についての理解を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
いくつかの実施形態または実施例が図面に記載されている。各実施形態の特徴および/または部分の多くは同一であるが、いくつかの異なる部分および/または要素がある。例えば、図1は、本発明によるエルボアセンブリ60の一実施形態を示し、図6a〜6bは、エルボアセンブリ60の別の装置を示す。実施形態間の他の差異が後述される。また、様々な部分および/または要素に関していくつかの別の方策も記載され、それらの別の方策は、本発明の追加の好ましい実施形態と見なされるべきである。
【0034】
図1〜4に示されるように、本発明の好ましい一実施形態による鼻マスクアセンブリ10は、フレーム20と、好ましくはフレーム20に分離可能に接続されたクッション40とを含む。あるいは、クッション40は、例えば同時成型またはオーバーモールド技術、接着剤、および/または機械的締結手段を使用して、フレーム20に恒久的に取り付けることができる。自在エルボアセンブリ60およびヘッドギアアセンブリ80は、フレーム20に取り付けることができる。図1は、鼻マスクアセンブリ10を、一般に、ヒトの頭部の上に取り付けられるように意図されるものとして示す。当然ながら、図1の描写は、理解を容易にするため、頭部からわずかに離間して、または「浮いて」いる。図1bは、フレーム20が取り除かれた、平坦に広げられたヘッドギアアセンブリを示す。図2は左側面から見たマスクアセンブリ10を示し、図3はその正面図を示し、図4はその上面図を示す。図2〜4では、ヘッドギアアセンブリ80の後面部は、明瞭にするために取り除かれている。
【0035】
[マスクフレーム]
図5に示されるように、フレーム20は、自在エルボアセンブリ60に接続するための中央のボア24を有する細長い本体22を含む。図5aは、クッション40、エルボアセンブリ60、およびヘッドギアアセンブリ80が外されている、フレーム20の上面図である。フレーム20は、クッション40を収容するように設計された主要本体20aと、好ましくはフレーム20の主要本体20aと継目なしに形成された一対のサイドフレーム部材20bとを含む。図5aは、両方のサイドフレーム部材が好ましくは同じ構成を有することを示す。主要本体20aおよびサイドフレーム部材20bは、鼻の両側で患者の顔面の輪郭にほぼ追随する曲率を有するように設計されている。本発明の一実施形態によれば、曲率は、包括角度120°を有する2つのサイド部材からの平滑な移行に追随する。クッション40が適所にある場合、主要本体20aは、患者の鼻と接触することを防ぐため、鼻領域において患者の顔面から離間する一方、サイドフレーム部材20bは頬領域にほぼ平行である。この範囲では接触は望ましくないため、各サイドフレーム部材20bと患者の頬との間の空間が維持される。しかし、必要に応じて、サイドフレーム部材20bは、患者の頬領域に係合するパッド構造などの快適な機構を含むように構成されてもよい。そのようなパッドは、治療モードにおいて圧力が加えられたとき、頬を支持するのを助けるという利点を有することができる。
【0036】
フレーム20の湾曲した設計および他の特徴に基づいて、マスクアセンブリ10の重心CG1(図5b)は、患者の顔面により接近して作ることができる。そのようにして、例えばマスクアセンブリの重量によって垂直面で作成される、回転トルクまたはモーメントを低減することができる。例えば、患者が、図5bに示されるような直立位置で座っている場合、マスクアセンブリ10の重量は、水平面内で患者の鼻に直交する軸線A(紙面の奥に向かう)の周りのトルクを生じさせる場合がある。そのトルクは、一般にクッションの上唇領域に沿って位置付けられる軸線Aの周りで、矢印Bの方向にマスクアセンブリ10を回転させる傾向がある力を生じさせる場合がある。そのようなトルクは、上唇領域に沿った患者の不快感、および/または、下側鼻梁領域の周囲および/または頬領域のシールの低減につながることがある。具体的には、顔面に近接して位置する重心CG1が生じさせるトルクは、顔面からさらに離れた重心CG2を有するマスクよりも少ない場合がある。これは、重心CG1、CG2と顔面の間の距離d1、d2が、トルク(トルク=力×レバーアーム)を測定するのに使用されるレバーアームを形成するためである。したがって、力またはレバーアームが低減されると、トルクが低減され得る。患者が横向きに横たわっていても、同様のトルクが作成される場合がある。トルクは、長さおよびクッションに対する高さなどの特徴を含む、エルボの幾何学形状によって影響される。特にエルボの構成によって決まる、アセンブリの有効なレバーアームの長さを最小限に抑えることが望ましい。
【0037】
マスクアセンブリの重心と顔面の間の距離を低減することに寄与する他の要因としては、クッション40の設計、フレーム20の設計、およびエルボアセンブリ60の設計が挙げられる。マスクの安定性に影響を及ぼすことがある他のトルク源は、エルボアセンブリ60のガス供給チューブへの接続である。実際には、ガス供給チューブは、エルボアセンブリ60に力を付与してもよく、それが次に、マスクアセンブリを患者に対してシフトさせる傾向があるトルクを作成してもよい。エルボアセンブリとガス供給チューブの接続によって患者に適用されるトルクの量は、図16a〜19c−2に関して後述されるエルボアセンブリ60を使用して低減することができる。要するに、エルボアセンブリはガス供給チューブ310(図26)に直接接続されるように設計されているので、いくつかの従来技術に現在使用されているように、エルボアセンブリとガス供給チューブ310との間に中間自在コネクタ部材300(図6bおよび23)を使用する必要なしに、エルボアセンブリのレバーアームを有効に低減することができる。あるいは、スイベルはチューブ内に組み込まれてもよい。このようにして、移動の追加の自由度が、望ましくないトルクを増加させることなく加えられてもよい。また、クッション40は、少なくともクッション40の唇および頬領域に沿って圧力を分配するように設計されるので、垂直面内で回転する可能性または傾向がさらに低減される。さらに、クッション40の頬領域はそれぞれ垂直方向に延長され、水平方向に広げられた、比較的大きな接触圧力受取り面を形成する。よって、クッション40は、少なくとも頬領域において、垂直および/または水平面内の回転運動に抵抗し、それが、クッション40を患者の上で一定の位置に維持する助けとなる。クッション40のさらなる詳細は、図24a〜25iに関して後述される。図5cを参照すると、フレーム20は、クッション40に接続するための、ほぼ台形状の形状を有するチャネル26を含む。チャネル26は、内壁28、外壁30、およびチャネル床面32を含む。チャネル26はさらに詳細に後述される。
【0038】
図6aは、図1〜5cに示されるフレーム20およびエルボアセンブリ60とわずかに異なる、フレーム20およびエルボアセンブリ60を示す。実施形態の間の主な差異はエルボアセンブリ60にあるが、様々な図面を比較することによって容易に分かるように、または以下の様々なセクションの記載と併せて理解されるように、フレーム20、クッション40などの間に他の差異がある。類似の要素は類似の参照番号で示される。
【0039】
図6aおよび6bでは、エルボアセンブリ60は、ResMedのULTRA MIRAGE(登録商標)マスク上に提供されたものに類似の、かつ米国特許出願第09/594775号(Drewら)に記載されている機構を使用して、フレーム20内に突出するエルボアセンブリ60の部分上に提供された周溝25内に嵌合するように収縮することができるCクリップ23(図6b)を使用して、マスク20に取り付けられる。クッション40、フレーム20、エルボアセンブリ60、およびガス供給チューブの分解組立図は、図6bに示される。Cクリップ23は、エルボアセンブリ60のフレーム20からの望ましくない分離を防ぐため、フレーム20の内面に係合する表面を有する。エルボアセンブリ60は、また、例えば特に吐出された二酸化炭素のガス排出のため、雰囲気に向かって開いた一以上の通気開口部61を含んでもよい。通気開口部61は、治療圧力が鼻腔内で維持されるように構成される。通気開口部61は、エルボアセンブリ60の外側表面上に弾性的かつ取外し可能にクリップで留められる、シェル部材65で覆われてもよい。図6aの通気開口部61は、透明なシェル部材65を介して見ることができる。シェル部材65およびCクリップの詳細は、すべて参照により本明細書に組み込まれるResMedの米国特許出願第09/502745号明細書、同第09/594775号明細書、または特許文献13に記載されている。
【0040】
図6aに示されるように、チャネル26の内壁28は、好ましくは、外壁30がフレーム20から離れて延びる距離よりも大きな距離まで、フレーム20から離れる方向に延びる。図5cおよび32dもまた、外壁30がフレーム20から離れて延びる距離よりも大きな距離を、内壁28がフレーム20から離れる方向に延びることを示す。図32dに示されるように、内壁28の厚さは、約1〜2mm、好ましくは1.4mmであり、外壁30の厚さは、約1〜2mm、好ましくは1.4mmであり、内壁28と外壁30の頂部との間の距離は、0.5〜10mm、好ましくは2mmである。さらに、図32dに示されるように、互いに向かい合った内壁28と外壁30の直立表面との間のチャネル26の幅は、約2〜10mm、好ましくは5mmである。
【0041】
内壁28と外壁30との間のこの相対距離を採用することによって、クッション40のフレーム20に対する係合が容易になる。クッションおよびマスクフレームがともに移動されると、内壁28は、クッションの整列を視覚的および/または触覚的に示唆し、その結果、図27a〜29dおよび32a−1〜32c−2を参照してさらに十分に説明されるように、クッション40の側壁または中央部分215(図24eおよび27a)の縁部をチャネル26内に案内することにより、係合プロセスの継続を容易にする。チャネル26が、正三角形、円形、正方形、または長方形などのより対称な形状を有する場合のように、追加の案内片を必要とすることなく、チャネル26に対する正確なクッションの配向の案内を達成するように、チャネル26の形状、例えば図5cに見られるようなほぼ台形の形状が選択される。ただし、クッションのチャネル26は、これらの形状のいずれをも採用することができる。
【0042】
図5cおよび6aに見られるように、フレーム20は、ヘッドギアアセンブリ80の各係止クリップ82(図9aおよび10a)に接続するようにフレーム20の各側面に位置付けられた、係止クリップ受け具アセンブリ34を含む。各係止クリップ受け具アセンブリ34は、係合面35(図5c)、中央支持スロット36、および中央支持スロット36の向かい合った側面上に位置付けられた2つの係止スロット38を含む。中央支持スロット36および係止スロット38は、ほぼ長方形の断面を有する。係止スロット38はそれぞれ、後述するように、係止クリップ82の1つの各係止タブ116(図9aおよび9b)と係合するための、その外壁上に位置付けられた係止フランジ(図7)を含む。チャネル38は、係止フランジ39(図7)に加えて、またはその代わりに、フレーム20の外壁にスロット71(図10a)を備えてもよい。図5aには、フレーム20の底部のスロット71が見られるが、図4は、フレーム20の頭部からのスロット71を示す。スロット71は、フレーム20の側壁全体にわたって延びる必要はない。
【0043】
[ヘッドギアアセンブリ]
図1bは、フレーム20またはクッション40のない、本発明の一実施形態によるヘッドギアアセンブリ80を示す。図1bでは、ヘッドギアアセンブリは平坦に広げられて示される。
【0044】
[ストラップおよびヨーク]
図1〜4を参照すると、ヘッドギアアセンブリ80は一対の前側ストラップ84を含み、左および右前側ストラップ84は好ましくは互いに鏡像関係にある。前側ストラップ84はそれぞれ、全体的に「Y」字形状であり、すべて継目なしに形成された、または別の方法として機械的締結などによって相互接続された、前側ストラップ端部86、上側ストラップ端部88、および後側ストラップ端部90を有する。ストラップは、積層された布地および発泡体から作られる。1つの市販の材料は、米国のAccumed Inc.製の「Breath−O−Prene」(商標)である。ストラップの締結は、VELCRO(登録商標)などのフックループ式材料を使用することによって可能とされてもよいが、さらに十分に後述されるように、ストラップは係止クリップ82を使用してフレーム20に締結されるので、ストラップは、フックループ式締結具を含む必要はない。図1〜3および8に示されるように、ヨーク92は各前側ストラップ84に取り付けられる。各ヨーク92は、対応する前側ストラップ84と同じ全体形状を有し、前方端部94、上側端部96、および後側端部98を有する。各ヨーク92は、ある程度剛性を有する材料、例えばプラスチックで構成され、0.3〜2.0mm、好ましくは1mmの厚さを有する。プラスチックの例としては、ナイロン11またはポリプロピレンが挙げられる。ヨーク92は、接着剤、スティッチ溶着、または他の既知の取付け機構を用いて、対応する前側ストラップ84に取り付けられる。ストラップおよびヨークの配置は、異なる方向で様々な柔軟性を有することができ、例えば、第1の方向では剛性であるが(例えば、自在エルボ、関連する導管などの重量による変形に抵抗するように)、第1の方向にほぼ直交する方向では柔軟とすることができる。マスクをユーザの頭部に着用させる際、ヨークの相対的な剛性は、フレームおよびクッションをユーザ上で正確な位置に位置付ける助けとなる。前側ストラップ84と同じ全体形状を有するものの、この実施形態における上側端部96および後側端部98は、前側ストラップ84の上側ストラップ端部88および後側ストラップ端部90と同じ程度には延びない。しかし、別の実施形態では、上側端部96は、上側ストラップ88の全長に沿って延び、コネクタ要素128(図1)と一体に、または継目なしに形成されてもよい。ヨーク92はまた、前側ストラップよりも幅が狭いので、互いに取り付けられたときに、前側ストラップ84のより柔軟な材料がヨーク92のより硬い材料を越えて延び、それによって、痒みまたは不快感を引き起こすことがある、ユーザとヨーク92とのより硬い材料との接触の機会が防止されるか、少なくとも低減される。ストラップおよび関連するヨークは、多層構造、例えば2層から形成されるが、患者の快適さおよび適切な硬直性/柔軟性が維持される限り、ストラップ84およびヨーク92は単一材料で形成することができる。
【0045】
ヨーク92は、特定の面および方向におけるストラップ84の硬直性を増加させ、それが、使用の間、患者の頭部上でマスクアセンブリ10を安定化させるのを支援する。他の面および方向では、ヨークおよびストラップアセンブリは異なる硬直性を有する。例えば、ストラップおよびヨークは、患者の顔面に向かう、またはそれから離れる方向への曲がりまたは屈曲に抵抗することができるべきである。一般に、ストラップ84およびヨーク92がフレーム20に接続されるとき、ストラップ84およびヨーク92は、患者の頭部に対するそれらの位置を維持することができるべきである。さらに、マスクフレーム20は、額支持体アセンブリを備える必要はなく、額支持体を備えたマスクに比べて患者の視界の妨げがより少ないので、それが患者の快適さをさらに増加させてもよい。当然ながら、必要に応じて、追加の安定性または快適さのため、上述のタイプの額支持体が提供されてもよい。また、マスクフレーム20は顎ストラップを備える必要はないが、必要に応じて、追加の安定性または快適さのため、顎ストラップが提供されてもよい。それに加えて、額支援体の取外しを越えて、ストラップ84およびヨーク92の形状は、患者の視界に対する干渉を回避するように選択されている。特に、適合されたとき、各ヨーク92の前側端部94は、患者の眼よりも下でフレーム20に接続され、好ましくは、頬領域を横切る湾曲した円弧に沿って延びる。各ストラップ84の上側端部88および各ヨークの上側端部96は、患者の頭部のこめかみ領域に沿ってY字形の交差部から離れる方向に延びる。ヨーク92の後側端部98およびストラップ84の後側端部90は、より十分に後述されるように、後側ストラップ部材138と接続するため、下向きに、かつ患者の耳の周りで湾曲される。ヨーク92によって提供される硬直性により、ストラップ84は、予め定められた形状をより良好に維持することができる。一方、患者の生理学的変化にある程度適応することができるように、ヨーク92およびストラップ84のある程度の柔軟性が提供される。ヨークの厚さも、柔軟性特性を修正するため、その断面全体にわたって変化することができ、例えば、より厚い領域はより剛性であってもよい。
【0046】
図8に示されるように、各ヨーク92は、前側端部94上に位置付けられた取付けフランジ100を有する。取付けフランジ100は、ボア103につながるアパーチャまたは鍵穴101を有する(図8aを参照)。2つの半環状フランジ102は、スロット104によって互いから分離される。半環状フランジ102の半径方向内側表面は、中央ボア103を形成する。ヨーク92はまた、取付けフランジ100の後方に位置付けられたスプリングタブ106を有し、スプリングタブの前側部分はヨーク92に接続され、空間107によってヨーク92から分離された後側部分は、圧力がスプリングタブ106に加えられたとき、ヨーク92に対して屈曲することができる。スプリングタブ106は、好ましくは、取付けフランジ100の軸線の周りで円弧状に位置付けられた、複数の隆起した歯108を有する。スプリングタブ106は、また、ユーザがスプリングタブ106を配置し、係合し、操作するのを支援するため、その自由端に、模様付き表面110(図8)または隆起した位置決め部材110a(図8a)を有する。図8aは、ヨーク92をヘッドストラップ84に縫合する方法を含む、ヨーク92の詳細をより良好に示すための、図8に示されるもののような右側ヨーク92およびストラップ84の拡大図である。係止または摩擦などの他の固定機構が使用されてもよい。
【0047】
[係止クリップ]
係止クリップ82は、各取付けフランジ100に調節可能に取り付けられる。図9aおよび9bに示されるように、各係止クリップ82は主要本体112を含む。2つのスプリングアーム114が主要本体112の両側に取り付けられ、ほぼ平行な形で主要本体から離れる方向に延びる。留めフック116(latch hook)は、各スプリングアーム114の自由端に取り付けられる。
【0048】
図10aに示されるように、クリップ82を挿入して、フレーム20の係止クリップ係合受け具34と解放可能に係合させることができる。図10aでは、1つのクリップ82のみが示され、クリップ82はヨーク92に組み合わされない。各留めフック116は、フレームの各チャネル38(図5c)内に受け入れられる。図10aでは、留めフック116の遠位端は、チャネル38の各凹部71内に外向きに屈曲する直前の位置で示されている。図4は、凹部71内の係合位置にある留めフックの遠位端を示す。当然ながら、クリップ82または少なくともその留めフック116をフレーム20内に形成することができ、チャネル38または少なくとも凹部71をストラップおよび/またはヨーク上に形成することができる。
【0049】
また、図4および10aは、係止クリップ82およびフレーム20の外側表面が、好ましくは、接続するときに中断されないほぼ連続する表面を形成することを示す。好ましくは、係止クリップ82は、各端部においてフレーム20と同程度幅広であり、それによって、患者が係止クリップを触覚によって位置確認することが容易になる。スプリングアーム114は、係止クリップの主要本体の面内で屈曲するように設計され、それによって、係止クリップ82を取り付け/取り外す容易さがさらに改善される。この位置付けは、解放機構のエルゴノミクスを改善する。患者の親指および反対の指を使用して、係止クリップ82を容易に位置確認し操作することができる。また、それらのサイズがより大きいことにより、最も不器用な患者が係止クリップ82を操作することができる。さらに、係止クリップ82とストラップ84/ヨーク92との間の長さ調節が不要なように、係止クリップ82は、ストラップ84/ヨーク92に接続される。
【0050】
係止クリップ82は、主要本体112から横方向外向きに延びる保持フランジ118(図9b)を含む。保持フランジ118は、保持フランジ118の軸線に沿って延びる中央ハブ119と、中央ハブ119の両側に中央ハブ119から横に延びる2つの保持タブ120とを有する。図10b〜dは、図9aおよび9bに示される特徴に類似した、図10aに示される係止クリップ82のさらなる詳細を示す。係止クリップ82は、ヨーク92から分離されているものとして示されているが、クリップおよびヨーク92は、その2つの間の相対的な移動および/または取外しが不要の場合、継目なしに形成できることが理解される。反対に、クリップ82およびフレーム20は一体のユニットとして形成することができ、クリップ部分はヨークに接続することができる。
【0051】
保持フランジ118は、保持タブ120が、スロット104と整列できるようにサイズ決めされ、かつ形作られ、保持フランジ118は、ヨーク92の取付けフランジ100に軸方向に挿入される。中央ハブ119は、係止クリップ82およびヨーク92が互いに回転支持されるように、中央ボア103と近い公差を有するようにサイズ決めされる。保持フランジ118が取付けフランジ100に挿入されると、保持タブ120がフランジ102の内側表面に係合し、それによって取付けクリップ82をヨーク92に軸方向に係止するように、係止クリップ82は、ヨーク92に対して回転することができる。図10e〜gは、ヨーク92に対して様々な位置の係止クリップ82を示す。図10eでは、クリップ82のタブ120はヨーク92の開口部104を通って挿入されており、クリップ82は矢印Aの方向に沿ってわずかに回転されているので、タブ120の上側表面は、半環状部分102の内側表面にしっかり係合する。屈曲アーム114がヨーク92の前側端部94に対して約90°に位置付けられるように、クリップ82が取り付けられたとき、クリップ82をヨーク92から取り外すことができる。この実施形態では、取外しが生じ得る2つの位置があり、それらの位置の両方が、マスクの通常の使用中に生じないように選択され、そうでなければ、クリップ82はヨーク92から不用意に外れる場合がある。図10fおよび10gは、ヨーク92に対して異なる回転方向にあるクリップ82を示す。
【0052】
図9bおよび10bに見られるように、係止クリップは、また、保持フランジ118の軸線の周りで円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯122を有する。歯122は、スプリングタブ106上で歯108に係合するように、構成され配置される。スプリングタブ106が下側の歯108まで押し下げられると、係止クリップ82は、ヨーク92に対して所望の位置まで回転することができる。次に、歯108が(歯のピッチ内の)所望の位置で歯122に係合し、ヨーク92に対して係止クリップ82を回転係止するように、スプリングタブ106を解放することができる。一実施形態によれば、予め定められたトルクが係止クリップ82に適用されたとき、歯122が自動的に歯108およびスプリングタブ106を下向きにして、トルクが除去され歯108が歯122に再係合するまで係止クリップ82が回転できるように、歯108および122を構成することができる。したがって、歯108と歯122の係合の位置に応じて、係止クリップ82を、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でヨーク92に対して回転調節することができる。利用可能な回転調節の角度は、歯108および122の数および位置を変更することによって、必要に応じて変更することができる。調節角度範囲は、顔面上で求められる相対的なクッション位置を反映する。上述したような歯付きのシステムを用いた回転調節により、患者による容易な調節が可能になり、患者の顔面の広範囲に適応する広い範囲の位置が可能になる。例えば、患者は、ヨーク92に対して同じ角度を有するように、両方の係止クリップ82を調節してもよい。あるいは、患者は、係止クリップ82がヨーク92に対して異なるそれぞれの角度を有するように、係止クリップ82を調節してもよい。歯付きのシステムにより、患者が、各係止クリップ82の所望の角度を容易に設定し再現することが可能になる。例えば、歯付きのシステムは、例えば、ほとんどの顔面に適応するであろう5つの位置で、各係止クリップとその各ヨークとの相対的な移動を可能にしてもよい。当然ながら、用途に応じて、5つよりも多いまたは少ない位置を代わりに使用することができる。さらに、ヨーク92に対する各係止クリップ82の特定の角度が望ましいと判断されると、マスクシステムは、ヨーク92に対する係止クリップ82の回転位置を固定する、調節不能なクリップの配置を含んでもよい。歯は、患者が容易にヨークに対する係止クリップの相対的位置を決定できるように十分に大きい。
【0053】
さらに、スプリングタブ106は、患者が、例えば睡眠中に係止クリップ/ヨークの上に寝返りを打つことによって、不用意にスプリングタブ106を押し下げて、係止クリップ82をヨーク92に対して動かすことがないように構成され位置付けられる。例えば、図10e〜10gおよび図36(別の実施形態)に示されるように、係止クリップ82は、スプリングタブ106よりも、ヨーク92からさらに外向きに延びる。換言すれば、スプリングタブ106は、係止クリップ82の外側縁部よりも下に位置付けられる。したがって、スプリングタブ106に対する係止クリップ82の位置により、スプリングタブ106の不容易な動きが防止される。さらに、スプリングタブ106の歯108が係止クリップ82の歯122から係脱することなく、ヨーク92がスプリングタブ106に向かって、かつそれから離れる方向に屈曲することができるようにして、スプリングタブ106はヨーク92に接続される。
【0054】
代替的な調節アセンブリは、サブアセンブリのいくつかまたはすべてを単に反転させることによって達成されてもよい。例えば、中央ハブ119はヨーク92上に配置されてもよく、その逆のヨークの中央ボア103は係止クリップ82上に配置されてもよい。同様の方法で、各サブアセンブリおよびその逆のものは、それぞれ反転されてもよい。あるいは、ヨーク92および係止クリップ82は、例えば一部がヨークおよびクリップから分離していてもよい、ねじまたは締付け機構を用いて調節可能に接続されてもよく、それを使用して、複数の所望の位置でヨーク92およびクリップ82を選択的に接続することができる。それに加えて、中央ボア103は、ヨークとクリップとの間の取外しおよび取付けを可能にする任意の方法で形作ることができる。また、係止クリップに対して固定の角度を可能にする、差替えヨークのシステムが使用されてもよい。
【0055】
係止クリップ82はまた、スプリングアーム114の間に、かつそれらにほぼ平行に、主要本体112から外向きに延びる中央支持タブ124を含む。中央支持タブ124は、中央支持スロット36との締りばめを有するように構成されるので、中央支持タブ124が中央支持スロット36に挿入されると、係止クリップ82と係止クリップ受け具アセンブリ34との間で、回転、揺動、または横方向の移動はほとんど許容されない。中央支持タブ124は、フレーム内への整列を支援するため、アーム114よりも長い。係止クリップ82はまた、係止クリップ82の追加の支持を提供するため、係止クリップ82が係止クリップ受け具アセンブリ34に挿入されたとき、係合面35(図5c)に係合する係合面125を有する。留めフック116および/または中央支持タブ124は、スロット36、38に入るのを容易にするため、先細状の幅および/または厚さを有してもよい。また、留めフック116および/または中央支持タブ124は、スロット36、38に入るのを容易にするため、丸くされた、または輪郭が付けられた縁部を有してもよい。さらに、中央支持タブ124は、中央支持タブ124が中央支持スロット36に入るのを容易にするため、中央支持スロット36内に提供された突出部に係合する溝を有してもよい。あるいは、中央支持タブ124は、中央支持スロット36内に提供された溝に係合する突出部を有してもよい。
【0056】
係止クリップ82が係止クリップ受け具アセンブリ34に挿入されると、留めフック116が凹部71(図4)に挿入されるか、または係止フランジ39(図7)に乗ってそれを越えるにしたがって、スプリングアーム114が互いに向かって押される。留めフック116が係止フランジ39または凹部71を越えると、スプリングアーム114は外向きに跳ね返って、留めフック116と係止フランジ39および/または凹部71との係止係合を提供する。留めフック116が係止フランジ39を越えるのに必要な移動が可能になるように、係止スロット38内に十分な遊びが提供される。
【0057】
このようにして、前側ストラップ84、ヨーク92、および係止クリップ82を含む、左および右の前側ストラップアセンブリはそれぞれ、フレーム20に取り付けられることができ、ヨーク92および前側ストラップ84は、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でフレーム20に対して回転調節される。
【0058】
好ましい一実施形態では、係止クリップ82は、射出成形によって形成された単一のプラスチック片である。プラスチックの例としては、ナイロン、アセタール、ポリカーボネート、およびポリプロピレンが挙げられる。一実施形態では、保持タブ120は、ボア126が係止クリップ82の主要本体112を通って延びるままにする、モールド突起による成型プロセスの間に形成され、それにより、保持タブ120の下側表面が主要本体112から分離される。
【0059】
[磁気相互接続の実施形態A]
図33〜37は、フレーム420およびヘッドギアアセンブリ480を取外し可能に結合するための代替実施形態を示す。具体的には、フレーム420およびヨーク492は、ヨーク492がフレーム420に磁気的に結合されてもよいように構成される。
【0060】
図33に示されるように、フレームは、主要本体420aと、一対のサイドフレーム部材420bとを含む。フレーム20の実施形態と同様に、主要本体420aはクッション40と取外し可能に結合されるように構成される。各サイドフレーム部材420bは、ヘッドギアアセンブリ480のヨーク492によって提供される第2のコネクタ部分435に接続する、第1のコネクタ部分434を含む。図示される実施形態では、第1のコネクタ部分434は、サイドフレーム部材420bから外向きに延びる保持構造418を含む。保持構造418は、磁石419を保持するように構成される。一実施形態では、磁石419はネオジムで作成され、直径6.35mmおよび厚さ6.35mmの円筒形状を有する。ただし、保持構造418は、任意の適切なサイズおよび形状の磁石を保持するように構成されてもよい。さらに、サイドフレーム部材420bの外側縁部はそれぞれ、円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯422を含む。
【0061】
図34および35に示されるように、ヘッドギアアセンブリ480のヨーク492はそれぞれ、ヘッドギアアセンブリ80のヨーク92に類似した構造を含む。具体的には、ヨーク492はそれぞれ、その前側端部494上に位置付けられた取付けフランジ400を有する第2のコネクタ部分435を含む。取付けフランジ400は、ボア403につながるアパーチャまたは鍵穴401を有する。2つの半環状フランジ402は、スロット404によって互いから分離される。半環状フランジ402の半径方向内側表面は中央ボア403を形成する。ヨーク492はまた、取付けフランジ400の後方に位置付けられたスプリングタブ406を有し、スプリングタブ406の前側部分はヨーク492に接続され、空間407によってヨーク492から分離された後側部分は、圧力がスプリングタブ406に加えられると、ヨーク492に対して屈曲することができる。スプリングタブ406は、好ましくは、取付けフランジ400の軸線の周りで円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯408を有する。スプリングタブ406はまた、ユーザがスプリングタブ406を配置し、係合し、操作するのを支援するため、その自由端に隆起した位置決め部材410を有する。
【0062】
ヨーク92とは対照的に、ヨーク492は、ボア403内に固定される鉄金属ディスク412を含む。一実施形態では、金属ディスク412は、直径14mmおよび厚さ1mmの鋼ワッシャーである。ただし、金属ディスク412は、ヨーク492のボア403内に取り付けることができる任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。さらに、適切なサイズおよび形状の磁石が金属ディスク412の代わりに使用されてもよい。
【0063】
図36および37に示されるように、フレーム420の第1のコネクタ部分434は、磁石419が金属ディスク412と磁気的に結合されるように、ヨーク492の第2のコネクタ部分435に係合される。具体的には、磁石419が金属ディスク412に隣接して位置付けられるか、またはそれに係合され、よって、磁石419と金属ディスク412の間の磁気吸引が可能になって、ヨーク492をフレーム420に対して軸方向に保持するように、磁石419はボア403に軸方向に挿入される。上述したように、ヨーク492とフレーム420との間の磁気吸引の強さは、金属ディスク412を磁石と置き替えることによって増加することができる。保持構造418は、フレーム420およびヨーク492が互いに回転支持されるように、ボア403と近い公差を有するようにサイズ決めされる。
【0064】
さらに、フレーム420上の歯422は、フレーム420がヨーク492と磁気的に結合されたとき、スプリングタブ406上の歯408に係合するように構成され配置される。スプリングタブ406が下側の歯408まで押し下げられると、ヨーク492は、フレーム420に対して所望の位置まで回転することができる。次に、歯408が(歯のピッチ内の)所望の位置で歯422に係合し、ヨーク492に対してフレーム420を回転係止するように、スプリングタブ406を解放することができる。一実施形態によれば、予め定められたトルクがヨーク492に適用されたとき、歯422が自動的に歯408およびスプリングタブ406を下向きにして、トルクが除去され歯408が歯422に再係合するまでヨーク492が回転できるように、歯408および422を構成することができる。したがって、歯408と歯422の係合の位置に応じて、ヨーク492を、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でフレーム420に対して回転調節することができる。
【0065】
各サイドフレーム部材420b内の磁石419は、不正確な取付け(例えば、左側ヨーク492が右側フレーム部材420bに)が磁気反発によって認識されるように配向されてもよい。具体的には、1つのサイドフレーム部材420b上の磁石419は、それがヨーク492の1つとだけ磁気的に結合するように配向され、他方のサイドフレーム部材420b上の磁石419は、それがヨーク492の他方とだけ磁気的に結合するように配向される。したがって、フレーム420のヘッドギアアセンブリ480に対する正確な取付けの感覚的認識は、正確に対にされたヨーク492およびサイドフレーム部材420bの磁気吸引によって達成される。この構成により、ヘッドギアアセンブリ480およびフレーム420が正確に組み立てられることが確保される。さらに、磁石419が、金属ディスク412に対して正確な位置に自動的に位置するので、この構成により、フレーム420を、暗所においてもヘッドギアアセンブリ480と容易に結合することが可能になる。ヘッドギアアセンブリ480は、磁石419と金属ディスク412との間の吸引磁力よりも大きな適切な係脱力を加えることにより、フレーム420から容易に外されてもよい。
【0066】
あるいは、フレーム420上の第1のコネクタ部分434は鉄系金属部材を提供してもよく、ヨーク492上の第2のコネクタ部分435は磁石を提供してもよい。
【0067】
[ストラップ]
各前側ストラップ84は、上側ストラップ88を交差ストラップ138の上側ストラップ140と接続するため、上側ストラップ88に取り付けられたはしご型のバックル128を含む。図1〜3および11を参照のこと。バックル128は、接着剤、縫合、および/またはストラップと一体に製造されるなどの他の既知の方法で、上側ストラップ88に取り付けることができる。図11に示される実施形態では、バックル128は、バックルを上側ストラップ88に縫合できるように、正方形の形態の取付けタブ132の周りで均等に離間された複数のボア130を含む。バックルは上側ストラップ140がクロスバー136に巻き付き、上側ストラップ140の自由端がクロスバー134と上側ストラップ140の残りとの間に位置付けられるようにして、既知の方法で上側ストラップ140をその周りに通すことができる、クロスバー134およびクロスバー136をさらに含む。したがって、バックル128と上側ストラップ140との間に張力が加えられると、バックル128と上側ストラップ140との間の接続が張力を受けて自己保持するように、上側ストラップの自由端は、クロスバー134と上側ストラップ140の残りとの間で摩擦によって保持される。ストラップループと組み合わせて使用されれば、単一クロスバーのバックルを使用してストラップを適所に保持することもできる。当然ながら、当該分野で知られているように、バックルの代わりに他のコネクタ部材を使用することができる。
【0068】
図12に示されるように、交差ストラップ138は、弛緩状態において、2つの上側ストラップ140が端部144を有するクロスストラップ142から上向きに延び、全体に細長い形状を有する。交差ストラップ138を着用のための構成で配置するため、2つの上側ストラップ140は、交差位置で保持されるように、交差バックル146に通される。図13および14を参照のこと。このようにして、交差ストラップ138の左上側ストラップ140は右上側ストラップ88のバックル128と接続するように交差し、交差ストラップ138の右上側ストラップ140は左上側ストラップ88のバックル128と接続するように交差する。各ストラップのこの交差は、ヘッドギアアセンブリ80および鼻マスクアセンブリ10をユーザ上の所望の調節位置に維持する助けとなる。ストラップループ148は、各ストラップの自由端を押さえるために使用することができる。図15を参照のこと。本発明の1つの形態では、ストラップは大きめのサイズで供給され、次に人に合う長さに切断される。
【0069】
バックル128および上側ストラップ88と同様に、交差ストラップ端部144を前側ストラップ84の各後側ストラップ端部90に接続できるように、バックル150(図1)をクロスストラップ端部144に取り付けることができる。
【0070】
[自在エルボアセンブリ]
図6aの自在エルボアセンブリ60は、上述したように内部Cクリップ部材を使用する、ResMed LimitedのULTRA MIRAGE(登録商標)マスクに現在使用されているものと同じであってもよい。図6aのエルボアセンブリ60は、コネクタチューブ300(図23)とともに使用されるように意図される。コネクタチューブ300は、エルボアセンブリ60とガス供給チューブ310(図26)との間に提供される。
【0071】
あるいは、自在エルボアセンブリは、図1〜4および16−22にしたがって構成されてもよい。そのような自在エルボアセンブリ60は、自在エルボ160および通気孔カバー180を含んでもよい。自在エルボ160はフレーム20に回転接続される。
【0072】
本発明の別の代替形態では、図6bに示されるように、さらなるスイベルがチューブ310の端部に接続される。
【0073】
