説明

ヘッドホン

【課題】ハウジングの大きさがイヤーパッドの大きさに依存せず、ハウジングを設計する際の自由度を高めることが可能な、新規かつ改良された技術を提供する。
【解決手段】ヘッドホン1は、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニットを有するハウジング4と、内周部9aから外周部9bにかけて厚みを有する略円環状をなすクッション部9と、クッション部9を覆い、ユーザによる装着時においてユーザの側頭部に接触する面である一端面に縫製の合わせ部分が形成され、一端面とは反対側の他端面のうち、クッション部9の内周側に突起部10aが形成された表皮部10と、突起部10aを挟み込むリング部81およびホルダ部82と、ハウジング4の前面板6とホルダ部8とを取り付ける取り付け部7とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホンに関する。詳しくは、ヘッドホンのイヤーパッドをハウジングの前面板に取り付ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの頭部に装着され、耳に近接するスピーカを用いて、再生装置や受信機等から出力された電気信号を音波に変換する装置としてヘッドホンが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示されたヘッドホンは、内部にスピーカユニットを有するハウジングと、そのハウジングの内面側に取り付けられ、柔軟性に富んだイヤーパッドとを備えて構成されている。ハウジングは、外形が略ドーム状を為す外殻部とその外殻部の一端側に設けられた円板状の取り付け部とから成り、外殻部と取り付け部との間に、周方向に伸びる取り付け溝が形成されている。
【0004】
イヤーパッドは、例えば、ウレタン系の柔軟性に富むクッション部の一部が、例えば、合成皮革や布材料等によって形成された表皮部によって覆われて成り、ハウジングの取り付け部に取り付けられる。表皮部は、覆い部と被取り付け部とが縫合されて成る。
【0005】
覆い部は、外形が円形状の浅い容器状を為している。被取り付け部は、リング状の周面部と該周面部の一端から内方へ突出されたフランジ状の挿入部とから成り、周面部の他端部が覆い部の開口縁部と縫合されている。縫合の合わせ部分はハウジングに近い箇所に作成され、その合わせ部分の返しの生地が挿入部となる。
【0006】
クッション部を表皮部内に挿入した状態において、表皮部の挿入部をハウジングの取り付け溝内に挿入して、イヤーパッドをハウジングに取り付ける。この場合に、一定以上の取り付け強度を確保するために、挿入部における取り付け溝に挿入される部分を一定量以上確保しなければならない。また、挿入部を取り付け溝から取り出すことにより、ハウジングからイヤーパッドを取り外すことができる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−197581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、イヤーパッドを大きくするに従って、ハウジングも大きくなってしまい、ハウジングを設計する際の自由度が小さいという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、ハウジングの大きさがイヤーパッドの大きさに依存せず、ハウジングを設計する際の自由度を高めることが可能な、新規かつ改良された技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある観点によれば、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニットを有するハウジングと、内周部から外周部にかけて厚みを有する略円環状をなすクッション部と、クッション部を覆い、ユーザによる装着時においてユーザの側頭部に接触する面である一端面に縫製の合わせ部分が形成され、一端面とは反対側の他端面のうち、内周側に突起部が形成された表皮部と、突起部を挟み込むリング部およびホルダ部と、ハウジングの前面板とホルダ部とを取り付ける取り付け部と、を備えるヘッドホンが提供される。
【0011】
