説明

ヘモフィルス・インフルエンゼ抗原及び対応DNA断片

【課題】予防、診断及び/又は治療のために用いることができるヘモフィルス・インフルエンゼのポリペプチドを提供する。
【解決手段】下記より選ばれた1種を含む単離されたポリぺプチド。(a)特定のアミノ酸配列をもつ第2ポリぺプチドに対して少なくとも70%が同一であるポリぺプチド;(b)前記配列をもつ第2ポリぺプチドに対して少なくとも95%が同一であるポリぺプチド;(c)前記配列を含むポリぺプチド;(d)前記アミノ酸配列をもつポリぺプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリぺプチド;(e)前記配列をもつポリぺプチドの一部をもったエピトープ;(f)N末端Met残基が欠失している(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリぺプチド;又は(g)分泌アミノ酸配列が欠失している(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリぺプチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ヒトのような個体においてヘモフィルス・インフルエンゼ(Haemophilus influenzae)感染症を予防、診断及び/又は治療するのに用いることができるヘモフィルス・インフルエンゼのポリペプチド及び対応DNA断片に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヘモフィルス・インフルエンゼは、ヒト病原体としてのみ天然に見出されているグラム陰性桿菌である。ヘモフィルス・インフルエンゼ(H. influenzae)の分離物は、封入形態と非封入形態に更に分けることができる。封入菌株は、“a”〜“f”型を示している6種の構造上と抗原性で異なる莢膜多糖の1種である。非封入菌株は、認識されたヘモフィルス・インフルエンゼ莢膜多糖に対する抗血清と凝集することができないことによって定義され、非型別不能を意味する。
【0003】
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ(Nontypeable H. influenzae)株は、一般に、鼻咽腔や後口腔咽頭を含む上気道にコロニー形成する。多くの健康な個体の調査から小児と成人両方でコロニー形成率40%〜80%が示されている(Spinola S.M., Peacock J., Denny F.W., Smith D.L. & Cannon J.G. (1986) Epidemiology of colonisation by nontypeable Haemophilus influenzae in children: a longitudinal study. J. Infect. Dis. 154:100-109; Trottier S., Stenberg K. & Svanborg-Eden C. (1989) Turn over of nontypeable Haemophilus influenzae in the nasopharynges of healthy children. J. Clin. Microbiol. 27:2175-2179)。具体的な菌株とのコロニー形成によって、たいていの個体において数週間か数ヶ月間この期間全体に無症候のままであることにより持続してしまう。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼに基づく疾患の発生機序は、気道内での近接拡散を必要とする。隣接領域への拡散は、通常は非特異的又は特異的ホスト防御における異常の結果である。そのようにして、ヘモフィルス・インフルエンゼは耳炎、副鼻腔炎、気管支炎又は肺炎を含む小児や成人における種々の呼吸器系感染症を引き起こす。これらの感染症は、気管支炎又は耳炎をもつ患者において慢性又は再発することがある。実際に、乳児や小児では型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼは、急性中耳炎がしばしば起こり、一般的には再発中耳炎に関係があるとされている(Harabuch Y., Fadden H., Yamanaka N., duffy L., Wolf J., Krystofik D. & Tnawanda/Williamsville Pediatrics. (1994) Nasopharyngeal colonisation with nontypeable Haemophilus influenzae and recurrent otitis media. J. Infect. Dis. 170:862-866)。
【0004】
乳児では、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼは1歳までは中耳炎の最初のエピソードの27〜37%に関与している(Smith-Vaughan H.C., Sriprakash K.S., Mathews J.D. & Kemp D.J. (1997) Nonencapsulated Haemophilus influenzae in aboriginal infants with otitis media: prolonged carriage of P2 porin variants and evidence for horizontal P2 gene transfer. Infect. Immun. 65:1468-1474; Teele D.W., Klein J.O., Rosner B. & Greater Boston Otitis Media study Group. (1989) Epidemiology of otitis media during the first seven years of life in children in Greater Boston: a prospective, cohort study. J. Infect. Dis. 160:83-94)。髄膜炎は、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼによってしばしば引き起こされ、すべての症例の1〜3% とみなされている。しかし、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や嚢胞性線維症のような生来の粘膜免疫系に働く基礎にある疾患をもつホストにおいて特に優勢である(Murphy T.F. & Sethi S. (1992) Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease. Am. Rev. Respir. Dis. 146:1067-1083; St. Geme J.W. III. (1993) Nontypeable Haemophilus influenzae disease: epidemilogy, pathogenesis and prospects for prevention. Infect. Agents Dis. 2:1-16)。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株は、痰が粘液膿性になるときの悪化の間に主に見られる。慢性気管支炎の急性感染性の悪化は、慢性肺疾患をもつ患者の疾病率と死亡率に重要な役割を果たしている。
【0005】
院外感染性肺炎の病因は、この十年間で変化してきたと思われる。ストレプトコッカス・ニゥモニエ(Streptococcus pneumoniae)は依然として主な病原体であるが、他の微生物を含む症例の割合が増加してきた。ヘモフィルス・インフルエンゼは、肺炎の第2の最も一般的な原因であると現在しばしば報告されている。ヘモフィルス・インフルエンゼ肺炎症例の10% は、菌血症になる。発展途上国では、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼによる肺炎が小児における疾病率と死亡率の重要な原因であることは明らかである。
【0006】
数種のヘモフィルス・インフルエンゼb型多糖結合ワクチンが開発されたが、これらのワクチンは他のヘモフィルス・インフルエンゼ株による疾患に対しては無効である(Scheifele D.W., Jadavji T.P., Law B.J., Gold R., Macdonald N.E., Lebel M.H., Mills E.L., Dery P., Halperin S.A., Morris R.F., Marchessault V. & Duclos P.J. (1996) Recent trends in pediatric Haemophilus influenzae type b infections in Canada. Can. Med. Assoc. J. 154:1041-1047; Schulte E.E., Birkhead G.S., Kondracki S.F. & Morse D.L. (1994) Patterns of Haemophilus influenzae type b invasive disease in New York State, 1987-991: the role of vaccination requirements for day-care attendance. Pediatrics 94:1014-1016)。保存交差防御抗原の同定は、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染や疾患に対する広域ワクチンの開発に重要である。P1、P2、P4、P6、PCP、OMP26又はD-15のような外膜タンパク質が同定され、現在は潜在的ワクチン抗原としても追究されている(Foxwell A.R., Kyd J.M. & Cripps A.W. (1998) Nontypeable Haemophilus influenzae: Pathogenesis and Prevention. Microbiol. Mol. Biol. Rev. 62:294-308)。プロテインD-15は、科学文献に多重血清型や型別不能菌株に対して防御を与えることができると記載されている唯一の保存免疫原である。