図16a−1〜19c−2に示されるように、自在エルボ160は、吸気口162および排気口164を含む。空気チューブ310(図26)は、好ましくは、(接続チューブ300なしで)自在エルボ160のステム166に直接接続されて、加圧された呼吸に適した空気またはガスを、患者による呼吸のため、加圧供給源から空気チューブ310、吸気口162を介して、クッション40内に供給する。
【0074】
排気口164は、例えば、エルボ160の内部の中に提供されたバッフル161を使用して、吸気口162から分離される。図18および19a−1を参照のこと。図示される実施形態では、バッフル161はほぼ平坦な構成を有する。ただし、バッフル161は、排気口164を吸気口162から分離するための、湾曲した構成または任意の他の適切な構成を有してもよい。吸気口162および排気口164の配向は、吸気口162内の方向を示す矢印によって示される、流入ガスの排気口164に沿ったガス排出のフローに対する直接的な影響がより少なくなるように選択された。さらに、バッフル161によって、流入空気が曲がりくねった経路をとり、例えば、約180°回転してから排気口164から出ることができるようにされているので、エルボ160に入るガスは、排気口164に直接流入する傾向がより少ない。
【0075】
エルボ160は、フレーム20およびクッション40によって形成された鼻腔内にガスを提供するため、フレーム20内に提供されたアパーチャ24に係合するように適合された端部169を含む。バッフル161は、エルボの端部169の直ぐ内側で終端する。柔軟な迅速解放機構は、カラー173およびエプロン170を含む。カラー173は、図16bに見られるようなほぼT字形状の部材を含み、それがエルボ160の端部169を取り囲む。好ましくは、組み立ててフレーム20にするときの整列を改善するため、エルボ160の端部169はカラー173を越えて延びる。図18に示されるように、カラー173と端部169の間に受入れ空間183を形成するように、カラー173は、同心の関係で端部169から離れて間隔を置かれる。エプロン170は、好ましくはエルボ160の一体部分として形成され、T字形のカラー173の下側脚部に接続される。2つの溝167が、カラー173とエプロン170の間に提供される。溝167の部分167aにより、T字形のカラー173の下側脚部がエプロン170に対して屈曲することが可能になる。溝の部分167bにより、T字形のカラー173の横部分が、エルボ160の端部169に対して外向きおよび内向きに屈曲することが可能になる。
【0076】
図19a−1〜19c−2は、エルボ160とフレーム20の間の接続を示す連続図を示す。図19a−1〜19a−2は、マスクフレーム20と接続する直前のエルボ160の断面を示す。図19b−1〜19b−2は、ほぼ接続された状態のエルボ160およびフレーム20を示し、図19c−1〜19c−2は、完全に接続された状態のエルボおよびフレームを示す。
【0077】
フレーム20は、アパーチャ24を形成する壁25の遠位端に提供されるフランジ21を含む。図5および5aはフランジ21を示すが、図6aの実施形態は、異なるエルボアセンブリ160が使用されているので、そのようなフランジを示さず、または含まない。フランジ21は、空間183内に挿入されると、カラー173の内側表面の中に形成された突出部181に係合する。この実施形態では、2つの突出部181のみが提供される。フランジ21が溝部分167b(図19c−1〜19c−2)と整列し、その中に受け入れられるまで、フランジ21との係合によって、T字形のカラー173の横部分の各端部における外向きの屈曲(図19b−1〜19b−2)が生じるように、突出部181は、傾斜されるか勾配が付けられる。この状態で、エルボ160がフレーム20に固定されたまま、カラー173はその屈曲されていない状態に戻る。フランジ21の部分は、空間183内に提供された突起165に支えられる。
【0078】
エルボ160とフレーム20とのスナップ動作による接続の間に、カラー173とフランジ21が係合することによって、聞き取れるクリック音または音による指示が得られる。この音による指示は、エルボ160がフレーム20にしっかり取り付けられたことを使用者に知らせるのに有利である。
【0079】
エルボ160をフレーム20から解放するため、カラー173の各側面上の部分185は、突出部181を半径方向外向きに隆起させてフランジ21の通過を可能にするために、互いに向かって屈曲される。このようにして、エルボがCクリップ(図6b)を使用して接続される場合のように、鼻腔の内部にアクセスすることなく、エルボ160を迅速かつ容易にフレーム20から除去することができる。図16bに示されるように、エルボ160の好ましい形態は、ユーザが解放点を見つけるのを支援するため、模様付きの突出部185を含む。向かい合った模様付き部分185の間の距離、すなわちカラー173の直径は、約35〜45mm、好ましくは40mmである。
【0080】
また、エルボ160は、図23に示されるコネクタ300なしで、ガス供給チューブ310(図26)に直接接続するように適合される(図1を参照)。図6bは、エルボとガス供給チューブ310との間のコネクタ300を示す。組み合わされたエルボおよびコネクタ300(図6b)の有効なレバーアームの長さが、患者の頭部/顔面と比べて、フレーム20またはマスクアセンブリ10に望ましくないレベルのトルクが適用される可能性を増加させることがあるので、コネクタ300を除去することが有利である。コネクタ300を使用する必要性がなくなることにより、レバーアームの有効な長さを低減することができ、それにより、マスクアセンブリに適用されるトルクがより少なくなり、その結果安定性が増加する。安定性が増加することで、患者の快適さが増加し、コンプライアンスが増加する。
【0081】
接続状態では、図19a−1〜19c−2に示されるように、フレーム20の壁25の内側表面は導管の端部169の外側表面にシール係合する。これらの表面は、約1〜10mm、好ましくは6mmの距離を互いに係合し、それが、エルボ160とフレーム20の間をシールするとともに、それらの接続に安定性を提供する助けとなる。図19c−1〜19c−2に見られるように、壁25の部分はマスク20の内部に延びて、エルボ160とフレーム20との間の接触面をさらに増加させる。接続状態では、図19c−1〜19c−2に示されるように、カラー173の端部173aは、フレーム20の外側表面20cと同じ高さにある。壁25は、端部169の挿入に対する停止部を形成し、エルボ160とフレーム20との間の漏れを制御できるようにするため、フランジ25a(図19c−2)を含む。一実施形態では、エルボ160とフレーム20との間の漏れは最小限である。別の実施形態では、漏れを防ぐため、エルボ160とフレーム20との間にシール部が提供される。
【0082】
このシステムにより、エルボ160とフレーム20との迅速かつ正確な接続が可能になる。また、単純な分解も可能になる。さらに、エルボ160は、患者が片手でエルボ160を取り付け、またフレーム20から外すことを可能にするように構成される。これは、マスクの洗浄の際、または、患者が、少し後に治療を再開することを意図しながら、セッション中に治療を中断することを選択するべき場合に有利である。エルボアセンブリ60およびフレーム20の接続により、患者が、一時的な治療の中断の間、マスクフレーム、クッション、およびヘッドギアを適所に維持したまま、エルボ160をブロワーのガス供給チューブから迅速に分離できるようになる。アパーチャ24はインピーダンスを低下させ、よって、患者が快適に呼吸できるようにするのに十分に大きいが、それは、十分な量のガスをアパーチャ24に収容できるためである。具体的には、アパーチャ24は、少なくとも180mm2の面積を有する。一実施形態では、アパーチャ24は、20〜30mm、好ましくは27mmの直径と、200〜600mm2の範囲、好ましくは500〜600mm2の範囲の面積とを有する。図示されるように、アパーチャはほぼ円形の形状を有する。ただし、アパーチャは円形以外の形状を有してもよい。さらに、フレームは、それを通る複数のアパーチャを有し、エルボが複数のアパーチャを取り囲むようにしてフレームに結合されてもよい。この点で、本発明の一実施形態によるマスクは、より狭いアパーチャを有する迅速解放機構を含んでいた従来技術のマスク装置と異なる。そのようなより狭いアパーチャを有する迅速解放機構は、患者の不快感、例えば不安、閉所恐怖症につながる場合がある。不快感は、CO2の再呼吸が増加することによって、またはフローインピーダンスが増加することによって悪化する。
【0083】
[通気孔カバー]
通気孔カバー180は、下側ボア184、曲線部分186、および頂部188を有する主要本体182を含む。図20〜22を参照のこと。主要本体182はまた、少なくとも1つの通気孔190を、また好ましい一実施形態では、通気孔カバーの内部から通気孔カバーの外部まで延びる複数の通気孔190を含む。通気孔カバー180の頂部188は、自在継手160のラッチ168に係合するためのフランジまたはアパーチャ192を含む。図示される実施形態では、通気孔カバー180はアパーチャ192を含む。通気孔カバー180は、自在継手160のステム166を通気孔カバー180の下側ボア184を介して配置することにより、自在継手160に接続される。通気孔カバー180は、次に、図1に示されるようにラッチ168がアパーチャ192を通って延びるまで、自在継手160に向かって移動される。この構成により、通気孔カバー180は、エルボ160またはガス供給導管によって捕捉されるので、エルボアセンブリ160および/またはマスクアセンブリ10の近傍に残ることが可能になる。このことは、通気孔カバー180が清掃の間または不注意によって移動させられた場合に、マスクアセンブリによって保持されるため、落下して紛失することがないので便利である。
【0084】
通気孔カバーの曲線部分186は、自在継手160の隣接したエプロン170に適合して、通気孔カバー180の内部と自在継手160との間にほぼ気密のシールを提供する。このようにして、マスクの内部からの呼気ガスは、自在継手160の排気口164を通り、通気孔カバー180の内部を通り、そして通気孔190を通って大気まで流れることができる。図19c−1は、通気孔カバーが適所にあるとき排気ガスがたどる経路に近似する矢印Bを含む。この配置は、通気の方向によって、マスクからのガスフローによる患者の同室者の苛立ちが低減または防止されるという追加の利点を有する。図1〜4は、接続された位置にあるエルボ160および通気孔カバー180を示す。通気孔カバー180が、確実にエルボ160の外部表面から十分に離間するようにスペーサ163が提供され、これは特にエアギャップがつぶれるのを防ぐ助けとなるが、それは、通気孔カバーが好ましくは弾性を有する可撓性材料で作成されているためである。当然ながら、所望であれば、通気孔カバーは、Ultra Mirage(商標)に使用されるカバーにある程度類似したプラスチック部材で作成することができる。それに加えて、この通気孔装置は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/021541号に開示されている、ResMedの通気孔アセンブリを使用して交換するか補足することができる。
【0085】
図18b〜18eは、符号360として示される、図22b〜22eに示される通気孔カバー380に接続されるように適合された自在エルボの別の実施形態を示す。図18b、18c、および18eに示されるように、自在エルボ360は、排気口364の出口を取り囲む壁362の遠位端に提供されるフランジ361を含む。図18dおよび18eは、吸気口365、排気口364、および吸気口365と出口364を分離するバッフル369を示す。図18eに示されるように、バッフル369は湾曲した構成を有する。具体的には、バッフル369は、排気口364の入口から排気口369の出口まで延びるにしたがってほぼ下向きに湾曲する。ただし、バッフル369は、図19a−1に示されるバッフル161に類似したほぼ平面の構成を有してもよい。あるいは、バッフルは、吸気口365と出口364を分離する他の任意の適切な構成を有してもよい。図22b〜22eに示されるように、通気孔カバー380は、下側ボア384、中間部分386、および頂部388を有する主要本体382を含む。主要本体382はまた、通気孔カバーの内部から通気孔カバーの外部まで延びる複数の通気孔390を含む。通気孔カバー380の頂部388は、自在エルボ360のフランジ361に係合するためのカラー392を含む。通気孔カバー380は、自在エルボ360のステム366を通気孔カバー380の下側ボア384を介して配置することにより、自在エルボ360に接続される。通気孔カバー380は、次に、カラー392が自在エルボ360のフランジ361に留められるまで、自在エルボ360に向かって移動される。カラー392は、フランジ361を越えるように伸長され、その弾力性および弾性によってフランジ361をしっかり把持する。図示される実施形態では、フランジ361および壁362に適用される応力(「周応力」)が均等に分布するように、カラー392はほぼ円形の形状を有する。通気孔カバー180の実施形態と同様に、この構成により、通気孔カバー380は、エルボ360またはガス供給導管によって捕捉されるので、自在エルボ360および/またはマスクアセンブリの近傍で接続されたままにすることが可能になる。通気孔カバーは、追加の固定機構なしに、排気通路を覆うようにエルボ上の適所に保持することができる点で、「自己保持性を有する」と考えることができる。それに加えて、患者がカラー392をフランジ361の上に伸長させると、通気孔カバーはリング形状の下側ボア184を介してエルボ上に保持され、それにより、最初に組み立てようとして失敗した場合に、通気孔カバーが紛失する可能性が最小限に抑えられる。
【0086】
図22fは、接続された位置にある自在エルボ360および通気孔カバー380を示す。図18cおよび18eに示されるように、自在エルボ360は、通気孔カバー380が確実に自在エルボ360の外部表面から十分に離間するようにする壁363を含み、これは特にエアギャップがつぶれるのを防ぐ助けとなるが、それは、通気孔カバー380が好ましくは弾性を有する可撓性材料で作成されているためである。通気孔カバー380は、壁363に係合する頂部388の内側表面上に凹部389(図22c)を含む。
【0087】
[マスククッション]
クッションは、顔面上にあり、その周囲の周りに圧力を加えるとともに、顔面上の圧力に敏感な領域との接触を最小限に抑えるかつ/または回避するように設計される。顔面のいくつかの部分は、圧力とシールとの平衡を達成するように特に注意を払うことを必要とする。また、安定性を改善することによって患者の快適さのレベルを改善し、患者の顔面に対してマスクを旋回させる傾向がある場合がある力を低減するため、高さの低いマスクを提供することが望ましい。特性は、成功した設計を行うために取られた方策とともに以下に列挙される。
【0088】
クッションは、顔面に接触する面および顔面に接触しない面を、その間の壁とともに有する。クッションの顔面に接触しない面は、マスクフレームと係合する。本発明の1つの形態では、顔面に接触する面におけるクッションの形状は、図24cに示される図のようにほぼ台形である。この態様では、顔面上のクッションの形状は、ほぼ三角形の形状を有する従来技術のクッションとは異なる。この台形形状の利点は、患者またはユーザの鼻孔を通るフローを妨げることなく、鼻の下方の地点におけるシールを(すなわち、横方向の鼻軟骨の、かつ鼻のどちらかの側の鼻骨の直ぐ下の領域において)支援することである。したがって、クッションは、患者の鼻梁領域の下側部分に位置付けられる。さらに、クッションは、鼻孔上のクッションの接触圧力が最小限に抑えられるか除去されるように構成され位置付けられる。クッションの形状は変更されてもよく、例えば、下側鼻梁領域の局所的な圧力点および鼻孔の閉塞が回避されるべきであるという点を念頭において、三角形または他の台形以外の形状を使用することができる。いくつかの従来技術のマスククッションは鼻孔を押し、それが、気流に対する鼻孔のインピーダンスを増加させる恐れがある。クッションの好ましい1つの形態では、クッションの顔面に接触する面および顔面に接触しない面の両方が、同一のほぼ台形の形状を有する。
【0089】
本発明の1つの形態では、支持構造とシール構造との組合せが、クッションの顔面に接触する面の領域内に提供される。支持およびシール構造は、クッションの一部として提供されてもよく、またはその代わりに別個の構成要素を使用してもよい。支持およびシール構造がクッションの一部として提供される場合、クッションは、単一壁、二重壁、三重壁またはそれ以上の壁構造を有してもよい。クッションの好ましい1つの形態では、シール構造は薄い膜によって提供されるが、支持構造はより厚いフレームによって提供される。
【0090】
鼻梁の中央および側部は、接触圧力に特に敏感である。したがって、クッションがこの範囲内で出来るだけ軽くシールすることが重要である。クッションの不安定性により、鼻梁領域の圧力の上昇が引き起こされ、その結果、この範囲において余計な課題が提示されることがある。支持要素(例えば、図24aに示されるフレーム200)は、上に重なる顔面に接触する要素(例えば、図24aに示される膜205)の隣接した部分との接触を完全に回避するように設計することができ、それによって、膜205のみでシールすることが可能になる。局所的な接触圧力点は、鼻梁領域において、特に、下側鼻梁領域と接触するその敏感な頂点において回避されるべきであるが、シールは維持されなければならない。下側鼻梁領域は、一般に、鼻梁の骨領域が軟骨をより多く含む鼻の部分に遷移するところに位置する。それに加えて、顔面に加えられる力は、クッション40の周囲全体の周りでほぼ均等に分布されるべきである。本発明の1つの態様は、顔面接触圧力が顔面の周りで制御可能に分布されることである。当然ながら、下側鼻梁領域に加えられた力は、局所的な力を回避するため膜205の比較的広いセクションに沿って拡散させることができる一方、唇領域および特に頬領域において力はより快適に適応させることができるので、唇および頬領域の力は、さらに少し局所化し、例えば、幅方向のより短い距離全体にわたって拡散させることができる。さらに、快適さを改善する、患者の顔面周辺の比較的一定の全体的な力分布を維持したまま、膜と下側鼻梁領域における顔面との間の接触範囲または幅は、膜と唇および頬領域との間の接触範囲または幅よりも大きくてもよい。この配置を使用して、患者は、接触領域全体にわたる実際の力が均等に分布されていないとしても、接触領域全体にわたって圧力が均等に分布されていると知覚する。
【0091】
別の利点は、患者に対するクッションの角度を、シール効率に悪影響を及ぼさずに変えることができることである。例えば、クッションは、患者の顔面の形状に基づいて、異なる患者と異なる角度で接触してもよく、患者が寝ているときの移動の間、クッションの角度は顔面に対して動くことができる。
【0092】
シール要素(例えば、膜205)は、大きな有効な折り返されたセクション(大きな半径)を組み込んで、患者の顔面に対するマスクのある程度の動きまたは回転を可能にするとともに、膜の遠位側縁部が患者の顔面および/または鼻を刺激するのを防ぐ。シール要素(例えば、膜)は、鼻の側面において鼻梁の下側部分の周りに一致することにより、鼻に対してしっかりシールする。確実なシールと鼻全体にわたる膜の圧迫/伸長との間で、妥協点に達しなければならない。膜に切欠きを付けて、縁部の圧迫なしに最大伸長幅を可能にすることができる。伸長はまた、より柔軟な材料および/またはより薄い材料などの材料、例えば、エラストマー、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、発泡エラストマー、および/または複合材料によって達成することができる。
【0093】
シール要素(例えば、膜)は、鼻梁の下側部分全体にわたって膜が容易に伸長できるようにするため、好ましくは、0.1〜2.0mm、好ましくは0.35mmの厚さを有するエラストマー性のものである。膜の伸長は、その厚さを変えること、リブなどの剛化構造を付加すること、または複合材料を使用することによって、異なる領域で変えられてもよい。
【0094】
顔面のしわは、鼻の側面の間における顔面または鼻のクリーズ(鼻唇溝としても知られる)および頬において最も顕著であり、有効なシールに対する課題を提示する。下にあるクッション(例えば、図24aに示されるフレーム200)は、鼻の側面に出来るだけ近接して位置する。このようにして、可能な最も平坦な範囲をシールする。顔のクリーズに位置するように設計された湾曲した範囲は、実用的な限り小さな半径を有するべきである。膜205は、クッションの縁部(例えば、リム225)よりもさらに内向きおよび/または外向きに延びて、鼻の側面において外側縁部の周りに巻き付くことが可能になる。これは、粗い縁部によって発生する刺激の可能性を減少させ、内側クッションリム225が患者の顔面および/または鼻に対する刺激源となることを防ぐ。
【0095】
上唇全体にわたる余計な圧力は、クッションの設計と、マスクが自重を受けて垂直方向に回転することとの両方によって、または、例えばチューブ材料の引きずりもしくはマスクに取り付けられた構成要素の重量による、マスクに加えられる望ましくない力によって引き起こされる可能性がある。ヘッドギアの設計は、上述したように、マスクがその自重を受けて垂直方向に回転することによって、望ましくない圧力が唇領域に加えられる可能性を低減する助けとなり得る。唇領域42は、図24gに示すように、シールおよび快適さを強化するため、患者の隔壁の下部を受け入れるように切欠きを含んでもよい。図24cに示されるように、隔壁用切欠き264は領域265に提供される。図24aおよび24bは、クッション40の正面図および背面図を示す。代替実施形態では、隔壁用切欠きはまた、下にあるフレーム上に提供されてもよい。
【0096】
クッション40は、この実施形態では、好ましくはほぼ台形の形状を有する。ただし、クッション40は、三角形状などの台形以外の形状を有してもよい。クッション40は、頬と鼻の側面との間のクリーズにシールを提供する一対の頬領域41と、患者の鼻の下および上唇の上にシールを提供する唇領域42と、鼻梁領域43とを含む。鼻梁領域43は、鼻梁の下側部分と、頬と鼻の側面との間に形成される鼻のクリーズと交差する鼻梁の傾斜した側面との全体に及ぶ。唇領域42と各頬領域41との間の遷移は、クッション40が鼻の側面に向かって鼻の下部を回って方向転換し始めるところである。鼻梁領域43と各頬領域41との間の遷移は、頬領域41がそれぞれ鼻梁に向かって上向きに逸れるところである。換言すれば、鼻梁領域43は、頬領域が上向きに曲がり始めるところである。図24dを参照のこと。
【0097】
鼻梁領域43は、例えば、鼻梁の下側部分が接触するように選択されていることが分かる図1に示されるように、患者の鼻に接触するように設計される。図1は、フレームから離間されたクッション40を示すことに留意されたい。しかし、組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Cの図は、さらに後述される、2つのモデルの鼻(AおよびB)に取り付けられた鼻マスクアセンブリを示す。より具体的には、鼻は、鼻梁の上部における比較的骨質のセクションと、鼻の先端における柔軟な軟骨とを含む。これらの領域を示す図面を参照することにより本明細書に組み込まれる非特許文献1を参照されたい。患者に対する快適さを増加させるため、鼻の骨領域に沿った局所的な圧力点を回避することが望ましい。反対に、マスクが鼻の軟骨部分のみと接触することを回避するのが望ましいが、これは、その柔軟性が、使用中のクッションの過剰な望ましくない動きを可能にすることがあり、患者の鼻腔を閉塞することがあり、また安定した適合を提供しないことがあるためである。それに加えて、鼻の先端上における位置付けは、患者の顔面におけるマスクアセンブリの重心間の距離を増加させることがあり、それは望ましくない結果である。
【0098】
したがって、クッションと鼻梁との間の係合をシールする最適な領域は、最上部の骨領域と鼻の下側軟骨領域との間のどこかである。最適には、接触の領域は骨の上の軟骨の直ぐ上方である。一般に、クッションは、鼻の中心に沿って骨の上に位置することができるが、鼻の側面の軟骨範囲を回避する必要がある。鼻の長さおよび他の適切な寸法は、鼻の基部および遷移から測定することができ、または、人体解剖学に関する統計資料から得ることができる。考慮される一般的な寸法のサンプルは、図30および31に見られるものの一以上を含む。しかし、個々の患者それぞれの顔面の輪郭が異なるため、クッションは、すべての場合において、下側鼻梁領域(一般に、鼻梁の骨領域がより多くの軟骨を含む鼻の部分に遷移するところに位置する)において患者に接触しなくてもよい。
【0099】
クッション40は、一以上のサイズ、好ましくは1〜3個のサイズで、患者母集団のほとんど(例えば、患者母集団の80%)に適応するように設計される。鼻の基部と鼻梁の頂部との間の距離は、鼻の基部と骨/軟骨間の遷移との間の距離よりも長い。クッション40は、鼻の全長に適応する必要はないので、コンパクトおよび/または軽量にすることができる。これにより、設計者は自由に、クッション40の他の範囲を最適化し、または改善するとともに、マスクを着用している間の患者の視界を増大させる。適応できる母集団の割合を最大限にするため、最適なマスク設計に対して特定の顔面寸法が特定されている。一実施形態では、一連の色分けされたクッションが使用される。クッションは、例えばタイプまたはサイズ別に色分けされてもよい。
【0100】
図24a〜gは、クッション40の追加の図を示す。図24eに示されるように、クッション40は、フレーム200と、フレームに取り付けられた膜205とを含む。フレーム200および膜205は、例えばジュロメータ硬さ40のSILASTIC(商標)などのシリコーンを使用して、当該分野で知られているように、例えば、ワンショット射出成形プロセスで形成される。当然ながら、フレーム20および膜205は、互いにかつ/またはフレーム20に接続される異なる2片から形成することができる。フレーム200は、図27a〜29dに関して記載されるように、フレーム20のチャネル26に取り付けられてもよい、縁部210を有する。フレーム200の縁部210は、当該分野で知られているように、クリップ、ストラップ、摩擦または干渉、フレームへの直接成形、接着剤、および/またはさねはぎ装置を用いて、フレーム200に取り付けられてもよい。縁部210と縁部210の上の中央部分または側壁215とは、クッション40がフレームのチャネル26と係合して置かれたときに加えられることがある座屈力に耐えることができる厚さを有する。1つの形態では、中央部分215は、2〜10mm、好ましくは5mmの厚さを有する。中央部分215は、縁部210から、フレーム200と膜205の間の、薄い膜205が下にあるフレーム200と接合する遷移線220まで延びる。好ましい実施形態では、フレーム200の中央部分215の高さは、頬領域41で最大であり、唇領域および鼻梁領域42、43ではより少ない。
【0101】
遷移線220を越えて、フレーム200はリム225を含む。好ましい1つの形態では、リム225は、クッション40の鼻腔内に内向きに湾曲する湾曲形状を有する。別の形態では、リムは、ほぼ丸い断面を有する固体の1片によって提供されてもよい。膜205は、下側鼻梁領域、頬領域、および唇領域41〜43において患者に接触する、シール成形部分270(図24e)を形成する。リム225は、好ましくはフレーム200の中央部分215よりも小さいが、好ましくは膜205よりも大きい厚さを有する。例えば、膜205は、約0.1〜2.0mm、好ましくは0.35mmの厚さを有し、リム225は、約0.5〜2.0mm、好ましくは1.35mmの厚さを有する。膜205がリム225よりも薄いことが望ましいが、それらは同じ厚さを有することができる。図25に示されるように、膜205は、フレーム200のリム225を完全に覆い、かつ取り囲む。膜205の内側表面は、患者に順応するシールを形成するように、リム225の外側表面から離間している。順応するシールにより、膜205が、不適当な力なしに患者の顔面/鼻の造作の形状における小さな変化に適応することができ、有効なシールを維持したまま、使用中の患者に対するマスクの小さな動きを許容することができることを意味する。膜205は、好ましくは、少なくとも鼻梁領域43において、特に鼻梁領域43(図24c)の頂点付近の領域43aにおいて、リム225から離間される。これは、患者のその範囲が局所的な接触圧力に最も敏感であるためである。換言すれば、膜205は、好ましくは、患者に接触して、鼻梁領域43の下側部分において患者にシール力を加える、クッション40の唯一の部分である。膜205は、鼻梁全体にわたってより良好に均等に力を分布させて、より軽い圧力を加え、それによって快適さを改善することができる。当然ながら、鼻の骨領域と軟骨領域の間の遷移に加えられたシール力は、部分的にまたは完全に鼻孔を閉じるほどには大きくない。
【0102】
鼻梁領域のリム225は、特にその頂点において、鼻の下側鼻梁領域上の局所的な圧力点または領域を回避するため、膜205から十分な距離を離間される。さらに、リム225は、内向きに湾曲されて均等に力を分布させるべきであり、それが膜205をリム225に接触させることがある。そのような力は、患者が動くことによるヘッドギア80の過度な締め付けまたは不安定性の結果である場合がある。クッション40は、ヘッドギア80が過度に締め付けられた場合でも、下側鼻梁領域におけるリム25と膜205の間の接触を回避するように設計される。その場合、クッション40の構造的一体性が損なわれない限り、下側鼻梁領域のリム225は(少なくとも頂点43aにおいて)排除されて、材料および重量を節約することができる。さらに、リム225は、その周囲全体、特に使用中に膜205に接触しないように設計されている部分に沿って、湾曲される必要はない。
【0103】
頬領域および唇領域41、42における膜205とリム225との間の間隔は、必要ではないが、快適さを付加し、順応する膜205によってクッション40がより広範囲の患者に適合することを可能にする。
【0104】
本発明によるクッションは、従来技術のクッションを越える改善された安定性を提供する。設置面積、すなわち接触面積は、特に鼻の側面に沿って最大限にされている。クッションの側面接触領域は最大限にされている。これは2つのさらなる利点を提供する。第1に、本発明によるクッションの側壁は、いくつかの従来技術のクッションよりも長いので、鼻孔の上であって鼻梁の上部の下でシールするマスクを設計することが可能である。第2に、より大きな設置面積、すなわち接触面積全体にわたって接触圧力を分布させることにより、マスクアセンブリの安定性が改善される。そのため、クッション40は、唇領域のほぼ上の軸線の周りで回転する傾向がある従来技術のマスクに比べて、垂直面内で回転する可能性がはるかに少ない。
【0105】
図25d〜25iは、クッション40の断面を示す。図25dに示されるように、鼻梁領域43のリムと膜の間の距離は、約5〜14mm、好ましくは9mmである。図25eに示されるように、リムと膜の間の距離は、約7〜16mm、好ましくは11mmである。図25f、25g、25h、ならびに図25dおよび25iに示されるように、唇領域において、距離は約1〜6mm、好ましくは4mmである。
【0106】
また、図25d〜25iは、曲率半径、膜が延びる角度など、好ましい一実施形態における他の様々な寸法を示す。例えば、図25dでは、鼻梁領域の頂点において、膜の曲率半径は約5〜14mm、好ましくは9mmであり、角度は約70〜90°、好ましくは80°である。図25eに示されるように、曲率半径は約4〜10mm以内、好ましくは7mmであり、角度は約50〜70°、好ましくは60°である。一般に、鼻梁領域43の間隔は、頬領域および唇領域41、42における間隔を越えるものであるべきである。当然ながら、膜およびリムが組み合わされたクッションは、例えば一層構造で提供することもできる。反対に、リム225の支持機能は、膜205を支持する2つ以上の支持リムを使用して達成することができ、または、2つ以上の膜を単一のリム全体にわたって提供することができる。別の代案では、リムの支持機能および膜のシール機能は、異なる材料で作成することができる2つの異なる部材に分割することができる。
【0107】
図24eは、膜205が、患者の鼻梁領域の下側部分の一般的な輪郭にほぼ一致するように、予め成形され輪郭が付けられた、鼻梁領域43の切欠き255を含むことを示す。フレーム200は、切欠き255に対して同じ場所に配置された切欠き260を含む。切欠き255の形状は一般にU字形である一方、切欠き260の形状は切欠き255よりも一般に広く、切欠き260は一般にU字形である。図24fに示されるように、切欠き255は、12〜27mmの深さdlを有する。
【0108】
図24a〜cに見られるように、膜205の内側縁部230は、膜205のアパーチャ235を形成する。この好ましい形態では、アパーチャ235の形状はほぼ台形であり、約31〜45mmの基部幅wを有し、側部の長さは20〜22mm、基部にほぼ平行な頂部tは長さ約5〜10mmである。図24cを参照のこと。開先角度αは、45°〜55°、好ましくは50°である。膜205の基部と頂部の間の高さhは、19〜22mmである。さらに、クッション40の全高h0は、45〜55mm、好ましくは50〜51mmであり、クッション40の全幅w0は、65〜75mm、好ましくは69〜71mmである。また、図24fに示されるように、クッションの寸法d2は29〜31mm、クッションの寸法d3は41〜43mmである。「標準寸法」を有するクッション40の一実施形態では、クッション40の膜205は、31〜34mm、好ましくは33mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、19〜23mm、好ましくは21.5mmの深さd1を有する。「深い」サイズを有するクッション40の別の実施形態では、クッション40の膜205は、31〜34mm、好ましくは33mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、22〜27mm、好ましくは24mmの深さd1を有する。より幅広でありかつ/または深さがより浅い(幅広/浅い)クッション40のさらに別の実施形態では、クッション40の膜205は、35〜45mm、好ましくは41mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、12〜20mm、好ましくは16mmの深さd1を有する。これらの寸法は本発明の特定の実施形態を指し、同じ形状を有するが異なるサイズのマスク(例えば、「小さな」サイズ対「大きな」サイズ)は、異なる寸法を有するが、それでも本発明の範囲内にあることを理解されたい。さらに、「標準」サイズのクッション、「深い」サイズのクッション、および「幅広/浅い」サイズのクッションは、別個に提供されてもよいが、これらのクッションは、1組のクッションとしてともに提供されてもよい。3個のクッションのこの組は、余分な在庫を有することなく広範囲の患者における良好な適合を提供する。
【0109】
アパーチャ235に隣接した膜205の側面sは、鼻梁43と唇領域41の間に曲線部分250(図24c)を含む。曲線部分250は、アパーチャ235に向かって内向きに湾曲する膨らんだ部分として現れる。図24fでは、曲線部分250は、隣接面に対して外向きに膨らんで見える。図24eはまた、上から見た、鼻梁領域の膜205に提供された切欠き255の深さを示す。図24dは、曲線部分250と、リム225の下にある形状に対する膜205の形状との別の図を提供する。曲線部分250は、頬が鼻にぶつかる間隙において鼻の側面に沿って良好なシールを提供する助けとなる。例えば、図24cに見られるように、クリーズ内において、かつ鼻の側面に沿ってシールに対するさらなる余地が提供されるように、部分250はリム225の縁部から離間している。頬領域41におけるリム225の縁部240および膜205の縁部230は、図24cに見られるように、ある角度において互いから逸れ始める。膜205およびリム225の縁部230、240の間の間隔は、図25e〜25iに示されるように、唇領域42において最も小さく、頬領域41において徐々に増加し、曲線部分250および鼻梁領域43において最大である。
【0110】
アパーチャ245を形成するリム225の内側縁部240が、図24bに示される。アパーチャ245の基部幅Wは38〜45mmである。各側面Sの長さは20〜23mmである。頂部Tの長さは15〜20mmである。基部部分と頂部の間の高さHは32〜36mmである。これらの寸法、および本明細書に提供されるすべての他の寸法は、好ましい寸法であり、特定の用途に応じて変えることができる。アパーチャの形状は、ほぼ台形と特徴付けることもできるが、台形は、膜205のアパーチャ235の台形形状と同じ比率ではない。アパーチャ235はアパーチャ245よりも小さい。
【0111】
さらに、アパーチャ235および245は、三角形状あるいは他の台形以外の形状を有してもよい。さらに、クッションの全体の形状は、三角形または非台形であってもよい。アパーチャ235および245、ならびにクッションの形状は、互いに類似していてもよく、または異なってもよく、例えば、アパーチャ235は台形形状を有し、アパーチャ245は三角形状を有する。
【0112】
膜205の遷移線220から縁部まで測定したときの膜205の幅は、曲線部分250および鼻梁領域43において最大であり、頬領域41においてより少なく、唇領域42において最小である。膜205は、一般に、鼻梁領域、頬領域、および唇領域41〜43において、遷移線220から離れる方向に上向きに延びる。鼻梁領域43では、膜205は、ほぼ一定の半径に沿って内向きに湾曲して、縁部230で終わる。頬領域41では、膜205は、リム225の周りで、次に、ほぼフレーム200の反対側の底部位置に向かって、ある角度でリム225から離れて内向きに湾曲する。唇領域41では、リム225および膜はほぼ同じ形状を有する。図25d〜25iを参照のこと。
【0113】
[マスクフレームおよびクッション接続システム]
本発明のマスクは、マスクフレームおよびマスククッションが恒久的に互いに取り付けられるような形で製造されてもよい。例えば、マスクフレームおよびクッションは、エルボが別個の1片として取り付けられる場合、同じ材料から継目なしに形成されてもよい。あるいは、クッションおよびマスクシェルが恒久的な方法で取り付けられる場合、マスクフレームおよびクッションは、同じまたは異なる材料の2片として形成されてもよい。恒久的な取付けは、同時成型、接着剤、クリップの使用、または他の機械的手段によって達成されてもよい。
【0114】
あるいは、マスクフレームおよびクッションは、後述されるように、マスクの耐用寿命を通じて、繰り返し取り外し、また再度取り付けることを可能にする方法を用いて、取り付けられてもよい。これにより、有効な洗浄および保守のための分解、または部品が摩耗した場合の交換も可能になる。
【0115】
本発明のマスクシェルおよびクッション接続システムは、クッションを係合するための力およびクッションをフレームから係脱するための力を個々に決定できるようにする、マスクフレームとクッションの組合せを製造することを可能にする。この可能性により、係合力が係脱力と等しい、または係合力が係脱力よりも少ない、あるいは係合力が係脱力よりも大きい、マスク接続システムを製造することが可能である。
【0116】
接続システムは、最大治療圧力においてマスクシステムにかかる力よりも小さい、または大きい係脱力を達成するように設計されてもよい。
【0117】
好ましくは、係脱力(すなわち、クッションをマスクフレームから取り外す力)は、最大治療圧力がマスクチャンバ内で達成されたとき、マスクシェルとクッションとの組合せに対してかかる力よりも大きい。フレームとクッションの組合せに対してかかる力を参照して、係脱力のこの下限を設定することにより、治療圧力を適用している間にマスクが係脱する可能性が低減される。
【0118】