上記した内周側は、外周部からの距離よりも内周部からの距離のほうが近い位置であることとすることとしてもよい。
【0012】
上記した取り付け部は、取り付け用のツメ、バヨネット方式による取り付け部材、取り付け用のネジ、取り付け用のマグネット、溶着による取り付け部分のうち、少なくとも1つを含んで構成されることとしてもよい。
【0013】
上記した突起部は、表皮部の縫製の合わせ部分によって構成されることとしてもよい。
【0014】
上記した突起部は、表皮部よりも厚みのある生地が表皮部に溶着されて構成されることとしてもよい。
【0015】
上記したドライバユニットは、一端面よりも他端面に近い位置に配設されることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハウジングの大きさがイヤーパッドの大きさに依存せず、ハウジングを設計する際の自由度を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお、説明は以下の順序で行う。
【0018】
1. 一般的なヘッドホンの概要
2. 本実施形態に係るヘッドホンの概要
3. 本実施形態に係るヘッドホン本体の構成
4. 本実施形態に係るイヤーパッドの構成
5. 本実施形態に係るイヤーパッドの詳細
6. 本実施形態に係るイヤーパッドの前面板への取り付け
7. 本実施形態の変形例
8. 本実施形態に係るヘッドホンの装着
9. 本実施形態による効果
【0019】
一般的なヘッドホンの概要]
図1は、一般的なヘッドホンの概略正面図である。図2は、一般的なヘッドホンの分解斜視図であり、図2(a)は、ハウジングの前面板にイヤーパッドを取り付ける前の状態を示す図、図2(b)は、ハウジングの前面板にイヤーパッドを取り付けた後の状態を示す図である。図1および図2を参照して、一般的なヘッドホンの概要について説明する。
【0020】
図1に示すように、一般的なヘッドホン90は、一対のヘッドホン本体92、92と、ヘッドバンド93とを備えている。ヘッドホン本体92、92は、それぞれハウジング94と、ハウジング94の内面側に取り付けられた柔軟性に富むイヤーパッド95とを有している。ここで、内面側は、ユーザによるヘッドホン90の装着時においてユーザの側頭部に近い側を意味し、外面側は内面側と反対側であってユーザの側頭部から遠い側を意味するものとする。
【0021】
ヘッドバンド93は、上方に凸になるように湾曲され、可撓性および弾性を有し、両端部が互いに近づく方向に対する弾発力を有するバネ部材として設けられている。
【0022】
ハウジング94は、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニット(不図示)を内部に有する。図2(a)上図に示すように、ハウジング94の内面側には、周方向に伸びる取り付け溝94aが形成されている。
【0023】
イヤーパッド95は、柔軟性に富むクッション部(不図示)の一部が、表皮部100によって覆われてなる。表皮部100は、覆い部111と、被取り付け部112との境目が縫合されてなる。図2(a)下図に示すように、被取り付け部112は、フランジ状の挿入部112aを有し、挿入部112aをハウジング94の取り付け溝94aに挿入することによって、イヤーパッド95をハウジング94に取り付けることが可能にされている。取り付けた状態が、図2(b)に示されている。また、挿入部112aを取り付け溝94aから取り出すことによって、ハウジング94からイヤーパッド95を取り出すことが可能にされている。
【0024】
このように、一般的なヘッドホン90のイヤーパッド(イヤークッション)95では、図1および図2に示したように、イヤーパッド95側のフランジ(挿入部112a)をヘッドホン90のハウジング94側の溝(取り付け溝94a)に挿入して固定する。これによると、イヤーパッド95の外周側にフランジをつけることになるため、ハウジング94をイヤーパッド95より小さくすることが困難である。ハウジング94を小さくすると、イヤーパッド95側のフランジを引っ掛けるためのハウジング94側のツバが大きくなってしまうという問題がある。また、イヤーパッド95側のフランジの幅に限界があり、フランジの内周端が見えてしまい不恰好になるという問題もある。また、イヤーパッド95側のフランジの生地は、軟らかいことが多く、引っ張りに対する強度が低いという問題もある。一般的なヘッドホン90では、イヤーパッド95に対して1kgf(=9.8N)以下の力で引っ張るとハウジング94から外れることが本願の出願人らによって確認されている。