それ故、ヒトのような個体においてヘモフィルス・インフルエンゼ感染症を予防、診断及び/又は治療するのに用いることができるヘモフィルス・インフルエンゼポリペプチドが依然として強く求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要約
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも70% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体を含むポリペプチドに関する。
他の態様においては、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチド、医薬組成物、発現制御領域に作用可能に結合した本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、前記ベクターでトランスフェクトしたホスト細胞及び前記ホスト細胞を発現に適した条件下で培養する段階を含むポリペプチドの生産方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI1遺伝子のDNA配列: 配列番号1を示す図である。
【図2】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085株由来の全長BVH-NTHI1の推定アミノ酸配列: 配列番号2を示す図である。
【図3】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI2遺伝子のDNA配列: 配列番号3を示す図である。
【図4】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI2の推定アミノ酸配列: 配列番号4を示す図である。
【図5】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI3遺伝子のDNA配列: 配列番号5を示す図である。
【図6】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI3の推定アミノ酸配列: 配列番号6を示す図である。
【図7】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI4遺伝子のDNA配列: 配列番号7を示す図である。
【図8】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI4の推定アミノ酸配列: 配列番号8を示す図である。
【図9】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI5遺伝子のDNA配列: 配列番号9を示す図である。
【図10】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI5の推定アミノ酸配列: 配列番号10を示す図である。
【図11】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI6遺伝子のDNA配列: 配列番号11を示す図である。
【図12】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI6の推定アミノ酸配列: 配列番号12を示す図である。
【図13】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI7遺伝子のDNA配列: 配列番号13を示す図である。
【図14】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI7の推定アミノ酸配列: 配列番号14を示す図である。
【図15】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI8遺伝子のDNA配列: 配列番号15を示す図である。
【図16】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI8の推定アミノ酸配列: 配列番号16を示す図である。
【図17】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI9遺伝子のDNA配列: 配列番号17を示す図である。
【図18】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI9の推定アミノ酸配列: 配列番号18を示す図である。
【図19】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI10遺伝子のDNA配列: 配列番号19を示す図である。
【図20】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI10の推定アミノ酸配列: 配列番号6を示す図である。
【図21】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI11遺伝子のDNA配列: 配列番号21を示す図である。
【図22】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI11の推定アミノ酸配列: 配列番号22を示す図である。
【図23】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来のBVH-NTHI12遺伝子のDNA配列: 配列番号23を示す図である。
【図24】型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の全長BVH-NTHI12の推定アミノ酸配列: 配列番号24を示す図である。
【図25】マックベクター配列分析ソフトウエア(バージョン6.5)からのプログラムクラスタルWを用いることにより12085、10095、A18、A108ヘモフィルス・インフルエンゼ由来のBVH-NTHI1オープンリーディングフレームの予想アミノ酸配列の比較を示す図である。アラインメントの下にコンセンサスラインがあり、(*)の記号は同一アミノ酸残基であり、(.)は保存アミノ酸残基である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症を予防、治療、及び/又は診断するために用いることができるヘモフィルス・インフルエンゼポリペプチドをコードする精製分離したポリヌクレオチドを提供する。本発明は、12の別個の好ましいポリヌクレオチドを提供し、各々が配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、及び23の1つによって別個に定義されている。更に、本発明は、12の別個のポリペプチドを提供し、各々が配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、又は24の1つによって別個に定義されている。本発明には本出願において本明細書に記載されているようにそのようなポリペプチドの突然変異体、変異体、相同体又は誘導体のような類似体をコードするポリヌクレオチドが含まれることを当業者は理解している。本発明は、本発明のDNA分子に対応するRNA分子も包含している。DNA分子とRNA分子のほかに、本発明は対応ポリペプチドとそのようなポリペプチドに特異的に結合する単一特異抗体を包含している。
【0010】
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも70% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも80% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも85% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも90% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも95% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含むポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体をもつポリペプチドの一部をもったエピトープをコードするポリヌクレオチドに関する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドの一部をもったエピトープをコードするポリヌクレオチドに関する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体をもつポリペプチドの一部をもったエピトープに関する。
【0012】