最小係脱力は、好ましくは、治療圧力によってかかる力を参照して決定されるが、不注意による解放およびユーザに対する煩わしさを防ぐため、最大係脱力は、マスクを手動で係脱するときに使用者によって快適に発揮されることができる力以下であるべきである。好ましくは、取外しの力は、使用者によって快適に発揮されてもよい力以下である。
【0119】
クッションの係合力(すなわち、クッションをマスクシェルに正確に接続するのに必要な力)は、本発明のシールおよび保持機構を採用することによって、予め決められ、達成されてもよい。
【0120】
好ましくは、係合力は、使用者によって快適にかけられる場合のある力よりは大きくない。本発明は、大量生産された製品の範囲にある用途を有するので、好ましくは、最大係合力は、目標の使用者母集団によってかけられる場合のある力以下である。臨床環境では、目標母集団は、マスクを患者に適合させ適用する臨床スタッフであってもよい。臨床以外の環境では、目標母集団は末端使用者の母集団であってもよい。好ましくは、目標係合力は、マスクシェルおよびクッションを従来の方法で操作するとき、目標母集団によってかけられる場合のある好ましい係合力を考慮することによって決定される。当然ながら、これらの原理は係脱力にも同様に当てはまる。
【0121】
鼻マスクアセンブリ10の一実施形態では、改善された機構は、クッション40をフレーム20に係合する、すなわち保持しシールするのに使用される。図27a〜29dを参照のこと。保持およびシール機構により、クッション40は、1つの動きでマスクフレーム20に嵌合させることができ、それがクッション40を保持し、フレーム20との確実なシールを形成する。フレーム20上のチャネル26の外壁30は、外壁30の周りに間隔を空けて配置された複数のアンダーカット33を備える。アンダーカット33は、外壁30を部分的にまたは完全に貫通することができる。クッション40をフレーム20に組み立てるのを容易にするため、わずかなテーパーを、内壁28および外壁30の内側表面に提供することができる。クッション40は側壁215を含む。図25dに示されるように、側壁215は約5mmの幅bを有する。側壁215は、アンダーカット33と整列させるように側壁215の周りに間隔を空けて配置された複数の保持リップ44を含む。保持リップ44はそれぞれ、クッション40をチャネル26に挿入するのを容易にするため先細にされた前縁45と、アンダーカット33を受け、予め定められた分離力がクッション40とフレーム20の間に加えられるまで、クッション40がフレーム20から分離するのを防ぐように形作られた保持表面431とを含む。好ましくは、予め定められた分離力は、クッション40をチャネル26に挿入する力よりも大きくなるように設計される。側壁215上には、側壁215から外向きに延び、側壁42の周囲の周りを通る上側および下側シールリップ46および47が遠位に配置される。シールリップ46および47の反対側には、側壁215から内向きに延び、側壁215の内周の周りを通る上側および下側シールリップ49および48がある。保持リップ44の反対側において、側壁215の内側表面は逃げ部分(relieved portion)50を有するので、クッションの壁とチャネルとの間に空間が作られて、図27bおよび27eに示されるように、クッション40の壁が歪まされて逃げ部分50に入って、クッション40の挿入をより容易にすることが可能になる。逃げ部分50は、各保持リップ44のちょうど反対側に位置付けることができ、または、逃げ部分50は、側壁215の内周の周り全体に延びることができる。
【0122】
本発明の一実施形態によるクッション40のフレーム20への組立てを次に記載する。クッション40は、最初にチャネル26とほぼ整列される。図27aを参照のこと。内壁28は、クッション40がチャネル26に入る前に、クッション40をチャネル26に対して整列させるのを支援するため、外壁30よりもわずかに高い。次に、クッション40はチャネル26内に移動される。図27bを参照のこと。各保持リップ44の前縁45は、外壁30の頂部と係合し、変形し始める。側壁215の逃げ部分50は、クッション40をフレーム20に挿入するのに必要な力を大幅に増加させることなく、この変形が起こることを可能にする。シールリップ46〜49は、チャネル26の内壁28および外壁30の各表面に接触している。クッション40は、チャネル床32に底が付くまで、チャネル26にさらに挿入される。図27cを参照のこと。シールリップ46〜49は、内壁28および外壁30と十分に接触している。各保持リップ44は、各アンダーカット33に入っているが、逃げ部分50によって適応された側壁215の変形は依然として存在する。次に、エラストマー(SILASTIC(商標))の圧縮がチャネル26から緩和されるにしたがって、クッション40がわずかに引き抜かれて、シールリップ46〜49が内壁28および外壁30の周りで連続的なシール位置にある状態で、各保持リップ44の保持表面431が各アンダーカット33に対して嵌め込まれる。図27dを参照のこと。この引き抜きおよび嵌め込みは、クッション40がチャネル26に適切に嵌め込まれたという触覚的な信号を、使用者に提供する。アンダーカット33がこの位置で使用者に見えるようにされている場合、嵌め込みの視覚的インジケータも提供される。側壁215の変形は、一般にこの時点で取り除かれており、逃げ部分50はその緩和した構成に戻っている。クッション40をチャネル26からさらに引き抜いて、クッション40をフレーム20から分解することにより、保持リップ44は下向きに変形される。図27eを参照のこと。側壁215のこの変形は、逃げ部分50によって再び適応される。保持リップ44の形状により、使用者によって、組立て力に比べて、好ましくより確実な取外し力が得られる。
【0123】
さらに、クッションのシールリップまたは保持リップ、あるいは両方が、何らかの化学洗浄に晒すなど、時間とともに膨張する(すなわち、少なくとも1つの寸法のサイズの増加)、シリコーンなどの材料で作成される場合、材料の拡張に起因する余分なサイズまたは体積は、例えばシールリップまたは保持リップが屈曲することにより、チャネル26内に適応されてもよい。本発明のこの態様は、従来技術に比べて、クッション材料の拡張がマスクシェルおよびクッションのシールを損なわないはずであり、それによって、膨張可能な材料で作成された構成要素の耐用寿命が延長されるという利点を有する。
【0124】
従来技術は、一般的には、フレームとクッションとの間の一以上の経路を介して、マスクチャンバからガスが漏れるのを防ぐように、クッション材料が、フレームとのぴったりした適合を達成することを必要とする。それに加えて、マスクによっては、内部または外部のクッションクリップを利用して、クリップとフレームの間のクッションを挟み込んでいる。そのようなクッションクリップは、RespironicsのComfortSelectマスク、ならびに、参照により本明細書に組み込まれる特許文献14に記載されている、ResMedのUltra Mirage(商標)マスクに見られる。
【0125】
従来技術では、クッションが時間とともに拡張する材料で作成されている場合、材料は、マスクフレームのチャネルに適合する、またはそれから係脱する、あるいは別の方法としてクッションクリップを使用するのが困難になる程度まで、少なくとも1つの平面内で増大する傾向がある。また、ガスがマスクチャンバから逃げるのを防ぐシールは、クッションシール部分とマスクフレームのチャネルとの間に生じる間隙によって損なわれる。従来技術の制限は、フレーム内に位置するシールチャネルとクッション上に位置するシール縁部とを有するマスクを参照して記載されてきた。しかし、同様の制限は、これらの機構の位置が逆にされた場合、すなわち、例えば、シールチャネルがクッション上に位置し、シール縁部がマスクシェル上に位置する場合、ならびにクッションとマスクシェル表面の境界面とが平坦な表面の形態である場合に当てはまる。
【0126】
マスクチャンバ内の治療圧力はマスクの組立て中には達成されないので、係合圧力の選択は、必ずしも治療中に発揮される力を参照して決定されるわけではない。より正確に言えば、本発明の接続システムは、係脱力よりも小さな係合力を達成するように製造することが可能であり、係合力が係脱力よりも小さいそのような構成は、任意の所与のヒト母集団が、一般的に、押す力を発揮する(すなわち、片手または両手が物体を把持したまま固定点に向かって動く場合)ことが可能なよりも、引張る力を発揮する(すなわち、片手または両手が物体を把持したまま開始点から離れる方向に動く場合)ことができるというデータに一致する。
【0127】
上述した実施形態は、クッションが、シリコーンの場合など、時間とともに膨張する材料で作成された場合など、構成要素の寸法が時間とともに変わることがあるにもかかわらず、係脱力が係合力よりも大きいという関係を維持することができる。
【0128】
また、本発明の実施形態は、クッションなどの少なくとも1つの構成要素が、化学変化、およびそれ自体が患者の皮脂などの環境汚染物質を吸収することによって、「脂っぽく」なる傾向の材料であるシリコーンなど、時間とともに摩擦特性を失う傾向がある材料で作成される場合に、摩擦嵌合性を失うという従来技術の制限を克服する。したがって、本発明は、フレームとクッションの間の摩擦が失われるにもかかわらず、時間とともにそれらの間の係合効果が失われるという従来技術の問題に対処している。
【0129】
本発明は、ストラップ、クリップ、または他の追加の保持装置の必要性から離れて教示しているが、フレームとクッションの間の係合のさらなる確実性を付加するため、または別の方法として、最大治療圧力の間の係合を維持しながら、目標母集団に適切と考えられる上限と一致する係脱力を達成するのに必要な設計の許容差を低減するため、そのような装置が構成に含まれていてもよい。
【0130】
クッション40は、フレームとクッションとの間の境界面を介してマスクチャンバからガスが逃げるのを防ぐように機能する、少なくとも1つのシールリップを含む。好ましくは、シールを損なうことなく、クッションのフレームとの組立ておよび分解の間に生じる摩擦を最小限に抑えるため、記載されるように、フレームチャネル26との比較的小さな接触点をそれぞれ有する、少なくとも2つのシールリップが提供される。
【0131】
1つのシールリップが使用された場合、適切なシールを達成するためのその構成は、適所に置かれると、同じ材料の2つ以上のシールリップが適用された場合よりも大きな摩擦を行使することが必要とされることがある。
【0132】
この摩擦源を制御することにより、係合力および係脱力、すなわち、クッションとフレームとを係合および係脱するのに必要な力に影響を及ぼすことが可能である。これらの力を有するという好ましい目標は、依然としてクッションの予期される耐用寿命に対する確定された制限を有する。
【0133】
また、側壁の逃げ部分50は、クッション40およびフレーム20の組立ておよび分解時の側壁215の変形に適応し、それによって、組立て/分解に必要な力が低減される。これは、クッション40が、シリコーンなどの、曲げやすいが一般にわずかに圧縮可能な材料で作成される場合、特に重要である。あるいは、側壁215の変形に適応するため、内壁28は、各アンダーカット33の反対側にアンダーカット29を備えることができる。図28を参照のこと。アンダーカット29(および/または逃げ部分50)は、予期される側壁変形に最も良好に適応するように、必要に応じてサイズ決めし構成することができる。シールリップ46〜49の異なる組合せを、代わりに使用することができる。例えば、図29a(シールリップ47および48)、図29b(シールリップ46および49)、図29c(シールリップ48および49)、ならびに図29d(シールリップ46および47)を参照のこと。シールリップおよび保持リップの他の構成も使用することができる。この構成は、クッションのフレームに対するシール機能を、クッションとフレームの係合および保持の機能から分離するので、装置の構成および製造において、それぞれが独立に制御され最適化されてもよい。
【0134】
図32a−1〜32c−2は、本発明の別の実施形態による、フレーム20とクッションの間の連続的な係合を示す。この実施形態では、側壁215、ならびに側壁215を受け入れるチャネル26が変更されている。図32a−1〜32a−2は、係合前のフレームおよびクッションを示し、図32b−1〜32b−2は、係合中のフレームおよびクッションを示し、図32c−1〜32c−2は、完全に係合したフレームおよびクッションを示す。
【0135】
この実施形態では、側壁215は、好ましくは側壁215の遠位端に一体のラグ215aを含む。側壁215は、ラグ215aが側壁215に向かって屈曲することを可能にするアンダーカット215bを含む。挿入(図32b−1〜32b−2)中、ラグ215aは、チャネル26内の突出部26aを越えて押されるまで、アンダーカット215b内へ屈曲する。突出部26aを越えた後に、ラグ215aは、突出部26aの下にあるチャネル26の空間内へ屈曲する。したがって、ラグの先端は、完全かつ確実にフレーム20に接続されたクッション40と適所で弾性的に係止されるように位置付けられる。接続状態では、側壁215は、鼻腔からの加圧ガスの逃げに対してフレーム20との確実なシールを提供する。ラグ215aの先端と突出部26aとの間の係合により、クッションをフレームと係合した状態で維持する保持力が提供される。係脱するためには、患者は、ラグ215aを変形させ、突出部26aを越えさせるのに十分な力で、側壁215をチャネル26から引き出す。係合と係脱の両方は、チャネル26の壁と側壁215との間の摩擦接触を克服するのに十分な力を必要とする。突出部26aは、角度が挿入方向から大幅に離れているので、「かえし」とほぼ同様に作用して、クッションのマスクフレームに対する分解力に比べて、好ましい、より低い挿入力を可能にする。
【0136】
図示される実施形態では、側壁215の遠位端にあるラグ215aは、クッションの呼吸キャビティに向かってほぼ内向きに延びる。ただし、図32eに示されるように、ラグ215aは、クッション40の呼吸キャビティからほぼ外向きに延び、フレーム20の外壁30上に提供された突出部26aに係合してもよい。
【0137】
図40〜41は、フレーム20とクッション40との間の係合を容易にするように構成された、フレーム20の別の実施形態を示す。具体的には、フレームの主要本体20aは、その外壁30の外側表面上に、整列用の印A1、例えば、菱形、線、色、矢印などを含む。図40は、外壁30の上側部分上に提供された単一の整列用の印A1を示し、図41は、外壁30の下側部分上に提供された一対の整列用の印A1を示す。
【0138】
クッション40は、その外側表面上に、クッション40およびフレーム20が互いに係合したときに、フレーム20上に提供された整列用の印A1と整列させて位置付けられる、整列用の印A2、例えば、菱形、線、色、矢印などを含む。図38B、39B、および42は、鼻梁領域においてクッション40の外側表面上に提供された単一の整列用の印A2を示し、図43は、唇領域においてクッション40の外側表面上に提供された一対の整列用の印A2を示す。クッション40およびフレーム20が互いに係合したとき、フレーム20の上側部分上の整列用の印A1は、クッション40の鼻梁領域の整列用の印A2と整列する。同様に、フレーム20の下側部分上に提供された一対の整列用の印A1は、クッション40の唇領域の一対の整列用の印A2と整列する。フレーム20およびクッション40それぞれの上の整列用の印A1、A2の整列により、フレーム20およびクッション40が、確実に互いに対して正確に整列され配向される。すなわち、患者は、フレーム20およびクッション40上の整列用の印A1、A2を、確実に互いに正確に整列させることにより、フレーム20とクッション40を正確に係合することができる。
【0139】
整列用の印A1、A2は、任意の適切な構成、例えば、菱形、線、色、矢印などを有してもよい。また、整列用の印A1、A2の任意の対応する数が、フレーム20およびクッション40上に提供されてもよい。図示される実施形態では、フレーム20の上側部分およびクッション40の鼻梁領域は、フレーム20の下側部分およびクッション20の唇領域とは異なる数の整列用の印A1、A2を有する。しかし、フレーム20の上側および下側部分、ならびにクッション40の鼻梁領域および唇領域それぞれは、整列用の印A1、A2が、フレーム20およびクッション40を正確な配向で正確に係合するのを容易にするように位置付けられている限り、同じ数の整列用の印A1、A2を有してもよい。さらに、整列用の印A1、A2は、フレーム20とクッション40の間の係合を容易にするため、フレーム20およびクッション40の外側表面に沿って任意の適切な位置に位置付けられてもよい。
【0140】
図40に示されるように、フレーム20は、フレーム20とヘッドギアアセンブリ80との間の係合を容易にするように構成されたサイドフレーム部材20b上に、整列用の印A、例えば、菱形、線、色、矢印などを含んでもよい。特に、ヘッドギアアセンブリ80の係止クリップ82は、その外側表面上に、係止クリップ82とフレーム20とが互いに係合したときに、フレーム20上に提供された整列用の印A1と整列するように位置付けられた整列用の印、例えば、菱形、線、色、矢印などを含んでもよい。
【0141】
[他の態様]
鼻クッションは、患者の鼻の形状およびサイズを、それを取り囲む、上唇、頬などの顔面の造作のサイズおよび形状とともに考慮に入れて設計された。図30〜31を参照のこと。何らかの種類のNPPV治療を使用する、またはそれを必要とすると思われるような患者のサイズおよび形状に関する統計資料はほとんどないが、出願者らは、患者母集合の大部分(例えば、患者母集合の80%)に適合するクッション40を統計的にモデリングするため、抜粋した量の規準を使用できることを発見した。例えば、クッション40は、年齢、性別、または人種にかかわらず、患者母集団の60〜90%に適応するように構成されてもよい。ただし、クッション40は、例えば、患者母集団の70%以内、または80%以内に適応するように構成されてもよい。鼻の幅、鼻先端の突出、および鼻の高さを使用して、出願人らは、鼻マスクを必要とするであろう母集団の大部分が、同じサイズのクッション/マスクを用いて快適に適応されるようにクッションを設計することができた。母集団の他の部分に適応させるため、1つまたは2つの追加のクッション/マスクを設計することができる。患者の年齢、人種、および性別は、クッションをコンピュータモデリングする場合の因子であり得る。さらに、鼻梁部分の上側部分との接触が回避されるクッションを設計することにより、出願人らは、クッションの設計を一般に制限する因子の1つを排除することができた。
【0142】
図30および31に示されるように、鼻の幅は、クッション40の開口部の幅を決定する。鼻先端の突出は、組み合わされたクッションおよびマスクフレームの最小深さを説明する。これは、隔壁の底部から測定される。深すぎるマスクは、鼻腔内の余分なデッドスペースにつながり、それが、望ましくないCO2の再呼吸と、マスクアセンブリの重心が顔面からさらに離れる動きを増加させて、安定性を低下させる。鼻の高さは、両方の組の幅/深さ寸法の間の距離を反映する。
【0143】
一般に、クッションは、一以上の最大寸法に適合するようにサイズ決めされる。しかし、鼻孔における遊びを検証するのに、使用者試験は重要である。大きすぎる場合、クッションは眼の範囲に干渉することがある。クッションは、鼻梁上で低く位置するように設計され、この範囲に起こり得る干渉が最小限に抑えられる。クッションが小さすぎる場合、例えば、クッションが、つぶれることがある鼻の柔らかい部分に沿って圧力を加える場合、鼻孔が、部分的に、または完全に閉塞されて、RespironicsのSimplicityマスクなど、いくつかの従来技術のマスクで起こり得る、呼吸の制限を生じさせることがある。鼻の幅、高さ、および先端の突出は、人体計測のデータテーブルを参照して到達することができる。
【0144】
マスクシステムの一実施形態では、マスクシステムは、フレームと、フレームにそれぞれ接続可能な複数のクッションとを含むように設計される。各クッションは、複数のクッション、好ましくは1〜3個のクッションが合わさって、患者母集団の95〜100%に適応するようにされ、患者母集団のある割合に適応するように構成される。
【0145】
したがって、複数のクッションはそれぞれ、類似のフレームに接触する面を有するが、異なる顔面に接触する面をも有する。各クッションは、残りの複数のクッションとは異なる、顔面に接触する面における少なくとも1つのパラメータを有する。一実施形態では、各クッションは、鼻梁領域が異なってもよい。例えば、図38A〜38Dに示されるクッション40aは、鼻梁領域において、図39A〜39Dに示されるクッション40bの鼻梁領域にある輪郭が付けられた切欠き255bよりも深い、輪郭が付けられた切欠き255aを有する。具体的には、輪郭が付けられた切欠き255aは、22〜27mm、好ましくは24mmの深さdを有し、輪郭が付けられた切欠き255bは、19〜23mm、好ましくは21.5mmの深さdを有する。図示されるように、切欠き255aは、切欠き255bの曲率半径より小さな曲率半径を有する。別の実施形態では、各クッションは、膜のアパーチャの幅が異なってもよい。複数のクッションは、異なるクッションと互いを区別する助けとするため、色分けされてもよい。
【0146】
[磁気相互接続の実施形態B]
フレーム420およびヘッドギアアセンブリ480を互いに磁気的に取外し可能に結合する別の実施形態が、添付の図44〜46に描かれている。これに関して、磁気結合アセンブリ500は、フレーム420をヘッドギア(図44〜46には完全に図示されないが、これに関して、全体的に、図1〜3に示されるヘッドギア80と、図34および36に部分的に示されるヘッドギア480とを参照のこと)に磁気的に結合するために提供される。このように、磁気結合アセンブリは、図33〜37に描かれる実施形態の代替物であるが、これと同じまたは類似の構造的構成要素のいくつかを採用してもよく、またはその逆であってもよい。
【0147】
図44に示されるように、フレーム420は、主要本体420aと一対のサイドフレーム部材502とを含み、一対のサイドフレーム部材502は、上述したような形でクッション40と取外し可能に結合されていてもよい。サイドフレーム部材502はそれぞれ、その外部表面から外向きに突出する円筒状のボス504を含む(図45を参照)。円筒状のボス504は、次に、円筒状の内部凹部506を形成する(図44および46を参照)。凹部506の下側部分は、二部分磁気結合器システム(two−part magnetic coupler system)の第1の部分508を含む。
【0148】
また、磁気結合アセンブリ500は、サイドフレーム部材502との取外し可能な結合に適合された接続片510を含む。接続片510は、最も好ましくは、サイドフレーム部材502と関連付けられた凹部506のそれぞれ1つの中に噛合可能に受け入れられるようにサイズ決めされ、かつ構成された、円筒状のコネクタパック512を含む。接続片510を、ヘッドギアと関連付けられた各ヘッドギアストラップ492−1と相互接続できるようにするため、ストラップ受入れスロット513がその後方に提供される。これに関して、図44〜46に描かれる実施形態によれば、ヘッドギアストラップ492−1はフレーム420に向かって延び、したがって、上述したようなヘッドギアヨークの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0149】
コネクタパック512は、二部分磁気結合器システムの第2の部分514を支持し、二部分磁気結合器システムは、第1および第2の部分508、514がそれぞれ互いに近接しているとき、サイドフレーム部材502と関連付けられた第1の部分508に磁気的に吸引される。具体的には、接続片510と各サイドフレーム部材502との間の磁気結合は、コネクタパック512が凹部506内に噛合可能に嵌め込まれたとき、二部分磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514それぞれの間の磁気吸引によって生じる。接続片510はそれぞれ、各ストラップ492−1を介してヘッドギアに接続されるので、フレーム420aと、したがってそれによって支持されるクッション40とは、接続片510がサイドフレーム部材502に磁気的に結合されたとき、同様にヘッドギアに相互接続される。
【0150】
図33〜37に関して上述した実施形態とは異なり、図44〜46に描かれる実施形態による磁気結合アセンブリ500によって提供される磁気相互接続は、衰弱した患者が操作し噛み合わせることが多少困難な場合がある、鍵穴およびフランジの構造を必ずしも必要としない。したがって、図44〜46に示される実施形態によって、接続片510のコネクタパック512とサイドフレーム502の凹部506との精密な整列を確立することなく、患者が、より容易にヘッドギアをフレーム420に結合させることが可能になる。確かに、磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引は、コネクタパック512を凹部506と噛み合った関係に案内するのをある程度支援する。これに関して、コネクタパック512の上端は、最も好ましくは、図示される好ましい実施形態では円錐面のセグメントである環状リップ516を含む。その結果、そのような形状は、使用者がコネクタパック512と凹部506との間の整列を確立するのをさらに容易にし、そのような整列を支援するある種のガイドとして作用する。
【0151】
図45において、環状リップ516は、磁気結合器の第2の部分514の上に延び、多数の隆起した、円周方向に離間した交互の空間518aおよび歯518bを含むことが分かる。さらに、図46において、凹部506の底部は、磁気結合器システムの第1の部分508を円周方向に取り囲むとともに、コネクタパック512のリップ516をその中に受け入れるようにサイズ決めされ構成された、環状溝520を含むことが分かる。固定位置の隆起した停止歯522は、環状溝520内に配置され、接続片510とフレーム420との間の角度方向を確立するように、空間518aの1つの中に受け入れられるように適合される。単一の停止歯522が描かれているが、複数の環状に離間された停止歯522が、上述した実施形態に類似の形で提供されてもよいことが理解される。
【0152】
コネクタパック512が、接続片510を各サイドフレーム部材502に磁気的に結合するように、凹部506内に嵌め込まれると、接続片510および/またはサイドフレーム部材502は、相対的な回転接合(rotational articulation)をそれらの間に生じさせるように、手動で操作されてもよい。このような旋回接合は、隆起した停止歯522を空間518aのそれぞれ1つに選択的に嵌め込み、それによって、接続片510とサイドフレーム部材502の間の所望の角度方向を選択できるようにするために使用されてもよい。
【0153】
停止歯522が空間518aの1つの中に受け入れられない場合、コネクタパック512が凹部506に最初に挿入されたときに、パック接続片510とサイドフレーム502との相対的な旋回移動により、空間518aの最初の1つが現れるまで、リップ516の上側の環状縁部が旋回して動いて停止歯522と接触する。このような場合、第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引により、停止歯522は、このように現れた空間518aの中に物理的に係合される。ただし、マスクの角度方向が適切でない場合、停止歯522と歯518bとを物理的に分離するように、接続片510および/またはサイドフレーム部材502に対して分離力が発揮されてもよい。次に、接続片510およびサイドフレーム部材502は、分離力が解放されると、第1および第2の部分508および514の間の磁気吸引によって停止歯522が空間518aの別の1つと再係合され、よって、接続片510とサイドフレーム部材502との間の所望の角度方向が確立されるように、互いに対して回転してもよい。
【0154】
しかし、一実施形態では、停止歯522および/または歯518bは、それらの完全な分離が絶対に必要とはならないように、適切な傾斜面またはカミング面を備えてもよい。その結果、そのような実施形態では、停止歯522と歯518bとの間の係合に続く、接続片510とサイドフレーム部材502との間の継続する相対的な旋回移動により、それらの間に、リップ516の縁部が停止歯522を越えるのに十分なわずかな分離が生じる。よって、停止歯522が、その後、次の連続して示される空間518aに嵌め込まれることが可能になる。このような方法で、接続片510とサイドフレーム部材502との所望の角度方向は、接続片510とサイドフレーム部材502との間の構造上の分離を必ずしも完了することなく、選択的に達成されてもよい。接続片510をサイドフレーム502から分離するためには、磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引を克服するのに十分な大きさの分離力を加え、それによってコネクタパック512を凹部506から外すことのみが必要である。このような目的のため、接続片510は、最も好ましくは、分離力が接続片510に対して手動で発揮されてもよい、外向きに延びる前方タブ524を含む。あるいは、またはそれに加えて、タブ524は、サイドフレーム部材502の構造的構成要素との接触を使用して、接続片510とサイドフレーム部材502との間に許容される相対的な旋回移動の量に対する制限を提供してもよい。
【0155】
各磁気結合500の第1および第2の部分508、514はそれぞれ、反対の極性を備えた永久磁石を含んでもよい。あるいは、結合500の部分508、514の一方が永久磁石であって、部分508、514の他方が磁気吸引可能な金属(例えば、鉄系金属)で形成されていてもよい。最も好ましくは、第1の部分508は永久磁石を含み、第2の部分514は磁気吸引可能な金属で形成される。
【0156】
当然ながら、図44〜46に描かれる実施形態は代表的なものであり、その範囲から逸脱することなく、いくつかの変形が行われてもよいことが理解されるであろう。例えば、接続片510は、磁気結合器システムの凹部506および関連する部品508を備えてもよく、サイドフレーム部材502は、磁気結合器システムのコネクタパック512およびその関連する部品514を備えることができる。それに加えて、接続片510および/またはサイドフレーム部材502は、磁気結合器システムから発生する磁界から使用者を保護する適切な手段を備えることができる。
【0157】
磁気結合器システムを、サイドフレーム部材502の構成要素部品であるものとして記載し、その結果、図10a−10gに関して前述したものに類似した分離可能なクリップ構造であるものとして描写してきた。しかし、サイドフレーム部材502がメインフレーム420の一体的な構成要素であり得ることは十分に可能であり、その場合、凹部506およびその関連する磁性部分508は、メインフレーム420と一体的な(単一の)構造として形成することができる。図44〜46に描かれる実施形態では、磁気結合アセンブリ500は、それらの間の相対的な回転接合を可能にする構成要素で形成されるものとして描かれる。ただし、例えば、スライド支柱結合、さねはぎ結合など、他の構造の結合が可能であり、本発明の範囲内に含まれる。さらに、回転接合は、同様に、スロットおよびT字形の結合構造を備えることができる。
【0158】
[代替的なの磁気クリップアセンブリ]
図47A〜52Bは、ヘッドギアアセンブリに関連付けられたコネクタと、マスクに関連付けられたコネクタレセプタとの間の係合および位置調節を容易にする、磁気クリップアセンブリの変形例を示す。使用者の範囲を非常に若い層から老年層まで、また健常者から身体障害者まで広げて、アセンブリを有効に利用するため、マスク/ヘッドギアアセンブリの係合および位置調節を容易にすることが望ましい。ヘッドギアアセンブリを、患者によって手動で迅速にマスクフレームから取り外し、また取り付けることができるとともに、誤って容易に外れることがないようにするのが望ましい。
【0159】
図47A〜52Bを参照すると、コネクタレセプタ604は少なくとも第1の磁気素子を備え、コネクタ602は少なくとも第2の磁気素子を備える。磁気素子は、コネクタ602とコネクタレセプタ604の間の係合および位置調節を容易にするように、位置付けされ極性が決められる。
【0160】
図47A〜47Cは、第1の磁気素子が位置磁石606および方向磁石608を含む、クリップアセンブリ600の1つの配置を示す。図に示されるように、それぞれの磁石606、608の向かい合った表面は、ほぼ垂直な面内に配置される。コネクタ602は、第1の面内に使用面610と、第2の面内に調節面612とを備える。使用面610および調節面612は、図47Bおよび47Cに示されるように、位置磁石606と選択的に係合可能である。コネクタ602は、図47Aを参照すると、その端部に配置されたその磁気素子614を有する。
【0161】
使用中、使用面610が位置磁石606と係合されると、コネクタの磁気素子614が動作可能に方向磁石608と係合して、コネクタ602をコネクタレセプタ604に固定する。磁気素子614は、図47Cに示されるように、調節面612が位置磁石606と係合されたとき、方向磁石608から係脱される。これにより、コネクタ604に係合されたままでその中でコネクタ602が物理的に回転することが可能になる。所望の回転が達成されると、コネクタ面610は、位置磁石606と再度係合して、磁気素子614を、この実施形態ではコネクタレセプタ604の周りに直列に配置された一連の方向磁石である、方向磁石608と係合させることができる。
【0162】
コネクタ602をコネクタレセプタ604から取り除くため、表面612は、コネクタ602を旋回させてコネクタレセプタ604のキャビティ内に入れることにより、磁石606と係合する。これにより、コネクタ602を、磁石606およびコネクタレセプタ604から解放することができる。
【0163】
リング616は、リング616の様々な位置に、またその結果第1の磁気素子618の様々な位置にも、レセプタ604内で機械的に回転調節可能である。
【0164】
図48は、コネクタレセプタ604が調節可能なリング616である、別の構成の概略図である。第1の磁気素子618は、磁気素子618の位置が調節可能なリング616の位置によって決まるようにして、調節可能なリング616内に配置される。コネクタ602は、調節可能なリング616の内径に係合するように形作られ、第2の磁気素子620は、第1の磁気素子618に係合し、よってコネクタ602をコネクタレセプタ604内で固定するように、コネクタ602上に位置付けられる。リング616は回転調節を可能にし、各磁石618、620の引力によって、コネクタ602自体が自動的にリング616内で整列することができる。
【0165】
図49Aおよび49Bは、さらに別の代替のクリップアセンブリを示す。この配置では、第1の磁気素子は、内径上のセグメント内で配向された交互の極を有するリング磁石622およびリング磁石622の中央開口部に嵌入するようにサイズ決めされた挿入磁石624である。挿入磁石624は、押しボタン628などを介して動作されるレバー626によって、中央開口部に選択的に挿入可能である。コネクタ602は、リング磁石622に係合し、コネクタ602をコネクタレセプタ604に接続するため、コネクタ602上に位置付けられたその磁気素子630を有する。
【0166】
リング磁石622は、任意の適切な手段、例えば、ばね、磁石、および/または、レバー62の弾力性によって、第1の位置に向かって任意に付勢されていてもよく、その際、コネクタの磁気素子630はリング磁石622の向かい合ったセグメントに対して逆方向に極性が決められる。挿入磁石624が、レバーアセンブリ626、628を介してリング磁石の中央開口部に挿入されると、リング磁石622は、第2の位置に向かう磁界によって、付勢に対して回転され、その際、コネクタの磁気素子630は、リング磁石622の向かい合ったセグメントに対して同じ極性を有して、それによってコネクタ602をコネクタレセプタ604から解放する。
【0167】
さらに別の代替配置では、図50A〜50Cを参照すると、コネクタ602は、コネクタの磁気素子634とコネクタレセプタの磁気素子636との間の係合を分離するように、選択的に操作可能なレバーアセンブリ632を備えてもよい。好ましくは、レバーアセンブリ632は、それぞれの押しボタン640を介して動作可能な一対の対向するレバー638を含む。レバーアセンブリ632は、押しボタン640を押し下げることによって、対向するレバー638が、各磁気素子634、636の間の係合を分離するように構成される。レバーアセンブリ632の機械的な力は、磁界が無効になるまで、磁気素子634、636の間の磁気吸引に干渉する。
【0168】
関連する変形例が図51Aおよび51Bに示される。これに関連して、コネクタレセプタの磁気素子642は、コネクタレセプタ604上の隆起した範囲644内に設定される。コネクタの磁気素子646は、コネクタ602内の凹部の中に設定され、その凹部は、隆起した範囲644の上方に適合して、それによって各磁気素子642、646を係合するようにサイズ決めされる。この実施形態におけるレバー648は、好ましくは、コネクタレセプタの隆起した範囲644からコネクタの凹部を持ち上げるように構成される。
【0169】
別のクリップアセンブリが図52Aおよび52Bに示される。アセンブリは、ヘッドギアアセンブリと結合されるコネクタ650を含む。揺動スイッチ652は、マスク654に取り付けられており、係止位置(図52Bに示される)と解放位置(図52Aに示される)との間で揺動可能である。図示されるように、第1の磁石656はマスク654上に配置され、第2の磁石658は揺動スイッチ652の脚部上に配置される。第1および第2の磁石は、揺動スイッチ652が係止位置にあるときに向かい合う関係で配置される。好ましい配置では、第1の磁石656および第2の磁石658は、揺動スイッチ652が係止位置にあるとき、同極で向かい合った関係で整列される。このクリップアセンブリは、クリップを配置するために磁石を、またクリップを適所に係止するために幾何学形状を利用する。極磁石656、658のように向かい合った状態で、取付けは付勢されて開かれる。コネクタ650が、揺動スイッチ652とマスク654との間に位置するとき、両方の磁石658および656は650の材料に引き付けられ、その結果、それらの同じ極の反発が無効にされ、また、揺動スイッチ652は、揺動スイッチ652上のピン660がコネクタ650上のアパーチャ662に係合する係止位置まで旋回することができる。
【0170】
磁気素子の使用はまた、ヘッドギアストラップの係合を容易にすることができる。図53Aおよび53Bは、その端部に磁気クリップ666を含む、ヘッドギアアセンブリのストラップ664を示す。磁気クリップ666は、マスクを患者の顔面に固定するため、磁気ハウジング668などと係合可能であってもよい。換言すれば、クリップが係合されたときに磁力が加えられると活性状態になる、埋め込まれた磁性材料によって、クリップ666が磁気ハウジング668と係合した場合に、ヘッドギア内のストラップは整列し、使用者の顔面の造作に一致する硬い構造を形成する。
【0171】
関連する文脈では、図54Aおよび54Bを参照すると、ヘッドギアアセンブリのストラップ664は、例えば北から南に磁界の強度が変わる磁気ダイヤル670を使用して、ヘッドギアアセンブリの自動張力調整を可能にする、中に埋め込まれた反磁性体または常磁性体を含んでもよい。ヘッドギア材料の中に埋め込まれた反磁性体および常磁性体は、磁界に晒されたときに活性状態になり、その結果、材料内の素子の吸引または反発が得られ、それによってヘッドギアの自動張力調整が可能になる。
【0172】
反磁性体または常磁性体について言及される場合、他のタイプの磁性材料が、それらの代わりに、またはそれらに加えて使用されてもよく、またそのような材料は本明細書に包含されるものであることが理解されるであろう。
