説明

ヘルメット用カードホルダ

【課題】名札やIDカードを汎用のヘルメットに着脱自在に、安定よく装着することができるカードホルダを提供する。
【解決手段】平板で略T字状に形成し下端にヘルメットの下端外周縁部分への着脱手段を備えたホルダ本体1と、ホルダ本体1に対して着脱自在に装着するカードケース2で構成する。カードケース2には、上部左右両側と中央下部に取り付け用の貫通孔を穿設するとともに、ホルダ本体1には上部左右両側と中央下部にカードケース2に穿設した貫通孔にそれぞれ係合する係止手段を形成する。係止手段は、上部右側に設けるL字状突起6と、上部左側に配置する係止爪7と、中央下部に配置するフック杆8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、名札やIDカードをヘルメットに着脱自在に装着するための、ヘルメット用カードホルダに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
作業現場においては、作業者を識別するための名札や安全管理上の作業員証、IDカードなどの携行が義務付けられる場合が多い。特に、IDカードなどは、作業中常に携行する必要があるとともに、作業後にも大切に保管しておく必要がある。したがって、これをヘルメットに着脱自在として携行することが行われている。
従来のヘルメット用カードケースは、特許文献2や特許文献3に開示されているように、ヘルメットそのものの構造として形成されているのが普通である。また特許文献1に開示されるように後付構造のカードホルダとして、ヘルメットの外表面に接着固着するものが知られている。
【特許文献1】実用新案登録第3041106号公報
【特許文献2】特開平11―12841号公報
【特許文献3】特開2000―201717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献2や3に開示されるカードホルダ付のヘルメットは、ヘルメットそのものの構造が複雑で高価なものとなり、軽量なヘルメットを実現することが困難である。また、特許文献1に開示されるカードホルダを備えたヘルメットは、装着するカードホルダがヘルメットの外表面に大きく突出するため、作業の邪魔になる場合があった。そして、上記いずれのヘルメットもカードホルダ付の専用ヘルメットとして使用する必要があり、一般的なカードケースのないヘルメットを必要に応じてカードホルダ付のヘルメットとして使用することができなかった。
【0004】
上記、従来技術の欠点に鑑み本発明は、通常のヘルメットに簡単に装着してカードホルダ付のヘルメットとして使用することができるとともに、カードを保持させるカードケースの着脱が容易であるとともに確実に装着し、さらに作業の邪魔にならないヘルメット用カードホルダを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、平板で略T字状に形成し下端にヘルメットの下端外周縁部分への着脱手段を備えたホルダ本体1と、ホルダ本体1に対して着脱自在に装着するカードケース2で構成する。カードケース2には、上部左右両側と中央下部に取り付け用の貫通孔3、4、5を穿設するとともに、ホルダ本体1には上部左右両側と中央下部にカードケース2に穿設した貫通孔3〜5にそれぞれ係合する係止手段を形成する。
【0006】
ホルダ本体1の上部左右両側に形成する係止手段のうち、一方の係止手段はカードケース2の貫通孔3に貫通させてカードケース2の面方向の移動を阻止するL字状突起6であり、ホルダ本体1の上部左右両側に形成する係止手段の他方の係止手段は、カードケース2の貫通孔4に係合し前記L字状突起方向へのカードケース2の移動を阻止する係止爪7である。また、ホルダ本体1の中央下部に形成する係止手段はカードケース2の貫通孔5に対して面と直行する方向に着脱可能で、面方向の抜け出しを阻止するきのこ状のフック杆8である。
【0007】
請求項2記載の発明は、ホルダ本体1の上部左右いずれかに配置する係止爪7の、上下端のいずれか一方もしくは双方に面取りを施すことによって傾斜面9を形成し、この部分におけるカードケース2の上下方向の移動を許容、換言すれば貫通孔4からの抜け出しを容易にすることである。
【0008】
請求項3及び4記載の発明は、ホルダ本体1の下端に形成するヘルメット10の下端外周縁部分への着脱手段に関するものである。請求項3記載の発明は、ホルダ本体1の下端を折り返し、この折り返し片11の弾性によって垂直方向であるヘルメット10の下端部を抱持させるとともに、T字状であるホルダ本体1の下端部内面にヘルメットの外表面に点もしくは線接触をする突起部12を形成し、折り返し片11の先方部分を突起部12よりも上方位置において弾性的に押圧させることである。
【0009】