【0025】
本実施形態によれば、イヤーパッド95のツバを内周側に配置することでリング状の別部品でツバを挟み込むことが可能になり、イヤーパッド95を外れにくくすることが可能となる。ハウジング94をイヤーパッド95に比較して小さくすることが可能となる。
【0026】
本実施形態に係るヘッドホンの概要]
図3は、本実施形態に係るヘッドホンの概略正面図である。図3を参照して、本実施形態に係るヘッドホンの概要について説明する。
【0027】
図3に示すように、本実施形態に係るヘッドホン1は、一対のヘッドホン本体2、2と、ヘッドバンド3とを備えている。ヘッドホン本体2、2は、それぞれハウジング4と、ハウジング4の内面側に取り付けられた柔軟性に富むイヤーパッド5とを有している。ここで、内面側は、ユーザによるヘッドホン1の装着時においてユーザの側頭部に接触する面である一端面を意味し、外面側は内面側と反対側であってユーザの側頭部から遠い側を意味するものとする。
【0028】
ヘッドバンド3は、上方に凸になるように湾曲され、可撓性および弾性を有し、両端部が互いに近づく方向に対する弾発力を有するバネ部材として設けられている。
【0029】
ハウジング4は、電気信号を音波に変換して出力するドライバユニット(不図示)を内部に有する。なお、本実施形態においては、ドライバユニット(不図示)が組み込まれた前面板6がハウジング4に取り付けられることとするが、ドライバユニット(不図示)は、ハウジング4に直接組み込まれることとしてもよい。
【0030】
イヤーパッド5は、柔軟性に富むクッション部9(図4参照)の全部または一部が、表皮部10によって覆われてなる。表皮部10は、人体接触部11と、覆い部12との境目が縫合されてなる。内面側(例えば、内面側の外周側)に縫製の合わせ部分が形成されている。イヤーパッド5は、ハウジング4に取り付けることが可能にされており、ハウジング4から取り出すことが可能にされている。
【0031】
本実施形態に係るヘッドホン本体の構成]
図4は、本実施形態に係るハウジングおよびイヤーパッドの分解斜視図である。図4を参照して、本実施形態に係るハウジングおよびイヤーパッドの構成について説明する。
【0032】
図4に示すように、クッション部9は、内周部9aから外周部9bにかけて厚みを有する略円環状(ドーナツ状)をなすものである。クッション部9は、例えば、ウレタン系の柔軟性に富む素材によって構成されている。
【0033】
表皮部10は、突起部10aを有している。表皮部10は、例えば、合成皮革や布材料等によって構成されている。また、表皮部10は、クッション部9を覆うように構成される。
【0034】
突起部10aは、表皮部10の外面側に形成されており、クッション部9が表皮部10に挿入されている状態におけるクッション部9の内周側に形成されている。ここでいう内周側とは、外周部9bからの距離よりも内周部9aからの距離のほうが近い位置を表すものであり、例えば、内周部9aからの距離が1cm以内の位置である。突起部10aは、表皮部10の縫製の合わせ部分によって構成されることとしてもよい。これによれば、表皮部10の合わせの最終工程を内周側で行っても、その最終工程で生成された縫製の合わせ部分がハウジング4に隠れるので、美観性を気にする必要がなくなる。また、突起部10aは、表皮部10とは別の生地によって構成され、その生地が表皮部10に溶着されて構成されることとしてもよい。また、その生地は、表皮部10よりも厚みがあることが好ましい。
【0035】
取り付けプラグ41は、ハウジング4の一部を覆うように被せられ、ハウジング4の保護、美観性の向上等に使用される。
【0036】
前面板6は、ネジ61等(例えば、ビス等)によってハウジング4に取り付けられるものである。前面板6には、ドライバユニット(不図示)が組み込まれている。
【0037】
リング部81は、突起部10aを挟み込む部材のひとつである。リング部81は、リング状の形状を有することとすることができるが、突起部10aを挟み込むことが可能な形状であれば限定されるものではない。リング部81は、例えば、表皮部10よりも強度の高い樹脂等によって構成される。