【0173】
組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Aは、本発明の好ましい一実施形態によるマスクシステムの様々な図を含む。付記Aはまた、本発明の他の実施形態によるマスクシステムの様々な図を含む。例えば、酸素ポートまたは圧力ポートを有するフレームを示す、フレームの一実施形態が提供される。例えば図41を参照のこと。フレーム内の酸素ポートまたは圧力ポートのさらなる詳細は、米国特許出願第09/504234号に含まれており、その全体が参照により組み込まれる。付記Aはまた、マスクシステムの操作情報を含む。組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Bは、本発明において検討された2つの従来技術のマスクの図を含む。組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Cは、鼻および顔面の造作が大幅に異なる2つの試験モデル(A+B)と、各モデルに接続された本発明のマスクアセンブリならびに1つの従来技術のマスクの図を含む。付記Cはまた、本発明の一実施形態を、MIRAGE(登録商標)マスクに使用される従来技術のクッションと比較する、一連の図を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれるKwokらの特許文献11を参照のこと。概して言えば、サイズおよび形状は大きく異なっていたが、本発明のマスクアセンブリは両方の鼻モデルにほぼ一致した。マスククッション40は、また、モデルBにおける変形に成功裡に適応することができた。従来技術のマスクアセンブリは、鼻モデルの形状に、特に顕著な間隙が見られるより小さな鼻のモデルの形状に、適合しない傾向があった。1つの従来技術のモデル(特許文献15を参照)は、比較的不安定であり、モデル、特により小さな鼻のモデルの頬の上で揺動する傾向があった。
【0174】
様々な上述した実施形態の構成要素、要素、および特徴は、新しいマスクの実施形態を作成するため、任意の所望の組合せまたは順列でともに使用できるものとである。例えば、本発明を鼻マスクに関して記載してきたが、本教示は、口鼻マスクおよび全面マスクにも同様に適用可能である。
【0175】
本発明を、最も実用的かつ好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して記載してきたが、本発明は、開示の実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれる、様々な修正および同等の装置を包含するものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による鼻マスクアセンブリの斜視図である。
【図1b】本発明の一実施形態によるヘッドギアアセンブリの図である。
【図2】図1の鼻マスクアセンブリの部分側面図である。
【図3】図1の鼻マスクアセンブリの部分正面図である。
【図4】図1の鼻マスクアセンブリの部分上面図である。
【図5】図1の鼻マスクアセンブリのフレーム構成要素の正面斜視図である。
【図5a】図5のフレームの上面図である。
【図5b】患者に影響を及ぼすことがある鼻マスクアセンブリに作用する様々な力を示す概略図である。
【図5c】図5のフレームの背面斜視図である。
【図6a】本発明の別の実施形態によるエルボアセンブリおよびフレームの上面図である。
【図6b】図6aの実施形態の分解組立図である。
【図7】図5のフレームの部分断面図である。
【図8】図1の鼻マスクアセンブリの左側ヨークの側面図である。
【図8a】本発明の別の実施形態による右側ヨークの拡大図である。
【図9a】図1の鼻マスクアセンブリの係止クリップの上面図である。
【図9b】図9aの係止クリップの下面図である。
【図10a】本発明によるほぼ完全に接続された状態のクリップおよびフレームの側面図である。
【図10b】図10aのクリップの下面図である。
【図10c】図10aのクリップの上面図である。
【図10d】図10aのクリップの斜視図である。
【図10e】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図10f】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図10g】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図11】図1の鼻マスクアセンブリのバックルの斜視図である。
【図12】弛緩状態の図1の鼻マスクアセンブリの交差ストラップの下面図である。
【図13】交差した状態の図12の交差ストラップの下面図である。
【図14】図13の交差ストラップの交差バックルの図である。
【図15】図1の鼻マスクアセンブリとともに使用されるストラップループの斜視図である。
【図16a】図1に示される自在エルボの斜視図である。
【図16b】図1の鼻マスクアセンブリの自在エルボの側面図である。
【図17】図16aおよび16bの自在エルボの正面図である。
【図18】図16aおよび16bの自在エルボの背面図である。
【図18b】自在エルボの別の実施形態の側面図である。
【図18c】図18bの自在エルボの正面図である。
【図18d】図18bの自在エルボの背面図である。
【図18e】図18bの自在エルボの断面図である。
【図19a−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19a−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19b−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19b−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19c−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19c−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図20】図1の鼻マスクアセンブリの通気孔カバーの斜視図である。
【図21】図20の通気孔カバーの背面図である。
【図22】図20の通気孔カバーの下面図である。
【図22b】図18bの自在エルボと接続する通気孔カバーの別の実施形態の斜視図である。
【図22c】図22bの通気孔カバーの背面図である。
【図22d】図22bの通気孔カバーの下面図である。
【図22e】図22bの通気孔カバーの側面図である。
【図22f】図18bの自在エルボに接続された図22bの通気孔カバーを示す側面図である。
【図23】図6aの鼻マスクのコネクタチューブの斜視図である。
【図24a】計算機援用設計(CAD)作図線を示す図1の鼻マスクアセンブリのクッションの顔面側の図である。
【図24b】CAD作図線を示す図24aのクッションのフレーム側の図である。
【図24c】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24d】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24e】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24f】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24g】隔壁切欠きを組み込んだ本発明の一実施形態によるマスククッションの図である。
【図25a】CAD作図線を示す図1に示されるクッションの斜視図である。
【図25b】図25aのクッションの顔面側の図である。
【図25c】CAD作図線を示す図25aのクッションのフレーム側の図である。
【図25d】CAD作図線を示す図25bの線25d−25dに沿った断面図である。
【図25e】図25bの線25e−25eに沿った断面図である。
【図25f】図25bの線25f−25fに沿った断面図である。
【図25g】図25bの線25g−25gに沿った断面図である。
【図25h】図25bの線25h−25hに沿った断面図である。
【図25i】一実施形態の一般的な(TYP)寸法(R半径)を示す図25dの拡大図である。
【図26】図1の鼻マスクアセンブリの空気チューブの斜視図である。
【図27a】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27b】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27c】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27d】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27e】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図28】図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの代替実施形態の部分断面図である。
【図29a】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29b】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29c】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29d】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図30】図1によるマスクを設計するのに使用される様々な寸法の図である。
【図31】図1によるマスクを設計するのに使用される様々な寸法の図である。
【図32a−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32a−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32b−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32b−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32c−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32c−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32d】図32a−1〜32c−2に示されるフレームの拡大断面図である。
【図32e】フレームとクッションの間の係合のための本発明の別の実施形態の図である。
【図33】鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図34】鼻マスクアセンブリのヘッドギアアセンブリのヨークの別の実施形態の上面図である。
【図35】図34に示されるヘッドギアアセンブリの右側ヨークの拡大図である。
【図36】図34および35のヘッドギアアセンブリに磁気的に結合された図33のフレームを示す斜視図である。
【図37】図33のフレームおよび図34のヘッドギアアセンブリの磁気結合を示す概略図である。
【図38A】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38B】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38C】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38D】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39A】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39B】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39C】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39D】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図40】鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図41】図40に示されるフレームの下面図である。
【図42】クッションがCAD作図線を示す、図40に示されるフレームと係合されるように構成されたクッションの一実施形態の上面図である。
【図43】クッションがCAD作図線を示す、図42に示されるクッションの背面図である。
【図44】磁気相互接続アセンブリの別の実施形態を含む、鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図45】図44に描かれる磁気相互結合アセンブリの拡大斜視図である。
【図46】図45に描かれる磁気相互接続アセンブリであるが、ただしそれに比べて反転された構成要素を示す拡大斜視図である。
【図47A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図47B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図47C】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図48】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図49A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図49B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50C】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図51A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図51B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図52A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図52B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図53A】磁気素子をヘッドギアに組み込んだ実施形態の図である。
【図53B】磁気素子をヘッドギアに組み込んだ実施形態の図である。
【図54A】磁性材料を使用して自動的なヘッドギアの張力調整を可能にする実施形態の図である。
【図54B】磁性材料を使用して自動的なヘッドギアの張力調整を可能にする実施形態の図である。
【符号の説明】
【0177】
10 鼻マスクアセンブリ
20 フレーム
20a 主要本体
20b サイドフレーム部材
40 クッション
60 自在エルボアセンブリ
80 ヘッドギアアセンブリ
【技術分野】
【0001】
本願は、現在は特許文献1となっている、同一出願人による係属中である2003年3月19日出願の米国特許出願第10/390681号の一部継続出願である、係属中である2005年3月16日出願の米国特許出願第11/080446号の利益を主張し、該出願は、2002年5月3日出願の米国仮出願第60/377254号、2002年7月22日出願の米国仮出願第60/397195号、および2002年8月12日出願の米国仮出願第60/402509号に基づき、米国特許法第119条(e)に基づいてそれらの国内優先権を主張し、また、米国特許法第119条(a)に基づいて2002年4月23日出願のオーストラリア出願PS1926号の外国優先権を主張し、上記出願それぞれの全内容は参照により本願に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、非侵襲性陽圧換気法(NPPV)の送達に使用される、また、閉鎖性睡眠中無呼吸(OSA)などの睡眠呼吸障害(SDB)の経鼻的持続性気道陽圧(経鼻的CPAP)治療用の鼻マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
OSAの治療にnCPAPを適用することは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献2においてSullivanによって教示された。OSAのnCPAP治療では、加圧空気または他の呼吸に適したガスは、大気圧よりも上昇された圧力、一般的には4〜20cm H2Oの範囲で、患者の気道の入口に供給されて、患者の上気道に「添え木をあてて」開き、無呼吸を防ぐ。
【0004】
経鼻的CPAPおよびNPPV治療を行う装置は、一般的には、ブロワー、空気送達導管、および患者インターフェースを含む。ブロワーは、一連の異なる形態の治療を行うようにプログラムされてもよい。1つの形態では、一定圧力の空気または呼吸に適したガスが患者に供給される。治療圧力のレベルは、患者の必要に応じて呼吸毎に変化することも知られており、その治療形態は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献3(SullivanおよびLynch)に記載されているように、自動調節経鼻的CPAP治療として知られている。NPPVは、呼吸障害を治療する別の形態である。その最も基本的な形態では、呼吸の吸気相の間は比較的高い圧力のガスが患者のマスク内に供給されてもよく、呼吸の呼気相の間は比較的低い圧力または大気圧が患者のマスク内に供給される。他のモードでは、圧力は、呼吸サイクル全体を通して複雑な形で変化するようにすることができる。例えば、吸気または呼気の間のマスクの圧力は、治療の期間全体を通して変化させることができる。例えば、それらの全体がすべて参照により本明細書に組み込まれる特許文献4、ならびに特許文献5および特許文献6を参照のこと。本明細書では、NPPV治療という用語は、NPPVおよび経鼻的CPAP治療のこれらの形態すべてを説明するために使用される。
【0005】
NPPV治療のための患者インターフェースは、鼻マスクアセンブリ、鼻および口マスクアセンブリ、鼻クッション、鼻プロング、またはピローアセンブリなどの多数の形態を取ってもよい。マスクアセンブリは、一般的には、硬いシェル、顔面に接触する柔軟なクッション、額支持体、マスクを頭部に固定するためのヘッドギアを含む。
【0006】
1つの既知のマスクアセンブリでは、ヘッドギアは、4つのストラップを有するキャップ部を含む。使用中、キャップ部は患者の後頭部に係合する。さらに、使用中、2つの下側のストラップはキャップ部と鼻マスクの間を延び、2つの上側のストラップはキャップ部と額支持体の間を延びる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる特許文献7(Kwok、Matchett、およびGrant)を参照のこと。
【0007】
いくつかの患者インターフェースは、患者および/または臨床医がブロワー、ブロワー管、および/またはマスク/ヘッドギアアセンブリから解放することを可能にするため、迅速なまたは便利な解放機構を含む。迅速なまたは便利な解放機構は、NPPV治療を一時的に中断する必要がある場合、またはシステムの故障によって患者インターフェースへのガスフローの停止が生じた場合に有用である。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/482718号に開示されているように、便利に配置されたコードを引張って、例えばヘッドギアアセンブリの後部に位置付けられたフックループ式締結具を外すことにより、ヘッドギアおよびマスクを取り外すことができる。別の例では、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/504220号に開示されているように、マスクのフレームに直接接続された、ヘッドストラップのコネクタ部材を外すことにより、ヘッドギア/マスクアセンブリを患者から取り外すことができる。SleepNet(商標)IQTMマスクによって使用されていると考えられる迅速に分離可能な連結具を開示している、特許文献8も参照のこと。
【0008】
患者は、患者インターフェースを着用したまま眠ることができなければならないので、それが快適であることが望ましい。それに加えて、患者インターフェースは、漏れを防ぐまたは低減するため、あるいは漏れがある場合にそれをより良好に制御し、治療の効率を維持するため、良好なシールを提供するべきである。人の鼻、顔面、および頭部の形状は、商業上の観点から見て非常に様々であるので、多数のサイズによって余分な在庫を有する必要なく、顔の形状のこの範囲に適応することができる患者インターフェースを製造できることが重要である。多数の患者インターフェースが、患者の快適さ、使用の容易さ、調整性、および広範囲の患者の顔面および頭部の形状に適応する能力という目的を考慮して設計されてきた。
【0009】
特許文献9(SullivanおよびBruderer)は、NPPV治療に使用するのに適した患者インターフェース(鼻マスクおよび全面マスクの両方)を提供する。このマスクは、意図される着用者の鼻領域に適合するようにサイズ決めされ形作られたシェルに取り付けられた、顔面に接触する部分を有し、顔面に接触する部分は、弾性材から成型された膨張可能な膜の形態である。特許文献9は、その全体が参照により組み込まれる。
【0010】
特許文献10および同第6112746号(KwokおよびStyles)はそれぞれ、膜がそこから延びるほぼ三角形に形作られたフレームを備える鼻クッションを記載している。これらの特許は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0011】
他の鼻マスクは、それらの全体が参照により組み込まれる特許文献15および同第6119694号に開示されている。それぞれ、鼻の先端と、または患者の上唇の直ぐ上の水平面にある鼻の部分と係合する、鼻クッションを記載している。その全体が参照により組み込まれる特許文献12では、三角形に形作られた鼻クッションは、患者の顔面に向かって狭まる先細の外形を含む。これらの従来技術のマスク/クッションのいくつかは、患者の快適さ、潜在的な鼻孔の閉塞、安定性および/またはシール(特に鼻梁および頬領域における)の観点から、重大な課題を直面してきた。
【0012】
多数の調節可能な額支持体が、実用的なシールを達成すると同時に、患者の快適さを増加させ、集団内で最大数の患者に適応する目的で開発されてきた。例えば、特許文献7(Kwok、Matchett、およびGrant)は、鼻マスクまたは全面マスクのための調節可能な額支持体を記載している。額支持体は、横顔の異なる形状およびサイズに対して調節されてもよい。顔面に対するシールの角度は、この発明を用いて調節されてもよい。特許文献7は、その全体が相互参照によって組み込まれる。特許文献13では、呼吸マスクに固定されるように適合された額支持体が開示されている。特許文献13は、その全体が相互参照によって組み込まれる。
【特許文献1】米国特許第6907882号明細書
【特許文献2】米国特許第4944310号明細書
【特許文献3】米国特許第5245995号明細書
【特許文献4】米国特許第5704345号明細書
【特許文献5】国際公開第98/12965号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/61088号パンフレット
【特許文献7】米国特許第6119693号明細書
【特許文献8】米国特許第3990727号明細書
【特許文献9】米国特許第5243971号明細書
【特許文献10】米国特許第6357441号明細書
【特許文献11】米国特許第6112746号明細書
【特許文献12】国際公開第00/69521号パンフレット
【特許文献13】国際公開第00/78384号パンフレット
【特許文献14】米国特許第6412487号明細書
【特許文献15】米国特許第5724965号明細書
【非特許文献1】Gray’s Anatomy, Thirty−Eighth Edition(1995), Figures 6.133A, B, 6.135A and 11.3A, B
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、従来技術の欠点または制限を克服することができるマスクアセンブリを提供する必要性が、当該分野において高まっている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの特徴は、NPPV治療を行うための快適な患者インターフェースを対象とする。
【0015】
本発明の別の特徴は、NPPV治療の改善された患者コンプライアンスが得られる患者インターフェースを提供することである。
【0016】
本発明の別の特徴は、既知のマスクに比べて鼻のより狭い範囲でシールすることができるとともに、ResMed Mirage(登録商標)およびUltra Mirage(登録商標)クッションの快適さのレベルを保持するか、またはそれを超えるクッションを作成することである。
【0017】
本発明のさらなる特徴は、鼻マスクの知覚されるサイズおよび/または重量、かつ/または実際のサイズおよび/または重量を低減し、侵襲性がより低いマスクをユーザに提供することである。
【0018】
本発明の別の特徴は、マスクおよびヘッドギアが、患者が迅速に取り付けかつ/または取り外すために便利かつ直感的に正しい位置に提供された、低減された接続量を有するとともに、誤って容易に外れることがない、マスクアセンブリを提供することである。特定の特徴として、フレームおよびヘッドギアアセンブリに動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリが提供されて、フレームおよびヘッドギアアセンブリを、フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることができるようにしてもよい。
【0019】
本発明の別の特徴は、額支持体または額支持体用の調節機構を提供する必要がないにもかかわらず、使用中のマスクの安定性を維持する、マスクアセンブリを提供することである。
【0020】
別の特徴は、製造に必要な在庫数と、異なるサイズのマスク/クッションの数を減少させるまたは最小限に抑えるため、広範囲の患者に適応することができる鼻マスクを提供することである。
【0021】
本発明のさらに別の特徴は、例えば、特に患者の敏感な鼻梁領域に対して、顔面に接触する領域における望ましくない局所的な圧力点の適用をより良好に回避することにより、さらなる快適さを患者に提供するとともに、シールを形成または維持するための陽圧の支援の有無にかかわらず良好なシールを維持する鼻マスクを提供することである。本発明の別の特徴は、上側の鼻梁領域との接触を回避するとともに、骨部分がより多くの軟骨を含む鼻の部分へ移行する下側の鼻梁領域に沿った局所的な圧力点を回避することである。
【0022】
本発明の別の特徴は、患者の外鼻孔(1つまたは複数)および鼻腔を通る、特に鼻孔を通る気流のインピーダンスを増加させる場合がある、望ましくない局所的な接触の圧力または力の適用を回避することである。
【0023】
さらに別の特徴は、マスク/クッションアセンブリに追加の安定性を提供することができる、ヘッドギアアセンブリを提供することである。実施形態においては、ヘッドギアは、マスク/クッションアセンブリの安定化を助けるため、ヘッドストラップにある程度の剛性を付与する、少なくとも1つの層から作られるか、または含んでもよく、それによって額支持体を不要にすることができ、それにより、患者の眼付近の視覚的な妨害が減少され、マスクシステムの使用中に、患者が眼鏡を身に付け、装着し、または取り外す能力がより良好に向上されるか、あるいは少なくとも妨害されない。複数層構造を提供する代わりに、ヘッドストラップ自体の少なくとも一部が、比較的柔軟なヘッドストラップに比べて、比較的剛性の高い材料から作られてもよい。ヘッドギアは、ヘッドストラップおよび/またはマスクフレームに、迅速かつ容易に取り付けかつ/または取り外すことができる、比較的大きく、手で操作可能なクリップ部材を含んでもよい。あるいは、ヘッドギアは、マスクフレームと磁気的に結合されてもよい。
【0024】
本発明の別の特徴は、操作に力または器用さをほとんど必要としない、便利なまたは迅速な解放機構を提供することである。
【0025】
本発明の別の特徴は、ヘッドストラップのクリップ部材をフレームから容易に外すことができるように、迅速解放機構を含む、かつ/または組み込むフレームを提供することである。迅速解放機構は、フレームと継目なしに形成された少なくとも1つのコネクタ部分を含んでもよい。噛合するコネクタ部分は、ヘッドギアの部分上に提供することができる。マスクシステムは、空気供給導管を介して送達される加圧空気の供給源に取り付けられる。加圧空気を患者の気道の入口に供給するため、導管は、マスクチャンバと流体連通している内腔によってマスクに直接取り付けられてもよい。好ましくは、中間片は空気供給導管をマスクに接続する。好ましくは、中間片は、さらに後述されるエルボ継手である。フレームは、マスクの外側表面から出る延長チューブを含んでもよく、それにより、エルボ継手とマスクフレームとの間のシールを改善し、マスクフレームとエルボ継手との間の接続の安定性も改善することができる。延長チューブは、エルボアセンブリに取り付けるためのフランジを含んでもよい。好ましくは、エルボアセンブリは、患者の治療を一時的に中断している間、エルボ継手をマスクフレームから迅速かつ容易に外すように、容易に操作されてもよい。エルボアセンブリは、雰囲気への通気孔を含んでもよい。好ましくは、例えばエルボ継手の部分内に提供されたバッフルを使用することにより、入ってくるガスの経路から分離された排気路を介して、通気孔はシステムの空気経路と流体連通している。
【0026】
本発明の別の特徴は、ほぼ台形状に形作られた、患者インターフェースのためのマスククッションを提供することである。
【0027】
本発明の別の特徴は、呼吸に適したガスを患者に供給する呼吸マスクアセンブリを提供する。一実施形態による呼吸マスクアセンブリは、主要本体と、主要本体の各側面上に提供されたサイドフレーム部材とを有するフレームを含む。各サイドフレーム部材は、一体に形成された第1のコネクタ部分を含む。ヘッドギアアセンブリは、フレームに取外し可能に取り付けることができる。ヘッドギアアセンブリは、フレーム上に提供された第1のコネクタ部分と取外し可能に結合されるように適合された第2のコネクタ部分を有する。第2のコネクタ部分は、ヘッドギアアセンブリをフレームから外す解放位置へ、手動で移動可能である。ヘッドギアアセンブリは、フレームに対して回転調節可能である。
【0028】
本発明の別の特徴は、メインフレームと、メインフレーム本体の各側面にそれぞれ設けられたサイドフレーム部材とを有するフレームと、ヘッドギアアセンブリと、フレームおよびヘッドギアアセンブリを、フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることを可能にするための、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリと動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリとを備える、呼吸に適したガスを患者に供給するための呼吸マスクアセンブリを提供する。
【0029】
さらに別の実施形態によれば、マスク内に形成されるように適合された、少なくとも第1の磁気素子を含むコネクタレセプタと、ヘッドギアアセンブリと結合された、少なくとも第2の磁気素子を含むコネクタとを備え、マスクをヘッドギアアセンブリに固定するためにコネクタがコネクタレセプタと係合可能であり、第1および第2の磁気素子は、コネクタとコネクタレセプタの間の係合および位置調節を容易にするように位置付けされ極性が決められる(poled)、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリが提供される。
【0030】
さらに別の実施形態によれば、ヘッドギアアセンブリと結合されたコネクタと、マスクに取り付けられた、係止位置と解放位置との間で揺動可能な揺動スイッチであって、係止位置ではコネクタと係合可能な揺動スイッチとを備え、第1の磁石はマスク上に配置され、第2の磁石は揺動スイッチの脚部上に配置され、揺動スイッチが係止位置にあるとき、第1および第2の磁石は対向する関係で配置されている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリが提供される。
【0031】
当然ながら、本発明の記載される特徴の部分は、本発明の下位の特徴を形成してもよい。また、下位の特徴および/または特徴の様々なものは、様々な形で組み合わされてもよく、さらに、本発明の追加の特徴または下位の特徴を構成してもよい。本発明のこれらおよび他の特徴および態様は、添付図面と併せて読まれる以下の詳細な説明に記載され、またはそれから明らかであり、図面において、類似の参照番号は類似の構成要素を示す。
【0032】
添付図面は、本発明の様々な実施形態についての理解を容易にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
いくつかの実施形態または実施例が図面に記載されている。各実施形態の特徴および/または部分の多くは同一であるが、いくつかの異なる部分および/または要素がある。例えば、図1は、本発明によるエルボアセンブリ60の一実施形態を示し、図6a〜6bは、エルボアセンブリ60の別の装置を示す。実施形態間の他の差異が後述される。また、様々な部分および/または要素に関していくつかの別の方策も記載され、それらの別の方策は、本発明の追加の好ましい実施形態と見なされるべきである。
【0034】
図1〜4に示されるように、本発明の好ましい一実施形態による鼻マスクアセンブリ10は、フレーム20と、好ましくはフレーム20に分離可能に接続されたクッション40とを含む。あるいは、クッション40は、例えば同時成型またはオーバーモールド技術、接着剤、および/または機械的締結手段を使用して、フレーム20に恒久的に取り付けることができる。自在エルボアセンブリ60およびヘッドギアアセンブリ80は、フレーム20に取り付けることができる。図1は、鼻マスクアセンブリ10を、一般に、ヒトの頭部の上に取り付けられるように意図されるものとして示す。当然ながら、図1の描写は、理解を容易にするため、頭部からわずかに離間して、または「浮いて」いる。図1bは、フレーム20が取り除かれた、平坦に広げられたヘッドギアアセンブリを示す。図2は左側面から見たマスクアセンブリ10を示し、図3はその正面図を示し、図4はその上面図を示す。図2〜4では、ヘッドギアアセンブリ80の後面部は、明瞭にするために取り除かれている。
【0035】
[マスクフレーム]
図5に示されるように、フレーム20は、自在エルボアセンブリ60に接続するための中央のボア24を有する細長い本体22を含む。図5aは、クッション40、エルボアセンブリ60、およびヘッドギアアセンブリ80が外されている、フレーム20の上面図である。フレーム20は、クッション40を収容するように設計された主要本体20aと、好ましくはフレーム20の主要本体20aと継目なしに形成された一対のサイドフレーム部材20bとを含む。図5aは、両方のサイドフレーム部材が好ましくは同じ構成を有することを示す。主要本体20aおよびサイドフレーム部材20bは、鼻の両側で患者の顔面の輪郭にほぼ追随する曲率を有するように設計されている。本発明の一実施形態によれば、曲率は、包括角度120°を有する2つのサイド部材からの平滑な移行に追随する。クッション40が適所にある場合、主要本体20aは、患者の鼻と接触することを防ぐため、鼻領域において患者の顔面から離間する一方、サイドフレーム部材20bは頬領域にほぼ平行である。この範囲では接触は望ましくないため、各サイドフレーム部材20bと患者の頬との間の空間が維持される。しかし、必要に応じて、サイドフレーム部材20bは、患者の頬領域に係合するパッド構造などの快適な機構を含むように構成されてもよい。そのようなパッドは、治療モードにおいて圧力が加えられたとき、頬を支持するのを助けるという利点を有することができる。
【0036】
フレーム20の湾曲した設計および他の特徴に基づいて、マスクアセンブリ10の重心CG1(図5b)は、患者の顔面により接近して作ることができる。そのようにして、例えばマスクアセンブリの重量によって垂直面で作成される、回転トルクまたはモーメントを低減することができる。例えば、患者が、図5bに示されるような直立位置で座っている場合、マスクアセンブリ10の重量は、水平面内で患者の鼻に直交する軸線A(紙面の奥に向かう)の周りのトルクを生じさせる場合がある。そのトルクは、一般にクッションの上唇領域に沿って位置付けられる軸線Aの周りで、矢印Bの方向にマスクアセンブリ10を回転させる傾向がある力を生じさせる場合がある。そのようなトルクは、上唇領域に沿った患者の不快感、および/または、下側鼻梁領域の周囲および/または頬領域のシールの低減につながることがある。具体的には、顔面に近接して位置する重心CG1が生じさせるトルクは、顔面からさらに離れた重心CG2を有するマスクよりも少ない場合がある。これは、重心CG1、CG2と顔面の間の距離d1、d2が、トルク(トルク=力×レバーアーム)を測定するのに使用されるレバーアームを形成するためである。したがって、力またはレバーアームが低減されると、トルクが低減され得る。患者が横向きに横たわっていても、同様のトルクが作成される場合がある。トルクは、長さおよびクッションに対する高さなどの特徴を含む、エルボの幾何学形状によって影響される。特にエルボの構成によって決まる、アセンブリの有効なレバーアームの長さを最小限に抑えることが望ましい。
【0037】
マスクアセンブリの重心と顔面の間の距離を低減することに寄与する他の要因としては、クッション40の設計、フレーム20の設計、およびエルボアセンブリ60の設計が挙げられる。マスクの安定性に影響を及ぼすことがある他のトルク源は、エルボアセンブリ60のガス供給チューブへの接続である。実際には、ガス供給チューブは、エルボアセンブリ60に力を付与してもよく、それが次に、マスクアセンブリを患者に対してシフトさせる傾向があるトルクを作成してもよい。エルボアセンブリとガス供給チューブの接続によって患者に適用されるトルクの量は、図16a〜19c−2に関して後述されるエルボアセンブリ60を使用して低減することができる。要するに、エルボアセンブリはガス供給チューブ310(図26)に直接接続されるように設計されているので、いくつかの従来技術に現在使用されているように、エルボアセンブリとガス供給チューブ310との間に中間自在コネクタ部材300(図6bおよび23)を使用する必要なしに、エルボアセンブリのレバーアームを有効に低減することができる。あるいは、スイベルはチューブ内に組み込まれてもよい。このようにして、移動の追加の自由度が、望ましくないトルクを増加させることなく加えられてもよい。また、クッション40は、少なくともクッション40の唇および頬領域に沿って圧力を分配するように設計されるので、垂直面内で回転する可能性または傾向がさらに低減される。さらに、クッション40の頬領域はそれぞれ垂直方向に延長され、水平方向に広げられた、比較的大きな接触圧力受取り面を形成する。よって、クッション40は、少なくとも頬領域において、垂直および/または水平面内の回転運動に抵抗し、それが、クッション40を患者の上で一定の位置に維持する助けとなる。クッション40のさらなる詳細は、図24a〜25iに関して後述される。図5cを参照すると、フレーム20は、クッション40に接続するための、ほぼ台形状の形状を有するチャネル26を含む。チャネル26は、内壁28、外壁30、およびチャネル床面32を含む。チャネル26はさらに詳細に後述される。
