説明

ヘドル

改善されたヘドル(2)はその端部留め環(7)に弾性手段(14)を有し、当該弾性手段は少なくとも一方方向においてヘドル担持レール(3)に端部環(7)を弾性的に支持する。弾性手段(14)は、ヘドル(2)とヘドルフレーム(1)の間でいかなる遊びも回避するために用いられる。この措置は機械織機の作業速度を増加させることを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ動力織機における織りヘドルとして用いることができる様式のヘドル(所謂綜絖、ヘルド)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、ヘドルを上下横桁の間に固定するヘドル軸が公知である。ヘドルは互いに平行に且つ互いに離れて静止している。両端で、これらヘドルには各々1つの端部留め環があり、ヘドル保持輪郭断面周りに巻きつき、それゆえに確動係合によって保持される。更に各ヘドルは、動力織機の経糸のような織り糸が通過する目穴を有する。操作においてヘドル軸は前後にヘドルと共にヘドル長手方向に動かされ、非常に高い速度変化が発生する。したがって、連関した輪郭断面で端部留め環が僅かな遊びを有するか全く遊びのないようにヘドルをしっかりと締め付けるための試みがなされた。その目的のために、流体にさらされ得てヘドル支持輪郭断面に平行に端部留め環を貫通し拡張状態でしっかりと締め付けるホース形状をした拡張可能要素をヘドル支持輪郭断面に配することが提案された。
【0003】
このようにすることで、端部留め環は遊びなしにヘドル軸に固定され得る。しかしながら、これは多大な努力と費用を必要とする。特にヘドル軸がこのために設定されなければならず、作動流体を確実且つしっかりと取り囲むように備えられなければならない。
【0004】
ヘドル軸上のヘドルの遊びのない固定は、高い操作速度でヘドル軸に多大な速度変化があっても、確実で制御された操作モードを達成する可能性を切り開く。しかしながら、特許文献1にあるように、これに伴う努力と費用は比較的高い。
【0005】
特許文献2から、その端部留め環の形状がヘドル支持レールに適合し、一方の端部留め環が遊びなしにヘドル支持レールを取り囲み、ヘドル支持レールの最大撓みに適合する遊びを伴ってヘドルの反対側の端部留め環が関連のヘドル支持レールを取り囲んだ、ヘドル軸のためのヘドルが知られている。
【0006】
ヘドル支持レールの撓みは、まず動力織機の動力レベルに依存し、その動力レベルが増加するにつれて増大する。それゆえに特許文献2のヘドルの端部留め環の遊びを決定する撓みを前もって定めることは非常に難しい。もしそうであったとしても非常に頻繁に動力織機の駆動において初めてこの遊びが確かめられ得る。
【0007】
特許文献3や特許文献4から、ヘドルとその端部留め環の間に弾性連結手段を有したヘドル軸のためのヘドルが知られている。これによって、ヘドルは一層弾性的となって、後からヘドルをヘドル支持レールから浮かせてヘドル支持レールにおいてヘドルを取り替えることが一層容易である。しかしながら加速と制動の力は端部留め環から弾性連結手段を介してヘドルに伝えられなければならない。
【0008】
ヘドル軸を備え夫々のヘドル支持レールに一端で係合するヘドルがまた特許文献5から知られている。端部留め環相互の内側支承面の間隔は、2つのヘドル支持レールの2つの外側エッジの間隔よりも大きく、その結果、ヘドルはヘドル支持レールに遊びをもって据えられる。この遊びを補償するために圧縮バネが一方の端部留め環に配され、端部留め環での一端とヘドル支持レールでの他端とによって支えられる。それによって圧縮バネはヘドル支持レールに対して対向する端部留め環を緊張させる。
【0009】
別個の弾力要素を備えた公知ヘドルは、著しい製造労力と費用を必要とする。更に、その組み立ては僅かではない労力を必要とする。
【0010】
【特許文献1】EP 0874930 B1
【特許文献2】DE 19548176
【特許文献3】DE 10035886
【特許文献4】GB 1959
【特許文献5】DE 2935504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上の点に鑑み、本発明の課題は、ヘドル軸に起因する動力織機の操作速度にとっての上限がさらになお増大し得る簡単な措置を示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、請求項1によって規定されたヘドルによって解決される。この発明に係る解決の特有の利点は、動力織機の改変なしに、特にヘドル軸の改変なしにそれをなし得る点にある。端部留め環に備えられるか当該留め環に一体的に連結された弾性手段によって、ヘドルの長手方向に一致するヘドル軸の動き方向に関してヘドルの遊びのない支持が可能となる。その結果、ヘドルヘッドのヘドル支持レールへの軽い接触、衝突及び突っ込みが減少・抑制される。更に弾性手段は公差を補償し、端部留め環が2つの相互対向面の間で緊張状態を維持され、2つの圧力面の間での間隔変動又はヘドルヘッドの小さな寸法ずれが弾性手段によって補償される。