請求項4記載の発明は、ヘルメットの外周に鍔13や反り返った溝を備えたヘルメットへの装着構造である。すなわち、ホルダ本体1の下端に形成するヘルメット1の下端外周縁部分への着脱手段は、下端を外方に向けて折曲することによって外方折曲部14を形成し、外方から内方に向けて折り返した折り返し片15の弾性によってホルダ本体1を、下端外周に鍔13を形成したヘルメットの鍔13部分を抱持させることである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、IDカードや名札を装着したカードケース2の上部左右両側に穿設した一方の貫通孔3を、ホルダ本体1のL字状突起6に挿入し、他方の貫通孔4を係止爪7に引っ掛けるとともに、カードケース2の中央下部に穿設した貫通孔5をきのこ状のフック杆8に押し込む操作によってカードケースをホルダ本体1に簡単に装着することができる。そして、ホルダ本体1自体は、下端に形成した着脱手段によって、任意のヘルメット下端外周縁部分に着脱することによって、カードホルダを具備していない汎用のヘルメットをカードホルダ付のヘルメットとして使用することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ホルダ本体1に装着したカードケース2を取り外す際に、カードケース2の中央下部を表面方向に引っ張り、カードケース2の中央下部における貫通孔5とフック杆8との係合を外した状態で、係止爪7によって係合しているカードケースの一方を上下方向に移動させることによって、係止爪7と貫通孔4との係合を解除し、カードケース2を簡単に取り外すことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、外周に鍔を形成していないヘルメットに対してホルダ本体1を差し込むことによって簡単に装着し、装着したホルダ本体1は、ホルダ本体の下端部内面に形成した突起部12が支点となって、返し片の弾性によってしっかりと装着される。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、下端外周に鍔13を形成したヘルメットに対して、ホルダ本体1の下端部に形成した着脱構造が、ヘルメットの鍔13部分を抱持することによってホルダ本体1をヘルメットに、容易に外れないように確実に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係るヘルメット用カードホルダの好ましい実施形態を添付の図面に基いて説明する。図1はホルダ本体1の正面図、図2はホルダ本体1に装着するカードケース2の正面図、図3はホルダ本体の背面図、図4は図1のIV−IV線断面図である。
【0015】
ホルダ本体1は平板で、全体を略T字状に形成するとともに、図4からもわかるように全体を左右方向に湾曲させ、ヘルメットの外表面に沿うように考慮している。
ホルダ本体1の上部左右両側と中央下部には、カードケースとの係止手段を設けている。図1の図面上の、上部右側には、外向き(右方)に開放される断面略L字状のL字状突起6を一体に形成している。
【0016】
ホルダ本体1の上部左側には、右方に開放される係止爪7を一体に形成している。すなわち、係止爪7は右方から左方への進入を許容し、左方から右方への移動に際して爪が引っ掛かる状態としている。また、ホルダ本体1の中央下部には、断面略きのこ状のフック杆8を配置している。さらに、ホルダ本体1の下端にはヘルメットの下端外周縁部分への着脱手段を備えている。
【0017】
ホルダ本体1に装着するカードケース2は、例えば透明な合成樹脂製の薄い硬質シートを二枚重ねとし下辺を除く外周の三方を溶着し、下辺の開放辺から任意のカード16を挿入可能なものとする。上記カードケース2には、ホルダ本体1への取り付けのために、上部左右両側に縦長の貫通孔3、4と、中央下部に縦長の貫通孔5を穿設している。
【0018】
上記、カードケース2をホルダ本体1に装着するには、カードケース2の右側の貫通孔3をL字状突起6に挿入する。続いて、カードケース2の左端を右から左に滑らせるように移動させることによって、係止爪7を貫通孔4に係止させる。この状態で、カードケース2の下部を押圧すると、カードケース2の貫通孔5にホルダ本体1のフック杆8が嵌り込んでしっかりと装着される。上記、カードケースの装着状態では、係止爪7が貫通孔4に係合することによってカードケース2を右方に移動させることができないため、カードケース2は三点支持によって盲動したり、脱落する虞がなく装着される。この際、フック杆8の存在によってカードケース2内のカード16が開放端(下辺)から抜け落ちることがない。
【0019】
図示実施形態においては、図3及び図6に示すように、係止爪7の上端に面取りを施すことによって傾斜面9を形成している。このように、係止爪7に傾斜面9を形成することによって、図5(a)示すように係止爪7が貫通孔4に係合している状態で、カードケース2を矢印で示すように下方に引っ張ると、貫通孔4の上端縁が傾斜面9に案内され、図5(b)に示すように簡単に抜き出すことができる。
【0020】
すなわち、カードケース2をホルダ本体1から取り外す場合は、中央下部における貫通孔5とフック杆8の係合を外した状態で、カードケース2の左側を下方に引っ張ると、貫通孔4と係止爪7の係合が外れ、最後に貫通孔3からL字状突起6を抜き出すことによって簡単に取り外すことができる。なお、図示実施形態では、係止爪7の上端部に傾斜面9を形成しているが、下端部、あるいは上下両端部に傾斜面9を形成することもできる。この場合、カードケース2を上方に押し上げることによって貫通孔4と係止爪7との係合を外すことができる。
【0021】