【0038】
図6aは、図1〜5cに示されるフレーム20およびエルボアセンブリ60とわずかに異なる、フレーム20およびエルボアセンブリ60を示す。実施形態の間の主な差異はエルボアセンブリ60にあるが、様々な図面を比較することによって容易に分かるように、または以下の様々なセクションの記載と併せて理解されるように、フレーム20、クッション40などの間に他の差異がある。類似の要素は類似の参照番号で示される。
【0039】
図6aおよび6bでは、エルボアセンブリ60は、ResMedのULTRA MIRAGE(登録商標)マスク上に提供されたものに類似の、かつ米国特許出願第09/594775号(Drewら)に記載されている機構を使用して、フレーム20内に突出するエルボアセンブリ60の部分上に提供された周溝25内に嵌合するように収縮することができるCクリップ23(図6b)を使用して、マスク20に取り付けられる。クッション40、フレーム20、エルボアセンブリ60、およびガス供給チューブの分解組立図は、図6bに示される。Cクリップ23は、エルボアセンブリ60のフレーム20からの望ましくない分離を防ぐため、フレーム20の内面に係合する表面を有する。エルボアセンブリ60は、また、例えば特に吐出された二酸化炭素のガス排出のため、雰囲気に向かって開いた一以上の通気開口部61を含んでもよい。通気開口部61は、治療圧力が鼻腔内で維持されるように構成される。通気開口部61は、エルボアセンブリ60の外側表面上に弾性的かつ取外し可能にクリップで留められる、シェル部材65で覆われてもよい。図6aの通気開口部61は、透明なシェル部材65を介して見ることができる。シェル部材65およびCクリップの詳細は、すべて参照により本明細書に組み込まれるResMedの米国特許出願第09/502745号明細書、同第09/594775号明細書、または特許文献13に記載されている。
【0040】
図6aに示されるように、チャネル26の内壁28は、好ましくは、外壁30がフレーム20から離れて延びる距離よりも大きな距離まで、フレーム20から離れる方向に延びる。図5cおよび32dもまた、外壁30がフレーム20から離れて延びる距離よりも大きな距離を、内壁28がフレーム20から離れる方向に延びることを示す。図32dに示されるように、内壁28の厚さは、約1〜2mm、好ましくは1.4mmであり、外壁30の厚さは、約1〜2mm、好ましくは1.4mmであり、内壁28と外壁30の頂部との間の距離は、0.5〜10mm、好ましくは2mmである。さらに、図32dに示されるように、互いに向かい合った内壁28と外壁30の直立表面との間のチャネル26の幅は、約2〜10mm、好ましくは5mmである。
【0041】
内壁28と外壁30との間のこの相対距離を採用することによって、クッション40のフレーム20に対する係合が容易になる。クッションおよびマスクフレームがともに移動されると、内壁28は、クッションの整列を視覚的および/または触覚的に示唆し、その結果、図27a〜29dおよび32a−1〜32c−2を参照してさらに十分に説明されるように、クッション40の側壁または中央部分215(図24eおよび27a)の縁部をチャネル26内に案内することにより、係合プロセスの継続を容易にする。チャネル26が、正三角形、円形、正方形、または長方形などのより対称な形状を有する場合のように、追加の案内片を必要とすることなく、チャネル26に対する正確なクッションの配向の案内を達成するように、チャネル26の形状、例えば図5cに見られるようなほぼ台形の形状が選択される。ただし、クッションのチャネル26は、これらの形状のいずれをも採用することができる。
【0042】
図5cおよび6aに見られるように、フレーム20は、ヘッドギアアセンブリ80の各係止クリップ82(図9aおよび10a)に接続するようにフレーム20の各側面に位置付けられた、係止クリップ受け具アセンブリ34を含む。各係止クリップ受け具アセンブリ34は、係合面35(図5c)、中央支持スロット36、および中央支持スロット36の向かい合った側面上に位置付けられた2つの係止スロット38を含む。中央支持スロット36および係止スロット38は、ほぼ長方形の断面を有する。係止スロット38はそれぞれ、後述するように、係止クリップ82の1つの各係止タブ116(図9aおよび9b)と係合するための、その外壁上に位置付けられた係止フランジ(図7)を含む。チャネル38は、係止フランジ39(図7)に加えて、またはその代わりに、フレーム20の外壁にスロット71(図10a)を備えてもよい。図5aには、フレーム20の底部のスロット71が見られるが、図4は、フレーム20の頭部からのスロット71を示す。スロット71は、フレーム20の側壁全体にわたって延びる必要はない。
【0043】
[ヘッドギアアセンブリ]
図1bは、フレーム20またはクッション40のない、本発明の一実施形態によるヘッドギアアセンブリ80を示す。図1bでは、ヘッドギアアセンブリは平坦に広げられて示される。
【0044】
[ストラップおよびヨーク]
図1〜4を参照すると、ヘッドギアアセンブリ80は一対の前側ストラップ84を含み、左および右前側ストラップ84は好ましくは互いに鏡像関係にある。前側ストラップ84はそれぞれ、全体的に「Y」字形状であり、すべて継目なしに形成された、または別の方法として機械的締結などによって相互接続された、前側ストラップ端部86、上側ストラップ端部88、および後側ストラップ端部90を有する。ストラップは、積層された布地および発泡体から作られる。1つの市販の材料は、米国のAccumed Inc.製の「Breath−O−Prene」(商標)である。ストラップの締結は、VELCRO(登録商標)などのフックループ式材料を使用することによって可能とされてもよいが、さらに十分に後述されるように、ストラップは係止クリップ82を使用してフレーム20に締結されるので、ストラップは、フックループ式締結具を含む必要はない。図1〜3および8に示されるように、ヨーク92は各前側ストラップ84に取り付けられる。各ヨーク92は、対応する前側ストラップ84と同じ全体形状を有し、前方端部94、上側端部96、および後側端部98を有する。各ヨーク92は、ある程度剛性を有する材料、例えばプラスチックで構成され、0.3〜2.0mm、好ましくは1mmの厚さを有する。プラスチックの例としては、ナイロン11またはポリプロピレンが挙げられる。ヨーク92は、接着剤、スティッチ溶着、または他の既知の取付け機構を用いて、対応する前側ストラップ84に取り付けられる。ストラップおよびヨークの配置は、異なる方向で様々な柔軟性を有することができ、例えば、第1の方向では剛性であるが(例えば、自在エルボ、関連する導管などの重量による変形に抵抗するように)、第1の方向にほぼ直交する方向では柔軟とすることができる。マスクをユーザの頭部に着用させる際、ヨークの相対的な剛性は、フレームおよびクッションをユーザ上で正確な位置に位置付ける助けとなる。前側ストラップ84と同じ全体形状を有するものの、この実施形態における上側端部96および後側端部98は、前側ストラップ84の上側ストラップ端部88および後側ストラップ端部90と同じ程度には延びない。しかし、別の実施形態では、上側端部96は、上側ストラップ88の全長に沿って延び、コネクタ要素128(図1)と一体に、または継目なしに形成されてもよい。ヨーク92はまた、前側ストラップよりも幅が狭いので、互いに取り付けられたときに、前側ストラップ84のより柔軟な材料がヨーク92のより硬い材料を越えて延び、それによって、痒みまたは不快感を引き起こすことがある、ユーザとヨーク92とのより硬い材料との接触の機会が防止されるか、少なくとも低減される。ストラップおよび関連するヨークは、多層構造、例えば2層から形成されるが、患者の快適さおよび適切な硬直性/柔軟性が維持される限り、ストラップ84およびヨーク92は単一材料で形成することができる。
【0045】
ヨーク92は、特定の面および方向におけるストラップ84の硬直性を増加させ、それが、使用の間、患者の頭部上でマスクアセンブリ10を安定化させるのを支援する。他の面および方向では、ヨークおよびストラップアセンブリは異なる硬直性を有する。例えば、ストラップおよびヨークは、患者の顔面に向かう、またはそれから離れる方向への曲がりまたは屈曲に抵抗することができるべきである。一般に、ストラップ84およびヨーク92がフレーム20に接続されるとき、ストラップ84およびヨーク92は、患者の頭部に対するそれらの位置を維持することができるべきである。さらに、マスクフレーム20は、額支持体アセンブリを備える必要はなく、額支持体を備えたマスクに比べて患者の視界の妨げがより少ないので、それが患者の快適さをさらに増加させてもよい。当然ながら、必要に応じて、追加の安定性または快適さのため、上述のタイプの額支持体が提供されてもよい。また、マスクフレーム20は顎ストラップを備える必要はないが、必要に応じて、追加の安定性または快適さのため、顎ストラップが提供されてもよい。それに加えて、額支援体の取外しを越えて、ストラップ84およびヨーク92の形状は、患者の視界に対する干渉を回避するように選択されている。特に、適合されたとき、各ヨーク92の前側端部94は、患者の眼よりも下でフレーム20に接続され、好ましくは、頬領域を横切る湾曲した円弧に沿って延びる。各ストラップ84の上側端部88および各ヨークの上側端部96は、患者の頭部のこめかみ領域に沿ってY字形の交差部から離れる方向に延びる。ヨーク92の後側端部98およびストラップ84の後側端部90は、より十分に後述されるように、後側ストラップ部材138と接続するため、下向きに、かつ患者の耳の周りで湾曲される。ヨーク92によって提供される硬直性により、ストラップ84は、予め定められた形状をより良好に維持することができる。一方、患者の生理学的変化にある程度適応することができるように、ヨーク92およびストラップ84のある程度の柔軟性が提供される。ヨークの厚さも、柔軟性特性を修正するため、その断面全体にわたって変化することができ、例えば、より厚い領域はより剛性であってもよい。
【0046】
図8に示されるように、各ヨーク92は、前側端部94上に位置付けられた取付けフランジ100を有する。取付けフランジ100は、ボア103につながるアパーチャまたは鍵穴101を有する(図8aを参照)。2つの半環状フランジ102は、スロット104によって互いから分離される。半環状フランジ102の半径方向内側表面は、中央ボア103を形成する。ヨーク92はまた、取付けフランジ100の後方に位置付けられたスプリングタブ106を有し、スプリングタブの前側部分はヨーク92に接続され、空間107によってヨーク92から分離された後側部分は、圧力がスプリングタブ106に加えられたとき、ヨーク92に対して屈曲することができる。スプリングタブ106は、好ましくは、取付けフランジ100の軸線の周りで円弧状に位置付けられた、複数の隆起した歯108を有する。スプリングタブ106は、また、ユーザがスプリングタブ106を配置し、係合し、操作するのを支援するため、その自由端に、模様付き表面110(図8)または隆起した位置決め部材110a(図8a)を有する。図8aは、ヨーク92をヘッドストラップ84に縫合する方法を含む、ヨーク92の詳細をより良好に示すための、図8に示されるもののような右側ヨーク92およびストラップ84の拡大図である。係止または摩擦などの他の固定機構が使用されてもよい。
【0047】
[係止クリップ]
係止クリップ82は、各取付けフランジ100に調節可能に取り付けられる。図9aおよび9bに示されるように、各係止クリップ82は主要本体112を含む。2つのスプリングアーム114が主要本体112の両側に取り付けられ、ほぼ平行な形で主要本体から離れる方向に延びる。留めフック116(latch hook)は、各スプリングアーム114の自由端に取り付けられる。
【0048】
図10aに示されるように、クリップ82を挿入して、フレーム20の係止クリップ係合受け具34と解放可能に係合させることができる。図10aでは、1つのクリップ82のみが示され、クリップ82はヨーク92に組み合わされない。各留めフック116は、フレームの各チャネル38(図5c)内に受け入れられる。図10aでは、留めフック116の遠位端は、チャネル38の各凹部71内に外向きに屈曲する直前の位置で示されている。図4は、凹部71内の係合位置にある留めフックの遠位端を示す。当然ながら、クリップ82または少なくともその留めフック116をフレーム20内に形成することができ、チャネル38または少なくとも凹部71をストラップおよび/またはヨーク上に形成することができる。
【0049】
また、図4および10aは、係止クリップ82およびフレーム20の外側表面が、好ましくは、接続するときに中断されないほぼ連続する表面を形成することを示す。好ましくは、係止クリップ82は、各端部においてフレーム20と同程度幅広であり、それによって、患者が係止クリップを触覚によって位置確認することが容易になる。スプリングアーム114は、係止クリップの主要本体の面内で屈曲するように設計され、それによって、係止クリップ82を取り付け/取り外す容易さがさらに改善される。この位置付けは、解放機構のエルゴノミクスを改善する。患者の親指および反対の指を使用して、係止クリップ82を容易に位置確認し操作することができる。また、それらのサイズがより大きいことにより、最も不器用な患者が係止クリップ82を操作することができる。さらに、係止クリップ82とストラップ84/ヨーク92との間の長さ調節が不要なように、係止クリップ82は、ストラップ84/ヨーク92に接続される。
【0050】
係止クリップ82は、主要本体112から横方向外向きに延びる保持フランジ118(図9b)を含む。保持フランジ118は、保持フランジ118の軸線に沿って延びる中央ハブ119と、中央ハブ119の両側に中央ハブ119から横に延びる2つの保持タブ120とを有する。図10b〜dは、図9aおよび9bに示される特徴に類似した、図10aに示される係止クリップ82のさらなる詳細を示す。係止クリップ82は、ヨーク92から分離されているものとして示されているが、クリップおよびヨーク92は、その2つの間の相対的な移動および/または取外しが不要の場合、継目なしに形成できることが理解される。反対に、クリップ82およびフレーム20は一体のユニットとして形成することができ、クリップ部分はヨークに接続することができる。
【0051】
保持フランジ118は、保持タブ120が、スロット104と整列できるようにサイズ決めされ、かつ形作られ、保持フランジ118は、ヨーク92の取付けフランジ100に軸方向に挿入される。中央ハブ119は、係止クリップ82およびヨーク92が互いに回転支持されるように、中央ボア103と近い公差を有するようにサイズ決めされる。保持フランジ118が取付けフランジ100に挿入されると、保持タブ120がフランジ102の内側表面に係合し、それによって取付けクリップ82をヨーク92に軸方向に係止するように、係止クリップ82は、ヨーク92に対して回転することができる。図10e〜gは、ヨーク92に対して様々な位置の係止クリップ82を示す。図10eでは、クリップ82のタブ120はヨーク92の開口部104を通って挿入されており、クリップ82は矢印Aの方向に沿ってわずかに回転されているので、タブ120の上側表面は、半環状部分102の内側表面にしっかり係合する。屈曲アーム114がヨーク92の前側端部94に対して約90°に位置付けられるように、クリップ82が取り付けられたとき、クリップ82をヨーク92から取り外すことができる。この実施形態では、取外しが生じ得る2つの位置があり、それらの位置の両方が、マスクの通常の使用中に生じないように選択され、そうでなければ、クリップ82はヨーク92から不用意に外れる場合がある。図10fおよび10gは、ヨーク92に対して異なる回転方向にあるクリップ82を示す。
【0052】
図9bおよび10bに見られるように、係止クリップは、また、保持フランジ118の軸線の周りで円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯122を有する。歯122は、スプリングタブ106上で歯108に係合するように、構成され配置される。スプリングタブ106が下側の歯108まで押し下げられると、係止クリップ82は、ヨーク92に対して所望の位置まで回転することができる。次に、歯108が(歯のピッチ内の)所望の位置で歯122に係合し、ヨーク92に対して係止クリップ82を回転係止するように、スプリングタブ106を解放することができる。一実施形態によれば、予め定められたトルクが係止クリップ82に適用されたとき、歯122が自動的に歯108およびスプリングタブ106を下向きにして、トルクが除去され歯108が歯122に再係合するまで係止クリップ82が回転できるように、歯108および122を構成することができる。したがって、歯108と歯122の係合の位置に応じて、係止クリップ82を、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でヨーク92に対して回転調節することができる。利用可能な回転調節の角度は、歯108および122の数および位置を変更することによって、必要に応じて変更することができる。調節角度範囲は、顔面上で求められる相対的なクッション位置を反映する。上述したような歯付きのシステムを用いた回転調節により、患者による容易な調節が可能になり、患者の顔面の広範囲に適応する広い範囲の位置が可能になる。例えば、患者は、ヨーク92に対して同じ角度を有するように、両方の係止クリップ82を調節してもよい。あるいは、患者は、係止クリップ82がヨーク92に対して異なるそれぞれの角度を有するように、係止クリップ82を調節してもよい。歯付きのシステムにより、患者が、各係止クリップ82の所望の角度を容易に設定し再現することが可能になる。例えば、歯付きのシステムは、例えば、ほとんどの顔面に適応するであろう5つの位置で、各係止クリップとその各ヨークとの相対的な移動を可能にしてもよい。当然ながら、用途に応じて、5つよりも多いまたは少ない位置を代わりに使用することができる。さらに、ヨーク92に対する各係止クリップ82の特定の角度が望ましいと判断されると、マスクシステムは、ヨーク92に対する係止クリップ82の回転位置を固定する、調節不能なクリップの配置を含んでもよい。歯は、患者が容易にヨークに対する係止クリップの相対的位置を決定できるように十分に大きい。
【0053】
さらに、スプリングタブ106は、患者が、例えば睡眠中に係止クリップ/ヨークの上に寝返りを打つことによって、不用意にスプリングタブ106を押し下げて、係止クリップ82をヨーク92に対して動かすことがないように構成され位置付けられる。例えば、図10e〜10gおよび図36(別の実施形態)に示されるように、係止クリップ82は、スプリングタブ106よりも、ヨーク92からさらに外向きに延びる。換言すれば、スプリングタブ106は、係止クリップ82の外側縁部よりも下に位置付けられる。したがって、スプリングタブ106に対する係止クリップ82の位置により、スプリングタブ106の不容易な動きが防止される。さらに、スプリングタブ106の歯108が係止クリップ82の歯122から係脱することなく、ヨーク92がスプリングタブ106に向かって、かつそれから離れる方向に屈曲することができるようにして、スプリングタブ106はヨーク92に接続される。
【0054】
代替的な調節アセンブリは、サブアセンブリのいくつかまたはすべてを単に反転させることによって達成されてもよい。例えば、中央ハブ119はヨーク92上に配置されてもよく、その逆のヨークの中央ボア103は係止クリップ82上に配置されてもよい。同様の方法で、各サブアセンブリおよびその逆のものは、それぞれ反転されてもよい。あるいは、ヨーク92および係止クリップ82は、例えば一部がヨークおよびクリップから分離していてもよい、ねじまたは締付け機構を用いて調節可能に接続されてもよく、それを使用して、複数の所望の位置でヨーク92およびクリップ82を選択的に接続することができる。それに加えて、中央ボア103は、ヨークとクリップとの間の取外しおよび取付けを可能にする任意の方法で形作ることができる。また、係止クリップに対して固定の角度を可能にする、差替えヨークのシステムが使用されてもよい。
【0055】
係止クリップ82はまた、スプリングアーム114の間に、かつそれらにほぼ平行に、主要本体112から外向きに延びる中央支持タブ124を含む。中央支持タブ124は、中央支持スロット36との締りばめを有するように構成されるので、中央支持タブ124が中央支持スロット36に挿入されると、係止クリップ82と係止クリップ受け具アセンブリ34との間で、回転、揺動、または横方向の移動はほとんど許容されない。中央支持タブ124は、フレーム内への整列を支援するため、アーム114よりも長い。係止クリップ82はまた、係止クリップ82の追加の支持を提供するため、係止クリップ82が係止クリップ受け具アセンブリ34に挿入されたとき、係合面35(図5c)に係合する係合面125を有する。留めフック116および/または中央支持タブ124は、スロット36、38に入るのを容易にするため、先細状の幅および/または厚さを有してもよい。また、留めフック116および/または中央支持タブ124は、スロット36、38に入るのを容易にするため、丸くされた、または輪郭が付けられた縁部を有してもよい。さらに、中央支持タブ124は、中央支持タブ124が中央支持スロット36に入るのを容易にするため、中央支持スロット36内に提供された突出部に係合する溝を有してもよい。あるいは、中央支持タブ124は、中央支持スロット36内に提供された溝に係合する突出部を有してもよい。
【0056】
係止クリップ82が係止クリップ受け具アセンブリ34に挿入されると、留めフック116が凹部71(図4)に挿入されるか、または係止フランジ39(図7)に乗ってそれを越えるにしたがって、スプリングアーム114が互いに向かって押される。留めフック116が係止フランジ39または凹部71を越えると、スプリングアーム114は外向きに跳ね返って、留めフック116と係止フランジ39および/または凹部71との係止係合を提供する。留めフック116が係止フランジ39を越えるのに必要な移動が可能になるように、係止スロット38内に十分な遊びが提供される。
【0057】
このようにして、前側ストラップ84、ヨーク92、および係止クリップ82を含む、左および右の前側ストラップアセンブリはそれぞれ、フレーム20に取り付けられることができ、ヨーク92および前側ストラップ84は、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でフレーム20に対して回転調節される。
【0058】
好ましい一実施形態では、係止クリップ82は、射出成形によって形成された単一のプラスチック片である。プラスチックの例としては、ナイロン、アセタール、ポリカーボネート、およびポリプロピレンが挙げられる。一実施形態では、保持タブ120は、ボア126が係止クリップ82の主要本体112を通って延びるままにする、モールド突起による成型プロセスの間に形成され、それにより、保持タブ120の下側表面が主要本体112から分離される。
【0059】
[磁気相互接続の実施形態A]
図33〜37は、フレーム420およびヘッドギアアセンブリ480を取外し可能に結合するための代替実施形態を示す。具体的には、フレーム420およびヨーク492は、ヨーク492がフレーム420に磁気的に結合されてもよいように構成される。
【0060】
図33に示されるように、フレームは、主要本体420aと、一対のサイドフレーム部材420bとを含む。フレーム20の実施形態と同様に、主要本体420aはクッション40と取外し可能に結合されるように構成される。各サイドフレーム部材420bは、ヘッドギアアセンブリ480のヨーク492によって提供される第2のコネクタ部分435に接続する、第1のコネクタ部分434を含む。図示される実施形態では、第1のコネクタ部分434は、サイドフレーム部材420bから外向きに延びる保持構造418を含む。保持構造418は、磁石419を保持するように構成される。一実施形態では、磁石419はネオジムで作成され、直径6.35mmおよび厚さ6.35mmの円筒形状を有する。ただし、保持構造418は、任意の適切なサイズおよび形状の磁石を保持するように構成されてもよい。さらに、サイドフレーム部材420bの外側縁部はそれぞれ、円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯422を含む。
【0061】
図34および35に示されるように、ヘッドギアアセンブリ480のヨーク492はそれぞれ、ヘッドギアアセンブリ80のヨーク92に類似した構造を含む。具体的には、ヨーク492はそれぞれ、その前側端部494上に位置付けられた取付けフランジ400を有する第2のコネクタ部分435を含む。取付けフランジ400は、ボア403につながるアパーチャまたは鍵穴401を有する。2つの半環状フランジ402は、スロット404によって互いから分離される。半環状フランジ402の半径方向内側表面は中央ボア403を形成する。ヨーク492はまた、取付けフランジ400の後方に位置付けられたスプリングタブ406を有し、スプリングタブ406の前側部分はヨーク492に接続され、空間407によってヨーク492から分離された後側部分は、圧力がスプリングタブ406に加えられると、ヨーク492に対して屈曲することができる。スプリングタブ406は、好ましくは、取付けフランジ400の軸線の周りで円弧状に位置付けられた複数の隆起した歯408を有する。スプリングタブ406はまた、ユーザがスプリングタブ406を配置し、係合し、操作するのを支援するため、その自由端に隆起した位置決め部材410を有する。
【0062】
ヨーク92とは対照的に、ヨーク492は、ボア403内に固定される鉄金属ディスク412を含む。一実施形態では、金属ディスク412は、直径14mmおよび厚さ1mmの鋼ワッシャーである。ただし、金属ディスク412は、ヨーク492のボア403内に取り付けることができる任意の適切なサイズおよび形状を有してもよい。さらに、適切なサイズおよび形状の磁石が金属ディスク412の代わりに使用されてもよい。
【0063】
図36および37に示されるように、フレーム420の第1のコネクタ部分434は、磁石419が金属ディスク412と磁気的に結合されるように、ヨーク492の第2のコネクタ部分435に係合される。具体的には、磁石419が金属ディスク412に隣接して位置付けられるか、またはそれに係合され、よって、磁石419と金属ディスク412の間の磁気吸引が可能になって、ヨーク492をフレーム420に対して軸方向に保持するように、磁石419はボア403に軸方向に挿入される。上述したように、ヨーク492とフレーム420との間の磁気吸引の強さは、金属ディスク412を磁石と置き替えることによって増加することができる。保持構造418は、フレーム420およびヨーク492が互いに回転支持されるように、ボア403と近い公差を有するようにサイズ決めされる。
【0064】
さらに、フレーム420上の歯422は、フレーム420がヨーク492と磁気的に結合されたとき、スプリングタブ406上の歯408に係合するように構成され配置される。スプリングタブ406が下側の歯408まで押し下げられると、ヨーク492は、フレーム420に対して所望の位置まで回転することができる。次に、歯408が(歯のピッチ内の)所望の位置で歯422に係合し、ヨーク492に対してフレーム420を回転係止するように、スプリングタブ406を解放することができる。一実施形態によれば、予め定められたトルクがヨーク492に適用されたとき、歯422が自動的に歯408およびスプリングタブ406を下向きにして、トルクが除去され歯408が歯422に再係合するまでヨーク492が回転できるように、歯408および422を構成することができる。したがって、歯408と歯422の係合の位置に応じて、ヨーク492を、約50〜100°、好ましくは75°の角度内でフレーム420に対して回転調節することができる。
【0065】
各サイドフレーム部材420b内の磁石419は、不正確な取付け(例えば、左側ヨーク492が右側フレーム部材420bに)が磁気反発によって認識されるように配向されてもよい。具体的には、1つのサイドフレーム部材420b上の磁石419は、それがヨーク492の1つとだけ磁気的に結合するように配向され、他方のサイドフレーム部材420b上の磁石419は、それがヨーク492の他方とだけ磁気的に結合するように配向される。したがって、フレーム420のヘッドギアアセンブリ480に対する正確な取付けの感覚的認識は、正確に対にされたヨーク492およびサイドフレーム部材420bの磁気吸引によって達成される。この構成により、ヘッドギアアセンブリ480およびフレーム420が正確に組み立てられることが確保される。さらに、磁石419が、金属ディスク412に対して正確な位置に自動的に位置するので、この構成により、フレーム420を、暗所においてもヘッドギアアセンブリ480と容易に結合することが可能になる。ヘッドギアアセンブリ480は、磁石419と金属ディスク412との間の吸引磁力よりも大きな適切な係脱力を加えることにより、フレーム420から容易に外されてもよい。
【0066】
あるいは、フレーム420上の第1のコネクタ部分434は鉄系金属部材を提供してもよく、ヨーク492上の第2のコネクタ部分435は磁石を提供してもよい。
【0067】
[ストラップ]
各前側ストラップ84は、上側ストラップ88を交差ストラップ138の上側ストラップ140と接続するため、上側ストラップ88に取り付けられたはしご型のバックル128を含む。図1〜3および11を参照のこと。バックル128は、接着剤、縫合、および/またはストラップと一体に製造されるなどの他の既知の方法で、上側ストラップ88に取り付けることができる。図11に示される実施形態では、バックル128は、バックルを上側ストラップ88に縫合できるように、正方形の形態の取付けタブ132の周りで均等に離間された複数のボア130を含む。バックルは上側ストラップ140がクロスバー136に巻き付き、上側ストラップ140の自由端がクロスバー134と上側ストラップ140の残りとの間に位置付けられるようにして、既知の方法で上側ストラップ140をその周りに通すことができる、クロスバー134およびクロスバー136をさらに含む。したがって、バックル128と上側ストラップ140との間に張力が加えられると、バックル128と上側ストラップ140との間の接続が張力を受けて自己保持するように、上側ストラップの自由端は、クロスバー134と上側ストラップ140の残りとの間で摩擦によって保持される。ストラップループと組み合わせて使用されれば、単一クロスバーのバックルを使用してストラップを適所に保持することもできる。当然ながら、当該分野で知られているように、バックルの代わりに他のコネクタ部材を使用することができる。
【0068】
図12に示されるように、交差ストラップ138は、弛緩状態において、2つの上側ストラップ140が端部144を有するクロスストラップ142から上向きに延び、全体に細長い形状を有する。交差ストラップ138を着用のための構成で配置するため、2つの上側ストラップ140は、交差位置で保持されるように、交差バックル146に通される。図13および14を参照のこと。このようにして、交差ストラップ138の左上側ストラップ140は右上側ストラップ88のバックル128と接続するように交差し、交差ストラップ138の右上側ストラップ140は左上側ストラップ88のバックル128と接続するように交差する。各ストラップのこの交差は、ヘッドギアアセンブリ80および鼻マスクアセンブリ10をユーザ上の所望の調節位置に維持する助けとなる。ストラップループ148は、各ストラップの自由端を押さえるために使用することができる。図15を参照のこと。本発明の1つの形態では、ストラップは大きめのサイズで供給され、次に人に合う長さに切断される。
【0069】
バックル128および上側ストラップ88と同様に、交差ストラップ端部144を前側ストラップ84の各後側ストラップ端部90に接続できるように、バックル150(図1)をクロスストラップ端部144に取り付けることができる。
【0070】
[自在エルボアセンブリ]
図6aの自在エルボアセンブリ60は、上述したように内部Cクリップ部材を使用する、ResMed LimitedのULTRA MIRAGE(登録商標)マスクに現在使用されているものと同じであってもよい。図6aのエルボアセンブリ60は、コネクタチューブ300(図23)とともに使用されるように意図される。コネクタチューブ300は、エルボアセンブリ60とガス供給チューブ310(図26)との間に提供される。
【0071】
あるいは、自在エルボアセンブリは、図1〜4および16−22にしたがって構成されてもよい。そのような自在エルボアセンブリ60は、自在エルボ160および通気孔カバー180を含んでもよい。自在エルボ160はフレーム20に回転接続される。
【0072】
本発明の別の代替形態では、図6bに示されるように、さらなるスイベルがチューブ310の端部に接続される。
【0073】
図16a−1〜19c−2に示されるように、自在エルボ160は、吸気口162および排気口164を含む。空気チューブ310(図26)は、好ましくは、(接続チューブ300なしで)自在エルボ160のステム166に直接接続されて、加圧された呼吸に適した空気またはガスを、患者による呼吸のため、加圧供給源から空気チューブ310、吸気口162を介して、クッション40内に供給する。
【0074】
排気口164は、例えば、エルボ160の内部の中に提供されたバッフル161を使用して、吸気口162から分離される。図18および19a−1を参照のこと。図示される実施形態では、バッフル161はほぼ平坦な構成を有する。ただし、バッフル161は、排気口164を吸気口162から分離するための、湾曲した構成または任意の他の適切な構成を有してもよい。吸気口162および排気口164の配向は、吸気口162内の方向を示す矢印によって示される、流入ガスの排気口164に沿ったガス排出のフローに対する直接的な影響がより少なくなるように選択された。さらに、バッフル161によって、流入空気が曲がりくねった経路をとり、例えば、約180°回転してから排気口164から出ることができるようにされているので、エルボ160に入るガスは、排気口164に直接流入する傾向がより少ない。
【0075】
エルボ160は、フレーム20およびクッション40によって形成された鼻腔内にガスを提供するため、フレーム20内に提供されたアパーチャ24に係合するように適合された端部169を含む。バッフル161は、エルボの端部169の直ぐ内側で終端する。柔軟な迅速解放機構は、カラー173およびエプロン170を含む。カラー173は、図16bに見られるようなほぼT字形状の部材を含み、それがエルボ160の端部169を取り囲む。好ましくは、組み立ててフレーム20にするときの整列を改善するため、エルボ160の端部169はカラー173を越えて延びる。図18に示されるように、カラー173と端部169の間に受入れ空間183を形成するように、カラー173は、同心の関係で端部169から離れて間隔を置かれる。エプロン170は、好ましくはエルボ160の一体部分として形成され、T字形のカラー173の下側脚部に接続される。2つの溝167が、カラー173とエプロン170の間に提供される。溝167の部分167aにより、T字形のカラー173の下側脚部がエプロン170に対して屈曲することが可能になる。溝の部分167bにより、T字形のカラー173の横部分が、エルボ160の端部169に対して外向きおよび内向きに屈曲することが可能になる。
【0076】
図19a−1〜19c−2は、エルボ160とフレーム20の間の接続を示す連続図を示す。図19a−1〜19a−2は、マスクフレーム20と接続する直前のエルボ160の断面を示す。図19b−1〜19b−2は、ほぼ接続された状態のエルボ160およびフレーム20を示し、図19c−1〜19c−2は、完全に接続された状態のエルボおよびフレームを示す。
【0077】
フレーム20は、アパーチャ24を形成する壁25の遠位端に提供されるフランジ21を含む。図5および5aはフランジ21を示すが、図6aの実施形態は、異なるエルボアセンブリ160が使用されているので、そのようなフランジを示さず、または含まない。フランジ21は、空間183内に挿入されると、カラー173の内側表面の中に形成された突出部181に係合する。この実施形態では、2つの突出部181のみが提供される。フランジ21が溝部分167b(図19c−1〜19c−2)と整列し、その中に受け入れられるまで、フランジ21との係合によって、T字形のカラー173の横部分の各端部における外向きの屈曲(図19b−1〜19b−2)が生じるように、突出部181は、傾斜されるか勾配が付けられる。この状態で、エルボ160がフレーム20に固定されたまま、カラー173はその屈曲されていない状態に戻る。フランジ21の部分は、空間183内に提供された突起165に支えられる。
【0078】
エルボ160とフレーム20とのスナップ動作による接続の間に、カラー173とフランジ21が係合することによって、聞き取れるクリック音または音による指示が得られる。この音による指示は、エルボ160がフレーム20にしっかり取り付けられたことを使用者に知らせるのに有利である。
【0079】
エルボ160をフレーム20から解放するため、カラー173の各側面上の部分185は、突出部181を半径方向外向きに隆起させてフランジ21の通過を可能にするために、互いに向かって屈曲される。このようにして、エルボがCクリップ(図6b)を使用して接続される場合のように、鼻腔の内部にアクセスすることなく、エルボ160を迅速かつ容易にフレーム20から除去することができる。図16bに示されるように、エルボ160の好ましい形態は、ユーザが解放点を見つけるのを支援するため、模様付きの突出部185を含む。向かい合った模様付き部分185の間の距離、すなわちカラー173の直径は、約35〜45mm、好ましくは40mmである。
【0080】
また、エルボ160は、図23に示されるコネクタ300なしで、ガス供給チューブ310(図26)に直接接続するように適合される(図1を参照)。図6bは、エルボとガス供給チューブ310との間のコネクタ300を示す。組み合わされたエルボおよびコネクタ300(図6b)の有効なレバーアームの長さが、患者の頭部/顔面と比べて、フレーム20またはマスクアセンブリ10に望ましくないレベルのトルクが適用される可能性を増加させることがあるので、コネクタ300を除去することが有利である。コネクタ300を使用する必要性がなくなることにより、レバーアームの有効な長さを低減することができ、それにより、マスクアセンブリに適用されるトルクがより少なくなり、その結果安定性が増加する。安定性が増加することで、患者の快適さが増加し、コンプライアンスが増加する。
【0081】
接続状態では、図19a−1〜19c−2に示されるように、フレーム20の壁25の内側表面は導管の端部169の外側表面にシール係合する。これらの表面は、約1〜10mm、好ましくは6mmの距離を互いに係合し、それが、エルボ160とフレーム20の間をシールするとともに、それらの接続に安定性を提供する助けとなる。図19c−1〜19c−2に見られるように、壁25の部分はマスク20の内部に延びて、エルボ160とフレーム20との間の接触面をさらに増加させる。接続状態では、図19c−1〜19c−2に示されるように、カラー173の端部173aは、フレーム20の外側表面20cと同じ高さにある。壁25は、端部169の挿入に対する停止部を形成し、エルボ160とフレーム20との間の漏れを制御できるようにするため、フランジ25a(図19c−2)を含む。一実施形態では、エルボ160とフレーム20との間の漏れは最小限である。別の実施形態では、漏れを防ぐため、エルボ160とフレーム20との間にシール部が提供される。
【0082】