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドの一部をもったエピトープに関する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも70% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも80% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも85% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも90% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含む第2ポリペプチドに対して少なくとも95% が同一であるポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含むポリペプチドをコードする分離したポリヌクレオチドを提供する。
態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドの一部をもったエピトープをコードするポリヌクレオチドに関する。
【0014】
他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体をもつポリペプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。 他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。
相同% は、アミノ酸型の同一% と類似% 又は保存% の合計として定義される。
アミノ酸配列を比較するためにCLUSTALプログラムのようなプログラムを使用し得る。このプログラムによって、アミノ酸配列が比較され、適するように両配列のスペースを挿入することにより最適アラインメントが見出される。最適アラインメントのアミノ酸同一又は類似(アミノ酸型の同一と保存)を計算することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、類似の配列の最長の伸長物を配列させ、価値を一致まで対応させる。このようにいくつかの類似領域が見られる比較を得ることが可能であり、各々が異なるスコアをもっている。両方のタイプの同定分析が本発明に企図されている。
【0015】
他の実施態様においては、本発明のポリペプチドは抗原性である。
他の実施態様においては、本発明のポリペプチドは免疫原性である。
他の実施態様においては、本発明のポリペプチドは個体において免疫応答を誘発し得る。
他の実施態様においては、本発明は、上で定義した本発明のポリペプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチドに関する。
他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチド又はその断片又は類似体に結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチドに関する。
他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチドに関する。
“結合特異性を有する”抗体は、選択されたポリペプチドを認識結合するが試料、例えば、生体試料中の他の分子をほとんど認識結合しない抗体である。特異結合は、選択されたポリペプチドが抗原として使われるELISA分析を用いて測定し得る。
【0016】
本発明によれば、生物学的実験における“防御”は生存曲線、生存率又は生存期間の著しい増加によって定義される。生存曲線を比較するログランク試験、また、生存率や死亡するまでの日数を比較するフィッシャー確定試験を用いる統計分析がP値を計算するとともに2つのグループ間の差が統計的に有意であるかを求めるために用いることができる。0.05のP値は有意とみなされない。
本発明の他の態様においては、本発明のポリペプチドの抗原性/免疫原性断片、又はその類似体が提供される。
本発明の断片は、1種以上のそのエピトープ領域を含まなければならず、抗原性/免疫原性の性質を保持するその領域にも十分似ていなければならない。従って、本発明の断片の場合、記載されたポリペプチド又はその類似体の具体的な部分に100% 同一であってもよいので、同定度はおそらく無関係である。本発明は、更に、本発明のポリペプチド配列から少なくとも10の隣接アミノ酸残基をもつ断片を提供する。実施態様においては、少なくとも15の隣接アミノ酸残基をもつ断片を提供する。実施態様においては、少なくとも20の隣接アミノ酸残基をもつ断片を提供する。
【0017】
前と同様に、重要な課題は断片が抗原性/免疫原性の性質を保持することである。
本発明のポリペプチドの断片、類似体又は誘導体が本発明に関連して、即ち、抗原性/免疫原性材料として使われることは当業者によって理解される。従って、例えば、1つ以上の付加、欠失、置換等を含むポリペプチドは本発明によって包含される。
本明細書に用いられる本発明のポリペプチドの“断片”、“類似体”又は“誘導体”には、アミノ酸残基の1つ以上が保存アミノ酸残基で置換され(好ましくは保存され)かつ天然であっても天然でなくてもよいポリペプチドが含まれる。
実施態様においては、本発明のポリペプチドの誘導体や類似体は、図面に示された配列又はその断片と約70% が同一である。即ち、残基の70% が同じである。他の実施態様においては、ポリペプチドは同一が80%より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドは同一が90% より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドは同一が95% より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドは同一が99% より多い。他の実施態様においては、本発明のポリペプチドの類似体は置換、修飾又は欠失が約20のアミノ酸残基より少なく、好ましくは10未満である。
【0018】
実施態様においては、本発明のポリペプチドの誘導体又は類似体は、図面に示された配列又はその断片と約70% が相同である。他の実施態様においては、ポリペプチドの誘導体又は類似体は相同が80% より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドの誘導体又は類似体は相同が90% より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドの誘導体又は類似体は相同が95% より多い。他の実施態様においては、ポリペプチドの誘導体又は類似体は相同が99% より多い。他の実施態様においては、本発明のポリペプチドの誘導体又は類似体はアミノ酸残基の置換、修飾又は欠失が約20より少なく、更に好ましくは10未満である。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも70%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも80%が同一であるポリペプチドを提供する。
【0019】
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも85%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも90%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列又はその断片又は類似体をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも95%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を含むポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体を特徴とするポリペプチドを提供する。
【0020】
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも70%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも80%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも85%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも90%が同一であるポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも95%が同一であるポリペプチドを提供する。
【0021】
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。
他の態様によれば、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列を特徴とするポリペプチドを提供する。
これらの置換は、ポリペプチドの二次構造と親水性に対して影響が最少のものである。好ましい置換は、保存された当該技術において既知のものである。即ち、置換残基が疎水性、サイズ、電荷又は官能基のような物理的又は化学的性質を共有するものである。Dayhoff, M., Atlas of Protein Sequence and Structure 5, 1978; Argos, P., EMBO J. 8, 779-785, 1989に記載された置換が含まれる。例えば、下記群の1つに属する天然の或いは天然でないアミノ酸は保存的変化である。
ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr、val;
cys、ser、tyr、thr;
val、ile、leu、met、ala、phe;
lys、arg、orn、his;及び
phe、tyr、trp、his。
好ましい置換には、対応するL-アミノ酸をD-エナンチオマーに置換することが含まれている。