【0038】
ホルダ部82は、突起部10aを挟み込む部材のひとつである。ホルダ部82は、リング状の形状を有することとすることができるが、突起部10aを挟み込むことが可能な形状であれば限定されるものではない。リング部81およびホルダ部82が、リング状の形状を有する場合には、例えば、リング部81の内周側とホルダ部82の外周側とによって、突起部10aを挟み込む構成とすることが可能である。リング部81の外周側とホルダ部82の内周側とによって、突起部10aを挟み込む構成とすることも可能である。ホルダ部82は、例えば、表皮部10よりも強度の高い樹脂等によって構成される。
【0039】
ホルダ部82は、クッション部9と表皮部10の間に滑り込ませることが可能にされたツバ82aを有することとしてもよい。これによれば、リング部81およびホルダ部82によって突起部10aを挟み込む作業が容易となり、イヤーパッド5を前面板6に取り付ける作業も容易となる。
【0040】
ホルダ部82は、ツメ82bを有することとしてもよい。これによれば、リング部81が、ツメ82bによって外れにくい構造とすることができる。ツメ82bの数は、イヤーパッド5の大きさや、イヤーパッド5を前面板6に取り付ける際の取付け強度等によって、増減可能である。
【0041】
取り付け部7は、ハウジング4の前面板6とホルダ部82とを取り付けるものである。図4に示した例では、取り付け部7は、取り付け用のネジ71およびバヨネット方式による取り付け部材72によって構成されることとしている。この場合には、取り付け用のネジ71が差し込まれる穴(不図示)が前面板6に形成され、バヨネット方式による取り付け部材72部材(不図示)が前面板6にされる。
【0042】
図4に示した例では、取り付け部7は、取り付け用のネジ71およびバヨネット方式による取り付け部材72によって構成されることとしているが、これに限定されない。例えば、取り付け部7は、取り付け用のツメ、バヨネット方式による取り付け部材72、取り付け用のネジ71、取り付け用のマグネット、溶着による取り付け部分のうち、少なくとも1つを含んで構成されることとしてもよい。また、取り付け用のネジ71(ビス等)が、ハウジング4側からクッション部9側に向けて差し込まれ、止められる構造とすることも可能である。
【0043】
また、図4に示した例では、取り付け部7は、取り付け用のネジ71が3つ、バヨネット方式による取り付け部材72が1つ形成されているが、取り付け部7はいくつ形成されることとしてもよい。
【0044】
本実施形態に係るイヤーパッドの構成]
図5は、本実施形態に係るイヤーパッドの斜視図である。図5を参照して(適宜図4参照)、本実施形態に係るイヤーパッドの構成について説明する。
【0045】
図5に示すように、表皮部10にクッション部9が挿入された状態で、突起部10aがリング部81とホルダ部82とによって挟み込まれている。この状態では、図5に示したように、突起部10aが見えないようにすることも可能である。
【0046】
本実施形態に係るイヤーパッドの詳細]
図6は、図5に示したI線に沿った断面図であり、図6(a)は、図5に示したI線に沿ったイヤーパッド5全体の断面図、図6(b)は、図6(a)に示したAの拡大図である。図6を参照して、本実施形態に係るイヤーパッドの詳細について説明する。
【0047】
図6(a)に示すように、人体接触部11と覆い部12とが縫合されることで、縫製の合わせ部分13が形成されている。
【0048】
図6(b)に示した例では、リング部81の内周側とホルダ部82の外周側とによって、突起部10aを挟み込む構成となっている。また、ホルダ部82は、ツバ82aを有する構成となっている。ツバ82aは、クッション部9と表皮部10の間に滑り込ませることが可能にされている。また、図6(b)に示した例では、ホルダ部82は、ツメ82bを有する構成となっている。
【0049】
本実施形態に係るイヤーパッドの前面板への取り付け]
図7は、本実施形態のイヤーパッドの前面板への取り付けを示す斜視図である。図8は、本実施形態のイヤーパッドの前面板への取り付けの詳細を示す斜視図であり、図8(a)は、イヤーパッドを前面板に合わせる前、図8(b)は、イヤーパッドを前面板に合わせた後、図8(c)は、イヤーパッドを前面板に取り付けた後の様子を示す図である。図7および図8を参照して、本実施形態に係るイヤーパッドの前面板への取り付けについて説明する。