このシステムにより、エルボ160とフレーム20との迅速かつ正確な接続が可能になる。また、単純な分解も可能になる。さらに、エルボ160は、患者が片手でエルボ160を取り付け、またフレーム20から外すことを可能にするように構成される。これは、マスクの洗浄の際、または、患者が、少し後に治療を再開することを意図しながら、セッション中に治療を中断することを選択するべき場合に有利である。エルボアセンブリ60およびフレーム20の接続により、患者が、一時的な治療の中断の間、マスクフレーム、クッション、およびヘッドギアを適所に維持したまま、エルボ160をブロワーのガス供給チューブから迅速に分離できるようになる。アパーチャ24はインピーダンスを低下させ、よって、患者が快適に呼吸できるようにするのに十分に大きいが、それは、十分な量のガスをアパーチャ24に収容できるためである。具体的には、アパーチャ24は、少なくとも180mm2の面積を有する。一実施形態では、アパーチャ24は、20〜30mm、好ましくは27mmの直径と、200〜600mm2の範囲、好ましくは500〜600mm2の範囲の面積とを有する。図示されるように、アパーチャはほぼ円形の形状を有する。ただし、アパーチャは円形以外の形状を有してもよい。さらに、フレームは、それを通る複数のアパーチャを有し、エルボが複数のアパーチャを取り囲むようにしてフレームに結合されてもよい。この点で、本発明の一実施形態によるマスクは、より狭いアパーチャを有する迅速解放機構を含んでいた従来技術のマスク装置と異なる。そのようなより狭いアパーチャを有する迅速解放機構は、患者の不快感、例えば不安、閉所恐怖症につながる場合がある。不快感は、CO2の再呼吸が増加することによって、またはフローインピーダンスが増加することによって悪化する。
【0083】
[通気孔カバー]
通気孔カバー180は、下側ボア184、曲線部分186、および頂部188を有する主要本体182を含む。図20〜22を参照のこと。主要本体182はまた、少なくとも1つの通気孔190を、また好ましい一実施形態では、通気孔カバーの内部から通気孔カバーの外部まで延びる複数の通気孔190を含む。通気孔カバー180の頂部188は、自在継手160のラッチ168に係合するためのフランジまたはアパーチャ192を含む。図示される実施形態では、通気孔カバー180はアパーチャ192を含む。通気孔カバー180は、自在継手160のステム166を通気孔カバー180の下側ボア184を介して配置することにより、自在継手160に接続される。通気孔カバー180は、次に、図1に示されるようにラッチ168がアパーチャ192を通って延びるまで、自在継手160に向かって移動される。この構成により、通気孔カバー180は、エルボ160またはガス供給導管によって捕捉されるので、エルボアセンブリ160および/またはマスクアセンブリ10の近傍に残ることが可能になる。このことは、通気孔カバー180が清掃の間または不注意によって移動させられた場合に、マスクアセンブリによって保持されるため、落下して紛失することがないので便利である。
【0084】
通気孔カバーの曲線部分186は、自在継手160の隣接したエプロン170に適合して、通気孔カバー180の内部と自在継手160との間にほぼ気密のシールを提供する。このようにして、マスクの内部からの呼気ガスは、自在継手160の排気口164を通り、通気孔カバー180の内部を通り、そして通気孔190を通って大気まで流れることができる。図19c−1は、通気孔カバーが適所にあるとき排気ガスがたどる経路に近似する矢印Bを含む。この配置は、通気の方向によって、マスクからのガスフローによる患者の同室者の苛立ちが低減または防止されるという追加の利点を有する。図1〜4は、接続された位置にあるエルボ160および通気孔カバー180を示す。通気孔カバー180が、確実にエルボ160の外部表面から十分に離間するようにスペーサ163が提供され、これは特にエアギャップがつぶれるのを防ぐ助けとなるが、それは、通気孔カバーが好ましくは弾性を有する可撓性材料で作成されているためである。当然ながら、所望であれば、通気孔カバーは、Ultra Mirage(商標)に使用されるカバーにある程度類似したプラスチック部材で作成することができる。それに加えて、この通気孔装置は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第09/021541号に開示されている、ResMedの通気孔アセンブリを使用して交換するか補足することができる。
【0085】
図18b〜18eは、符号360として示される、図22b〜22eに示される通気孔カバー380に接続されるように適合された自在エルボの別の実施形態を示す。図18b、18c、および18eに示されるように、自在エルボ360は、排気口364の出口を取り囲む壁362の遠位端に提供されるフランジ361を含む。図18dおよび18eは、吸気口365、排気口364、および吸気口365と出口364を分離するバッフル369を示す。図18eに示されるように、バッフル369は湾曲した構成を有する。具体的には、バッフル369は、排気口364の入口から排気口369の出口まで延びるにしたがってほぼ下向きに湾曲する。ただし、バッフル369は、図19a−1に示されるバッフル161に類似したほぼ平面の構成を有してもよい。あるいは、バッフルは、吸気口365と出口364を分離する他の任意の適切な構成を有してもよい。図22b〜22eに示されるように、通気孔カバー380は、下側ボア384、中間部分386、および頂部388を有する主要本体382を含む。主要本体382はまた、通気孔カバーの内部から通気孔カバーの外部まで延びる複数の通気孔390を含む。通気孔カバー380の頂部388は、自在エルボ360のフランジ361に係合するためのカラー392を含む。通気孔カバー380は、自在エルボ360のステム366を通気孔カバー380の下側ボア384を介して配置することにより、自在エルボ360に接続される。通気孔カバー380は、次に、カラー392が自在エルボ360のフランジ361に留められるまで、自在エルボ360に向かって移動される。カラー392は、フランジ361を越えるように伸長され、その弾力性および弾性によってフランジ361をしっかり把持する。図示される実施形態では、フランジ361および壁362に適用される応力(「周応力」)が均等に分布するように、カラー392はほぼ円形の形状を有する。通気孔カバー180の実施形態と同様に、この構成により、通気孔カバー380は、エルボ360またはガス供給導管によって捕捉されるので、自在エルボ360および/またはマスクアセンブリの近傍で接続されたままにすることが可能になる。通気孔カバーは、追加の固定機構なしに、排気通路を覆うようにエルボ上の適所に保持することができる点で、「自己保持性を有する」と考えることができる。それに加えて、患者がカラー392をフランジ361の上に伸長させると、通気孔カバーはリング形状の下側ボア184を介してエルボ上に保持され、それにより、最初に組み立てようとして失敗した場合に、通気孔カバーが紛失する可能性が最小限に抑えられる。
【0086】
図22fは、接続された位置にある自在エルボ360および通気孔カバー380を示す。図18cおよび18eに示されるように、自在エルボ360は、通気孔カバー380が確実に自在エルボ360の外部表面から十分に離間するようにする壁363を含み、これは特にエアギャップがつぶれるのを防ぐ助けとなるが、それは、通気孔カバー380が好ましくは弾性を有する可撓性材料で作成されているためである。通気孔カバー380は、壁363に係合する頂部388の内側表面上に凹部389(図22c)を含む。
【0087】
[マスククッション]
クッションは、顔面上にあり、その周囲の周りに圧力を加えるとともに、顔面上の圧力に敏感な領域との接触を最小限に抑えるかつ/または回避するように設計される。顔面のいくつかの部分は、圧力とシールとの平衡を達成するように特に注意を払うことを必要とする。また、安定性を改善することによって患者の快適さのレベルを改善し、患者の顔面に対してマスクを旋回させる傾向がある場合がある力を低減するため、高さの低いマスクを提供することが望ましい。特性は、成功した設計を行うために取られた方策とともに以下に列挙される。
【0088】
クッションは、顔面に接触する面および顔面に接触しない面を、その間の壁とともに有する。クッションの顔面に接触しない面は、マスクフレームと係合する。本発明の1つの形態では、顔面に接触する面におけるクッションの形状は、図24cに示される図のようにほぼ台形である。この態様では、顔面上のクッションの形状は、ほぼ三角形の形状を有する従来技術のクッションとは異なる。この台形形状の利点は、患者またはユーザの鼻孔を通るフローを妨げることなく、鼻の下方の地点におけるシールを(すなわち、横方向の鼻軟骨の、かつ鼻のどちらかの側の鼻骨の直ぐ下の領域において)支援することである。したがって、クッションは、患者の鼻梁領域の下側部分に位置付けられる。さらに、クッションは、鼻孔上のクッションの接触圧力が最小限に抑えられるか除去されるように構成され位置付けられる。クッションの形状は変更されてもよく、例えば、下側鼻梁領域の局所的な圧力点および鼻孔の閉塞が回避されるべきであるという点を念頭において、三角形または他の台形以外の形状を使用することができる。いくつかの従来技術のマスククッションは鼻孔を押し、それが、気流に対する鼻孔のインピーダンスを増加させる恐れがある。クッションの好ましい1つの形態では、クッションの顔面に接触する面および顔面に接触しない面の両方が、同一のほぼ台形の形状を有する。
【0089】
本発明の1つの形態では、支持構造とシール構造との組合せが、クッションの顔面に接触する面の領域内に提供される。支持およびシール構造は、クッションの一部として提供されてもよく、またはその代わりに別個の構成要素を使用してもよい。支持およびシール構造がクッションの一部として提供される場合、クッションは、単一壁、二重壁、三重壁またはそれ以上の壁構造を有してもよい。クッションの好ましい1つの形態では、シール構造は薄い膜によって提供されるが、支持構造はより厚いフレームによって提供される。
【0090】
鼻梁の中央および側部は、接触圧力に特に敏感である。したがって、クッションがこの範囲内で出来るだけ軽くシールすることが重要である。クッションの不安定性により、鼻梁領域の圧力の上昇が引き起こされ、その結果、この範囲において余計な課題が提示されることがある。支持要素(例えば、図24aに示されるフレーム200)は、上に重なる顔面に接触する要素(例えば、図24aに示される膜205)の隣接した部分との接触を完全に回避するように設計することができ、それによって、膜205のみでシールすることが可能になる。局所的な接触圧力点は、鼻梁領域において、特に、下側鼻梁領域と接触するその敏感な頂点において回避されるべきであるが、シールは維持されなければならない。下側鼻梁領域は、一般に、鼻梁の骨領域が軟骨をより多く含む鼻の部分に遷移するところに位置する。それに加えて、顔面に加えられる力は、クッション40の周囲全体の周りでほぼ均等に分布されるべきである。本発明の1つの態様は、顔面接触圧力が顔面の周りで制御可能に分布されることである。当然ながら、下側鼻梁領域に加えられた力は、局所的な力を回避するため膜205の比較的広いセクションに沿って拡散させることができる一方、唇領域および特に頬領域において力はより快適に適応させることができるので、唇および頬領域の力は、さらに少し局所化し、例えば、幅方向のより短い距離全体にわたって拡散させることができる。さらに、快適さを改善する、患者の顔面周辺の比較的一定の全体的な力分布を維持したまま、膜と下側鼻梁領域における顔面との間の接触範囲または幅は、膜と唇および頬領域との間の接触範囲または幅よりも大きくてもよい。この配置を使用して、患者は、接触領域全体にわたる実際の力が均等に分布されていないとしても、接触領域全体にわたって圧力が均等に分布されていると知覚する。
【0091】
別の利点は、患者に対するクッションの角度を、シール効率に悪影響を及ぼさずに変えることができることである。例えば、クッションは、患者の顔面の形状に基づいて、異なる患者と異なる角度で接触してもよく、患者が寝ているときの移動の間、クッションの角度は顔面に対して動くことができる。
【0092】
シール要素(例えば、膜205)は、大きな有効な折り返されたセクション(大きな半径)を組み込んで、患者の顔面に対するマスクのある程度の動きまたは回転を可能にするとともに、膜の遠位側縁部が患者の顔面および/または鼻を刺激するのを防ぐ。シール要素(例えば、膜)は、鼻の側面において鼻梁の下側部分の周りに一致することにより、鼻に対してしっかりシールする。確実なシールと鼻全体にわたる膜の圧迫/伸長との間で、妥協点に達しなければならない。膜に切欠きを付けて、縁部の圧迫なしに最大伸長幅を可能にすることができる。伸長はまた、より柔軟な材料および/またはより薄い材料などの材料、例えば、エラストマー、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、発泡エラストマー、および/または複合材料によって達成することができる。
【0093】
シール要素(例えば、膜)は、鼻梁の下側部分全体にわたって膜が容易に伸長できるようにするため、好ましくは、0.1〜2.0mm、好ましくは0.35mmの厚さを有するエラストマー性のものである。膜の伸長は、その厚さを変えること、リブなどの剛化構造を付加すること、または複合材料を使用することによって、異なる領域で変えられてもよい。
【0094】
顔面のしわは、鼻の側面の間における顔面または鼻のクリーズ(鼻唇溝としても知られる)および頬において最も顕著であり、有効なシールに対する課題を提示する。下にあるクッション(例えば、図24aに示されるフレーム200)は、鼻の側面に出来るだけ近接して位置する。このようにして、可能な最も平坦な範囲をシールする。顔のクリーズに位置するように設計された湾曲した範囲は、実用的な限り小さな半径を有するべきである。膜205は、クッションの縁部(例えば、リム225)よりもさらに内向きおよび/または外向きに延びて、鼻の側面において外側縁部の周りに巻き付くことが可能になる。これは、粗い縁部によって発生する刺激の可能性を減少させ、内側クッションリム225が患者の顔面および/または鼻に対する刺激源となることを防ぐ。
【0095】
上唇全体にわたる余計な圧力は、クッションの設計と、マスクが自重を受けて垂直方向に回転することとの両方によって、または、例えばチューブ材料の引きずりもしくはマスクに取り付けられた構成要素の重量による、マスクに加えられる望ましくない力によって引き起こされる可能性がある。ヘッドギアの設計は、上述したように、マスクがその自重を受けて垂直方向に回転することによって、望ましくない圧力が唇領域に加えられる可能性を低減する助けとなり得る。唇領域42は、図24gに示すように、シールおよび快適さを強化するため、患者の隔壁の下部を受け入れるように切欠きを含んでもよい。図24cに示されるように、隔壁用切欠き264は領域265に提供される。図24aおよび24bは、クッション40の正面図および背面図を示す。代替実施形態では、隔壁用切欠きはまた、下にあるフレーム上に提供されてもよい。
【0096】
クッション40は、この実施形態では、好ましくはほぼ台形の形状を有する。ただし、クッション40は、三角形状などの台形以外の形状を有してもよい。クッション40は、頬と鼻の側面との間のクリーズにシールを提供する一対の頬領域41と、患者の鼻の下および上唇の上にシールを提供する唇領域42と、鼻梁領域43とを含む。鼻梁領域43は、鼻梁の下側部分と、頬と鼻の側面との間に形成される鼻のクリーズと交差する鼻梁の傾斜した側面との全体に及ぶ。唇領域42と各頬領域41との間の遷移は、クッション40が鼻の側面に向かって鼻の下部を回って方向転換し始めるところである。鼻梁領域43と各頬領域41との間の遷移は、頬領域41がそれぞれ鼻梁に向かって上向きに逸れるところである。換言すれば、鼻梁領域43は、頬領域が上向きに曲がり始めるところである。図24dを参照のこと。
【0097】
鼻梁領域43は、例えば、鼻梁の下側部分が接触するように選択されていることが分かる図1に示されるように、患者の鼻に接触するように設計される。図1は、フレームから離間されたクッション40を示すことに留意されたい。しかし、組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Cの図は、さらに後述される、2つのモデルの鼻(AおよびB)に取り付けられた鼻マスクアセンブリを示す。より具体的には、鼻は、鼻梁の上部における比較的骨質のセクションと、鼻の先端における柔軟な軟骨とを含む。これらの領域を示す図面を参照することにより本明細書に組み込まれる非特許文献1を参照されたい。患者に対する快適さを増加させるため、鼻の骨領域に沿った局所的な圧力点を回避することが望ましい。反対に、マスクが鼻の軟骨部分のみと接触することを回避するのが望ましいが、これは、その柔軟性が、使用中のクッションの過剰な望ましくない動きを可能にすることがあり、患者の鼻腔を閉塞することがあり、また安定した適合を提供しないことがあるためである。それに加えて、鼻の先端上における位置付けは、患者の顔面におけるマスクアセンブリの重心間の距離を増加させることがあり、それは望ましくない結果である。
【0098】
したがって、クッションと鼻梁との間の係合をシールする最適な領域は、最上部の骨領域と鼻の下側軟骨領域との間のどこかである。最適には、接触の領域は骨の上の軟骨の直ぐ上方である。一般に、クッションは、鼻の中心に沿って骨の上に位置することができるが、鼻の側面の軟骨範囲を回避する必要がある。鼻の長さおよび他の適切な寸法は、鼻の基部および遷移から測定することができ、または、人体解剖学に関する統計資料から得ることができる。考慮される一般的な寸法のサンプルは、図30および31に見られるものの一以上を含む。しかし、個々の患者それぞれの顔面の輪郭が異なるため、クッションは、すべての場合において、下側鼻梁領域(一般に、鼻梁の骨領域がより多くの軟骨を含む鼻の部分に遷移するところに位置する)において患者に接触しなくてもよい。
【0099】
クッション40は、一以上のサイズ、好ましくは1〜3個のサイズで、患者母集団のほとんど(例えば、患者母集団の80%)に適応するように設計される。鼻の基部と鼻梁の頂部との間の距離は、鼻の基部と骨/軟骨間の遷移との間の距離よりも長い。クッション40は、鼻の全長に適応する必要はないので、コンパクトおよび/または軽量にすることができる。これにより、設計者は自由に、クッション40の他の範囲を最適化し、または改善するとともに、マスクを着用している間の患者の視界を増大させる。適応できる母集団の割合を最大限にするため、最適なマスク設計に対して特定の顔面寸法が特定されている。一実施形態では、一連の色分けされたクッションが使用される。クッションは、例えばタイプまたはサイズ別に色分けされてもよい。
【0100】
図24a〜gは、クッション40の追加の図を示す。図24eに示されるように、クッション40は、フレーム200と、フレームに取り付けられた膜205とを含む。フレーム200および膜205は、例えばジュロメータ硬さ40のSILASTIC(商標)などのシリコーンを使用して、当該分野で知られているように、例えば、ワンショット射出成形プロセスで形成される。当然ながら、フレーム20および膜205は、互いにかつ/またはフレーム20に接続される異なる2片から形成することができる。フレーム200は、図27a〜29dに関して記載されるように、フレーム20のチャネル26に取り付けられてもよい、縁部210を有する。フレーム200の縁部210は、当該分野で知られているように、クリップ、ストラップ、摩擦または干渉、フレームへの直接成形、接着剤、および/またはさねはぎ装置を用いて、フレーム200に取り付けられてもよい。縁部210と縁部210の上の中央部分または側壁215とは、クッション40がフレームのチャネル26と係合して置かれたときに加えられることがある座屈力に耐えることができる厚さを有する。1つの形態では、中央部分215は、2〜10mm、好ましくは5mmの厚さを有する。中央部分215は、縁部210から、フレーム200と膜205の間の、薄い膜205が下にあるフレーム200と接合する遷移線220まで延びる。好ましい実施形態では、フレーム200の中央部分215の高さは、頬領域41で最大であり、唇領域および鼻梁領域42、43ではより少ない。
【0101】
遷移線220を越えて、フレーム200はリム225を含む。好ましい1つの形態では、リム225は、クッション40の鼻腔内に内向きに湾曲する湾曲形状を有する。別の形態では、リムは、ほぼ丸い断面を有する固体の1片によって提供されてもよい。膜205は、下側鼻梁領域、頬領域、および唇領域41〜43において患者に接触する、シール成形部分270(図24e)を形成する。リム225は、好ましくはフレーム200の中央部分215よりも小さいが、好ましくは膜205よりも大きい厚さを有する。例えば、膜205は、約0.1〜2.0mm、好ましくは0.35mmの厚さを有し、リム225は、約0.5〜2.0mm、好ましくは1.35mmの厚さを有する。膜205がリム225よりも薄いことが望ましいが、それらは同じ厚さを有することができる。図25に示されるように、膜205は、フレーム200のリム225を完全に覆い、かつ取り囲む。膜205の内側表面は、患者に順応するシールを形成するように、リム225の外側表面から離間している。順応するシールにより、膜205が、不適当な力なしに患者の顔面/鼻の造作の形状における小さな変化に適応することができ、有効なシールを維持したまま、使用中の患者に対するマスクの小さな動きを許容することができることを意味する。膜205は、好ましくは、少なくとも鼻梁領域43において、特に鼻梁領域43(図24c)の頂点付近の領域43aにおいて、リム225から離間される。これは、患者のその範囲が局所的な接触圧力に最も敏感であるためである。換言すれば、膜205は、好ましくは、患者に接触して、鼻梁領域43の下側部分において患者にシール力を加える、クッション40の唯一の部分である。膜205は、鼻梁全体にわたってより良好に均等に力を分布させて、より軽い圧力を加え、それによって快適さを改善することができる。当然ながら、鼻の骨領域と軟骨領域の間の遷移に加えられたシール力は、部分的にまたは完全に鼻孔を閉じるほどには大きくない。
【0102】
鼻梁領域のリム225は、特にその頂点において、鼻の下側鼻梁領域上の局所的な圧力点または領域を回避するため、膜205から十分な距離を離間される。さらに、リム225は、内向きに湾曲されて均等に力を分布させるべきであり、それが膜205をリム225に接触させることがある。そのような力は、患者が動くことによるヘッドギア80の過度な締め付けまたは不安定性の結果である場合がある。クッション40は、ヘッドギア80が過度に締め付けられた場合でも、下側鼻梁領域におけるリム25と膜205の間の接触を回避するように設計される。その場合、クッション40の構造的一体性が損なわれない限り、下側鼻梁領域のリム225は(少なくとも頂点43aにおいて)排除されて、材料および重量を節約することができる。さらに、リム225は、その周囲全体、特に使用中に膜205に接触しないように設計されている部分に沿って、湾曲される必要はない。
【0103】
頬領域および唇領域41、42における膜205とリム225との間の間隔は、必要ではないが、快適さを付加し、順応する膜205によってクッション40がより広範囲の患者に適合することを可能にする。
【0104】
本発明によるクッションは、従来技術のクッションを越える改善された安定性を提供する。設置面積、すなわち接触面積は、特に鼻の側面に沿って最大限にされている。クッションの側面接触領域は最大限にされている。これは2つのさらなる利点を提供する。第1に、本発明によるクッションの側壁は、いくつかの従来技術のクッションよりも長いので、鼻孔の上であって鼻梁の上部の下でシールするマスクを設計することが可能である。第2に、より大きな設置面積、すなわち接触面積全体にわたって接触圧力を分布させることにより、マスクアセンブリの安定性が改善される。そのため、クッション40は、唇領域のほぼ上の軸線の周りで回転する傾向がある従来技術のマスクに比べて、垂直面内で回転する可能性がはるかに少ない。
【0105】
図25d〜25iは、クッション40の断面を示す。図25dに示されるように、鼻梁領域43のリムと膜の間の距離は、約5〜14mm、好ましくは9mmである。図25eに示されるように、リムと膜の間の距離は、約7〜16mm、好ましくは11mmである。図25f、25g、25h、ならびに図25dおよび25iに示されるように、唇領域において、距離は約1〜6mm、好ましくは4mmである。
【0106】
また、図25d〜25iは、曲率半径、膜が延びる角度など、好ましい一実施形態における他の様々な寸法を示す。例えば、図25dでは、鼻梁領域の頂点において、膜の曲率半径は約5〜14mm、好ましくは9mmであり、角度は約70〜90°、好ましくは80°である。図25eに示されるように、曲率半径は約4〜10mm以内、好ましくは7mmであり、角度は約50〜70°、好ましくは60°である。一般に、鼻梁領域43の間隔は、頬領域および唇領域41、42における間隔を越えるものであるべきである。当然ながら、膜およびリムが組み合わされたクッションは、例えば一層構造で提供することもできる。反対に、リム225の支持機能は、膜205を支持する2つ以上の支持リムを使用して達成することができ、または、2つ以上の膜を単一のリム全体にわたって提供することができる。別の代案では、リムの支持機能および膜のシール機能は、異なる材料で作成することができる2つの異なる部材に分割することができる。
【0107】
図24eは、膜205が、患者の鼻梁領域の下側部分の一般的な輪郭にほぼ一致するように、予め成形され輪郭が付けられた、鼻梁領域43の切欠き255を含むことを示す。フレーム200は、切欠き255に対して同じ場所に配置された切欠き260を含む。切欠き255の形状は一般にU字形である一方、切欠き260の形状は切欠き255よりも一般に広く、切欠き260は一般にU字形である。図24fに示されるように、切欠き255は、12〜27mmの深さdlを有する。
【0108】
図24a〜cに見られるように、膜205の内側縁部230は、膜205のアパーチャ235を形成する。この好ましい形態では、アパーチャ235の形状はほぼ台形であり、約31〜45mmの基部幅wを有し、側部の長さは20〜22mm、基部にほぼ平行な頂部tは長さ約5〜10mmである。図24cを参照のこと。開先角度αは、45°〜55°、好ましくは50°である。膜205の基部と頂部の間の高さhは、19〜22mmである。さらに、クッション40の全高h0は、45〜55mm、好ましくは50〜51mmであり、クッション40の全幅w0は、65〜75mm、好ましくは69〜71mmである。また、図24fに示されるように、クッションの寸法d2は29〜31mm、クッションの寸法d3は41〜43mmである。「標準寸法」を有するクッション40の一実施形態では、クッション40の膜205は、31〜34mm、好ましくは33mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、19〜23mm、好ましくは21.5mmの深さd1を有する。「深い」サイズを有するクッション40の別の実施形態では、クッション40の膜205は、31〜34mm、好ましくは33mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、22〜27mm、好ましくは24mmの深さd1を有する。より幅広でありかつ/または深さがより浅い(幅広/浅い)クッション40のさらに別の実施形態では、クッション40の膜205は、35〜45mm、好ましくは41mmの幅wと、19〜28mm、好ましくは22mmの高さhとを有し、切欠き255は、12〜20mm、好ましくは16mmの深さd1を有する。これらの寸法は本発明の特定の実施形態を指し、同じ形状を有するが異なるサイズのマスク(例えば、「小さな」サイズ対「大きな」サイズ)は、異なる寸法を有するが、それでも本発明の範囲内にあることを理解されたい。さらに、「標準」サイズのクッション、「深い」サイズのクッション、および「幅広/浅い」サイズのクッションは、別個に提供されてもよいが、これらのクッションは、1組のクッションとしてともに提供されてもよい。3個のクッションのこの組は、余分な在庫を有することなく広範囲の患者における良好な適合を提供する。
【0109】
アパーチャ235に隣接した膜205の側面sは、鼻梁43と唇領域41の間に曲線部分250(図24c)を含む。曲線部分250は、アパーチャ235に向かって内向きに湾曲する膨らんだ部分として現れる。図24fでは、曲線部分250は、隣接面に対して外向きに膨らんで見える。図24eはまた、上から見た、鼻梁領域の膜205に提供された切欠き255の深さを示す。図24dは、曲線部分250と、リム225の下にある形状に対する膜205の形状との別の図を提供する。曲線部分250は、頬が鼻にぶつかる間隙において鼻の側面に沿って良好なシールを提供する助けとなる。例えば、図24cに見られるように、クリーズ内において、かつ鼻の側面に沿ってシールに対するさらなる余地が提供されるように、部分250はリム225の縁部から離間している。頬領域41におけるリム225の縁部240および膜205の縁部230は、図24cに見られるように、ある角度において互いから逸れ始める。膜205およびリム225の縁部230、240の間の間隔は、図25e〜25iに示されるように、唇領域42において最も小さく、頬領域41において徐々に増加し、曲線部分250および鼻梁領域43において最大である。
【0110】
アパーチャ245を形成するリム225の内側縁部240が、図24bに示される。アパーチャ245の基部幅Wは38〜45mmである。各側面Sの長さは20〜23mmである。頂部Tの長さは15〜20mmである。基部部分と頂部の間の高さHは32〜36mmである。これらの寸法、および本明細書に提供されるすべての他の寸法は、好ましい寸法であり、特定の用途に応じて変えることができる。アパーチャの形状は、ほぼ台形と特徴付けることもできるが、台形は、膜205のアパーチャ235の台形形状と同じ比率ではない。アパーチャ235はアパーチャ245よりも小さい。
【0111】
さらに、アパーチャ235および245は、三角形状あるいは他の台形以外の形状を有してもよい。さらに、クッションの全体の形状は、三角形または非台形であってもよい。アパーチャ235および245、ならびにクッションの形状は、互いに類似していてもよく、または異なってもよく、例えば、アパーチャ235は台形形状を有し、アパーチャ245は三角形状を有する。
【0112】
膜205の遷移線220から縁部まで測定したときの膜205の幅は、曲線部分250および鼻梁領域43において最大であり、頬領域41においてより少なく、唇領域42において最小である。膜205は、一般に、鼻梁領域、頬領域、および唇領域41〜43において、遷移線220から離れる方向に上向きに延びる。鼻梁領域43では、膜205は、ほぼ一定の半径に沿って内向きに湾曲して、縁部230で終わる。頬領域41では、膜205は、リム225の周りで、次に、ほぼフレーム200の反対側の底部位置に向かって、ある角度でリム225から離れて内向きに湾曲する。唇領域41では、リム225および膜はほぼ同じ形状を有する。図25d〜25iを参照のこと。
【0113】
[マスクフレームおよびクッション接続システム]
本発明のマスクは、マスクフレームおよびマスククッションが恒久的に互いに取り付けられるような形で製造されてもよい。例えば、マスクフレームおよびクッションは、エルボが別個の1片として取り付けられる場合、同じ材料から継目なしに形成されてもよい。あるいは、クッションおよびマスクシェルが恒久的な方法で取り付けられる場合、マスクフレームおよびクッションは、同じまたは異なる材料の2片として形成されてもよい。恒久的な取付けは、同時成型、接着剤、クリップの使用、または他の機械的手段によって達成されてもよい。
【0114】
あるいは、マスクフレームおよびクッションは、後述されるように、マスクの耐用寿命を通じて、繰り返し取り外し、また再度取り付けることを可能にする方法を用いて、取り付けられてもよい。これにより、有効な洗浄および保守のための分解、または部品が摩耗した場合の交換も可能になる。
【0115】
本発明のマスクシェルおよびクッション接続システムは、クッションを係合するための力およびクッションをフレームから係脱するための力を個々に決定できるようにする、マスクフレームとクッションの組合せを製造することを可能にする。この可能性により、係合力が係脱力と等しい、または係合力が係脱力よりも少ない、あるいは係合力が係脱力よりも大きい、マスク接続システムを製造することが可能である。
【0116】
接続システムは、最大治療圧力においてマスクシステムにかかる力よりも小さい、または大きい係脱力を達成するように設計されてもよい。
【0117】
好ましくは、係脱力(すなわち、クッションをマスクフレームから取り外す力)は、最大治療圧力がマスクチャンバ内で達成されたとき、マスクシェルとクッションとの組合せに対してかかる力よりも大きい。フレームとクッションの組合せに対してかかる力を参照して、係脱力のこの下限を設定することにより、治療圧力を適用している間にマスクが係脱する可能性が低減される。
【0118】
最小係脱力は、好ましくは、治療圧力によってかかる力を参照して決定されるが、不注意による解放およびユーザに対する煩わしさを防ぐため、最大係脱力は、マスクを手動で係脱するときに使用者によって快適に発揮されることができる力以下であるべきである。好ましくは、取外しの力は、使用者によって快適に発揮されてもよい力以下である。
【0119】
クッションの係合力(すなわち、クッションをマスクシェルに正確に接続するのに必要な力)は、本発明のシールおよび保持機構を採用することによって、予め決められ、達成されてもよい。
【0120】
好ましくは、係合力は、使用者によって快適にかけられる場合のある力よりは大きくない。本発明は、大量生産された製品の範囲にある用途を有するので、好ましくは、最大係合力は、目標の使用者母集団によってかけられる場合のある力以下である。臨床環境では、目標母集団は、マスクを患者に適合させ適用する臨床スタッフであってもよい。臨床以外の環境では、目標母集団は末端使用者の母集団であってもよい。好ましくは、目標係合力は、マスクシェルおよびクッションを従来の方法で操作するとき、目標母集団によってかけられる場合のある好ましい係合力を考慮することによって決定される。当然ながら、これらの原理は係脱力にも同様に当てはまる。
【0121】
鼻マスクアセンブリ10の一実施形態では、改善された機構は、クッション40をフレーム20に係合する、すなわち保持しシールするのに使用される。図27a〜29dを参照のこと。保持およびシール機構により、クッション40は、1つの動きでマスクフレーム20に嵌合させることができ、それがクッション40を保持し、フレーム20との確実なシールを形成する。フレーム20上のチャネル26の外壁30は、外壁30の周りに間隔を空けて配置された複数のアンダーカット33を備える。アンダーカット33は、外壁30を部分的にまたは完全に貫通することができる。クッション40をフレーム20に組み立てるのを容易にするため、わずかなテーパーを、内壁28および外壁30の内側表面に提供することができる。クッション40は側壁215を含む。図25dに示されるように、側壁215は約5mmの幅bを有する。側壁215は、アンダーカット33と整列させるように側壁215の周りに間隔を空けて配置された複数の保持リップ44を含む。保持リップ44はそれぞれ、クッション40をチャネル26に挿入するのを容易にするため先細にされた前縁45と、アンダーカット33を受け、予め定められた分離力がクッション40とフレーム20の間に加えられるまで、クッション40がフレーム20から分離するのを防ぐように形作られた保持表面431とを含む。好ましくは、予め定められた分離力は、クッション40をチャネル26に挿入する力よりも大きくなるように設計される。側壁215上には、側壁215から外向きに延び、側壁42の周囲の周りを通る上側および下側シールリップ46および47が遠位に配置される。シールリップ46および47の反対側には、側壁215から内向きに延び、側壁215の内周の周りを通る上側および下側シールリップ49および48がある。保持リップ44の反対側において、側壁215の内側表面は逃げ部分(relieved portion)50を有するので、クッションの壁とチャネルとの間に空間が作られて、図27bおよび27eに示されるように、クッション40の壁が歪まされて逃げ部分50に入って、クッション40の挿入をより容易にすることが可能になる。逃げ部分50は、各保持リップ44のちょうど反対側に位置付けることができ、または、逃げ部分50は、側壁215の内周の周り全体に延びることができる。
【0122】
本発明の一実施形態によるクッション40のフレーム20への組立てを次に記載する。クッション40は、最初にチャネル26とほぼ整列される。図27aを参照のこと。内壁28は、クッション40がチャネル26に入る前に、クッション40をチャネル26に対して整列させるのを支援するため、外壁30よりもわずかに高い。次に、クッション40はチャネル26内に移動される。図27bを参照のこと。各保持リップ44の前縁45は、外壁30の頂部と係合し、変形し始める。側壁215の逃げ部分50は、クッション40をフレーム20に挿入するのに必要な力を大幅に増加させることなく、この変形が起こることを可能にする。シールリップ46〜49は、チャネル26の内壁28および外壁30の各表面に接触している。クッション40は、チャネル床32に底が付くまで、チャネル26にさらに挿入される。図27cを参照のこと。シールリップ46〜49は、内壁28および外壁30と十分に接触している。各保持リップ44は、各アンダーカット33に入っているが、逃げ部分50によって適応された側壁215の変形は依然として存在する。次に、エラストマー(SILASTIC(商標))の圧縮がチャネル26から緩和されるにしたがって、クッション40がわずかに引き抜かれて、シールリップ46〜49が内壁28および外壁30の周りで連続的なシール位置にある状態で、各保持リップ44の保持表面431が各アンダーカット33に対して嵌め込まれる。図27dを参照のこと。この引き抜きおよび嵌め込みは、クッション40がチャネル26に適切に嵌め込まれたという触覚的な信号を、使用者に提供する。アンダーカット33がこの位置で使用者に見えるようにされている場合、嵌め込みの視覚的インジケータも提供される。側壁215の変形は、一般にこの時点で取り除かれており、逃げ部分50はその緩和した構成に戻っている。クッション40をチャネル26からさらに引き抜いて、クッション40をフレーム20から分解することにより、保持リップ44は下向きに変形される。図27eを参照のこと。側壁215のこの変形は、逃げ部分50によって再び適応される。保持リップ44の形状により、使用者によって、組立て力に比べて、好ましくより確実な取外し力が得られる。
【0123】
さらに、クッションのシールリップまたは保持リップ、あるいは両方が、何らかの化学洗浄に晒すなど、時間とともに膨張する(すなわち、少なくとも1つの寸法のサイズの増加)、シリコーンなどの材料で作成される場合、材料の拡張に起因する余分なサイズまたは体積は、例えばシールリップまたは保持リップが屈曲することにより、チャネル26内に適応されてもよい。本発明のこの態様は、従来技術に比べて、クッション材料の拡張がマスクシェルおよびクッションのシールを損なわないはずであり、それによって、膨張可能な材料で作成された構成要素の耐用寿命が延長されるという利点を有する。
【0124】
従来技術は、一般的には、フレームとクッションとの間の一以上の経路を介して、マスクチャンバからガスが漏れるのを防ぐように、クッション材料が、フレームとのぴったりした適合を達成することを必要とする。それに加えて、マスクによっては、内部または外部のクッションクリップを利用して、クリップとフレームの間のクッションを挟み込んでいる。そのようなクッションクリップは、RespironicsのComfortSelectマスク、ならびに、参照により本明細書に組み込まれる特許文献14に記載されている、ResMedのUltra Mirage(商標)マスクに見られる。