【0022】
好ましくは、本発明のポリペプチドの断片、類似体又は誘導体は少なくとも1つの抗原領域、即ち、少なくとも1つのエピトープを含む。
代替的方法においては、類似体は精製を容易にする部分を取り込んでいる、例えば、所望のポリペプチドを効果的にタグ標識することによる融合ポリペプチドであり得る。“タグ”を除去することは必要なことであり、融合ポリペプチド自体が用いるのに十分な抗原性を保持している例であってもよい。
従って、類似体、誘導体又は断片について重要なことは、少なくともタンパク質又はポリペプチドが由来している程度の抗原性/免疫原性をもっていることである。
ポリペプチドの生物学的性質又は薬理学的性質を変える他の化合物、即ち、半減期を増大させるポリエチレングリコール(PEG)、精製を容易にするリーダー配列又は分泌アミノ酸配列、プレプロ配列又はプロ配列又は(多)糖を融合したポリペプチドも包含される。
更に、アミノ酸領域が多型であることがわかった状態においては、異なるヘモフィルス・インフルエンゼ株の異なるエピトープを効果的にミミックするように1つ以上の具体的なアミノ酸を変えることが望ましい。
【0023】
更に、本発明のポリペプチドは、安定性、支持体又は他の分子に結合する高疎水性を得るために末端-NH2アシル化(例えば、アセチル化又はチオグリコール酸アミノ化、例えば、アンモニア又はメチルアミンを用いた末端カルボキシアミノ化)により修飾し得る。
ポリペプチド断片又は類似体のヘテロ又はホモポリペプチド多量体も企図される。これらの重合体は、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒド又はジメチルスーパーイミデートのような架橋剤で架橋したポリペプチド1種以上を含む。そのような重合体としては、組換えDNA技術によって生成したマルチシストロンmRNAから生産された縦列又は逆方向隣接配列を2つ以上有するポリペプチドが含まれる。
他の実施態様においては、本発明は、本出願の図面に定義されたポリペプチド又はその断片又は類似体又は誘導体を1種以上含むキメラポリペプチドに関する。
他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列又はその断片又は類似体をもつポリペプチドを2つ以上含むキメラポリペプチドに関し、該ポリペプチドはキメラポリペプチドを形成するように結合されている。
【0024】
他の実施態様においては、本発明は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドを2つ以上含むキメラポリペプチドに関し、該ポリペプチドはキメラポリペプチドを形成するように結合されている。
抗原重合体(即ち、合成多量体)の形成を達成するために、ビスハロアセチル基、ニトロアリールハライド等を有するポリペプチドを用いることができ、その試薬はチオ基に特異的である。それ故、異なるペプチドの2つのメルカプト基間の結合は単結合であってもよく、炭素原子が少なくとも2個、典型的には少なくとも4個で16個以下、通常は約14個以下の結合基から構成されていてもよい。
具体的な実施態様においては、本発明のポリペプチド断片又は類似体は、出発メチオニン(Met)残基を含んでいない。好ましくは、ポリペプチドはリーダー配列又は分泌配列(シグナル配列)を取り込まない。本発明のポリペプチドのシグナル部分は、確立された分子生物学的手法に従って求めることができる。一般に、問題のポリペプチドは、ヘモフィルス培養物から分離し、次に配列決定して成熟タンパク質の開始残基、それ故成熟ポリペプチドの配列を求めることができる。
次の表Aは、図面に記載された本発明のポリペプチドのシグナル配列を記載したものである。
【0025】
【表1】

【0026】
本発明の他の態様によれば、(i)本発明のポリペプチドを担体、希釈剤又は補助剤と共に含む物質の組成物;(ii)本発明のポリペプチドと担体、希釈剤又は補助剤とを含む医薬組成物;(iii)本発明のポリペプチドと担体、希釈剤又は補助剤とを含むワクチン;(iv)個体において免疫応答、例えば、ヘモフィルスに対する防御免疫応答を誘発する本発明のポリペプチドの免疫原性的に有効な量を該個体に投与することによりヘモフィルスに対して免疫応答を誘発する方法; 特に(v)本発明のポリペプチドの予防又は治療量を必要としている個体に投与することによりヘモフィルス感染症(Haemophilus)を予防及び/又は治療する方法が提供される。
免疫化する前に、本発明のポリペプチドは、テタヌストキシン、ジフテリアトキシン、B型肝炎ウイルス表面抗原、灰白髄炎ウイルスVP1抗原又は他のウイルス毒素又は細菌毒素又は抗原のような担体タンパク質又は強い免疫応答の発生を刺激する適切なタンパク質にカップリング又はコンジュゲートし得る。このカップリング又はコンジュゲーションは化学的に又は遺伝的に行うことができる。ペプチド-担体結合の詳しい説明は、Van Regenmortel, M.H.V., Briand J.P., Muller S., Plaue S.,《Synthetic Polypeptides as antigens》Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Vol.19 (ed.) Burdou, R.H. & Van Knippenberg P.H. (1988), Elsevier New Yorkで得られる。
【0027】
他の態様によれば、1種以上の本発明のヘモフィルスポリペプチドを薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は補助剤との混合物で含む医薬組成物が提供される。
適切な補助剤としては、(1)水中油型エマルジョン製剤、例えば、MF59(登録商標)、SAF(登録商標)、Ribi(登録商標);(2)フロインド完全アジュバント又は不完全アジュバント;(3)塩、即ち、AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、Al(OH)3、AlPO4、シリカ、カオリン;(4)サポニン誘導体、例えば、Stimulon(登録商標)又はそれから生成された粒子、例えば、ISCOM(免疫刺激複合体);(5)サイトカイン、例えば、インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(TNF);(6)他の物質、例えば、炭素ポリヌクレオチド、即ち、ポリICやポリAU、無毒化コレラ毒素(CTB)又は粘膜免疫を誘発する大腸菌(E.coli)熱不安定毒素が含まれる。補助剤の詳しい説明は、M.Z.I Khan et al., Pharmaceutical Research, vol. 11, No.1 (1994) pp2-11からの総説、Gupta et al., Vaccine, Vol. 13, No. 14, pp1263-1276 (1995)からの他の総説、国際出願第99/24578号で得られる。好ましい補助剤としては、QuilA(登録商標)、QS21(登録商標)、A1hydrogel(登録商標)又はAdjuphos(登録商標)が含まれる。
【0028】
本発明の医薬組成物は、注射、急速注入、鼻咽頭吸収、皮膚吸収による非経口投与、又はバッカル又は経口投与することができる。
本発明の医薬組成物は、P.R. Murray (Ed, in chief), E.J. Baron, M.A. Pfaller, F.C. Tenover & R.H. Yolken. Manual of Clinical Microbiology, ASM Press, Washington, D.C. 7th ed., 1999, p1481-1482に記載されているヘモフィルス感染症及び/又はヘモフィルス感染症によって仲介される疾患又は症状の治療又は予防に用いられ、この文献の記載は本願明細書に含まれるものとする。実施態様においては、本発明の医薬組成物は、中耳炎(急性又は再発)、副鼻腔炎、気管支炎、肺塩、髄膜炎又は菌血症の治療又は予防に用いられる。実施態様においては、本発明の医薬組成物は、ヘモフィルス感染症及び/又はヘモフィルス感染症によって仲介される疾患又は症状の治療又は予防に用いられる。
他の実施態様においては、ヘモフィルス感染症はヘモフィルス・インフルエンゼである。
他の実施態様においては、ヘモフィルス感染症は型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼである。他の実施態様においては、ヘモフィルス感染症は型別可能ヘモフィルス・インフルエンゼ(Typeable Haemophilus influenzae)である。
【0029】
本出願において用いられる“個体”という用語は哺乳動物が含まれる。他の実施態様においては、哺乳動物はヒトである。
具体的な実施態様においては、医薬組成物は、乳児、高齢者又はイムノコンプロマイズド個体のようなヘモフィルス・インフルエンゼ感染症の恐れがある個体に投与される。
医薬組成物は、免疫処置の間に約1〜6週間の間隔で1〜3回好ましくは約0.001〜100μg/kg(抗原/体重)、更に好ましくは0.01〜10μg/kg、最も好ましくは0.1〜1μg/kgの単位剤形にある。
医薬組成物は、免疫処置の間に約1〜6週間の間隔で1〜3回好ましくは約0.1〜10μg/kg、更に好ましくは1μg〜1 mg、最も好ましくは10〜100μgの単位剤形にある。
実施態様においては、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むことができる配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21及び23に示されたものである。