ホルダ本体1の下端に形成するヘルメット下端外周縁部分への着脱手段は、ヘルメットの形状、構造に対応する構成とするのがよい。下端外周に鍔が形成されていないヘルメットの場合は、図7(a)に示すようにホルダ本体1の下端を折り返した構造とし、図7(b)に示すように折り返し片11の弾性によって垂直方向であるヘルメット10の下端部を抱持することができるようにしておく。
【0022】
このとき、図7に示す実施形態では、T字状であるホルダ本体1の下端部内面幅方向に、ヘルメットの外表面に線接触をする突起部12を形成するとともに、折り返し片11をヘルメット10の下端に差し込んだ場合に、折り返し片11の先方部分が、突起部12よりも上方位置においてヘルメット10の内表面に弾性的に押圧するようにしている。
上記構成とすることによって、カードホルダ1をヘルメットに装着した状態で、ヘルメット10の表面において突起部12の線接触と、離れた位置の折り返し片11の弾性的接触によって、カードホルダ1は安定状態に保持される。このとき、ヘルメット10の下端は、折り返し部11の下端内面に接触するように差し込んでおくのが好ましい。
【0023】
下端外周に鍔13が形成されていないヘルメットの場合は、図8に示すように下端を外方に向けて折曲して外方折曲部14を形成するとともに、外方折曲部14から内方に折り返して折り返し片15を形成しておく。そして、内方への折り返し片15の弾性によってヘルメットの鍔部分を抱持させるようにする。この構造では、外向きの鍔13部分を折り返し片15によって抱持するため、ホルダ本体1が上下方向に盲動することなく、ホルダ本体1をヘルメットに安定的に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、ホルダ本体1の正面図、
【図2】図2は、ホルダ本体1に装着するカードケース2の正面図、
【図3】図3は、ホルダ本体の背面図、
【図4】図4は、図1のIV−IV線断面図、
【図5】図5は、カードケースを装着したホルダ本体の係止爪部分の拡大断面図、
【図6】図6は、ホルダ本体の係止爪部分のみの斜視図、
【図7】図7は、鍔のないヘルメットへの装着状態を示すホルダ本体の下端部の縦断面図、
【図8】図8は、鍔付きのヘルメット用の着脱構造を備えたものであって、一部を拡大断面で示す、ホルダ本体の側面図。
【0025】
1…ホルダ本体、 2…カードケース、 3、4、5…貫通孔、 6…L字状突起、 7…係止爪、 8…フック杆、 9…傾斜面、 10…ヘルメット、 11、15…折り返し片、 12…突起部、 13…鍔、 14…外方折曲部、 16…カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板で略T字状に形成し下端にヘルメットの下端外周縁部分への着脱手段を備えたホルダ本体と、該ホルダ本体に対して着脱自在に装着するカードケースで構成し、
前記カードケースは上部左右両側と中央下部に取り付け用の貫通孔を穿設するとともに、前記ホルダ本体は上部左右両側と中央下部にカードケースに穿設した貫通孔に係合する係止手段を形成し、
ホルダ本体の上部左右両側に形成する係止手段のうち、一方の係止手段はカードケースの貫通孔に貫通させてカードケースの面方向の移動を阻止するL字状突起であり、ホルダ本体の上部左右両側に形成する係止手段の他方の係止手段は、カードケースの貫通孔に係合し前記L字状突起方向へのカードケースの移動を阻止する係止爪であってあり、ホルダ本体の中央下部に形成する係止手段はカードケースの貫通孔に対して面と直行する方向に着脱可能で面方向の抜け出しを阻止するきのこ状のフック杆であることを特徴とするヘルメット用カードホルダ。
【請求項2】
ホルダ本体の上部左右いずれかに配置する係止爪の、上下端のいずれか一方もしくは双方に面取りを施すことによって傾斜面を形成し、該部分におけるカードケースの上下方向の移動を許容することを特徴とする請求項1記載のヘルメット用カードホルダ。
【請求項3】
ホルダ本体の下端に形成するヘルメット下端外周縁部分への着脱手段は、下端を折り返し、該折り返し片の弾性によって垂直方向であるヘルメットの下端部を抱持させるとともに、T字状ホルダ本体の下端部内面にヘルメットの外表面に点もしくは線接触をする突起部を形成し、折り返し片の先方部分を前記突起部よりも上方位置において弾性的に押圧させることを特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット用カードホルダ。
【請求項4】
ホルダ本体の下端に形成するヘルメット下端外周縁部分への着脱手段は、下端を外方に向けて折曲し、外方から内方に向けて折り返し、該折り返し片の弾性によってホルダ本体を、下端外周に鍔を形成したヘルメットの鍔部分を抱持させることを特徴とする請求項1又は2記載のヘルメット用カードホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−266858(P2008−266858A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−115264(P2007−115264)
【出願日】平成19年4月25日(2007.4.25)
【出願人】(390025667)東洋物産工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】