【0125】
従来技術では、クッションが時間とともに拡張する材料で作成されている場合、材料は、マスクフレームのチャネルに適合する、またはそれから係脱する、あるいは別の方法としてクッションクリップを使用するのが困難になる程度まで、少なくとも1つの平面内で増大する傾向がある。また、ガスがマスクチャンバから逃げるのを防ぐシールは、クッションシール部分とマスクフレームのチャネルとの間に生じる間隙によって損なわれる。従来技術の制限は、フレーム内に位置するシールチャネルとクッション上に位置するシール縁部とを有するマスクを参照して記載されてきた。しかし、同様の制限は、これらの機構の位置が逆にされた場合、すなわち、例えば、シールチャネルがクッション上に位置し、シール縁部がマスクシェル上に位置する場合、ならびにクッションとマスクシェル表面の境界面とが平坦な表面の形態である場合に当てはまる。
【0126】
マスクチャンバ内の治療圧力はマスクの組立て中には達成されないので、係合圧力の選択は、必ずしも治療中に発揮される力を参照して決定されるわけではない。より正確に言えば、本発明の接続システムは、係脱力よりも小さな係合力を達成するように製造することが可能であり、係合力が係脱力よりも小さいそのような構成は、任意の所与のヒト母集団が、一般的に、押す力を発揮する(すなわち、片手または両手が物体を把持したまま固定点に向かって動く場合)ことが可能なよりも、引張る力を発揮する(すなわち、片手または両手が物体を把持したまま開始点から離れる方向に動く場合)ことができるというデータに一致する。
【0127】
上述した実施形態は、クッションが、シリコーンの場合など、時間とともに膨張する材料で作成された場合など、構成要素の寸法が時間とともに変わることがあるにもかかわらず、係脱力が係合力よりも大きいという関係を維持することができる。
【0128】
また、本発明の実施形態は、クッションなどの少なくとも1つの構成要素が、化学変化、およびそれ自体が患者の皮脂などの環境汚染物質を吸収することによって、「脂っぽく」なる傾向の材料であるシリコーンなど、時間とともに摩擦特性を失う傾向がある材料で作成される場合に、摩擦嵌合性を失うという従来技術の制限を克服する。したがって、本発明は、フレームとクッションの間の摩擦が失われるにもかかわらず、時間とともにそれらの間の係合効果が失われるという従来技術の問題に対処している。
【0129】
本発明は、ストラップ、クリップ、または他の追加の保持装置の必要性から離れて教示しているが、フレームとクッションの間の係合のさらなる確実性を付加するため、または別の方法として、最大治療圧力の間の係合を維持しながら、目標母集団に適切と考えられる上限と一致する係脱力を達成するのに必要な設計の許容差を低減するため、そのような装置が構成に含まれていてもよい。
【0130】
クッション40は、フレームとクッションとの間の境界面を介してマスクチャンバからガスが逃げるのを防ぐように機能する、少なくとも1つのシールリップを含む。好ましくは、シールを損なうことなく、クッションのフレームとの組立ておよび分解の間に生じる摩擦を最小限に抑えるため、記載されるように、フレームチャネル26との比較的小さな接触点をそれぞれ有する、少なくとも2つのシールリップが提供される。
【0131】
1つのシールリップが使用された場合、適切なシールを達成するためのその構成は、適所に置かれると、同じ材料の2つ以上のシールリップが適用された場合よりも大きな摩擦を行使することが必要とされることがある。
【0132】
この摩擦源を制御することにより、係合力および係脱力、すなわち、クッションとフレームとを係合および係脱するのに必要な力に影響を及ぼすことが可能である。これらの力を有するという好ましい目標は、依然としてクッションの予期される耐用寿命に対する確定された制限を有する。
【0133】
また、側壁の逃げ部分50は、クッション40およびフレーム20の組立ておよび分解時の側壁215の変形に適応し、それによって、組立て/分解に必要な力が低減される。これは、クッション40が、シリコーンなどの、曲げやすいが一般にわずかに圧縮可能な材料で作成される場合、特に重要である。あるいは、側壁215の変形に適応するため、内壁28は、各アンダーカット33の反対側にアンダーカット29を備えることができる。図28を参照のこと。アンダーカット29(および/または逃げ部分50)は、予期される側壁変形に最も良好に適応するように、必要に応じてサイズ決めし構成することができる。シールリップ46〜49の異なる組合せを、代わりに使用することができる。例えば、図29a(シールリップ47および48)、図29b(シールリップ46および49)、図29c(シールリップ48および49)、ならびに図29d(シールリップ46および47)を参照のこと。シールリップおよび保持リップの他の構成も使用することができる。この構成は、クッションのフレームに対するシール機能を、クッションとフレームの係合および保持の機能から分離するので、装置の構成および製造において、それぞれが独立に制御され最適化されてもよい。
【0134】
図32a−1〜32c−2は、本発明の別の実施形態による、フレーム20とクッションの間の連続的な係合を示す。この実施形態では、側壁215、ならびに側壁215を受け入れるチャネル26が変更されている。図32a−1〜32a−2は、係合前のフレームおよびクッションを示し、図32b−1〜32b−2は、係合中のフレームおよびクッションを示し、図32c−1〜32c−2は、完全に係合したフレームおよびクッションを示す。
【0135】
この実施形態では、側壁215は、好ましくは側壁215の遠位端に一体のラグ215aを含む。側壁215は、ラグ215aが側壁215に向かって屈曲することを可能にするアンダーカット215bを含む。挿入(図32b−1〜32b−2)中、ラグ215aは、チャネル26内の突出部26aを越えて押されるまで、アンダーカット215b内へ屈曲する。突出部26aを越えた後に、ラグ215aは、突出部26aの下にあるチャネル26の空間内へ屈曲する。したがって、ラグの先端は、完全かつ確実にフレーム20に接続されたクッション40と適所で弾性的に係止されるように位置付けられる。接続状態では、側壁215は、鼻腔からの加圧ガスの逃げに対してフレーム20との確実なシールを提供する。ラグ215aの先端と突出部26aとの間の係合により、クッションをフレームと係合した状態で維持する保持力が提供される。係脱するためには、患者は、ラグ215aを変形させ、突出部26aを越えさせるのに十分な力で、側壁215をチャネル26から引き出す。係合と係脱の両方は、チャネル26の壁と側壁215との間の摩擦接触を克服するのに十分な力を必要とする。突出部26aは、角度が挿入方向から大幅に離れているので、「かえし」とほぼ同様に作用して、クッションのマスクフレームに対する分解力に比べて、好ましい、より低い挿入力を可能にする。
【0136】
図示される実施形態では、側壁215の遠位端にあるラグ215aは、クッションの呼吸キャビティに向かってほぼ内向きに延びる。ただし、図32eに示されるように、ラグ215aは、クッション40の呼吸キャビティからほぼ外向きに延び、フレーム20の外壁30上に提供された突出部26aに係合してもよい。
【0137】
図40〜41は、フレーム20とクッション40との間の係合を容易にするように構成された、フレーム20の別の実施形態を示す。具体的には、フレームの主要本体20aは、その外壁30の外側表面上に、整列用の印A1、例えば、菱形、線、色、矢印などを含む。図40は、外壁30の上側部分上に提供された単一の整列用の印A1を示し、図41は、外壁30の下側部分上に提供された一対の整列用の印A1を示す。
【0138】
クッション40は、その外側表面上に、クッション40およびフレーム20が互いに係合したときに、フレーム20上に提供された整列用の印A1と整列させて位置付けられる、整列用の印A2、例えば、菱形、線、色、矢印などを含む。図38B、39B、および42は、鼻梁領域においてクッション40の外側表面上に提供された単一の整列用の印A2を示し、図43は、唇領域においてクッション40の外側表面上に提供された一対の整列用の印A2を示す。クッション40およびフレーム20が互いに係合したとき、フレーム20の上側部分上の整列用の印A1は、クッション40の鼻梁領域の整列用の印A2と整列する。同様に、フレーム20の下側部分上に提供された一対の整列用の印A1は、クッション40の唇領域の一対の整列用の印A2と整列する。フレーム20およびクッション40それぞれの上の整列用の印A1、A2の整列により、フレーム20およびクッション40が、確実に互いに対して正確に整列され配向される。すなわち、患者は、フレーム20およびクッション40上の整列用の印A1、A2を、確実に互いに正確に整列させることにより、フレーム20とクッション40を正確に係合することができる。
【0139】
整列用の印A1、A2は、任意の適切な構成、例えば、菱形、線、色、矢印などを有してもよい。また、整列用の印A1、A2の任意の対応する数が、フレーム20およびクッション40上に提供されてもよい。図示される実施形態では、フレーム20の上側部分およびクッション40の鼻梁領域は、フレーム20の下側部分およびクッション20の唇領域とは異なる数の整列用の印A1、A2を有する。しかし、フレーム20の上側および下側部分、ならびにクッション40の鼻梁領域および唇領域それぞれは、整列用の印A1、A2が、フレーム20およびクッション40を正確な配向で正確に係合するのを容易にするように位置付けられている限り、同じ数の整列用の印A1、A2を有してもよい。さらに、整列用の印A1、A2は、フレーム20とクッション40の間の係合を容易にするため、フレーム20およびクッション40の外側表面に沿って任意の適切な位置に位置付けられてもよい。
【0140】
図40に示されるように、フレーム20は、フレーム20とヘッドギアアセンブリ80との間の係合を容易にするように構成されたサイドフレーム部材20b上に、整列用の印A、例えば、菱形、線、色、矢印などを含んでもよい。特に、ヘッドギアアセンブリ80の係止クリップ82は、その外側表面上に、係止クリップ82とフレーム20とが互いに係合したときに、フレーム20上に提供された整列用の印A1と整列するように位置付けられた整列用の印、例えば、菱形、線、色、矢印などを含んでもよい。
【0141】
[他の態様]
鼻クッションは、患者の鼻の形状およびサイズを、それを取り囲む、上唇、頬などの顔面の造作のサイズおよび形状とともに考慮に入れて設計された。図30〜31を参照のこと。何らかの種類のNPPV治療を使用する、またはそれを必要とすると思われるような患者のサイズおよび形状に関する統計資料はほとんどないが、出願者らは、患者母集合の大部分(例えば、患者母集合の80%)に適合するクッション40を統計的にモデリングするため、抜粋した量の規準を使用できることを発見した。例えば、クッション40は、年齢、性別、または人種にかかわらず、患者母集団の60〜90%に適応するように構成されてもよい。ただし、クッション40は、例えば、患者母集団の70%以内、または80%以内に適応するように構成されてもよい。鼻の幅、鼻先端の突出、および鼻の高さを使用して、出願人らは、鼻マスクを必要とするであろう母集団の大部分が、同じサイズのクッション/マスクを用いて快適に適応されるようにクッションを設計することができた。母集団の他の部分に適応させるため、1つまたは2つの追加のクッション/マスクを設計することができる。患者の年齢、人種、および性別は、クッションをコンピュータモデリングする場合の因子であり得る。さらに、鼻梁部分の上側部分との接触が回避されるクッションを設計することにより、出願人らは、クッションの設計を一般に制限する因子の1つを排除することができた。
【0142】
図30および31に示されるように、鼻の幅は、クッション40の開口部の幅を決定する。鼻先端の突出は、組み合わされたクッションおよびマスクフレームの最小深さを説明する。これは、隔壁の底部から測定される。深すぎるマスクは、鼻腔内の余分なデッドスペースにつながり、それが、望ましくないCO2の再呼吸と、マスクアセンブリの重心が顔面からさらに離れる動きを増加させて、安定性を低下させる。鼻の高さは、両方の組の幅/深さ寸法の間の距離を反映する。
【0143】
一般に、クッションは、一以上の最大寸法に適合するようにサイズ決めされる。しかし、鼻孔における遊びを検証するのに、使用者試験は重要である。大きすぎる場合、クッションは眼の範囲に干渉することがある。クッションは、鼻梁上で低く位置するように設計され、この範囲に起こり得る干渉が最小限に抑えられる。クッションが小さすぎる場合、例えば、クッションが、つぶれることがある鼻の柔らかい部分に沿って圧力を加える場合、鼻孔が、部分的に、または完全に閉塞されて、RespironicsのSimplicityマスクなど、いくつかの従来技術のマスクで起こり得る、呼吸の制限を生じさせることがある。鼻の幅、高さ、および先端の突出は、人体計測のデータテーブルを参照して到達することができる。
【0144】
マスクシステムの一実施形態では、マスクシステムは、フレームと、フレームにそれぞれ接続可能な複数のクッションとを含むように設計される。各クッションは、複数のクッション、好ましくは1〜3個のクッションが合わさって、患者母集団の95〜100%に適応するようにされ、患者母集団のある割合に適応するように構成される。
【0145】
したがって、複数のクッションはそれぞれ、類似のフレームに接触する面を有するが、異なる顔面に接触する面をも有する。各クッションは、残りの複数のクッションとは異なる、顔面に接触する面における少なくとも1つのパラメータを有する。一実施形態では、各クッションは、鼻梁領域が異なってもよい。例えば、図38A〜38Dに示されるクッション40aは、鼻梁領域において、図39A〜39Dに示されるクッション40bの鼻梁領域にある輪郭が付けられた切欠き255bよりも深い、輪郭が付けられた切欠き255aを有する。具体的には、輪郭が付けられた切欠き255aは、22〜27mm、好ましくは24mmの深さdを有し、輪郭が付けられた切欠き255bは、19〜23mm、好ましくは21.5mmの深さdを有する。図示されるように、切欠き255aは、切欠き255bの曲率半径より小さな曲率半径を有する。別の実施形態では、各クッションは、膜のアパーチャの幅が異なってもよい。複数のクッションは、異なるクッションと互いを区別する助けとするため、色分けされてもよい。
【0146】
[磁気相互接続の実施形態B]
フレーム420およびヘッドギアアセンブリ480を互いに磁気的に取外し可能に結合する別の実施形態が、添付の図44〜46に描かれている。これに関して、磁気結合アセンブリ500は、フレーム420をヘッドギア(図44〜46には完全に図示されないが、これに関して、全体的に、図1〜3に示されるヘッドギア80と、図34および36に部分的に示されるヘッドギア480とを参照のこと)に磁気的に結合するために提供される。このように、磁気結合アセンブリは、図33〜37に描かれる実施形態の代替物であるが、これと同じまたは類似の構造的構成要素のいくつかを採用してもよく、またはその逆であってもよい。
【0147】
図44に示されるように、フレーム420は、主要本体420aと一対のサイドフレーム部材502とを含み、一対のサイドフレーム部材502は、上述したような形でクッション40と取外し可能に結合されていてもよい。サイドフレーム部材502はそれぞれ、その外部表面から外向きに突出する円筒状のボス504を含む(図45を参照)。円筒状のボス504は、次に、円筒状の内部凹部506を形成する(図44および46を参照)。凹部506の下側部分は、二部分磁気結合器システム(two−part magnetic coupler system)の第1の部分508を含む。
【0148】
また、磁気結合アセンブリ500は、サイドフレーム部材502との取外し可能な結合に適合された接続片510を含む。接続片510は、最も好ましくは、サイドフレーム部材502と関連付けられた凹部506のそれぞれ1つの中に噛合可能に受け入れられるようにサイズ決めされ、かつ構成された、円筒状のコネクタパック512を含む。接続片510を、ヘッドギアと関連付けられた各ヘッドギアストラップ492−1と相互接続できるようにするため、ストラップ受入れスロット513がその後方に提供される。これに関して、図44〜46に描かれる実施形態によれば、ヘッドギアストラップ492−1はフレーム420に向かって延び、したがって、上述したようなヘッドギアヨークの代わりに、またはそれに加えて使用されてもよい。
【0149】
コネクタパック512は、二部分磁気結合器システムの第2の部分514を支持し、二部分磁気結合器システムは、第1および第2の部分508、514がそれぞれ互いに近接しているとき、サイドフレーム部材502と関連付けられた第1の部分508に磁気的に吸引される。具体的には、接続片510と各サイドフレーム部材502との間の磁気結合は、コネクタパック512が凹部506内に噛合可能に嵌め込まれたとき、二部分磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514それぞれの間の磁気吸引によって生じる。接続片510はそれぞれ、各ストラップ492−1を介してヘッドギアに接続されるので、フレーム420aと、したがってそれによって支持されるクッション40とは、接続片510がサイドフレーム部材502に磁気的に結合されたとき、同様にヘッドギアに相互接続される。
【0150】
図33〜37に関して上述した実施形態とは異なり、図44〜46に描かれる実施形態による磁気結合アセンブリ500によって提供される磁気相互接続は、衰弱した患者が操作し噛み合わせることが多少困難な場合がある、鍵穴およびフランジの構造を必ずしも必要としない。したがって、図44〜46に示される実施形態によって、接続片510のコネクタパック512とサイドフレーム502の凹部506との精密な整列を確立することなく、患者が、より容易にヘッドギアをフレーム420に結合させることが可能になる。確かに、磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引は、コネクタパック512を凹部506と噛み合った関係に案内するのをある程度支援する。これに関して、コネクタパック512の上端は、最も好ましくは、図示される好ましい実施形態では円錐面のセグメントである環状リップ516を含む。その結果、そのような形状は、使用者がコネクタパック512と凹部506との間の整列を確立するのをさらに容易にし、そのような整列を支援するある種のガイドとして作用する。
【0151】
図45において、環状リップ516は、磁気結合器の第2の部分514の上に延び、多数の隆起した、円周方向に離間した交互の空間518aおよび歯518bを含むことが分かる。さらに、図46において、凹部506の底部は、磁気結合器システムの第1の部分508を円周方向に取り囲むとともに、コネクタパック512のリップ516をその中に受け入れるようにサイズ決めされ構成された、環状溝520を含むことが分かる。固定位置の隆起した停止歯522は、環状溝520内に配置され、接続片510とフレーム420との間の角度方向を確立するように、空間518aの1つの中に受け入れられるように適合される。単一の停止歯522が描かれているが、複数の環状に離間された停止歯522が、上述した実施形態に類似の形で提供されてもよいことが理解される。
【0152】
コネクタパック512が、接続片510を各サイドフレーム部材502に磁気的に結合するように、凹部506内に嵌め込まれると、接続片510および/またはサイドフレーム部材502は、相対的な回転接合(rotational articulation)をそれらの間に生じさせるように、手動で操作されてもよい。このような旋回接合は、隆起した停止歯522を空間518aのそれぞれ1つに選択的に嵌め込み、それによって、接続片510とサイドフレーム部材502の間の所望の角度方向を選択できるようにするために使用されてもよい。
【0153】
停止歯522が空間518aの1つの中に受け入れられない場合、コネクタパック512が凹部506に最初に挿入されたときに、パック接続片510とサイドフレーム502との相対的な旋回移動により、空間518aの最初の1つが現れるまで、リップ516の上側の環状縁部が旋回して動いて停止歯522と接触する。このような場合、第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引により、停止歯522は、このように現れた空間518aの中に物理的に係合される。ただし、マスクの角度方向が適切でない場合、停止歯522と歯518bとを物理的に分離するように、接続片510および/またはサイドフレーム部材502に対して分離力が発揮されてもよい。次に、接続片510およびサイドフレーム部材502は、分離力が解放されると、第1および第2の部分508および514の間の磁気吸引によって停止歯522が空間518aの別の1つと再係合され、よって、接続片510とサイドフレーム部材502との間の所望の角度方向が確立されるように、互いに対して回転してもよい。
【0154】
しかし、一実施形態では、停止歯522および/または歯518bは、それらの完全な分離が絶対に必要とはならないように、適切な傾斜面またはカミング面を備えてもよい。その結果、そのような実施形態では、停止歯522と歯518bとの間の係合に続く、接続片510とサイドフレーム部材502との間の継続する相対的な旋回移動により、それらの間に、リップ516の縁部が停止歯522を越えるのに十分なわずかな分離が生じる。よって、停止歯522が、その後、次の連続して示される空間518aに嵌め込まれることが可能になる。このような方法で、接続片510とサイドフレーム部材502との所望の角度方向は、接続片510とサイドフレーム部材502との間の構造上の分離を必ずしも完了することなく、選択的に達成されてもよい。接続片510をサイドフレーム502から分離するためには、磁気結合器システムの第1および第2の部分508、514の間の磁気吸引を克服するのに十分な大きさの分離力を加え、それによってコネクタパック512を凹部506から外すことのみが必要である。このような目的のため、接続片510は、最も好ましくは、分離力が接続片510に対して手動で発揮されてもよい、外向きに延びる前方タブ524を含む。あるいは、またはそれに加えて、タブ524は、サイドフレーム部材502の構造的構成要素との接触を使用して、接続片510とサイドフレーム部材502との間に許容される相対的な旋回移動の量に対する制限を提供してもよい。
【0155】
各磁気結合500の第1および第2の部分508、514はそれぞれ、反対の極性を備えた永久磁石を含んでもよい。あるいは、結合500の部分508、514の一方が永久磁石であって、部分508、514の他方が磁気吸引可能な金属(例えば、鉄系金属)で形成されていてもよい。最も好ましくは、第1の部分508は永久磁石を含み、第2の部分514は磁気吸引可能な金属で形成される。
【0156】
当然ながら、図44〜46に描かれる実施形態は代表的なものであり、その範囲から逸脱することなく、いくつかの変形が行われてもよいことが理解されるであろう。例えば、接続片510は、磁気結合器システムの凹部506および関連する部品508を備えてもよく、サイドフレーム部材502は、磁気結合器システムのコネクタパック512およびその関連する部品514を備えることができる。それに加えて、接続片510および/またはサイドフレーム部材502は、磁気結合器システムから発生する磁界から使用者を保護する適切な手段を備えることができる。
【0157】
磁気結合器システムを、サイドフレーム部材502の構成要素部品であるものとして記載し、その結果、図10a−10gに関して前述したものに類似した分離可能なクリップ構造であるものとして描写してきた。しかし、サイドフレーム部材502がメインフレーム420の一体的な構成要素であり得ることは十分に可能であり、その場合、凹部506およびその関連する磁性部分508は、メインフレーム420と一体的な(単一の)構造として形成することができる。図44〜46に描かれる実施形態では、磁気結合アセンブリ500は、それらの間の相対的な回転接合を可能にする構成要素で形成されるものとして描かれる。ただし、例えば、スライド支柱結合、さねはぎ結合など、他の構造の結合が可能であり、本発明の範囲内に含まれる。さらに、回転接合は、同様に、スロットおよびT字形の結合構造を備えることができる。
【0158】
[代替的なの磁気クリップアセンブリ]
図47A〜52Bは、ヘッドギアアセンブリに関連付けられたコネクタと、マスクに関連付けられたコネクタレセプタとの間の係合および位置調節を容易にする、磁気クリップアセンブリの変形例を示す。使用者の範囲を非常に若い層から老年層まで、また健常者から身体障害者まで広げて、アセンブリを有効に利用するため、マスク/ヘッドギアアセンブリの係合および位置調節を容易にすることが望ましい。ヘッドギアアセンブリを、患者によって手動で迅速にマスクフレームから取り外し、また取り付けることができるとともに、誤って容易に外れることがないようにするのが望ましい。
【0159】
図47A〜52Bを参照すると、コネクタレセプタ604は少なくとも第1の磁気素子を備え、コネクタ602は少なくとも第2の磁気素子を備える。磁気素子は、コネクタ602とコネクタレセプタ604の間の係合および位置調節を容易にするように、位置付けされ極性が決められる。
【0160】
図47A〜47Cは、第1の磁気素子が位置磁石606および方向磁石608を含む、クリップアセンブリ600の1つの配置を示す。図に示されるように、それぞれの磁石606、608の向かい合った表面は、ほぼ垂直な面内に配置される。コネクタ602は、第1の面内に使用面610と、第2の面内に調節面612とを備える。使用面610および調節面612は、図47Bおよび47Cに示されるように、位置磁石606と選択的に係合可能である。コネクタ602は、図47Aを参照すると、その端部に配置されたその磁気素子614を有する。
【0161】
使用中、使用面610が位置磁石606と係合されると、コネクタの磁気素子614が動作可能に方向磁石608と係合して、コネクタ602をコネクタレセプタ604に固定する。磁気素子614は、図47Cに示されるように、調節面612が位置磁石606と係合されたとき、方向磁石608から係脱される。これにより、コネクタ604に係合されたままでその中でコネクタ602が物理的に回転することが可能になる。所望の回転が達成されると、コネクタ面610は、位置磁石606と再度係合して、磁気素子614を、この実施形態ではコネクタレセプタ604の周りに直列に配置された一連の方向磁石である、方向磁石608と係合させることができる。
【0162】
コネクタ602をコネクタレセプタ604から取り除くため、表面612は、コネクタ602を旋回させてコネクタレセプタ604のキャビティ内に入れることにより、磁石606と係合する。これにより、コネクタ602を、磁石606およびコネクタレセプタ604から解放することができる。
【0163】
リング616は、リング616の様々な位置に、またその結果第1の磁気素子618の様々な位置にも、レセプタ604内で機械的に回転調節可能である。
【0164】
図48は、コネクタレセプタ604が調節可能なリング616である、別の構成の概略図である。第1の磁気素子618は、磁気素子618の位置が調節可能なリング616の位置によって決まるようにして、調節可能なリング616内に配置される。コネクタ602は、調節可能なリング616の内径に係合するように形作られ、第2の磁気素子620は、第1の磁気素子618に係合し、よってコネクタ602をコネクタレセプタ604内で固定するように、コネクタ602上に位置付けられる。リング616は回転調節を可能にし、各磁石618、620の引力によって、コネクタ602自体が自動的にリング616内で整列することができる。
【0165】
図49Aおよび49Bは、さらに別の代替のクリップアセンブリを示す。この配置では、第1の磁気素子は、内径上のセグメント内で配向された交互の極を有するリング磁石622およびリング磁石622の中央開口部に嵌入するようにサイズ決めされた挿入磁石624である。挿入磁石624は、押しボタン628などを介して動作されるレバー626によって、中央開口部に選択的に挿入可能である。コネクタ602は、リング磁石622に係合し、コネクタ602をコネクタレセプタ604に接続するため、コネクタ602上に位置付けられたその磁気素子630を有する。
【0166】
リング磁石622は、任意の適切な手段、例えば、ばね、磁石、および/または、レバー62の弾力性によって、第1の位置に向かって任意に付勢されていてもよく、その際、コネクタの磁気素子630はリング磁石622の向かい合ったセグメントに対して逆方向に極性が決められる。挿入磁石624が、レバーアセンブリ626、628を介してリング磁石の中央開口部に挿入されると、リング磁石622は、第2の位置に向かう磁界によって、付勢に対して回転され、その際、コネクタの磁気素子630は、リング磁石622の向かい合ったセグメントに対して同じ極性を有して、それによってコネクタ602をコネクタレセプタ604から解放する。
【0167】
さらに別の代替配置では、図50A〜50Cを参照すると、コネクタ602は、コネクタの磁気素子634とコネクタレセプタの磁気素子636との間の係合を分離するように、選択的に操作可能なレバーアセンブリ632を備えてもよい。好ましくは、レバーアセンブリ632は、それぞれの押しボタン640を介して動作可能な一対の対向するレバー638を含む。レバーアセンブリ632は、押しボタン640を押し下げることによって、対向するレバー638が、各磁気素子634、636の間の係合を分離するように構成される。レバーアセンブリ632の機械的な力は、磁界が無効になるまで、磁気素子634、636の間の磁気吸引に干渉する。
【0168】
関連する変形例が図51Aおよび51Bに示される。これに関連して、コネクタレセプタの磁気素子642は、コネクタレセプタ604上の隆起した範囲644内に設定される。コネクタの磁気素子646は、コネクタ602内の凹部の中に設定され、その凹部は、隆起した範囲644の上方に適合して、それによって各磁気素子642、646を係合するようにサイズ決めされる。この実施形態におけるレバー648は、好ましくは、コネクタレセプタの隆起した範囲644からコネクタの凹部を持ち上げるように構成される。
【0169】
別のクリップアセンブリが図52Aおよび52Bに示される。アセンブリは、ヘッドギアアセンブリと結合されるコネクタ650を含む。揺動スイッチ652は、マスク654に取り付けられており、係止位置(図52Bに示される)と解放位置(図52Aに示される)との間で揺動可能である。図示されるように、第1の磁石656はマスク654上に配置され、第2の磁石658は揺動スイッチ652の脚部上に配置される。第1および第2の磁石は、揺動スイッチ652が係止位置にあるときに向かい合う関係で配置される。好ましい配置では、第1の磁石656および第2の磁石658は、揺動スイッチ652が係止位置にあるとき、同極で向かい合った関係で整列される。このクリップアセンブリは、クリップを配置するために磁石を、またクリップを適所に係止するために幾何学形状を利用する。極磁石656、658のように向かい合った状態で、取付けは付勢されて開かれる。コネクタ650が、揺動スイッチ652とマスク654との間に位置するとき、両方の磁石658および656は650の材料に引き付けられ、その結果、それらの同じ極の反発が無効にされ、また、揺動スイッチ652は、揺動スイッチ652上のピン660がコネクタ650上のアパーチャ662に係合する係止位置まで旋回することができる。
【0170】
磁気素子の使用はまた、ヘッドギアストラップの係合を容易にすることができる。図53Aおよび53Bは、その端部に磁気クリップ666を含む、ヘッドギアアセンブリのストラップ664を示す。磁気クリップ666は、マスクを患者の顔面に固定するため、磁気ハウジング668などと係合可能であってもよい。換言すれば、クリップが係合されたときに磁力が加えられると活性状態になる、埋め込まれた磁性材料によって、クリップ666が磁気ハウジング668と係合した場合に、ヘッドギア内のストラップは整列し、使用者の顔面の造作に一致する硬い構造を形成する。
【0171】
関連する文脈では、図54Aおよび54Bを参照すると、ヘッドギアアセンブリのストラップ664は、例えば北から南に磁界の強度が変わる磁気ダイヤル670を使用して、ヘッドギアアセンブリの自動張力調整を可能にする、中に埋め込まれた反磁性体または常磁性体を含んでもよい。ヘッドギア材料の中に埋め込まれた反磁性体および常磁性体は、磁界に晒されたときに活性状態になり、その結果、材料内の素子の吸引または反発が得られ、それによってヘッドギアの自動張力調整が可能になる。
【0172】
反磁性体または常磁性体について言及される場合、他のタイプの磁性材料が、それらの代わりに、またはそれらに加えて使用されてもよく、またそのような材料は本明細書に包含されるものであることが理解されるであろう。
【0173】
組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Aは、本発明の好ましい一実施形態によるマスクシステムの様々な図を含む。付記Aはまた、本発明の他の実施形態によるマスクシステムの様々な図を含む。例えば、酸素ポートまたは圧力ポートを有するフレームを示す、フレームの一実施形態が提供される。例えば図41を参照のこと。フレーム内の酸素ポートまたは圧力ポートのさらなる詳細は、米国特許出願第09/504234号に含まれており、その全体が参照により組み込まれる。付記Aはまた、マスクシステムの操作情報を含む。組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Bは、本発明において検討された2つの従来技術のマスクの図を含む。組み込まれたMooreらの米国仮出願第60/402509号の付記Cは、鼻および顔面の造作が大幅に異なる2つの試験モデル(A+B)と、各モデルに接続された本発明のマスクアセンブリならびに1つの従来技術のマスクの図を含む。付記Cはまた、本発明の一実施形態を、MIRAGE(登録商標)マスクに使用される従来技術のクッションと比較する、一連の図を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれるKwokらの特許文献11を参照のこと。概して言えば、サイズおよび形状は大きく異なっていたが、本発明のマスクアセンブリは両方の鼻モデルにほぼ一致した。マスククッション40は、また、モデルBにおける変形に成功裡に適応することができた。従来技術のマスクアセンブリは、鼻モデルの形状に、特に顕著な間隙が見られるより小さな鼻のモデルの形状に、適合しない傾向があった。1つの従来技術のモデル(特許文献15を参照)は、比較的不安定であり、モデル、特により小さな鼻のモデルの頬の上で揺動する傾向があった。
【0174】
様々な上述した実施形態の構成要素、要素、および特徴は、新しいマスクの実施形態を作成するため、任意の所望の組合せまたは順列でともに使用できるものとである。例えば、本発明を鼻マスクに関して記載してきたが、本教示は、口鼻マスクおよび全面マスクにも同様に適用可能である。
【0175】
本発明を、最も実用的かつ好ましい実施形態であると現在考えられるものに関連して記載してきたが、本発明は、開示の実施形態に限定されるものではなく、反対に、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲に含まれる、様々な修正および同等の装置を包含するものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による鼻マスクアセンブリの斜視図である。
【図1b】本発明の一実施形態によるヘッドギアアセンブリの図である。
【図2】図1の鼻マスクアセンブリの部分側面図である。
【図3】図1の鼻マスクアセンブリの部分正面図である。
【図4】図1の鼻マスクアセンブリの部分上面図である。
【図5】図1の鼻マスクアセンブリのフレーム構成要素の正面斜視図である。
【図5a】図5のフレームの上面図である。
【図5b】患者に影響を及ぼすことがある鼻マスクアセンブリに作用する様々な力を示す概略図である。
【図5c】図5のフレームの背面斜視図である。
【図6a】本発明の別の実施形態によるエルボアセンブリおよびフレームの上面図である。
【図6b】図6aの実施形態の分解組立図である。
【図7】図5のフレームの部分断面図である。
【図8】図1の鼻マスクアセンブリの左側ヨークの側面図である。
【図8a】本発明の別の実施形態による右側ヨークの拡大図である。
【図9a】図1の鼻マスクアセンブリの係止クリップの上面図である。
【図9b】図9aの係止クリップの下面図である。
【図10a】本発明によるほぼ完全に接続された状態のクリップおよびフレームの側面図である。
【図10b】図10aのクリップの下面図である。
【図10c】図10aのクリップの上面図である。
【図10d】図10aのクリップの斜視図である。
【図10e】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図10f】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図10g】様々な接続位置にある本発明のクリップおよびヨークの図である。
【図11】図1の鼻マスクアセンブリのバックルの斜視図である。
【図12】弛緩状態の図1の鼻マスクアセンブリの交差ストラップの下面図である。
【図13】交差した状態の図12の交差ストラップの下面図である。
【図14】図13の交差ストラップの交差バックルの図である。
【図15】図1の鼻マスクアセンブリとともに使用されるストラップループの斜視図である。
【図16a】図1に示される自在エルボの斜視図である。
【図16b】図1の鼻マスクアセンブリの自在エルボの側面図である。
【図17】図16aおよび16bの自在エルボの正面図である。
【図18】図16aおよび16bの自在エルボの背面図である。
【図18b】自在エルボの別の実施形態の側面図である。
【図18c】図18bの自在エルボの正面図である。
【図18d】図18bの自在エルボの背面図である。
【図18e】図18bの自在エルボの断面図である。
【図19a−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19a−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19b−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19b−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19c−1】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図19c−2】フレームの前面から延びるフランジとの接続を示す、図18に示されるような自在エルボの連続断面図である。
【図20】図1の鼻マスクアセンブリの通気孔カバーの斜視図である。
【図21】図20の通気孔カバーの背面図である。
【図22】図20の通気孔カバーの下面図である。
【図22b】図18bの自在エルボと接続する通気孔カバーの別の実施形態の斜視図である。
【図22c】図22bの通気孔カバーの背面図である。
【図22d】図22bの通気孔カバーの下面図である。
【図22e】図22bの通気孔カバーの側面図である。
【図22f】図18bの自在エルボに接続された図22bの通気孔カバーを示す側面図である。
【図23】図6aの鼻マスクのコネクタチューブの斜視図である。
【図24a】計算機援用設計(CAD)作図線を示す図1の鼻マスクアセンブリのクッションの顔面側の図である。
【図24b】CAD作図線を示す図24aのクッションのフレーム側の図である。