他の実施態様においては、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23に示されたものである。
【0030】
縮重コドンで修飾することができる図面に示されたポリヌクレオチド配列が本発明のポリペプチドをなおコードすることは理解される。従って、本発明は、配列間で50% が同一である上記ポリヌクレオチド(又はその補体配列)を提供する。実施態様においては、配列間で少なくとも70% が同一である。実施態様においては、配列間で少なくとも75% が同一である。実施態様においては、配列間で少なくとも80% が同一である。実施態様においては、配列間で少なくとも85% が同一である。実施態様においては、配列間で少なくとも90% が同一である。他の実施態様においては、ポリヌクレオチドはストリンジェントな条件でハイブリダイズ可能である。即ち、少なくとも95% が同一である。他の実施態様においては、同一が97% より多い。
ハイブリダイゼーションに適したストリンジェントな条件は当業者によって容易に求めることができる(例えば、Sambrook et al., (1989) Molecular cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed, Cold Spring Harbor, N.Y.; Current Protocols in Molecular Biology, (1999) Ed. Ausubel F.M. et al, John Wiley & Sons, Inc., N.Y.)。
【0031】
他の実施態様においては、本発明は、ストリンジェントな条件下で
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の補体;
のいずれかに対してハイブリダイズし、前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、又はその断片又は類似体を含むポリヌクレオチドを提供する。
他の実施態様においては、本発明は、ストリンジェントな条件下で
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の補体;
のいずれかに対してハイブリダイズし、前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、又はその断片又は類似体を含むポリヌクレオチドを提供する。
他の実施態様においては、本発明は、ストリンジェントな条件下で
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の補体;
のいずれかに対してハイブリダイズし、前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24を含むポリヌクレオチドを提供する。
【0032】
他の実施態様においては、本発明は、ストリンジェントな条件下で
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の補体;
のいずれかに対してハイブリダイズし、前記ポリペプチドが配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24を含むポリペプチドから少なくとも10の隣接アミノ酸残基を含むポリヌクレオチドを提供する。
当業者によって容易に理解されるように、ポリヌクレオチドはDNAとRNA双方を含む。
本発明は、また、本出願に記載されたポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドを含む。
他の態様においては、本発明のポリペプチド、その断片又は類似体をコードするポリヌクレオチドは、DNA免疫法で用いることができる。即ち、注入時に複製可能であり発現可能であるベクターに取り込むことができ、よってインビボで抗原ポリペプチドが産生される。例えば、真核細胞において機能するCMVプロモーターの制御下でプラスミドベクターに取り込むことができる。好ましくは、ベクターは筋肉内注射される。
【0033】
他の態様によれば、ホスト細胞においてポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させ、その発現したポリペプチド産物を回収することによる組換え技術によって本発明のポリペプチドを生産する製造工程又は方法が提供される。
また、ポリペプチドは、確立された合成化学法、即ち、全ポリペプチドを生産するためにライゲートするオリゴペプチドの液相又は固相合成に従って生産し得る(ブロックライゲーション)。
ポリヌクレオチドとポリペプチドの獲得と評価の一般法は、次の文献: Sambrook et al., (1989) Molecular cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed, Cold Spring Harbor, N.Y.; Current Protocols in Molecular Biology, (1999) Ed. Ausubel F.M. et al., John Wilely & Sons, Inc., N.Y.; PCR Cloning Protocols, Molecular Cloning to Genetic Engineering, (1997) Ed. White B.A., Humana Press, Totowa, New Jersey, 490 p.; Protein Purification, Principles and Practices, (1993) Scopes R.K., Springer-Verlag, N.Y., 3rd Ed., 380 p.; Current Protocols in Immunology, (1999) Ed. Coligan J.E. et al., John Wiley & Sons Inc., N.Y.に記載され、これらの文献の記載は本願明細書に含まれるものとする。
【0034】
組換え生産については、ホスト細胞を本発明のポリペプチドをコードするベクターでトランスフェクトし、次にプロモーターの活性化、形質転換体の選択又は遺伝子の増幅に適切なように修飾した栄養培地で培養する。適切なベクターは、選ばれたホストにおいて生存可能で複製可能なものであり、染色体配列、非染色体配列又は合成DNA配列、例えば、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合わせに由来するベクターが含まれる。ポリペプチド配列は、プロモーターと、リボソーム結合部位(コンセンサス領域又はシャイン・ダルガーノ配列)と、任意によりオペレーター(制御要素)とを含む発現制御領域に作用可能に結合するように制限酵素を用いてベクターの適切な部位に取り込むことができる。確立された分子生物学原理に従って或るホストとベクターに適している発現制御領域の個々の成分が選択され得る(Sambrook et al., (1989) Molecular Cloning: A Laboratory manual, 2nd ed., Cold Spring Harbor, N.Y.; Current Protocols in Molecular Biology, (1999) Ed. Ausubel F.M. et al., John Wikey & Sons, Inc., N.Y. これらの文献の記載は本願明細書に含まれるものとする)。
【0035】
適切なプロモーターとしては、LTR又はSV40プロモーター、E.coli lac、tac又はtrpプロモーター又はファージλPLプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。ベクターは、複製起点と選択マーカー、即ち、アンピシリン耐性遺伝子を組込むことが好ましい。
適切な細菌ベクターとしては、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、pD10 phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5又は真核ベクター、pBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG又はpSVLが含まれる。ホスト細胞は、細菌細胞、即ち、大腸菌(E.coli)、バシラス・サチリス(Bacillus subtilis)、ストレプトマイセス(Streptomyces); 真菌細胞、即ち、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・ニダリンス(Aspergillus nidulins); 酵母、即ち、サッカロミセス(Saccharomyces)又は真核細胞、即ち、CHO、COSが含まれる。
【0036】
ポリペプチドの培養内発現時に、細胞を、典型的には、遠心分離により収集し、次に物理的手段又は化学的手段(発現したポリペプチドが培地に分泌していない場合)により破壊し、得られた粗抽出物を保持して問題のポリペプチドを分離する。ポリペプチドの培養液又は溶解物からの精製は、ポリペプチドの性質によっては確立された手法により、即ち、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互反応クロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー又はレシチンクロマトグラフィーを用いて達成することができる。最終精製は、HPLCを用いて達成することができる。
ポリペプチドは、リーダー配列又は分泌配列を含めて又は含めずに発現することができる。前者の例においては、リーダーは転写後処理を用いて除去することができ(米国特許第4 431 739号、同第4 425 437号、同第4 338 397号参照、これらの明細書の記載は本願明細書に含まれるものとする)、発現したポリペプチドの精製に続いて化学的に除去することもできる。