【0013】
更に、端部留め環に備えられた弾性手段は、ヘドル支持レールに端部留め環を、それゆえヘドルをしっかりと引っ張り得る前提条件をもたらす。例えばヘルド支持レールに、可動支承圧力レールの形態をした締め付け手段が設けられ、端部留め環を適所にしっかりと締め付ける。端部留め環に備えられた弾性手段は、公差補償を可能とし、端部留め環の全ては比較的均一にしっかりと引っ張られる。これによって、単一の締め付け部材又は個々の締め付けレールが端部留め環全てをしっかりと締め付ける機械的な締め付け装置の前提がもたらされる。
【0014】
弾性手段は更に、突然の加速の場合や制動の場合において或る量の緩衝をもたらす。それは、各ヘドルの長手方向において弾力的に形成される。様々な実施態様が可能である。好ましい実施態様において、弾性手段はヘドルヘッドの平坦部分によって形成され、この部分は、アキシャル弾性を増すべく1つ以上の窪みを備えている。この態様の利点は、ヘドルのピッチを非常に詰めることができることである。即ち、弾性手段は横方向の設置スペースを占めない。しかしながら、代わりに例えば横方向に湾曲した弾性舌状体によって形成され得る。その実施態様の利点は、弾性手段の弾性が増し得ることである。
【0015】
本発明は、ヘドルの一方の端部留め環においてのみ実現可能であるか、あるいはヘドルの端部に備えられた両方の端部留め環において実現可能である。特に高速織機のためのバージョンにおいて、ヘドルは一端でのみ本発明の端部留め環を備え、他端は端部留め環を有しない。その場合、ヘドルの自由端はガイドにおいて軸方向に変位可能に支持され得る。このようにして、正反対に互いに向かい合って配置されたヘドル軸の横桁の間の相対運動は、ヘドルに伝わり得ない。そのような相対運動は、高い加速が作用する場合に、動荷重の帰結として起こり得る。
【0016】
好ましいバージョンにおいて、ヘドルはよじれに抗するよう形成される。したがって、それらヘドルは張力のみでなく圧縮力も伝達する。ねじれ(よじれ)抵抗は例えば、ヘドルの長手方向に延在するヘドルの曲げ縁又はヘドルの出っ張りによって、達成される。
【0017】
別の好ましいバージョンにおいて、端部留め環と目穴の間に各々位置した2つの部分におけるヘドルは、異なった横断面を有して形成される。好ましくは、異なった横断面範囲を有する2つの異なった横断面が用いられる。一般に、端部留め環から目穴までの部分は一定の横断面を有する。横断面は例えば横断面形状において異なっていてもよい。更に或いは代わりに、それら横断面は横断面範囲の範囲面積に関して異なっていてもよい。例えばヘドルは、一定の厚みの平坦な材料から成り、ヘドル部分は平坦な側から見て異なる幅を有する。
【0018】
これは、ヘドルが重く圧力をかけられる領域において厚い横断面を有しより少ない圧力の領域において薄い横断面を有する可能性を提供する。その結果、ヘドルの重量は減少し、それゆえ端部留め環の弾性手段のばね定数はより少なくなり、これは弾性手段のより単純な形状を意味し得る。
【0019】
弾性手段を備えた端部留め環は、言及されたように、ヘドル軸に備えられた締め付け装置によってしっかりとした締め付けを容認する。締め付け装置は好ましくは、弾性手段乃至端部留め環と協働する剛体の締め付け部片を有し、例えばくさび締め付け装置を介して又は流体によって作用される手段を介して機械的に作動され得る。締め付け部片の剛体態様は、個々の点で比較的強い力に持ちこたえられ得、即ち、端部留め環が強い力でしっかりと締め付けられ得るという利点を有する。
【0020】
本発明の有利な実施態様の更なる詳細は、図面、以下の記述、或いは従属請求項から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態が図面に描写されている。
図1は、2本の支持乃至シャフトロッド51,51’、2本の連関したヘドル支持レール3,4及び本発明に係るヘドル2を備えたヘドル軸1を概略的に示す。
【0022】
図2にヘドル軸1の詳細が示され、これは互いに平行に間隔をおいた複数のヘドル2を有している。ヘドル軸1は、1つの上ヘドル支持レール3と1つの下ヘドル支持レール4を有し、それぞれヘドル2の上端及び下端を保持している。
【0023】