【図24c】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24d】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24e】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24f】図24aに示されるクッションの斜視図である。
【図24g】隔壁切欠きを組み込んだ本発明の一実施形態によるマスククッションの図である。
【図25a】CAD作図線を示す図1に示されるクッションの斜視図である。
【図25b】図25aのクッションの顔面側の図である。
【図25c】CAD作図線を示す図25aのクッションのフレーム側の図である。
【図25d】CAD作図線を示す図25bの線25d−25dに沿った断面図である。
【図25e】図25bの線25e−25eに沿った断面図である。
【図25f】図25bの線25f−25fに沿った断面図である。
【図25g】図25bの線25g−25gに沿った断面図である。
【図25h】図25bの線25h−25hに沿った断面図である。
【図25i】一実施形態の一般的な(TYP)寸法(R半径)を示す図25dの拡大図である。
【図26】図1の鼻マスクアセンブリの空気チューブの斜視図である。
【図27a】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27b】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27c】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27d】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図27e】フレームおよびクッションの一連の組立ておよび分解の位置を示す、図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの部分断面図である。
【図28】図1の鼻マスクアセンブリのフレームおよびクッションの代替実施形態の部分断面図である。
【図29a】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29b】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29c】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図29d】図27a−27eのクッションの別の尺度構成の図である。
【図30】図1によるマスクを設計するのに使用される様々な寸法の図である。
【図31】図1によるマスクを設計するのに使用される様々な寸法の図である。
【図32a−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32a−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32b−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32b−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32c−1】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32c−2】クッションがCAD作図線を示す、フレームとクッションの間の係合のための本発明による追加の実施形態の図である。
【図32d】図32a−1〜32c−2に示されるフレームの拡大断面図である。
【図32e】フレームとクッションの間の係合のための本発明の別の実施形態の図である。
【図33】鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図34】鼻マスクアセンブリのヘッドギアアセンブリのヨークの別の実施形態の上面図である。
【図35】図34に示されるヘッドギアアセンブリの右側ヨークの拡大図である。
【図36】図34および35のヘッドギアアセンブリに磁気的に結合された図33のフレームを示す斜視図である。
【図37】図33のフレームおよび図34のヘッドギアアセンブリの磁気結合を示す概略図である。
【図38A】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38B】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38C】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図38D】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39A】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39B】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39C】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図39D】クッションがCAD作図線を示す、クッションの別の実施形態の斜視図である。
【図40】鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図41】図40に示されるフレームの下面図である。
【図42】クッションがCAD作図線を示す、図40に示されるフレームと係合されるように構成されたクッションの一実施形態の上面図である。
【図43】クッションがCAD作図線を示す、図42に示されるクッションの背面図である。
【図44】磁気相互接続アセンブリの別の実施形態を含む、鼻マスクアセンブリのフレームの別の実施形態の斜視図である。
【図45】図44に描かれる磁気相互結合アセンブリの拡大斜視図である。
【図46】図45に描かれる磁気相互接続アセンブリであるが、ただしそれに比べて反転された構成要素を示す拡大斜視図である。
【図47A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図47B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図47C】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図48】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図49A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図49B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図50C】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図51A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図51B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図52A】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図52B】磁気結合の別の実施形態の図である。
【図53A】磁気素子をヘッドギアに組み込んだ実施形態の図である。
【図53B】磁気素子をヘッドギアに組み込んだ実施形態の図である。
【図54A】磁性材料を使用して自動的なヘッドギアの張力調整を可能にする実施形態の図である。
【図54B】磁性材料を使用して自動的なヘッドギアの張力調整を可能にする実施形態の図である。
【符号の説明】
【0177】
10 鼻マスクアセンブリ
20 フレーム
20a 主要本体
20b サイドフレーム部材
40 クッション
60 自在エルボアセンブリ
80 ヘッドギアアセンブリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインフレーム本体および前記メインフレーム本体の各側面にそれぞれ提供されたサイドフレーム部材を有するフレームと、
ヘッドギアアセンブリと、
前記フレームおよびヘッドギアアセンブリを、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることを可能にするため、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリと動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリと、
を備える、呼吸に適したガスを患者に送達するための呼吸マスクアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッドギアアセンブリは、前記サイドフレーム部材のそれぞれと接続するための一対の接続片を備えていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項3】
前記磁気結合アセンブリは二部分磁気結合器システムを含み、前記二部分磁気結合器システムの第1の部分は前記サイドフレーム部材と関連付けられ、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分は前記接続片と関連付けられていることを特徴とする請求項2に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項4】
前記フレームと前記ヘッドギアとの間の複数の可能な角度方向を形成するため、前記サイドフレーム部材および前記ヘッドギアと係合可能な、動作可能に提供された複数の隆起した歯をさらに備え、前記隆起した歯は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記磁気結合アセンブリの結合時に係合可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項5】
前記サイドフレーム部材はそれぞれ、二部分磁気結合器システムの1つの部分を有する凹部を形成するボスを含み、前記ヘッドギアは、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含むコネクタパックをそれぞれ有する一対の接続片を備え、前記コネクタパックはそれぞれ、前記サイドフレーム部材の前記凹部それぞれの中に挿入されるようにサイズ決めされ、かつ構成され、よって前記二部分磁気結合器システムの前記第1および第2の部分を磁気的に結合していることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項6】
前記コネクタパックは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項5に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項7】
前記コネクタパックは、それぞれ環状リップを備えていることを特徴とする請求項5または6のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項8】
前記環状リップは、前記コネクタパックの上側部分から外向きに延びる円錐面セグメントであることを特徴とする請求項7に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項9】
前記コネクタパックの前記環状リップは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項8に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項10】
前記凹部は、前記コネクタパックが前記凹部に挿入されるとき、前記環状リップをその中に受け入れるように適合された環状溝を備えていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項11】
前記磁気結合アセンブリは、前記ヘッドギアアセンブリと関連付けられた一対の接続片を備え、前記接続片はそれぞれ、前記サイドフレーム部材のそれぞれに磁気的に結合されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項12】
前記サイドフレーム部材はそれぞれ、二部分磁気結合器システムの第1の部分を有する凹部を形成するボスを含み、前記ヘッドギアは、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含むコネクタパックをそれぞれ有する一対の接続片を備え、前記コネクタパックはそれぞれ、前記サイドフレーム部材の前記凹部それぞれの中に挿入されるようにサイズ決めされ、かつ構成されており、よって前記二部分磁気結合器システムの前記第1および第2の部分を磁気的に結合する、請求項11に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項13】
前記コネクタパックは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項12に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項14】
前記コネクタパックはそれぞれ環状リップを備えていることを特徴とする請求項12または13のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項15】
前記環状リップは、前記コネクタパックの上側部分から外向きに延びる円錐面セグメントであることを特徴とする請求項14に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項16】
前記コネクタパックの前記環状リップは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項15に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項17】
前記凹部は、前記コネクタパックが前記凹部に挿入されるとき、前記環状リップをその中に受け入れるように適合された環状溝を備えていることを特徴とする請求項16に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項18】
前記サイドフレーム部材および前記ヘッドギアアセンブリの1つの上に形成された、二部分磁気結合器システムの第1の部分を含む凹部を形成するボスと、前記フレーム部材および前記ヘッドギアアセンブリの他方の上に形成された、前記第1の部分と磁気結合するように適合された前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含む接続パックとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項19】
前記ボスは前記サイドフレーム部材上に形成され、前記接続パックは前記ヘッドギア上に形成されていることを特徴とする請求項18に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項20】
前記ヘッドギアは接続片を備え、前記接続パックは前記接続片上に形成されていることを特徴とする請求項19に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項21】
マスク内に形成されるように適合された、少なくとも第1の磁気素子を含むコネクタレセプタと、
ヘッドギアアセンブリと結合されるように適合された、少なくとも第2の磁気素子を含むコネクタと、
を備え、
前記マスクを前記ヘッドギアアセンブリに固定するため、前記コネクタが前記コネクタレセプタと係合可能であり、前記第1および第2の磁気素子が、前記コネクタと前記コネクタレセプタの間の係合および位置調節を容易にするように、位置付けされ極性が決められている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリ。
【請求項22】
前記第1の磁気素子は、ほぼ垂直な面内に配置された対向面を有する位置磁石と方向磁石とを備え、前記コネクタは、第1の面内の使用面と第2の面内の調節面とを備え、前記使用面および前記調節面が前記位置磁石と選択的に係合可能であり、前記第2の磁気素子は、前記使用面が前記位置磁石と係合されたとき、前記コネクタを前記コネクタレセプタに固定するように前記方向磁石に係合し、前記第2の磁気素子は、前記調節面が前記位置磁石と係合されたときに、前記コネクタを前記コネクタレセプタから解放するように前記方向磁石を係脱することを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項23】
前記コネクタレセプタは、内径を有する調節可能なリングを備え、前記第1の磁気素子の位置が前記調節可能なリングの位置に依存するように、前記第1の磁気素子が前記調節可能なリング内に配置され、前記コネクタは、前記調節可能なリングの前記内径に係合するように形作られ、前記第2の磁気素子は、前記第1の磁気素子に係合し、よって前記コネクタを前記コネクタレセプタ内に固定するように、前記コネクタ上に位置付けられることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項24】
前記第1の磁気素子は、内径上のセグメント内で配向された交互の極を有するリング磁石と、前記リング磁石の中央開口部に嵌入するようにサイズ決めされた、レバーによって前記中央開口部に選択的に挿入可能な挿入磁石とを備え、前記第2の磁気素子は、前記リング磁石に係合して前記コネクタを前記コネクタレセプタに接続するように、前記コネクタ上に位置付けられ、
前記リング磁石は、前記第2の磁気素子が前記リング磁石上の対向するセグメントに対して反対の極を備える第1の位置に向かって付勢され、前記挿入磁石が前記リング磁石の前記中央開口部に挿入されたとき、前記リング磁石が、前記第2の磁気素子が前記リング磁石上の対向するセグメントに対して同じ極を備える第2の位置に向かう付勢に対して回転され、よって前記コネクタを前記コネクタレセプタから解放するように、前記第1の磁気素子が構成されていることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項25】
前記コネクタは、前記第1の磁気素子と前記第2の磁気素子との間の係合を分離するように選択的に動作可能なレバーアセンブリを含んでいることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項26】
前記レバーアセンブリは、各押しボタンによって動作可能な一対の対向するレバーを備え、前記レバーアセンブリは、前記押しボタンを押し下げることによって、前記対向するレバーが前記第1の磁気素子と前記第2の磁気素子との間の係合を分離するように構成されていることを特徴とする請求項25に記載のクリップアセンブリ。
【請求項27】
前記第1の磁気素子は前記コネクタレセプタ上の隆起した範囲内に設定され、前記第2の磁気素子は前記コネクタの凹部内に設定され、前記凹部は、前記隆起した範囲の上方に適応し、よって前記第1の磁気素子および前記第2の磁気素子が係合するようにサイズ決めされていることを特徴とする請求項25に記載のクリップアセンブリ。
【請求項28】
前記レバーは、前記凹部を前記隆起した範囲から上に上昇させるように構成されていることを特徴とする請求項29に記載のクリップアセンブリ。
【請求項29】
前記ヘッドギアアセンブリは、その端部に磁気クリップを有するストラップを備え、前記磁気クリップは、前記マスクを患者の顔面に固定するように係合可能であることを特徴とする請求項21〜28のいずれか一項に記載のクリップアセンブリ。
【請求項30】
前記ヘッドギアアセンブリの前記ストラップは、前記ヘッドギアアセンブリの自動張力調整を可能にする、前記ヘッドギアアセンブリに埋め込まれた反磁性体および常磁性体を備えていることを特徴とする請求項29に記載のクリップアセンブリ。
【請求項31】
ヘッドギアアセンブリと結合されたコネクタと、
マスクに取り付けられ、係止位置と解放位置との間で揺動可能な揺動スイッチであって、前記係止位置において前記コネクタと係合可能な揺動スイッチとを備え、
第1の磁石が前記マスク上に配置され、第2の磁石が前記揺動スイッチの脚部上に配置され、前記揺動スイッチが前記係止位置にあるとき、前記第1および第2の磁石が対向する関係で配置されている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリ。
【請求項32】
前記揺動スイッチが前記係止位置にあるとき、前記第1の磁石および前記第2の磁石は、同じ極が対向する関係で整列されていることを特徴とする請求項31に記載のクリップアセンブリ。
【請求項33】
一以上のストラップと、請求項21〜30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリとを含む、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項34】
マスクフレームと、請求項21〜30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリとを含む、マスクフレームアセンブリ。
【請求項35】
マスクと、
ヘッドギアと、
請求項21から30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリと、
を含む、マスクアセンブリ。
【請求項1】
メインフレーム本体および前記メインフレーム本体の各側面にそれぞれ提供されたサイドフレーム部材を有するフレームと、
ヘッドギアアセンブリと、
前記フレームおよびヘッドギアアセンブリを、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリの間の所望の角度方向で互いに取外し可能に取り付けることを可能にするため、前記フレームおよびヘッドギアアセンブリと動作可能に関連付けられた磁気結合アセンブリと、
を備える、呼吸に適したガスを患者に送達するための呼吸マスクアセンブリ。
【請求項2】
前記ヘッドギアアセンブリは、前記サイドフレーム部材のそれぞれと接続するための一対の接続片を備えていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項3】
前記磁気結合アセンブリは二部分磁気結合器システムを含み、前記二部分磁気結合器システムの第1の部分は前記サイドフレーム部材と関連付けられ、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分は前記接続片と関連付けられていることを特徴とする請求項2に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項4】
前記フレームと前記ヘッドギアとの間の複数の可能な角度方向を形成するため、前記サイドフレーム部材および前記ヘッドギアと係合可能な、動作可能に提供された複数の隆起した歯をさらに備え、前記隆起した歯は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記磁気結合アセンブリの結合時に係合可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項5】
前記サイドフレーム部材はそれぞれ、二部分磁気結合器システムの1つの部分を有する凹部を形成するボスを含み、前記ヘッドギアは、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含むコネクタパックをそれぞれ有する一対の接続片を備え、前記コネクタパックはそれぞれ、前記サイドフレーム部材の前記凹部それぞれの中に挿入されるようにサイズ決めされ、かつ構成され、よって前記二部分磁気結合器システムの前記第1および第2の部分を磁気的に結合していることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項6】
前記コネクタパックは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項5に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項7】
前記コネクタパックは、それぞれ環状リップを備えていることを特徴とする請求項5または6のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項8】
前記環状リップは、前記コネクタパックの上側部分から外向きに延びる円錐面セグメントであることを特徴とする請求項7に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項9】
前記コネクタパックの前記環状リップは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項8に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項10】
前記凹部は、前記コネクタパックが前記凹部に挿入されるとき、前記環状リップをその中に受け入れるように適合された環状溝を備えていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項11】
前記磁気結合アセンブリは、前記ヘッドギアアセンブリと関連付けられた一対の接続片を備え、前記接続片はそれぞれ、前記サイドフレーム部材のそれぞれに磁気的に結合されるように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項12】
前記サイドフレーム部材はそれぞれ、二部分磁気結合器システムの第1の部分を有する凹部を形成するボスを含み、前記ヘッドギアは、前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含むコネクタパックをそれぞれ有する一対の接続片を備え、前記コネクタパックはそれぞれ、前記サイドフレーム部材の前記凹部それぞれの中に挿入されるようにサイズ決めされ、かつ構成されており、よって前記二部分磁気結合器システムの前記第1および第2の部分を磁気的に結合する、請求項11に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項13】
前記コネクタパックは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項12に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項14】
前記コネクタパックはそれぞれ環状リップを備えていることを特徴とする請求項12または13のいずれか一項に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項15】
前記環状リップは、前記コネクタパックの上側部分から外向きに延びる円錐面セグメントであることを特徴とする請求項14に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項16】
前記コネクタパックの前記環状リップは、複数の交互の歯および空間を形成し、前記凹部は、前記フレームと前記ヘッドギアアセンブリとの間の前記所望の角度方向を確立するように、前記空間の選択された1つと係合可能な少なくとも1つの停止歯を備えていることを特徴とする請求項15に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項17】
前記凹部は、前記コネクタパックが前記凹部に挿入されるとき、前記環状リップをその中に受け入れるように適合された環状溝を備えていることを特徴とする請求項16に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項18】
前記サイドフレーム部材および前記ヘッドギアアセンブリの1つの上に形成された、二部分磁気結合器システムの第1の部分を含む凹部を形成するボスと、前記フレーム部材および前記ヘッドギアアセンブリの他方の上に形成された、前記第1の部分と磁気結合するように適合された前記二部分磁気結合器システムの第2の部分を含む接続パックとを備えていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項19】
前記ボスは前記サイドフレーム部材上に形成され、前記接続パックは前記ヘッドギア上に形成されていることを特徴とする請求項18に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項20】
前記ヘッドギアは接続片を備え、前記接続パックは前記接続片上に形成されていることを特徴とする請求項19に記載の呼吸マスクアセンブリ。
【請求項21】
マスク内に形成されるように適合された、少なくとも第1の磁気素子を含むコネクタレセプタと、
ヘッドギアアセンブリと結合されるように適合された、少なくとも第2の磁気素子を含むコネクタと、
を備え、
前記マスクを前記ヘッドギアアセンブリに固定するため、前記コネクタが前記コネクタレセプタと係合可能であり、前記第1および第2の磁気素子が、前記コネクタと前記コネクタレセプタの間の係合および位置調節を容易にするように、位置付けされ極性が決められている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリ。
【請求項22】
前記第1の磁気素子は、ほぼ垂直な面内に配置された対向面を有する位置磁石と方向磁石とを備え、前記コネクタは、第1の面内の使用面と第2の面内の調節面とを備え、前記使用面および前記調節面が前記位置磁石と選択的に係合可能であり、前記第2の磁気素子は、前記使用面が前記位置磁石と係合されたとき、前記コネクタを前記コネクタレセプタに固定するように前記方向磁石に係合し、前記第2の磁気素子は、前記調節面が前記位置磁石と係合されたときに、前記コネクタを前記コネクタレセプタから解放するように前記方向磁石を係脱することを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項23】
前記コネクタレセプタは、内径を有する調節可能なリングを備え、前記第1の磁気素子の位置が前記調節可能なリングの位置に依存するように、前記第1の磁気素子が前記調節可能なリング内に配置され、前記コネクタは、前記調節可能なリングの前記内径に係合するように形作られ、前記第2の磁気素子は、前記第1の磁気素子に係合し、よって前記コネクタを前記コネクタレセプタ内に固定するように、前記コネクタ上に位置付けられることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項24】
前記第1の磁気素子は、内径上のセグメント内で配向された交互の極を有するリング磁石と、前記リング磁石の中央開口部に嵌入するようにサイズ決めされた、レバーによって前記中央開口部に選択的に挿入可能な挿入磁石とを備え、前記第2の磁気素子は、前記リング磁石に係合して前記コネクタを前記コネクタレセプタに接続するように、前記コネクタ上に位置付けられ、
前記リング磁石は、前記第2の磁気素子が前記リング磁石上の対向するセグメントに対して反対の極を備える第1の位置に向かって付勢され、前記挿入磁石が前記リング磁石の前記中央開口部に挿入されたとき、前記リング磁石が、前記第2の磁気素子が前記リング磁石上の対向するセグメントに対して同じ極を備える第2の位置に向かう付勢に対して回転され、よって前記コネクタを前記コネクタレセプタから解放するように、前記第1の磁気素子が構成されていることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項25】
前記コネクタは、前記第1の磁気素子と前記第2の磁気素子との間の係合を分離するように選択的に動作可能なレバーアセンブリを含んでいることを特徴とする請求項21に記載のクリップアセンブリ。
【請求項26】
前記レバーアセンブリは、各押しボタンによって動作可能な一対の対向するレバーを備え、前記レバーアセンブリは、前記押しボタンを押し下げることによって、前記対向するレバーが前記第1の磁気素子と前記第2の磁気素子との間の係合を分離するように構成されていることを特徴とする請求項25に記載のクリップアセンブリ。
【請求項27】
前記第1の磁気素子は前記コネクタレセプタ上の隆起した範囲内に設定され、前記第2の磁気素子は前記コネクタの凹部内に設定され、前記凹部は、前記隆起した範囲の上方に適応し、よって前記第1の磁気素子および前記第2の磁気素子が係合するようにサイズ決めされていることを特徴とする請求項25に記載のクリップアセンブリ。
【請求項28】
前記レバーは、前記凹部を前記隆起した範囲から上に上昇させるように構成されていることを特徴とする請求項29に記載のクリップアセンブリ。
【請求項29】
前記ヘッドギアアセンブリは、その端部に磁気クリップを有するストラップを備え、前記磁気クリップは、前記マスクを患者の顔面に固定するように係合可能であることを特徴とする請求項21〜28のいずれか一項に記載のクリップアセンブリ。
【請求項30】
前記ヘッドギアアセンブリの前記ストラップは、前記ヘッドギアアセンブリの自動張力調整を可能にする、前記ヘッドギアアセンブリに埋め込まれた反磁性体および常磁性体を備えていることを特徴とする請求項29に記載のクリップアセンブリ。
【請求項31】
ヘッドギアアセンブリと結合されたコネクタと、
マスクに取り付けられ、係止位置と解放位置との間で揺動可能な揺動スイッチであって、前記係止位置において前記コネクタと係合可能な揺動スイッチとを備え、
第1の磁石が前記マスク上に配置され、第2の磁石が前記揺動スイッチの脚部上に配置され、前記揺動スイッチが前記係止位置にあるとき、前記第1および第2の磁石が対向する関係で配置されている、呼吸マスクをヘッドギアアセンブリに解放可能に固定するクリップアセンブリ。
【請求項32】
前記揺動スイッチが前記係止位置にあるとき、前記第1の磁石および前記第2の磁石は、同じ極が対向する関係で整列されていることを特徴とする請求項31に記載のクリップアセンブリ。
【請求項33】
一以上のストラップと、請求項21〜30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリとを含む、ヘッドギアアセンブリ。
【請求項34】
マスクフレームと、請求項21〜30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリとを含む、マスクフレームアセンブリ。
【請求項35】
マスクと、
ヘッドギアと、
請求項21から30のいずれか一項に記載のクリップアセンブリと、
を含む、マスクアセンブリ。
【図1】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図8a】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【図10g】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図18e】
【図19a−1】
【図19a−2】
【図19b−1】
【図19b−2】
【図19c−1】
【図19c−2】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22b】
【図22c】
【図22d】
【図22e】
【図22f】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図24c】
【図24d】
【図24e】
【図24f】
【図24g】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図25d】
【図25e】
【図25f】
【図25g】
【図25h】
【図25i】
【図26】
【図27a】
【図27b】
【図27c】
【図27d】
【図27e】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図29c】
【図29d】
【図30】
【図31】
【図32a−1】
【図32a−2】
【図32b−1】
【図32b−2】
【図32c−1】
【図32c−2】
【図32d】
【図32e】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図39D】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図47C】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図50A】
【図50B】
【図50C】
【図51A】
【図51B】
【図52A】
【図52B】
【図53A】
【図53B】
【図54A】
【図54B】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図8a】
【図9a】
【図9b】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図10f】
【図10g】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16a】
【図16b】
【図17】
【図18】
【図18b】
【図18c】
【図18d】
【図18e】
【図19a−1】
【図19a−2】
【図19b−1】
【図19b−2】
【図19c−1】
【図19c−2】
【図20】
【図21】
【図22】
【図22b】
【図22c】
【図22d】
【図22e】
【図22f】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図24c】
【図24d】
【図24e】
【図24f】
【図24g】
【図25a】
【図25b】
【図25c】
【図25d】
【図25e】
【図25f】
【図25g】
【図25h】
【図25i】
【図26】
【図27a】
【図27b】
【図27c】
【図27d】
【図27e】
【図28】
【図29a】
【図29b】
【図29c】
【図29d】
【図30】
【図31】
【図32a−1】
【図32a−2】
【図32b−1】
【図32b−2】
【図32c−1】
【図32c−2】
【図32d】
【図32e】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38A】
【図38B】
【図38C】
【図38D】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図39D】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47A】
【図47B】
【図47C】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図50A】
【図50B】
【図50C】
【図51A】
【図51B】
【図52A】
【図52B】
【図53A】
【図53B】
【図54A】
【図54B】
【公表番号】特表2008−532659(P2008−532659A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501108(P2008−501108)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000350
【国際公開番号】WO2006/096924
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際出願番号】PCT/AU2006/000350
【国際公開番号】WO2006/096924
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500046450)レスメド・リミテッド (192)
【氏名又は名称原語表記】RESMED LTD
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