【0037】
他の態様においては、本発明のヘモフィルスポリペプチドは、ヘモフィルス・インフルエンゼ、特にヘモフィルス・インフルエンゼ感染症の診断試験に用いることができる。いくつかの診断法、例えば、生体試料においてヘモフィルス菌を検出する段階が可能であり、下記手順:
a. 個体から生体試料を得る段階と;
b. 本発明のヘモフィルスポリペプチドと反応性の抗体又はその断片を該生体試料とインキュベートして混合物を形成する段階と;
c. ヘモフィルスの存在を示す該混合物において特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する段階と
を行うことができる。
また、前記抗体を含有する又は含有する疑いのある生体試料においてヘモフィルス・インフルエンゼ抗原に特異的な抗体を検出する方法は、次のように
a. 個体から生体試料を得る段階と;
b. 本発明のヘモフィルス・インフルエンゼポリペプチド又はその断片と該生物試料とをインキュベートして混合物を形成する段階と;
c. ヘモフィルス・インフルエンゼに特異的な抗体の存在を示す該混合物において特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出する段階と
を行うことができる。
【0038】
当業者は、この診断試験が実質的にはポリペプチドに特異的な抗体が細菌内に存在しているかを求めるために、酵素結合免疫吸着分析(ELISA)、放射線免疫分析又はラテックス凝集分析を含むいくつかの形態を取ることができることを認識する。
他の態様によれば、本発明は、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎及び髄膜炎並びに菌血症を予防又は治療する方法であって、本発明の組成物の治療又は予防量を個体に投与する段階を含む、前記方法に関する。他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼである。
他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別可能ヘモフィルス・インフルエンゼである。
他の態様によれば、本発明は、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎及び髄膜炎並びに菌血症を診断する方法であって、本発明の組成物の治療又は予防量を個体に投与する段階を含む、前記方法に関する。
【0039】
他の態様によれば、本発明は、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症に感受性のある個体においてヘモフィルス・インフルエンゼ細菌感染症を予防又は治療する方法であって、本発明の組成物の治療又は予防量を前記個体に投与する段階を含む、前記方法に関する。
他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼである。他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別可能ヘモフィルス・インフルエンゼである。
他の態様においては、本発明は、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、肺炎及び髄膜炎並びに菌血症を診断する方法であって、本組成物の治療又は予防量を個体に投与する段階を含む、前記方法に関する。
他の態様によれば、本発明は、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症に感受性のある個体においてヘモフィルス・インフルエンゼ細菌感染症を診断する方法であって、本発明の組成物の治療又は予防量を前記個体に投与する段階を含む、前記方法に関する。他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼである。他の実施態様においては、ヘモフィルス・インフルエンゼは型別可能ヘモフィルス・インフルエンゼである。
【0040】
他の態様によれば、本発明は、ヘモフィルス感染症を予防又は治療するための医薬組成物の使用であって、該組成物の予防又は治療量を個体に投与する段階を含む、前記使用に関する。
他の態様によれば、本発明のヘモフィルスポリペプチドは、ヘモフィルス感染症の診断を検出するための本発明のポリペプチドを含むキットに用いることができる。
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、ヘモフィルス・インフルエンゼを含んでいる疑いのある生体試料においてその細菌の存在を検出するのに用いられるDNAプローブを設計するために用いることができる。本発明の検出法は、
a. 個体から生体試料を得る段階と;
b. 本発明のポリペプチド又はその断片をコードするDNA配列を有する1種以上のDNAプローブを生体試料とインキュベートして混合物を形成する段階と;
c. ヘモフィルス・インフルエンゼ菌の存在を示す該混合物において特異的に結合するDNAプローブを検出する段階と
を含む。
【0041】
本発明のDNAプローブは、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症を診断する方法として、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、試料において循環ヘモフィルス・インフルエンゼ(即ち、ヘモフィルス・インフルエンゼ核酸)を検出するために用いることができる。プローブは、慣用的な手法を用いて合成することができ、固相に固定化することができ、検出可能標識で標識することもできる。本出願に好ましいDNAプローブは、本発明のヘモフィルス・インフルエンゼポリペプチドの少なくとも約6隣接ヌクレオチドに相補的な配列をもつオリゴマーである。
個体においてヘモフィルス・インフルエンゼを検出する他の診断法は、
a. 本発明のポリペプチド又はその断片と反応性の抗体を検出可能標識で標識する段階と;b. 標識抗体又は標識断片を該個体に投与する段階と;
c. ヘモフィルス・インフルエンゼの存在を示す該個体において特異的に結合した標識抗体又は標識断片を検出する段階と
を含む。
【0042】
本発明の他の態様は、ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症の診断、特に治療に特異的な抗体を生産する免疫原としての本発明のヘモフィルスポリペプチドの使用である。適切な抗体は、適切なスクリーニング法を用いて、例えば、試験モデルにおいてヘモフィルス・インフルエンゼ感染症に対して受動的に防御する具体的な抗体の能力を測定することにより求めることができる。動物モデルの一例は実施例に記載されたマウスモデルである。
抗体は、全抗体でもその抗原結合断片であってもよく、免疫グロブリン類に属していてもよい。抗体又は断片は、動物由来、特に哺乳動物由来、特にマウス、ラット又はヒト由来であってもよい。
自然抗体又はその断片、又は所望される場合には、組換え抗体又は抗体断片であってもよい。組換え抗体又は抗体断片という用語は、分子生物学手法を用いて生産された抗体又は抗体断片を意味する。抗体又は抗体断片は、ポリクローナル又は好ましくはモノクローナルであってもよい。ヘモフィルス・インフルエンゼポリペプチドと関連がある多くのエピトープに特異的であってもよいが1つに特異的であることが好ましい。
本発明の他の態様は、ヘモフィルス感染症を予防又は治療するための本発明の医薬組成物の使用であって、該組成物の予防又は治療量を個体に投与する段階を含む、前記使用である。
特に定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術科学用語は、本発明が属している当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に挙げたすべての出版物、特許出願、特許、他の参考文献の記載は全体で本願明細書に含まれるものとする。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が支配する。更に、材料、方法、実施例は単に例示であり、限定するものではない。
【実施例】
【0043】
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ(NTHI)ポリペプチドの分離とこれらのポリペプチドをコードする遺伝子の同定
表面曝露NTHIポリペプチドの分離
細菌株
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ臨床分離物12085と10095はD.M. Granoff(セントルイス、ミズリー州)から、B-20、A18、A108、C-98、C-26、B-31をCentre de Recherche en Infectiologie du Centre Hospitalier de l'Universite Lavalから供与された。
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085は、パキスタンの下気道感染症をもつ子供の血液から分離した。
大腸菌(Escherichia coli)DH5α(GIBCO BRL、バーリントン、オンタリオ)を組換えDNA用のホスト株として用いた。大腸菌 XL1-Blue MRF'(ストラタジーン、ラ・ホーヤ、カリフォルニア州)をλZAP Expressファージベクターによる感染用のホスト株として用いた。大腸菌 XLOLR(ストラタジーン)をインビボ励起繊維状λZAP Expressによる感染用のホスト株として用いた。