ヘドル2は、ヘドル支持レール3,4の間に延びる平坦ストリップ形状をした平坦材料(ヘドル体)を備えて成る。目穴5がほぼ中央に備えられる。少なくとも一方の端部、例えば上端6で、ヘドル2は、ヘドル2をヘドル支持レール3に固定するのに供される端部留め環7を有し、そこからヘドル体10が延びている。端部留め環7を図3に非常に詳細に示す。これはヘドル2の長手方向Yに開いた窪み8を有し、それによってヘドル2は、好ましくは一体的に上ヘドル支持レール3につながったジブ9に保持される。ジブ9はヘドル2の長手方向Yにおいて上方に突き出るリブを有する。このリブは横材11を介して、ヘドル支持レール3の、ジブ9に平行に向いた進展部12につながっている。ジブ9はその頂部で削られて丸まっている。端部留め環7の顎状の窪み8もまた、その領域で削られ丸くなっている。
【0024】
弾性手段14は端部留め環7の窪み8と反対側で形成されている。この弾性手段によって端部留め環7は、ジブ9と反対に位置した押圧面15で支えられている。押圧面15は例えばヘドル支持レール3で形成される。
【0025】
弾性手段14は例えば端部留め環7又はヘドルヘッドの一部によって形成され、開口16を備える。窪み8に隣接して、この部分は目穴5から離れるように延在し、好ましくは端部留め環7の残部と同じ材料を有する。例えば円形穴の形状に形成され得る開口16は、外側で円弧状に湾曲し一点で押圧面15と接する閉じられた縁17によって取り囲まれる。縁17は或る弾力性を有する。ヘドル2の地点19(ここで窪み8の縁がジブ9の上縁に接触する)からヘドルの地点18までの間隔が、ジブ9とヘドル2が接触する地点と押圧面15の間の間隔よりも僅かに大きいならば、開口16を備えた端部留め環7の一部によって形成される弾性手段14はこのサイズオーバーを補償し得る。そして端部留め環7はぴんと張ってジブ9又はヘドル支持レール3に据えられる。これによって端部留め環7が長手方向Yを前後に音を立てて当たる事態が阻止される。そうして端部留め環7は、とりわけ仮に窪み8が短い脚部20だけによってつながれているにしても、ジブ9に安定して据えられる。同様にこれは、非常に短くコンパクトな端部留め環7並びに対応して小さいヘドル支持レール3を構成することを可能とし、移動する塊(マス)を減らすこととなる。
【0026】
下ヘドル支持レール4(図2)は原則的に上へドル支持レール3とほぼ等しく形成され得るものである。しかしながら、遊びなしにではなくむしろ一応の遊びをもって、又は図2に示されるように更に無制限の遊びをもって端部留め環7と相互に向かい合った端部でヘドル2を案内するのが有利である。そのために下ヘドル支持レール4は受け入れレール21を備えており、これは各ヘドル2のために長手方向Yに延びるガイド開口22を有している。横断面においてガイド開口はヘドル2の横断面にだいたい適合するが、ガイドヘドル2がガイド開口22に可動に保持されるように或る程度オーバーサイズになっている。
【0027】
作用において、ヘドル軸1はヘドル2の長手方向Yに往復動する。それゆえ、目穴5を通る各糸は対応して経糸面から上下に動かされる。当該動きは、加速・制動の大きな力を伴って実際上突然に起こる。必要な力が、ヘドル2が遊びなしに保持されているヘドル支持レール3の箇所でヘドル2に導入される。上向き動作において、端部留め環7はジブ9を支えにする。ここでは弾性作用が殆どない。下向き動作に関して、端部留め環7は地点18を介して押圧面15を支えにする。弾性手段14は撓まず、あってもごく僅かばかりである。弾性手段は、ヘドルの地点19がジブ9から持ち上がることなく端部留め環7に必要な加速力を伝えられ得るほど硬く構成される。弾性手段14の剛性は例えば開口16のサイズによって調整することができる。その場合、残される縁17の幅は弾力性を決定する。
【0028】
図4にヘドル2の改変された実施の形態が示される。その端部留め環7は異なって形成された弾性手段14を有するが、他の点でヘドルは上記内容と一致して形成されている。弾性手段14は再び圧縮バネ23として形成されており、目穴5から離れるように延び窪み8に近接した端部留め環7の一部が側方切り込み部を備えている。弾性手段14とヘドル2の残部を有した端部留め環7は、ヘドルが切り取られた比較的薄い金属板を備えて成っている。端部留め環7は全く平坦で、その相互に向かい合った二つの側方切り込み24,25は長手方向Yにおいて互いにずれ、互いに部分重複している。残存S形状部分は同じくその上端で押圧面15に支えられる。
【0029】