【0050】
図7に示した例では、取り付け部7は、取り付け用のネジ71およびバヨネット方式による取り付け部材72によって構成されることとしている。前面板6にもバヨネット方式による取り付け部材72が形成されている。
【0051】
図8(a)に示した例では、ホルダ部82の見やすさを考慮し、表皮部10が仮想線によって示されている。
【0052】
図8(b)に示した例では、バヨネット方式による取り付けの見やすさを考慮し、表皮部10およびネジ71が省略されている。
【0053】
図8(c)に示した例では、バヨネット方式による取り付けの見やすさを考慮し、表皮部10およびネジ71が省略されている。図8(c)には、図8(b)に示した状態から、(図8(b)を正面から見て)ホルダ部82を時計回りに回転させることで、バヨネット方式による取り付けが完了されている様子が示されている。
【0054】
本実施形態の変形例]
ヘッドホン1は、ネックバンドタイプ、それ以外のあらゆる装着タイプのヘッドホンに応用可能である。
【0055】
本実施形態に係るヘッドホンの装着]
図9は、本実施形態に係るヘッドホンの装着時の様子を示す図である。図9を参照して、本実施形態に係るヘッドホンの装着時の様子について説明する。
【0056】
図9は、特に、ヘッドホン1がユーザの左耳に装着されている様子を、ユーザの顔を正面として示したものである。図9に示すように、ハウジング4の大きさがイヤーパッド5の大きさに依存せず、ハウジング4の半径を小さくすることができる。また、縫製の合わせ部分13を、ユーザによるヘッドホン90の装着時においてユーザの側頭部に接触する面に形成することによって、稜線51(縫製の合わせ部分13の外側部分)をはっきりさせることができる。
【0057】
図9に示したように、ドライバユニット42は、例えば、一端面(ユーザによるヘッドホン1の装着時においてユーザの側頭部に接触する面)よりも他端面(一端面とは反対側の面)に近い位置に配設されることとすることができる。
【0058】
[9.本実施形態による効果]
本実施形態によれば、下記に示す効果が得られる。
【0059】
縫製の合わせ部分を、ユーザによるヘッドホン90の装着時においてユーザの側頭部に接触する面に形成することによって、稜線51をはっきりさせることができ、耳介20のイヤーパッド5による密閉度を高めることができる。特に、重低音に対する音漏れを防止することができる。
【0060】
イヤーパッド5をハウジング4の外径に影響されず設定できるため、ハウジング4の外径よりも大きな(または小さな)イヤーパッド5をつけることができ、意匠(ハウジング4の設計)の自由度が増す。イヤーパッド5を大きくするためにヘッドホン本体2のハウジング4を大きくする必要がないので軽量化が可能である。
【0061】
イヤーパッド5をハウジング4の外径よりも大きくすることで、ユーザがヘッドホン1を装着した際に、イヤーパッド5がハウジング4の支え面より外側に膨らむこととなる。これによって、耳介20の外周(もっとも立っている部分)に対する負荷を軽減し、耳乗せタイプのヘッドホン1であっても柔らかな装着感を得ることができる。イヤーパッド5の外周をハウジング4の外径より大きくできるので、イヤーパッド5内部のウレタンフォームの幅(外周と内周の差)も大きくできる。このため、ウレタンフォームを厚くすることが可能となる。ウレタンフォームの幅が小さいと、ウレタンフォームを厚くすることで変形しやすく、形状を維持できない。
【0062】
イヤーパッド5にウレタンフォーム及びホルダ部8を組んだ状態(図5に示した状態)をイヤークッションASSYとし、イヤークッションASSYの前面板6に対する取り付けがツメ等の取り付け部7によって可能となる。これによって、クッション部9や表皮部10の付け替えの際の取り付け・取り外しが容易になる。
【0063】