【0044】
抗血清
完全又は不完全フロインドアジュバント(シーダーレーンラボラトリーズ社、ホーンバイ、カナダ)の存在下外膜タンパク質で3週おきに皮下免疫した後にマウス抗血清を産生した。3回目の免疫処置の21日後に血清を集めた。
熱死滅型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085についてELISAとウェスタンブロッティングによる反応性に基づいて4種のヒト抗血清を選択した。
【0045】
ヘモフィルス・インフルエンゼライブラリーの構築とスクリーニング
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085DNAをゲノム抽出キット(QIAgen)を用いて抽出した。DNAをTsp509Iで消化し、EcoRI消化λ-ZAP Expressファージアーム(ストラタジーン)にライゲートした。そのライゲーションを製造業者の推奨(ストラタジーン)に従ってギガパック抽出物に試験管内パッケージングした。組換えファージを大腸菌 XL1-Blue MRF'に2.5×104 PFU/150 mm(直径)プレートの密度で塗布した。8時間インキュベ
ートした後、プレートをニトロセルロースディスクで重層し、得られたリフトをヒトとマウスの血清でイムノブロッティング処理した。正のクローンを集め、プラーク精製した。
問題のヘモフィルス遺伝子をコードする組換えpBK-CMVプラスミドをExAssist繊維状ヘルパーファージとλ耐性株大腸菌 XLOLRを用いて精製バクテリオファージからインビボ切除により回収した。
【0046】
抗原の同定
これらの組換え大腸菌の溶解物のSDS-PAGAとイムノブロット分析から各クローンがヒト又はマウス抗血清と反応する1種以上のポリペプチドを発現したことがわかった。
【0047】
DNAシークエンシングと配列分析
ゲノムクローンをタクダイデオキシターメネーターサイクルシークエンシングキット(Taq DyeDeoxy Terminator Cycle Sequencing Kit)(アプライドバイオシステム、フォスターシティ、カリフォルニア州)で配列決定した。いくつかの内部プライマーをクローン化挿入断片の中へ配列決定するために設計した。配列アセンブリをシークエンサーソフトウェア(ジーンコードコーポレーション、アンアーバ、ミシガン州)を用いて行い、配列分析をマックベクターソフトウェア(オックスフォードモレキュラー社、キャンベル、カリフォルニア州)で行った。
【0048】
実施例1
本実施例は、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ遺伝子の発現ベクターへのクローニングを示すものである。
型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ遺伝子BVH-NTHI1〜BVH-NTHI12(配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23)のコード領域を、制限部位NcoI(CCATGG)、NdeI(CATATG)、SalI(GTCGAC)又はXhoI(CTCGAG)を付加するために塩基拡張部分を有する下記のオリゴヌクレオチドプライマーを用いることにより型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085のゲノムDNAからPCR(DNAサーマルサイクラージーンアンプPCRシステム2400パーキンエルマー、サンホゼ、カリフォルニア州)によって増幅した。PCR産物をキアゲン製キアクイックゲル抽出キットを用いることにより製造業者の説明書に従って(チャッツワース、カリフォルニア州)アガロスゲルから精製し、適切なエンドヌクレアーゼ(ファルマシアカナダ社、Baie d'Urfe、カナダ)で消化した。pETベクター(Novagen、マディソン、ウィスコンシン州)を同様に消化し、キアゲン製キアクイックゲル抽出キット(チャッツワース、カリフォルニア州)を用いてアガロースゲルから精製した。消化したPCR産物を酵素制限pET発現ベクターにライゲートした。ライゲートした産物を大腸菌株DH5α[φ80dlacΔM15△(lacZYA-argF)U169 endA1 recA1 hsdR17(rK-mK+)deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](ギブコBRS、ゲイザースバーグ、メリーランド)にシマニスの方法(Hanahan D. (1985) DNA Cloning. D.M. Glover, ed., IRL Press, Washington D.C. vol. 1 pp. 109-135)に従って形質転換した。組換え遺伝子含有プラスミド(rpET)をキアゲンキット(チャッツワース、カリフォルニア州)を用いて精製し、DNA挿入断片を配列決定した(タクダイデオキシターメネーターサイクルシークエンシングキット、ABI、フォスターシティ、カリフォルニア州)。
【0049】
表1. DNAクローニング用オリゴヌクレオチドプライマー表
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
* ヌクレオチドの位置はクローニングの結果、即ち、PCR産物の長さと図1での位置を示す。
【0052】
実施例2
本実施例は、他の型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株由来のBVH-NTHI1遺伝子のPCR増幅とシークエンシング及びその遺伝子の分子保存レベルの評価を記載するものである。
それらの株由来型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ遺伝子BVH-NTHI1のそれぞれのコード領域を、次のオリゴ:
HAMJ342(5' -CAAGGCGTTTTCATATGCCTGTCATTCGGCAGG-3');
HAMJ343(5' -CTAATTGACCTCGAGTTTTGCTGCTTTTAATTCTTGATAATATTG-3')
を用いてゲノムDNAからPCR(DNAサーマルサイクラージーンアンプPCRシステム2400パーキンエルマー、サンホセ、カリフォルニア州)によって増幅した。PCR産物を、キアゲン製のキアクイックゲル抽出キットを用いて製造業者の説明書(チャッツワース、カリフォルニア州)に従ってアガロースゲルから精製し、DNA挿入断片を配列決定した(タクダイデオキシターミネーターサイクルシークエンシングキット、ABI、フォスターシティ、カリフォルニア州)。これらの8菌株すべてについて作成したPCR断片の長さは同一であった。
これらの菌株(12085、10095、A18、A108)由来のヌクレオチドと予想アミノ酸配列のペアワイズ比較から、図25に示されるように99% 同一であることがわかった。
【0053】
実施例3
本実施例は、組換え型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼBVH-NTHI1ポリペプチドの作製と精製を示す図である。
配列番号1に対応するBVH-NTHI1遺伝子を有する組換えpET21-b+プラスミドを用いて大腸菌株Tuner(DE3)[F-ompT, hsdS(rb,mb), gal, dcn, lacYI(DE3)](ノバジェン、マディソン、ウィスコンシン)をエレクトロトランスフォームした(ジーンパルサーII装置、バイオラドラボス、ミシソーガ、カナダ)。この大腸菌株の中で、遺伝子がイソプロピル-β-d-チオガラクトピラノシド(IPTG)による誘発性のlacプロモーターの制御下にあるT7 RNAポリメラーゼ(λDE3プロファージに存在する)によって組換えポリペプチドのT7プロモーター制御発現が特異的に認識される。形質転換体Tuner(DE3)/rpET21を100μg/mlのカルベニシリン(シグマ・アルドリッヒカナダ社、オークビル、カナダ)を含有するLBブイヨン(ペプトン10 g/l、酵母エキス5 g/l、NaCl 10 g/l)中250 rpmで撹拌しながら37℃でA600値が0.5になるまで増殖した。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼBVH-NTHI1-His・タグ組換えポリペプチドの生産を誘発させるために、細胞をIPTGの存在下に1 mMの最終濃度で30℃において3時間インキュベートした。500 mlの培養物からの誘発細胞を遠心分離により沈降させ、-70℃で凍結した。
【0054】
IPTG誘導Tuner(DE3)/rpET21の可溶性細胞質画分からの組換えポリペプチドの精製をHis・タグ配列(6個の隣接的ヒスチジン残基)の性質に基づくアフィニティークロマトグラフィーによって行い、His・結合金属キレート化樹脂に固定化した2価のカチオン(Ni2+)に結合した。概要としては、500 mlのIPTG誘導培養物から得られた沈降細胞を1 mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF;シグマ)を含有する溶解バッファー(20 mMトリス、500 mM NaCl、5 mMイミダゾール、pH 7.9)に再懸濁し、音波処理し、16,000Xgで30分間遠心分離してデブリを除去した。上清をNi-NTAアガロースカラム(キアゲン、ミシソーガ、オンタリオ、カナダ)上に析出させた。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼBVH-NTHI1-His・タグ組換えポリペプチドを250 mMイミダゾール-500 mM NaCl-20 mMトリスpH 7.9で溶離した。試料からの塩とイミダゾールの除去は、4℃でPBSに対して透析することにより行った。大腸菌の可溶性画分から得られた組換えポリペプチド量をMicroBCA(ピアス、ロックフォード、イリノイ州)によって測った。