ヘドル2とヘドル支持レールの別の改変実施形態が図5に示される。またしても、この形態は、同じ面に弾性手段14を位置させた端部留め環7を含む。しかしながら、弾性手段14は、目穴5から離れる方向で窪み8と正反対に向き合ったV形状カット26によって形成されている。このV形状カットは2つの脚部27,28を互いに分けている。脚部27,28は、ジブ9の一部であるかヘドル支持レール3の一部であり得る三角形横断面の押圧ジブ29に支えられている。再び、押圧ジブ29が脚部27,28間で予張力が作用して端部留め環が遊びなしにジブ9に保持されるように互いに寸法が選択されている。僅かに離れるよう且つ互いに弾力的に向くよう広がっており、この弾性は押圧ジブ29の傾斜面によって軸方向圧縮力に変えられ、これによって端部留め環7がジブ9に対する地点19で押圧される。
【0030】
弾性手段14の更に別の改変実施形態が図8から認識可能である。開口部もV字カットも有さない端部留め環7の一部37、又は図3〜図5でのように形成された部分は、端部留め環7の残部の平面から側方外向きに曲げられ、それで湾曲バネ舌状部を形成し、それによって端部留め環7が押圧面15に支えられる。
【0031】
上記のヘドル2全ては、必要に応じて好ましくは、長手方向Yでの圧力負荷についてのそのねじれ抵抗に関して補強される。そのために、図7に示すような横断面を有し得る。その頭部に近接して、図5での断面A−Aが示すように、ヘドル2は湾曲している。言い換えれば、ヘドル2は樋状に湾曲し、それによってねじれに対する抵抗を増加させる。丸く膨らんだ部分は、場合によっては目穴5を除いて、好ましくはヘドル2の全長にわたって端部留め環7まで、あるいはこの部分を含めて延在する。代替的に、図7の膨らみでなく、図6でのような湾曲縁32が長手方向Yに延びて備えられてもよい。湾曲縁32は好ましくはほぼ中央に配され、目穴5を通過する。代替の実施形態においては、2つの湾曲縁32を備えて、全体的にほぼZ形状のヘドル2の横断面を形成することも可能である。その実施形態の利点は、湾曲縁32が目穴5を通り過ぎて延びて、特に目穴5の領域においてヘドル2に格別の剛性を与える。
【0032】
本発明に係るヘドル2の更なる実施の形態が図12に示される。このヘドル2は、端部留め環7や弾性手段14の改変なしに、重量の点で部分修正されている。そのために、ヘドルがヘドル支持レールに上領域で接する地点19からヘドル2がヘドル支持レールにした領域で接する地点19’までの間隔Cが、2つの部分A,Bに分けられている。目穴の領域から端部留め環の始めの領域まで延在する第1部分Aは狭い横断面S1を有する。目穴の反対側に位置し同じく目穴の領域から端部留め環の始めの領域まで延在する部分Bにおいて、ヘドル2は幅が広めの横断面S2を有する。好ましくは、横断面S1を備えた狭い部分は横断面S2を有する部分の幅の半分である。更に若しくは代替的に、横断面は異なった形状を有していてもよい。図12の例示的な実施形態において、横断面の形状は目穴5の近傍において及び端部留め輪とヘドル2の残部の間において変化する。ヘドル2の部分Cの内側に位置した横断面を他の地点で変えることも可能である。上記した異なった横断面を、最も異なった形状の弾性手段を備えたヘドル2において実現可能である。
【0033】
個々の部分A,Bの横断面は、正方形、矩形、卵形、円形、長円形、キドニー(腎臓)形、T字形、U字形等であり得る。
ヘドル軸1の上記実施形態において、始めに、押圧面15がヘドル支持レール3のジブ9に対して固定され調整不能な位置を有すると想定された。しかしながら、弾性手段14を備え提示されたヘドル2は、図9に示された種類のヘドル支持レール3に特に適している。これにおいて、押圧面15が形成されたレール33と、ヘドル支持レール3のジブ9は、互いに調整可能であり、それらの間隔は意図的に増減可能である。これは図9において矢印34によって表される。調整可能性は特にヘドル支持レール3にヘドル2を備える目的にとって有利である。レール33がジブ9から取り除かれた第1位置において、ヘドル2全てはヘドル支持レール3から吊り下げられ得、ヘドル支持レール3に沿ってずらされ得る。ヘドル2がそれらの夫々の所望位置に至ると、それらヘドルはそこでしっかり締め付けられ、レール33はジブ9の方向に動かされ、その際にヘドル2の弾性手段14に対して張られる。その際、端部留め環7の全てはジブ9にしっかり締め付けられる。場合によっては、ヘドルヘッドと端部留め環7の間の寸法ずれは端部留め環7の個々の弾性手段14によって補償される。
【0034】