一般的なヘッドホン90と比較して、本実施形態に係るヘッドホン1の前面板6に対する取り付け強度が増す。一般的なヘッドホン90では、イヤーパッド95に対して1kgf(=9.8N)以下の力で引っ張るとハウジング94から外れることが本願の出願人らによって確認できた。それに対し、本実施形態に係るヘッドホン1では、イヤーパッド5に対して3kgf(=29.4N)の力を加えて引っ張ってもハウジング4から外れないことが本願の出願人らによって確認できた。
【0064】
上記では、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】一般的なヘッドホンの概略正面図である。
【図2】一般的なヘッドホンの分解斜視図であり、図2(a)は、ハウジングの前面板にイヤーパッドを取り付ける前の状態を示す図、図2(b)は、ハウジングの前面板にイヤーパッドを取り付けた後の状態を示す図である。
【図3】本実施形態に係るヘッドホンの概略正面図である。
【図4】本実施形態に係るハウジングおよびイヤーパッドの分解斜視図である。
【図5】本実施形態に係るイヤーパッドの斜視図である。
【図6】図5に示したI線に沿った断面図であり、図6(a)は、図5に示したI線に沿ったイヤーパッド5全体の断面図、図6(b)は、図6(a)に示したAの拡大図である。
【図7】本実施形態のイヤーパッドの前面板への取り付けを示す斜視図である。
【図8】本実施形態のイヤーパッドの前面板への取り付けの詳細を示す斜視図であり、図8(a)は、イヤーパッドを前面板に合わせる前、図8(b)は、イヤーパッドを前面板に合わせた後、図8(c)は、イヤーパッドを前面板に取り付けた後の様子を示す図である。
【図9】本実施形態に係るヘッドホンの装着時の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ヘッドホン
2 ヘッドホン本体
3 ヘッドバンド
4 ハウジング
5 イヤーパッド
6 前面板
7 取り付け部
8 ホルダ部
9 クッション部
9a 内周部
9b 外周部
10 表皮部
10a 突起部
11 人体接触部
12 覆い部
13 縫製の合わせ部分
20 耳介
41 取り付けプラグ
42 ドライバユニット
51 稜線
61 ネジ
71 取り付け用のネジ
72 バヨネット方式による取り付け部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気信号を音波に変換して出力するドライバユニットを有するハウジングと、
内周部から外周部にかけて厚みを有する略円環状をなすクッション部と、
前記クッション部を覆い、ユーザによる装着時において当該ユーザの側頭部に接触する面である一端面に縫製の合わせ部分が形成され、前記一端面とは反対側の他端面のうち、内周側に突起部が形成された表皮部と、
前記突起部を挟み込むリング部およびホルダ部と、
前記ハウジングの前面板と前記ホルダ部とを取り付ける取り付け部と、
を備えるヘッドホン。
【請求項2】
前記内周側は、
前記外周部からの距離よりも前記内周部からの距離のほうが近い位置である、
請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記取り付け部は、
取り付け用のツメ、バヨネット方式による取り付け部材、取り付け用のネジ、取り付け用のマグネット、溶着による取り付け部分のうち、少なくとも1つを含んで構成される、
請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記突起部は、
前記表皮部の縫製の合わせ部分によって構成される、
請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記突起部は、
前記表皮部よりも厚みのある生地が前記表皮部に溶着されて構成される、
請求項1に記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記ドライバユニットは、
前記一端面よりも前記他端面に近い位置に配設される、
請求項1に記載のヘッドホン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−62733(P2010−62733A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224841(P2008−224841)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】