【0055】
実施例4
本実施例は、BVH-NTHI1で免疫化後、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ感染症に対する免疫原性と防御能の分析を示すものである。
5匹の雌のBALB/cマウス(チャールスリバー、オンタリオ、カナダ)を大腸菌熱不安定毒素アジュバント(LT; 1μg; セダーレーンラボラトリーズ社、ホーンバイ、カナダ)の存在下に25μgのアフィニティ精製BVH-NTHI1-His・タグ組換えポリペプチドで、対照としてPBS中アジュバントのみで2週間おきに3回鼻内に免疫した。血液試料をそれぞれの免疫の前日と3回目(42日目)の注射の14日後に眼窩副鼻腔から集めた。抗体力価を型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085の熱死滅外膜小胞についてELISAにより求めた。二次抗体は、アルカリンホスファターゼに結合したヤギ抗マウスIgG+IgM(H+L)(Fc特異的)(ジャクソンイムノリサーチラボス、ミシソーガ、オンタリオ)を用いた。抗血清の反応性力価を相互の希釈度として定義し、吸光度が免疫前血清試料で得たものより2倍増加した。BVH-NTHI1によって誘発した免疫応答が機能的に重要であるかを調べるために、約2×105 CFUの型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085で肺臓内に攻撃したマウスにおいて14日後にインビボ防御能を評価した。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ攻撃接種物の試料をチョコレート寒天プレート上に塗布して攻撃量を確かめた。型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼのインビボ増殖を制限する点で予防接種の有効性を測定するために、注射の5時間後にペントバルビタールナトリウム(EuThanyl(登録商標))の腹腔内注射によってマウスを犠牲にした。気管支肺胞洗浄について細菌数定量用連続希釈のプレーティングにより細菌クリアランスを評価した。アジュバントのみを注射したマウスを負の対照として用いた。
免疫原性実験の結果(表2)から、免疫動物の血清の特異抗体のレベルが対照血清に相対して約1000倍まで上昇したことがわかった。平均力価をOMPで測定し、熱死滅試料は1つの希釈だけ異なり、BVH-NTHI1ポリペプチドが実際に表面曝露抗原であることが確認された。
【0056】
表2. 血清aにおけるNTHI特異的抗体に対する全身免疫の影響

a) 免疫処置の42日目に免疫マウスと対照マウスから血清試料を集めた。
【0057】
防御実験の結果(表3)から、菌株12085が対照動物の肺に容易に増殖して攻撃後5時間までに生存できる型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ細胞数が200%だけ増加したことがわかった。対照的に、BVH-NTHI1免疫マウスによる菌株12085の実質的な肺クリアランスが明らかであったが、免疫動物の肺における細菌沈着物の最初の数の35% だけが攻撃後5時間までに回収された。
【0058】
表3. 型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085aの肺クリアランスに対する全身免疫の影響

a) 各数値は各時間での5匹の動物の平均である。
b) **P < 0.0098は非対合性t検定とウエルシュ補正に従って算出し、対照と比較した。
【0059】
実施例5
本実施例は、ヒト血清と防御マウスからの抗血清による型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085由来の組換えポリペプチドの認識を示すものである。
標準ウェスタンブロット法を用いて精製組換えポリペプチドがヒト血清によって認識されるかを調べた。更に、外膜タンパク質標品で免疫したマウスからの抗血清を精製組換えポリペプチドに対して試験した。これらの標品で免疫したマウスは、型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ株12085で攻撃した後に高肺クリアランスを示した。抗原の調製については、精製組換えポリペプチドをSDSと2-メルカプトエタノールを含有する試料バッファーで100℃で5分間処理した。ポリペプチドをLaemmli, U.K. (1970) Cleavage of structural proteins during the assembly of the head of the bacteriophage T4. Nature, 227:680-685の方法に従ってSDS-PAGEで分離した。SDS-PAGE後、ポリペプチドをゲルからニトロセルロース紙へ方法(Towbin, H., Staehelin, T. & Gordon, J. (1979) Electrophoretic transfer of protein from polyacrylamide gels to nitrocellulose sheets: procedure and some applications. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76: 4350-4354)で電気泳動で移し、ヒト又はマウス抗血清でプローブした。抗体と反応性の抗原の検出を結合抗マウス又は抗ヒト免疫グロブリンと色基質を用いた間接酵素イムノアッセイで行った。
表4の結果から、ほとんどのポリペプチドがヒト免疫系によってすでに見られたことがわかる。ワクチン候補としてこれらのポリペプチドは、ヒトにおいて強力な免疫応答を誘発させる可能性がある。更に、ほとんどのポリペプチドが防御マウスからの血清によって認識された。血清反応性は、感染症のマウスモデルにおいて高肺クリアランスに相関している。
【0060】
表4. 正常ヒト血清と防御マウス由来の抗血清と型別不能ヘモフィルス・インフルエンゼ12085組換えポリペプチドとの反応性

a) +の数は反応の強さを示し、《−》記号は反応しないことを示している。
b) マウスをそれぞれの組換えポリペプチドで免疫し、肺クリアランスを実施例4のように測定した。
c) ndは実施せず。
【0061】
本明細書は、以下の発明を開示する。
下記より選ばれた1種を含む単離されたポリペプチド。
(a)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも70%が同一であるポリペプチド;
(b)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれたアミノ酸配列をもつ第2ポリペプチドに対して少なくとも95%が同一であるポリペプチド;
(c)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列を含むポリペプチド;
(d)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドに結合特異性を有する抗体を産生することができるポリペプチド;
(e)配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24より選ばれた配列をもつポリペプチドの一部をもったエピトープ;
(f)N末端Met残基が欠失している(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチド; 又は
(g)分泌アミノ酸配列が欠失している(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のポリペプチド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫原性組成物であって、
(a)薬学的に許容しうる担体、希釈剤又は補助剤、及び
(b)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドの類似体である、単離されたポリペプチド
を含み、
該類似体が、配列番号10のアミノ酸残基の20より少ない置換又は欠失を有する、免疫原性組成物。
【請求項2】
キメラポリペプチドであって、
(a)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び
(b)配列番号2、4、6、8又は20のアミノ酸配列からなるポリペプチド、又は、配列番号2、4、6、8又は20のアミノ酸配列からなるポリペプチドの類似体であって、配列番号2、4、6、8又は20のアミノ酸残基の20より少ない置換又は欠失を有する類似体
を含み、
該キメラポリペプチドが、ヘモフィルス・インフルエンゼに対する免疫応答を誘発する、使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−231114(P2011−231114A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121415(P2011−121415)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【分割の表示】特願2008−320133(P2008−320133)の分割
【原出願日】平成13年10月2日(2001.10.2)
【出願人】(508091018)アイディー バイオメディカル コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】