図10は、1本のそのようなヘドル支持レール3と連関したレール33とを斜視的に示す。レール33は図11から認識可能な締め付け装置35に属する。レール33は補強のために例えばU形状の輪郭断面によって形成され、その脚部36,37は押圧面15として供される背骨部から上方へ突き出ている。レール33に関連して、U形状の輪郭断面として形成され逆に向いた別のレール38があり、その脚部41,42は脚部36,37の間にぴったり嵌る。脚部41,42において、レール38の長手方向に対して傾いた細長い隙間43が形成されている。細長い隙間43に関連して、脚部36,37に保持され細長い隙間43を貫通するピン44がある。ピン44は細長い隙間43と共にウエッジ装置を形成し、互いに反対方向のレール33,38の長手方向調整に関して、レール33,38が互いに離れるように動き、あるいは互いの方へ動くこととなる。
【0035】
レール33,38の間に配された波形に湾曲した板バネ45が、互いに離れるようにレール33,38を緊張させるために備えられてもよい。更にネジ付きボルト46が長手方向、互いに反対方向にレール33,38を調整するのに供されてもよい。それ故、ネジ付きネジ46を回転するとレール33の調整がもたらされ、同時にヘドル支持レール3,4のジム9から離れ、あるいは当該ジブ9の方へ押圧面15が動く。
【0036】
図13に、C字形状の端部留め環7を備えたヘドル2のなお別の実施形態が示される。細長く延びたヘドル体10はこの端部留め環から離れる第1方向に延在する。ヘドル体10は例えばヘドル支持レール3と一直線上に合わせられ、あるいは当該レールからオフセット位置にある。圧縮バネ23によって形成された弾性手段14が端部留め環7に直接隣接する。端部留め環7が好ましくはヘドル体から離れた側に位置する。図示の弾性手段14は単に例示的な実施形態である。圧縮バネ23の代わりに、本願に開示された他の弾性手段14並びにそれらのバリエーションを用いることもできる。弾性手段14はヘドル支持レール3での端部留め環7の遊びを除くために、及びヘドルの動きを緩和するために供され得る。第1の実施形態における弾性手段14が予張力を与えられてもよく、その結果、少なくともヘドル軸1が係止する場合に端部留め環7がヘドル支持レール3に対してたえず押圧される。しかしながら、好ましくはヘドル支持レール3上の端部留め環7の、ヘドルの長手方向に測った遊びよりも小さな遊びを弾性手段14と押圧面15の間でそのままにすることも可能である。
【0037】
例えばスチール製のヘドル支持レール3の代わりに、軸ロッドと一体的に形成され例えばアルミニウムやアルミニウム合金から成る例えば図4でのようなジブを備えることが可能である。同じことが上記例示的な実施形態全てに対応して当て嵌まる。
【0038】
改変されたヘドル2は、その端部留め環7に、ヘドル支持レール3で少なくとも1つの方向に弾性的に端部留め環7を支える弾性手段14を有する。弾性手段14はヘドル2とヘドル軸1の間の遊びを回避するのに供される。このやり方は動力織機の作業速度を増加可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】支持ロッド、連関したヘドル支持レール及びヘドルを備えたヘドル軸の概略図である。
【図2】ヘドルを備えたヘドル支持レールの断片的な横断面図である。
【図3】図1のヘドル支持レールとヘドルの異なる縮尺での断片的な横断面図である。
【図4】ヘドル支持レールとヘドルの改変された実施の形態の断片的な横断面図である。
【図5】ヘドル支持レールとヘドルの別の実施の形態の断片的な横断面図である。
【図6】1つの実施の形態でのヘドルの図4でのA−A線での断面図である。
【図7】別の実施の形態でのヘドルの図4でのA−A線での断面図である。
【図8】ヘドル支持レールとヘドルの更に別の実施の形態の断片的な正面図である。
【図9】ヘドルを備えたヘドル支持レールの改変された実施の形態の断片的な横断面図である。
【図10】機械的な調整装置を備えたヘドル支持レールの断片的な斜視図である。
【図11】図10のヘドル支持レールの断片的な分解図である。
【図12】図4の全部揃ったヘドルの概略図である。
【図13】ヘドルとヘドル支持レールの改変された実施の形態の断片的な横断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ヘドル軸
2 ヘドル
3,4 ヘドル支持レール
5 目穴
6 端部
7 端部留め環
8 窪み
9 ジブ
10 ヘドル体
11 横材
12 延長部
14 弾性手段
15 押圧面
16 開口
17 縁
18,19,19’ 地点
20 脚部
21 受け入れレール
22 ガイド開口
23 圧縮バネ
24,25 切り込み
26 V字カット
27,28 脚部
29 押圧ジブ
31 部分
32 湾曲縁
33 レール
34 矢印
35 締め付け装置
36,37 脚部
38 レール
41,42 脚部
43 細長い隙間
44 ピン
45 板バネ
46 ネジ付きボルト
51,51’ 軸ロッド
Y 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に動力織機のためのヘドル(2)にして、当該ヘドル(2)をヘドル支持レール(3,4)に固定するため一端に端部留め環(7)を有した細長いヘドル体を備え、上記端部留め環(7)に設けられた弾性手段(14)を備える、ヘドル。
【請求項2】
弾性手段(14)が端部留め環(7)に一体的につながっていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項3】
弾性手段(14)が端部留め環(7)に、そのヘドル体(10)と反対側に配されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項4】
ヘドル支持レール(3,4)にヘドル(2)を予張力を与えて支持するために、弾性手段(14)がテンション手段として構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項5】
弾性手段(14)が、端部留め環(7)から延びる少なくとも1つの弾性部分によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項6】
弾性手段(14)が、ヘドルの長手方向(Y)にて弾力的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項7】
弾性手段(14)が圧縮バネ(23)として構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項8】
弾性手段(14)が渦巻きバネとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項9】
ヘドル(2)が平面的な平坦材料でなり、端部留め環(7)が平らに構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項10】
ヘドル(2)が平面的な平坦材料でなり、弾性手段(14)が平らに構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項11】
ヘドル(2)が平面的な平坦材料でなり、弾性手段(14)が湾曲した弾性舌状体によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項12】
ヘドル(2)が平坦材料で構成され、端部留め環(7)に隣接して、湾曲縁(32)若しくは補強膨らみ部を備えた細長い部分を有することを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項13】
ヘドル(2)が端部留め環(7)に隣接して、複数の部分(A,B)に分けられる細長い部分(C)を有し、これら部分(A,B)が異なる横断面範囲を有することを特徴とする請求項1に記載のヘドル。
【請求項14】
上記部分(A,B)の横断面範囲が1対2の面積比を有することを特徴とする請求項13に記載のヘドル。
【請求項15】
上記部分(A,B)の横断面範囲が互いにずれた輪郭部分を有することを特徴とする請求項13に記載のヘドル。
【請求項16】
ヘドル支持レール(3,4)が弾性手段(14)のための支承面(15)を有することを特徴とする請求項1に記載のヘドルを受け入れるためのヘドル支持レール。
【請求項17】
支承面(15)がヘドル支持レール(3,4)に対して動かずに配されていることを特徴とする請求項16に記載のヘドル支持レール。
【請求項18】
支承面(15)がヘドル支持レール(3,4)に対して調整可能に支持されていることを特徴とする請求項16に記載のヘドル支持レール。
【請求項19】
請求項1に記載のヘドル(3)を有するヘドル支持レール(3,4)を受け入れるためのヘドル軸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−510814(P2006−510814A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561203(P2004−561203)
【出願日】平成15年12月2日(2003.12.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013555
【国際公開番号】WO2004/057076
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(598132646)グロツ・ベッケルト コマンディートゲゼルシャフト (77)